(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の組成物は、ポリアスパラギン酸エステル及びフルオロポリマーを含む。
【0032】
上記ポリアスパラギン酸エステルは、式(1):
【0034】
(式中、Xは鎖状又は環状脂肪族に結合したn個の第1級アミノ基を含む数平均分子量88〜400の有機ポリアミンから第1級アミノ基を除去することにより得られるn価基を表し、R
1及びR
2は同一又は異なり、炭素数1〜18の有機基を表し、nは2以上の整数を表す)で表されるポリアスパラギン酸エステルであることが好ましい。
【0035】
nは2であることが好ましい。
Xとしては、炭素原子数6〜30の2価炭化水素基であることが好ましく、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヘキサヒドロ−2,4−ジアミノトルエン、ヘキサヒドロ−2,6−ジアミノトルエン、異性C−モノメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、又は、3(4)−アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミンからアミノ基を除去することにより得られる基が好ましく、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンからアミノ基を除去することにより得られる2価炭化水素基がより好ましい。
【0036】
R
1及びR
2としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基又は2−エチルヘキシル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
【0037】
上記ポリアスパラギン酸エステルは、例えば、式:X−(−NH
2)
n(式中、n及びXは上記と同じ)で表される第1級ポリアミンを式:R
1OOC−CH=CH−COOR
2(式中、R
1及びR
2は上記と同じ)で表されるマレイン酸エステル又はフマル酸エステルと反応させる公知の方法で製造できる。
【0038】
上記ポリアスパラギン酸エステル、その製造方法及びその製造に使用されるポリアミンとマレイン酸エステル又はフマル酸エステルとしては、特開平7−305025号公報及び特開平10−87583号公報に記載のものも使用できる。
【0039】
上記フルオロポリマーは、明確な融点を有する樹脂性のポリマー、ゴム弾性を示すエラストマー性のポリマー、又は、その中間の熱可塑性エラストマー性のポリマーであってよい。
【0040】
上記フルオロポリマーは、硬化性官能基含有フルオロポリマーであることが好ましい。上記硬化性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、−COOCO−で表される基、アミノ基、グリシジル基、シリル基、シラネート基、イソシアネート基等があげられ、ポリマーの製造の容易さや硬化系に併せて適宜選択される。なかでも、硬化反応性が良好な点から水酸基、カルボキシル基、−COOCO−で表される基、アミノ基又はシリル基が好ましく、特にポリマーの入手が容易な点や反応性が良好な点から水酸基が好ましい。これらの硬化性官能基は、通常、硬化性官能基を有する単量体を共重合することによりフルオロポリマーに導入される。
【0041】
上記フルオロポリマーは、水酸基含有フルオロポリマーであることが好ましい。上記水酸基は、水酸基含有単量体を共重合することによりフルオロポリマーに導入することができる。
【0042】
上記フルオロポリマーは、水酸基価が1〜600mgKOH/gであることが好ましい。得られる塗膜の耐水性や密着性が向上する点で、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上が更に好ましい。また、溶剤溶解性や得られる塗膜の密着性が良好となる点で、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましい。上記水酸基価は、JIS K 0070に準拠する方法により測定して得られる値である。
【0043】
上記フルオロポリマーは、含フッ素単量体に基づく重合単位及び水酸基含有単量体に基づく重合単位を含むことが好ましい。
【0044】
上記含フッ素単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド、及び、フルオロビニルエーテルを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
中でも、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、及び、ビニリデンフルオライドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、テトラフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0045】
上記含フッ素単量体に基づく重合単位は、上記フルオロポリマーの全重合単位に対して、15〜50モル%であることが好ましい。より好ましい下限は20モル%であり、更に好ましい下限は30モル%であり、特に好ましい下限は40モル%である。より好ましい上限は49モル%であり、更に好ましい上限は47モル%である。
【0046】
