【文献】
中川 貴浩 他,”ドライブトレイン試験用操作計測システム TYPE−i”,明電時報,株式会社明電舎,2015年10月26日,349号,22〜25頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設定装置は、前記スケジュール連動パラメータが組み込まれないスケジュールデータに対してパラメータ初期値を定義し、該パラメータ初期値を前記自動運転装置に与え、
前記自動運転装置は、前記データベースから読み込んだスケジュール連動パラメータに前記パラメータ初期値を設定する請求項1に記載の車両の自動運転システム。
前記設定される基本パラメータは、エンジンの冷却水温の冷間領域と温間領域の境界温度を規定したエンジン冷却水温の閾値と、前記冷間領域では大、温間領域では小となるアクセル減量と、前記温間領域の駆動力特性とは異なる冷間領域の駆動力特性に応じて規定した車速追従制御のフィードバックゲインとを含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル減量に応じた操作量でアクセルを操作させる機能と、前記設定された車速追従制御のフィードバックゲインに基づいて算出された車速に追従させる機能と、を備えた請求項1又は2に記載の車両の自動運転システム。
前記設定されるスケジュール連動パラメータは、アクセルによる車速追従性を規定するアクセル応答時間と、ブレーキによる車速追従性を規定するPI制御におけるブレーキPゲインとを含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル応答時間でアクセルを操作する機能と、前記設定されたブレーキPゲインで決まる操作性でブレーキを操作する機能と、を備えた請求項1又は2に記載の車両の自動運転システム。
前記設定されるスケジュール連動パラメータは、車速追従制御時に、運転パターンの基準モードから所定速度、所定時間ずれた範囲内で走行させるための、アクセルからブレーキへ切換える許容車速偏差を規定するアクセル→ブレーキ切換車速偏差と、アクセルからブレーキへ切換える許容時間偏差を規定するアクセル→ブレーキ切換時間偏差と、ブレーキからアクセルへ切換える許容車速偏差を規定するブレーキ→アクセル切換車速偏差と、ブレーキからアクセルへ切換える許容時間偏差を規定するブレーキ→アクセル切換時間偏差と、を含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル→ブレーキ切換車速偏差、アクセル→ブレーキ切換時間偏差、ブレーキ→アクセル切換車速偏差、およびブレーキ→アクセル切換時間偏差に基づいて、アクセルからブレーキへの切換え、ブレーキからアクセルへの切換えを行わせる機能を備えた請求項1又は2に記載の車両の自動運転システム。
前記設定されるスケジュール連動パラメータは、運転目標車速に基づくフィードフォワード制御系と、車速検出値および運転目標車速の偏差に基づくフィードバック制御系の両方の動作でアクセルを制御するアクセル制御に移行したときに、前記フィードバック制御系の動作を遅らせるフィードバック制御動作遅延時間を含み、
前記制御装置は、車速追従制御時に前記アクセル制御に移行したとき、前記設定されたフィードバック制御動作遅延時間フィードバック制御系の動作を遅延させる機能を備えた請求項1又は2に記載の車両の自動運転システム。
前記設定されるスケジュール連動パラメータは、アクセルによる車速追従制御時に、車速検出が車速指令より大となった場合にアクセルの戻しを強化させるアクセル戻し強化係数aを含み、
前記制御装置は、車速偏差(車速検出−車速指令)をxとしたときのy=a・x2+1(x≧0)で定義されるフィードバック制御におけるPゲインに対する係数yに応じて、アクセルを操作する機能を備えた請求項1又は2に記載の車両の自動運転システム。
前記設定されるスケジュール連動パラメータは、自動変速機車両におけるブレーキを使用した減速から加速に移行するパターンにおいて、アクセルオン時のシフトダウンに伴って減速しきる時点から遡る時間であるアクセル先行時間と、アクセルオン時のアクセル開度を含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル先行時間に該当する時刻においてブレーキを強制解除するとともに、前記設定されたアクセル開度でアクセルをオンさせる機能を備えた請求項1又は2に記載の車両の自動運転システム。
前記設定されるスケジュール連動パラメータは、無段変速機車両におけるゆるい加速から強い加速に移行するパターンにおいて、アクセルの踏み増し時刻を決定するための車速検出および基準車速の偏差である再加速時の車速偏差と、前記アクセルの踏み増し時のアクセル加算量と、前記アクセル加算量を徐々に大とするアクセル加算変化率と、を含み、
前記制御装置は、前記ゆるい加速から強い加速に移行するパターンにおいて、前記設定された再加速時の車速偏差となる時刻に、前記設定されたアクセル加算変化率に沿ってアクセル加算量となるようにアクセルを踏み増す機能を備えた請求項1又は2に記載の車両の自動運転システム。
前記設定装置は、前記運転パターン、基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータの設定、変更、確認の各操作を行わせるための画面を表示する表示部を備えている請求項1ないし12のいずれか1項に記載の車両の自動運転システム。
シャシーダイナモメータ上の車両を自動運転するための運転パターンおよび制御パラメータを設定する設定装置と、前記車両の自動運転を実行する自動運転装置と、前記車両における自動運転の制御対象を制御する制御装置と、を備えたシステムにおける車両の自動運転方法であって、
前記設定装置が、時刻に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義するか、又は距離に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義した運転パターンの設定、車両の自動運転を制御するための基本パラメータの設定および前記運転パターンが示すスケジュールデータの各ステップ毎に組み込むスケジュール連動パラメータの設定を各々受付ける段階と、
前記設定装置が、前記受付けた運転パターンおよびスケジュール連動パラメータをデータベースに設定し、前記受付けた基本パラメータを前記制御装置に設定する段階と、
前記自動運転装置が、前記データベースから運転パターンおよびスケジュール連動パラメータを読み込む段階と、
前記自動運転装置が、前記読み込んだ運転パターンに基づく目標値を前記制御装置に与え、前記読み込んだスケジュール連動パラメータを制御装置に設定する段階と、
前記制御装置が、前記与えられた目標値と設定された基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータに基づいて前記制御対象を制御する段階と、
を備えた車両の自動運転方法。
前記設定装置が、前記スケジュール連動パラメータが組み込まれないスケジュールデータに対してパラメータ初期値を定義し、該パラメータ初期値を前記自動運転装置に与える段階と、
前記自動運転装置が、前記データベースから読み込んだスケジュール連動パラメータに前記パラメータ初期値を設定する段階と、
を備えた請求項14に記載の車両の自動運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の自動運転システムでは、自動運転の制御パラメータは、運転パターンデータとは関係なく、制御装置へ設定を行っており、設定後は運転中に常に同じ値が反映されていた。このため、例えば完成車両の試験でJC08モード等の排ガスモード運転を行う場合、モードの特定箇所(運転時間)で速度追従性が悪かったりした場合でも、他の箇所(運転時間)の走行パターンに影響を与えないようにパラメータを変更することができなかった。
【0011】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、運転パターンと連動した制御パラメータを用い、そのパラメータによって特定のタイミングだけに有効となる制御を行うことができる車両の自動運転システムおよび自動運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の車両の自動運転システムは、シャシーダイナモメータ上の車両を自動運転する車両の自動運転システムであって、
