(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明を車両用表示装置1に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である車両用表示装置1を車両に搭載した際の概観を示した図である。車両用表示装置1は、車両のダッシュボード内に設けられ、生成した表示画像Mを表す表示光Lをウインドシールド2で反射させることにより、車両運転者3に車両情報を表す表示画像Mの虚像Vを視認させるものである。車両運転者3は、前方から視線を逸らさずに虚像Vを視認できる。
【0012】
図2は、本発明の一実施例である車両用表示装置1の構成図である。車両用表示装置1は、照明装置10と、照明光学系20と、表示素子30と、温度検出手段40と、投射光学系50と、スクリーン60と、平面ミラー70と、凹面ミラー71と、表示光Lが外部へ射出する窓部81を有するハウジング80と、制御部90と、を備えている。
【0013】
照明装置10は、
図3に示すように、光源11と、アルミ基板からなり前記光源11を実装する回路基板12と、反射透過光学手段13と、輝度ムラ低減光学手段14と、を備える。
【0014】
光源11は、赤色照明光Rを発する赤色LED11rと、緑色照明光Gを発する緑色LED11gと、青色照明光Bを発する青色LED11bと、から構成される。
【0015】
反射透過光学手段13は、光を反射する反射ミラー13aと、誘電体の多層膜等の薄膜が鏡面に形成された鏡で構成され、光の透過と反射を行うダイクロイックミラー13b、13cと、からなるものである。
【0016】
反射ミラー13aは、赤色LED11rから発する光の進行方向側に所定の角度をもって配設され、赤色LED11rからの赤色照明光Rを反射する。
ダイクロイックミラー13bは、緑色LED11gからの緑色照明光Gの進行方向側に所定の角度をもって配設され、反射ミラー13aに反射された光Rを透過し、緑色照明光Gを反射する。
ダイクロイックミラー13cは、青色LED11bからの青色照明光Bの進行方向側に所定の角度をもって配設され、ダイクロイックミラー13bにより透過、反射された赤色照明光Rと緑色照明光Gとを透過し、青色照明光Bを反射する。
【0017】
輝度ムラ低減光学手段14は、ミラーボックスやアレイレンズなどからなるもので、上述の照明光Cを乱反射、散乱、屈折させることで光のムラを低減する。このように照明装置10は、後述する照明光学系20の方向へ照明光Cを出射する。
【0018】
照明光学系20は、例えば凹状のレンズ等で構成され、照明装置10から出射された照明光Cを後述する表示素子30の大きさに調整する。
【0019】
表示素子30は、可動式のミラーE(特許請求の範囲における画素)を複数備えたDMD(Digital Micro−Mirror Device)からなり、このミラーEの下部に設けた電極をマイクロセカンドオーダという非常に短い時間で駆動することによりオン/オフの二つの状態を持たせることで各ミラーEは鏡面をヒンジを支点に±12度傾斜させることができる。ミラーEがオンのときは、ヒンジを支点に+12度傾斜し、照明光学系20から出射された照明光Cを後述する投射光学系50方向に反射する。オフのときは、ヒンジを支点に−12度傾斜し、照明光Cは投射光学系50方向に反射しない。従って、表示画像Mを表す表示画像データに基づき各ミラーEを個別に駆動することにより、表示画像Mを投射光学系50方向に投射する。
表示素子30の各ミラーEは、オン/オフの2つの状態以外に、車両用表示装置1の電源が切られた時、オン制御における傾斜とオフ制御における傾斜との中間点に制御される中間制御も行われ、本実施形態における中間点は0度の位置である。
【0020】
温度検出手段40は、表示素子30のベース基板のセラミック部分に内蔵されるサーミスタ等からなる温度センサ41と、A/D変換器42と、から構成され、温度センサ41は、表示素子30の温度を測定し、温度センサ41から出力されたアナログデータをA/D変換器42でデジタルデータに変換し、制御部90に温度データTを出力する。A/D変換器42は、制御部90に内蔵されていてもよい。