上記水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどの水酸基含有アリルエーテル類などが挙げられる。これらのなかでも、重合反応性、官能基の硬化性が優れる点で、水酸基含有ビニルエーテル類が好ましく、式(2):CH
2=CH−(CH
2)
l−O−(CH
2)
m−OH
(式中、lは0または1、mは2以上の整数)で表される水酸基含有単量体であることがより好ましく、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル及び4−ヒドロキシブチルアリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の単量体が更に好ましい。
【0047】
他の水酸基含有単量体としては、たとえばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなども挙げられる。
【0048】
上記水酸基含有単量体に基づく重合単位は、上記フルオロポリマーを構成する全重合単位に対して、8〜30モル%であることが好ましい。より好ましい下限は10モル%であり、より好ましい上限は20モル%である。
【0049】
上記フルオロポリマーは、更に、カルボキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、及び、シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも1種の重合単位を含むことも好ましい。これらの重合単位は、上記フルオロポリマーを構成する全重合単位に対して、8〜30モル%であることが好ましい。より好ましい下限は10モル%であり、より好ましい上限は20モル%である。
【0050】
上記カルボキシル基含有単量体としては、たとえば、式(3):
R
3R
4C=CR
5−(CH
2)
n−COOH
(式中、R
3、R
4およびR
5は、同じかまたは異なり、水素原子、アルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、又は、アルコキシカルボニル基である。nは0以上の整数である)で表されるカルボキシル基含有単量体、それらのエステル及び酸無水物、並びに、
式(4):
CH
2=CH(CH
2)
nO(R
6OCO)
mR
7COOH
(式中、R
6およびR
7は、同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状のアルキレン基である。nは、0または1であり、mは、0または1である。)で表されるカルボキシル基含有ビニルエーテル単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましい。
【0051】
上記カルボキシル基含有単量体の具体例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデシレン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、エイコセン酸、22−トリコセン酸、桂皮酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−アリロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸などが挙げられる。それらのなかでも、単独重合性が低く単独重合体ができにくいことから、クロトン酸、ウンデシレン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸、及び、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸が好ましい。
【0052】
上記アミノ基含有単量体としては、たとえばCH
2=CH−O−(CH
2)
x−NH
2(x=0〜10)で示されるアミノビニルエーテル類;CH
2=CH−O−CO(CH
2)
x−NH
2(x=1〜10)で示されるアリルアミン類;そのほかアミノメチルスチレン、ビニルアミン、アクリルアミド、ビニルアセトアミド、ビニルホルムアミドなどが挙げられる。
【0053】
上記シリル基含有単量体としては、例えば、シリコーン系ビニル単量体が挙げられる。シリコーン系ビニル単量体としては、たとえばCH
2=CHCO
2(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、CH
2=CHCO
2(CH
2)
3Si(OC
2H
5)
3、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3Si(OC
2H
5)
3、CH
2=CHCO
2(CH
2)
3SiCH
3(OC
2H
5)
2、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3SiC
2H
5(OCH
3)
2、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3Si(CH
3)
2(OC
2H
5)、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3Si(CH
3)
2OH、CH
2=CH(CH
2)
3Si(OCOCH
3)
3、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3SiC
2H
5(OCOCH
3)
2、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3SiCH
3(N(CH