前記車両の自動運転を実行する自動運転装置と、
前記車両における自動運転の制御対象を制御する制御装置と、
時刻に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義するか、又は距離に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義した運転パターンの設定、車両の自動運転を制御するための基本パラメータの設定および前記運転パターンが示すスケジュールデータの各ステップ毎に組み込むスケジュール連動パラメータの設定を各々受付けて、運転パターンおよびスケジュール連動パラメータをデータベースに設定し、基本パラメータを前記制御装置に設定する設定装置と、を備え、
前記自動運転装置は、前記データベースから運転パターンおよびスケジュール連動パラメータを読み込み、運転パターンに基づく目標値を前記制御装置に与え、前記スケジュール連動パラメータを制御装置に設定し、
前記制御装置は、前記与えられた目標値と設定された基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータに基づいて前記制御対象を制御することを特徴とする。
【0013】
また、請求項14に記載の車両の自動運転方法は、シャシーダイナモメータ上の車両を自動運転するための運転パターンおよび制御パラメータを設定する設定装置と、前記車両の自動運転を実行する自動運転装置と、前記車両における自動運転の制御対象を制御する制御装置と、を備えたシステムにおける車両の自動運転方法であって、
前記設定装置が、時刻に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義するか、又は距離に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義した運転パターンの設定、車両の自動運転を制御するための基本パラメータの設定および前記運転パターンが示すスケジュールデータの各ステップ毎に組み込むスケジュール連動パラメータの設定を各々受付ける段階と、
前記設定装置が、前記受付けた運転パターンおよびスケジュール連動パラメータをデータベースに設定し、前記受付けた基本パラメータを前記制御装置に設定する段階と、
前記自動運転装置が、前記データベースから運転パターンおよびスケジュール連動パラメータを読み込む段階と、
前記自動運転装置が、前記読み込んだ運転パターンに基づく目標値を前記制御装置に与え、前記読み込んだスケジュール連動パラメータを制御装置に設定する段階と、
前記制御装置が、前記与えられた目標値と設定された基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータに基づいて前記制御対象を制御する段階と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、運転パターンに制御パラメータ(スケジュール連動パラメータ)を組み込むことにより、運転時の特定のタイミングだけに有効なパラメータ値を設定し、そのパラメータ値に基づいて制御対象を制御することができるので、設定したパラメータ値が他のタイミングに影響を与えることなく自動運転を行うことができる。
【0015】
また、請求項2に記載の車両の自動運転システムは、請求項1において、前記設定装置は、前記スケジュール連動パラメータが組み込まれないスケジュールデータに対してパラメータ初期値を定義し、該パラメータ初期値を前記自動運転装置に与え、
前記自動運転装置は、前記データベースから読み込んだスケジュール連動パラメータに前記パラメータ初期値を設定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項15に記載の車両の自動運転方法は、請求項14において、前記設定装置が、前記スケジュール連動パラメータが組み込まれないスケジュールデータに対してパラメータ初期値を定義し、該パラメータ初期値を前記自動運転装置に与える段階と、
前記自動運転装置が、前記データベースから読み込んだスケジュール連動パラメータに前記パラメータ初期値を設定する段階と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、パラメータ初期値を設けることにより、例えば異なる試験対象にとってパラメータ値の設定が不要な場合は、運転パターンに制御パラメータ(スケジュール連動パラメータ)を設定しなくてもよいので、パラメータ設定の省力化が図られる。
【0018】
また、請求項3に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定される基本パラメータは、停止時ブレーキストロークとブレーキの減速度を含み、
前記制御装置は、前記設定された停止時ブレーキストロークの操作量でブレーキを操作させる機能と、指定した開度にアクセルの開度を追従させる開度制御実施時において、ブレーキをオンし前記設定されたブレーキの減速度で減速させる機能とを備えたことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、所望のブレーキ操作量で停止させることができ、また、アクセルの開度制御実施時に所望の目標車速で減速させることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定される基本パラメータは、アクセル、ブレーキの敏捷又は緩慢操作のレベルを決定する滑らか操作レベルを含み、
前記制御装置は、前記設定された滑らか操作レベルに応じてアクセル、ブレーキの敏捷又は緩慢操作を実行させる機能を備えたことを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、所望の滑らか操作レベルでアクセル、ブレーキの敏捷又は緩慢操作を行うことができる。
【0022】
また、請求項5に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定される基本パラメータは、発進時に先行してブレーキをオフさせるための発進先行時間と、制御系の遅れ要素を見込んだ車速指令先行時間を含み、
前記制御装置は、発進時に、前記設定された発進先行時間先行してブレーキをオフさせる機能と、前記設定された車速指令先行時間先読みした車速指令に基づいてアクセルを操作させる機能と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、発進先行時間を設定することにより遅れのない発進を実現することができ、また、車速指令先行時間を設定することにより遅れのない車速制御を実現することができる。
【0024】
また、請求項6に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定される基本パラメータは、エンジンの冷却水温の冷間領域と温間領域の境界温度を規定したエンジン冷却水温の閾値と、前記冷間領域では大、温間領域では小となるアクセル減量と、前記温間領域の駆動力特性とは異なる冷間領域の駆動力特性に応じて規定した車速追従制御のフィードバックゲインとを含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル減量に応じた操作量でアクセルを操作させる機能と、前記設定された車速追従制御のフィードバックゲインに基づいて算出された車速に追従させる機能と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、アクセル減量の設定により、エンジン冷却水温の閾値より低い冷間時にアクセル操作量を減じて、冷間時のアイドルアップによる駆動力増加を抑制することができる。
【0026】
また、温間領域の駆動力特性とは異なる冷間領域の駆動力特性に応じて規定した車速追従制御のフィードバックゲインを設定することにより、冷間時の駆動力特性に合った車速制御を行うことができる。
【0027】
