(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブラケット(40,140)は、前記第1軸(24)の近傍に位置する中心部(140A)と、この中心部(140A)から第1軸(24)と離れる方向に延伸する複数のアーム部(141,142,143)を有し、
前記アーム部(141,142,143)のうち、少なくとも1つのアーム部(142)は、前記第1軸(24)と略直交する方向に延伸している
請求項1に記載の作業車両の原動部構造。
前記ピン(86)の前記冷却ファン(20)に臨む側の端部が、前記回転軸(24)の軸心方向において、前記排塵ファン(30)の前記エンジン(E)側の端部と略同一の位置か、これよりも冷却ファン(20)側の位置に配置されている
請求項6に記載の作業車両の原動部構造。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0025】
コンバインは、
図1,2に示すように、機体フレーム1の下方には、土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が配置され、機体フレーム1の上方左側には、脱穀・選別を行う脱穀装置3が配置され、脱穀装置3の前方には、圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が配置されている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置3の右側に配置されたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は、排出筒7によって外部に排出される。
【0026】
機体フレーム1の上方右側には、操作者が搭乗する操作部を備えた操縦席6が配置され、操縦席6の下方には、エンジンルーム8が配置されている。また、エンジンルーム8の右側には、エンジンルーム8の保守・点検用のカバー8Aが装着されており、カバー8Aの上下方向における中間部と下部には、目抜き鉄板等から形成された濾過体8Bが取付けられている。
〈原動部の第1の態様〉
エンジンルーム8の内側には、
図3,4に示すように、エンジンEが配置され、エンジンEの外気を吸入する上流側である右側には、一定の間隔を隔てて、エンジンEによって加熱された冷却水を冷却するラジエータ50が配置されている。
【0027】
エンジンEとラジエータ50の間には、外気をエンジンルーム8の内側に向かって吸入する冷却ファン20と、エンジンルーム8の内側の内気を外部に向かって排気し、濾過体8Bに付着した藁屑等の粉塵を除去する排塵ファン30が配置されている。なお、排塵ファン30は、冷却ファン20の左側に配置されている。
【0028】
また、ラジエータ50の右側には、一定の間隔を隔てて、走行用ミッション等の駆動用オイルを冷却するオイルクーラ51と、エンジンEの燃焼用の混合気を冷却するインタークーラ52が配置されている。なお、オイルクーラ51とインタークーラ52は、ラジエータ50とエンジンルーム8のカバー8Aの間に配置されている。
【0029】
エンジンEから出力された回転は、プーリ、ベルト等を介して、エンジンルーム8の上部に左右方向に向かって延設された上側回転軸10に伝動される。
上側回転軸10に伝動された回転は、上側回転軸10の右側端部に取付けられた第1プーリ21と、第1プーリ21と第2プーリ23に巻回された第1ベルト22を介して、エンジンルーム8の上下方向の中間部に左右方向に向かって延設された回転軸(請求項における「第1軸」)24の左側端部に取付けられた第2プーリ23に伝動される。
【0030】
第2プーリ23に伝動された回転は、回転軸24を介して、回転軸24の右側端部に取付けられた冷却ファン20に伝動され、冷却ファン20を回転させる。
冷却ファン20の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、外気をエンジンルーム8の内側に吸入して、ラジエータ50等の表面に送風することにより、ラジエータ50の冷却効率を高めることができる。なお、便宜上、冷却ファン20の回転時を駆動状態といい、冷却ファン20の回転の停止時を停止状態という。
【0031】
エンジンEのクランク軸に取付けられたクランクプーリに作用する横引き荷重を抑制するために、第1プーリ21を後述する第3プーリ31よりも上側回転軸10の右側端部の左側に配置するのが好適である。
【0032】
同様に、上側回転軸10に伝動された回転は、第1プーリ21の右側に並設して取付けられた第3プーリ31と、第1ベルト22と並設して設けられ、第3プーリ31と第4プーリ33に巻回された第2ベルト32を介して、回転軸24を軸支する支持部25の外側に嵌装された筒状回転軸(請求項における「第2軸」)34の左側端部に形成された第4プーリ33に伝動される。なお、本実施形態にあっては、第4プーリ33を筒状回転軸34の左側端部に一体として形成しているが、第4プーリ33と筒状回転軸34を別体に形成することもできる。
【0033】
第4プーリ33に伝動された回転は、筒状回転軸34を介して、筒状回転軸34の右側端部に取付けられた排塵ファン30に伝動され、排塵ファン30を回転させる。
排塵ファン30の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、内気を外部に排気して、内気を濾過体8Bに送風することにより、濾過体8Bに付着した粉塵を除去することができ、冷却ファン20による外気の吸入効率を一定に維持することができる。なお、便宜上、排塵ファン30の回転時を駆動状態といい、排塵ファン30の回転の停止時を停止状態という。
【0034】
(冷却ファン)
次に、冷却ファン20について説明する。冷却ファン20は、