3)COCH
3)
2、CH
2=CHCO
2(CH
2)
3SiCH
3〔ON(CH
3)C
2H
5〕
2、CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
3SiC
6H
5〔ON(CH
3)C
2H
5〕
2などの(メタ)アクリル酸エステル類;CH
2=CHSi[ON=C(CH
3)(C
2H
5)]
3、CH
2=CHSi(OCH
3)
3、CH
2=CHSi(OC
2H
5)
3、CH
2=CHSiCH
3(OCH
3)
2、CH
2=CHSi(OCOCH
3)
3、CH
2=CHSi(CH
3)
2(OC
2H
5)、CH
2=CHSi(CH
3)
2SiCH
3(OCH
3)
2、CH
2=CHSiC
2H
5(OCOCH
3)
2、CH
2=CHSiCH
3〔ON(CH
3)C
2H
5〕
2、ビニルトリクロロシランまたはこれらの部分加水分解物などのビニルシラン類;トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などが例示される。
【0054】
上記フルオロポリマーは、カルボン酸ビニルエステル、アルキルビニルエーテル及び非フッ素化オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有ビニルモノマーに基づく重合単位を含むことが好ましい。
【0055】
上記カルボン酸ビニルエステルは、相溶性を改善する作用を有する。カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル等が挙げられる。
【0056】
上記アルキルビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0057】
上記非フッ素化オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等が挙げられる。
【0058】
上記フルオロポリマーとしては、例えば、(1)パーフルオロオレフィン単位を主体とするパーフルオロオレフィン系ポリマー、(2)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位を主体とするCTFE系ポリマー、(3)ビニリデンフルオライド(VdF)単位を主体とするVdF系ポリマー、(4)フルオロアルキル単位を主体とするフルオロアルキル基含有ポリマー、(5)酢酸ビニル単位を主体とする酢酸ビニル系ポリマー等が挙げられる。
上記フルオロポリマーとしては、上記(1)〜(5)の中でも、耐候性及び防湿性の観点から、(1)、(2)及び(5)のポリマーが好ましい。
【0059】
(1)パーフルオロオレフィン単位を主体とするパーフルオロオレフィン系ポリマー
パーフルオロオレフィン単位を主体とするパーフルオロオレフィン系ポリマーは、パーフルオロオレフィン単位を含むことが好ましい。上記パーフルオロオレフィン単位は、パーフルオロオレフィン系ポリマーの全重合単位に対して、20〜49モル%であることが好ましい。より好ましい下限は30モル%であり、更に好ましい下限は40モル%である。より好ましい上限は47モル%である。
【0060】
上記パーフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等が挙げられ、なかでも、顔料分散性や耐候性、共重合性及び耐薬品性に優れる点で、TFEが好ましい。
【0061】
上記パーフルオロオレフィン系ポリマーは、パーフルオロオレフィンと共重合可能な他の単量体の単位を含むことが好ましい。
【0062】
上記共重合可能な他の単量体としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテンなど非フッ素系オレフィン類;ビニリデンフルオライド(VdF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ビニルフルオライド(VF)、フルオロビニルエーテルなどのフッ素系単量体などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0063】
パーフルオロオレフィン単位を主体とするパーフルオロオレフィン系ポリマーとしては、例えば、TFE/イソブチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/他の単量体の共重合体、TFE/バーサチック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/他の単量体の共重合体、TFE/VdF/ヒドロキシブチルビニルエーテル/他の単量体の共重合体などが挙げられ、特に、TFE/イソブチレン/ヒドロキシブチルビニルエーテル/他の単量体の共重合体、及び、TFE/バーサチック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/他の単量体の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が好ましい。このような硬化性ポリマーの塗料としては、たとえばダイキン工業社製のゼッフル(登録商標)GKシリーズなどが例示できる。
【0064】
(2)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位を主体とするCTFE系ポリマー
