(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高圧放電ランプの出射光効率を高めるには放電容器の全光線透過率を向上させる必要がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、全光線透過率が高いセラミックス製の放電容器を製造する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、発光部と該発光部の両側に細管部を有するセラミックス製の放電容器の製造方法において、
粒子径が比較的大きいアルミナと粒子径が比較的小さいアルミナを、所定の重量比率で混合してアルミナの原料を生成する原料生成ステップと、
前記原料、助剤、及び、水を混合してスラリーを生成するスラリー生成ステップと、
前記スラリーから成形体を形成する成形体形成ステップと、
前記成形体を焼成して放電容器を形成する焼成ステップと、
を有し、
前記粒子径が比較的小さいアルミナの重量比率は、前記粒子径が比較的大きいアルミナの重量比率より大きく、
前記粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径は前記粒子径が比較的小さいアルミナの粒子径の1.8倍より大きく、6.5倍より小さいことを特徴とする。
【0008】
本実施形態によると、前記放電容器の製造方法において、前記粒子径が比較的小さいアルミナの比表面積は前記粒子径が比較的大きいアルミナの比表面積より大きく、前記粒子径が比較的小さいアルミナの比表面積は5〜20m
2/g、前記粒子径が比較的大きいアルミナの比表面積は1〜14m
2/gであってよい。
【0009】
本実施形態によると、前記放電容器の製造方法において、前記粒子径が比較的小さいアルミナの重量比率は、前記粒子径が比較的大きいアルミナの重量比率の1.5倍以上、且つ、3倍以下であってよい。
【0010】
本実施形態によると、前記放電容器の製造方法において、前記粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径は前記粒子径が比較的小さいアルミナの粒子径の2.5倍より大きく、6.5倍より小さくてよい。
【0011】
本実施形態によると、前記放電容器の製造方法において、前記粒子径が比較的大きいアルミナの70wt%は、粒子径が0.450〜0.650μmの範囲にあり、前記粒子径が比較的小さいアルミナの95wt%は、粒子径が0.100〜0.275μmの範囲であってよい。
【0012】
本実施形態によると、前記放電容器の製造方法において、前記粒子径が比較的大きいアルミナの70wt%は、粒子径が0.45〜0.65μmの範囲にあり、前記粒子径が比較的小さいアルミナの75wt%は、粒子径が0.175〜0.325μmの範囲であってよい。
【0013】
本実施形態によると、前記放電容器の製造方法において、前記粒子径が比較的小さいアルミナは、粒子径が互いに異なる複数種類のアルミナを混合した混合アルミナであり、前記粒子径が比較的大きいアルミナは、粒子径が互いに異なる複数種類のアルミナを混合した混合アルミナであってよい。
【0014】
本実施形態によると、前記放電容器の製造方法において、前記アルミナの粒子径は、縦軸を累積通過率又は累積積算率(wt%)、横軸を粒子径(μm)とする積算分布曲線において、累積通過率又は累積積算率が50wt%となる粒子径であってよい。
【0015】
本発明の実施形態によると、セラミックス製の放電容器は、上記製造方法を用いて製造してよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、全光線透過率が高いセラミック製の放電容器を製造する技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0019】
図1Aを参照して本実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの一例を説明する。セラミックメタルハライドランプ100は、透光性外管111と、端部の口金112と、透光性外管111の内部のほぼ中央に配置されたセラミックス製の放電容器130を有する。透光性外管111の内部は圧力10Pa以下の高真空に保持される。本実施形態のセラミックメタルハライドランプ100は、図示のように口金112を上にして垂直に装着される。
【0020】
放電容器130の周囲に透光性スリーブ108が設けられ、その外側に、金属製のフレーム109が設けられている。放電容器130の上側には、始動器110が設けられている。フレーム109の上端には、ゲッタ113が装着されている。
