【実施例】
【0025】
実施例1
図1〜
図4、主として
図4を参照して、マニホルドパッド111の製造方法200の一つの非限定的な理論上の例を提供する。最初に、202に示されるとおり、マニホルド部材112及び放射線不透過剤114を提供する。
【0026】
マニホルド部材112は、マニホルド部材について前述した材料のいずれであってもよい。さらなる非限定的な例としては、KCIから入手可能なGranufoam(登録商標)材又はGranufoam(登録商標)silver材が挙げられる。次に気化性形態又は溶液ベースの形態の放射線不透過剤材料114をマニホルド部材112に適用する。例えば、分子状ヨウ素(I
2)を放射線不透過剤又は放射線不透過性の気化性物質として用い得る。
【0027】
放射線不透過剤114(例えば、放射線不透過性の気化性物質)は、マニホルド部材112に対し、例えばストラット124上に、物理蒸着などの任意の好適な技法を用いて適用される。従って方法200では、204に示されるとおり、マニホルド部材112と放射線不透過剤114とを加熱して蒸着させる。放射線不透過剤114は同様に他の方法でも適用され得る。用いる手法に関わらず、相互接続するストラット124の一部分、又はその実質的な大部分、例えば>80%又は>90%又は>95%が、放射線不透過剤114で被覆される。
【0028】
マニホルド部材112及び放射線不透過剤114が置かれるチャンバの温度は、摂氏約70度〜90度、及びより典型的には摂氏80度〜90度の高温まで昇温される。この高温は第1の期間、例えば3〜6時間、及びより典型的には4〜5時間にわたり維持される。圧力は実質的に大気圧、例えば約101.325kPa(海面位)に維持される。
【0029】
第1の期間の後、206に示されるとおり、マニホルド部材112はここでマニホルド部材112の少なくとも一部と連係した放射線不透過剤114を有し、そのマニホルド部材112を取り出して、通風又は冷却によりほぼ室温、例えば概して68°F(20℃)〜77°F(25℃)の範囲にする。208に提案されるとおり、次にマニホルド部材112を再びチャンバに置き、典型的には摂氏70度〜110度の範囲、及びより典型的には、この例では摂氏約80度の高温に第2の期間にわたり加熱して、過剰なヨウ素、例えば未結合のヨウ素を取り除く。この時点におけるこの例の結果は、約27〜31%(マニホルドパッドの質量)のヨウ素が放射線不透過剤114としてマニホルド部材112に堆積していなければならない。
【0030】
次にステップ210でマニホルド部材112は洗浄され得る。例えば、マニホルド部材112を水洗液に2又は3時間入れてもよい。質量損失をモニタし得る。次にステップ212で放射線不透過剤114を有するマニホルド部材112を乾燥し、マニホルドパッド111としての使用準備が整う。マニホルドパッド111は、減圧を分配するよう機能し、抗菌体として働き、及び放射線不透過性である。
【0031】
実施例2
第2の非限定的な例では、マニホルド部材112としてGranufoam(登録商標)材のサンプルを使用した。このサンプルを、放射線不透過剤114又は放射線不透過性の気化性物質の形成に用いた固体ヨウ素と共にチャンバに置いた。サンプル及びヨウ素は、チャンバ内に表1に示すとおりの様々な温度で2時間保持した。固体ヨウ素を使用したため、手順はドラフトで実施した。取り出すと、マニホルド部材112はここでヨウ素が堆積しており、それを室温で一晩通風させた。通風後、サンプルを100℃に15分間加熱して未結合のヨウ素、又は過剰なヨウ素を除去した。ヨウ素のGranufoam(登録商標)材との結合に対する温度の影響を以下の表1に示す。ラジオグラフィを使用して、得られたサンプルの放射線不透過性を確認した。
【0032】
【0033】
実施例3
第3の非限定的な例では、マニホルド部材112として銀を含む発泡体のサンプル、例えばGranufoam(登録商標)−Silverを使用した。サンプルを、放射線不透過剤114又は放射線不透過性の気化性物質としての固体ヨウ素と共にチャンバに置いた。サンプル及び放射線不透過性の気化性物質は、チャンバ内に表2に示すとおりの様々な温度で2時間保持した。ヨウ素の堆積に加え、銀及びヨウ素が関わる化学反応が起こり、ヨウ化銀(AgI)塩になる。この塩は、マニホルド部材112が洗浄されても、大部分の放射線不透過剤をその場に保つのに役立つ。
【0034】
取り出すと、発泡体サンプルはここでそれに連係したヨウ素を有し、その発泡体サンプルを室温で一晩通風した。通風後、サンプルを100℃に15分間加熱して未結合のヨウ素、又は過剰なヨウ素を除去した。ヨウ素とGranufoam(登録商標)Silver材との結合に対する温度の影響を表2に示す。ラジオグラフィを使用して、得られたサンプルの放射線不透過性を確認した。
