(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1の場合、在宅の有無、地震の規模、地震の発生時間帯等の要因が考慮されていないため、地震の発生を契機として、屋内の電気器具を一定時間使用可能にするとともに一定時間経過後に電源を自動的に遮断する動作が、本来必要とされる状況以外の状況において無駄に行われてしまう虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、地震が発生した際には、在宅の有無、地震の規模、地震の発生時間帯等の要因を考慮し、身の安全を守るための避難路を容易に確保しつつ、電気に伴う火災の発生を確実に防止することが可能な電源自動遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明である電源自動遮断装置は、
スマートメータから取得される現在の電力消費量の変化を、前記スマートメータから取得された過去の電力消費量データに基づいて生成部によって生成され記憶部に記憶された生活パターンデータと比較し、人が在宅しているか否かを判定する第1判定部と、地震の発生に関する情報を取得し、地震の規模を表す値が所定値より大きいか否かを判定する第2判定部と、時刻を計時する計時部と、前記計時部の計時時刻から得られる地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯の時刻であるか否かを判定する第3判定部と、人が在宅していると前記第1判定部が判定し、前記地震の規模を表す値が前記所定値より大きいと前記第2判定部が判定し、前記地震の発生時刻が前記時間帯の時刻であると前記第3判定部が判定した場合、家屋内の照明装置を一定時間だけ点灯させて、前記一定時間を経過した後に分電盤の電源を遮断する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、身の安全を守るための避難路を容易に確保しつつ、電気に伴う火災の発生を確実に防止することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
===電源自動遮断装置の構成===
図1は、本実施形態に係る電源自動遮断装置の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る電源自動遮断装置が設置されている家屋における住人の平日の生活パターンデータの一例を示す図である。
図3は、本実施形態に係る電源自動遮断装置が設置されている家屋における住人の休日の生活パターンデータの一例を示す図である。尚、
図2及び
図3において、横軸は1日(0時〜24時)の時間の流れを示し、縦軸は家屋において消費される電力消費量の変化を示している。以下、
図1〜
図3を参照して電源自動遮断装置の構成について説明する。
【0012】
電源自動遮断装置1は、例えば家屋に設置されているホームサーバであって、地震の発生に関する情報の取得を契機として、家屋に設置されている照明装置3及び分電盤4の電源を制御する装置である。地震の発生に関する情報は、例えば地震が発生した直後に知らせる地震の詳細な情報(震源地、家屋を含む地域の震度、津波の影響等の情報)であって、電源自動遮断装置1は、例えば気象庁を初めとする情報機関のサーバからコンピュータネットワーク2を通して地震の発生に関する情報を実質的にリアルタイムで取得する。電源自動遮断装置1は、地震の発生に関する情報を取得すると、照明装置3及び分電盤4の電源を制御するために、在宅の有無、地震の規模、地震の発生時間帯の判定を行う。そして、電源自動遮断装置1は、家屋に住人が在宅していると判定し、当該家屋を含む地域内における地震の規模を表す値が予め定められている所定値(例えば震度4)より大きいと判定し、更に、地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯(例えば当日18時〜翌日6時)の時刻であると判定すると、照明装置3を一定時間点灯可能とし、当該一定時間を経過した後に分電盤4の電源を自動的に遮断する制御を行う。
【0013】
電源自動遮断装置1は、記憶部1A、制御部1B、第1判定部1C、第2判定部1D、第3判定部1Eを含んで構成されている。尚、電源自動遮断装置1は、マイクロコンピュータを含んで構成される装置であって、制御部1B、第1判定部1C、第2判定部1D、第3判定部1Eの機能は、制御部1Bが記憶部1Dに記憶されているプログラムを実行することによって実現される。
【0014】
