特許第6075454号(P6075454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6075454周囲光センサおよびその調整方法、ならびに電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075454
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】周囲光センサおよびその調整方法、ならびに電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20170130BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20170130BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   G01J1/42 J
   G01J1/02 B
   H01L31/10 G
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-532297(P2015-532297)
(86)(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公表番号】特表2015-534641(P2015-534641A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】CN2014070224
(87)【国際公開番号】WO2014114192
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年3月19日
(31)【優先権主張番号】201310025142.9
(32)【優先日】2013年1月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509296306
【氏名又は名称】▲華▼▲為▼▲終▼端有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】▲パン▼ 磊磊
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−083174(JP,A)
【文献】 特開平3−103727(JP,A)
【文献】 特開昭58−86504(JP,A)
【文献】 特開2007−271626(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/016591(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0313908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00−1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲光センサを調整するための方法であって、
前記周囲光センサによって受信された光の色温度を取得するステップと、
異なる色温度を有する受信された光の下で、前記周囲光センサの出力光強度が一致することを可能にするために、前記色温度に基づいて前記周囲光センサの出力光強度を調整するステップと
を有し、
前記周囲光センサは、可視光および赤外光に対して敏感である第1フォトダイオードと、赤外光に対してのみ敏感である第2フォトダイオードとを有し、
前記周囲光センサによって受信された光の色温度を取得する前記ステップは、
前記周囲光センサによって受信された前記光の光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードが有する前記第1フォトダイオードの光感度曲線と、前記第2フォトダイオードが有する前記第2フォトダイオードの光感度曲線とを取得するステップと、
第1データパラメータCdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードの前記光感度曲線とを積分するとともに、第2データパラメータIrdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第2フォトダイオードの前記光感度曲線とを積分するステップと、
パラメータ比
【数1】
を取得するステップであって、前記パラメータ比
【数2】
は、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記色温度を反映するために使用される、ステップと
を有し、
前記周囲光センサの前記出力光強度は、以下の出力光強度の計算式:
Lux = K × MAX [ ( Cdata − B × Irdata ) , ( C × Cdata − D × Irdata ) , 0 ]
に基づいて取得され、Luxは前記周囲光センサの出力光強度であり、K、B、CおよびDは、前記周囲光センサの前記出力光強度が、人間の目によって知覚される光強度に近くなることを可能にするために使用される係数であり、MAXは最大値を取得するための演算記号であり、
異なる色温度を有する受信された光の下で、前記周囲光センサの出力光強度が一致することを可能にするために、前記色温度に基づいて前記周囲光センサの出力光強度を調整する前記ステップの処理は、
異なるパラメータ比
【数3】
に対して、前記周囲光センサの前記出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数4】