図3,4に示すように、羽根20Aと、羽根20Aの基部を支持する中心部20Dから形成され、中心部20Dは、回転軸24の右側端部に取付けられている。
【0035】
冷却ファン20の外気の吸入効率を高めるために、本実施形態の羽根20Aは、長羽根20aと、長羽根20aに近接して設けられた短羽根20bが、中心部20Dの円周方向に所定の間隔を隔てて、それぞれ8羽根ずつ設けられている。なお、部品点数を削減する観点から、
図5〜7に示すように、短羽根20bを並設せずに長羽根20aだけを中心部20Dの円周方向に所定の間隔を隔てて8羽根設けることもできる。
【0036】
(排塵ファン)
次に、排塵ファン30について説明する。排塵ファン30は、
図3,4に示すように、冷却ファン20の外気の吸入効率の低下を防止するために、冷却ファン20の左側に配置されている。
【0037】
排塵ファン30は、羽根30Aと、羽根30Aの基部を支持する中心部30Dから形成され、中心部30Dは、筒状回転軸34の右側端部に取付けられている。
冷却ファン20の外気の吸入効率の低下を防止するために、羽根30Aの外径は、冷却ファン20の羽根20Aの外径よりも小さく形成されている。
【0038】
また、冷却ファン20と、排塵ファン30の伝動構成を簡易にし、エンジンルーム8内の空間を有効に活用するために、排塵ファン30の羽根30Aの翼角度は、冷却ファン20の羽根20Aの翼角度と逆翼角度を持って中心部30Dに立設されている。これにより、排塵ファン30が取付けられた筒状回転軸34に伝動された回転方向と、冷却ファン20が取付けられた回転軸24に伝動された回転方向が同一回転方向であっても、冷却ファン20においては、外気を吸入してエンジンルーム8の内側に送風でき、排塵ファン30においては、内気をエンジンルーム8の外側に排気することができる。なお、羽根30Aは、中心部30Dの円周方向に所定の間隔を隔てて8羽根設けられている。
【0039】
(回転軸等の配置)
次に、回転軸24と筒状回転軸34を、支持部25を介して配置した構成について説明する。回転軸24を軸支する支持部25の左側部の外周部は、
図3,6に示すように、背面視において第2プーリ23と第4プーリ33の間に、上下方向に延設されたブラケット40の連結部43に取付けられている。
【0040】
回転軸24と筒状回転軸34の連結をコンパクトな構成にしてエンジンルーム8内の空間を有効に利用するために、回転軸24は、ベアリングを介して回転自在に支持部25に形成された開口部25Aに取付けられており、筒状回転軸34に形成された溝部34Aは、ベアリングを介して回転自在に支持部25の外周部に取付けられている。
【0041】
ブラケット40は、
図5に示すように、エンジンルーム8内における機体フレーム1から上方に向かって延設した前側フレーム1Aに取付けられる前側脚部41と、後側フレーム1Bに取付けられる後側脚部42と、前側脚部41と後側脚部42を連結して第2プーリ23と第4プーリ33の間に配置される連結部43が一体として形成されている。
【0042】
前側脚部41は、
図6に示すように、前側フレーム1Aに取付けられる基端部からエンジンEに向かって延設する延設部41Aと、延設部41Aの先端部から後方に向かって延出しながらエンジンEに向かって傾斜する傾斜部41Bから形成されている。
【0043】
同様に、後側脚部42は、後側フレーム1Bに取付けられた基端部からエンジンEに向かって延設する延設部42Aと、延設部42Aの先端部から前方に向かって延出しながらエンジンEに向かって傾斜する傾斜部42Bから形成されている。
【0044】
また、連結部43の前端部は、傾斜部41Bの後端部に連結されており、連結部43の後端部は、傾斜部42Bの前端部に連結されている。
(冷却ファン等への伝動の切換え)
次に、エンジンEの回転を冷却ファン20または排塵ファン30に切換えて伝動する構成について説明する。
【0045】
エンジンEの回転は、上述したように、上側回転軸10、第1プーリ21、第1ベルト22、第2プーリ23、及び回転軸24を介して冷却ファン20に伝動される。
エンジンEの回転を冷却ファン20に伝動して冷却ファン20を回転するには、第1プーリ21と第2プーリ23に巻回された第1ベルト22の上下方向の略中間部に、第1テンションローラ(請求項における「テンションアーム」)26のローラ26Aを押圧させることにより第1ベルト22の張力を所定以上にすることにより行なう。すなわち、第1ベルト22の張力を所定以上の張力にすることにより、第1ベルト22と第1プーリ21の間、及び第1ベルト22と第2プーリ23の間での滑りを防止し、第1プーリ21に伝動されたエンジンEの回転を、第1ベルト22を介して第2プーリ23に伝動する。
【0046】
第2プーリ23に伝動された回転は、回転軸24を介して冷却ファン20に伝動され、冷却ファン20を回転させる。なお、冷却ファン20が回転中には、排塵ファン30の回転は停止し、冷却ファン20によりエンジンルーム8内に外気が吸入され、ラジエータ50、オイルクーラ51、及びインタークーラ52の冷却が行なわれる。
【0047】
一方、エンジンEの回転の冷却ファン20への伝動を遮断して冷却ファン20の回転を停止するには、第1ベルト22の上下方向の略中間部と第1テンションローラ26のローラ26Aを離間させることにより第1ベルト22の張力を所定未満にすることにより行なう。すなわち、第1ベルト22の張力を所定未満の張力にすることにより、第1ベルト22と第1プーリ21の間、及び第1ベルト22と第2プーリ23の間での滑りが発生し、第1プーリ21に伝動されたエンジンEの回転を、第1ベルト22を介して第2プーリ23に伝動することができなくなり、第1プーリ21と第2プーリ23の間における伝動が遮断される。