CTFE単位を主体とするCTFE系ポリマーとしては、たとえばCTFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/他の単量体の共重合体などが挙げられる。CTFE系ポリマーの硬化性ポリマー塗料としては、たとえば旭硝子社製のルミフロン(登録商標)、DIC社製のフルオネート(登録商標)、セントラル硝子社製のセフラルコート(登録商標)などが例示できる。
【0065】
(3)ビニリデンフルオライド(VdF)単位を主体とするVdF系ポリマー
VdF単位を主体とするVdF系ポリマーとしては、たとえばVdF/TFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/他の単量体の共重合体などが挙げられる。
【0066】
(4)フルオロアルキル単位を主体とするフルオロアルキル基含有ポリマー
フルオロアルキル単位を主体とするフルオロアルキル基含有ポリマーとしては、たとえばCF
3CF
2(CF
2CF
2)
nCH
2CH
2OCOCH=CH
2(n=3と4の混合物)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ステアリルアクリレート共重合体などが挙げられる。フルオロアルキル基含有ポリマーとしては、たとえばダイキン工業社製のユニダイン(登録商標)やエフトーン(登録商標)、デュポン社製のゾニール(登録商標)などが例示できる。
【0067】
(5)酢酸ビニル単位を主体とする酢酸ビニル系ポリマー
上記酢酸ビニル単位を主体とする酢酸ビニル系ポリマーとしては、含フッ素単量体/酢酸ビニル/式(2)で示される水酸基含有単量体/式(3)で示されるカルボキシル基含有単量体の共重合体が挙げられる。上記共重合体は、含フッ素単量体/酢酸ビニル/式(2)で示される水酸基含有単量体/式(3)で示されるカルボキシル基含有単量体のモル比が15〜50/20〜75/5〜22/0.1〜5であることが好ましい。
【0068】
式(2)で示される水酸基含有単量体としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル及び4−ヒドロキシブチルアリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましい。
【0069】
式(3)で示されるカルボキシル基含有単量体としては、nが大きい方が重合反応性が向上し、また、硬化剤等の添加剤との相溶性が向上する点から好ましい。nとしては、2以上が好ましく、4以上がより好ましく、8以上が更に好ましい。上限は、たとえば20である。式(3)で示されるカルボキシル基含有単量体としては、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデシレン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、エイコセン酸及び22−トリコセン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ウンデシレン酸であることがより好ましい。
【0070】
上記共重合体は、その他のモノマー単位を含むものであってもよい。その他のモノマー単位は、上記共重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%または25モル%以下が好ましい。その他のモノマーとしては、酢酸ビニル以外の非芳香族系ビニルエステル等が挙げられる。非芳香族系ビニルエステルとしては、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル等が挙げられる。
【0071】
上記酢酸ビニル系ポリマーは、数平均分子量が3000〜100000であることが好ましい。上記数平均分子量は、5000以上であることがより好ましく、8000以上であることが更に好ましく、50000以下であることがより好ましく、35000以下であることが更に好ましい。上記数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶離液として用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0072】
上記酢酸ビニル系ポリマーは、示差走査熱量計(DSC)により求めるガラス転移温度(セカンドラン)が10〜70℃であることが好ましく、14〜60℃であることがより好ましい。
【0073】
上記酢酸ビニル系ポリマーは、酸価が0.6〜28.8mgKOH/gであることが好ましく、2〜12mgKOH/gであることがより好ましい。上記酸価は、JIS K 5601に準じて測定する。
【0074】
上記酢酸ビニル系ポリマーは、水酸基価が29〜120mgKOH/gであることが好ましく、100mgKOH/g以下であることがより好ましい。上記水酸基価は、重合時の水酸基モノマーの実仕込量と固形分濃度から算出できる。
【0075】
上記フルオロポリマーは、例えば、特開2004−204205号公報、特開2013−177536号公報に開示される方法により製造することができる。上記フルオロポリマーの組成は、元素分析、NMR分析等により測定できる。
【0076】
上記組成物において、上記ポリアスパラギン酸エステルと上記フルオロポリマーとの質量比が5/95〜95/5であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。上記ポリアスパラギン酸エステルが少なすぎると一層あたりの厚膜化が図れず、上記フルオロポリマーが少なすぎると十分な耐候性および耐塩水性が付与できないおそれがある。塗膜の耐候性を向上させる観点からは、上記ポリアスパラギン酸エステルと上記フルオロポリマーとの質量比が50/50未満であることが好ましい。