また、請求項7に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定されるスケジュール連動パラメータは、アクセルによる車速追従性を規定するアクセル応答時間と、ブレーキによる車速追従性を規定するPI制御におけるブレーキPゲインとを含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル応答時間でアクセルを操作する機能と、前記設定されたブレーキPゲインで決まる操作性でブレーキを操作する機能と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、所望の車速追従性と所望のアクセル、ブレーキの操作性を実現することができる。
【0029】
また、請求項8に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定されるスケジュール連動パラメータは、車速追従制御時に、運転パターンの基準モードから所定速度、所定時間ずれた範囲内で走行させるための、アクセルからブレーキへ切換える許容車速偏差を規定するアクセル→ブレーキ切換車速偏差と、アクセルからブレーキへ切換える許容時間偏差を規定するアクセル→ブレーキ切換時間偏差と、ブレーキからアクセルへ切換える許容車速偏差を規定するブレーキ→アクセル切換車速偏差と、ブレーキからアクセルへ切換える許容時間偏差を規定するブレーキ→アクセル切換時間偏差と、を含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル→ブレーキ切換車速偏差、アクセル→ブレーキ切換時間偏差、ブレーキ→アクセル切換車速偏差、およびブレーキ→アクセル切換時間偏差に基づいて、アクセルからブレーキへの切換え、ブレーキからアクセルへの切換えを行わせる機能を備えたことを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、運転パターンの基準モードに忠実に沿った走行を実現することができ、また、アクセルからブレーキへ、ブレーキからアクセルへの切換え頻度を少なくすることができる。
【0031】
また、請求項9に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定されるスケジュール連動パラメータは、運転目標車速に基づくフィードフォワード制御系と、車速検出値および運転目標車速の偏差に基づくフィードバック制御系の両方の動作でアクセルを制御するアクセル制御に移行したときに、前記フィードバック制御系の動作を遅らせるフィードバック制御動作遅延時間を含み、
前記制御装置は、車速追従制御時に前記アクセル制御に移行したとき、前記設定されたフィードバック制御動作遅延時間フィードバック制御系の動作を遅延させる機能を備えたことを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、発進の際や、ブレーキからアクセルへ切換えた際に、アクセルが過敏に動作してしまうことを抑制できる。
【0033】
また、請求項10に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定されるスケジュール連動パラメータは、アクセルによる車速追従制御時に、車速検出が車速指令より大となった場合にアクセルの戻しを強化させるアクセル戻し強化係数aを含み、
前記制御装置は、車速偏差(車速検出−車速指令)をxとしたときのy=a・x
2+1(x≧0)で定義されるフィードバック制御におけるPゲインに対する係数yに応じて、アクセルを操作する機能を備えたことを特徴とする。
【0034】
上記構成によれば、車速偏差xが大きいほど係数yが大きくなるため、アクセルの戻しを強くして車速を下げることができる。このため、アクセルの戻しに対して車速の下がりが少ない無段変速機車両(CVT車)に効果が期待できる。
【0035】
また、請求項11に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定されるスケジュール連動パラメータは、自動変速機車両におけるブレーキを使用した減速から加速に移行するパターンにおいて、アクセルオン時のシフトダウンに伴って減速しきる時点から遡る時間であるアクセル先行時間と、アクセルオン時のアクセル開度を含み、
前記制御装置は、前記設定されたアクセル先行時間に該当する時刻においてブレーキを強制解除するとともに、前記設定されたアクセル開度でアクセルをオンさせる機能を備えたことを特徴とする。
【0036】
上記構成によれば、自動変速機車両(AT車)におけるブレーキを使用した減速から加速に移行するパターンにおいて、速やかな加速を実現することができる。
【0037】
また、請求項12に記載の車両の自動運転システムは、請求項1又は2において、前記設定されるスケジュール連動パラメータは、無段変速機車両におけるゆるい加速から強い加速に移行するパターンにおいて、アクセルの踏み増し時刻を決定するための車速検出および基準車速の偏差である再加速時の車速偏差と、前記アクセルの踏み増し時のアクセル加算量と、前記アクセル加算量を徐々に大とするアクセル加算変化率と、を含み、
前記制御装置は、前記ゆるい加速から強い加速に移行するパターンにおいて、前記設定された再加速時の車速偏差となる時刻に、前記設定されたアクセル加算変化率に沿ってアクセル加算量となるようにアクセルを踏み増す機能を備えたことを特徴とする。
【0038】
上記構成によれば、再加速時の車速偏差およびアクセル加算量の設定により、加速に追従しにくい無段変速機車両において車速追従性を向上させることができる。
【0039】
また、アクセル加算変化率の設定により、アクセルの踏み増し時にキックダウンすることがない。
【0040】
また、請求項13に記載の車両の自動運転システムは、請求項1ないし12のいずれか1項において、前記設定装置は、前記運転パターン、基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータの設定、変更、確認の各操作を行わせるための画面を表示する表示部を備えていることを特徴とする。
【0041】
上記構成によれば、運転パターン、基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータの設定、変更、確認の各操作をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0042】
(1)請求項1〜15に記載の発明によれば、運転パターンに制御パラメータ(スケジュール連動パラメータ)を組み込むことにより、運転時の特定のタイミングだけに有効なパラメータ値を設定し、そのパラメータ値に基づいて制御対象を制御することができるので、設定したパラメータ値が他のタイミングに影響を与えることなく自動運転を行うことができる。
(2)請求項2、15に記載の発明によれば、パラメータ初期値を設けることにより、異なる試験対象にとってパラメータ値の設定が不要な場合に、運転パターンに制御パラメータ(スケジュール連動パラメータ)を設定しなくてもよいので、パラメータ設定の省力化が図られる。
(3)請求項3に記載の発明によれば、所望のブレーキ操作量で停止させることができ、また、アクセルの開度制御実施時に所望の目標車速で減速させることができる。
(4)請求項4に記載の発明によれば、所望の滑らか操作レベルでアクセル、ブレーキの敏捷又は緩慢操作を行うことができる。
(5)請求項5に記載の発明によれば、発進先行時間を設定することにより遅れのない発進を実現することができ、また、車速指令先行時間を設定することにより遅れのない車速制御を実現することができる。
(6)請求項6に記載の発明によれば、アクセル減量の設定により、エンジン冷却水温のしきい値より低い冷間時にアクセル操作量を減じて、冷間時のアイドルアップによる駆動力増加を抑制することができる。
【0043】
また、温間領域の駆動力特性とは異なる冷間領域の駆動力特性に応じて規定した車速追従制御のフィードバックゲインを設定することにより、冷間時の駆動力特性に合った車速制御を行うことができる。
(7)請求項7に記載の発明によれば、所望の車速追従性と所望のアクセル、ブレーキの操作性を実現することができる。
(8)請求項8に記載の発明によれば、運転パターンの基準モードに忠実に沿った走行を実現することができ、また、アクセルからブレーキへ、ブレーキからアクセルへの切換え頻度を少なくすることができる。
