(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075704
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】安全ベルトシステムのための力制限装置
(51)【国際特許分類】
B60R 22/38 20060101AFI20170130BHJP
B60R 22/28 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
B60R22/38
B60R22/28 105
B60R22/28 106
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-520142(P2016-520142)
(86)(22)【出願日】2014年10月13日
(65)【公表番号】特表2016-533295(P2016-533295A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2014071867
(87)【国際公開番号】WO2015055570
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】102013220949.5
(32)【優先日】2013年10月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510136301
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ヤブシュ、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】シンガー、クラウス−ピーター
【審査官】
鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0172054(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102011101515(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102010050189(DE,A1)
【文献】
特開2006−306142(JP,A)
【文献】
特表2015−524768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/38
B60R 22/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数に依存して規定された運動で制御される少なくとも2つの部分(5,11,15)を備えたシートベルト装置のための力制限装置(4)であって、
互いに相対的に動作する前記部分(5,11,15)が、他方に噛合するギアリング(8,10,18,19)を有し、前記部分(5,11,15)が送り運動(V)に垂直な波状の運動(Q)によって互いに対して前記送り運動(V)を実行するように前記周波数に依存して規定された運動が起こり、これによって、前記ギアリング(8,10,18,19)の噛合と噛合の開放が交互に行われる、力制限装置(4)において、
互いに向かい合う前記部分(5,11,15)の動作のために必要な力を、予め設定された長さのベルト引き出し後に、自動的に増加させることができる手段を備え、
これらの手段が開いたばね座金の形態で設けられ、前記動作している間、互いに向かって移動する前記部分(5,11,15)に対して変化するばね力を及ぼし、
前記部分(5,11,15)の1つが、前記送り運動(V)に垂直なハブに移動可能に支持され、第1の停止面(22)が前記部分(5,11,15)の1つに設けられ、第2の停止面(23)が前記ハブに設けられ、前記ばね座金(6)の開放端(16,17)が、前記移動中に前記停止面に接触して静止することを特徴とする、力制限装置(4)。
【請求項2】
前記ハブが、前記シートベルト装置のベルトリトラクタの、ベルトシャフト(2)に接続されたこれと共同で回転するための環状歯車(7)によって形成されるか、または外部ギアリングを有する間接的または直接的にロック可能な環状リング(7)によって形成され、前記環状リングが、前記ベルトリトラクタのリトラクタフレームに関して回転固定され、前記環状リング上で、互いに向かって移動される前記部分(5,11,15)の1つが、横方向に再配置可能な方法で配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の力制限装置(4)。
【請求項3】
前記第2の停止面(23)が、前記環状リング(7)の前記外部ギアリングの凹部におよび/または突出歯(28)に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の力制限装置(4)。
【請求項4】
前記ハブ上の前記横方向に再配置可能な部分(5,11,15)に、切り欠き部(24)が設けられ、前記ハブ(7)の前記第2の停止面(23)に接触して静止する前記ばね座金(6)の前記端部(16)が、前記切り欠き部(24)に噛合することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の力制限装置(4)。
【請求項5】