に基づいて、前記出力光強度の計算式におけるKの値を調整するステップ
である、方法。
【請求項2】
異なるパラメータ比
【数5】
に対して、前記周囲光センサの前記出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数6】
に基づいて、前記出力光強度の計算式におけるKの値を調整する前記ステップの処理は、
前記パラメータ比
【数7】
に対して、前記周囲光センサの前記出力光強度が、前記周囲光センサによって受信された前記光の強度と等しくなることを可能にするために、前記異なるパラメータ比
【数8】
に基づいて、前記出力光強度の計算式における前記Kの値を調整するステップ
である、請求項に記載の周囲光センサを調整するための方法。
【請求項3】
周囲光センサであって、
前記周囲光センサによって受信された光の色温度を取得するように構成される取得装置と、
異なる色温度を有する受信された光の下で、前記周囲光センサの出力光強度が一致することを可能にするために、前記取得装置によって取得された前記色温度に基づいて前記周囲光センサの出力光強度を調整するように構成される調整装置と
を有し、
可視光および赤外光に対して敏感である第1フォトダイオードと、赤外光に対してのみ敏感である第2フォトダイオードとをさらに有し、
前記取得装置は、
前記周囲光センサによって受信された前記光の光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードが有する前記第1フォトダイオードの光感度曲線と、前記第2フォトダイオードが有する前記第2フォトダイオードの光感度曲線とを取得するように構成されるサブ取得装置と、
第1データパラメータCdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードの前記光感度曲線とを積分するとともに、第2データパラメータIrdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第2フォトダイオードの前記光感度曲線とを積分するように構成される積分装置と、
パラメータ比
【数9】
を取得するように構成されるパラメータ比計算器であって、前記パラメータ比
【数10】
は、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記色温度を反映するために使用される、パラメータ比計算器と
を有し、
前記出力光強度を計算するように構成される出力光強度計算器であって、出力光強度の計算式は:
Lux = K × MAX [ ( Cdata − B × Irdata ) , ( C × Cdata − D × Irdata ) , 0 ]
であり、Luxは前記周囲光センサの出力光強度であり、K、B、CおよびDは、前記周囲光センサの前記出力光強度が、人間の目によって知覚される光強度に近くなることを可能にするために使用される係数であり、MAXは最大値を取得するための演算記号である、出力光強度計算器をさらに有し、
前記調整装置は、具体的には、異なるパラメータ比
【数11】
に対して、前記周囲光センサの前記出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数12】
に基づいて、前記出力光強度の計算式におけるKの値を調整するように構成される、周囲光センサ。
【請求項4】
前記調整装置は、具体的には、
前記パラメータ比
【数13】
に対して、前記周囲光センサの前記出力光強度が、前記周囲光センサによって受信された前記光の強度と等しくなることを可能にするために、前記異なるパラメータ比
【数14】
に基づいて、前記出力光強度の計算式における前記Kの値を調整するように構成される、
請求項に記載の周囲光センサ。
【請求項5】
表示機器と、前記表示機器に接続される表示の明るさを調整する機器と、請求項3または4に記載の前記周囲光センサとを有する電子機器であって、前記周囲光センサは、前記表示の明るさを調整する機器に接続される、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ技術の分野に関し、より詳細には、周囲光センサおよびその調整方法、ならびに電子製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子製品のユーザエクスペリエンスの度合いはますます改善されている。例えば、携帯電話は異なる光源環境において使用される。携帯電話における周囲光センサは、外部光源の明るさを検出することができ、携帯電話は、外部光源の明るさに基づいて携帯電話のディスプレイの明るさを自動的に調整する。具体的には、外部の周囲光の明るさが比較的低いとき、携帯電話のディスプレイの明るさは低下し、その結果、ユーザは目まいを感じず、電力消費量が低減される。外部の周囲光の明るさが比較的高いとき、ユーザが画面を明確に見ることができないという現象を回避するために、携帯電話のディスプレイの明るさは高くなる。従って、周囲光センサの使用は、ユーザエクスペリエンスの度合いを改善するとともに、携帯電話の電力消費量を低減する。
【0003】
