(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子部品を一列で搬送する搬送経路の搬送端と、電子部品を保持及び離脱させる2個の保持部を有し、2個の電子部品を一括して同時に処理する処理ユニットに電子部品を受け渡す保持装置との間に設けられ、電子部品の列の延長線に交差する直線方向に移動する移動体を有し、
前記移動体に、電子部品が一つずつ載置される載置部が、2個設けられ、
前記2個の載置部は、前記移動体の移動に従って前記搬送端に順次位置決めされることにより、前記搬送端から一つずつ受け取った電子部品を前記2個の保持部に一括で渡し、又は前記2個の保持部から一括で受け取った電子部品を前記搬送端に一つずつ渡し、
前記移動体は、
前記搬送経路の搬送端に、前記載置部のうち一方が対向する位置と、前記載置部のうち他方が対向する位置との間を往復移動し、
前記搬送経路の搬送端に接する受取位置と、前記保持部の直下に前記載置部に載置された前記電子部品が来る受渡位置との間を往復移動する
ことを特徴とする中継装置。
電子部品を一列で搬送する搬送経路の搬送端と、電子部品を保持及び離脱させるN(N≧3)個の保持部を有し、N個の電子部品を一括して同時に処理する処理ユニットに電子部品を受け渡す保持装置との間に設けられ、
電子部品の列の延長線に交差する直線方向に移動する移動体を有し、
前記移動体に、電子部品が一つずつ載置される載置部が、N個設けられ、
前記N個の載置部は、前記移動体の移動に従って前記搬送端に順次位置決めされることにより、前記搬送端から一つずつ受け取った電子部品を前記N個の保持部に一括で渡し、又は前記N個の保持部から一括で受け取った電子部品を前記搬送端に一つずつ渡し、
前記移動体は、
前記保持装置の保持部の配置方向と平行な方向に並べて配置された前記N個の載置部のいずれかが、前記移動体の移動に従って前記搬送経路の搬送端に順次位置決めされるように前記保持装置の保持部の配置方向に対して平行移動し、
前記搬送経路の搬送端に接する受取位置と、前記保持部の直下に前記載置部に載置された前記電子部品が来る受渡位置との間を往復移動する
ことを特徴とする中継装置。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の検査装置の全体構成を示す簡略平面図である。
【
図3】加熱テーブルの載置手順例を示す説明図である。
【
図4】中継装置における移動体の吸引部を示す説明図である。
【
図6】中継装置の中継動作の他の例を示す説明図である。
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態は、電子部品を搬送する搬送装置と、供給装置と搬送装置との間で電子部品を中継する中継装置、この搬送装置及び中継装置を用いた検査装置である。
【0019】
図1は、検査装置1の概略構成を示す平面図、
図2は、保持装置22の側面図、
図3は、加熱テーブルの説明図、
図4は中継装置5の平面図(A)、側面図(B)、
図5は中継装置5の動作説明図である。
【0020】
[電子部品]
本実施形態の検査対象となる電子部品は、電気製品に使用される部品であり、半導体素子等がパッケージングされてなる。半導体素子としては、トランジスタやダイオードやコンデンサや抵抗等のディスクリート半導体や集積回路等が挙げられる。
【0021】
[全体構成]
検査装置1は、
図1に示すように、搬送装置2及び処理ユニット3を有する。搬送装置2は、電子部品Wを回転搬送する装置である。搬送装置2は、
図1及び
図2に示すように、回転体21、保持装置22を有する。回転体21は、回転軸を中心に所定角度ずつ間欠回転する。保持装置22は、電子部品Wを保持する装置である。保持装置22は、回転体21の回転軸周りに、間欠回転の間隔と同間隔で複数配置される。
【0022】
処理ユニット3は、回転体21の周囲の停止位置に配置され、電子部品Wに各種の処理を行う装置である。この処理ユニット3は、2個の電子部品Wを一括して検査する検査ユニットを含む。
【0023】
さらに、検査装置1には、供給装置4、中継装置5が設けられている。供給装置4は、電子部品Wを一つずつ供給する装置である。供給装置4は、電子部品Wが一列で搬送される搬送経路41を有する。
【0024】
中継装置5は、搬送経路41の搬送端41aと、保持装置22との間に設けられ、搬送端41aから保持装置22へと電子部品Wを中継する装置である。以下、各装置の構成を詳説する。
【0025】
[搬送装置]