前記ばね座金(6)の前記端部(16,17)が、互いに向かって移動する前記部分(5,11,15)の方向に傾斜していること、ポケット(20,21)が前記部分(5,11,15)の1つと前記ハブのそれぞれに設けられ、ここで前記停止面(22,23)が設けられていること、および、予め設定された長さのベルト引き出し後に、前記ばね座金(6)の前記端部(16,17)が前記ポケット(20,21)内の前記停止面(22,23)と自動的に接触することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の力制限装置(4)。
【請求項6】
前記ばね座金(6)の前記端部(16,17)が、互いに向かって移動する前記部分(5,11,15)の前記移動方向で、前記部分(5,11,15)の1つに固定接続されること、および前記端部(24)から開始する螺旋コースを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の力制限装置(4)。
【請求項7】
前記環状リング(6)を挿入することができる螺旋状のガイドトラックが設けられることを特徴とする、請求項6に記載の力制限装置(4)。
【請求項8】
前記ガイドトラックが溝によって形成されることを特徴とする、請求項7に記載の力制限装置(4)。
【請求項9】
前記溝が、前記環状リング(6)の前記開放端の前記移動方向に減少する深さを有することを特徴とする、請求項8に記載の力制限装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文の特徴を有する安全ベルトシステムのための力制限装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2006/108451号パンフレットから、例えば、揺動させるためにベルトリトラクタのフレームに配置された複数の物体を有するシートベルトリトラクタのための速度制御用の力制限装置が知られている。この物体は、リトラクタフレームに旋回可能に支持され、力制限されたシートベルトの巻き取り中に、ベルトシャフトに接続された環状歯車の2つの歯と交互に噛合する。全体的に、リトラクタフレーム上に配置された揺動する物体に起因して、ベルトリトラクタは、生産が複雑で、費用が掛かる。また、振動する物体に起因して、ベルトリトラクタは、比較的大きな設置スペースを必要とする。
【0003】
ドイツ特許出願第102008049931.5号明細書は、同じ原理で動作する改良された力制限装置を説明しており、ここで、2つの歯付き部分は、互いに向かって力制限される方法で移動され、部分の1つは、歯付き部分が交互に噛合して噛合を解く間に、波状の送り運動を行う。振動する物体は、本実施形態では、波状の送り運動を実行する部分によって置き換えられるため、ここに記載した力制限装置は、実質的に小さい設置スペースを必要とし、実質的に簡素なデザインを有する。例示的な一実施形態では、波状の送り運動を実行する部分が、摩擦に適した方法でベルトシャフトに接続可能である歯付き円盤により実現される。歯付き円盤と送り運動を実行する歯付き円盤に接触する部分との間に、歯付き円盤に軸方向の接触力を及ぼすばね座金を設けることができ、これにより、力制限特性の力制限レベルが向上する。
【0004】
力制限装置の力制限レベルは、前方移動中に乗員の減少する運動エネルギーから自動的に得られ、ここで、力制限経路の基本的な特徴は、例えば、歯の数、歯の分離、歯付き円盤の質量のような、歯付き円盤のパラメータによって、およびばね座金のばね特性によって、厳密に決定される。
【0005】
ただし、米国における、後部座席の乗員の拘束力についての要件のような、法的要件が存在し、これにより、予め設定された長さのシートベルト引き出し後に、より高い力制限レベルへの拘束力の増加が義務付けられている。このような力制限特性は、上記の力制限装置のいずれかによって達成することはできない。
【0006】
まだ公開されていないドイツ特許出願第102012214521号明細書において、この問題を解決するための手段が提供され、これを用いて、予め設定された長さのシートベルト引き出しが達成されると、他方に向かってこの部分を移動させるのに必要な力が自動的に増加され得る。提案された解決策の一実施形態によれば、これらの手段は、移動中に他方に向かって移動する部分に可変ばね力を印加する開いたばね座金によって形成されている。また、移動中に、ばね座金の開放端は、互いに向かって移動する部分の停止面に当接する。提案された解決策を用いて、ばね座金は、停止面の端部が当接した後に拡幅され、ばね座金の波形が強化され、この結果、増大したばね力は、互いに向かって移動される2つの部分に印加され、力制限レベルが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/108451号
【特許文献2】ドイツ特許出願第102008049931.5号
【特許文献3】ドイツ特許出願第102012214521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単に構築することができ、より高く機能的な安全性を有する、拘束力の漸進的な力制限コースを可能にする上述のタイプの力制限装置を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、請求項1の特徴を有する力制限装置を提案している。本発明のさらに好ましい実施形態を、従属請求項、図面、および添付の説明に見ることができる。