【0048】
エンジンEの回転が第2プーリ23に伝動にされないことから、回転軸24の回転が停止して冷却ファン20の回転も停止する。なお、冷却ファン20の停止中には、排塵ファン30が回転し、エンジンルーム8内の内気をカバー8Aの濾過体8Bを介して外部への排気が行なわれる。
【0049】
エンジンEの回転は、上側回転軸10、第3プーリ31、第2ベルト32、第4プーリ33、及び筒状回転軸34を介して排塵ファン30に伝動される。
エンジンEの回転を排塵ファン30に伝動して排塵ファン30を回転するには、第3プーリ31と第4プーリ33に巻回された第2ベルト32の上下方向の略中間部に、第2テンションローラ(請求項における「テンションローラ」)36のローラ36Aを押圧させることにより第2ベルト32の張力を所定以上にすることにより行なう。すなわち、第2ベルト32の張力を所定以上の張力にすることにより、第2ベルト32と第3プーリ31の間、及び第2ベルト32と第4プーリ33の間での滑りを防止し、第3プーリ31に伝動されたエンジンEの回転を、第2ベルト32を介して第4プーリ33に伝動する。
【0050】
第4プーリ33に伝動された回転は、筒状回転軸34を介して排塵ファン30に伝動され、排塵ファン30を回転させる。なお、排塵ファン30の回転中には、冷却ファン20の回転は停止し、排塵ファン30によりエンジンルーム8内の内気をカバー8Aの濾過体8Bを介して外部に排気し、濾過体8Bに付着した粉塵等の除去が行なわれる。
【0051】
一方、エンジンEの回転の排塵ファン30への伝動を遮断して排塵ファン30の回転を停止するには、第3ベルト32の上下方向の略中間部と第2テンションローラ36のローラ36Aを離間させることにより第2ベルト32の張力を所定未満にすることにより行なう。すなわち、第2ベルト32の張力を所定未満の張力にすることにより、第2ベルト32と第3プーリ31の間、及び第2ベルト32と第4プーリ33の間での滑りが発生し、第3プーリ31に伝動されたエンジンEの回転を、第2ベルト32を介して第4プーリ33に伝動することができなくなり、第3プーリ31と第4プーリ33の間における伝動が遮断される。
【0052】
エンジンEの回転が第4プーリ33に伝動にされないことから筒状回転軸34の回転が停止して排塵ファン30の回転も停止する。なお、排塵ファン30の停止中には、冷却ファン20が回転し、エンジンルーム8内への外気の吸入が行なわれる。
【0053】
第1テンションローラ26と第2テンションローラ36の移動を、それぞれ別のモータによって駆動させることも可能であるが、エンジンルーム8内の空間を有効活用するために、本実施形態にあっては、
図5〜7に示すように、ブラケット40の後側脚部42の左面に設けられたステー46の右面に取付けられた、操縦席6から遠隔操作される1個のモータからなる駆動状態切換手段45によって駆動させている。なお、駆動状態切換手段45は、冷却ファン20の外気の吸入効率の低下を防止するために、冷却ファン20の羽根20Aの外周部よりも外側に配置するのが好適であり、また、原動部内の空間を有効に活用し、ブラケット40に過度の負荷が加わるのを防止するために、排塵ファン30の内側に隣接し、第4プーリ33の後側に配置するのが好適である。
【0054】
ステー46の左面の前側部に立設された支軸46Aには、後述する第1,2接続片27,37の後側部を連結する連結アーム47が回転自在に支持されている。連結アーム47は、支軸46Aに装着される中心部47Cと、中心部47Cから前方下側に向かって延出する下側延出部47Aと、中心部47Cから前方上側に向かって延出する上側延出部47Bと、中心部47Cから後方に向かって延出し、駆動状態切換手段45の出力軸45Aの先端部に支持されたギヤ45Bと係合するギヤが形成されたギヤ部47Dを備えて形成されている。
【0055】
下側延出部47Aの下端部の左面には、第1接続片27の後側接続片27Bを挿通する開孔部48Aが形成された第1支持部48が取付けられ、上側延出部47Bの上端部の右面には、第2接続片37の後側接続片37Bを挿通する開孔部49Aが形成された第2支持部49が取付けられている。なお、連結アーム47の回動時に、第1,2接続片27,37から第1,2支持部48,49に作用する反力を低減して第1,2支持部48,49等の耐久性を向上させるために、第1支持部48を、ベアリング48Bを介して下側延出部47Aの下端部に取付け、第2支持部49をベアリング49Bを介して上側延出部47Bの上端部に取付けるのが好適である。
【0056】
第1テンションローラ26と第2テンションローラ36の取付け部品を削減し、第1テンションローラ26と第2テンションローラ36の組立て作業を容易にするために、第1テンションローラ26のローラ支持部26Bの基部をブラケット40の連結部43の左面の前側下部に回転自在に取付け、第2テンションローラ36のローラ支持部36Bの基部をブラケット40の連結部43の右面の前側下部に回転自在に取付けている。
【0057】
また、第1テンションローラ26のローラ支持部26Bの上下方向の中間部は、ブラケット40の連結部43の左面に配置された第1接続片27により連結アーム47の下側延出部47Aの左面に取付けられた第1支持部48に連結され、第2テンションローラ36のローラ支持部36Bの上下方向の中間部は、ブラケット40の連結部43の右面に配置された第2接続片37により連結アーム47の上側延出部47Bの右面に取付けられた第2支持部49に連結されている。
【0058】
第1接続片27は、板状の前側接続片27Aと、棒状の後側接続片27Bから形成されている。前側接続片27Aの前端部は、第1テンションローラ26のローラ支持部26Bの左面に回転自在に支持され、後側接続片27Bの中間部は、連結アーム47の第1支持部48に挿通され、前側接続片27Aの後端部の右面と後側接続片27Bの前端部の左面は固着されている。