(回転体)
回転体21は、ターンテーブルである。ターンテーブルは、水平な円盤状の部材である。回転体21は、図示しない駆動源によって間欠回転する。駆動源は、例えば、ダイレクトドライブモータである。つまり、回転体21の回転軸は、下方に配置されたダイレクトドライブモータの駆動軸で支持されており、ダイレクトドライブモータの作動に伴って間欠回転がなされる。
【0026】
(保持装置)
保持装置22は、
図2に示すように、2個の保持部221,222を有する。保持部221、222は、それぞれ電子部品Wを1個ずつ保持する部材である。保持部221、222は、例えば、回転体21の下方に鉛直方向に伸びた2本の吸着ノズルである。
【0027】
吸着ノズルは、下方に向かう先端が開口した中空状の筒である。吸着ノズルの内部は、図示しない真空発生装置の空気圧回路に、チューブを介して連通している。このため、吸着ノズルは、真空発生装置による負圧の発生によって先端に電子部品Wを吸着し、真空破壊又は正圧の発生によって先端から電子部品Wを離脱させる。
【0028】
保持部221、222の上部は、回転体21の下部に、支持部223により支持固定されている。保持部221、222は、Z軸機構224により、回転体21の回転平面に垂直な上下方向に、個別に移動可能に設けられている。Z軸機構としては、シリンダ、カムとスプリングによるカム機構等、種々のものが適用可能である。
【0029】
複数の保持部装置22の配置間隔は、回転体21の間欠回転の1ピッチと等しい。また、2つの保持部221、222は、平面方向から見て、回転体22の回転軸周りの円周の接線上に並んでいる。
図1の例では、保持装置22は12個設けられており、保持部222、223は合計24個ある。
【0030】
このような搬送装置2では、保持部221、222によって、電子部品Wを保持しつつ、回転体21を間欠回転させることにより、電子部品Wが搬送される。また、この間欠回転における停止位置において、処理ユニット3による処理が行われる。
【0031】
(処理ユニット)
処理ユニット3は、
図1に示すように、回転体21の周囲における停止位置に配置されている。これらの処理ユニット3には、2個の電子部品を一括して同時に処理する装置が含まれる。本実施形態は、処理ユニットとして、回転体21の回転方向に順に、裏面外観検査ユニット31、排出ユニット32、上面外観検査ユニット33、方向変換ユニット34、常温テストユニット35a、35b、分類ユニット36、高温テストユニット37、分類ユニット38、良品回収ユニット39を有する。
【0032】
裏面外観検査ユニット31は、2つの電子部品Wの裏面を同時に検査するユニットである。裏面外観検査ユニット31は、カメラによって電子部品Wを撮影し、撮影した画像を解析することにより、表面の傷や汚れの有無、吸着位置の不良の有無を検出する。
【0033】
排出ユニット32は、裏面外観検査ユニット31の検査結果が不良とされた電子部品Wを容器に排出するユニットである。排出ユニット32の容器の上部に到着した保持部221、222は、不良とされた電子部品Wを離脱する。
【0034】
上面外観検査ユニット33は、2つの電子部品Wの上面を同時に検査するユニットである。上面外観検査ユニット33は、カメラによって電子部品Wを撮影し、撮影した画像から電極の方向を確認する。裏面に電極がある場合には、上面のマークを撮影し、電極の方向を確認する。
【0035】
方向変換ユニット34は、後続の特性検査のために、2つの電子部品Wの方向を変換するユニットである。方向変換ユニット34は、2つの電子部品Wを載置する2つのXYθステージを有する。各XYθステージは、ステージ平面に沿った直交2軸方向に移動し、またステージ平面と垂直な軸で回転する。
【0036】
方向変換ユニット34は、保持部221、222から渡された2つの電子部品WをXYθステージに載置し、XYθステージを移動及び回転させることで、電子部品Wの向き及び位置を変換する。方向変換ユニット34は、電子部品Wを撮像するカメラを備えており、画像内の電子部品Wの向き及び位置を解析して、XYθステージの移動量及び回転量を制御する。本実施形態においては、方向変換ユニット34は、電子部品Wを回転体21の回転軸を中心とする同心円の接線方向から、半径に平行な方向に変換する。
図1の回転体21の内円の内側に記載された電子部品Wは、電子部品Wの搬送位置ではなく、電子部品Wの方向を示している。
【0037】