記憶部1Aには、電源自動遮断装置1の各機能を実現するためのプログラムデータと、電源自動遮断装置1が設置されている家屋の住人の平日及び休日の夫々の生活パターンを示す生活パターンデータA,Bと、予め定められている震度(例えば震度4)を示す基準震度データと、夜として予め定められている時間帯(例えば当日18時〜翌日6時)を示す時間帯データと、が予め記憶されている。電源自動遮断装置1は、通信回線を介してスマートメータ5に通信可能に接続され、スマートメータ5で計測された電力消費量データを取得する。電源自動遮断装置1は、スマートメータ5に電力消費量データの取得を要求する信号を送信することによって、スマートメータ5から電力消費量データを取得することができる。尚、電源自動遮断装置1は、計時部6で計時される現在時刻を参照して一定時間(例えば1時間)が経過するごとに電力消費量データを取得することも可能である。生活パターンデータA,Bは、スマートメータ5から取得される過去の電力消費量データを基に生成されるデータである。生活パターンデータAは、例えば、過去6ヶ月間における平日(月曜〜金曜)の0時〜24時の電力消費量データを1時間ごとに区切って累積し、累積後のデータを平均して得られるデータである。又、生活パターンデータBは、例えば、過去6ヶ月間における休日(土曜及び日曜)の0時〜24時の電力消費量データを1時間ごとに区切って累積し、累積後のデータを平均して得られるデータである。
【0015】
制御部1Bは、スマートメータ5から取得される電力消費量データに基づいて上記の生活パターンデータA,Bを生成し、生成後の生活パターンデータA,Bを記憶部1Aに記憶させる。尚、制御部1Bは、家屋の住人の生活パターンの変化に対応できるように、例えば1ヶ月ごとに生活パターンデータA,Bを新たに生成することとする。
【0016】
第1判定部1Cは、住人が家屋に在宅しているか否かを判定する。第1判定部1Cには、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データが例えば1時間ごとに入力される。第1判定部1Cは、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データを記憶部1Aから読み出される生活パターンデータA,Bの何れか一方と比較し、現在の電力消費量データと生活パターンデータA,Bの何れか一方との差が一定の範囲内であると認められる場合に、住人が家屋に在宅していると判定する。第1判定部1Cは、計時部6で計時される現在時刻を参照して現在が平日と休日の何れであるのかを判定し、現在が平日であると記憶部1Aから生活パターンデータAを読み出し、一方、現在が休日であると記憶部1Aから生活パターンデータBを読み出す。一般に、地震が発生する時間帯が深夜や夜明け等である場合、住人は就寝している可能性が高い。そのため、第1判定部1Cにとって、住人が就寝した状態で家屋に在宅しているか否かの判定は極めて重要である。例えば、第1判定部1Cは、生活パターンデータA,Bを参照し、夜として予め定められている時間帯において電力消費量が減少して実質的に一定になる時刻を特定し、当該時刻を住人の就寝時刻に設定する(
図2及び
図3の場合、例えば、平日の就寝時刻は0時、休日の就寝時刻は3時)。そして、第1判定部1Cは、就寝時刻の直前にスマートメータ5で計測される現在の電力消費量データを取得し、電力の使用が認められる場合には、住人が就寝した状態で家屋に在宅していると判定する。
【0017】
第2判定部1Dは、当該家屋を含む地域内で発生した地震の震度が予め定められている震度より大きいか否かを判定する。第2判定部1Dには、地震の発生に関する情報に含まれる実震度データが入力される。第2判定部1Dは、地震の発生に関する情報に含まれる実震度データを記憶部1Aから読み出される基準震度データと比較し、実震度データが基準震度データより大きいと認められる場合に、当該家屋を含む地域内で発生した地震の震度が予め定められている震度より大きいと判定する。
【0018】
第3判定部1Eは、当該家屋を含む地域内で発生した地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯の時刻であるか否かを判定する。第3判定部1Eには、電源自動遮断装置1が地震の発生に関する情報を取得したときの計時部6の計時時刻データが地震発生時刻データとして入力される。第3判定部1Eは、地震発生時刻データを記憶部1Aから読み出される時間帯データと比較し、地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯に含まれる時刻であるか否かを判定する。
【0019】
制御部1Bは、第1判定部1C、第2判定部1D、第3判定部1Eの判定結果に応じて、照明装置3及び分電盤4の電源を制御する。電源自動遮断装置1が地震の発生に関する情報を取得したことを契機として、住人が家屋に在宅していると第1判定部1Cが判定し、当該家屋を含む地域内で発生した地震の震度が予め定められている震度より大きいと第2判定部1Dが判定し、当該家屋を含む地域内での地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯に含まれる時刻であると第3判定部1Eが判定すると、制御部1Bは、当該家屋の住人を屋内又は屋外の安全な場所に迅速に避難させることを目的として、照明装置3を一定時間(例えば5分)点灯可能とし、一定時間が経過すると、電気に伴う火災の発生の防止を目的として、分電盤4の電源供給路を遮断する。