(9)請求項9に記載の発明によれば、発進の際や、ブレーキからアクセルへ切換えた際に、アクセルが過敏に動作してしまうことを抑制できる。
(10)請求項10に記載の発明によれば、車速偏差xが大きいほど係数yが大きくなるため、アクセルの戻しを強くして車速を下げることができる。このため、アクセルの戻しに対して車速の下がりが少ない無段変速機車両(CVT車)に効果が期待できる。
(11)請求項11に記載の発明によれば、自動変速機車両(AT車)におけるブレーキを使用した減速から加速に移行するパターンにおいて、速やかな加速を実現することができる。
(12)請求項12に記載の発明によれば、再加速時の車速偏差およびアクセル加算量の設定により、加速に追従しにくい無段変速機車両において車速追従性を向上させることができる。
【0044】
また、アクセル加算変化率の設定により、アクセルの踏み増し時にキックダウンすることがない。
(13)請求項13に記載の発明によれば、運転パターン、基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータの設定、変更、確認の各操作をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
図1は本発明の実施例1による車両の自動運転システムを示し、111は、例えばロボット制御用のコンピュータで構成された設定装置である。
【0047】
この設定装置111は、時刻に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義するか、又は距離に対する車速かスロットル開度の関係を各ステップ毎に定義した運転パターンの設定、車両の自動運転を制御するための基本パラメータの設定および前記運転パターンが示すスケジュールデータの各ステップ毎に組み込むスケジュール連動パラメータの設定を、コンピュータの表示画面(表示部)によって各々受付けて、運転パターンおよびスケジュール連動パラメータをデータベース112に設定し、基本パラメータを制御装置113に設定する。また設定装置111は、車両の自動運転を実行する自動運転装置114に運転指示を出力する。
【0048】
この自動運転装置114は、前記データベース112から運転パターンおよびスケジュール連動パラメータを読み込み、運転パターンに基づく瞬時目標値を前記制御装置113に与え、前記スケジュール連動パラメータを制御装置113に設定する。
【0049】
制御装置113は、設定装置111により設定された基本パラメータと、自動運転装置114により設定されたスケジュール連動パラメータおよび与えられた瞬時目標値とに基づいて、シャシーダイナモメータ上に搭載された試験用の車両(図示省略)における制御対象(アクセル、ブレーキ、クラッチ操作用のアクチュエータ等)105を制御する。
【0050】
この制御対象105の制御は、車両の運転室に搭載された図示省略のドライブロボットにより行われるものであり、制御装置113からはドライブロボットに対する制御信号が出力されるものである。
【0051】
尚、
図1ではシャシーダイナモメータ、試験用の車両、ドライブロボット等は図示省略している。
【0052】
前記制御装置113および自動運転装置114は例えばコンピュータで構成され、通常のコンピュータのハードウェアリソース、例えばROM、RAM、CPU、入力装置、出力装置、通信インターフェース、ハードディスク、記録媒体およびその駆動装置を備えている。
【0053】
このハードウェアリソースとソフトウェアリソース(OS、アプリケーションなど)との協働の結果、制御装置113および自動運転装置114は、後述の各処理を実行する機能部を実装する。
【0054】
ここで、本明細書で使用する主要語句の定義を述べる。
【0055】
エンジン制御パラメータ…ドライブロボットの動作を調整する場合に変更可能なパラメータ。
【0056】
スケジュール…JC08モードなどの規格パターンや、独自に作成したパターンデータである。
【0057】
AVR(車速制御)…自動/手動運転時に、アクセルもしくはブレーキペダルを操作し、指定した車速に追従する制御モード。
【0058】
AQR(開度制御)…自動/手動運転時に、アクセルペダルを操作し、指定した開度(スロットル開度)に追従する制御モード。
【0059】
発進時アクセル開度…MT車(手動変速機車両)における発進時に踏み込むアクセル開度(スロットル開度)。
【0060】
温間…エンジン冷却水温が、後述する基本パラメータの「温間判断のEG冷却水温の閾値[℃]」の設定値を超えた状態を示す。
【0061】
冷間…エンジン冷却水温が、後述する基本パラメータの「温間判断のEG冷却水温の閾値[℃]」の設定値以下の状態を示す。
【0062】
図1のシステムでは、種々の制御パラメータを調整することによって、速度制御における追従性を改善したり、MT車における変速時のシフト動作、クラッチ動作等を調整することができ、制御パラメータは車両データ毎に設定することができる。
【0063】
図1のシステムが取り扱う制御パラメータは、大きく分けて次の種類がある。
【0064】
(1)エンジン制御パラメータ
(2)変速タイミング
(3)変速テーブル
(4)クラッチ関数
(5)シフト関数
(6)エンジン自動始動
前記エンジン制御パラメータのうち、基本パラメータは設定装置111から制御装置113に直接設定されるものであり、以下のパラメータが用いられる。
【0065】
(1)停止時ブレーキストローク[%]
(2)ブレーキの減速度[G]
(3)滑らか操作レベル
(4)車速指令先行時間[s]
(5)AVR積分時定数の補正係数
(6)発進先行時間[s]
(7)温間判断のEG冷却水温の閾値[℃]
(8)冷間から温間への遷移温度差[℃]
(9)冷間時のアクセル減量[%]
(10)冷間時のAVR−FBのPゲイン係数
(11)発進先行時間(冷間時)[s]
また、前記エンジン制御パラメータのうちスケジュール連動パラメータは、運転パターンと連動して、自動運転装置114から制御装置113に設定されるものであり、事前にスケジュールデータの各ステップ毎にパラメータを組み込んでおくことで、特定のタイミングで制御パラメータの値を変更することができる。
【0066】
スケジュール連動パラメータとしては、次の表1に示すパラメータが用いられる。尚、表1において、ACはアクセル、BRはブレーキ、FBはフィードバックを各々示している。
【0068】
また、本発明の実施例2では、前記運転パターンに組み込む表1のスケジュール連動パラメータ((1)〜(20))の初期値を設定するように構成した。
図2は実施例2による車両の自動運転システムを示し、
図1と同一部分は同一符号を持って示している。
【0069】
図2において、設定装置121は
図1の設定装置111と同様の機能を有し、さらに、前記スケジュール連動パラメータが組み込まれない(パラメータの設定が不要である)スケジュールデータに対してパラメータ初期値を定義し、該パラメータ初期値を自動運転装置124に与える機能を有している。
【0070】
データベース122は、
図1のデータベース112と同様に運転パターンおよびスケジュール連動パラメータが設定、格納されるが、スケジュール連動パラメータは必要最小限のパラメータのみとなる(設定装置121において制御パラメータが組み込まれないデータがあるので)。
【0071】
自動運転装置124は、
図1の自動運転装置114と同様の機能を有し、さらに、データベース122から読み込んだスケジュール連動パラメータに、設定装置121から与えられたパラメータ初期値を設定して制御装置123に送る機能を有している。
【0072】
制御装置123は
図1の制御装置113と同様に、設定装置121から設定された基本パラメータ、自動運転装置124から与えられた瞬時目標値、自動運転装置124から設定されたスケジュール連動パラメータ(運転パターン(スケジュール)に組み込まれていないパラメータについてはパラメータ初期値)に基づいて制御対象105を制御する。
【0073】
上記のように
図2の実施例2では、
図1の実施例1の構成に対して、パラメータ初期値を設定できる機能を追加したので、例えば異なる試験対象にとって設定が不要な場合は、運転パターンに制御パラメータを設定しなくてもよくなり、設定の省力化が図られる。
【0074】
次に、上記のように構成された車両の自動運転システムの動作を説明する。