【0010】
本発明の基本概念によれば、手段が提供され、これを用いて、予め設定された長さのベルト引き出しにより、互いに向かって部分を移動させるのに必要な力を自動的に増加させることができ、および、手段が、移動中に互いに向かって移動する部分に変化するばね力を印加する開いたばね座金によって形成されることが提案されており、部分の1つは送り方向に垂直なハブに移動可能に支持されており、部分の1つに第1の停止面、およびハブに第2の停止面が設けられ、移動中にばね座金の開放端がこれと接触する。提案された解決策の利点は、力制限特性の力制限レベルが、予め設定された長さのベルト引き出しによる移動にのみ起因して、自動的に増加されることである。これは、力制限装置の力制限レベルを、互いに向かって移動する部分の力によって容易に変化させることができるという利点を活用しており、なぜなら、この力は、力制限装置のベースとなっているエネルギー散逸のための重要なパラメータの1つであるためである。このように、部分自体を、揺動動作と力制限レベルを変更するために修正する必要はない。力が、予め設定された長さのベルト引き出しにより可変であることは、ここでは特に重要であり、このため、外部の作動が必要とされない。さらに、非常に容易な機械的手段、すなわち、予め設定された長さのベルト引き出しにより、開いたばね座金の開放端が停止面と接触し、このようにして拡幅されて変形されることによって、力は増加され、このため、互いに向かって移動される部分のばね力が、自動的に増加する。送り運動に垂直な揺動運動を実行する部分に割り当てられた端部を、ここで、横方向に移動可能な部分のためのマウントとして機能するハブに固定することができるため、この端部は、垂直な揺動運動の実行にもはや意図的に加わることはない。逆に、垂直な揺動運動を実行する部分は、このようにして、ハブに固定された端部に対して運動を行うこともできるため、中央領域を除いて、ばね座金は周期的に圧縮され減圧され、一方で、端部は送り運動に垂直ないかなる運動も実行せず、したがって、停止面の1つから滑落する危険はない。このように、力制限装置の機能的な安全性を大幅に向上させることができる。
【0011】
ハブが、ベルトシャフトと共同で回転するためのベルトリトラクタのベルトシャフトに取り付けられた環状歯車によって、またはベルトリトラクタのリトラクタフレームと共同で回転するための間接的または直接的にプロック可能な外歯を有する環状歯車によって形成され、このハブ上で、互いに向かって移動される2つの部分のうちの1つが、横方向に移動可能な方法で支持されることがさらに提案されている。環状歯車は、互いに向かって移動される部分の1つを固定するかまたはこれに沿って運ぶ目的を果たし、したがって、力制限装置のそれぞれの他の部分の周方向に同じ相対的な送り運動を実行し、一方で、リングもまたこの運動を実行しないように、リングは、同時に、送り方向に垂直に向けられた揺動運動を実行する部分を支持する目的を果たす。実際には、環状歯車は、周方向の送り運動と横方向に向けられた揺動運動が互いから分離されるシフトポイントを形成する。そしてさらに、環状歯車の停止面の形成に起因して、周方向の送り運動のみが環状歯車の端部に転送され、これは、ばね力の所望の増加につながり、一方で、ばねの端部を滑落させる垂直運動は、意図的に転送されない。
【0012】
第2の停止面は、環状歯車の外歯の凹部におよび/または突出歯に設けられることが、さらに提案されている。提案された解決策を用いて、省略された一部の歯によって、および/または外側に拡張された歯1つによって、外歯も、停止面を形成するための製造プロセスの間に好適に利用することができる。
【0013】
さらに、本発明のさらに好ましい実施形態によれば、切り欠き部が、ハブ上で横方向に移動可能である部分に設けられ、ハブの第2の停止面に接触して静止する環状歯車の端部が前記切り欠き部に噛合する。提案された解決策を用いて、ハブ上で横方向に移動可能な部分が、固定端によって妨げられる運動なしで、ハブに相対して運動を行うことができる。
【0014】
ばね座金の端部が互いに向かって移動する部分の方向に傾斜していること、ポケットが部分の1つとハブのそれぞれに設けられ、ここで停止面が設けられていること、および、予め設定された長さのベルト引き出し後に、ばね座金の端部がポケット内の停止面によって自動的に停止されること、がさらに提案されている。提案された解決策の利点は、予め設定された長さのベルト引き出し後に、ばね座金の端部が、その形態およびばね座金のばね特性に起因して、自動的にポケット内にスライドし、停止面に接触して静止することである。ポケットは、便宜上、傾斜した端部の形に同一の形状にされるため、その中で、端部は、可能な限り大きな周面と接触することになり、さらなる移動中に可能な限り支持される。外側に傾斜した端部に対応して、ポケットは、傾斜凹部として設計され、このため、その形状に対応して、傾斜した端部はポケット内に収容され、端部間のその領域にあるばね座金は、ここでも平坦なコースを有し、互いに向かって移動される2つの部分に対して可能な限り大きな領域を適合している。
【0015】