しかしながら、既存の周囲光センサの出力光強度は、異なる色温度を有する周囲光の下では一貫性がなく、例えば、デイライト(daylight)色、クールホワイト(coolwhite)色、ホライズン(horizon)色は、色温度が高い値から低い値に及ぶ3種類の典型的な光源である。図1に示されるように、異なる色温度を有する3種類の周囲光の下では、周囲光センサの出力光強度の曲線の傾きは異なる。従って、ある特定の光源の下のみにおける光強度は、比較的正確に検出されることができ、異なる色温度の下で周囲光の強度の検出が実行される場合は、逸脱が生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は周囲光センサおよびその調整方法、ならびに電子製品を提供し、異なる色温度を有する周囲光の下で周囲光センサの出力光強度が一致することを可能にし、それによって、異なる色温度を有する周囲光の強度が検出されるときに、出力光強度の逸脱を回避することができる。
【0005】
前述の技術的な問題を解決するために、本発明は以下の技術的解決手段を使用する。
【0006】
1つの態様に基づくと、周囲光センサを調整するための方法が提供され、前記方法は、
前記周囲光センサによって受信された光の色温度を取得するステップと、
前記周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、色温度に基づいて前記周囲光センサの出力光強度を調整するステップと
を有する。
【0007】
さらに、前記周囲光センサは、可視光および赤外光に対して敏感である第1フォトダイオードと、赤外光に対してのみ敏感である第2フォトダイオードとを有し、
前記周囲光センサによって受信された光の色温度を取得する前記ステップは、
前記周囲光センサによって受信された前記光の光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードの光感度曲線と、前記第2フォトダイオードの光感度曲線とを取得するステップと、
第1データパラメータCdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードの前記光感度曲線とを積分するとともに、第2データパラメータIrdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第2フォトダイオードの前記光感度曲線とを積分するステップと、
パラメータ比
【数15】
を取得するステップであって、前記パラメータ比
【数16】
は、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記色温度を反映するために使用される、ステップと
を有し、前記周囲光センサの前記出力光強度は、以下の出力光強度の計算式:
Lux = K × MAX [ ( Cdata − B × Irdata ) , ( C × Cdata − D × Irdata ) , 0 ]
に基づいて取得され、Luxは前記周囲光センサの出力光強度であり、K、B、CおよびDは、前記周囲光センサの前記出力光強度が、人間の目によって知覚される光強度に近くなることを可能にするために使用される係数であり、MAXは最大値を取得するための演算記号であり、
前記周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、色温度に基づいて前記周囲光センサの出力光強度を調整する前記ステップの処理は、
パラメータ比
【数17】
が異なる場合に、前記周囲光センサの前記出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数18】
に基づいて、前記出力光強度の計算式におけるKの値を調整するステップ
である。
【0008】
さらに、パラメータ比
【数5】
が異なる場合に、前記周囲光センサの前記出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数6】
に基づいて、前記出力光強度の計算式におけるKの値を調整する前記ステップの処理は、
前記パラメータ比
【数7】
が異なる場合に、前記周囲光センサの前記出力光強度が、前記周囲光センサによって受信された前記光の強度と等しくなることを可能にするために、前記異なるパラメータ比
【数8】
に基づいて、前記出力光強度の計算式における前記Kの値を調整するステップ
である。
【0009】
他の態様に基づくと、周囲光センサが提供され、前記周囲光センサは、
前記周囲光センサによって受信された光の色温度を取得するように構成される取得装置と、
前記周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、前記取得装置によって取得された色温度に基づいて前記周囲光センサの出力光強度を調整するように構成される調整装置と
を有する。
【0010】
さらに、前記周囲光センサは、可視光および赤外光に対して敏感である第1フォトダイオードと、赤外光に対してのみ敏感である第2フォトダイオードとをさらに有し、
前記取得装置は、
前記周囲光センサによって受信された前記光の光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードの光感度曲線と、前記第2フォトダイオードの光感度曲線とを取得するように構成されるサブ取得装置と、
第1データパラメータCdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第1フォトダイオードの前記光感度曲線との積分を可能にするとともに、第2データパラメータIrdataを取得するために、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記光スペクトル曲線と、前記第2フォトダイオードの前記光感度曲線との積分を可能にするように構成される積分装置と、