常温テストユニット35a、35bは、常温で電子部品Wの電気特性を測定する電気特性測定ユニットである。この電気特性測定ユニットは、2つの電子部品Wの電極にそれぞれ電気的に接触するコンタクトを有し、2つの電子部品Wに電圧印加又は電流注入を行うことにより、電気特性を検査する。電気特性は、電子部品Wへの電流注入又は電圧印加に対する電圧、電流、抵抗、又は周波数、ロジック信号に対する出力信号等である。2つの常温テストユニット35a、35bは、これらの電気特性の何れかを分担して行う。
【0038】
分類ユニット36は、常温テストユニット35a、35bの測定結果に応じて、電子部品Wを分類し、それぞれを別箇の容器に排出するユニットである。この分類ユニット36は、保持部221、222から離脱した電子部品Wの排出経路を、複数の分類に応じて用意された容器に振り分けるシフト機構を有している。
【0039】
高温テストユニット37は、高温で、2つの電子部品Wの電気特性を測定する電気特性測定ユニットである。この電気特性測定ユニットは、加熱テーブル37aと測定部37bを有する。加熱テーブル37aは、加熱源を有し、載置された電子部品Wを加熱する回転テーブルである。加熱テーブル37aは駆動源により間欠回転する。加熱テーブル37aには、
図3に示すように、保持部221、222の間隔dと同等の間隔となる部分を含むポケットPが、円周等配位置に設けられている。多数の電子部品Wの加熱時間を確保するために、隣接するポケットPの間隔は、保持部221、222の間隔よりも狭くてもよい。但し、保持部221、222から同時にポケットPに載置された2つの電子部品Wは、同時にピックアップされるように、ポケットPが配置され、加熱テーブル37aの間欠回転のタイミングが設定される。測定部37aは、2つの電子部品Wの電極に電気的に接触するコンタクトを有し、加熱テーブル37aで加熱された電子部品Wに電圧印加又は電流注入を行い、電気特性を測定する測定部37aを有している。測定する電気特性は、上記の常温の場合と同様である。
【0040】
分類ユニット38は、高温テストユニット37の測定結果に応じて、電子部品Wを分類してそれぞれを容器に排出するユニットである。この分類ユニット38は、保持部221から離脱した電子部品Wの排出経路を、複数の分類に応じて用意された容器に振り分けるシフト機構を有している。
【0041】
良品回収ユニット39は、良品の電子部品Wを容器に収納するユニットである。
【0042】
上記の処理ユニット3のうち、裏面外観検査ユニット31、上面外観検査ユニット33、方向変換ユニット34、常温テストユニット35a、35b、高温テストユニット37は、2つの電子部品Wを一括で同時に処理するユニットである。
【0043】
(供給装置)
供給装置4は、電子部品Wを検査装置1に供給するパーツフィーダである。パーツフィーダは、円形の振動パーツフィーダと直線型の供給振動フィーダとを組み合わせて、電子部品Wを1列に整列させて連続的に供給する装置である。供給装置4は、直線状で電子部品Wの移動が一列となるように左右方向及び上下方向がガイドされる搬送経路41を有している。搬送経路41の搬送端41aは、回転体21の外周近傍の直下まで伸びている。
【0044】
(中継装置)
中継装置5は、
図4(A)、(B)に示すように、移動体51、載置部52を有する。移動体51は、供給装置4が電子部品Wを一列で搬送する搬送経路41の搬送端41aと、保持装置22との間に設けられている。移動体51が、搬送端41aと保持装置22との間に設けられているとは、搬送端41aが水平方向で隣接し、保持装置22が上方に来る位置に設けられていることをいう。
【0045】
移動体51は、搬送経路41における電子部品Wの列の延長線上に交差する直線方向に移動する。移動体51は、単一のブロックにより形成されている。このブロックは、例えば、回転体21が取り付けられた基台に設けられた直方体形状の部材である。
【0046】
載置部52は、電子部品Wが一つずつ載置される箇所である。載置部52は、移動体51に、保持部221、222と同数の2個設けられている。2個の載置部52は、移動体51の移動に従って搬送端41aに順次位置決めされ、搬送端41aから一つずつ受け取った電子部品Wを2個の保持部221、222に一括で渡す位置に配置されている(
図5参照)。さらに、2個の載置部52は、移動体51の移動方向と平行な方向に並べて配置されている。つまり、2つの保持部221、222の先端の間隔dは、それぞれが2つの載置部52に対向する間隔となっている。これにより、載置部52に載置された電子部品Wを、2つの保持部221、222が一括で保持できる。