【0059】
また、第2接続片37は、板状の前側接続片37Aと、棒状の後側接続片37Bから形成されている。前側接続片37Aの前端部は、第2テンションローラ36のローラ支持部36Bの右面に回転自在に支持され、後側接続片37Bの中間部は、連結アーム47の第2支持部49に挿通され、前側接続片37Aの後端部の左面と後側接続片37Bの前端部の右面は固着されている。
【0060】
第1テンションローラ26の移動に伴う衝撃を緩和するために、第1支持部48に挿通された後側接続片27Bの第1支持部48よりも前側と後側にスプリング(図示省略)を嵌装するのが好適である。また、部品点数を削減するために、第1支持部48よりも前側に嵌装された前側スプリングの両端部は、前側接続片27Aの後端部と第1支持部48の前側部で挟持し、第1支持部48よりも後側に嵌装された後側スプリングの両端部は、第1支持部48の後側部と後側接続片27Bの後部に嵌装されたボルト等の固定手段の前側部で挟持するのが好適である。すなわち、前側スプリングは、後側接続片27Bに対して第1テンションローラ26を、後方へ引きつける付勢力を付与し、後側スプリングは、後側接続片27Bに対して第1テンションローラ26を、前方へ押し出す付勢力を付与する。
【0061】
同様に、第2テンションローラ36の移動に伴う衝撃を緩和するために、第2支持部49に挿通された後側接続片37Bの第2支持部49よりも前側と後側にスプリング(図示省略)を嵌装するのが好適である。また、第2支持部49よりも前側に嵌装されたスプリングの両端部は、前側接続片37Aの後端部と第2支持部49の前側部で挟持し、第2支持部49よりも後側に嵌装されたスプリングの両端部は、第2支持部49の後側部と後側接続片37Bの後部に嵌装されたボルト等の固定手段の前側部で挟持するのが好適である。
【0062】
エンジンルーム8内の空間を有効活用するために、背面視において、第1テンションローラ26のローラ支持部26Bは、第1ベルト22と第2プーリ23よりも左側であって、第1ベルト22に近接して配置し、第2テンションローラ36のローラ支持部36Bは、第2ベルト32と第4プーリ33よりも右側で、且つ、排塵ファン30よりも左側であって、第2ベルト32に近接して配置するのが好適である。
【0063】
また、第1テンションローラ26と第2テンションローラ36の移動を容易に行なうために、
図4に示すように、第1テンションローラ26のローラ支持部26Bの基部には、駆動状態切換手段45と反対方向の前側にリターンスプリング29を取付け、第2テンションローラ36のローラ支持部36Bの基部には、駆動状態切換手段45と反対方向のリターンスプリング39を取付けるのが好適である。なお、リターンスプリング29の前端部は、ブラケット40の前側脚部41の左面に取付けられ、リターンスプリング39の前端部は、ブラケット40の前側脚部41の右面に取付けられている。
【0064】
第1テンションローラ26がローラ支持部26Bの基部を中心として反時計方向に回転し、ローラ26Aが、第1ベルト22の押圧状態から離間状態に移動した場合における慣性力による冷却ファン20の回転を停止させると共に、第1ベルト22に生じる異常変形に伴う耐久性の劣化を防止するために、ローラ支持部26Bの基部の第2プーリ23の外周部に対向する部位には、第1ストッパ28が設けられている。
【0065】
側面視において、第1ストッパ28は、略ヘ字形状に形成されており、第1テンションローラ26がローラ支持部26Bの基部を中心として反時計方向に回転した場合に、第1ストッパ28の後部が、第2プーリ23に巻回された第1ベルト22に押圧して、慣性力による冷却ファン20の回転を停止させる。
【0066】
同様に、第2テンションローラ36がローラ支持部36Bの基部を中心として反時計方向に回転し、ローラ36Aが、第2ベルト32の押圧状態から離間状態に移動した場合における慣性力による排塵ファン30の回転を停止させると共に、第2ベルト32に生じる異常変形に伴う耐久性の劣化を防止するために、ローラ支持部36Bの基部の第4プーリ33の外周部に対向する部位には、第2ストッパ38が設けられている。
【0067】
側面視において、第2ストッパ38は、略ヘ字形状に形成されており、第2テンションローラ36がローラ支持部36Bの基部を中心として反時計方向に回転した場合に、第2ストッパ38の後部が、第4プーリ33に巻回された第2ベルト32に押圧して、慣性力による排塵ファン30の回転を停止させる。
【0068】
排塵ファン30が回転し、冷却ファン20が停止した状態を、
図5に示している。すなわち、ステー46の支軸46Aを中心として連結アーム47を時計方向に回動して、下側延出部47Aの下端部を前側に移動させ、上側延出部47Bの上端部を後側に移動させている。
【0069】
下側延出部47Aの下端部を前側に移動させることにより、第1接続片27を介して第1テンションローラ26をローラ支持部26Bの基部を中心として反時計方向に移動させ、第1ベルト22からローラ26Aを離間させている。一方、上側延出部47Bの上端部を後側に移動させることにより、第2接続片37を介して第2テンションローラ36をローラ支持部36Bの基部を中心として時計方向に移動させ、第2ベルト32にローラ36Aを押圧している。
〈原動部の第2の態様〉
次に、
図8〜
図16を参照して、第2の態様に係る原動部について説明する。第2の態様に係る原動部は、主に、回転軸24と筒状回転軸34へエンジンEの動力を伝達する伝動軸がエンジンEの後方に配置されている点や、駆動状態切換手段45がエンジンルーム8の外側に配置されている点で、第1の態様に係る原動部と異なっている。なお、以下の説明において、第1の態様と共通する構成、作用及び効果についての重複する説明は省略する。
