特許第6075770号(P6075770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075770
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】データ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   G01R31/28 K
   G01R31/28 Y
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-80344(P2013-80344)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-202666(P2014-202666A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】阿部 伸之
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕士
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−068822(JP,A)
【文献】 特開2010−096704(JP,A)
【文献】 特開平08−249033(JP,A)
【文献】 特開2001−036297(JP,A)
【文献】 米国特許第6085408(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種類の回路基板を複数並べて1枚に形成した多面付基板に対する電気的検査において検査用のプローブをプロービングさせる当該多面付基板上の予め指定されたポイントの位置を特定するための検査用データを記憶する記憶部と、修正操作に従って前記検査用データを修正する修正処理を実行する処理部と、前記検査用データに基づく画像を表示部に表示させる表示制御部とを備えたデータ処理装置であって、
前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されている前記検査用データに基づき、基準回路基板として予め決められた前記多面付基板内の1つの回路基板における予め規定された基準位置を原点とする絶対座標で前記多面付基板内の全ての前記ポイントの位置を表示する第1の画像、および前記基準回路基板内の前記ポイントの位置を前記絶対座標で表示すると共に前記他の回路基板内の前記ポイントの位置を前記基準位置に対応する対応位置を原点とする相対座標で表示する第2の画像のいずれか一方を選択操作に応じて切り替えて前記表示部に表示させると共に、前記修正処理が実行されたときに表示中の前記画像を当該修正処理の内容で更新させるデータ処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記多面付基板の平面形状を特定する形状データを記憶し、
前記表示制御部は、前記第1の画像および前記第2の画像において、前記ポイントがプロットされた前記多面付基板の平面形状を前記形状データに基づいて表示させる請求項1記載のデータ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同種類の回路基板を複数並べて1枚に形成した多面付基板に対する電気的検査においてプローブをプロービングさせるポイントの位置を特定するための検査用データを修正可能に構成されたデータ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、特開2010−107265号公報において出願人が開示したデータ生成装置が知られている。このデータ生成装置は、電子部品における各接続端子の先端部の位置を特定可能な情報を含んだ電子部品データ、電子部品を回路基板に実装するときの回路基板上の電子部品の位置等を示す情報を含んだマウンタデータ、および回路基板上における配線パターンやランドの位置や幅(形状)を特定可能な情報を含んだ配線パターンデータ(CADデータやガーバデータ)に基づき、電子部品が実装されている回路基板に対する検査を行う際に検査用のプローブをプロービングさせるポイント(プロービング位置)を特定してその位置データを生成する。具体的には、このデータ生成装置では、実装状態における電子部品における接続端子の先端部の位置を電子部品データおよびマウンタデータに基づいて特定すると共に、配線パターンデータに基づいてランドの位置を特定して、接続端子の先端部の位置にランドが存在すると判別したときにそのランドの位置をポイントとして特定する。
【0003】