ばね座金の一端が、互いに向かって移動する部分の移動方向で、部分の1つにしっかりと接続されること、および、一端から開始する螺旋コースを有することが、さらに提案されている。強固に保持されている端部とばね座金の螺旋コースに起因して、ばね座金を、移動中に互いに静止しているいくつかの巻き線に巻くことができ、ここで、例えば、起伏の強化によってまたは巻き線の側部の膨らみによって、側部に印加されるばね力が増加される。
【0016】
また、ばね座金を挿入することができる螺旋状のガイドトラックが設けられることが推奨されている。別の好ましい実施形態では、前記ガイドトラックは溝によって形成される。螺旋状のガイドトラックを使用すると、後者が搬送されるばね座金のコースは、実際に予め設定される。これにより、制御不能な方法での運動が、ばね座金のクランプによって妨げられることが確実になり、力制限レベルは、あまりにも高いレベルに不必要に増加される。このため、ばね座金を特に良好にかつ連続的に溝に導くことができるので、溝は特に好適である。
【0017】
溝は、ここでは、開放端の移動方向に減少する深さを特徴とすることができ、これにより、2つの部分間でばね座金によって印加される圧縮力と、したがって力制限レベルも、ベルト引き出し長さの増加によって、増加され得る。
【0018】
本発明は、添付の図面を参照して好ましい実施形態を用いて以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の力制限装置を有するベルトリトラクタを示す図である。
【
図2】一部を切り取った力制限装置を有するベルトシャフトの斜視図である。
【
図3】一部を切り取った力制限装置の側面図である。
【
図4】環状歯車とその上に配置された揺動円盤を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、リトラクタフレーム3に回動可能に支持されたベルトシャフト2を有するシートベルトシステムのベルトリトラクタ1を示しており、本発明により構築された力制限装置4がこのフレーム3上に配置されている。また、プロファイルヘッド13が設けられ、このプロファイルヘッド13は、予め設定されたベルト引き出しの加速度や予め設定された車両の減速度を超えた場合に作動される、ロックラチェット9のキャリアであり、プロファイルヘッド13をリトラクタフレーム3のギアリングで車両にしっかりとロックする。
【0021】
力制限装置4は、その基本構成に、2つの固定部5と固定部15と、固定部5と固定部15との間の可動部11とを備えている。部分15は、力制限装置4の筐体を同時に形成し、これと共同で回転するためにベルトシャフト2に接続されている。その半径方向外側で、部分15は軸方向に整列したフィンガを有し、その間で部分5は放射状に突出するフィンガ25と噛合し、そして、これと共同で回転するために部分15にも接続され、さらにベルトシャフト2にも接続されている。可動部11は、半径方向内側のギアリング26を用いて、環状歯車7で軸方向に移動可能な方法で、ガイドされ、これと共同で回転するために環状歯車7に周方向に同時に接続されている。環状歯車7は、これと共同で回転するためにプロファイルヘッド13に順に接続され、このため、ブロックされたプロファイルヘッド13を有する部分11は、周方向にブロックされるものとして示されることになる。
図3に見られるように、固定部5と固定部15は、それぞれ、環状の、軸方向に整列したギアリング10およびギアリング8を設けている。部分5のギアリング10と部分15のギアリング8は、可動部11に配置されたリング状の、軸方向に整列したギアリング18またはギアリング19の反対側にあるように、それぞれ配置されている。可動部11と固定部5および固定部15との間の軸方向の分離は、少なくとも一対の対向するギアリング10および19ならびに/またはギアリング18および8が噛合されるように、各場合に選択される。
【0022】
ベルトシャフト2のブロック装置が作動すると、ロックラチェット9は拡張され、プロファイルヘッド13をブロックし、そしてベルト引き出し方向で部分11をブロックする。力制限装置4自体の設計によって予め設定されたベルト引き出し力が超過した場合、力制限装置4は、乗員の前方移動中の事故状況において、ベルト引き出し力が作用することによって作動される。このプロセスでは、部分15および部分5は、部分11に関する回転運動に強制される。ギアリング10および19ならびに18および8が互いに対で噛合するため、部分11は、部分15と部分5の送り運動に垂直な揺動運動に互いに滑るように動く歯フランクによって強制され、その間に、周期的に制動および加速される。この揺動運動は、力制限装置4の基礎となるエネルギー散逸のための物理的な要因であり、これにより、力制限レベルも決定する。また、部分5と部分15の送り運動を確実にするその揺動運動の手段、およびベルト引き出し方向でベルトシャフト2の力制限された回転運動の手段による、その動きに基づいて、部分11を揺動円盤と呼ぶこともできる。
【0023】
部分11と部分5との間に、波状の開いたばね座金6が設けられ、これは、部分5に支持され、部分15に接触して部分11を押圧している。上述した揺動運動を実行するために、部分11は、ばね座金6により及ぼされる軸方向のばね力を周期的に克服する必要があるため、力制限装置4の力制限レベルは、開始段階において、およびばね座金6のばね力による追加のベルト引き出し運動中に決定される。例えば、開始段階におけるベルト引き出し力を、3〜4kNとすることができる。