【0075】
最初に、
図1、
図2の設定装置111、121で行われるエンジン制御パラメータの設定、変更、確認の各操作の例を説明する。尚、以下の説明では、各操作に応じて表示部(ディスプレイ)に表示される表示画面は主要画面のみを図示した。
【0076】
まず、表示部(ディスプレイ)に車両データ画面を表示させた後「エンジン制御パラメータ」ボタンをクリックして、
図3のようなエンジン制御パラメータ画面を表示する。
【0077】
図3の左側の基本パラメータは、前述した基本パラメータの(1)停止時ブレーキストローク[%]〜(11)発進先行時間(冷間時)[s]を全て表示しているが、右側のスケジュール連動パラメータは、表1の(1)アクセル応答時間〜(12)減速→加速時のAC開度のみを表示している。
【0078】
図3の画面において、パラメータを設定、変更したい項目の値を設定しOKボタンをクリックすれば、データを保存することができる。
【0079】
基本パラメータは車両毎に設定可能なパラメータであり、運転の基本機能を設定する。基本パラメータはスケジュール運転中にも変更することができ、変更したパラメータは車両データに反映される。
【0080】
このスケジュール運転中のパラメータ変更の手順は、スケジュールモニタ画面を表示した後パラメータ設定ウィンドウを表示させ、パラメータ値を変更し適用ボタンをクリックするものである。
【0081】
また、スケジュール連動パラメータは、スケジュールデータのステップ毎に変更可能なパラメータであり、スケジュール運転中の特定のポイント・区間において変更したいときに、予めスケジュールデータに設定しておく。スケジュールデータに設定しない項目は、
図3のエンジン制御パラメータの右側の「スケジュール連動パラメータ初期値」で定義されている値が適用される。尚、スケジュール連動パラメータはスケジュール運転中は変更することができない。
【0082】
また、スケジュールのステップ毎にパラメータを変更したい場合は、まず運転スケジュール選択ボタンをクリックしてスケジュール一覧を表示し、編集したいスケジュールデータを選択してスケジュール編集画面を表示させる。そしてスケジュール編集画面中の設定ウィンドウの「選択入力制御対象」のタブに切換えると
図4のような画面が表示される。
【0083】
この
図4の左側の「制御項目一覧」から、変更したいパラメータを選択し、中央側の「追加≫」ボタンをクリックすることで、
図5のように制御項目が追加される。
【0084】
図5では、右側の「選択済み項目」に、表1の(1)の「CTL_ACCEL_RESPONSE_TIME アクセル応答時間」が追加されている。
【0085】
その後
図5の右下の「OK」ボタンをクリックした後、モード編集ウィンドウに切換えて、前記
図5のように追加されたパラメータについて、ステップ毎に値を設定する。この設定が完了したら「OK」ボタンをクリックすることで、エラーチェック後に
図6のようなスケジュール編集画面に戻る。
【0086】
以上のように設定装置111、121の表示部は、各種パラメータの設定、変更、確認の各操作を行わせるための画面を表示するので、各操作がスムーズに行われる。
【0087】
次に、前記各エンジン制御パラメータの設定によりどのような制御がなされるかについて詳細に説明する。
【0088】
<基本パラメータ>
(1)停止時ブレーキストローク[%]
停止時のブレーキストロークを、ブレーキペダルのゼロ・スパン間に対する百分率で設定する。例えばAT車で、車速指令が「0」時で停止しない場合は、この数値を大きく設定する。尚、停止以外の減速時のブレーキ操作量は最大100%まで動作する。
【0089】
このパラメータに基づく制御によれば、設定した所望のブレーキ操作量で停止制御がなされる。
【0090】
(2)ブレーキの減速度[G]
ブレーキオンのときの減速させる目標車速を設定するものであり、加速度の単位[G]で設定を行う。これは、アクセル開度制御(AQR)実施時のみ有効となる。
【0091】
このパラメータに基づく制御によれば、AQR実施時に所望の目標車速で減速させることができる。
【0092】
(3)滑らか操作レベル
アクセルとブレーキの操作の敏捷/緩慢のレベルを設定する。数値は基準車速に対する移動平均時間で、「0」で無効(基準車速と等価)、例えば「4」で最大の滑らか操作となる。
【0093】
時間のみのステップが所定時間継続、例えば7秒継続した後、この滑らか操作が機能し、これ以外の場合は「0」として動作する(基準車速での動作となる)。
【0094】
尚、前記「時間のみのステップが所定時間継続」の「所定時間」とは、当該滑らか操作機能を開始することができる時間に相当し、先行して当該機能を実施する時間に、基準車速に対する移動平均時間を加算した時間で決定される。
【0095】
また、この滑らか操作機能はAVR時のみに有効となる。このパラメータに基づく制御によれば、所望の滑らか操作レベルでアクセル、ブレーキの敏捷又は緩慢操作がなされる。
【0096】
(4)車速指令先行時間[s]
車速指令を先読みし、アクセルの操作を早めて動作させるパラメータであり、適切な値とすることで、加速から一定速移行時のオーバーシュートを縮減できる。但し、過度に大きい値とすると、早めに減らしたアクセル操作を補うためにアクセルを踏み増す場合がある。
【0097】
このパラメータの場合も前記(3)と同様に時間だけのステップが所定時間継続した後機能し、これ以外の場合「0」として動作する(先読みによるアクセルの早め操作は無し)。このパラメータ(4)の設定はAVR時のみ有効である。
【0098】
このように車速指令先行時間を設定することにより、遅れのない車速制御が実現される。
【0099】
(5)AVR積分時定数の補正係数
車速制御におけるPI制御器の積分時定数を補正する係数である。PI制御器のPゲイン(比例ゲイン)と積分時定数は、[アクセル応答時間[s]]と車重、駆動力特性から自動的に算出するものであるが、このパラメータにより応答波形の調整が行える。
【0100】
すなわちアクセル応答波形を示す
図7において、小さい値を設定すると追従誤差を積極的に縮減しようとするが、振動的な車速追従応答になり、これに伴いアクセル操作も振動的になる。
【0101】
また、大きな値を設定すると、追従誤差は縮減しにくくなるが、車速追従応答がより非振動的になる。このパラメータ(5)は百分率で指定し、AVR時のみ有効となる。
【0102】
(6)発進先行時間[s]
発進において、ここで指定した時間を先行してブレーキを離し、加えて、MT車ではアクセルを発進時アクセル開度まで踏み込む制御を行わせる。このパラメータの場合も前記(3)と同様に時間だけのステップが所定時間継続した後機能し、これ以外の場合「0」として動作する(ブレーキ、アクセルの先行操作はしない)。このパラメータ(6)の設定はAVR時のみ有効である。
【0103】
このように発進先行時間を設定することにより遅れのない発進が実現される。
【0104】
(7)温間判断のEG冷却水温の閾値[℃]
EG(エンジン)の冷却水温の冷間領域と温間領域の境界温度を規定したパラメータであり、冷却水温に応じたアクセル操作を行う基準値となる。このパラメータで設定された温度以上では、エンジンは温間とし、温間時の制御を行う。
【0105】
ここで、エンジンの冷却水温や冷間、温間に関連するパラメータを
図8とともに説明する。
図8は、制御装置113、123に設けられた、検出したエンジンの冷却水温に応じてアクセル操作量を求める制御部のブロック図の一例を示している。
【0106】
図8において、201は、エンジンの冷却水温(Tcw)に対して図示特性の冷間時のアクセル減量θcが設定されたアクセル減量設定器、202は、エンジンの冷却水温に対して図示特性の冷間時のAVR−FB(フィードバック)のPゲイン係数Kが設定されたPゲイン係数設定器である。
【0107】
203は、基準車速vrと検出車速vの偏差にPゲイン係数設定器202のPゲイン係数Kを乗算してアクセル量を出力するアクセルAVR制御器であり、該アクセル量は減算器204において、アクセル減量設定器201で設定されたアクセル減量θcが差し引かれてアクセル操作量が求められる。
【0108】
基本パラメータ(7)の温間判断のEG冷却水温の閾値は、