パラメータ比
【数19】
を取得するように構成されるパラメータ比計算器であって、前記パラメータ比
【数20】
は、前記周囲光センサによって受信された前記光の前記色温度を反映するために使用される、パラメータ比計算器と
を有する。
【0011】
さらに、前記周囲光センサは、前記出力光強度を計算するように構成される出力光強度計算器であって、出力光強度の計算式は:
Lux = K × MAX [ ( Cdata − B × Irdata ) , ( C × Cdata − D × Irdata ) , 0 ]
であり、Luxは前記周囲光センサの出力光強度であり、K、B、CおよびDは、前記周囲光センサの前記出力光強度が、人間の目によって知覚される光強度に近くなることを可能にするために使用される係数であり、MAXは最大値を取得するための演算記号である、出力光強度計算器をさらに有し、
前記調整装置は、具体的には、パラメータ比
【数11】
が異なる場合に、前記周囲光センサの前記出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数12】
に基づいて、前記出力光強度の計算式におけるKの値を調整するように構成される。
【0012】
さらに、前記調整装置は、具体的には、
前記パラメータ比
【数13】
が異なる場合に、前記周囲光センサの前記出力光強度が、前記周囲光センサによって受信された前記光の強度と等しくなることを可能にするために、前記異なるパラメータ比
【数14】
に基づいて、前記出力光強度の計算式における前記Kの値を調整するように構成される。
【0013】
他の態様に基づくと、電子製品が提供され、前記電子製品は、表示機器と、前記表示機器に接続される表示の明るさを調整する機器と、前述の周囲光センサとを有し、前記周囲光センサは、前記表示の明るさを調整する機器に接続される。
【0014】
本発明によって提供される周囲光センサおよびその調整方法、ならびに電子製品に基づくと、周囲光センサの出力光強度は、周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、異なる色温度を有する受信された光に基づいて調整され、それによって、周囲光センサが異なる色温度を有する周囲光の強度を検出するときに生じる出力光強度の逸脱を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施形態または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施形態または従来技術を説明するために必要とされる添付図面を、簡潔に説明する。明らかに、以下の説明における添付図面は、単に本発明のいくつかの実施形態を示すとともに、当業者は、創造的努力なしにこれらの添付図面から他の図面をさらに導出することができる。
【0016】
図1図1は、従来技術における、異なる色温度を有する周囲光の下での周囲光センサの出力光強度曲線である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る周囲光センサを調整するための方法のフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施形態に係る周囲光センサを調整するための他の方法のフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態に係る第1フォトダイオードおよび第2フォトダイオードの光感度曲線である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る、Kの値が調整される前と、Kの値が調整された後の周囲光センサの出力光強度曲線である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る周囲光センサの構成ブロック図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る他の周囲光センサの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施形態における添付図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決手段を、明確且つ十分に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく、単に一部である。当業者によって、創造的努力なしに本発明の実施形態に基づいて得られる全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲に包含されるべきである。
【0018】
図2に示されるように、本発明の実施形態は、周囲光センサを調整するための方法を提供し、前記方法は、以下のステップを有する。
【0019】
ステップ101:周囲光センサによって受信された光の色温度を取得する。
【0020】
ステップ102:異なる色温度を有する受信されたの下で周囲光センサの出力光強度が一致することを可能にするために、前記色温度に基づいて周囲光センサの出力光強度を調整する。
【0021】
