(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置決め手段が、前記撮像手段を前記載置面に載置する際に前記撮像手段と当接する位置に形成される複数の突起であることを特徴とする、請求項3に記載の照明装置。
前記載置面が、該載置面に載置された前記撮像手段の撮像面と前記媒体設置面とが平行となるよう設けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る照明装置及び撮像システムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
[実施形態]
まず
図1〜5を参照して、本実施形態に係る撮像システムの構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像システムの概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す撮像システムの側面図であり、
図3は、
図1に示す撮像システムの上面図であり、
図4は、
図1中の照明装置の斜視図であり、
図5は、
図1に示す撮像システムの機能ブロック図である。
【0012】
撮像システム1は、媒体設置面5上に設置された読取対象の媒体6に対して、所定の撮像手段により上方から撮像して、媒体6の画像データを生成するスキャン動作を行うスキャナシステムである。本実施形態では、撮像手段の一例として、カメラ機能を有するスマートフォン2を挙げて説明する。
【0013】
図1〜3に示すように、撮像システム1は、スマートフォン2と、スマートフォン2によるスキャン動作時に、このスマートフォン2を載置することができる照明装置3とを備える。撮像システム1は、スマートフォン2が照明装置3の所定位置(後述する載置面34上)に載置されたときに、スマートフォン2を一意に位置決めすることができ、スマートフォン2により所定の撮影領域7のスキャン画像を取得することができる。なお、以下の説明では、
図1の上下方向を撮像システム1及び照明装置3の上下方向、
図1の手前側を撮像システム1及び照明装置3の前方向、
図1の奥側を撮像システム1及び照明装置3の後方向とする。
【0014】
スマートフォン2は、その背面にカメラ機能に係る撮像部21が設けられている。撮像部21は、スマートフォン2の制御部24(
図5参照)からの操作指令に応じて、スキャン動作を実行することができる。撮像部21は、スマートフォン2が照明装置3の載置面34に載置された状態では、所定の撮影領域7の全体を撮像することができ、撮影領域7の全体を含むスキャン画像を生成することができる。
【0015】
照明装置3は、ベース部31、アーム部32及びトップ部33の3つの部材を備える。ベース部31は、媒体設置面5上に配置される。アーム部32は、ベース部の上面に接続され、ベース部31から上方に延在する。なお、アーム部32の延在方向は、
図1〜4に示すように鉛直上方でもよいし、鉛直上方から前方向(媒体6が設置される側)または後方向(媒体6が設置される側の反対側)へ傾斜する方向でもよい。
【0016】
トップ部33は、アーム部32に接続され、アーム部32から媒体設置面5に対向して延在する。本実施形態では、
図2に示すように、トップ部33は、アーム部32の上端部に接続され、アーム部32と接続する高さ位置から前方に延在し、かつ水平より斜め上方に向かって延在している。
【0017】
照明装置3のベース部31、アーム部32及びトップ部33は、相互に一体的に固定されている。言い換えると、ベース部31とアーム部32との接続部分と、アーム部32とトップ部33との接続部分は、回転、脱着、移動などの変形ができないよう固設されている。
【0018】
図4に示すように、照明装置3のトップ部33の上面33aには、媒体設置面5に設置された媒体6を撮像可能な位置にスマートフォン2を載置するための載置面34が設けられている。
【0019】
載置面34は、トップ部33の上面33aから掘り下げて形成されている。載置面34は、スマートフォン2を載置する際に、スマートフォン2の背面の長手方向の一部がトップ部33の先端から突出するよう設けられている。言い換えると、載置面34は、トップ部33の前方端から後方(アーム部32の方向)にかけて形成されており、載置面34の面積は、スマートフォン2の背面の面積より小さい。また、載置面34の前後方向の長さは、スマートフォン2の長手方向の長さより短い。これにより、スマートフォン2の背面に設けられた撮像部21が載置面34で隠されることなく、スマートフォン2が載置面34に載置可能となる。言い換えると、スマートフォン2が載置面34に載置されると、撮像部21は媒体設置面5と直接対面するよう位置決めされるので、媒体設置面5上の媒体6を撮像可能となる。また、このように載置面34を形成することで、スマートフォン2を載置面34へ載置したり取り外したりすること(挿抜)が容易となる。