【0077】
上記組成物は、更に、硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、シリケート化合物、イソシアネート基含有シラン化合物等が挙げられ、なかでも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0078】
上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体、ビュウレット体やイソシアヌレート体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。また、上記ポリイソシアネート化合物としては、たとえばDesmodur N3900(Bayer社製)などが例示できる。
【0079】
上記硬化剤の含有量は、上記ポリアスパラギン酸エステル及び上記フルオロポリマーに対して、10〜75質量%であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、65質量%以下であることがより好ましい。
【0080】
上記組成物は、更に、溶剤を含んでもよい。上記溶剤としては、有機溶剤が好ましく、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、酢酸メトキシプロピル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;キシレン、トルエン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;プロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類;カルビトールアセテート等のジエチレングリコールエステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;これらの混合溶剤等が挙げられる。
【0081】
上記組成物が溶剤を含む場合、上記組成物は、上記ポリアスパラギン酸エステル及び上記フルオロポリマーを合計で5〜95質量%含むことが好ましく、10〜70質量%含むことがより好ましい。
【0082】
上記組成物には、更に、要求特性に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、硬化促進剤、硬化遅延剤、顔料、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤、密着改良剤、つや消し剤等が挙げられる。特に、上記組成物が上記顔料を含むことが好ましく、上記顔料としては、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0083】
上記組成物は、耐塩水性及び耐候性に優れており、長期間劣化しにくい塗膜を形成することができることから、塗料として好適に利用でき、特に、海洋構造物又は港湾施設に適用するための塗料として好適に利用できる。また、上記組成物を基材に適用して得られる塗膜は、基材との密着性にも優れており、塩分が浸透することによる基材の腐食も抑制できる。
【0084】
上記組成物を基材に塗布して、又は、基材上に設けられた他の層に塗布して、塗膜を形成することができる。上記組成物は、一回の塗装で厚みが100μm以上の塗膜を形成することができる。例えば、水酸基含有フルオロポリマーを含む従来の溶剤型塗料では、一回の塗装でせいぜい100μm未満の塗膜を形成することが限界である。
【0085】
上記組成物から得られることを特徴とする塗膜も本発明の一つである。本発明の塗膜は、耐塩水性及び耐候性に優れており、長期間劣化しにくい。また、本発明の塗膜は、基材との密着性にも優れており、塩分が浸透することによる基材の腐食も抑制できる。
【0086】
上記組成物の塗布方法としては、スプレー塗装、ロール塗装、ディップ(浸漬)塗装、含浸塗装、スピンフロー塗装、カーテンフロー塗装、ローラー、刷毛、ドクターブレードによる塗装等が挙げられる。
【0087】
上記組成物を上記基材上に塗布した後、乾燥させてもよい。上記ポリアスパラギン酸エステルが式(1)で示されるものであって、上記フルオロポリマーが水酸基を含有しており、上記組成物が硬化剤を含む場合は、上記乾燥中に上記ポリアスパラギン酸エステル、上記フルオロポリマー及び上記硬化剤の硬化反応が進行し、耐塩水性及び耐候性により一層優れており、非常に長期間劣化しにくい塗膜を得ることができる。上記硬化反応は、室温でも十分に進行する。
【0088】
上記塗膜は、耐摩耗性に優れることから、硬度がH以上であることが好ましい。上記硬度は、4H以下であってよい。
上記硬度は、JIS K5600に準じて、鉛筆硬度試験機により測定する。
【0089】
上記塗膜は、耐塩水性及び耐候性に一層優れており、更に長期間劣化しにくいことから、膜厚が10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが更に好ましく、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましい。
【0090】
上記塗膜は、耐塩水性及び耐候性に一層優れており、更に長期間劣化しにくいことから、浸食度が1mm以下であることが好ましい。
【0091】
ウレタン結合及びウレア結合を有し、浸食度が1mm以下であることを特徴とする含フッ素塗膜も、本発明の一つである。
【0092】
