【実施例】
【0014】
図1は本発明の一実施例を示す4色両面同時印刷オフセット機の要部拡大側面図、
図2は同じく本発明の作用時における不具合の一例を示す説明図、
図3は同じく4色両面同時印刷オフセット機の全体側面図である。
【0015】
図1及び
図3に示すように、4色両面同時印刷オフセット機(両面印刷機)の印刷部1では、紙くわえ(保持)装置(図示せず)を備えているゴム圧胴(第1印刷胴)2と紙くわえ(保持)装置を備えていないゴム胴(第2印刷胴)3とが略水平に支承されており、各々の周面が対接している。また、ゴム胴3がゴム圧胴2の側方に位置して対接し、ゴム圧胴2が排紙部(排出部)16側に、ゴム胴3が給紙部15側に配設されている。
【0016】
そして、ゴム圧胴2の周面には4つの版胴4が配置され、またゴム胴3の周面にも4つの版胴5が配置されている。これらの版胴4,5に対し接近・離反できるようにインキユニット6,7が移動可能に設けられ、版胴4,5に接した状態でインキや水の供給を行えるようになっている。前記ゴム圧胴2、版胴4、ゴム胴3及び版胴5が紙(シート)Wの両面に同時印刷を施す印刷部を構成する。
【0017】
また、ゴム圧胴2とゴム胴3の対接箇所である印刷箇所P1よりもゴム圧胴2の回転方向上流側であるゴム圧胴2の上側には、紙くわえ(保持)装置を備えて、見当部8からゴム圧胴2へ紙Wを受け渡す4つの渡胴9〜12が配設されると共に、印刷箇所P1よりもゴム圧胴2の回転方向下流側であるゴム圧胴2の下側には、紙くわえ(保持)装置を備えて、ゴム圧胴2から後述するデリバリーチェーン17へ紙Wを受け渡す渡胴13が設けられる。
【0018】
前記見当部8へはフィーダーボード14を介して給紙部(供給部)15から紙Wが供給される一方、前記渡胴13からは図示しない爪竿(チェーングリッパ)を備えたデリバリーチェーン17を介して排紙部16の排紙パイル21上へ紙Wが搬送される。即ち、デリバリーチェーン17の紙搬送方向上流側のデリバリー胴(排紙胴)17aが渡胴13の下側に対接して当該渡胴13から紙Wが受け渡されるのである。前記渡胴13及びデリバリーチェーン17(デリバリー胴17a,17bを含む)が紙(シート)Wを保持して排紙部16へ搬送する搬送手段を構成する。
【0019】
また、前記デリバリーチェーン17は、その上流側のデリバリー胴17aをゴム圧胴2の下方に配置してゴム圧胴2とゴム胴3との対接箇所の下方空間を横断することなく当該デリバリー胴17aよりも排紙部16側へ図中左方にフロアに沿って配置される。
【0020】
図示例では、ゴム圧胴2とゴム胴3とは3倍胴で、4つの渡胴9〜12と4つの版胴4と4つの版胴5とデリバリー胴17aとは1倍胴で、渡胴13は2倍胴でそれぞれ構成される。
【0021】
そして、前記渡胴13により搬送される紙Wの一方の面(表面)の印刷状態を検出する検出手段としての第1検査カメラ25が、一対の照明器26と伴に当該渡胴13の排紙部16側に位置して、渡胴13を指向するように斜め上向きに配設される一方、デリバリー胴17aにより搬送される紙Wの他方の面(裏面)の印刷状態を検出する検出手段としての第2検査カメラ27が、一対の照明器28と伴に当該デリバリー胴17aの給紙部15側に位置して、デリバリー胴17aを指向するように斜め下向きに配設される。
【0022】
前記第1検査カメラ25(一対の照明器26も含めて)は、2倍胴からなる渡胴13の周面において、ゴム圧胴2と渡胴13との対接箇所(シート受け渡し箇所P2参照)から本機械で印刷できる最大紙の天地方向長さLと同じ位置又はLを越えた位置で、紙Wの印刷状態を検査できるように配置されている。尚、第1及び第2検査カメラ25,27としては、CCD−ラインカメラやCCD-ラインセンサなどの光学的/電子的撮影装置が採用される。
【0023】