【0020】
トップ部33の上面33aと、載置面34との間には段差が形成されている。より詳細には、スマートフォン2の長手方向下部と当接する段差35aと、スマートフォンの左右側面と当接する段差35b,35cとの3方向の段差がもうけられる。段差35aと段差35bは略直角に接続され、段差35aと段差35cは略直角に接続され、段差35bと段差35cは前後方向に平行に配置される。これらの段差35a,35b,35cが、スマートフォン2と当接することにより、スマートフォン2を所定位置に位置決めすることができる。すなわち、トップ部33の上面33aと、載置面34との間に形成された段差35a,35b,35cが、スマートフォン2を載置面34上の所定位置に位置決めするための位置決め手段として機能する。
【0021】
これにより、スマートフォン2を載置面34に載置する際には、スマートフォン2の長手方向下部を段差35aに突き当てるだけで、スマートフォン2を載置面34の所定位置に容易に位置決めして載置することができる。また、上述のように、トップ部33が傾斜しているため、載置面34はトップ部33の前方側から後方側へ水平方向下向きに傾斜して設けられている。このため、スマートフォン2を段差35aに突き当てやすい。
【0022】
スマートフォン2を載置面34に載置したときに、スマートフォン2の撮像部21が、下方の所定の撮影領域7の全体を撮影できる程度に媒体設置面5との間に距離がとれるように、載置面34の設置位置が設定されている。
【0023】
照明装置3のベース部31の上面には、スキャンスイッチ36、照明スイッチ37、通信LED38が設けられている。また、照明装置3のトップ部33の媒体設置面5と対向する下面には、照明LED39が設けられている。
図5に示すように、スキャンスイッチ36、照明スイッチ37、通信LED38、照明LED39は、照明装置3内部に備えられている制御部40に電気的に接続されている。
【0024】
スキャンスイッチ36は、スマートフォン2にスキャン動作を実行させるスキャン操作の指示をユーザから受け付ける入力手段である。スキャンスイッチ36が押下されると、照明装置の制御部40が、スマートフォン2にスキャン動作を開始させるための光信号を、通信LED38から出力させる。すなわち、通信LED38から出力される光信号が、載置面34に載置されたスマートフォン2に対する撮像開始トリガである。なお、通信LED38に赤外LEDを用いて、光信号がユーザの目に見えず不快感がなくなるよう構成してもよい。
【0025】
照明スイッチ37をオン/オフすることで、制御部40が、照明LED39を点灯/消灯する。照明LED39は、スキャン動作時には撮影領域を明るくする照明手段として機能し、スキャン動作時以外では、例えばデスクライトの照明として機能することができる。
【0026】
図5に示すように、スマートフォン2は、撮像部21と、受光部22と、記録部23と、制御部24とを備える。撮像部21と、受光部22と、記録部23は、制御部24に電気的に接続されている。
【0027】
受光部22は、撮像部21の撮影領域内の光信号を検知する。受光部22は、スマートフォン2が載置面34に載置された状態では、所定の撮影領域7内で通信LED38から発信された光信号を受信することができる。載置面34に載置されたスマートフォン2の撮影領域7は、照明装置3のベース部31の前方向に隣接する媒体6を配置する領域と、ベース部31のうち通信LED38を含む前方部分とを含むよう構成されている。また、
図2に示すように、スマートフォン2の撮影領域7と、照明LED38の照射範囲8とは概ね等しく、撮影領域7を満遍なく明るくできるよう構成されている。
【0028】
受光部22は、具体的には、撮像部21を用いて撮影領域7をモニタリングしておき、撮像部21により撮像された画像データを解析することで、通信LED38の光信号を検知することができる。なお、受光部22は、撮像部21とは別のセンサ類によって構成することもできる。記録部23は、撮像部21により取得された読取データを保存する記憶装置である。
【0029】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る撮像システムの動作を説明する。
図6は、本実施形態の撮像システムにより実施される媒体撮影処理を示すフローチャートである。
【0030】
まず、照明装置3において、ユーザによるスキャンスイッチ36のオン操作が入力されると(S01)、制御部40によりスキャン開始処理が行われる。制御部40は、通信LED38が所定の光信号を出力するよう制御する(S02)。この光信号には、スマートフォン2に対してスキャン動作を開始させるトリガが含まれる。光信号は、具体的には、オン/オフの切替による明滅のパターン、光量強弱のパターン、色の変化、発光位置の変化などを行なうことができる。
【0031】