また、温度センサ41は、表示素子30の温度ではなく、表示素子30の温度に影響を及ぼすハウジング80内またはハウジング80周辺の温度を測定してもよい。
また、温度センサ41は、制御部90が実装される制御基板(図示しない)上に配設され、表示素子30の温度を制御基板上からリモートで測定してもよい。
【0021】
投射光学系50は、例えば凹レンズもしくは凸レンズ等で構成され、表示素子30から投影された表示画像Mの表示光Lを後述するスクリーン60に効率よく照射するための光学系である。
【0022】
スクリーン60は、拡散板,ホログラフィックディフューザ,マイクロレンズアレイ等から構成され、投射光学系50からの表示光Lを下面で受光して上面に表示画像Mを表示する。
【0023】
平面ミラー70は、スクリーン60に表示された表示画像Mを後述する凹面ミラー71に向かって反射させる。
凹面ミラー71は、凹面鏡等であり、平面ミラー70で反射された表示光Lを凹面で反射させることで、表示光Lを後述の窓部81から車両用表示装置1の外部へ射出する。これにより、結像される虚像Vは、スクリーン60に表示された表示画像Mが拡大された大きさになる。
【0024】
ハウジング80は、硬質樹脂等から形成され、上方に所定の大きさの窓部81を備えた箱状に形成される。ハウジング80は、照明装置10と、照明光学系20と、表示素子30と、温度検出手段40と、投射光学系50と、スクリーン60と、平面ミラー70と、凹面ミラー71等を所定の位置に収納する。後述する制御部90は、ハウジング80の中に収納されてもよく、ハウジング80の外部に配設され、配線などによりハウジング80内部の構成部品と電気的な接続を行ってもよい。
【0025】
窓部81は、アクリル等の透光性樹脂から湾曲形状に形成されており、ハウジング80の開口部に溶着等により取り付けられる。窓部81は、凹面ミラー71で反射された光を透過させる。
【0026】
次に、
図4を用いて車両用表示装置1の電気的構成について説明する。
図4は本実施形態の表示装置の電気的構成説明図である。
【0027】
制御部90は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やマイコン、ASICなどのCPUと、CPUを駆動させるプログラムやデータを記憶するメモリなどにより構成され、LVDS(Low Voltage Differential Signal)通信等によって表示画像Mを表示するための表示画像信号300が外部より入力され、この表示画像信号300の要求する光の輝度と発光タイミングで照明装置10を制御するための照明制御データ310と、さらに前記表示画像信号300の要求する表示画像Mを表示素子30に表示するための表示制御データ320を、照明制御部91と表示制御部92とにそれぞれ出力することで、車両用表示装置1は表示画像Mを生成する。
【0028】
本発明の車両用表示装置1における表示画像Mの生成方法としてフィールドシーケンシャルカラー(以下FSC;Field Sequential Color)制御を行っており、本実施形態におけるFSC制御において、表示画像Mを構成する周期であるフレーム(特許請求の範囲におけるフレーム期間)Fは、ヒトがちらつきを視認できる臨界融合周波数以上の1/60秒未満(60Hz以上)に設定され、このフレームFは、赤色LED11r,緑色LED11g,青色LED11bが駆動する期間としてそれぞれ1/180秒ずつに分割され、さらに各色の駆動期間(1/180秒)をそれぞれ8ビットの時間階調が可能なように不均等な期間のサブフレームSFに分割される。本実施形態におけるFSC制御における設定は、概念的に説明したものであり、これらの記載に限定されるものではない。
【0029】
照明制御部(光源制御部)91は、照明制御データ310の要求する光強度とタイミングで、サブフレームSF毎に異なる色の光源11(赤色LED11r,緑色LED11g,青色LED11b)を高速に順次切替えるFSC制御を行う。照明制御データ310は、表示画像Mが所望の表示輝度および表示色が得られるように、光源11が点灯するサブフレームSF、点灯するタイミング、光源11を駆動する駆動電流I、駆動期間Hなどを表すデータであり、照明制御部91は、この照明制御データ310に基づき、選択されたサブフレームSFの所望のタイミング、駆動電流I、駆動期間Hで光源11を駆動する。