【0021】
フレーム109は、下端のマウント支持板114と上端のステム115の導入線と接続しており、それによって、位置固定される。フレーム109は位置固定用の部材であると同時に電気的接続用の部材を兼ねており、図示しない外部給電システムからの電力をステム115の導入線を介して放電容器130に供給する。
【0022】
図1Bを参照して放電容器130の構造を説明する。放電容器130は中央の発光部130Cとその両端の細管部130A、130Bを有する。細管部130A、130Bには、電流導入体120a、120bがそれぞれ装着されている。電流導入体120a、120bは、タングステン電極123、電流供給体122、及び、リード線121を有する。タングステン電極123は放電容器130の発光部130Cに配置されている。電流供給体122は、耐ハロゲン性中間材122aと導電性サーメット棒122bからなる。
【0023】
リード線121は導電性サーメット棒122bの先端に接続されている。リード線121と導電性サーメット棒122bの接続部は補強材131によって囲まれている。リード線121は細管部130A、130Bの両端より突出している。
【0024】
放電容器130の内部には、発光物質と、水銀および不活性ガスが封入されている。不活性ガスは例えば希ガスであるが本実施例ではアルゴンである。セラミックメタルハライドランプを点灯させると、放電容器130内における放電により、発光物質が加熱され、その一部が蒸発して放電により励起され、発光する。発光物質の残りの部分は、放電容器130の底部の最冷部に液相状態でプールされる。液相の発光物質の一部は蒸発し、放電容器130の内部を対流により循環し、底部の最冷部に戻る。ランプの点灯中はこのようなサイクルが繰り返される。
【0025】
図2を参照して、本実施形態に係る高圧放電ランプ用のセラミックス製の放電容器の製造方法の例を説明する。先ず、ステップS101にて、原材料を秤量する。本実施形態では、原材料として、アルミナ粉末と助剤(酸化マグネシウム)を用いる。アルミナ粉末については後に詳細に説明する。ステップS102にて、スラリーを生成する。アルミナ粉末、助剤、及び、水を混合した原材料を容器に入れ、ボールミルにて10時間混合を行い、スラリーを生成する。ステップS103にて、バインダー添加を行う。スラリーを別の容器に移し、バインダーを加え、更に混合する。ステップS104にて、篩処理を行う。スラリーをナイロン製の篩にかけ、一定以上の大きさの粒子径のアルミナ塊を除去する。本実施形態では、目開き32μmの篩を用いた。ステップS105にて、スラリーの脱泡を行う。真空脱泡装置によりスラリーの気泡を除去する。ステップS106にて、鋳込み成形を行い、成形体を得る。先ず、スラリーを石膏型に充填し、所定の時間保持する。石膏にスラリーの水分が吸収され、型の内面にスラリーの固形分が着肉する。次に、排泥(スラリーの除去)を行うと、型の内面に着肉したスラリーが残る。これを乾燥し、離型し、成形体が得られる。
【0026】
ステップS107にて、成形体の仮焼を行う。即ち、10時間をかけて950℃まで昇温し、その温度で30分間保持する。ステップS108にて、成形体の研磨を行う。成形体の表面には、石膏型10の合わせ目に沿って小さな隆起状のパーティングラインが形成されている。仮焼後の成形体はある程度の硬さを有する。そこで、パーティングラインを研磨除去する。両側の細管部を把持し、成形体を回転させ、表面に1000〜2000番の耐水研磨紙をあてる。
【0027】
ステップS109にて、酸処理を行う。成形体には、石膏の成分である硫酸カルシウム等のカルシウム成分が残存する。カルシウム成分が残存すると、本焼成によりアルミナ粒子が異常成長を起こし、全光線透過率が低下する。そこで、酸処理によってカルシウム成分を除去する。酸処理後は、十分に洗浄を行う。ステップS110にて、成形体を乾燥させる。
【0028】
ステップS111にて、本焼成を行う。本実施の形態では、一次本焼成と二次本焼成の2回の本焼成を行う。一次本焼成は、ドライ水素雰囲気で行う。二次本焼成は、空気中で行う。尚、二次本焼成は酸素を含んだウェット水素雰囲気又は真空雰囲気で行なってもよい。
【0029】
本焼成を2回行う理由は、ドライ水素雰囲気での焼成だけではアルミナに低次酸化物が生成され易いからである。低次酸化物が生成されると、成形体は黒っぽく着色し全光線透過率が低下する。しかしドライ水素雰囲気での焼成の後に酸素を含んだ空気中での焼成を行うことにより、低次酸化物を低減させることができる。そのため、成形体の着色がなくなり全光線透過率を向上させることができる。本焼成での雰囲気、温度、時間等は、成形体の着色具合等から判断して変更し、着色が少なく、全光線透過率の高くなる条件での焼成が望ましい。