一方、回路基板の製造時に生じる配線パターンの位置ずれや、電子部品を回路基板に実装するときに生じる位置ずれなどに起因して、上記した各データに基づいて特定したポイントに接続端子やランドが存在していないことがある。このため、この種のデータ生成装置には、一般的に、修正操作を行ってポイントの座標を修正する機能が備えられている。この場合、出願人は、同種類の回路基板を複数並べて1枚に形成した多面付基板に対する検査用に生成された位置データに含まれる座標の修正を、次のような手順で行う機能を備えたデータ生成装置を開発している。1つ目の手順(第1の手順)で座標の修正を行うデータ生成装置では、多面付基板内の1つの回路基板(基準回路基板)における予め規定された位置(基準位置)を原点とする座標(絶対座標)で多面付基板における全てのポイントの位置を示す画像を表示部に表示させる。次いで、操作部を操作して、画像の中から修正すべき座標を選択して、その座標を修正する。続いて、処理部が修正後の座標を記憶部に記憶させる。また、2つ目の手順(第2の手順)で座標の修正を行うデータ生成装置では、多面付基板における各回路基板が互いに同じ形状に形成されていることを利用して、上記した基準回路基板内の各ポイントの位置を上記した基準位置を原点とする座標(絶対座標)で示すと共に、基準回路基板を除く他の回路基板内の各ポイントの位置については、基準位置に対応する対応位置をそれぞれ原点として絶対座標と同じ値で表した座標(相対座標)で示す画像を表示部に表示させる。次いで、操作部を操作して、画像の中から修正すべき座標を選択して、その座標を修正する。続いて、処理部が修正後の座標を記憶部に記憶させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−107265号公報(第5−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、出願人が既に開発している座標の修正機能を備えた上記のデータ生成装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、上記した第1の手順で座標の修正を行うデータ生成装置では、多面付基板100における全てのポイントの位置を絶対座標で示す画像を表示させて、その中から選択したポイントの絶対座標を修正するように構成されている。具体的には、このデータ生成装置では、図12に示すように、例えば、同種類の4つの回路基板A〜Dを平行移動させたり、回転させたりして並べて1枚に形成した多面付基板における互いに対応するポイントPa〜Pdの位置が、同図に示す基準位置P1を原点とする絶対座標で表示される。この状態において、同図における回路基板(基準回路基板)AのポイントPaをX軸に沿って「10」(つまり、右側に「10」)、Y軸に沿って「0」だけ移動させるときには、ポイントPaの絶対座標を(10,10)から(20,10)に修正する。また、各回路基板B〜DにおけるポイントPaに対応するポイントPb〜Pdを、基準回路基板Aと各回路基板B〜Dとの間の相対的な位置関係を考慮しつつポイントPaの移動量と同じ移動量だけ移動させるときには、各ポイントPb〜Pdの絶対座標を(110,10)、(90,190)、(190,190)から(120,10)、(80,190)、(180,190)にそれぞれ修正する。このように、このデータ生成装置では、各回路基板A〜Dにおける互いに対応するポイントの座標を修正する際に、基準回路基板Aと回路基板B〜Dとの間の相対的な位置関係に応じて、修正すべき座標の値が異なるため、修正すべき座標を直感的に把握することが困難な結果、修正すべき座標を誤り易いという課題が存在する。
【0006】
また、第2の手順で座標の修正を行うデータ生成装置では、基準回路基板内の各ポイントの位置を絶対座標で示すと共に、基準回路基板を除く他の回路基板内の各ポイントの位置を相対座標で示す画像を表示部に表示させて、その中から選択したポイントの座標を修正するように構成されている。具体的には、このデータ生成装置では、図13に示すように、多面付基板100における基準回路基板AのポイントPaの位置が、基準位置P1を原点とする絶対座標(10,10)で表示される。また、基準回路基板Aを除く他の回路基板B〜DにおけるポイントPaに対応するポイントPb〜Pdの位置が、基準位置P1に対応する対応位置P2〜P4を原点とする相対座標、つまりポイントPaの位置を示す座標と同じ座標(10,10)でそれぞれ表示される。この場合、ポイントPdの位置を測定した結果、設計上のポイントPdの位置と測定した位置との間に位置ずれが生じており、この位置ずれを解消するために同図におけるX軸に沿って「−10」(つまり、左側に「10」)、Y軸に沿って「0」だけ座標を修正するときには、ポイントPdの座標を(10,10)から(20,10)に修正する。