具体的には、周囲光センサの出力光強度は、式の計算によって取得され、前記式は、出力光強度が、受信された光の強度に正比例することを反映することができる。従って、異なる係数を式に追加することで、出力光強度と受信された光の強度の比例関係を変更することができ、その結果、周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに出力光強度の一貫性を実現するために、出力光強度は、受信された光の異なる色温度に基づいて調整されることができる。
【0022】
本発明の本実施形態における周囲光センサを調整するための方法に基づくと、周囲光センサの出力光強度は、周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、異なる色温度を有する受信された光に基づいて調整され、それによって、周囲光センサが異なる色温度を有する周囲光の強度を検出するときに生じる出力光強度の逸脱を回避することができる。
【0023】
さらに、前述の周囲光センサは、具体的には、可視光および赤外光に対して敏感である第1フォトダイオードと、赤外光に対してのみ敏感である第2フォトダイオードとを有する。
【0024】
図3に示されるように、前述のステップ101における、周囲光センサによって受信された光の色温度を取得するステップは、具体的には、以下のステップを有する。
【0025】
ステップ1011:周囲光センサによって受信された光の光スペクトル曲線と、第1フォトダイオードの光感度曲線と、第2フォトダイオードの光感度曲線とを取得する。
【0026】
具体的には、フォトダイオード自体の特性に基づくと、フォトダイオードは異なる光感度曲線を有する。例えば、図4に示されるように、Ch0とCh1はそれぞれ、第1フォトダイオードと第2フォトダイオードの光感度曲線である。Ch0上では、第1フォトダイオードは、300-700nmの波長を有する可視光および700-1100nmの波長を有する赤外光の範囲内で比較的敏感であるが、Ch1上では、第2フォトダイオードは、目に見えない赤外光の範囲内でのみ比較的敏感であることが見てとれる。ここで、2つの曲線Ch0およびCh1は、例として使用されるだけであり、Ch0が第1フォトダイオードは可視光と赤外光の両方に対して敏感であることを反映するとともに、Ch1が第2フォトダイオードは赤外光に対してのみ敏感であることを反映する限り、周囲光センサにおけるフォトダイオードの実際の特性に基づいて、Ch0およびCh1は他の形状であってもよい。
【0027】
ステップ1012:第1データパラメータCdataを取得するために、周囲光センサによって受信された光の光スペクトル曲線と、第1フォトダイオードの光感度曲線とを積分するとともに、第2データパラメータIrdataを取得するために、周囲光センサによって受信された光の光スペクトル曲線と、第2フォトダイオードの光感度曲線とを積分する。
【0028】
ステップ1013:パラメータ比
【数15】
を取得し、パラメータ比
【数16】
は、周囲光センサによって受信された光の色温度を反映するために使用される。
【0029】
例えば、本発明の本実施形態では、2300Kの色温度を有するホライズン光のパラメータ比は、
【数15】
であり、6900Kの色温度を有するデイライトのパラメータ比は、
【数16】
であり、4200Kの色温度を有するクールホワイトのパラメータ比は、
【数17】
である。
【0030】
具体的には、周囲光センサの出力光強度は、以下の出力光強度の計算式:
Lux = K × MAX [ ( Cdata − B × Irdata ) , ( C × Cdata − D × Irdata ) , 0 ]
に基づいて取得され、Luxは周囲光センサの出力光強度であり、K、B、CおよびDは、周囲光センサの出力光強度が、人間の目によって知覚される光強度に近くなることを可能にするために使用される係数であり、MAXは最大値を取得するための演算記号である。出力光強度の計算式は、出力光強度が受信された光の強度に正比例することを反映することができ、従って、異なる係数を出力光強度の計算式に追加することで、出力光強度と受信された光の強度の比例関係を変更することができ、Kの値を調整することは、出力光強度の計算式に異なる係数を追加することに相当する。
【0031】
前述のステップ102における、異なる色温度を有する受信されたの下で周囲光センサの出力光強度が一致することを可能にするために、色温度に基づいて周囲光センサの出力光強度を調整するステップの処理は、具体的には、
異なるパラメータ比
【数18】
に対して、周囲光センサの出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数19】
に基づいて、出力光強度の計算式におけるKの値を調整すること
である。
【0032】
例えば、パラメータ比が
【数20】
であり、K’が
【数21】
に調整され、K’は、調整後の出力光強度の計算式における係数である場合、Kの値の調整は、係数
【数22】
を出力光強度の計算式に追加することに相当する。パラメータ比が
【数23】
である場合、K’は
【数24】
に調整される。パラメータ比が
【数25】
である場合、K’は
【数26】
に調整される。図5に示されるように、Kの値が調整される前は、異なる色温度を有する3種類の周囲光の下で、周囲光センサの出力光強度曲線は異なる傾きを有する。Kの値が調整された後、周囲光センサの出力光強度曲線の傾きは同じであり、すなわち、周囲光センサの出力光強度は、一致する。
【0033】
好ましくは、異なるパラメータ比
【数27】
に対して、周囲光センサの出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数28】