【0030】
次に、本願の発明者が行った実験について説明する。本願の発明者は、セラミックス製の放電容器の全光線透過率を向上させるために必要な条件を鋭意考察した。そこで本願の発明者は、放電容器の原料であるアルミナの粒子径に着目した。本願の発明者は、粒子径が異なる3種のアルミナ粉末を用意した。これらのアルミナ粉末の仕様は次のとおりである。
【0032】
第1アルミナは、大明化学工業製のTM-DAR(商品名)であり、高純度のαアルミナ粉末である。第2アルミナは、大明化学工業製のTM-5D(商品名)であり、高純度のαアルミナ粉末である。第3アルミナは、住友化学製のAMP-3000(商品名)であり、高純度のαアルミナ粉末である。
【0033】
第1アルミナの粒子径をx1、第2アルミナの粒子径をx2、第3アルミナの粒子径をx3とする。粒子径x1、x2、x3は、1次粒子の粒子径の積算分布(累積分布)から求めるが、詳細は、
図3A及び
図3Bを参照して説明する。粒子径分布は1次粒子の粒子径の頻度分布から求めるが、詳細は、
図4A、
図4B及び
図4Cを参照して説明する。尚、表1における粒子径と粒子径分布の括弧内の数字は、製造元から与えられたカタログ値である。
【0034】
比表面積は、吸着現象を利用するBET(Brunauer, Emmett and Teller)法によって測定した値である。嵩密度は、日本粉体工業技術協会規格(略称:SAP)にて規定された方法を用いて測定した値であり、所謂ルーズ嵩密度又は静嵩密度である。
【0035】
図3Aを参照して、第1アルミナ及び第2アルミナの粒子径x1、x2を求める方法を説明する。実線の曲線は、第1アルミナの1次粒子の積算分布曲線であり、破線の曲線は、第2アルミナの1次粒子の積算分布曲線である。縦軸は累積通過率(又は篩下積算値)(wt%)、横軸は粒子径(μm)の対数表示である。本願明細書では、積算分布曲線において、累積通過率が50%となるときの粒子径を、アルミナの粒子径とする。これは、累積通過率(累積通過値)が50%となるときの篩の目開きに相当する。
【0036】
実線の曲線において、累積通過率が50wt%となる粒子径は約0.2μmである。従って、第1アルミナの粒子径を、x1=0.2μmとする。破線の曲線において、累積通過率が50wt%となる粒子径は、約0.28μmである。従って、第2アルミナの粒子径を、x2=0.28μmとする。x2=1.4×x1である。
【0037】
図3Bを参照して、第3アルミナの粒子径x3を求める方法を説明する。実線の曲線は、第3アルミナの1次粒子の積算分布曲線である。縦軸は累積残留率(又は篩上積算値)(wt%)、横軸は粒子径(μm)の対数表示である。実線の曲線において、累積残留率が50wt%となる粒子径は約0.5μmである。従って、第3アルミナの粒子径を、x3=0.5μmとする。x3=2.5×x1=1.8×x2である。一般に、累積通過率(又は篩下積算値)をD、累積残留率(又は篩上積算値)をRとするとD+R=100%である。従って、粒子径は、累積通過率曲線と累積残留率曲線のいずれから求めてもよい。
【0038】
図4A、
図4B及び
図4Cは、第1、第2及び第3アルミナの粒子径の頻度分布を示し、縦軸は重量比率(wt%)、横軸は粒子径(μm)である。
図4Aに示すように、第1アルミナの粒子径の頻度分布の範囲は、x1=0.100〜0.375μmである。しかしながら、第1アルミナの粒子の約95%は、x1=0.100〜0.275μmの範囲にあり、その中央値はx1=0.19μm、その最頻値はx1=0.225μmである。
図4Bに示すように、第2アルミナの粒子径の頻度分布の範囲は、x2=0.100〜0.550μmである。しかしながら、第2アルミナの約75%は、x2=0.175〜0.325μmの範囲にあり、その中央値はx2=0.25μm、その最頻値はx1=0.225μmである。
図4Cに示すように、第3アルミナの粒子径の頻度分布の範囲は、x3=0.325〜1.200μmである。しかしながら、第3アルミナの約70%は、x3=0.450〜0.650μmの範囲にあり、その中央値及び最頻値はx3=0.55μmである。
【0039】
以上より、第2アルミナの粒子径x2は第1アルミナの粒子径x1より僅かに大きいが、第2アルミナの粒子径x2と第1アルミナの粒子径x1は、第3アルミナの粒子径x3より十分に小さい。