図8中のT1であり、T2は冷間領域での冷却水温である。またT1−T2は、後述する基本パラメータ(8)の冷間から温間への遷移温度差[℃]を示し、θcは後述する基本パラメータ(9)の冷間時のアクセル減量を示し、Kは後述する基本パラメータ(10)の冷間時のAVR−FBのPゲイン係数を示している。このパラメータ(7)はAVR時のみ有効である。
【0109】
(8)冷間から温間への遷移温度差[℃]
このパラメータは完全に冷間から「(7)」で設定された温度に至るまでの移行区間を指定するものであり、例えば
図8におけるT1−T2に相当する。このパラメータ(8)はAVR時のみ有効となる。
【0110】
(9)冷間時のアクセル減量[%]
このパラメータは、前記「(7)」で設定された温度以下(冷間領域)において、アクセル操作量を減じるものであり、例えば
図8における冷間領域では大、温間領域では小となるθcに相当する。このパラメータを設定することにより、冷間時にアクセル操作量を減じて、冷間時のアイドルアップによる駆動力増加を抑制することができる。このパラメータ(9)はAVR時のみ有効となる。
【0111】
(10)冷間時のAVR−FBのPゲイン係数
このパラメータは、前記「(7)」で設定された温度以下における車速制御のフィードバック(FB)ゲインを設定するものであり、たとえば
図8のKのように温間時を「1」とした比率で設定する。車速制御のフィードバックではPI制御器を使用しており、Pゲインと積分時定数は、[アクセル応答時間[s]]と車重、駆動力特性から自動的に算出しているが、駆動力特性が温間時のものとなり、冷間時のものと異なる。したがって、このパラメータ(10)によって、冷間時の特性、例えば
図8のPゲイン係数設定器202の特性に合うように係数Kを設定すればよい。
【0112】
このパラメータ(10)は前記パラメータ(7)で設定された温度(T1)以下のAVR時のみ有効となる。
【0113】
このように、温間領域の駆動力特性とは異なる冷間領域の駆動力特性に応じて規定した車速追従制御のフィードバックゲインを設定することにより、冷間時の駆動力特性に合った車速制御が実行される。
【0114】
(11)発進先行時間(冷間時)[s]
発進において、ここで指定された時間を先行してブレーキを離し、加えて、MT車ではアクセルを発進時アクセル開度まで踏み込む制御を行わせる。このパラメータ(11)の場合も前記(3)と同様に時間だけのステップが所定時間継続した後機能し、これ以外の場合「0」として動作する(発進時のブレーキ、アクセルの先行操作はしない)。このパラメータ(11)の設定は前記パラメータ(7)で設定された温度(T1)以下のAVR時のみ有効である。
【0115】
<スケジュール連動パラメータ>
(1)アクセル応答時間
このパラメータはアクセルによる車速追従制御のフィードバック制御部分の応答性を時間で設定するものであり、時間は例えば
図9の車速特性図に示すように、ステップ応答における63%応答時間とする。
【0116】
本設定を小さくすると、アクセル動作が機敏になって車速追従性が向上し、小さくしすぎるとアクセル動作がハンチングするようになる。また、本設定を大きくすると、アクセル動作が緩慢になって車速追従性が低下するが、車両の挙動は緩やかになる。このパラメータ(1)の設定はAVR時のみ有効である。
【0117】
このようにアクセル応答時間を設定することにより、所望の車速追従性とアクセル操作性を実現することができる。
【0118】
(2)ブレーキPゲイン
このパラメータはブレーキによる車速追従制御の応答性を設定するものであり、本設定を大きくすると、ブレーキ動作が機敏になって車速追従性が向上し、大きくしすぎると、ブレーキ動作がハンチングするようになる。また、本設定を小さくすると、ブレーキ操作が緩慢になって車速追従性が低下するが、車両の挙動は緩やかになる。このようにブレーキPゲインを設定することにより、所望の車速追従性とブレーキ操作性を実現することができる。
【0119】
(3)AC→BR切換車速偏差
このパラメータは運転パターンの基準モードから所定速度、所定時間ずれた範囲内で走行させるように車速追従制御を行うときの、アクセルからブレーキへ踏み換える閾値を算出するパラメータの1つであり、アクセルからブレーキへ切換える許容車速偏差を、AC→BR切換車速偏差として設定するものである。
【0120】
(4)AC→BR切換時間偏差
このパラメータは運転パターンの基準モードから所定速度、所定時間ずれた範囲内で走行させるように車速追従制御を行うときの、アクセルからブレーキへ踏み換える閾値を算出するパラメータの1つであり、アクセルからブレーキへ切換える許容時間偏差を、AC→BR切換時間偏差として設定するものである。
【0121】
例えば、JC08モードの上限/下限許容線の許容幅(値)は、±2.0km/hで指定される許容車速偏差と±1.0秒で指定される許容時間偏差で定義され、基準モードの加速および減速による傾斜に応じてその値は変化する。
【0122】
そこで、前記スケジュール連動パラメータ(3)、(4)について、本実施形態例では、前記許容車速偏差を
図10のAC→BR切換車速偏差(パラメータ(3))として設定し、前記許容時間偏差を
図10のAC→BR切換時間偏差(パラメータ(4))として設定し、これら設定値と運転目標車速の傾斜とから、アクセルからブレーキへ踏み換える閾値(アクセルからブレーキへの切換ポイント)を求めて、走行制御するように構成した。
【0123】
図10は、アクセルからブレーキへの切換ポイントを求める様子を表しており、図中の運転目標車速(基準モード)は、基準車速に対し、折線部分(車速が折線状に推移する部分)を滑らかにしたり、運転パターンのかさ上げ等の加工を行った車速制御器への参照入力であり、基準車速そのものを使用する場合もある。
【0124】
図10において、運転目標車速上の任意時刻の点を切換え判定の基準点Aとし、判定基準点Aから時間軸方向にAC→BR切換時間偏差Δt
-1を設定し、車速軸方向にAC→BR切換車速偏差Δv
-1を設定する。
【0125】
そして、判定基準点Aにおける車速を差分法等で近似微分して基準モードの傾斜を算出し、その傾斜に、前記設定したAC→BR切換時間偏差Δt
-1を乗じて車速偏差Δvt
-1を算出する。
【0126】
次に、前記設定したAC→BR切換車速偏差Δv
-1と前記算出された車速偏差Δvt
-1とを合算してアクセルからブレーキへ切換えるための車速偏差(AEの長さ)とする。
【0127】
E点が、ある時刻におけるアクセルからブレーキへの切換え判定点となる。そして、各時刻で算出した切換え判定点Eを接続する(結ぶ)ことでアクセルからブレーキへの切換え線(一点鎖線)となる。
【0128】
実際の試験走行では、判定基準点Aの時刻で太実線で示す車速検出(値)がアクセルからブレーキへの切換え線を上回った際に、アクセルからブレーキに切換える。
【0129】
このように、スケジュール連動パラメータ(3)、(4)を設定することにより、運転パターンの基準モードに忠実に沿った走行を実現することができる。また、特に急加減速が含まれるモードの場合、この値を適切に設定することでアクセルからブレーキへの切換えを縮減することができる(切換え頻度を少なくできる)。
【0130】
(5)AC→BR踏換時間
このパラメータはアクセルからブレーキへの踏み換え待ち時間に相当する。車速追従性を要求される場合は「0」を、人の操作のように踏換え時間を想定する場合は適切な値を設定する。このパラメータの設定はAVR時のみ有効である。
【0131】
(6)BR→AC切換車速偏差
このパラメータは運転パターンの基準モードから所定速度、所定時間ずれた範囲内で走行させるように車速追従制御を行うときの、ブレーキからアクセルへ踏み換える閾値を算出するパラメータの1つであり、ブレーキからアクセルへ切換える許容車速偏差を、BR→AC切換車速偏差として設定するものである。
【0132】
(7)BR→AC切換時間偏差
このパラメータは運転パターンの基準モードから所定速度、所定時間ずれた範囲内で走行させるように車速追従制御を行うときの、ブレーキからアクセルへ踏み換える閾値を算出するパラメータの1つであり、ブレーキからアクセルへ切換える許容時間偏差を、BR→AC切換時間偏差として設定するものである。
【0133】