【0070】
また、
図9〜14の図示例においては、本態様の構成の把握を容易にするべく、冷却ファン20及び排塵ファン30は、これらのファンを回転軸回りに回転させることにより得られる回転体として示しているが、第1の態様と同じく、8枚の羽根を有するものである。なお、ファンの羽根の枚数は、8枚に限らず、所望の送風能力が得られる範囲で任意の数に設定することができる。
【0071】
(伝動機構)
エンジンEの回転動力は、エンジンEの回転動力の出力軸であるクランクシャフト60の機体外側(右側)の端部から、エンジンEの後方に配置された中間伝動部150へ伝達される。この中間伝動部150に伝達された動力は、この中間伝動部150において、ファン伝動部160と排出伝動部170に分岐して伝達される。なお、ファン伝動部160は、冷却ファン20と排塵ファン30を含むファン装置を駆動する伝動部であり、排出伝動部170は、排出筒7を含む穀粒排出装置を駆動する伝動部である。
【0072】
(中間伝動部)
中間伝動部150は、クランクシャフト60のプーリ61に巻き掛けられたベルト62と、このベルト62が巻き掛けられるプーリ63と、このプーリ63と一体回転する後部伝動軸110と、後部伝動軸110の機体外側(右側)部に設けられ、後部伝動軸110と一体回転する第1プーリ121及び第3プーリ131と、後部伝動軸110の機体内側(左側)端部が入り込む伝動ギヤボックス70と、この伝動ギヤボックス70に設けられ、プーリ72を有する軸71を含む。なお、伝動ギヤボックス70の内部では、後部伝動軸110に設けられたベベルギヤと軸71に設けられたベベルギヤが噛合っている。
【0073】
つまり、中間伝動部150のベルト62を介してプーリ63へ伝達されたエンジンEの動力は、後部伝動軸110において、ファン伝動部160へ伝動する第1プーリ121及び第3プーリ131側と、排出伝動部170へ伝動する伝動ギヤボックス70側に分岐して伝達される。
【0074】
(排出伝動部)
排出伝動部170は、軸71プーリ72に巻き掛けられるベルト73と、このベルト73が巻き掛けられるプーリ74と、このプーリ74と一体回転する排出螺旋軸75を含む。この排出螺旋軸75は、グレンタンク5内の下部に配置されており、貯留された穀粒を排出筒7側へ移送すると共に、排出筒7に内装される螺旋軸を駆動するものである。なお、ベルト73には穀粒排出装置の伝動を接続及び遮断するテンションクラッチ(図示省略)が設けられている。
【0075】
(ファン伝動部)
ファン伝動部160は、前記第1プーリ121に巻き掛けられる第1ベルト(請求項における「ベルト」)122と、この第1ベルト122が巻き掛けられる第2プーリ23と、この第2プーリ23から冷却ファン20に到る前述の各伝動部材と、第3プーリ131に巻き掛けられる第2ベルト132(請求項における「ベルト」)と、この第2ベルト132が巻き掛けられる第4プーリ33と、この第4プーリ33から排塵ファン30に到る各伝動部材を含む。
【0076】
また、第1ベルト122には、第1テンションローラ26を備え、第2ベルト132には第2テンションローラ36を備えている。これらの第1テンションローラ26及び第2テンションローラ36は、夫々第1ベルト122と第2ベルト132の張力を変化させることにより、伝動の接続と遮断を行う。
【0077】
(中間伝動部の配置)
中間伝動部150は、エンジンルーム8の後側に配置され、更に、少なくともその一部が、前記前側フレーム1Aと後述する左後側フレーム1Dよりも後側に配置されている。また、中間伝動部150は、エンジンルーム8とグレンタンク5の前壁5Aの間に形成される空間Sに配置されている。
【0078】
より詳細には、後部伝動軸110が、前側フレーム1A及び左後側フレーム1Dよりも後側に配置されている。そして、後部伝動軸110が前側フレーム1A及び左後側フレーム1Dよりも後側に配置されていることにより、プーリ63の一部と、第1プーリ121及び第3プーリ131の一部が前側フレーム1A及び左後側フレーム1Dよりも後方に位置する。
【0079】
(ファン伝動部の配置)
ファン伝動部160は、冷却ファン20及び排塵ファン30と、エンジンEの間に形成される空間である間隔部Bに配置されている。すなわち、ファン伝動部160は、エンジンルーム8の後側に配置される中間伝動部から、間隔部Bに入り込んで、冷却ファン20及び排塵ファン30に至る。
【0080】
(回転軸等の支持構造)
回転軸24と筒状回転軸34は、支持部25に回転自在に支持されている。支持部25は、溶接等の手段によりブラケット140の中心部140Aと一体化されている。ブラケット140は、回転軸24の軸心方向から見て中心部140Aから、支持部25から放射方向に延伸する3つのアーム部を有する三又形状に形成されている。すなわち、ブラケット140は、前方かつ、やや上方へ延びる前アーム部(請求項における「アーム部」)141と、後方へ延びる後アーム部(請求項における「アーム部」)142と、下方へ延びる下アーム部(請求項における「アーム部」)143を有する。
【0081】
図19等に示すとおり、回転軸24は、支持部25の内周部における機体内側(左側)端部と機体外側(右側)端部にそれぞれ設けられた軸受部材145Aによって、支持部25に回転自在に支持されている。第2プーリ23の中心部23Bは、外周部23Aよりも回転軸24の軸心方向での幅が狭く形成され、支持部25の機体内側端部は、この第2プーリの中心部23Bに入り込んでいる。すなわち、支持部25の機体内側端部は、第2プーリの外周部23Aよりも機体内側に入り込んでいる。
【0082】