つまり、X軸に沿った見た目の位置をマイナス方向に移動させるときには、座標を増加させる必要がある。このように、このデータ生成装置では、基準回路基板Aと他の回路基板B〜Dとの間の相対的な位置関係によっては、逆方向に座標が移動するかのような感覚を生じさせる値に座標を修正するとことがある。このため、このデータ生成装置では、このような修正を行う際には、修正すべき座標を誤り易いという課題が存在する。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、プローブをプロービングさせるポイントの座標を修正する作業を正確に行い得るデータ処理装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載のデータ処理装置は、同種類の回路基板を複数並べて1枚に形成した多面付基板に対する電気的検査において検査用のプローブをプロービングさせる当該多面付基板上の予め指定されたポイントの位置を特定するための検査用データを記憶する記憶部と、修正操作に従って前記検査用データを修正する修正処理を実行する処理部と、前記検査用データに基づく画像を表示部に表示させる表示制御部とを備えたデータ処理装置であって、前記表示制御部は、前記記憶部に記憶されている前記検査用データに基づき、基準回路基板として予め決められた前記多面付基板内の1つの回路基板における予め規定された基準位置を原点とする絶対座標で前記多面付基板内の全ての前記ポイントの位置を表示する第1の画像、および前記基準回路基板内の前記ポイントの位置を前記絶対座標で表示すると共に前記他の回路基板内の前記ポイントの位置を前記基準位置に対応する対応位置を原点とする相対座標で表示する第2の画像のいずれか一方を選択操作に応じて切り替えて前記表示部に表示させると共に、前記修正処理が実行されたときに表示中の前記画像を当該修正処理の内容で更新させる。
【0009】
また、請求項2記載のデータ処理装置は、請求項1記載のデータ処理装置において、前記記憶部は、前記多面付基板の平面形状を特定する形状データを記憶し、前記表示制御部は、前記第1の画像および前記第2の画像において、前記ポイントがプロットされた前記多面付基板の平面形状を前記形状データに基づいて表示させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のデータ処理装置では、表示制御部が、第1の画像および第2の画像のいずれか一方を選択操作に応じて切り替えて表示部に表示させ、修正処理が実行されたときに表示中の画像を修正処理の内容で更新させる。この場合、第1の画像を表示させた状態で行う修正操作では、全てのポイントの位置が絶対座標で表示されるため、例えば、設計上のポイントの位置と測定した位置との間に生じている位置ずれを解消するためにそのポイントの座標を修正する際には、位置ずれ量をそのまま反映させた(増減させた)座標の値を入力することで、座標の修正を行うことができる。この結果、相対座標でポイントの位置を表示させた状態で行う修正操作とは異なり、基準回路基板と他の回路基板との間の相対的な位置関係によっては逆方向に座標が移動するかのような感覚を生じさせる値に座標を修正することがないため、入力する座標の値の錯誤が防止されて、座標の修正作業を正確に行うことができる。また、第2の画像を表示させた状態で行う修正操作では、例えば、互いに対応するポイントの座標を修正するときには、基準回路基板と回路基板との間の相対的な位置関係に応じて修正すべき座標の値を異ならせることなく、同じ座標の値を入力して修正を行うことができるため、回路基板毎に異なる座標の値を入力するときに生じ易い入力ミスや、回路基板毎に異なる座標の値を算出するときの計算ミスに起因して誤った座標に修正する事態を確実に防止することができる結果、座標の修正作業を正確に行うことができる。したがって、このデータ処理装置によれば、態様に応じて第1の画像および第2の画像を切り替えて表示させその状態で修正操作を行うことで、どのような態様の修正作業においても、その修正作業を正確に行うことができる。
【0011】
また、請求項2記載のデータ処理装置によれば、表示制御部が、第1の画像および前記第2の画像において、ポイントがプロットされた多面付基板の平面形状を表示させることにより、多面付基板内における修正すべきポイントを容易に探し出すことができる。このため、このデータ処理装置によれば、ポイントの座標を修正する修正作業の効率を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】データ処理装置1の構成を示す構成図である。