【0035】
【0036】
実施例4
第4の非限定的な例では、上記の実施例2及び実施例3、すなわちGranufoam(登録商標)及びGranufoam(登録商標)Silverの放射線不透過剤114としてのヨウ素との間の100℃での反応に従い調製したGranufoam(登録商標)材のサンプルを提供した。サンプルを脱イオン水中に3時間置いた。サンプルを水から取り出し、セパレータを備える遠心機の円錐管に置き、3000r.p.mで30分間遠心した。次に、モニタしている質量から一定の重量に達したことが示されるまで、サンプルを60℃で乾燥した。未処理の(ヨウ素で処理していない)マニホルド部材、例えばGranufoam(登録商標)及びGranufoam(登録商標)−Silverのサンプルを、対照としてとった。元の発泡体重量並びに水処理及び乾燥後の発泡体重量を表3に示す。
【0037】
表3が示すとおり、100℃でヨウ素処理したGranufoam(登録商標)材のサンプルは、水での処理後にその質量の約18%が失われた。Granufoam(登録商標)Silverのサンプルはその重量の僅か約3.5%が失われたに過ぎなかった。未処理のGranufoam(登録商標)材及びGranufoam(登録商標)−Silver材の重量は水での処理に影響を受けない。ラジオグラフィを使用して、得られたサンプルの放射線不透過性を確認した。
【0038】
【0039】
Granufoam(登録商標)ヨウ素発泡体は、最初は発泡体によるヨウ素の物理的吸収が主因となって重量が増加するが、次にヨウ素の一部が水により除去され、そのため水でリンスした後は軽くなる。Granufoam(登録商標)−Silver−ヨウ素の場合、ヨウ素の物理的吸収に加え、銀及びヨウ素が関わる化学反応が起こってヨウ化銀(AGI)塩となる。この塩は不溶性で、洗浄の間に除去されず、しかし他の部分、例えば吸収された部分が、少なくとも一部は除去され得る。
【0040】
実施例5
マニホルド部材112、例えば発泡体により吸収される放射線不透過剤114、例えばヨウ素の量は、反応温度及び曝露時間の双方を変えることにより調整、又は調節することができる。第5の非限定的な例は、少なくとも一部においてこの効果を実証する。発泡体サンプルのGranufoam(登録商標)発泡体及びGranufoam(登録商標)Silver発泡体を提供した。発泡体サンプルを、放射線不透過剤としてのヨウ素と共にチャンバに入れた。チャンバの圧力は実質的に大気圧レベルに維持した。次に、発泡体サンプルをチャンバから取り出し、上記で実施例2に説明する手順に従い通風した。
【0041】
表4に示すとおり、概して反応温度及び曝露時間が増加するほど、発泡体サンプルにおけるヨウ素の吸収が多くなる。サンプルの各々は、処理したGranufoam(登録商標)Silverサンプルである。ラジオグラフィを使用して、得られたサンプルの放射線不透過性を確認した。特に、発泡体はブタの皮膚上に置かれ、動物の下にX線フィルムが位置した。以下のX線パラメータ:74kVp、76〜80mAhで像を取得した。
【0042】
【0043】
実施例6
先述のとおり、マニホルドパッド111は微生物の増殖を阻害する働きをし得る。ある試験において、マニホルドパッド111の例示的な非限定的例の抗菌特性を検討した。この例では、Granufoam(登録商標)発泡体及びGranufoam(登録商標)−Silver発泡体をマニホルド部材112として使用して作製した、及びヨウ素を放射線不透過剤114として使用したマニホルドパッド111のサンプルを使用した。実験では、微生物増殖の阻害領域を計測した。例えば処理したGranufoam(登録商標)発泡体及びGranufoam(登録商標)−silver発泡体の、マニホルドパッド111のサンプルを、厚さ5mm及び直径8mmの断片に予め切断し、エチルアルコールで洗浄した。乾燥したサンプルの重量は0.009〜0.01gの範囲で様々であった。発泡体サンプルをチャンバに、固体ヨウ素の層の約3センチメートル上方において90℃で2時間置いた。ヨウ素との反応後の発泡体サンプルの質量は、0.022〜0.023gの範囲であった。サンプルの一部を滅菌水で2時間洗浄し、一晩乾燥させた。洗浄及び乾燥したサンプルの重量は、0.012〜0.013gの範囲であった。
【0044】