また、筒状回転軸34は、支持部25の外周部における回転軸24の軸心方向での中間部に設けられた軸受部材145Bによって、支持部25に回転自在に支持されている。なお、軸受部材145Bは、互いに回転軸24の軸心方向で近接して2つ設けられている。
【0083】
なお、筒状回転軸34の機体外側の端部は、排塵ファン30の中心部30Dに入り込んでいる。
また、ブラケットの中心部140Aは、第2プーリ23及び第4プーリ33の外径と略同径に形成されている。第2プーリ23の外周部23Aと中心部140A、第4プーリ33と中心部140Aは、それぞれ、回転軸24の軸心方向で近接しており、両者の隙間から塵埃等の異物が侵入しない程度に形成されている。すなわち、第2プーリ23と第4プーリ33の外周部における回転軸24の軸心方向での隙間は、ブラケット140の中心部140Aにより塞がれている。
【0084】
(ブラケット及びテンションローラ)
ブラケット140は、
図12〜14に示すとおり、前アーム部141の先端部(前端部)は、前側フレーム1Aと連結されている。後アーム部142の先端部(後端部)は、後側フレーム1Bと連結されている。下アーム部143の先端部(下端部)は、機体フレーム1に設けられたブラケット1Eと連結されている。
【0085】
前アーム部141と下アーム部143は、その先端側ほど機体外側(右側)へ向うように傾斜している。また、後アーム部142は、回転軸24と直交する方向へ延伸している。後アーム部142の先端側の部位には、機体外側及び内側(右側及び左側)へ突出するピン86が設けられ、このピン86に、第1テンションローラ26と第2テンションローラ36の基部が回転自在に支持されている。
【0086】
ピン86は、回転軸24の軸心方向から見て、排塵ファン30の回転軌跡よりも外側に配置されている。なお、
図9〜14の図示例では、冷却ファン20の回転軌跡先端部近傍に位置している。換言すると、ピン86は、冷却ファン20の半径分、回転軸24の軸心から離れた位置に配置されている。また、ピン86は、少なくともその一部が、回転軸24の軸心方向において、排塵ファン30と重なっている(重なるか、排塵ファン30の内側端部と一致する位置に配置されている)。
【0087】
また、第1テンションローラ26と第2テンションローラ36は、トルク・スプリング85により、夫々ベルト122,132の張力を増大させる方向の付勢力が付与されている。つまり、トルク・スプリング85は、
図9及び
図12において、第1テンションローラ26と第2テンションローラ36を時計方向に回転させる方向の付勢力を付与している。
【0088】
そして、後アーム部142の先端側の部位には、ステー81が設けられている。このステー81は、駆動状態切換手段45とこの第1テンションローラ26と第2テンションローラ36を連繋する連繋手段80を受けるものである。連繋手段80は、図示例ではワイヤーを用いており、アウターケーブル80Aの端部がステー81に固定され、この2つのアウターケーブル80A内に夫々第1テンションローラ26用と第2テンションローラ36用のインナーケーブル80Bが挿通されている。
【0089】
なお、ステー81は、回転軸24の軸心方向から見て、冷却ファン20及び排塵ファン30の回転軌跡の外側に配置されている。
(駆動状態切換手段)
駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の外(後側)に配置されている。駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の左後側フレーム1Dの後部に取り付けられている。ここで、左後側フレーム1Dとは、エンジンルーム8の左後方において、機体フレーム1から立ち上げられたフレームである。また、前側フレーム1A、後側フレーム1Bと、エンジンルーム8の左前部に配置される左前側フレーム1Cと共に、操縦席6を支持する構造部材である。
【0090】
駆動状態切換手段45の取付方法について、更に説明を加えると、左後側フレーム1Dの後部には、ステー90が設けられ、このステー90にブラケット91を介して、駆動状態切換手段45が取り付けられている。ステー90には、エンジンEやラジエータ50を循環する冷却水の一部が一時的に貯留されるリザーバタンク92も取り付けられている。ブラケット91は、ステー90にリザーバタンク92を固定するためのボルトを利用して共締めすることにより、ステー90に固定されている。
【0091】
更に、駆動状態切換手段45は、ブラケット91のリザーバタンク92が位置する側とは反対の面に取り付けられている。駆動状態切換手段45は電動機と、この電動機の出力回転を減速するギヤ機構を備え、このギヤ機構から回転を出力する出力軸45Dには、プレートが設けられている。プレートにおける出力軸45Dから偏心した部位には、2本のピン45Cが設けられている。このピン45Cに連繋手段80のインナーケーブル80Bが接続される。なお、ピン45C及び出力軸45Dは、ブラケット91に対して、リザーバタンク92側に位置する。また、ピン45C及び出力軸45Dは、リザーバタンク92の上側に配置されている。
【0092】
(後部伝動軸のプーリ固定方法)
図16に示すとおり、プーリ63は、後部伝動軸110に固定キー64によって固定されている。後部伝動軸110の外周面にキー溝部111が形成されている。このキー溝部111内に入り込んだ固定キー64が、プーリ63と後部伝動軸110の間に介在することで、プーリ63が、後部伝動軸110に相対回転不能な状態で固定される。なお、キー溝部111は、後部伝動軸110の軸心方向に間隔をおいて、後部伝動軸110の外周面の2箇所に形成されている。
【0093】