例えば、JC08モードの上限/下限許容線の許容幅(値)は、±2.0km/hで指定される許容車速偏差と±1.0秒で指定される許容時間偏差で定義され、基準モードの加速および減速による傾斜に応じてその値は変化する。
【0134】
そこで、前記スケジュール連動パラメータ(6)、(7)について、本実施形態例では、前記許容車速偏差を
図11のBR→AC切換車速偏差(パラメータ(6))として設定し、前記許容時間偏差を
図11のBR→AC切換時間偏差(パラメータ(7))として設定し、これら設定値と運転目標車速の傾斜とから、ブレーキからアクセルへ踏み換える閾値(ブレーキからアクセルへの切換ポイント)を求めて、走行制御するように構成した。
【0135】
図11は、ブレーキからアクセルへの切換ポイントを求める様子を表しており、図中の運転目標車速(基準モード)は、基準車速に対し、折線部分(車速が折線状に推移する部分)を滑らかにしたり、運転パターンのかさ上げ等の加工を行った車速制御器への参照入力であり、基準車速そのものを使用する場合もある。
【0136】
図11において、運転目標車速上の任意時刻の点を切換え判定の基準点Aとし、判定基準点Aから時間軸方向にBR→AC切換時間偏差Δt
-2を設定し、車速軸方向にBR→AC切換車速偏差Δv
-2を設定する。
【0137】
そして、判定基準点Aにおける車速を差分法等で近似微分して基準モードの傾斜を算出し、その傾斜に、前記設定したBR→AC切換時間偏差Δt
-2を乗じて車速偏差Δvt
-2を算出する。
【0138】
次に、前記設定したBR→AC切換車速偏差Δv
-2と前記算出された車速偏差Δvt
-2とを合算してブレーキからアクセルへ切換えるための車速偏差(AEの長さ)とする。
【0139】
E点が、ある時刻におけるブレーキからアクセルへの切換え判定点となる。そして、各時刻で算出した切換え判定点Eを接続する(結ぶ)ことでブレーキからアクセルへの切換え線(一点鎖線)となる。
【0140】
実際の試験走行では、判定基準点Aの時刻で太実線で示す車速検出(値)がブレーキからアクセルへの切換え線を下回った際に、ブレーキからアクセルに切換える。
【0141】
このように、スケジュール連動パラメータ(6)、(7)を設定することにより、運転パターンの基準モードに忠実に沿った走行を実現することができる。また、特に急加減速が含まれるモードの場合、この値を適切に設定することでブレーキからアクセルへの切換えを縮減することができる(切換え頻度を少なくできる)。
【0142】
(8)BR→AC踏換時間
このパラメータはブレーキからアクセルへの踏み換え待ち時間に相当する。車速追従性を要求される場合は「0」を、人の操作のように踏換え時間を想定する場合は適切な値を設定する。このパラメータの設定はAVR時のみ有効である。
【0143】
(9)アクセルオン時のFB遅延動作
このパラメータは、運転目標車速に基づくフィードフォワード制御系と、車速検出値および運転目標車速の偏差に基づくフィードバック制御系の両方の動作でアクセルを制御するアクセル制御に移行した際に、前記フィードバック制御系の動作を遅らせるフィードバック制御動作遅延時間であり、指定(設定)した時間フィードフォワード制御系のみ動作させる。
【0144】
すなわち、本実施形態例の制御装置113、123には、例えば
図12に示すようなフィードバック制御系を遅らせる制御ブロックが構成されている。
図12において、301は運転目標車速に対してフィードフォワード制御を施すアクセルAVRFF制御器であり、302は車速検出が運転目標となるようフィードバック制御を施すアクセルAVRFB制御器である。
【0145】
303は、「アクセルオン時のFB遅延動作」パラメータで指定されたフィードバック制御動作遅延時間だけオン出力を遅延させるタイマーであり、アクセル制御に移行した際、タイマー時間(フィードバック制御動作遅延時間)経過後に、自身のオン出力により切換えスイッチ304をオン制御する。
【0146】
このように、遅延後に切換えスイッチ304がオンとなることにより、アクセルAVRFF制御器301とアクセルAVRFB制御器302の出力が加算器305で加算されたアクセル量でアクセルが制御される。
【0147】
図12の構成によれば、例えば台形パターンで、発進の際や、ブレーキからアクセルへ切換えた際、アクセルワークが過敏に動作してしまう場合に、この設定を適切に行うことで、アクセルワークを抑えることができる。
【0148】
(10)アクセル戻し強化係数
アクセルによるAVR時、「車速検出>車速指令」となった場合にアクセルの戻しを積極的に行わせるパラメータである。アクセルの戻しに対し車速の下がり方が少ないAT(CVT)車に効果が期待できる。
【0149】
このパラメータは、フィードバック制御のP項に乗ずる2次関数の2次項に対する係数となるものであり、車速偏差(車速検出−車速指令)xと、アクセル戻し強化係数aと、y=a・x
2+1(x≧0)で定義されるフィードバック制御におけるPゲインに対する係数yの関係は、例えば
図13のように示される。
【0150】
図13は、アクセル戻し強化係数aが0.1のときの係数yの特性を示している。
【0151】
前記係数yを定義している数式からわかるように、アクセル戻し強化係数a=0の場合、y=1となってフィードバック制御は線形動作となる。また、アクセル戻し強化係数aの値が大きいほど車速偏差xが大きい時にyが大となってアクセルの戻しが強くなる。この係数aを大きく設定しすぎると、アクセルワークが振動的に動作する。このアクセル戻し強化係数aの設定はAVR時のみ有効である。
【0152】
(11)減速→加速時のAC先行時間
(12)減速→加速時のAC開度
これらスケジュール連動パラメータ(11)、(12)は、AT車におけるブレーキを使用した減速から加速に移行するパターンにおいて、アクセルオン時のシフトダウンに伴う減速を考慮し、減速しきる前にアクセルを踏み込み、シフトダウンに伴って減速した後の加速を速やかに行うためのパラメータである。
【0153】
これらパラメータ(11)、(12)を、
図14の基準車速、ブレーキストローク、アクセルストロークのタイミングチャートとともに説明する。
【0154】
図14において、減速→加速時のAC先行時間は、減速しきる時点すなわち基準車速が極小値となる時刻から遡る時間である。
【0155】
この遡った時刻において、ブレーキを強制解除するとともに、減速→加速時のAC開度が示すアクセル量でアクセルをオンさせる。
【0156】
このスケジュール連動パラメータ(11)、(12)は、前記基本パラメータ(3)の場合と同様に、時間のみのステップが所定時間継続した後機能し、これ以外の場合は「0」として動作する(AC先行時間、AC開度は無し)。
【0157】
このようにスケジュール連動パラメータ(11、(12)を設定することにより、AT車によるブレーキを使用した減速から加速に移行するパターンにおいて、速やかな加速を実現することができる。
【0158】
(13)再加速時の車速偏差
(14)再加速時のAC加算
(15)再加速時のAC加算変化率
これらスケジュール連動パラメータ(13)、(14)、(15)は、ゆるい加速から強い加速に移行するパターンにおいて、CVT車特有の、加速に追従しにくい特性を、設定した加算両でアクセルを踏み増すことで、車速追従性を向上させるものであり、各パラメータを、車速およびアクセル加算量のタイミングチャートを示す
図15とともに説明する。
【0159】
図15において、車速とエンジン回転数からCVTのシフトアップを検知し、シフトアップが検知されたことを条件にアクセルの踏み増し(加算)を行うものであるが、このアクセルの踏み増しのトリガとなる(アクセルの踏み増し開始時刻を決定する)車速検出と基準車速の偏差を、(13)再加速時の車速偏差で設定する。
【0160】
アクセルの踏み増しが行われるアクセル加算区間では、(14)再加速時のAC加算(アクセル踏み増し時のアクセル加算量)で設定されたアクセル加算量となるよう制御されるが、アクセルの踏み増しにおいて、キックダウンしないように時間をかけて徐々に踏み込む(アクセル加算量を徐々に大とする)期間を設け、その期間における(15)再加速時のAC加算変化率を1秒当たりのアクセル変化量で設定する。
【0161】
このように、スケジュール連動パラメータ(13)、(14)、(15)を設定することにより、加速に追従しにくいCVT車において車速追従性を向上させることができる。