また、前記ゴム圧胴2におけるゴム胴3との対接箇所(印刷箇所P1参照)より同ゴム圧胴2の回転方向下流側でかつ渡胴13との対接箇所(シート受け渡し箇所P2参照)よりも同ゴム圧胴2の回転方向上流側の周面に対向して同ゴム圧胴2の周面を洗浄する第1ブランケット洗浄装置(洗浄装置)29が配設されると共に、前記ゴム圧胴2に対接するゴム胴3おけるゴム圧胴2との対接箇所(印刷箇所P1参照)より同ゴム胴3の回転方向下流側でかつ最下位置の版胴5との対接箇所(インキ供給箇所P3参照)よりも同ゴム胴3の回転方向上流側の周面に対向して同ゴム胴3の周面を洗浄する第2ブランケット洗浄装置30が配設される。尚、第1及び第2ブランケット洗浄装置29及び30は、印刷が終了したときにゴム圧胴2及びゴム胴3のブランケットにブラシ又は布を接触させてインキを除去する装置である。
【0024】
このように構成されるため、給紙部15から供給されて見当部8によって位置決めされた紙Wは、図中矢印で示す経路、即ち、渡胴9〜12,ゴム圧胴2,渡胴13,デリバリー胴17aの順に各周面に沿って搬送され、ゴム圧胴2とゴム胴3の対接箇所(印刷箇所P1参照)を上方から下方に向い通過するときにその両面に同時に印刷が施されることになる。
【0025】
前記印刷後の紙Wは、デリバリーチェーン17によって
図3中のデリバリー胴17bへと向けて順次搬送され、排紙部16の所定の排紙パイル21上に紙積みされる。
【0026】
そして、本実施例では、紙Wが渡胴13により搬送される時に、その表面の印刷状態が第1検査カメラ25で検出される一方、紙Wがデリバリー胴17aにより搬送される時に、その裏面の印刷状態が第2検査カメラ27で検出される。
【0027】
この際、渡胴13においては、第1検査カメラ25(一対の照明器26も含めて)が、2倍胴からなる渡胴13の周面において、ゴム圧胴2と渡胴13との対接箇所(シート受け渡し箇所P2参照)から本機械で印刷できる最大紙の天地方向長さLに達した位置又は若干越えた位置で、紙Wの印刷状態が検査される。
【0028】
これにより、紙Wの紙尻がゴム圧胴2と渡胴13との対接箇所(シート受け渡し箇所P2参照)から完全に抜け出て、紙Wの安定した搬送状態下で検査が行われるので、高精度な検査が行える。
【0029】
即ち、
図2に示すように、紙Wの紙尻がゴム圧胴2と渡胴13との対接箇所(シート受け渡し箇所P2参照)から抜け出てない場合は、紙Wの紙尻側がゴム圧胴2の粘着力によりゴム圧胴2と渡胴13との対接箇所を通過しても未だゴム圧胴2に付着した状態が生起されるので、紙Wの張力が安定しない状態での検査となり、正確な検査が行えないのであるが、本実施例ではそれが回避されるのである。
【0030】
このようにして本実施例によれば、両面印刷後直ぐに検査を行えるので、不良紙の発生後即機械を停止することができ、無駄に機械の運転を継続してヤレ紙が増大するのを回避することができる。また、渡胴13やデリバリー胴17a等の既設の胴配列を利用するなどして検査を行えるので、部品点数の削減により機械の大型化を回避することができると共にコストダウンを図ることができる。
【0031】
勿論、本実施例では、両面印刷後排紙までの間で両面品質検査をインラインで行えるので、設置スペースや機械全長の増大を招くこともない。
【0032】
また、本実施例のように、ゴム圧胴2やゴム胴3の周囲に多数の版胴4,5を配置する所謂サテライト型の胴配列においては、ゴム圧胴2やゴム胴3の周面にアクセスできる箇所が限定されるが、紙Wに印刷が施されるゴム圧胴2とゴム胴3との対接箇所(印刷箇所P1参照)とゴム圧胴2と渡胴13との対接箇所(シート受け渡し箇所P2参照)との間に当該ゴム圧胴2の周面にアクセスできる箇所(空間)が生じる。
【0033】
そこで、本実施例では、上記空間を利用して第1ブランケット洗浄装置(洗浄装置)29を配置するようにしたので、設計上頗る優位である。即ち、この位置に第1ブランケット洗浄装置(洗浄装置)29を配置できるのは、第2検査カメラ27による検査位置をデリバリー胴17aに設定したからである。
【0034】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、胴配列やインキ色の変更等各種変更が可能であることはいうまでもない。