【0024】
図2は、一部を切り取った力制限装置4のベルトシャフト2を示している。ばね座金6は開いており、その自由端16および17は側部に傾斜しており、このため、自由端16および17は、部分5と部分11との間に追加の軸方向の力を及ぼすか、または場合により、部分5および部分11に対してばね張力が及ぼされ得る。力制限装置4の作動前の初期位置では、端部16および17は、環状歯車7と部分5のそれぞれのポケット20とポケット21の後方の回転の方向に配置されている。ポケット20とポケット21は、傾斜凹部としてそれぞれ形成され、これもまた、
図3に見られる。力制限装置4の起動の際に、ベルトシャフト2を有して、部分15および部分5が一緒に、周方向にブロックされた部分11、およびプロファイルヘッド13に関して回転する。力制限レベルは、システムの質量設計およびばね座金6のばね力によってこの段階で決定される。部分15と部分5の回転運動中に、ばね座金6は、横方向に向けられた揺動運動を除いて、これらに相対して静止している。
【0025】
部分15と部分5を有するベルトシャフト2が、ほぼ一回転、この場合340°の回転をした後、部分11に対して、そしてばね座金6に対して、端部17は、その外曲がりとその前面により、ポケット20内に自動的にスライドし、その結果、部分5のポケット20内に設けられた停止面22に接触して静止する。部分5の連続的な回転中に、ばね座金6は、停止面22を介してそれに沿って運ばれて、端部16は、部分11および環状歯車7に関する回転運動を完了する。この運動中に、開始段階の力制限レベルは、作動し続ける。
図3に見られるように、ほぼ一回転、この場合も340°の回転を完了した後、次いで、その凹形のために、端部16もまた、部分11の切り欠き部24を通過してポケット21内にスライドし、さらに環状歯車7の前面の停止面23に接触して停止される。この位置で開始すると、ばね座金6は部分5と部分11の両方に対して周方向に固定されているため、部分11に対する部分5の、さらにプロファイルヘッド13に対するベルトシャフト2の追加の回転運動が、ばね座金6の変形によって単に可能である。ばね座金6は、したがって、部分5と部分11との間の軸方向のばね力を上昇かつ増加させるため、力制限レベルが急激に上昇し、この場合6kNを超える。このように、力制限装置4を用いた本発明により、漸進的な力制限コースを、自由端16および17に対するポケット20および21の位置、ならびにその結果カバーされる回転角によって画定されるシフトポイントで実現することができ、本実施形態のシフトポイントは、680°または約1.9回転に相当する。ばね座金の機械的特性や形状および配置に応じて、力制限の増加の特性、ならびに力制限の増加の程度を、両方とも調節することができる。力制限レベルの連続的かつ急激な増加は、これによって可能である。
【0026】
本発明のアプローチに応じて、ポケット21は、送り方向に垂直に向けられた揺動運動を実行する部分11に相対して、環状歯車7に意図的に配置される。ばね座金6の端部16は切り欠き部24に噛合するため、ばね座金7によってそうすることで妨げられることなく、部分11、この場合揺動円盤は、環状歯車7に垂直に向けられた揺動運動を実行することができる。端部16および17はまた、周方向にのみ送り運動を実行するので、このように、互いに相対して純粋な回転運動で移動される。このようにして、端部16および17がポケット20および21から抜け出すことができる可能性が減少する。環状歯車17のポケット21は、環状歯車7の外部ギアリングでの1つまたは複数の歯を省くことによって、および1つの歯28の外向きの拡張によって形成され、ここでは、外向きの拡張歯28は、側方停止面23を形成し、これに接触して、ばね座金6の端部16が面側で静止する。
【0027】
図4は、部分11を有する環状歯車7と、側方で停止されるばね座金6を示している。部分11において、揺動円盤を、半径方向内側部分に見ることができ、その切り欠き部24は、打ち抜きにより形成されている。さらに、外部ギアリングでの複数の歯は、省かれているかまたは短くされ、1つの歯28は、長くされている。この場合、歯の省略は、停止面23も設けられている拡張歯28によって区切られたポケット21を形成する。
【0028】
部分11は、環状歯車7の外部ギアリングで横方向に移動可能な方法で支持され、周方向に回転固定され、このため、プロファイルヘッド13と環状リング7をブロックすることで、部分11は、環状歯車7に垂直に単に揺動することができる。上述のようなばね座金6は、端部17が部分5に固定された後に、周方向に沿って運ばれるため、ばね座金6の端部16は、ポケット21の方向に移動される。端部16は部分11の方向に傾斜され、したがって部分11に対してばね張力が保持されているので、端部16は、切り欠き部24に到達するときに、切り欠き部24を通過してポケット21内に自動的にスライドし、このようにして、さらなる運動中に、停止面23または歯28に接触してその前側で保持される。次いで、部分11および環状リング7に相対して部分5および部分15を有するベルトシャフト2の、または場合によりプロファイルヘッド13のさらなる運動が、ばね座金の変形により単に可能であり、これが部分11と部分5との間に及ぼすばね力が増加する。