【0020】
===電源自動遮断装置の動作===
図4は、本実施形態に係る電源自動遮断装置の動作を示すフローチャートである。以下、
図1〜
図4を参照して電源自動遮断装置の動作について説明する。
【0021】
先ず、電源自動遮断装置1は、例えば気象庁を初めとする情報機関のサーバからコンピュータネットワーク2を通して地震の発生に関する情報を取得したか否かを判定する(ステップS1)。地震の発生に関する情報を取得していない場合(ステップS1:NO)、電源自動遮断装置1は、地震の発生に関する情報を取得するまでステップS1の判定動作を繰り返し実行する。
【0022】
地震の発生に関する情報を取得した場合(ステップS1:YES)、電源自動遮断装置1は、第2判定部1Dの機能として、家屋を含む地域内での地震の震度が予め定められている震度より大きいか否かを判定する。具体的には、電源自動遮断装置1は、地震の発生に関する情報に含まれる実震度データを記憶部1Aから読み出される基準震度データと比較する(ステップS2)。
【0023】
実震度データが基準震度データより大きい場合(ステップS2:YES)、電源自動遮断装置1は、家屋を含む地域内での地震の震度が予め定められている震度より大きいと判定し、第1判定部1Cの機能として、住人が家屋に在宅しているか否かを判定する。具体的には、電源自動遮断装置1は、現在が平日であると、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データを記憶部1Aから読み出される生活パターンデータAと比較し、現在が休日であると、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データを記憶部1Aから読み出される生活パターンデータBと比較する。特に、電源自動遮断装置1は、就寝時刻の直前にスマートメータ5で計測された現在の電力消費量データを取得し、就寝時刻の直前に電力が使用されていたか否かを判定する(ステップS3)。
【0024】
記憶部1Aから読み出される生活パターンデータA,Bの電力消費量が一定以上であると認められる期間(電力が使用されていると推定される期間)において、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データと記憶部1Aから読み出される生活パターンデータA,Bの何れか一方との差が一定の範囲内である場合や、就寝時刻の直前に電力が使用されていたと認められる場合(ステップS3:YES)、電源自動遮断装置1は、住人が家屋に在宅していると判定し、第3判定部1Eの機能として、家屋を含む地域内での地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯の時刻であるか否かを判定する。具体的には、電源自動遮断装置1は、地震の発生に関する情報を取得したときの計時時刻データである地震発生時刻データを記憶部1Aから読み出される時間帯データと比較する(ステップS4)。
【0025】
地震発生時刻データが時間帯データの範囲に含まれる場合(ステップS4:YES)、電源自動遮断装置1は、家屋を含む地域内での地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯の時刻であると判定する。そして、家屋を含む地域内で発生した地震の震度が予め定められている震度より大きいと判定し(ステップS2:YES)、住人が家屋に在宅していると判定し(ステップS3:YES)、家屋を含む地域内での地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯の時刻であると判定し(ステップS4:YES)、ステップS2〜S4のYESの判定結果が得られたため、電源自動遮断装置1は、制御部1Bの機能として、分電盤4の電源路を遮断しないで、照明装置3を一定時間点灯可能とする(ステップS5)。電源自動遮断装置1に接続される照明装置3は、制御部1Bから出力される制御信号に応じて点灯又は消灯する仕様の装置であってもよいし、住人の操作に応じて点灯又は消灯する仕様の装置であってもよい。
【0026】
照明装置3を一定時間点灯可能とし、一定時間が経過すると、電源自動遮断装置1は、分電盤4の電源路を遮断する(ステップS6)。
【0027】
尚、家屋を含む地域内で発生した地震の震度が予め定められている震度より大きいと判定した場合(ステップS2:YES)であっても、住人が家屋に在宅していないと判定するか(ステップS3:NO)、家屋を含む地域内での地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯の時刻ではないと判定すると(ステップS4:NO)、電源自動遮断装置1は、照明装置3を点灯可能な状態としないで、分電盤4の電源路を遮断する(ステップS6)。