【0162】
(16)車速偏差
このパラメータは基準車速に対してかさ上げする車速指令を設定するものであり、運転パターンで特定のステップで車速指令に追いつかない場合に、追従させるために用いる。
【0163】
このスケジュール連動パラメータ(16)は、前記基本パラメータ(3)の場合と同様に、時間のみのステップが所定時間継続した後機能し、これ以外の場合は「0」として動作する。このパラメータはAVR時のみ有効となる。
【0164】
(17)アクセル補正量
このパラメータは、車速制御器で算出されるアクセル操作量に対してかさ上げするアクセル量を設定するものであり、運転パターンで特定のステップで車速指令に追いつかない場合に、追従させるために用いる。このパラメータはAVR時のみ有効となる。
【0165】
(18)アクセル全閉
このパラメータは、運転パターンの指定した区間において強制的にアクセルをOFFするものであり、AVR時のみ有効となる。
【0166】
(19)アクセル全閉(過速度時)
このパラメータは、運転パターンの指定した区間において、車速検出>車速指令となった場合に、強制的にアクセルを全閉にするものであり、AVR時のみ有効となる。
【0167】
(20)ブレーキ強制OFF
このパラメータは、運転パターンの指定した区間において、強制的にブレーキをOFFするものであり、AVR時のみ有効となる。
【0168】
次に、上記エンジン制御パラメータ以外の制御パラメータについて説明する。
【0169】
<変速タイミング>
ここでは、表示部にて
図16のような変速タイミング設定画面を表示しMT車におけるシフトとクラッチタイミングに関する設定を行う。変速確認時間t1〜t5の定義は以下のとおりである。
【0170】
(1)アクセル閉→クラッチ断 t1:アクセル閉からクラッチ操作開始
までの時間[s]
(2)クラッチ断→変速開始 t2:クラッチ断からセレクト操作開始
までの時間[s]
(3)シフト中立確認時間 t3:シフト中立位置ホールド時間[s]
(4)セレクト一致→変速開始 t4:セレクト一致からシフト開始
までの時間[s]
(5)シフト一致→クラッチ接 t5:シフト一致からクラッチ操作開始
までの時間[s]
<変速テーブル>
ここでは、表示部にて
図17のような変速テーブル画面を表示し、本システム内でのシフト位置と車両の変速位置の関係付けを行うものであり、MT車に適用される。
【0171】
指定方法には、(1)直接指定、(2)間接指定、(3)車速変速テーブルの3つがあり、ここで設定した内容は、スケジューラ(設定装置111、121)および手動運転時のシフトポジションで使用される。
【0172】
(1)直接指定
本システムでのシフト記号(N、1〜8、R)と車両のシフト位置を同じ記号で使用する場合に使用する。スケジューラ等で直接指定を行う場合は、いずれの車両データ設定においても、指令位置に対する変速位置の関係は同じである。直接指定の対比表は表示のみで、設定、変更は行えない。車量データ画面の最高変速位置により設定できる範囲が変化する。
【0173】
(2)間接指定
本システムでのシフト記号(P1〜P8)に対する車両のシフト位置を、車両毎に変更したい場合に使用する。スケジュールデータの中にシフト位置を間接指定(P1〜P8)で設定しておくと、車量データの間接指定の設定に応じた実際の変速位置に置き換えられ運転される。尚、手動運転では間接指定の変速はない。車両データ画面の最高変速位置により設定できる範囲が変化する。
【0174】
(3)車速変速テーブル
車速に応じて自動で変速した時に使用する。車速パターンは5種類(T1〜T5)設定できる。単位は[km/h]固定である。スケジューラでは、シフト位置指定を「T1」〜「T5」のいずれかを設定する。
【0175】
<クラッチ関数>
ここでは、表示部にて
図18、
図19のようなクラッチ関数画面を表示し、MT車のクラッチ動作に関するストロークや時間の設定を行う。尚、
図18と
図19は表示部の同一画面上に並べて表示される。
【0176】
[発進]
発進時のクラッチ動作の設定である。
【0177】
(1)T1:ストローク0→100[%]までの動作時間[s]を設定する。
【0178】
(2)T2:100%からミートポイント(P1)までの動作時間[s]を設定する。
【0179】
(3)T3:半クラッチ間のペダルの動作する傾斜率を決定する時間[s]を設定する。
【0180】
(4)T4:発進完了車速後ストローク0%までの動作時間[s]を設定する。
【0181】
(5)P1:クラッチミートポイントのストロークであり、自動計測時の値が用いられるため、入力はできない。
【0182】
(6)P1−P2:半クラッチ範囲のストローク量[%]を設定する。
【0183】
(7)V1:発進完了車速[km/h]を設定する。
【0184】
[変速]
変速時のクラッチ動作の設定である。
【0185】
(1)T1:ストローク0→100[%]までの動作時間[s]を設定する。
【0186】
(2)T2:変速時は100[%]からミートポイント(P1)までの動作時間、N戻し時は100[%]から0[%]までの動作時間[s]を設定する。
【0187】
(3)T3:半クラッチ間の時間[s]を設定する。数値を大きくすると半クラッチ時間が長くなり、変速中半クラッチ時のショックが小さくなる。
【0188】
(4)T4:半クラッチ終了からストローク0[%]までの動作時間[s]を設定する。数値を大きくすると半クラッチ時間が長くなり、変速中半クラッチ後のショックが小さくなる。
【0189】
(5)P1:クラッチミートポイントのストロークであり、自動計測時の値が用いられるため、入力はできない。
【0190】
(6)P1−P2:半クラッチ範囲のストローク量[%]を設定する。
【0191】
<シフト関数>
ここでは、表示部にて
図20のようなシフト関数画面を表示し、MT車のシフト動作に関する設定を行う。
【0192】
(1)t1:中立位置(0%)からP1までの動作時間[s]を設定する。
【0193】
(2)t2:ストロークP1からP2までの動作時間[s]を設定する。
【0194】
(3)t3:シフト完了位置(100%)までの動作時間[s]を設定する。
【0195】
(4)P1:シンクロストロークの少し手前の位置[%]を設定する。
【0196】
(5)P2:シンクロストロークの少し奥の位置[%]を設定する。
【0197】
(6)F1:シフトイン時のアクチュエータ操作力のリミット値[%]を設定する。
【0198】
(7)F2:シフト完了後のシフトレバー保持力[%]を設定する。
【0199】
(8)t4:シフト完了位置(100%)から、シフト完了後のシフトレバー保持力までの時間[s]を設定する。
【0200】
<エンジン自動始動>
ここでは、表示部にて
図21のようなエンジン自動始動画面を表示し、下記のようなエンジン自動始動に関する設定を行う。
【0201】
(1)スタータON時間:
スタータをONしている時間を設定する。
【0202】
範囲:0.1〜9.9[s]
(2)エンジン始動判定回転速度:
エンジンの始動を判定する回転速度を設定する。
【0203】
範囲:0〜3000[min−1]
「0」を入力すると、始動判定を行わない。
【0204】
(3)スタータ回数:
エンジンが始動するまでのスタータの最大繰返し回数を設定する。
【0205】
範囲:1〜9[回]
(4)待ち時間:
エンジンが始動しなかった場合に、次のスタータをONするまでの待ち時間を設定する。
【0206】
範囲:0.1〜9.9[s]
(5)クラッチ断操作:
クラッチ断操作機能の使用/不使用を選択する。※MT車のみ。
【解決手段】運転パターン、基本パラメータおよび前記運転パターンが示すスケジュールデータに組み込むスケジュール連動パラメータの設定を各々受付けて、運転パターンおよびスケジュール連動パラメータをDB112に設定し、基本パラメータを前記制御装置113に設定する設定装置111と、を備え、自動運転装置114が、前記DB112から運転パターンおよびスケジュール連動パラメータを読み込み、運転パターンに基づく目標値を前記制御装置113に与え、前記スケジュール連動パラメータを制御装置113に設定し、前記制御装置113は、前記目標値、基本パラメータおよびスケジュール連動パラメータに基づいて制御対象105(アクセル、ブレーキ操作用のアクチュエータ等)を制御する。