図2】検査ステップデータDaの構成を説明する説明図である。
図3】基準座標データDbの構成を説明する説明図である。
図4】相対データDcの構成を説明する説明図である。
図5】オフセットデータDdの構成を説明する説明図である。
図6】データ処理装置1の動作を説明する第1の説明図である。
図7】データ処理装置1の動作を説明する第2の説明図である。
図8】データ処理装置1の動作を説明する第3の説明図である。
図9】データ処理装置1の動作を説明する第4の説明図である。
図10】データ処理装置1の動作を説明する第5の説明図である。
図11】データ処理装置1の動作を説明する第6の説明図である。
図12】従来のデータ生成装置の動作を説明する第1の説明図である。
図13】従来のデータ生成装置の動作を説明する第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、データ処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、データ処理装置の一例としての図1に示すデータ処理装置1の構成について説明する。このデータ処理装置1は、同図に示すように、操作部2、表示部3、記憶部4および制御部5を備えて、一例として、図6に画像で示す多面付基板100に対する電気的検査を行う際に検査用のプローブを接触させる回路基板上のポイントの位置を特定するためのデータ(具体的には、後述する基準座標データDbおよびオフセットデータDd)を修正可能に構成されている。この場合、多面付基板100は、同種類の回路基板を複数並べて1枚に形成した基板であって、この例では、同図に示すように、多面付基板100の表面を格子状に4つに区切った各領域に4つの回路基板A〜Dを配置して形成されている。また、回路基板C,Dは、回路基板A,Bを180°回転させた状態で配置されている。このように各回路基板A〜Dを配置することで、多面付基板100は、多面付基板100の中心部を対称点として点対称となるように構成されている。
【0015】
また、上記の電気的検査では、一例として、1回の検査ステップ(検査工程)において、2つのポイントにプローブを1本ずつ(合計2本)プロービングさせた状態で導体パターンの断線検査や電子部品の検査(定数検査)を行う。このため、この電気的検査では、検査ステップを各ポイントの組み合わせを変更しつつ複数回実行する。
【0016】
操作部2は、一例として、キーボードおよびポインティングデバイスとしてのマウスを備えて構成されて、操作に応じて制御部5に対して操作信号を出力する。表示部3は、制御部5の制御に従い、各種の画像を表示する。具体的には、制御部5は、後述する第1画像(第1の画像)Gaおよび第2画像(第2の画像)Gbを表示する。
【0017】
記憶部4は、例えば、磁気記憶媒体やRAMなどを備えて構成され、制御部5の動作プログラムを記憶する。また、記憶部4は、検査対象の多面付基板100の設計データ(多面付基板100における配線パターンの形状や、多面付基板100に実装される電子部品の実装位置等を特定可能なデータ)に基づいて予め生成された検査ステップデータDa、基準座標データDb、相対データDc、オフセットデータDdおよび形状データDeを記憶する。これらのデータDa〜Deは、検査用データの一例であって、上記したように、多面付基板100に対する電気的検査を行う際に検査用のプローブを接触させる多面付基板100上のポイントの位置を特定するために用いられる。
【0018】
この場合、検査ステップデータDaは、図2に概念的に示すように、多面付基板100に対する電気的検査において実行される検査ステップの順番を示すステップ番号(同図にそれらの一部を示す「S1〜S4」の番号)の情報と、各検査ステップにおいてプロービングの対象となるポイント(以下、「プロービング対象ポイント」ともいう)を識別する符号(同図にそれらの一部を示す「Pa1〜P5,P7,P8」の符号)の情報とが対応付けられて構成されている。
【0019】
また、基準座標データDbは、図3に概念的に示すように、多面付基板100内の各回路基板A〜Dの中から基準回路基板として予め決められた回路基板(例えば、回路基板A:以下、「基準回路基板A」ともいう)内の全てのポイントを識別する符号(同図にそれらの一部を示す「Pa1〜Pa4」の符号)の情報と、各ポイントの座標(X座標およびY座標)の情報とが対応付けられて構成されている。この場合、基準回路基板Aにおける予め規定された基準位置P1(図6参照)を原点とする座標(以下、「絶対座標」ともいう)がこの基準座標データDbにおけるポイントの座標として採用されている。