スマートフォン2の受光部22により、照明装置3の通信LED38から出力された光信号が検知される(S03)。受光部22は、撮像部21を利用して撮影領域をモニタリングしており、撮像部21によるモニタリング画像の中から光信号を抽出する。受光部22は、スキャン動作の開始トリガを含む光信号を検知したことを制御部24に出力する。
【0032】
光信号が検出されると、制御部24によりスキャン動作が開始される。まず制御部24により撮像部21が作動され、撮像部21によるスキャン動作が実施される(S04)。ここで、本実施形態では、媒体設置面5に対して、撮像部21が傾斜して配置されるため、撮像部21により取得される撮像画像は、例えばベース部31側の横方向が長く、反対側が短い歪みが発生する。制御部24は、撮像部21で撮像された画像データに射影変換を行ない、撮像画像の歪みを補正する。そして、歪み補正された画像データは、スマートフォン2の記録部23に保存される(S05)。
【0033】
次に、本実施形態に係る撮像システムの効果を説明する。
【0034】
本実施形態の撮像システム1において、照明装置3は、読取対象の媒体6を設置する媒体設置面5に配置されるベース部31と、ベース部31から上方に延在するアーム部32と、アーム部32から媒体設置面5に対向して延在するトップ部33と、トップ部33に設けられ、媒体設置面5に設置された媒体6を撮像可能な位置にスマートフォン2(撮像手段)を載置するための載置面34と、トップ部33に設けられ、媒体設置面5を照射する照明LED39を備える。
【0035】
この構成により、スキャン動作時に撮影領域を明るくするための照明装置3のトップ部33に、スマートフォン2を載置する載置面34を設けたので、スマートフォン2を照明装置3の載置面34に載置すれば、スマートフォン2の撮像部21と、照明LED39の照射範囲8との位置関係を一意に決めることができる。これにより、スマートフォン2の撮影領域7の全体にわたり均一な照度となるように照明LED39を配置することが容易となる。したがって、スマートフォン2を照明装置3の載置面34に載置するだけで、スマートフォン2(撮像手段)のスキャン動作を常時同じ条件で行うことが可能となり、スマートフォン2によるスキャン操作を簡単かつ確実に行なうことができる。
【0036】
また、本実施形態の照明装置3において、ベース部31、アーム部32、トップ部33は相互に一体的に固定される。
【0037】
この構成により、ベース部31が配置される媒体設置面5に対する載置面34の位置を常に一定にできる。つまり、スマートフォン2を照明装置3の載置面34に載置するだけで、スマートフォン2の撮像部21と、媒体設置面5との距離を常に一定にでき、媒体設置面5上の所定の撮影領域7の全体を撮影できる位置に撮像部21を配置できる。これにより、スマートフォン2(撮像手段)のスキャン動作を常時同じ条件で行うことが可能となり、スマートフォン2によるスキャン操作を簡単かつ確実に行なうことができる。
【0038】
また、本実施形態の照明装置3は、スマートフォン2を載置面34上の所定位置に位置決めするための位置決め手段を有する。より詳細には、載置面34が、スマートフォン2を載置する際にスマートフォン2の一部がトップ部33の先端から突出するよう、トップ部33の上面33aから掘り下げて設けられる。位置決め手段は、具体的には、トップ部33の上面33aと載置面34との間に形成された段差35a,35b,35cである。
【0039】
この構成により、スマートフォン2を段差35aに突き当てるだけで、スマートフォン2を載置面34上の所定位置に簡易に位置決めできるので、載置面34へのスマートフォン2の位置決めを容易に行なうことができる。また、このように載置面34を形成することで、スマートフォン2を載置面34へ載置したり取り外したりすること(挿抜)が容易となる。
【0040】
また、本実施形態の照明装置3において、前記載置面34が、トップ部33の先端側からアーム部32側へ下向きに傾斜して設けられる。この構成により、スマートフォン2を段差35aに突き当てやすくなるので、載置面34へのスマートフォン2の載置及び位置決めをより一層容易に行なうことができる。
【0041】
また、本実施形態の照明装置3は、載置面34に載置されたスマートフォン2に対して撮像開始トリガを送信するトリガ送信手段を備える。より詳細には、照明装置3はベース部31に通信LED38を備える。載置面34に載置されたスマートフォン2の撮像範囲が通信LED38を含む。撮像開始トリガは、具体的には、通信LED38から出力される光信号である。
【0042】
この構成により、載置面34に載置されたスマートフォン2が、撮像部21により取得する画像情報を用いてスキャン動作を開始するトリガを照明装置3から受け取ることができるので、スマートフォン2を照明装置3と電気的に接続する必要がない。したがって、スマートフォン2によるスキャン動作を、簡易な構成で実現することができる。