上記含フッ素塗膜は、ウレタン結合及びウレア結合を有し、浸食度が1mm以下であることから、耐塩水性及び耐候性に優れており、長期間劣化しにくい。
上記含フッ素塗膜とは、フッ素原子を含む塗膜を意味する。上記塗膜がフッ素原子を含むことは、元素分析、NMR分析等により確認できる。
【0093】
上記含フッ素塗膜が上記ウレタン結合及びウレア結合を有することは、赤外吸収スペクトルにより確認することができる。
【0094】
上記浸食度とは、さびの進行度を指す。
上記浸食度は、基材及び上記塗膜又は上記含フッ素塗膜を有する積層体を準備し、上記基材に達する深さの切り目を上記塗膜又は上記含フッ素塗膜に入れ、上記積層体に1440時間塩水を噴霧した後、上記塗膜又は上記含フッ素塗膜を上記基材からはがし、上記基材表面に形成された上記切り目からのさびの長さ(切り目に対して垂直方向の最大長)を測定することにより求めることができる。上記基材は、金属からなる基材が使用でき、鉄からなる基材が好ましく、鋼材からなる基材であることがより好ましい。
【0095】
上記含フッ素塗膜は、耐摩耗性に優れることから、硬度がH以上であることが好ましい。上記硬度は、4H以下であってよい。
上記硬度は、JIS K5600に準じて、鉛筆硬度試験機により測定する。
【0096】
上記含フッ素塗膜は、耐塩水性及び耐候性に一層優れており、更に長期間劣化しにくいことから、膜厚が10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが更に好ましく、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましい。
【0097】
上記含フッ素塗膜は、上述した組成物から製造できる。
【0098】
本発明は、基材及び上述の塗膜又は上述の含フッ素塗膜を有することを特徴とする積層体でもある。
【0099】
上記塗膜又は上記含フッ素塗膜は、上記基材上に直接設けられていてもよいし、他の層を介して上記基材上に設けられていてもよい。他の層としては、プライマー層が好適である。他の層としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又はポリエステル樹脂からなる層が好ましく、エポキシ樹脂からなる層がより好ましい。
【0100】
上記基材を形成する材料としては、金属材料、プラスティック、コンクリートなどが挙げられ、上記金属材料が好ましく、鉄、アルミニウム、ステンレス又は銅がより好ましく、鉄が更に好ましく、鋼材であることが特に好ましい。
【実施例】
【0101】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0102】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0103】
鉛筆硬度
JIS K5600に準じて行った。
【0104】
碁盤目試験
JIS K5600に準じて行った。碁盤目試験(1mm×1mm×100マス)を行い、残ったマス数で評価した。
【0105】
(光沢)
紫外線蛍光灯促進耐候性試験機(Q−LAB社)を用いて促進耐候性試験を500時間及び1000時間行った。
光沢
JIS K5600に準じて行った。
【0106】
(ブリスター面積)
過酸化水素負荷型促進耐候性試験機を用いて促進耐候性試験を50時間及び80時間行った。
促進耐候性試験前及び促進耐候性試験後の試験塗装板について、発生したブリスターの個数と平均面積を測定し、試験塗装板の全体面積に対するブリスターの占める面積を算出した。
【0107】
膜厚
過電流式膜厚計を用いて測定を行った。
【0108】
塩水噴霧試験
ISO12944 C5−Mに準じて行った。
【0109】
浸食度(Corrosion from scribe(mm))
実施例において得られた塗板の塗膜に切り目を入れ、1440時間塩水を噴霧した後、塗膜をはがし、切り目からのさびの長さ(切り目に対して垂直方向の最大長)を測定した。
【0110】
塗膜の膨れ(Blistering)
ISO 4628−2(JIS K5600−8−2)に従って、塗膜の膨れの量及び大きさを測定した。
【0111】
塗膜のさび(Rusting)
ISO 4628−3(JIS K5600−8−3)に従って測定した。
【0112】
塗膜の割れ(Cracking)
ISO 4628−4(JIS K5600−8−4)に従って測定した。
【0113】
塗膜のはがれ(Flaking)
ISO4628−5(JIS K5600−8−5)に従って測定した。
【0114】
ウレタン結合の有無
赤外吸収スペクトルにより確認した。
【0115】
ウレア結合の有無
赤外吸収スペクトルにより確認した。
【0116】
実施例1
エポキシプライマー主剤、エポキシプライマー硬化剤、エポキシシンナーを表1に示す配合の割合で混合して塗料用組成物とし、スプレー塗装によりアルミニウム板およびブラスト板(SS400)に塗装し、室温で1日硬化乾燥させて30μmの硬化塗膜(1st Coat)を得た。さらにポリアスパラギン酸エステル(Desmophen NH1520、Bayer社製)、ゼッフルGK−570(65%固形分)(ダイキン工業社製)、R960(デュポン社製)、酢酸ブチルを表1に示す配合量で混合したのち、硬化剤Desmodur N3900(Bayer社製)を混合し、塗料用組成物を作製し、スプレー塗装により、あらかじめ塗装した上記硬化塗膜(1st Coat)の上に塗装を施した。2時間室温乾燥にて硬化塗膜(2nd Coat)を有する塗板(アルミニウム板)および塗板(ブラスト板)を得た。この塗板(アルミニウム板)について、鉛筆硬度、碁盤目試験、光沢、促進耐候性(ブリスター面積)を調べた。塗板(ブラスト板)について、耐塩水性を調べた。赤外吸収スペクトルよりウレア結合由来のピークが1720cm