【0047】
より具体的には、各載置部52は、直方体形状の移動体51における供給装置4側の2つの隅が、高さ方向に縮厚された切り欠き部分である。各載置部52の内底面は、電子部品Wが1つずつ載置される載置面52aとなっている。各載置部52は、少なくとも搬送端41aに対向する側部と、保持部221、222に対向する上部とは、電子部品Wが通過できる開口となっている。
【0048】
移動体51には、電子部品Wの変位を規制する規制部が設けられている。この規制部は、整列部52b、仕切部52cを有する。整列部52bは、2個の電子部品の方向を、同じ方向に揃える。仕切部52cは、2個の載置部52間の移動を規制する。より具体的には、整列部52b、仕切部52cは、両載置部52を構成する垂直方向の内壁面である。つまり、整列部52bは、移動体51の移動方向と平行な壁面である。仕切部52cは、電子部品Wの搬送方向に平行な壁面である。
【0049】
移動体51は、図示しない基台に設けられた駆動機構によりX軸及びY軸方向に移動可能に設けられている。
Y軸方向は、搬送経路41における電子部品Wの列の延長線上に、水平方向に直交する直線方向である。
X軸方向は、
Y軸方向に水平方向に直交する直線方向である。
【0050】
駆動機構は、軌道やガイドに沿ってスライド移動するX軸移動機構及びY軸移動機構を有する。移動体51のX軸方向、Y軸方向への駆動は、カムとバネを有するサーボ機構により構成できる。つまり、バネは移動体51を一方向に付勢している。そして、サーボモータにより回動する偏心カムが、バネの付勢力に抗して逆方向に付勢する位置と、一方向へのバネの付勢力を働かせる位置との間で回動する。なお、両方向への駆動をカムにより行うこともできる。また、電磁ソレノイドによって進退するピンやプローブ等によって駆動する構成とすることもできる。
【0051】
移動体51は、Y軸方向に移動することにより、供給装置4の供給端に、一方の載置部52が対向する位置と、他方の載置部52が対向する位置との間を往復移動する。また、移動体51は、X軸方向に移動することにより、供給装置4の供給端に接する受取位置と、保持部221、222の直下に載置部52に載置された電子部品Wが来る受渡位置との間を往復移動する。
【0052】
中継装置5は、吸引部53を有している。吸引部53は、各載置部52に電子部品Wを一つずつ吸引保持する。吸引部53は、吸着孔53a、通気経路53bを有する。吸着孔53aは、載置部52に形成されている。例えば、載置面52aにおける整列部52bとの境界部分に形成されている。通気経路53bは、吸着孔53aから移動体51の外部まで連通している経路である。通気経路53bは、真空発生装置の空気圧回路とチューブを介して連通している。このため、吸着孔53aは、真空発生装置による負圧の発生によって電子部品Wを吸着し、真空破壊又は正圧の発生によって吸着を停止する。
【0053】
一方、供給装置4における搬送経路41の搬送端41aの近傍には、ストッパ部54が設けられている。ストッパ部54は、供給される電子部品W以外の電子部品Wの移動を抑制する装置である。
【0054】
ストッパ部54は、基台における供給経路41の直下に設けられた通気経路54aと、これに連通した真空発生装置の空気圧回路とチューブを有する。通気経路54aの上端は、搬送経路41の下部に形成された吸着孔41bに連通している。この吸着孔41bは、搬送端41aにおいて供給される電子部品Wの後続の電子部品Wに対応する位置に形成されている。
【0055】
[動作]
以上のような本実施形態の動作を説明する。なお、本実施形態の検査装置1は、図示しない制御装置によって、回転体21を回転させるダイレクトドライブモータ、保持部221、222を昇降させるZ軸機構224、電磁弁を含む真空発生装置及び各種の処理ユニット3に電気信号を送出することで、これらの動作タイミングを制御している。
【0056】
(全体動作)
検査装置1全体の動作を説明する。まず、中継装置5の載置部52は、搬送経路41から電子部品Wを一つずつ受け取る。そして、保持部221、222が、2個の電子部品Wを一括で保持する。この動作の詳細は、後述する。
【0057】
このように保持部221、222によって保持された2つの電子部品Wは、回転体21の間欠回転の1ピッチずつ、同時に搬送される。
【0058】