【0030】
表示制御部92は、表示制御データ320に基づき、表示素子30の個々のミラーEを+12度傾斜させるオン駆動または−12度傾斜させるオフ駆動させるものである。表示制御データ320は、表示素子30の個々のミラーE毎に生成されるものであり、そのミラーが所望の表示輝度および表示色を表現できるように、オン駆動するタイミング、オン駆動する期間などを表すデータである。表示制御部92は、この表示制御データ320に基づく所望のサブフレームSFのタイミングとオン駆動する期間で各ミラーEをオン/オフ駆動する。
【0031】
つまり、表示画像Mを構成するために、照明装置10は所望のサブフレームSF毎に照明光C(赤色照明光R、緑色照明光G、青色照明光B)を所望の光強度で出力し、表示素子30を照明する。表示素子30の各ミラーEは、表示画像Mを生成するため、ミラーE毎に所望のタイミングでスクリーン60の方向へ照明光Cを反射させる。斯かる構成により、光源11の赤色照明光R、緑色照明光G、青色照明光Bを基本色にして、時分割の加法混合による混色が行われ、表示画像Mはカラーで表現される。
このようなFSC制御による照明装置10と表示素子30の具体的な動作について、
図5,6を用いて説明する。
図5は、複数のミラーE(単色ミラーEa,混色ミラーEb,消灯ミラーEc)を備えた表示素子30の概略図であり、
図6は、表示素子30の各ミラーE(単色ミラーEa,混色ミラーEb,消灯ミラーEc)の動作と光源11(赤色LED11r,緑色LED11g,青色LED11b)の動作を説明するタイムチャートである。
【0032】
表示素子30において単色を表現する単色ミラーEaは、例えば、
図6に示すように緑色LED11gが発光するタイミング(t61〜t62)に合わせてオン駆動されることにより、緑色LED11gの緑色照明光Gを所定の方向に反射する。また、表示素子30において混色を表現する混色ミラーEbは、例えば、
図6に示すように赤色LED11rと緑色LED11gが発光するタイミング(t60〜t61及びt61〜t62)に合わせてオン駆動されることにより、赤色照明光Rと緑色照明光Gとの混合の光を所定の方向に反射する。また、表示素子30において何も表示しない消灯ミラーEcは、例えば、
図6に示すように全てのタイミング(t60〜tx)において、オフ駆動されることにより、いずれの光も反射されることなく表示は行われない。
【0033】
以上の構成からなる車両用表示装置1が虚像Vを表示するまでの動作を簡潔に述べれば、
(1)制御部90は、外部からの表示画像信号300に基づき、照明制御データ310と表示制御データ320を生成する。
(2)照明装置10は、照明制御データ310に基づき、FSC制御により照明光Cを表示素子30に射出する。
(3)表示素子30は、表示制御データ320に基づき、表示素子30の個々のミラーEをオン/オフ制御することで、照明装置10からの照明光Cを表示画像Mとしてスクリーン60に向けて投影する。
(4)スクリーン60に表示された表示画像Mを表す表示光Lは平面ミラー70によって凹面ミラー71に向けて反射される。
(5)表示画像Mは、凹面ミラー71によって所定の大きさに拡大され、拡大された表示画像Mを表す表示光Lが、ウインドシールド2で反射されることで、ウインドシールド2の前方に表示画像Mの虚像Vが結ばれる。このように、車両用表示装置1は、車両運転者3に表示画像Mを虚像Vとして視認させることを可能とする。
【0034】
次に本実施形態の車両用表示装置1における非表示期間Fbについて説明する。
図7(a)は、予め制御部90の記憶部に記憶されたフレームF内の表示期間Faが占める割合を表す表示期間割合Aの温度特性図である。本実施形態における車両用表示装置1は、温度検出手段40により測定される表示素子30の温度Tが第一温度閾値T1以上になった場合、予め記憶部に記憶された