【0040】
次に本願の発明者は、原料として、第1、第2及び第3アルミナと、これらのアルミナを所定の重量比で混合した混合アルミナを用意した。第1、第2及び第3アルミナの重量比率(wt%)を、それぞれy1、y2、y3とする。y1+y2+y3=100である。これらの原料を用い、
図2に示した方法によって試料を作成した。試料は厚さ1mm、外径30mmの円板である。各試料の原料の組成を表2に示す。
【0042】
試料1、2、3は、それぞれ第1、第2又は第3アルミナのみを用いて作成した。試料4、5、6は、第1、第2及び第3アルミナのうち2種のアルミナを重量比1対1で混合した混合アルミナを用いて作成した。試料7〜11、15は、第1、第2及び第3アルミナのうち2種のアルミナを重量比1対3又は3対1で混合した混合アルミナを用いて作成した。試料12〜14は、第1アルミナと第3アルミナを所定の重量比で混合した混合アルミナを用いて作成した。
【0043】
試料(焼成前の成形体)の嵩密度、焼成後の試料の全光線透過率、結晶粒径、及び、気孔数を測定した。試料(焼成前の成形体)の嵩密度は、円板の質量を円板の外形の体積で除算した値である。結晶粒径(平均値)、及び、気孔数は、試料の走査顕微鏡像を観察して、計数した。気孔数は、面積0.045mm
2の領域における気孔数である。測定結果を次に示す。
【0045】
図5A、
図5B、
図5C及び
図5Dは、試料1〜15の表面及び断面の走査微鏡写真の例を示す。表面の走査顕微鏡写真を観察することにより、結晶粒径を求めることができる。断面の走査顕微鏡写真を観察することにより、気孔数を求めることができる。
【0046】
本発明の目的は、上述のように、全光線透過率が比較的高い放電容器を製造することにある。そこで、本願の発明者は、実験で作成した円板状の試料のうち、全光線透過率が比較的高いもの、例えば、75%以上のものを選択した。表3に示すように、試料5、9、12〜15がこの条件を満たす。しかしながら、全光線透過率が75%以上であっても、結晶粒径が比較的大きいものは耐熱衝撃性及び機械的強度が低下するため、好ましくない。そこで、結晶粒径が15μmを超える試料は排除することとした。試料5、9、12〜15の結晶粒径は15μm以下であり、十分に小さい。次に、気孔数が比較的多いのは好ましくない。そこで、気孔数が100個を超える試料は排除することとした。即ち、試料5は排除する。そこで、試料9、12〜15を合格とする。更に、気孔数が70個を超えると光が散乱し易くなり、ランプの明るさが低くなる傾向にある。また、気孔数が多いと放電容器が内部の添加物と反応し侵食される可能性がある。そこで、気孔数が70個を超える試料9を排除すると、試料12〜15のみが合格となる。
【0047】
次に、原料について考察する。先ず、単一の種類のアルミナを用いて製造した試料1、2、3について考察する。単一の種類のアルミナを用いて放電容器を製造することは既知である。試料1、2、3のいずれも、全光線透過率が低く、気孔数が多かった。試料1、2の結晶粒径は小さかったが、試料3の結晶粒径は比較的大きかった。本願の発明者が行った実験では、単一の種類のアルミナを用いることにより全光線透過率が高く、結晶粒径が小さく、且つ、気孔数が少ない試料を得ることができなかった。
【0048】
次に、第1アルミナと第2アルミナを混合した混合アルミナを用いた試料4、8、11について検討する。第1アルミナの粒子径x1及び第2アルミナの粒子径x2は、第3アルミナの粒子径x3と比較すると、十分に小さい。即ち、x3/x1=2.5、x3/x2=1.8である。これらの試料4、8、11では、いずれも、全光線透過率が低く、気孔数が多かった。
【0049】
従って、粒子径が比較的小さいアルミナ同士を混合した混合アルミナを用いても、全光線透過率が高く、結晶粒径が小さく、且つ、気孔数が少ない試料を得ることはできなかった。
【0050】
次に、第2アルミナと第3アルミナを混合した混合アルミナを用いた試料6、9、10について検討する。第2アルミナの粒子径x2は、第1アルミナの粒子径x1より僅かに大きいが、第3アルミナの粒子径x3と比較すると、小さい。即ち、x3/x2=1.8である。
【0051】
これらの試料6、9、10のうち、全光線透過率が高く、結晶粒径が小さいのは、試料6、9である。試料6、9のうち、気孔数が比較的少ないのは、試料9である。従って、3つの試料6、9、10について比較すると、試料9が最も良好であり、試料6が次に良く、試料10は最も悪い。3つの試料6、9、10について、第2アルミナの重量比率y2と第3アルミナの重量比率y3を比較する。最良である試料9では、y2>y3である。即ち、y2/y3=3である。次に良い試料6では、y2=y3、最も悪い試料10では、y2<y3である。