【0020】
また、相対データDcは、基準回路基板Aを除く他の回路基板B〜Dと基準回路基板Aとの相対的な位置関係を示すデータであって、図4に概念的に示すように、基準回路基板Aの中心と回路基板B〜Dの中心との間のX軸・Y軸それぞれに沿った離間距離を示す情報、および基準回路基板Aに対する回路基板B〜Dの回転角度を示す情報を含んで構成されている。
【0021】
また、オフセットデータDdは、多面付基板100内の全てのポイント毎に個別に設定可能なオフセット値を示す情報を含んで構成されている。このオフセット値は、各回路基板A〜Dにおいて互いに対応するポイント(例えば、図6に示す4つのポイントPa1,Pb1,Pc1,Pd1)のうちの1つの位置だけを移動させるために用いられる。具体的には、このオフセット値が設定されているポイントの位置は、互いに対応する他のポイントの位置よりもオフセット値(X軸・Y軸に沿った距離)の分だけ移動した位置に規定される。なお、初期状態では、各ポイントのオフセット値は(0,0)に設定されている。
【0022】
また、形状データDeは、多面付基板100の平面形状を特定する形状データあって、多面付基板100の輪郭、および各回路基板A〜Dの輪郭を示す情報を含んで構成されている。
【0023】
制御部5は、表示制御部および処理部として機能して、データ処理装置1を構成する各部を制御すると共に、各種の処理を実行する。具体的には、制御部5は、記憶部4に記憶されている検査用データ(各データDa〜De)に基づき、第1画像Gaおよび第2画像Gbのいずれか一方を選択操作に応じて切り替えて表示部3に表示させる
【0024】
この場合、第1画像Gaは、図6に示すように、多面付基板100内の全てのポイントの位置を絶対座標で一覧表示する画像(以下「第1座標画像Gc」ともいう)と、多面付基板100の平面形状を示す平面図内に各ポイント(ポイントを示すドット)がプロットされた画像(以下「基板画像Gd」ともいう)と、多面付基板100に対する電気的検査において実行される検査ステップにおけるプロービング対象のポイントを一覧表示する画像(以下「検査ステップ画像Ge」ともいう)とで構成されている。
【0025】
また、第2画像Gbは、図9に示すように、基準回路基板A内の各ポイントの位置を絶対座標で表示すると共に基準回路基板Aを除く他の回路基板B〜D内の各ポイントの位置を基準位置P1に対応する対応位置P2〜P4(相対データDcによって特定される位置関係分だけ基準位置P1から移動させた位置)をそれぞれ原点として絶対座標と同じ値で表した座標(以下、「相対座標」ともいう)で表示する画像(以下「第2座標画像Gf」)と、上記した基板画像Gdおよび検査ステップ画像Geとで構成されている。
【0026】
また、制御部5は、処理部として機能し、操作部2を用いた修正操作に従って基準座標データDbおよびオフセットデータDdを修正する修正処理を実行する。具体的には、制御部5は、第1画像Gaが表示されている状態で修正操作がされたときに、オフセットデータDd内における修正操作の対象(修正対象)のポイントについてのオフセット値を設定すると共に、そのオフセットデータDdを記憶部4に記憶(上書き)させる。このように、オフセットデータDd内における修正対象のポイントについてのオフセット値を修正することで、修正対象のポイントの座標だけを修正することができる。
【0027】
また、制御部5は、第2画像Gbが表示されている状態で修正操作がされたときに、基準座標データDb内における修正対象のポイントに対応する絶対座標を修正すると共に、修正した基準座標データDbを記憶部4に記憶(上書き)させる。このように、基準座標データDb内の絶対座標を修正することで、相対データDcによって特定される位置関係分だけ基準位置P1から移動させた対応位置P2をそれぞれ原点として絶対座標と同じ値で表される相対座標も実質的に修正することができる。
【0028】
また、制御部5は、修正処理を実行したときに、表示部3に表示させている画像(第1画像Gaまたは第2画像Gb)を修正処理の内容で更新して表示させる。
【0029】
次に、データ処理装置1を用いて、検査用データとしての基準座標データDbおよびオフセットデータDdを修正する方法、およびその際のデータ処理装置1の動作について、図面を参照して説明する。この場合、検査ステップデータDa(図2参照)、基準座標データDb(図3参照)、相対データDc(図4参照)、オフセットデータDd(図5参照)および形状データDeが記憶部4に予め記憶されているものとする。
【0030】