また、後部伝動軸110の外周には、第1カラー112と、第2カラー113が設けられる。第1カラー112及び第2カラー113は、プーリ63が後部伝動軸110の軸心方向に移動することを規制する部材である。なお、第2カラー113は、後部伝動軸110の軸心方向での幅が、第1カラー112の幅よりも大きい。
【0094】
このように、後部伝動軸110の外周面の2箇所にキー溝部111が形成されていることで、プーリ63の後部伝動軸110の軸心方向における位置を変更することができる。
図16(a)は、プーリ63の位置が左側の位置に設定された状態であり、
図16(b)は、プーリ63の位置が右側の位置に設定された状態である。このようにプーリ63の位置を変更する際には、第1カラー112と第2カラー113を入れ替えて後部伝動軸110に装着する。また、プーリ63の位置変更に伴って、プーリ62に巻き掛けられるベルト62に張力を付与するテンションローラ115を付け替える。
【0095】
このテンションローラ115は、機体フレーム1にボルト116Aで固定される支持部116と、基部に備えるピン117Aが支持部116に回転自在に支持されるテンションアーム部117と、テンションアーム部117の先端に回転自在に支持されるローラ部118を有する。なお、テンションアーム部117には図示せぬスプリングが接続され、このスプリングの弾性力により、テンションローラ115は、ベルト62に張力を付与する。
図16(a)のように、プーリ63を左側に位置させたときには、左側用テンションローラ115Aを機体フレーム1に取付け、
図16(b)のように、プーリ63を右側に位置させたときには、右側用テンションローラ115Bを機体フレーム1に取り付ける。
【0096】
左側用テンションローラ115Aは、テンションアーム部117が、後部伝動軸110の軸心方向に屈曲しながら後部伝動軸110から離れる方向に延伸しており、テンションアーム部117の左側面にローラ部118が設けられている。また、右側用テンションローラ115Bは、ピン117Aが左側用テンションローラ115Aよりも長く形成されるとともに、テンションアーム部117が後部伝動軸110の軸心方向に屈曲せずに後部伝動軸110から離れる方向に延伸しており、テンションアーム部117の右側面にローラ部118が設けられている。また、右側用テンションローラ115Bは、機体フレーム1への取付位置が、左側用テンションローラ115Aよりも右側に設定されている。
【0097】
なお、キー溝部111は、3箇所以上に形成することもできる。
(伝動状態切換時の動作)
上記の構成により、駆動状態切換手段45は、電動機を駆動して、出力軸45Dを一定角度回転させる。このとき、ピン45Cは、出力軸45D回りに公転して、連繋手段80のインナーケーブル80Bを押し引きし、第1テンションローラ26,第2テンションローラ36によるベルトの張力を変化させる。すなわち、駆動状態切換手段45は、一方のテンションローラに接続されたインナーケーブル80Bを駆動状態切換手段45側へ引き付け、トルク・スプリング85の付勢力に抗してベルトの張力を減少させると共に、他方のテンションローラに接続されたインナーケーブル80Bを押し出すことでテンションローラの引き付け力を減少させて、ベルトの張力を増加させる。
【0098】
(第2の態様に係る効果)
第2の態様の原動部において、中間伝動部150は、エンジンルーム8の外(後側)に配置されている。このことにより、エンジンEと冷却ファン20及び排塵ファン30の間の間隔部Bに位置する伝動部材を少なくすることができ、エンジンEと2つのファンを接近させて送風による冷却効率を高めることができる。また、中間伝動部150のメンテナンスが容易になる。
【0099】
更に、中間伝動部150の後部伝動軸110が前側フレーム1A及び左後側フレーム1Dよりも後側に配置されていることにより、プーリ63の一部と、第1プーリ121及び第3プーリ131の一部が前側フレーム1A及び左後側フレーム1Dよりも後方に位置する。このことにより、間隔部Bに位置する伝動部材を少なくしながらも、エンジンEと中間伝動部150の距離を短くすることができ、エンジンEから中間伝動部150への伝動ロスを少なくすることができる。
【0100】
また、第2の態様の原動部において、中間伝動部150に伝達された動力は、ファン伝動部160と排出伝動部170に分岐して伝達される。このことにより、エンジンEからファン装置と穀粒排出装置へ動力を伝達する伝動部材を少なくし、エンジンE周辺のメンテンナンス性を向上させることができる。また、コンバインを軽量かつコンパクトに構成することができる。
【0101】
また、第2の態様の原動部において、ブラケット140は、回転軸24の軸心方向から見て、支持部25から放射方向に延伸する3つのアーム部を有する三又形状に形成されている。このことにより、回転軸24の支持剛性を高めることができ、冷却ファン20及び排塵ファン30の回転を安定させることができる。また、ブラケット140が三又形状であることで、エンジンルーム8内の送風の偏りを抑制することができる。
【0102】
また、第2の態様の原動部において、ブラケット140は、前アーム部141と下アーム部143が、その先端側ほど機体外側(右側)へ向うように傾斜している。このことにより、ブラケット140の前側及び下側において間隔部Bを広く形成することができ、冷却ファン20、排塵ファン30、エンジンE等のメンテナンスが容易化される。
【0103】
また、第2の態様の原動部において、ピン86は、回転軸24の軸心方向から見て、排塵ファン30の回転軌跡よりも外側に配置されている。このことにより、ピン86が2つのファンの送風を妨げることがなく、ファンの送風効率を向上させることができる。
【0104】
更に、ピン86は、少なくともその一部が、回転軸24の軸心方向において、排塵ファン30と重なっている。このことにより、第2ベルト132を排塵ファン30に近づけることが可能となり、間隔部Bにおけるファン伝動部160の空間占有率を小さくすることができ、エンジンE等のメンテナンスが容易化される。