に基づいて、出力光強度の計算式におけるKの値を調整するステップの処理は、具体的には、前記パラメータ比
【数29】
に対して、周囲光センサの出力光強度が、周囲光センサによって受信された光の強度と等しくなることを可能にするために、異なるパラメータ比
【数30】
に基づいて、出力光強度の計算式におけるKの値を調整することである。
【0034】
具体的には、例えば、図5に示されるように、異なる色温度を有する3種類の周囲光の下で、破線は、Kの値が調整される前の、周囲光センサの出力光強度曲線であるとともに、実線は、Kの値が調整された後の、周囲光センサの出力光強度曲線である。Kの値が調整された後、異なる色温度を有する3種類の周囲光の下で、周囲光センサの出力光強度曲線の傾きは、全て1である。
【0035】
また、Kの値が調整された後、異なる色温度を有する3種類の周囲光の下で、周囲光センサの出力光強度曲線の傾きが、全て1.2または0.8または別の数値であるように設定されてもよいことは確かである。周囲光センサの出力光強度は、傾きが同じである限りは一致することが可能である。しかしながら、周囲光センサの出力光強度は、傾きが1であるとき、実際の周囲光の強度を最もよく反映することができる、周囲光センサによって受信された光の強度と同じである。それによって、周囲光センサによって検出された明るさが、人間の目によって知覚される明るさと一致することを可能にする。
【0036】
フォトダイオードは周囲光センサにおける光の明るさを検出するための要素であり、フォトダイオードは赤外光に対して非常に敏感であるとともに、赤外光は可視光内にあるため、人間の目の明るさの知覚を正確にシミュレートすることは不可能であることは留意されるべきである。従って、本発明の本実施形態における周囲光センサは、可視光および赤外光に対して敏感である第1フォトダイオードと、赤外光に対してのみ敏感である第2フォトダイオードとを有し、人間の目の実際の明るさの知覚をシミュレートするために、赤外光の干渉を最小まで低減するために、後者の応答値は前者の応答値から最終的に減算される。周囲光センサはまた、フォトダイオードを1つだけ有してもよく、赤外光の干渉は、赤外線カットオフ膜または別の処理方法を使用することによって低減されることは理解できる。フォトダイオードが1つだけ存在する場合は、周囲光センサの出力光強度の計算式は異なってもよいが、依然として、出力光強度は係数を追加する方法によって調整されることができる。さらに、本発明の本実施形態は、異なる色温度、すなわち、一例として、ホライズン光と、デイライトと、クールホワイトとを有する3種類の周囲光に対して実行される出力光強度の調整を使用することによってのみ説明され、必要に応じて、周囲光の色温度に対してより詳細な分割またはより広範囲の分割がまた行われてもよい。
【0037】
本発明の本実施形態における周囲光センサを調整するための方法に基づくと、周囲光センサの出力光強度は、周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、異なる色温度を有する受信された光に基づいて調整され、それによって、周囲光センサが異なる色温度を有する周囲光の強度を検出するときに生じる出力光強度の逸脱を回避することができる。
【0038】
図6に示されるように、本発明の実施形態はさらに、周囲光センサを提供し、前記周囲光センサは、
周囲光センサによって受信された光の色温度を取得するように構成される取得装置1と
なる色温度を有する受信されたの下で前記周囲光センサの出力光強度が一致することを可能にするために、取得装置によって取得された前記色温度に基づいて周囲光センサの出力光強度を調整するように構成される調整装置2と
を有する。
【0039】
具体的には、周囲光センサを調整するための方法および原理は、前述の実施形態における方法および原理と同じであり、ここでは繰り返し詳細は説明されない。
【0040】
本発明の本実施形態における周囲光センサに基づくと、周囲光センサの出力光強度は、周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、異なる色温度を有する受信された光に基づいて調整され、それによって、周囲光センサが異なる色温度を有する周囲光の強度を検出するときに生じる出力光強度の逸脱を回避することができる。
【0041】
さらに、図7に示されるように、前述の周囲光センサは、
可視光および赤外光に対して敏感である第1フォトダイオードD1と、赤外光に対してのみ敏感である第2フォトダイオードD2とをさらに有し、
取得装置1は、
周囲光センサによって受信された光の光スペクトル曲線と、第1フォトダイオード4の光感度曲線と、第2フォトダイオード5の光感度曲線とを取得するように構成されるサブ取得装置11と、
第1データパラメータCdataを取得するために、周囲光センサによって受信された光の光スペクトル曲線と、第1フォトダイオード4の光感度曲線とを積分するとともに、第2データパラメータIrdataを取得するために、周囲光センサによって受信された光の光スペクトル曲線と、第2フォトダイオード5の光感度曲線とを積分するように構成される積分装置12と、
パラメータ比
【数21】
を取得するように構成されるパラメータ比計算器13であって、前記パラメータ比
【数22】
は、周囲光センサによって受信された光の色温度を反映するために使用される、パラメータ比計算器13と
を有する。
【0042】
さらに、前述の周囲光センサは、