まず、操作部2を操作して、検査ステップデータDa、基準座標データDb、相対データDc、オフセットデータDdおよび形状データDeの読み出しを指示する。この際に、操作部2が操作信号を出力し、制御部5が操作信号に従って記憶部4から各データDa〜Deを読み出す。
【0031】
次いで、操作部2を操作して、第1画像Gaおよび第2画像Gbのいずれか一方を選択して、選択した画像の表示を指示する。ここで、第1画像Gaを表示させている状態で修正処理を行ったときには、修正したポイント修正対象のポイントについてのオフセットデータDd内のオフセット値が設定(または修正)されるだけで、基準座標データDb内の絶対座標が修正されることがないため、各回路基板のうちの1つの回路基板のポイントの座標だけを修正するときには、この第1画像Gaを選択する。
【0032】
この第1画像Gaを選択して表示の指示をしたときには、制御部5が、操作部2から出力された操作信号に従い、記憶部4から読み出した各データDa〜Deに基づき、第1画像Gaを表示部3に表示させる。
【0033】
具体的には、制御部5は、多面付基板100に対する電気的検査において実行される各検査ステップのステップ番号の情報と、各検査ステップにおけるプロービング対象ポイントを識別する符号の情報とを、読み出した検査ステップデータDaから抽出する。また、制御部5は、基準回路基板A内の全てのポイントの絶対座標の情報を、読み出した基準座標データDbから抽出する。さらに、制御部5は、回路基板B〜Dと基準回路基板Aとの相対的な位置関係を示す情報を、読み出した相対データDcから抽出する。また、制御部5は、読み出したオフセットデータDd内にオフセット値が設定されているポイントが存在するか否かを判別し、存在するときには、そのオフセット値の情報を抽出する。
【0034】
次いで、制御部5は、抽出した基準回路基板Aにおける各ポイントの絶対座標、および回路基板B〜Dと基準回路基板Aとの間の相対的な位置関係を示す数値に基づいて回路基板B〜Dにおける各ポイントの絶対座標を特定する。続いて、制御部5は、オフセット値が設定されているポイントが存在しているときには、存在するときには、そのポイントの絶対座標をオフセット値で補正する。
【0035】
次いで、制御部5は、読み出した形状データDeに基づいて多面付基板100の平面形状を特定して、その平面形状を示す平面図内に各ポイントをプロットした基板画像Gdと、全てのポイントの位置を絶対座標(または、補正した絶対座標)で一覧表示する第1座標画像Gcと、各検査ステップにおけるプロービング対象ポイントを一覧表示する検査ステップ画像Geとで構成された第1画像Gaを表示させるための画像データを生成する。次いで、制御部5は、生成した各画像データを表示部3に出力することにより、図6に示すように、第1画像Gaを表示部3に表示させる。
【0036】
ここで、例えば、図6に示すポイントPd1の位置を測定した結果、設計上のポイントPd1の座標と測定した座標との間にずれが生じており、このずれを解消するためにポイントPd1の座標を修正するときには、操作部2を用いて選択操作を行う。具体的には、図7に示すように、操作部2のマウスを操作して第1画像Gaの第1座標画像Gc内におけるポイントPd1の座標の表示箇所にカーソル(ポインタ)を移動させ、続いて、マウスをクリックしてその座標を選択する。なお、基板画像Gd内にプロットされているポイントPd1にカーソルを移動させて選択してもよい。この際に、制御部5が、操作部2から出力された操作信号に従い、選択された座標の表示箇所の近傍に座標を入力するための入力用画像Giを表示させる。
【0037】
続いて、操作部2を用いて修正操作を行う。ここで、第1画像Gaでは、多面付基板100における全てのポイントの位置が基準位置P1を原点とする絶対座標で表示されている。このため、ポイントPd1の位置を基準位置P1を原点として測定したときの測定値と絶対座標との間の位置ズレ量が例えば図7におけるX軸に沿って「−10」(つまり、左側に「10」)、Y軸に沿って「0」のときには、この値をそのまま反映させて絶対座標を修正すればよい。具体的には、図7に示すように、操作部2のキーボードを用いて入力用画像Gi内に数値を入力することにより、ポイントPd1の座標を(190,190)から(180,190)に修正する。上記したように、第1画像Gaを表示させた状態で行う修正操作では、位置ずれ量をそのまま反映させた(増減させた)座標を入力して座標の修正を行うことができるため、誤った座標に修正する事態が防止されて、座標の修正作業を正確に行うことが可能となっている。
【0038】