American Type Culture Collection(ATCC)の培養物である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC(登録商標)番号#33591)(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)種)及び大腸菌(ミグラ)カステラーニ・アンド・シャルマース(Escherichia coli(Migula)Castellani and Chalmers)(ATCC(登録商標)番号#10536)を含水させて、次に増殖プレートにストリーキングし、ブロス溶液中37℃で18時間接種した。これらの生物は、Manassas,VirginiaのAmerican Type Culture Collection(www.atcc.org)から入手可能である。2つの菌株の各々について2〜4×10
7CFU/mlに達するまでプレートをインキュベートした。試験を先に進める前に、API同定ストリップを使用して細菌種を確認した。
【0045】
滅菌ピンセットを使用して発泡体サンプルを100mmプレートに移した。発泡体サンプルを滅菌鉗子で優しく押して、各発泡体サンプルが寒天表面に付着したことを確かめた。125μlの生理食塩水を発泡体サンプルの上面に投与して含水させ、抗菌剤をフラッシュして発泡体に通した。プレートを室温に約30分間保持した。次にプレートを反転させた位置にして37℃で18時間インキュベートした。インキュベーション後、各皿に関してクリアな領域を計測した。細菌の増殖が起こらなかった領域(阻害領域)が、細菌増殖の阻害に必要な薬物の最小濃度に対応した。対応してG(+)及びG(−)微生物に有効な標準として30μgのバンコマイシン及び10μgのゲンタマイシンをとった。平均阻害領域を表5に示す。マニホルドパッド(この場合、ヨウ素で処理した発泡体サンプル)は極めて高い抗菌効果−抗生物質標準の効果に優る−を示す。
【0046】
【0047】
ヨウ素が好ましいが、他の放射線不透過剤114を使用してもよい。例えば、臭素、ヨウ素の臭素との組み合わせ、及び高原子番号を有する何らかの他の元素(バリウム塩)が放射線不透過性を提供し得る。物理蒸着を使用してもよく、本例ではそれが示されるが、また放射線不透過剤を溶液ベースの形態で使用して、水洗液で適用してもよい。高含量のヨウ素の何らかのポリマーを使用してもよい。このポリマーを有機溶媒に溶解し、コーティングとしてGranufoam(登録商標)材に適用することができる。同様に、他の放射線不透過性の生体適合性材料、例えば、チタン、タンタル、ストロンチウムを、金属塩又は結合塩のいずれかで、コーティングに作用する好適な方法を用いてマニホルド部材に適用することができる。別の例示的な非限定的実施形態では、マニホルド部材はポリビニルアルコール発泡体、例えばホワイトフォーム(White Foam)であってもよく、使用し得るが、しかしヨウ素又は他の放射線不透過剤は、典型的には製造中に適用され得る。
【0048】
本発明及びその利点は、特定の例示的な非限定的実施形態との関連において開示したが、様々な変更、置き換え、並べ換え、及び改変を、添付の特許請求の範囲により定義されるとおりの本発明の範囲から逸脱することなく行い得ることは理解されなければならない。いずれか一つの実施形態に関係して説明される任意の特徴が、任意の他の実施形態にも適用可能であり得ることは理解されるであろう。
【0049】
上記に説明する利益及び利点は一実施形態に関連することもあり、又はいくつかの実施形態に関連することもあることは理解されるであろう。さらに、「一つの(an)」項目に対する言及が、そうした項目の1つ以上を指すことが理解されるであろう。
【0050】
本明細書で説明する方法のステップは、任意の好適な順序で実施されても、又は適切な場合には同時に実施されてもよい。
【0051】
適切な場合には、上記に説明する例のいずれかの態様を、他の説明される例のいずれかの態様と組み合わせることで、同等の又は異なる特性を有し、且つ同じ又は異なる問題に対処するさらなる例を形成してもよい。
【0052】
上記の好ましい実施形態の説明は単に例として提供されるに過ぎず、当業者により様々な変形例が作成され得ることは理解されるであろう。上記の明細書、例及びデータは、本発明の例示的実施形態の構造及び使用についての完全な説明を提供する。本発明の様々な実施形態が、ある程度の具体性をもって、又は1つ以上の個別の実施形態を参照して上記に説明されるが、当業者は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく開示される実施形態の変形例を数多く作成し得る。