図7(a)に示すような表示期間割合Aの温度特性図に基づき、フレームF内に非表示期間Fbを略0.5(50%)設ける。温度Tが第一温度閾値T1より低い場合、制御部90は、フレームF内に非表示期間Fbを設けず、表示画像Mを生成するための表示期間Faのみとする。このように、フレームF内を表示期間Faのみとすることで、高輝度の表示画像Mを生成することができ、必要とされる高温時(温度Tが第一温度閾値T1以上になった場合)のみ、表示素子30の各ミラーEの固着を抑制することができる。また、温度Tが第一温度閾値T1より低い場合でも、非表示期間FbをフレームF内に数パーセント設け、各ミラーEにかかる負担を軽減する構成としてもよい。
【0035】
フレームFは、上述のように温度Tが第一閾値T1以上の際、
図8に示すように、そのフレームF内に表示期間Faと非表示期間Fbを0.5(50%)ずつ設ける。
表示期間Faにおいて、照明制御部91は、照明制御データ310の要求する光強度とタイミングで、サブフレームSF毎に異なる色の光源11(赤色LED11r,緑色LED11g,青色LED11b)を高速に順次切替えるFSC制御を行い、表示制御部92は、表示制御データ320に基づき、表示素子30の個々のミラーEを+12度傾斜させるオン駆動または−12度傾斜させるオフ駆動させる。つまり、表示期間FaにおけるミラーEがオン/オフ駆動する割合である表示期間内オン駆動割合Fapと表示期間内オフ駆動割合Faqは、各ミラーEの表現する表示輝度、表示色により(各ミラーEが入力する表示制御データ320により)異なる。
非表示期間Fbにおいて、照明制御部91は、光源11を全て消灯させ、表示制御部92は、個々のミラーEをオン/オフ駆動させることにより、フレームF内における個々のミラーEがオン駆動した割合であるフレーム内オン駆動割合Pを略0.5(50%)になるように制御する。つまり、非表示期間FbにおけるミラーEがオン/オフ駆動する割合である非表示期間内オン駆動割合Fbpと非表示期間内オフ駆動割合Fbqは、フレーム内オン駆動割合Pが0.5(50%)になるように制御される。このように、フレームF内の個々のミラーEのフレーム内オン駆動割合Pを略0.5(50%)にする(オン駆動とオフ駆動との割合を略等しくする)ことにより、個々のミラーEが持つヒンジ(ミラーEの支点)にかかる負担をオン駆動側とオフ駆動側とで均等にし、ミラーEがオン/オフどちらかの状態で固着されるのを抑制でき、高温環境下で使用しても表示素子30の寿命を長く保つことができる。
【0036】
非表示期間Fbを設ける際の車両用表示装置1の動作を
図8(b)(c)と
図9、
図10とを用いて説明する。
図8(b)(c)は、表示期間割合Aを切り替えた際の光源11を駆動する駆動電流Iと駆動期間Hの推移を表した図であり、
図9は、温度Tに基づき表示期間割合Aを切り替える際の車両用表示装置1の動作を表すフローチャートであり、
図10は、表示期間割合Aが0.5(50%)になった際の表示素子30の各ミラーEの動作と光源11の動作を説明するタイムチャートである。
【0037】
図9のフローチャートのステップS11において、制御部90は、温度検出手段40が検出した表示素子30の温度Tが第一温度閾値T1以上であるかを判定する。温度Tが第一温度閾値T1以上であると判定された場合、ステップS12において、制御部90は、フレーム内オン駆動割合Pが0.5(50%)になるように、非表示期間Fb内おけるミラーEがオン駆動する割合である非表示期間内オン駆動割合Fbpを算出する。非表示期間内オン駆動割合Fbpは、フレーム内オン駆動割合Pと、表示期間内オン駆動割合Fapと、表示期間割合Aにより式1で求められる。
【数1】
【0038】
図10の単色ミラーEaの非表示期間内オン駆動割合Fbpを具体的に計算してみると、フレーム内オン駆動割合Pは、表示素子30のミラーEのヒンジの負担をオン駆動側とオフ駆動側で均一にするために0.5(50%)に設定され、表示期間割合Aは、予め記憶部91に記憶された
図7(a)のような温度特性に基づき設定されるので、本実施形態においては0.5(50%)に設定され、表示期間内オン駆動割合Fapは、各ミラーの表現したい表示輝度、表示色によるが、計算上0.4(40%)と想定すると、非表示期間内オン駆動割合Fbpは0.6(60%)と算出される。つまり、
図10の単色ミラーEaは、非表示期間Fbにおいて、オン駆動を60%(オフ駆動40%)とすることで、フレームF内のオン駆動とオフ駆動との割合が等しくなる(フレーム内オン駆動割合Pが0.5(50%)になる)ので、ミラーEが持つヒンジ(ミラーEの支点)にかかる負担をオン駆動側とオフ駆動側とで均等にし、ミラーEがオン/オフどちらかの状態で固着されるのを抑制できる。