次いで、制御部5は、修正処理を実行して、オフセットデータDd内のポイントPd1についてのオフセット値を上記した差分値である(−10,0)に設定すると共に、そのオフセットデータDd(修正したオフセットデータDd)を記憶部4に記憶(上書き)させる。また、制御部5は、第1画像Gaを修正処理の内容で更新して表示させる。具体的には、制御部5は、図8に示すように、第1画像Ga内に表示されている修正処理の対象としたポイントPd1の座標を修正後の座標に更新して表示させる。さらに、制御部5は、平面図内におけるにポイントPd1の位置を修正後の座標の位置に更新して表示させる。次いで、他に修正すべき座標が存在するときには、上記した選択操作および修正操作を行う。この際に、制御部5は上記した修正処理を実行する。
【0039】
一方、上記した第2画像Gbを表示させている状態で修正処理を行ったときには、基準座標データDb内における修正対象のポイントに対応する絶対座標が修正され、これによって相対座標も実質的に修正される。つまり、1つの回路基板におけるポイントの座標を修正することで、そのポイントに対応する他の回路基板におけるポイントの座標も一括して修正することができる。このため、各回路基板における互いに対応する各ポイントの座標を一度の修正操作で修正するときには、この第2画像Gbを選択する。
【0040】
操作部2を操作して、この第2画像Gbを選択して表示の指示をしたときには、制御部5が、操作部2から出力された操作信号に従い、記憶部4から読み出した各データDa〜Deに基づき、第2画像Gbを表示部3に表示させる。
【0041】
具体的には、制御部5は、上記したように、各データDa〜Deから各情報(ステップ番号の情報、符号の情報、絶対座標の情報)を抽出する。次いで、制御部5は、抽出した基準回路基板Aにおける各ポイントの絶対座標、および回路基板B〜Dと基準回路基板Aとの相対的な位置関係を示す数値に基づいて回路基板B〜Dにおける各ポイントの相対座標を特定する。続いて、制御部5は、オフセット値が設定されているポイントが存在しているときには、そのポイントの絶対座標または相対座標をオフセット値で補正する。
【0042】
次いで、制御部5は、基板画像Gdと、基準回路基板Aのポイントの位置を絶対座標(または、補正した絶対座標)で一覧表示すると共に回路基板B〜Dのポイントの位置を相対座標(または、補正した相対座標)で一覧表示する第2座標画像Gfと、検査ステップ画像Geとで構成された第2画像Gbを表示させるための画像データを生成する。次いで、制御部5は、生成した各画像データを表示部3に出力することにより、図9に示すように、第1画像Gaを表示部3に表示させる。
【0043】
ここで、例えば、図9に示すポイントPa1,Pb1,Pc1,Pd1を測定した位置と設計上の位置との間に位置ずれが生じており、この位置ずれを解消するために各ポイントPa1,Pb1,Pc1,Pd1の座標を修正するときには、操作部2を用いて選択操作を行う。具体的には、図10に示すように、操作部2のマウスを操作して第2画像Gbの第2座標画像Gf内における各ポイントPa1,Pb1,Pc1,Pd1のうちの1つ(例えば、ポイントPa1)の座標の表示箇所にカーソル(ポインタ)を移動させ、続いて、マウスをクリックしてその座標を選択する。なお、基板画像Gd内にプロットされているポイントPa1にカーソルを移動させて選択してもよい。
【0044】
続いて、操作部2を用いて修正操作を行う。具体的には、図10に示すように、操作部2のキーボードを用いて入力用画像Gi内に数値を入力することにより、ポイントPa1の座標を(10,10)から(20,10)に修正する。
【0045】
次いで、制御部5が、修正処理を実行して、基準座標データDb内のポイントPa1の座標(絶対座標)を(10,10)から(20,10)に修正すると共に、修正した基準座標データDbを記憶部4に記憶(上書き)させる。また、制御部5は、第2画像Gbを修正処理の内容で更新して表示させる。具体的には、制御部5は、図11に示すように、第2画像Gb内に表示されている修正処理の対象としたポイントPa1の座標(絶対座標)を修正後の座標に更新して表示させる。また、回路基板B〜DにおけるポイントPa1に対応するポイントPb1,Pc1,Pd1の座標(相対座標)を修正後の座標に更新して表示させる。さらに、平面図内におけるにポイントPa1,Pb1,Pc1,Pd1の位置を修正後の座標の位置に更新して表示させる。次いで、他に修正すべき座標が存在するときには、上記した選択操作および修正操作を行う。この際に、制御部5が上記した修正処理を実行する。
【0046】