【0052】
試料6、9、10より、粒子径が比較的小さいアルミナと粒子径が比較的大きいアルミナを混合した混合アルミナを用い、更に、粒子径が比較的小さいアルミナの重量比率を、粒子径が比較的大きいアルミナの重量比率より大きくするとよい、と言える。
【0053】
次に、3種のアルミナのうち、第1アルミナと第3アルミナを混合した混合アルミナを用いた試料5、7、12〜15について検討する。第1アルミナの粒子径x1は、3種のアルミナのうち最も小さく、第3アルミナの粒子径x3は、3種のアルミナのうち最も大きい。即ち、x3/x1=2.5である。
【0054】
これらの試料5、7、12〜15のうち、全光線透過率が高く、且つ、結晶粒径が小さいのは試料5、12〜15である。試料5、12〜15のうち、更に、気孔数が少ないのは、試料12〜15である。試料5、7、12〜15について比較すると、試料12〜15が最も良好であり、試料5が次に良く、試料7は最も悪い。
【0055】
これらの3つのグループの試料について、第1アルミナの重量比率y1と第3アルミナの重量比率y3を比較する。最良である試料12〜15では、y1>y3である。即ち、y1/y3=1.5〜3である。次に良い試料5では、y1=y3、最も悪い試料7では、y1<y3である。
【0056】
試料5、7、12〜15より、粒子径が比較的小さいアルミナと粒子径が比較的大きいアルミナを混合した混合アルミナを用い、更に、粒子径が比較的小さいアルミナの重量比率を、粒子径が比較的大きいアルミナの重量比率より大きくするとよい、と言える。
【0057】
本願の発明者は、第1アルミナと第2アルミナを所定の重量比で混合した第4アルミナを作成した。第4アルミナと第3アルミナを所定の重量比で混合して混合アルミナを作成し、それを用いて試料を作成した。その結果、粒子径が比較的小さい第4アルミナの重量比率を、粒子径が比較的大きい第3アルミナの重量比率より大きくすることによって良好な試料が得られた。
【0058】
そこで、本願の発明者は、粒子径が互いに異なる複数種類のアルミナを所定の重量比で混合して粒子径が比較的小さい混合アルミナを作成した。また、粒子径が互いに異なる複数種類のアルミナを所定の重量比で混合して粒子径が比較的大きい混合アルミナを作成した。粒子径が比較的小さい混合アルミナの重量比率を、粒子径が比較的大きい混合アルミナの重量比率より大きくすることによって良好な試料が得られた。
【0059】
本願の発明者が行った実験より、次の知見が得られる。全光線透過率が高く、結晶粒径が小さく、且つ、気孔数が少ない放電容器を得るには、粒子径が比較的小さいアルミナと粒子径が比較的大きいアルミナを混合した混合アルミナを用いるとよい。それによって、粒子径が比較的大きいアルミナの隙間に粒子径が比較的小さいアルミナが充填されるため、充填密度が上昇するものと考えられる。それによって、気孔率が低下し、透過率が向上するものと考えられる。本願の発明者が行った実験より、更に、次の知見が得られる。粒子径が比較的小さいアルミナの重量比率を、粒子径が比較的大きいアルミナの重量比率より大きくするとよい。それによって、更に充填密度が上昇し、気孔率が低下し、透過率が向上するものと考えられる。
【0060】
本願の発明者が行った実験では、第3アルミナが、粒子径が比較的大きいアルミナであり、第1及び第2アルミナが、粒子径が比較的小さいアルミナとなる。第3アルミナの比表面積は4〜8m
2/g、第1アルミナの比表面積は14.5m
2/g、第2アルミナの比表面積は9.0m
2/gである。従って、粒子径が比較的大きいアルミナの比表面積は1〜14m
2/gであってよく、粒子径が比較的小さいアルミナの比表面積は5〜20m
2/gであってよい。但し、粒子径が比較的大きいアルミナの比表面積は、粒子径が比較的小さいアルミナの比表面積より小さいものとする。
【0061】
上述のように、第3アルミナの粒子径はx3=0.5μmであるが、第1及び第2アルミナの粒子径は、それぞれx1=0.2μm、x2=0.28μmである。即ち、x3/x2=1.8、x3/x1=2.5である。
【0062】
従って、粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径は、粒子径が比較的小さなアルミナの粒子径の1.8倍より大きいことが好ましいが、更に、2.5倍より大きいことが好ましい。
【0063】