【0043】
[実施形態の第一変形例]
次に、
図7,8を参照して、実施形態の第一変形例について説明する。
図7は、実施形態の第一変形例における照明装置のトップ部及び載置面の概略構成を示す斜視図であり、
図8は、
図7に示す載置面にスマートフォンを載置した状態を示す斜視図である。
【0044】
図7,8に示すように、照明装置3の載置面34−1は、スマートフォン2の全周形状に応じてトップ部33の上面33aから掘り下げて設けることもできる。この構成では、上記実施形態の載置面34と異なり、載置面34−1の面積は、スマートフォン2の背面の面積とほぼ等しく、載置面34−1の形状は、スマートフォン2の背面形状と同一となる。トップ部33の上面33aと、載置面34−1との間に形成される段差は、上記実施形態の段差35a〜35cの他に、トップ部33の先端側にも設けられる(
図7に段差35dとして示す)。
【0045】
また、スマートフォン2が載置面34−1に載置された状態で、スマートフォン2の撮像部21が媒体設置面5を視認できるように、すなわち撮像部21が媒体設置面5の撮影領域7を撮像可能となるように、載置面34−1上で撮像部21が配置される部分には、トップ部33の下面に連通する開口部41が設けられている。
【0046】
この構成により、スマートフォン2が載置面34−1に載置される際には、スマートフォン2の側面が全周にわたって段差35a〜35dと当接する状態となるので、スマートフォン2を載置面34−1の所定位置へ確実に位置決めして載置することができる。
【0047】
[実施形態の第二変形例]
次に、
図9,10を参照して、実施形態の第二変形例について説明する。
図9は、実施形態の第二変形例における照明装置のトップ部及び載置面の概略構成を示す斜視図であり、
図10は、
図9に示す載置面にスマートフォンを載置した状態を示す斜視図である。
【0048】
図9,10に示すように、照明装置3の載置面34−2は、トップ部33の上面33aと同一平面として、載置面34−2と上面33aとの境界線43の周囲に、複数の突起42を設置することもできる。複数の突起42は、スマートフォン2を載置面34−2に載置する際に、スマートフォン2と当接する位置に形成される。
図10に示すように、スマートフォン2の載置時には、突起42のそれぞれは、スマートフォン2の各側面と当接することで、スマートフォン2の位置決めを行うことができる。
【0049】
この構成により、トップ部33の上面33aから掘り下げることなく、上面33aに突起42を設置するだけで載置面34−2を形成できるので、製造コストを低減できる。
【0050】
なお、
図9,10では、スマートフォン2の撮像部21がトップ部先端から突出する位置に載置面34−2を設ける構成を例示したが、例えば、スマートフォンの4側面にそれぞれ接触可能に配置される4つの突起42を設け、第一変形例と同様に、スマートフォン2の全周がトップ部の上面33aに載置される構成としてもよい。
【0051】
[実施形態の第三変形例]
次に、
図11を参照して、実施形態の第三変形例について説明する。
図11は、実施形態の第三変形例における照明装置の側面図である。
【0052】
図11に示すように、載置面34に載置されたスマートフォン2の撮像面と、媒体設置面5とが平行となるよう、載置面34を設けてもよい。すなわち、スマートフォン2の撮像部21の光軸が、媒体設置面5と直交するように、スマートフォン2が位置決めされる。言い換えると、載置面34を、媒体設置面5と平行となるよう照明装置3のトップ部33に形成する。
【0053】
この構成により、撮像部21が撮像した画像に歪みが発生しなくなるので、射影変換など撮像画像の後処理を行なう必要がなくなる。これにより、スキャン動作の処理速度を向上できると共に、画質劣化も低減できる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0055】
上記実施形態では、読み取り対象の媒体を撮像する撮像手段の一例としてカメラ機能を有するスマートフォン2を挙げて説明したが、本発明は、例えばデジタルカメラや、カメラ機能を有するPDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)、携帯電話、ノートパソコン、PHSなど、他の撮像手段にも適用可能である。
【0056】
また、上記実施形態では、照明装置3からスマートフォン2へ出力するスキャン動作の撮像開始トリガとして、通信LED38による光信号を用いたが、この代わりに、照明LED39により光信号を発信する構成としてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、撮像開始トリガとして光信号を用いたが、撮像部21の撮影画像に基づき検出できる情報であれば、例えばジェスチャや音情報など光信号以外の情報を用いてもよい。