2つの電子部品Wの裏面は、裏面外観検査ユニット31によって、同時に外観検査される。検査結果が不良と判断された電子部品Wは、排出ユニット32の上部で、保持部221、222から離脱して、容器に排出される。さらに、2つの電子部品Wは、上面外観検査ユニット32によって、同時に電極の方向が確認される。
【0059】
そして、2つの電子部品Wは、
図1に示すように、方向変換ユニット34によって方向が変換される。次に、2つの電子部品Wは、常温テストユニット35a、35bによって、常温で電気特性を測定される。分類ユニット36においては、常温テストユニット35a、35bにおける検査結果に応じて、電子部品Wが分類されて、各容器に排出される。
【0060】
2つの電子部品Wは、高温テストユニット37の加熱テーブル37aに、同時に載置される。加熱テーブル37aは間欠回転しており、
図3に示すように、保持部221、222に対応する位置に停止した2つのポケットPに、順次載置される。例えば、
図3における(1)、(2)、(3)、(4)、(5)といった順に、電子部品Wが載置されて行く。そして、同時に載置された2つの電子部品Wは、所定の加熱時間が経過したら保持部221、222によって同時に取り出され、検査部37bにおいて測定検査される。
【0061】
分類ユニット38においては、高温テストユニット37の測定結果に応じて、電子部品Wが分類されて、各容器に排出される。さらに、残った良品の電子部品Wは、良品回収ユニット39において離脱され、容器に収納される。
【0062】
(中継動作)
上記の搬送経路41から保持部221、222への中継装置5による電子部品Wの中継動作を、
図4に加えて、
図5を参照して説明する。
【0063】
まず、移動体51は、搬送経路41の搬送端41aから離隔して、一方の載置部52に対向する初期位置にある([1])。この初期位置から、移動体51は搬送端41aに向かって移動して、載置部52の開口が搬送端41aに接する([2])。
【0064】
そして、一列の搬送経路41を経て搬送端41aまで搬送されて来た電子部品Wのうち、先頭の電子部品Wは、吸引部53による負圧の発生により吸引される。このため、電子部品Wは載置部52に移動して、吸着孔53aにより吸着保持される。電子部品Wは載置部52の整列部52bに当接することにより、移動体51の移動方向と平行な方向に整列される。
【0065】
また、このとき、搬送経路41における後続の電子部品Wは、ストッパ部54の負圧制御によって吸着孔41bに保持されている。このため、一つの電子部品Wのみが載置部52に渡される。そして、移動体51は、搬送端41aから離れる方向に移動して、初期位置に戻る([3])。
【0066】
次に、移動体51は、電子部品Wの列方向の延長線上に直交する方向に移動して、搬送端41aに、他方の載置部52が離隔して対向する位置に来る([4])。この位置から、移動体51は搬送端41aに向かって移動して、載置部52の開口が搬送端41aに接する([5])。
【0067】
そして、搬送端41aで待機していた後続の電子部品Wに対して、ストッパ部54が、吸気停止又は正圧とするとともに、吸引部53が負圧とする。このため、電子部品Wが吸引されて載置部52に移動して、吸着孔53aにより吸着保持される。電子部品Wは載置部52の整列部52bに当接することにより、移動体51の移動方向と平行な方向に整列される。つまり、2つの載置部52の2つの電子部品Wは、同じ方向に整列される。また、仕切部52cによって、電子部品Wの移動が規制される。
【0068】
なお、先頭の電子部品Wが移動するとともに、ストッパ部54が負圧とするので、次の電子部品Wが吸着孔41bに保持される。このため、一つの電子部品Wのみが載置部52に渡される。
【0069】
次に、移動体51は、搬送端41aから離れる方向に移動する([6])。このとき、2つの載置部52は、保持部221、222の直下に来る。保持部221、222は、下降して、載置部52にある2つの電子部品Wを保持して上昇する。これにより、通過ポジション52から保持部22に2つの電子部品Wが一括して渡される([7])。その後、移動体51は、初期位置に戻る([8])。
【0070】
このような中継動作を繰り返すことにより、回転体21により搬送される保持装置22の保持部221、222に対して、順次、一括して電子部品Wが渡される。そして、保持部221に整列して保持された2つの電子部品Wに対して、上記のように搬送しながら、各種の処理が行われる。
【0071】
[作用効果]