前述の出力光強度を計算するように構成される出力光強度計算器3であって、出力光強度の計算式は:
Lux = K × MAX [ ( Cdata − B × Irdata ) , ( C × Cdata − D × Irdata ) , 0 ]
であり、Luxは周囲光センサの出力光強度であり、K、B、CおよびDは、周囲光センサの出力光強度が、人間の目によって知覚される光強度に近くなることを可能にするために使用される係数であり、MAXは最大値を取得するための演算記号である、出力光強度計算器3をさらに有し、
調整装置2は、具体的には、異なるパラメータ比
【数33】
に対して、周囲光センサの出力光強度Luxが一致することを可能にするために、異なるパラメータ比
【数34】
に基づいて、出力光強度の計算式におけるKの値を調整するように構成される。
【0043】
さらに、調整装置2は、具体的には、
前記パラメータ比
【数35】
に対して、周囲光センサの出力光強度が、周囲光センサによって受信された光の強度と等しくなることを可能にするために、異なるパラメータ比
【数36】
に基づいて、出力光強度の計算式におけるKの値を調整するように構成される。
【0044】
具体的には、周囲光センサを調整するための方法及び原理は、前述の実施形態における方法および原理と同じであり、ここでは繰り返し詳細は説明されない。
【0045】
本発明の本実施形態における周囲光センサに基づくと、周囲光センサの出力光強度は、周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、異なる色温度を有する受信された光に基づいて調整され、それによって、周囲光センサが異なる色温度を有する周囲光の強度を検出するときに生じる出力光強度の逸脱を回避することができる。
【0046】
本発明の実施形態はさらに電子製品を提供し、前記電子製品は、表示機器と、表示機器に接続される表示の明るさを調整する機器と、前述の周囲光センサとを有し、周囲光センサは、表示の明るさを調整する機器に接続され、表示の明るさを調整する機器は、周囲光センサの出力光強度に基づいて、表示機器の明るさを調整するように構成される。具体的には、周囲光センサの出力光強度が比較的低いとき、すなわち、周囲光の強度が比較的低いとき、表示機器の明るさは低下し、その結果、ユーザは目まいを感じず、電力消費量が低減される。周囲光センサの出力光強度が比較的高いとき、すなわち、周囲光の強度が比較的高いとき、表示機器の明るさは高くなり、ユーザが画面を明確に見ることができないという現象を回避する。周囲光センサの具体的な構造および調整方法は、前述の実施形態における構造および調整方法と同じであり、ここでは繰り返し詳細は説明されない。
【0047】
前述の電子製品は、携帯電話、MP4、タブレットコンピュータまたは別のポータブル電子装置であってもよいことは留意されるべきである。前述の周囲光センサは、別々に機能するセンサであってもよいとともに、また、スリー・イン・ワン光センサ内に統合されてもよい。例えば、周囲光センサを有することに加えて、携帯電話内のスリー・イン・ワン光センサはまた、赤外線LEDおよび光学式近接センサに統合され、赤外線LEDは近接光を発するように構成され、光学式近接センサは携帯電話が顔に近づいたときに、顔によって反射された近接光を受信するように構成され、それによって、電力消費量を低減するためにスクリーンを閉じる。
【0048】
本発明の本実施形態における電子製品に基づくと、周囲光センサの出力光強度は、周囲光センサが異なる色温度を有する光を受信したときに、出力光強度が一致することを可能にするために、異なる色温度を有する受信された光に基づいて調整され、それによって、周囲光センサが異なる色温度を有する周囲光の強度を検出するときに生じる出力光強度の逸脱を回避することができる。
【0049】
実施方式の前述の説明に基づいて、当業者は、本発明は必要な汎用ハードウェアに加えてソフトウェアによって、またはハードウェアのみによって実施されてもよいことを明らかに理解することができる。ほとんどの状況では、前者が好ましい実施方式である。そのような理解に基づいて、本発明の技術的解決手段は、本質的に、または従来技術に対して貢献する部分は、ソフトウェア製品の形態で実施されてもよい。ソフトウェア製品は、コンピュータのフロッピー(登録商標)ディスクや、ハードディスクや、または光ディスクのような、可読記憶媒体内に格納されるとともに、本発明の実施形態で説明された方法を実行するために、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバまたはネットワーク装置であってもよい)に命令するためのいくつかの命令を有する。
【0050】
前述の説明は、単に、本発明の具体的な実施方式であって、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明において開示された技術範囲内の、当業者によって容易に考えられるいかなる変更または置換も、本発明の保護範囲に包含されるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。
【符号の説明】
【0051】
1 取得装置
2 調整装置
3 出力光強度計算器
4 第1フォトダイオード
5 第2フォトダイオード
11 サブ取得装置
12 積分装置
13 パラメータ比計算器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7