【0028】
一方、実震度データが基準震度データ以下である場合(ステップS2:NO)、電源自動遮断装置1は、家屋を含む地域内での地震の震度が予め定められている震度以下であると判定し、第1判定部1Cの機能として、住人が家屋に在宅しているか否かを判定する。具体的な判定動作は上記のステップS3と同様であって、電源自動遮断装置1は、現在が平日であると、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データを記憶部1Aから読み出される生活パターンデータAと比較し、現在が休日であると、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データを記憶部1Aから読み出される生活パターンデータBと比較する(ステップS7)。
【0029】
記憶部1Aから読み出される生活パターンデータA,Bの電力消費量が一定以上であると認められる期間(電力が使用されていると推定される期間)において、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データと記憶部1Aから読み出される生活パターンデータA,Bの何れか一方との差が一定の範囲内である場合(ステップS7:YES)、電源自動遮断装置1は、住人が家屋に在宅していると判定し、制御部1Bの機能として、分電盤4の電源路を遮断しないで、照明装置3を常時点灯可能な状態とする(ステップS8,S9)。
【0030】
記憶部1Aから読み出される生活パターンデータA,Bの電力消費量が一定以上であると認められる期間(電力が使用されている推定される期間)において、スマートメータ5で計測される現在の電力消費量データと記憶部1Aから読み出される生活パターンデータA,Bの何れか一方との差が一定の範囲を超えている場合(ステップS7:NO)、電源自動遮断装置1は、住人が家屋に不在であると判定し、制御部1Bの機能として、照明装置3を意図的に点灯可能な状態とするような制御を行うことなく、分電盤4の電源路を接続した状態のままとする(ステップS8)。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る電源自動遮断装置1は、住人が家屋に在宅しているか否かを判定する第1判定部1Cと、地震の発生に関する情報を取得し、家屋を含む地域内で発生した地震の震度が予め定められている震度より大きいか否かを判定する第2判定部1Dと、現在時刻を計時する計時部6と、計時部6の計時時刻から得られる地震の発生時刻が夜として予め定められている時間帯の時刻であるか否かを判定する第3判定部1Eと、住人が家屋に在宅していると第1判定部1Cが判定し、家屋を含む地域内で発生した地震の震度が予め定められている震度より大きいと第2判定部1Dが判定し、家屋を含む地域内での地震の発生時刻が夜として設定される時間帯の時刻であると第3判定部1Eが判定した場合、家屋内の照明装置3を一定時間だけ点灯可能とし、当該一定時間を経過した後に分電盤4の電源を遮断する制御部1Bと、を備える。そして、本実施形態によれば、在宅の有無、地震の規模、地震の発生時間帯を考慮して照明装置3及び分電盤4の電源を無駄なく制御するため、身の安全を守るための避難路を容易に確保しつつ、電気に伴う火災の発生を確実に防止することが可能になる。
【0032】
また、本実施形態に係る電源自動遮断装置1は、スマートメータ5から取得される過去の電力消費量データに基づいて、生活パターンデータA,Bを生成する制御部1Bと、生活パターンデータA,Bを記憶する記憶部1Aと、を有し、第1判定部1Cは、スマートメータから取得される現在の電力消費量の変化を生活パターンデータA,Bと比較し、住人が家屋に在宅しているか否かを判定する。そして、本実施形態によれば、現在の電力消費量データ及び生活パターンデータの比較結果に基づいて、住人の在宅の有無を確実に判定することが可能になる。
【0033】
また、本実施形態に係る電源自動遮断装置1において、生活パターンデータA,Bは、1日の総時間を24で分割した1時間ごとの過去の電力消費量データを累積し、累積後のデータを平均して得られるデータであることとする。
【0034】
また、本実施形態に係る電源自動遮断装置1において、生活パターンデータA,Bは、曜日ごとに用意されるデータであってもよい。現在の電力消費量データを現在の曜日に該当する生活パターンデータA,Bと比較することによって、在宅の有無の判定精度を向上させることが可能になる。
【0035】
また、本実施形態に係る電源自動遮断装置において、地震の発生に関する情報は、地震が発生した直後に知らせる地震の詳細な情報であることとしたが、地震の発生が予測される時刻の直前に知らせる警報であってもよい。
【0036】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、第1判定部1Cは、人感センサの検知結果に基づいて住人が家屋に在宅しているか否かを判定してもよい。