以上のような本実施形態の中継装置5は、電子部品Wを一列で搬送する搬送経路41の搬送端41aと、電子部品Wを保持及び離脱させる2個の保持部221、222を有する保持装置22との間に設けられ、電子部品Wの列の延長線に交差する直線方向に移動する移動体51を有する。移動体51に、電子部品Wが一つずつ載置される載置部52が2個設けられ、2個の載置部52は、移動体51の移動に従って搬送端41aに順次位置決めされることにより、搬送端41aから一つずつ受け取った電子部品Wを2個の保持部221、222に一括で渡す位置に配置されている。
【0072】
このため、一列で搬送されて来た電子部品Wを、2つの保持部221、222に一括で渡すことができる。このため、供給装置4を2台設ける必要がなくなり、所要スペースを大幅に削減することができる。また、2つの保持部221、222に電子部品Wを一括で渡すことができるので、搬送手段によって一つの電子部品を受け取る毎に一つの保持部221、222への渡しを行う場合に比べて、処理速度を向上させることができる。また、移動体51の移動と位置決めのための構成を簡素化することができる。
【0073】
複数の載置部52は、移動体51の移動方向と平行な方向に並べて配置されている。このため、移動体51の移動に従って、一定方向の配列で電子部品Wを受け取ることができる。
【0074】
複数の載置部52は、2個の電子部品Wの方向を、同じ方向に揃える整列部52bを有する。このため、2個の電子部品Wを、保持部221、222に同じ方向に揃えて渡すことができる。
【0075】
移動体51は、複数の載置部52間の移動を規制する仕切部52cを有する。このため、2つの電子部品Wの位置ズレが防止される。
【0076】
また、本実施形態は、載置部52に電子部品Wを1つずつ吸引保持する吸引部53と、搬送端41aにおいて、受け取る電子部品W以外の電子部品Wの移動を抑制するストッパ部54とを有する。このため、電子部品Wを載置部52に対して1つずつ確実に保持することができるとともに、後続の電子部品Wから確実に切り分けることができる。
【0077】
また、本実施形態の搬送装置2は、回転軸を中心に所定角度ずつ間欠回転する回転体21を有し、回転体21に、保持装置221が、回転軸周りに間欠回転の間隔と同間隔で複数配置されている。そして、回転体21における保持装置221の何れかの停止位置に、2個の電子部品Wを一括して処理する処理ユニット3が配置された検査装置1が構成されている。
【0078】
このため、中継装置5から一括で渡される2つの電子部品を、搬送装置2により搬送しながら、処理ユニット3によって一括で処理することができる。つまり、中継装置5以降の工程を、2個並列で同時処理することができるので、測定条件の均一化と高速処理の両立が可能となる。例えば、加熱テーブル37aへの載置と取り出しを、2個の電子部品Wで同じタイミングとすることができる。従って、2個の電子部品Wの加熱時間が一定となり、測定条件が揃うので、正確な検査が可能となる。
【0079】
[変形例]
載置部52は、電子部品Wを一つずつ載置できればよいため、必ずしも整列部52b、仕切部52cを設ける必要はない。例えば、吸引部53による吸引によって保持され、移動が規制されるのであれば、平坦面若しくは緩やかに窪んだ受け皿形状としてもよい。
【0080】
一方、吸引部53による吸引を省略することもできる。例えば、移動体51が搬送端41aに接した後、搬送装置2から振動等により送り出された一つの電子部品Wが、載置部52に嵌まり込んだ後、移動体21が、列に交差する方向に移動することにより、電子部品Wを掻き取って後続する電子部品Wから切り分ける構成とすることも可能である。
【0081】
また、ストッパ部54については、上記の態様には限定されず、機械的なシャッターとしたり、エアの吹き出しによるエアカーテンとすることもできる。
【0082】
また、中継装置5は、複数の電子部品Wを一括して受け取り、搬送経路41の搬送端41aに一列で渡すこともできる。つまり、2個の載置部52を、移動体51の移動に従って搬送端41aに順次位置決めされることにより、2個の保持部221、222から一括で受け取った電子部品Wを搬送端41aに一つずつ渡す位置に配置してもよい。
【0083】
例えば、
図6の[1]に示す初期状態にある移動体51が、[2]に示すように保持部221、222からの受け取り位置に移動する。そして、[3]に示すように保持部221、222から、2個の載置部52に、2個の電子部品Wを一括で受け取る。受け取った電子部品Wは、[4]〜[7]に示すように、移動体51の移動により、載置部52が搬送端41aに位置決めされる毎に、搬送端41aに渡される。渡された電子部品Wは、振動、傾斜等により移動する。