同様に
図10の混色ミラーEbにおいては、表示期間内オン駆動割合Fapが0.8(80%)であるので、非表示期間内オン駆動割合Fbpは、0.2(20%)と算出され、消灯ミラーEcにおいては、表示期間内オン駆動割合Fapが0(0%)であるので、非表示期間内オン駆動割合Fbpは、1.0(100%)と算出される。
【0039】
ステップS13において、制御部90は、後述するステップS16bによって切り替える前の光源11の駆動電流Iである切替前駆動電流Io(切替前赤色LED駆動電流Iro,切替前緑色LED駆動電流Igo,切替前青色LED駆動電流Ibo)をもとに、後述するステップS16bによって切り替える際の目標とする光源11の駆動電流Iである目標駆動電流Ix(目標赤色LED駆動電流Irx,目標緑色LED駆動電流Igx,目標青色LED駆動電流Ibx)を算出する。
目標駆動電流Ixは、後述するステップS16aによって切り替える前の表示期間Aである切替前表示期間割合Aoと、後述するステップS16aによって切り替える際の目標とする表示期間Aである目標表示期間割合Axから式2により求められる。本実施形態においては、切替前表示期間割合Aoが1.0(100%)であり、目標表示期間割合Axが0.5(50%)であるので、目標駆動電流Ixは切替前駆動電流Ioの2倍になる。
【数2】
【0040】
さらにステップS14において、制御部90は、後述するステップS16bによって切り替える前の光源11の駆動期間Hである切替前駆動期間Ho(切替前赤色LED駆動期間Hro,切替前緑色LED駆動期間Hgo,切替前青色LED駆動期間Hbo)をもとに、後述するステップS16bによって切り替える際の目標とする光源11の駆動期間Hである目標駆動期間Hx(目標赤色LED駆動期間Hrx,目標緑色LED駆動期間Hgx,目標青色LED駆動期間Hbx)を算出する。
目標駆動期間Hxは、後述するステップS16aによって切り替える前の表示期間Aである切替前表示期間割合Aoと、後述するステップS16aによって切り替える際の目標とする表示期間Aである目標表示期間割合Axから式3により求められる。本実施形態においては、切替前表示期間割合Aoが1.0(100%)であり、目標表示期間割合Axが0.5(50%)であるので、目標駆動電流Ixは切替前駆動電流Ioの0.5倍になる。
【数3】
【0041】
ステップS15において、制御部90は、上記の計算の算出が終了後、どのタイミングで(例えば算出後3フレーム後から)切り替えを行うかを予め記憶部に記憶されたデータに基づき、照明制御部91と表示制御部92との切り替えタイミングの同期を行う。
【0042】
ステップS15において調整されたタイミングで、制御部90は、表示制御部92を介して行う表示素子30の各ミラーEの表示期間割合Aの切り替え(S16a)と、照明制御部91を介して行う光源11の駆動タイミング、駆動電流I、駆動期間Hの切り替え(S16b)と、を以下に示すように同時に行う。
ステップS16aにおいて、制御部90は、表示制御部92を介して、表示素子30の各ミラーEの表示期間割合Aを切替前表示期間割合Ao(1.0(100%))から目標表示期間割合Ax(0.5(50%))に切り替え、非表示期間Fbにおいて、ステップS11において算出した非表示期間内オン期間Fbpになるようにオン/オフ駆動をさせる。
ステップS16aにおいて、表示期間割合Aが切替前表示期間割合Aoから目標表示期間Axに切り替えられると、サブフレームSFのタイミングもそれに基づき変更される。
【0043】
ステップS16bにおいて、制御部90は、照明制御部92を介して、光源11の駆動タイミングをステップS16aにより変更されたサブフレームSFのタイミングに合わせ、さらに光源11の駆動電流I(赤色LED駆動電流Ir,緑色LED駆動電流Ig,青色LED駆動電流Ib)を目標駆動電流Ix(目標赤色LED駆動電流Irx,目標緑色LED駆動電流Igx,目標青色LED駆動電流Ibx)に切り替え、光源11の駆動期間H(赤色LED駆動期間Hr,緑色LED駆動期間Hg,青色LED駆動期間Hb)を目標駆動期間Hx(目標赤色LED駆動期間Hrx,目標緑色LED駆動期間Hgx,目標青色LED駆動期間Hbx)に切り替える。