尚、第1アルミナと第2アルミナを混合した第4アルミナも粒子径が比較的小さいアルミナとなる。第4アルミナの粒子径をx4とすると、0.2μm<x4<0.28μmである。また、1.8<x3/x4<2.5である。
【0064】
上述のように、本実施形態では、第1アルミナの粒子径の頻度分布の範囲は、x1=0.100〜0.375μmであり、その約95wt%は、x1=0.100〜0.275μmの範囲にある。第2アルミナの粒子径の頻度分布の範囲は、x2=0.100〜0.550μmであり、その約75wt%は、x2=0.175〜0.325μmの範囲にある。第1及び第2アルミナの粒子径の頻度分布の中央値は、それぞれ0.19及び0.25μmであり、最頻値は0.225μmである。
【0065】
第3アルミナの粒子径の頻度分布の範囲は、x3=0.325〜1.200μmであり、その約70wt%は、x3=0.450〜0.650μmの範囲にある。第3アルミナの粒子径の頻度分布の中央値及び最頻値は0.550μmである。
【0066】
第3アルミナの粒子径分布の上限x3=0.650μmと、第1及び第2アルミナの粒子径分布の下限x1又はx2=0.100μmを比較すると、両者の比は、x3/x1=6.5である。
【0067】
従って、粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径の頻度分布の中央値及び最頻値は、粒子径が比較的小さなアルミナの粒子径の頻度分布の中央値及び最頻値の略2倍より大きく、且つ、この2つの頻度分布はオーバーラップしないことが好ましい。粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径は、粒子径が比較的小さなアルミナの粒子径より1.8倍以上大きいほうがよいが、6.5倍より小さくてよい。
【0068】
上述のように、第3アルミナの重量比率y3は第1又は第2アルミナの重量比率y1、y2より小さく、y1/y3=1.5〜3である。従って、粒子径が比較的小さいアルミナの重量比率は、粒子径が比較的大きいアルミナの重量比率の1.5以上、且つ、3倍以下とすればよい。
【0069】
本願発明者の実験結果から次の知見が得られる。粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径をd(L)、粒子径が比較的小さなアルミナの粒子径をd(S)とする。粒子径が比較的大きいアルミナの比表面積をbet(L)、粒子径が比較的小さなアルミナの比表面積をbet(S)とする。粒子径が比較的大きいアルミナの重量比率をw(L)、粒子径が比較的小さなアルミナの重量比率をw(S)とする。これらの粒子径、比表面積及び重量比率は、次の式によって表される。
【0070】
(1)d(L)>d(S)、bet(S)>bet(L):式1
(2)5m
2/g<bet(S)<20m
2/g、1m
2/g<bet(L)<14m
2/g:式2
(3)1.8<d(L)/d(S)<6.5、好ましくは、2.5<d(L)/d(S)<6.5:式3
(4)1.5≦w(S)/w(L)≦3:式4
(5)粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径の頻度分布の範囲は0.325〜1.200μmであってよく、その約70wt%は、粒子径が0.450〜0.650μmの範囲であってよい。粒子径が比較的大きいアルミナの粒子径の頻度分布の中央値は0.550μmであってよい。:条件1
(6)粒子径が比較的小さいアルミナの粒子径の頻度分布の範囲は0.100〜0.375μmであり、その中央値は0.225μmであってよく、その約95wt%は、粒子径が0.100〜0.275μmの範囲であってよい。:条件2
(7)粒子径が比較的小さいアルミナの粒子径の頻度分布の範囲は0.100〜0.550μmであり、その中央値は0.225μmであってよく、その約75wt%は、粒子径が0.175〜0.325μmの範囲であってよい。:条件3
ここに、粒子径が比較的大きいアルミナは、上述の式1〜式4及び条件1を満たすなら、単一の種類のアルミナであってもよく、又は、粒子径が互いに異なる複数種類のアルミナを混合した混合アルミナであってもよい。粒子径が比較的小さいアルミナは、上述の式1〜式4及び条件2又は3を満たすなら、単一の種類のアルミナであってもよく、又は、粒子径が互いに異なる複数種類のアルミナを混合した混合アルミナであってもよい。
【0071】
以上、本実施形態に係るセラミックス製の放電容器の製造について説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。