【実施例】
【0064】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0065】
フェノール類の水素化反応で生成する各成分の生成量は、得られた反応液を冷却し捕集した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名:「GC―2014」、GCカラム:TC−WAX、GC検出器:FID)を用いて分析を行い、内部標準としてジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いて算出した。
【0066】
[実施例1]
(触媒A前駆体:0.1Ca−0.05P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.1、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒A前駆体を得た。触媒A前駆体のBET比表面積は49m
2/gであった。
【0067】
(触媒A前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒A前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒A前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0068】
触媒A前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0069】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒A前駆体のアンモニア化学吸着量は47.1μmol/gであった。
【0070】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒A前駆体の二酸化炭素化学吸着量は6.1μmol/gであった。
【0071】
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2の製造)
上記の触媒A前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2を得た。
【0072】
[実施例2]
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を2.6cc/hで、水素ガスを26cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0073】
反応開始から16hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.1%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.8%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は<0.1%であった。
【0074】
[実施例3]
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2によるフェノールの水素化反応:寿命評価)
触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(10cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで連続的に供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0075】
反応開始から25hの捕集液を切り捨て、その後30hにわたり2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、反応成績は安定しており、その平均値は、フェノールの転化率が>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率が97.2%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率が2.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率が<0.1%であった。
【0076】
続いて、反応温度を135℃に下げ、15hの捕集液を切り捨て、その後60hにわたり2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、反応成績は安定しており、その平均値は、フェノールの転化率が>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率が98.7%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率が1.2%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率が<0.1%であった。
【0077】
[実施例4]
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2によるp−クレゾールの水素化反応)
触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(10cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、135℃、0MPa(G)にてp−クレゾールと4−メチルシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、p−クレゾールの水素化反応を行った。
【0078】
反応開始から14hの捕集液を切り捨て、その後2hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるp−クレゾールの転化率は99.4%であり、4−メチルシクロヘキサノンの選択率は98.3%であり、副生物である4−メチルシクロヘキサノールの選択率は1.7%であった。
【0079】
[実施例5]
(触媒B前駆体:Li−P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Li/Si(mol比)=0.2、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸リチウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒B前駆体を得た。触媒B前駆体のBET比表面積は53m
2/gであった。
【0080】
(触媒B前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒B前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒B前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0081】
触媒B前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0082】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒B前駆体のアンモニア化学吸着量は9.8μmol/gであった。
【0083】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒B前駆体の二酸化炭素化学吸着量は0.4μmol/gであった。
【0084】
(触媒B:Pd/Li−P−SiO
2の製造)
上記の触媒B前駆体に、0.2wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒B:Pd/Li−P−SiO
2を得た。
【0085】
[実施例6]
(触媒B:Pd/Li−P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒B:Pd/Li−P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(16cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.6cc/hで、水素ガスを16cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0086】
反応開始から4hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.3%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.0%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.9%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.1%であった。
【0087】
[実施例7]
(触媒C前駆体:Mg−P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Mg/Si(mol比)=0.2、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸マグネシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒C前駆体を得た。触媒C前駆体のBET比表面積は59m
2/gであった。
【0088】
(触媒C前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒C前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒C前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0089】
触媒C前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0090】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒C前駆体のアンモニア化学吸着量は40.7μmol/gであった。
【0091】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒C前駆体の二酸化炭素化学吸着量は1.0μmol/gであった。
【0092】
(触媒C:Pd/Mg−P−SiO
2の製造)
上記の触媒C前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒C:Pd/Ca−P−SiO
2を得た。
【0093】
[実施例8]
(触媒C:Pd/Mg−P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒C:Pd/Mg−P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0094】
反応開始から3hの捕集液を切り捨て、その後4hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は97.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は96.7%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.8%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.6%であった。
【0095】
[実施例9]
(触媒D前駆体:0.07Ca−0.05P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.07、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒D前駆体を得た。触媒D前駆体のBET比表面積は56m
2/gであった。
【0096】
(触媒D前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒D前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒D前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0097】
触媒D前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0098】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒D前駆体のアンモニア化学吸着量は55.7μmol/gであった。
【0099】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒D前駆体の二酸化炭素化学吸着量は4.8μmol/gであった。
【0100】
(触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiO
2の製造)
上記の触媒D前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiO
2を得た。
【0101】
[実施例10]
(触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0102】
反応開始から27hの捕集液を切り捨て、その後3hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は97.7%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.2%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は<0.1%であった。
【0103】
[実施例11]
(触媒E前駆体:0.2Ca−0.05P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.2、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒E前駆体を得た。触媒E前駆体のBET比表面積は49m
2/gであった。
【0104】
(触媒E前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒E前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒E前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0105】
触媒E前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0106】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒E前駆体のアンモニア化学吸着量は91.7μmol/gであった。
【0107】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒E前駆体の二酸化炭素化学吸着量は7.5μmol/gであった。