また、ポイントPa1に代えて、ポイントPb1,Pc1,Pd1の座標(相対座標)に対して修正操作を行うときには、ポイントPa1の絶対座標に対する修正操作の際の値と同じ値を入力して修正を行う。上記例では、(10,10)から(20,10)に修正する。このように、第2座標画像Gfを表示させた状態で行う修正操作では、互いに対応するポイントの座標を修正するときには、基準回路基板Aと回路基板B〜Dとの間の相対的な位置関係に応じて修正すべき座標の値を異ならせることなく、同じ座標の値を入力して修正を行うことができるため、回路基板A〜D毎に異なる座標の値を入力するときに生じ易い入力ミスや、回路基板A〜D毎に異なる座標の値を算出するときの計算ミスに起因して誤った座標に修正する事態が防止される結果、座標の修正作業を正確に行うことが可能となっている。
【0047】
続いて、修正すべき全ての座標についての修正操作および修正処理が終了したときには、操作部2を用いて終了操作を行う。これに応じて、制御部5は終了処理を実行する。
【0048】
このように、このデータ処理装置1では、制御部5が、第1画像Gaおよび第2画像Gbのいずれか一方を選択操作に応じて切り替えて表示部3に表示させ、修正処理が実行されたときに表示中の画像を修正処理の内容で更新させる。この場合、第1画像Gaを表示させた状態で行う修正操作では、全てのポイントの位置が絶対座標で表示されるため、例えば、設計上のポイントの位置と測定した位置との間に生じている位置ずれを解消するためにそのポイントの座標を修正する際には、位置ずれ量をそのまま反映させた(増減させた)座標の値を入力することで、座標の修正を行うことができる。したがって、相対座標でポイントの位置を表示する第2画像Gbを表示させた状態で行う修正操作とは異なり、基準回路基板Aと他の回路基板B〜Dとの間の相対的な位置関係によっては逆方向に座標が移動するかのような感覚を生じさせる値に座標を修正することがないため、入力する座標の値の錯誤が防止されて、座標の修正作業を正確に行うことができる。また、第2画像Gbを表示させた状態で行う修正操作では、互いに対応するポイントの座標を修正するときには、基準回路基板Aと回路基板B〜Dとの間の相対的な位置関係に応じて修正すべき座標の値を異ならせることなく、同じ座標の値を入力して修正を行うことができるため、回路基板A〜D毎に異なる座標の値を入力するときに生じ易い入力ミスや、回路基板A〜D毎に異なる座標の値を算出するときの計算ミスに起因して誤った座標に修正する事態を確実に防止することができる結果、座標の修正作業を正確に行うことができる。したがって、このデータ処理装置1によれば、態様に応じて第1画像Gaおよび第2画像Gbを切り替えて表示させその状態で修正操作を行うことで、どのような態様の修正作業においても、その修正作業を正確に行うことができる。
【0049】
また、このデータ処理装置1によれば、制御部5が、第1画像Gaおよび前記第2画像Gbにおいて、ポイントがプロットされた多面付基板100の平面形状を表示させることにより、多面付基板100内における修正すべきポイントを容易に探し出すことができる。このため、このデータ処理装置1によれば、ポイントの座標を修正する修正作業の効率を十分に向上させることができる。
【0050】
なお、データ処理装置1は、上記した構成に限定されない。例えば、第1画像Gaおよび第2画像Gbの形態は上記した形態に限定されず、任意に変更することができる。具体的には、基板画像Gdおよび検査ステップ画像Geを表示させずに第1座標画像Gcだけで構成された第1画像Gaや第2座標画像Gfだけで構成された第2画像Gbを採用することもできる。また、基板画像Gd上にプロットしたポイントの近傍に座標を表示する形態の第1画像Gaや第2画像Gbを採用することもできる。
【0051】
また、操作部2のキーボードを操作して座標を数値入力する例について上記したが、他の操作方法で座標を修正することもできる。例えば、マウスを操作して座標の値を増加または減少させて座標を修正する構成を採用することもできる。
【0052】
また、操作部2、表示部3および記憶部4を備えた構成例について上記したが、これらを備えていない構成、つまり、データ処理装置1の外部装置としての操作部、表示部および記憶部を用いる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 データ処理装置
2 操作部
3 表示部
4 記憶部
5 制御部
100 多面付基板
A〜D 回路基板
Db 基準座標データ
Dc 相対データ
Db 基準座標データ
Dd オフセットデータ
De 形状データ
Ga 第1画像
Gb 第2画像
Gc 第1座標画像
Gd 基板画像
Ge 検査ステップ画像
Gf 第2座標画像
P1 基準位置
P2〜P4 対応位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13