【0105】
また、第2の態様の原動部において、連繋手段80を受けるステー81は、回転軸24の軸心方向から見て、冷却ファン20及び排塵ファン30の回転軌跡の外側に配置されている。このことにより、ステー81及び連繋手段80が2つのファンの送風を妨げることがなく、ファンの送風効率を向上させることができる。
【0106】
また、第2の態様の原動部において、駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の後側に配置されている。このことにより、駆動状態切換手段45の調整やメンテナンスを容易に行うことができる。また、駆動状態切換手段45が冷却ファン20や排塵ファン30の送風を妨げることを防止できる。
【0107】
また、第2の態様の原動部において、ブラケット91は、ステー90にリザーバタンク92を固定するためのボルトを利用して共締めすることにより、ステー90に固定されている。このことにより、駆動状態切換手段45の支持部材を簡素化することができる。
【0108】
更に、駆動状態切換手段45は、ブラケット91のリザーバタンク92が位置する側とは反対の面に取り付けられている。このことにより、トラブル発生時等にリザーバタンク92から飛び散った冷却水で、駆動状態切換手段45が故障することを防止できる。
【0109】
また、第2の態様の原動部において、ピン45C及び出力軸45Dは、ブラケット91に対して、リザーバタンク92側に位置する。また、ピン45C及び出力軸45Dは、リザーバタンク92の上側に配置されている。このことにより、リザーバタンク92の上側の空間を有効活用して、駆動状態切換手段45をコンパクトに搭載することができる。
【0110】
(第2の態様の変形例)
次に、
図17〜
図18を参照して、第1テンションローラ26及び第2テンションローラ36と、これらのテンションローラへの連繋手段80の接続形態の変形例について説明する。第1テンションローラ26は、ピン86を基準として、ローラ26A,36Aが設けられた側とは反対側へ向って延在するベルトストッパ102を備えている。また、第2テンションローラ36はベルトストッパ103を備えている。これらのベルトストッパ102,103は、丸棒状に形成され、溶接などの接合手段により夫々ローラ支持部26B、36Bに固定されている。
【0111】
ベルトストッパ102,103は、ベルト接触部102A、103Aと、連繋手段80が接続される接続部102B,103Bを備えている。また、ベルトストッパ102,103は、接続部102B,103Bの基部が、ローラ支持部26B、36Bに固定されると共に、接続部102B,103Bの先端から上方へ湾曲してベルト接触部102A、103Aに至る形状に形成されている。すなわち、ベルト接触部102A、103Aと接続部102B,103Bは、回転軸24の軸心方向から見て、互いに交差する姿勢で配置されている。
【0112】
このベルトストッパ102,103は、テンションローラ26,36がベルト122,132に接触してベルト122,132が伝動可能な状態では、このベルト122,132から離れた位置に位置づけられる。テンションローラ26,36がベルト26,36から離れる方向に回動してベルト122,132が伝動不能な状態では、ベルト接触部102A、103Aがベルト122,132に接触し、摩擦力によってベルト122,132を制動する。このようにベルト122,132を制動する状態においては、冷却ファン20,排塵ファン30が制動されて、回転が停止する。
【0113】
すなわち、ベルトストッパ102,103は、ベルト122,132から離間して制動力を与えない非制動状態と、ベルト122,132と接触して制動力を与える制動状態とに切替が可能である。
【0114】
なお、ベルトストッパ102,103の制動状態において、ベルト接触部102A、103Aがベルト122,132のベルトラインと略平行な姿勢となり、接続部102B,103Bは、基部側ほどベルト122,132から離れる姿勢となる。
【0115】
連繋手段80は、インナーケーブル80Bの先端に引張りスプリング82が設けられ、この引張りスプリング82の先端が、ベルトストッパ102,103の接続部102B,103Bに取り付けられる。更に詳細には、引張りスプリング82の先端は、接続部102B,103Bにおけるベルト接触部102A、103A側に偏った位置に取り付けられる。なお、上記のような連繋手段80の接続形態を採用するにあたり、ステー81には、延長部81Aが設けられている。また、ステー81とには、テンションローラ26,36にベルト122,132から離れる方向の付勢力を付与する引張りスプリング83が設けられている。
【0116】
上記の構成により、連繋手段80のインナーケーブル80Bが駆動状態切換手段45により、この駆動状態切換手段45側に引かれると、引張りスプリング82を介して、テンションローラ26,36が、
図17における時計方向に回動する。これにより、テンションローラ26,36は、ベルト122,132に押し付けられるとともに、ベルトストッパ102,103は、非制動状態に切替えられる。また、インナーケーブル80Bが押し出されると、テンションローラ26,36が、
図17における反時計方向に回動する。これにより、テンションローラ26,36は、ベルト122,132から離間し、ベルトストッパ102,103は、制動状態に切替えられる。
【0117】
従って、ベルト122,132が伝動しない状態において、冷却ファン20及び排塵ファン30の回転を速やかに停止し、回転している側のファンの送風を妨げることを防止することができる。