【0084】
渡し時には、ストッパ部54を負圧として、吸引部53を正圧とすることにより、電子部品Wは載置部52から搬送端41aに移動する。このような搬送経路41としては、テーピングユニットへの導入経路とすることが考えられる。これにより、テーピングユニットを複数設ける必要がなくなり、設置スペース、コストを低減できる。
【0085】
また、電子部品Wの保持部221、222としては、真空の発生及び破壊又は正圧の発生により電子部品Wを吸着及び離脱させる吸着ノズルの他、静電吸着方式、ベルヌーイチャック方式、又は電子部品Wを機械的に挟持するチャック機構を配してもよい。
【0086】
載置部52の数、保持部221、222の数、これらの間隔に対応する間隔となるポケットPの数は、N(N≧3)であってもよく、以下のような態様も構成可能である。中継装置5が、電子部品Wを一列で搬送する搬送経路41aの搬送端41aと、電子部品Wを保持及び離脱させるN(N≧
3)個の保持部221、222…を有する保持装置22との間に設けられ、電子部品Wの列の延長線に交差する直線方向に移動する移動体51を有する。移動体51に、電子部品Wが一つずつ載置される載置部52が、N個設けられ、N個の載置部52は、移動体51の移動に従って搬送端41aに順次位置決めされることにより、搬送端41aから一つずつ受け取った電子部品WをN個の保持部221、222…に一括で渡し、又はN個の保持部221、222…から一括で受け取った電子部品Wを搬送端に一つずつ渡す。
【0087】
この場合、N個の載置部52は、移動体51の移動方向と平行な方向に並べて配置されていてもよい。N個の載置部52は、電子部品Wの方向を、同じ方向に揃える整列部52bを有していてもよい。移動体51は、複数の載置部52間の移動を規制する仕切部52cを有していてもよい。
【0088】
また、検査装置2についても、回転体21における保持装置22の何れかの停止位置に、N個の電子部品Wを一括して処理する処理ユニット3が配置されていてもよい。さらに、処理ユニット3は、加熱された電子部品Wの電気特性を検査する高温テストユニット37を含み、高温テストユニット37は、N個の保持部221、222…によってN個の電子部品Wが同時に搭載され、同時にピックアップされる加熱テーブル37aを有していてもよい。
【0089】
つまり、載置部52は、2個には限定されず、3個以上であってもよく、これによって、生産効率をより一層高めることができる。なお、回転体21より同時処理できる処理ユニット3の配置数等を考慮すると、2個が好ましい。
【0090】
さらに、検査装置1に含まれる各種の処理ユニット3の種類や数、配置順序などは適宜変更可能である。例えば、上記で例示したものの他、接着剤塗布、不良品の強制排出、基板への実装、加熱又は冷却といった温度調整、電子部品Wから延びる端子の形状加工、マーキング等、その他各種の処理ユニット3を設けることができる。
【0091】
つまり、これらの処理ユニット3や処理の内容は、一例を示すものに過ぎず、製品仕様やユーザの目的等に応じて適宜変更がなされるものであり、本発明の必須の構成要素ではない。さらに、例えば、搬送装置2は、直線搬送方式であってもよく、また複数のターンテーブルで一の搬送経路を構成するようにしてもよい。例えば、直線搬送方式の場合に、上記のN個の載置部52の態様を適用することが考えられる。但し、一つの回転体21に処理ユニット3を配置した場合には、2個の電子部品Wを同時搬送する搬送装置2が好ましい。
【0092】
[その他の実施形態]
以上のように本発明の各実施形態及び変形例を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。そして、これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】中継装置5は、電子部品Wを一列で搬送する搬送経路41の搬送端41aと、電子部品Wを保持及び離脱させる2個の保持部221、222を有する保持装置22との間に設けられ、電子部品Wの列の延長線に交差する直線方向に移動する移動体51を有する。移動体51に、電子部品Wが一つずつ載置される載置部52が2個設けられ、2個の載置部52は、移動体51の移動に従って搬送端41aに順次位置決めされることにより、搬送端41aから一つずつ受け取った電子部品Wを2個の保持部221、222に一括で渡す位置に配置されている。