−1付近およびウレタン結合由来のピークが1650cm
−1付近に観測された。その他の結果については表1に示す。
【0117】
実施例2
ポリアスパラギン酸エステル(Desmophen NH1520、Bayer社製)と、ゼッフルGK−570(65%固形分)(ダイキン工業社製)との量比を変更したほかは実施例1と同様にして塗料用組成物を調製し、実施例1と同様に塗装を施し、2時間室温乾燥にて硬化塗膜(2nd Coat)を有する塗板(アルミニウム板)および塗板(ブラスト板)を得た。この塗板(アルミニウム板)について、鉛筆硬度、碁盤目試験、光沢、促進耐候性(ブリスター面積)を調べた。塗板(ブラスト板)について、耐塩水性を調べた。赤外吸収スペクトルよりウレア結合由来のピークが1720cm
−1付近およびウレタン結合由来のピークが1650cm
−1付近に観測された。その他の結果については表1に示す。
【0118】
実施例3
ポリアスパラギン酸エステル(Desmophen NH1520、Bayer社製)、ゼッフルGK−570(65%固形分)(ダイキン工業社製)、R960(デュポン社製)、酢酸ブチルを表1に示す配合量で混合したのち、硬化剤Desmodur N3900(Bayer社製)を混合し、塗料用組成物を作製し、スプレー塗装により、アルミニウム板およびブラスト板(SS400)に塗装を施した。2時間室温乾燥にて300μmの硬化塗膜を有する塗板(アルミニウム板)および塗板(ブラスト板)を得た。この塗板(アルミニウム板)について、赤外吸収スペクトル、鉛筆硬度、碁盤目試験、光沢、促進耐候性(ブリスター面積)を調べた。塗板(ブラスト板)について、耐塩水性を調べた。赤外吸収スペクトルよりウレア結合由来のピークが1720cm
−1付近およびウレタン結合由来のピークが1650cm
−1付近に観測された。その他の結果については表1に示す。
【0119】
実施例4及び5
表1に記載の配合に変更したほかは実施例1と同様にして塗料用組成物を調製し、実施例1と同様に塗装を施し、2時間室温乾燥にて硬化塗膜(2nd Coat)を有する塗板(アルミニウム板)および塗板(ブラスト板)を得た。この塗板(アルミニウム板)について、鉛筆硬度、碁盤目試験、光沢、促進耐候性(ブリスター面積)を調べた。塗板(ブラスト板)について、耐塩水性を調べた。赤外吸収スペクトルよりウレア結合由来のピークが1720cm
−1付近およびウレタン結合由来のピークが1650cm
−1付近に観測された。その他の結果については表1に示す。
【0120】
実施例6及び7
ルミフロンLF200(60%固形分)(旭硝子社製)を使用し、表1に記載の配合に変更したほかは実施例1と同様にして塗料用組成物を調製し、実施例1と同様に塗装を施し、2時間室温乾燥にて硬化塗膜(2nd Coat)を有する塗板(アルミニウム板)および塗板(ブラスト板)を得た。この塗板(アルミニウム板)について、鉛筆硬度、碁盤目試験、光沢、促進耐候性(ブリスター面積)を調べた。塗板(ブラスト板)について、耐塩水性を調べた。赤外吸収スペクトルよりウレア結合由来のピークが1720cm
−1付近およびウレタン結合由来のピークが1650cm
−1付近に観測された。その他の結果については表1に示す。
【0121】
比較例1
エポキシプライマー主剤、エポキシプライマー硬化剤、エポキシシンナーを表1に示す配合の割合で混合して塗料用組成物とし、スプレー塗装によりアルミニウム板およびブラスト板(SS400)に塗装し、室温で1日硬化乾燥させて30μmの硬化塗膜(1st Coat)を得た。さらにポリアスパラギン酸エステル(Desmophen NH1520、Bayer社製)、R960(デュポン社製)、酢酸ブチルを混合したのち、硬化剤Desmodur N3900(Bayer社製)を混合し、塗料用組成物を作製し、スプレー塗装により、あらかじめ塗装した上記硬化塗膜(1st Coat)の上に塗装を施した。2時間室温乾燥にて硬化塗膜(2nd Coat)を有する塗板(アルミニウム板)および塗板(ブラスト板)を得た。この塗板(アルミニウム板)について、鉛筆硬度、碁盤目試験、光沢、促進耐候性(ブリスター面積)を調べた。塗板(ブラスト板)について、耐塩水性を調べた。赤外吸収スペクトルよりウレア結合由来のピークが1720cm
−1付近に観測されたが、ウレタン結合由来のピークは観測されなかった。その他の結果については表1に示す。
【0122】
比較例2
ポリアスパラギン酸エステル(Desmophen NH1520、Bayer社製)、R960(デュポン社製)、酢酸ブチルを混合したのち、硬化剤Desmodur N3900(Bayer社製)を混合し、塗料用組成物を作製し、スプレー塗装により、アルミニウム板およびブラスト板(SS400)に塗装を施した。2時間室温乾燥にて硬化塗膜を有する塗板(アルミニウム板)および塗板(ブラスト板)を得た。この塗板(アルミニウム板)について、鉛筆硬度、碁盤目試験、光沢、促進耐候性(ブリスター面積)を調べた。塗板(ブラスト板)について、耐塩水性を調べた。赤外吸収スペクトルよりウレア結合由来のピークが1720cm
−1付近に観測されたが、ウレタン結合由来のピークは観測されなかった。その他の結果については表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
表1の結果より、ウレタン結合とウレア結合の両方をもつ塗膜である場合に効果が確認された。