【0108】
(触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiO
2の製造)
上記の触媒E前駆体に、0.2wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiO
2を得た。
【0109】
[実施例12]
(触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0110】
反応開始から8hの捕集液を切り捨て、その後3hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は96.7%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.3%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.1%であった。
【0111】
[実施例13]
(触媒F前駆体:0.3Ca−0.05P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.3、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒F前駆体を得た。触媒F前駆体のBET比表面積は41m
2/gであった。
【0112】
(触媒F前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒F前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒F前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0113】
触媒F前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0114】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒F前駆体のアンモニア化学吸着量は89.8μmol/gであった。
【0115】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒F前駆体の二酸化炭素化学吸着量は13.2μmol/gであった。
【0116】
(触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiO
2の製造)
上記の触媒F前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiO
2を得た。
【0117】
[実施例14]
(触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、135℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0118】
反応開始から70hの捕集液を切り捨て、その後2hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は96.5%であり、シクロヘキサノンの選択率は95.2%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は4.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は<0.1%であった。
【0119】
[比較例1]
(Pd−Na/Al
2O
3によるフェノールの水素化反応1)
酸化アルミニウム(Al
2O
3:住友化学製、球状)に、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で乾燥させた後、500℃で3h焼成して、2%Na/Al
2O
3を得た。その後、2%Na/Al
2O
3に、0.05wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた後、450℃で3h焼成して、0.05wt%Pd−2%Na/Al
2O
3を得た。
【0120】
1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.05wt%Pd−2%Na/Al
2O
3の1.0gを充填し、その上部にガラスビーズ10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(13cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を0.5cc/hで、水素ガスを13cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0121】
反応開始から8hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.4%であり、シクロヘキサノンの選択率は90.3%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は0.7%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は8.7%であった。
【0122】
[比較例2]
(Pd−Na/Al
2O
3によるフェノール水素化反応2)
酸化アルミニウム(Al
2O
3:エヌ・イーケムキャット製、円柱状)を破砕し粉体としたものに、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、500℃で3h焼成して、2%Na/Al
2O
3を得た。その後、2%Na/Al
2O
3に、0.1wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた後、450℃で3h焼成して、0.1wt%Pd−2%Na/Al
2O
3を得た。
【0123】
1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.1wt%Pd−2%Na/Al
2O
3の0.13gと2%Na/Al
2O
3の0.37gの混合物を充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを25cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0124】
反応開始から1hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.8%であり、シクロヘキサノンの選択率は89.1%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は10.3%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.6%であった。
【0125】
[比較例3]
(Pd−Na/Al
2O
3によるフェノール水素化反応3)
酸化アルミニウム(Al
2O
3:エヌ・イーケムキャット製、円柱状)を破砕し粉体としたものに、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、500℃で3h焼成して、2%Na/Al
2O
3を得た。その後、2%Na/Al
2O
3に、0.05wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた後、450℃で3h焼成して、0.05wt%Pd−2%Na/Al
2O
3を得た。
【0126】
1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.05wt%Pd−2%Na/Al
2O
3の1.3gを充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを25cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0127】
反応開始から1hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は93.1%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は5.1%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は1.8%であった。
【0128】
[比較例4]
(触媒G前駆体:P−SiO
2の製法)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、P/Si(mol比)=0.05となるようにリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒G前駆体を得た。触媒G前駆体のBET比表面積は56m
2/gであった。
【0129】
(触媒G前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒G前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒G前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0130】
触媒G前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0131】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒G前駆体のアンモニア化学吸着量は134μmol/gであった。
【0132】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒G前駆体の二酸化炭素化学吸着量は<0.1μmol/gであった。
【0133】
(触媒G:Pd/P−SiO
2の製造)
上記の触媒G前駆体に、0.2wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒G:Pd/P−SiO
2を得た。
【0134】
[比較例5]
(触媒G:Pd/P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒G:Pd/P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(16cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0135】
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は5.2%であり、シクロヘキサノンの選択率は83.8%であり、副生物であるシクロヘキサノールは<0.1%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は16.1%であった。
【0136】
[比較例6]
(触媒H前駆体:Ca−SiO
2の製法)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.1となるように硝酸カルシウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒H前駆体を得た。
【0137】
(触媒H:Pd/Ca−SiO
2の製造)
上記の触媒H前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒H:Pd/Ca−SiO
2を得た。
【0138】
[比較例7]
(触媒H:Pd/Ca−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒H:Pd/Ca−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(16cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0139】
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は88.0%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は11.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.4%であった。
【0140】
[比較例8]
(触媒I前駆体:0.01Ca−0.05P−SiO
2の製造)
SiO
2(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.01、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒I前駆体を得た。触媒I前駆体のBET比表面積は53m
2/gであった。
【0141】
(触媒I前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒I前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒I前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
【0142】
触媒I前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
【0143】
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒I前駆体のアンモニア化学吸着量は148μmol/gであった。
【0144】
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒I前駆体の二酸化炭素化学吸着量は<0.1μmol/gであった。
【0145】
(触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiO
2の製造)
上記の触媒I前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiO
2を得た。
【0146】
[比較例9]
(触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiO
2によるフェノールの水素化反応)
触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiO
2の1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
【0147】
反応開始から2hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は21.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は95.9%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は0.1%であり、2−クロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は4.0%であった。
【0148】
【表1】