【0044】
以上の構成により本実施形態の車両用表示装置1は、表示素子30の温度Tが予め記憶部に記憶された第一温度閾値T1以上になった際、記憶部に記憶された表示期間割合Aの温度特性に基づき、フレームF内に非表示期間Fbを設け、この非表示期間Fbにおいて、表示素子30の各ミラーEを、フレームF内のオン駆動とオフ駆動の割合が略均等(フレーム内オン駆動割合Pが0.5(50%))になるようにオン/オフ駆動させることにより、個々のミラーEが持つヒンジ(ミラーEの支点)にかかる負担をオン駆動側とオフ駆動側とで均等にし、ミラーEがオン/オフどちらかの状態で固着されるのを抑制でき、高温環境下で使用しても表示素子30の寿命を長く保つことができる。さらに、表示素子30の表示期間割合Aの切り替えに基づき、光源11の駆動タイミングと駆動電流Iと駆動期間Hを切り替えるので、温度Tが第一温度閾値T1以上になり、フレーム内オン駆動割合Pが変更されても虚像V(表示画像M)の表示輝度の変化を防止することができ、車両運転者3が違和感を覚えることを抑制することができる。
【0045】
また、上記実施形態において、表示素子30の温度Tが第一温度閾値T1以上になった際のフレーム内オン駆動割合Pを50%に設定したが、フレーム内における個々のミラーEのオン駆動が49%、オフ駆動が51%のように、オフ駆動の期間をオン駆動の期間より若干長くすることが望ましい。
斯かる構成により、仮にミラーEが固着した場合でも、ミラーEがオン駆動の状態で固着する可能性を極端に低下させることができ、つまりは照明光Cをスクリーン50側へ反射する輝点欠陥の発生する可能性を極端に低下させることができる。よって、本実施例における車両用表示装置を視認するものが輝点欠陥(表示)を注視し、運転に対する集中力が低下することを抑制することができる。
また、同様の理由から、フレームF内における非表示期間Fbを、表示期間Faより長く設定することが望ましい。
【0046】
以上が本発明における第1実施形態であったが、これより図を用いて、変形例を説明する。
【0047】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態における車両用表示装置1のフローチャートであり、
図12は、
図11におけるステップS26の後の表示素子30と光源11の動作を表したタイムチャートである。第1実施形態において、光源11の駆動タイミングと駆動電流Iと駆動期間Hを同時に変更したが、ステップS26aにより表示素子30の各ミラーEの表示期間割合Aを切り替え、ステップS26bにより、表示期間割合Aの切り替えに合わせて、光源11の駆動タイミングを切り替え、その後のステップS27において、光源11の駆動電流Iと駆動期間HをサブフレームSFに合わせ、目標駆動電流Ixと目標駆動期間Hxに切り替えてもよい。S26a,S26bにおいては、表示素子30の各ミラーEの表示期間割合Aの切り替えに基づき、光源11の発光タイミングを調整しただけなので、表示素子30による表示画像Mの輝度は切り替え前と変わらない。
【0048】
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態における車両用表示装置1のフローチャートであり、
図14は、
図13におけるステップS35の後の表示素子30と光源11の動作を表したタイムチャートである。ステップS35において、表示期間割合Aが目標表示期間割合Axになった場合のサブフレームSFの期間に合うように、光源11の駆動電流Iと駆動期間Hを、目標駆動電流Ixと目標駆動期間Hxに切り替え、その後のステップS37aにより表示素子30の各ミラーEの表示期間割合Aを切り替え、ステップS37bにより、表示期間割合Aの切り替えに合わせて、光源11の駆動タイミングを切り替えてもよい。
【0049】
また、表示期間割合Aを切り替える温度Tの閾値を第一温度閾値T1のみとしていたが、
図21に示すように、第2温度閾値T2をさらに設け、ヒステリシス制御特性を持たせてもよい。このようにヒステリシス制御特性を持たせることにより、閾値付近における温度データTの揺らぎによる表示期間割合Aの揺らぎを軽減できる。