【実施例】
【0018】
(実施例1)
上記エアバッグにかかる実施例について
図1〜
図10を参照して説明する。
図5及び
図6に示すように、エアバッグ1は、高圧ガスを導入するための導入口111を有する第1生地部(基布)11と、第1生地部11に連なり、第1生地部11と共に袋形状を構成する第2生地部(基布)12とを備えており、第1生地部11と第2生地部12とを平面状に展開して重なり合わせた二重シート10を折り畳んで構成されている。
【0019】
二重シート10は、長手方向Xにおいて3つの領域に区画され、導入口111が存在する中央部21と、中央部21を挟んで長手方向X両側にそれぞれ位置する大片部22及び小片部23とを有している。
中央部21において、第1生地部11の側を裏側、第2生地部12の側を表側、大片部22の側を前側、及び小片部23の側を後側とする。
図1〜
図3に示すように、大片部22は、長手方向Xに略直交する複数の折り曲げ線24(
図5)に沿って複数回折り曲げ巻回された積層ロール部220を形成して、中央部21の表側に積層配置されている。
【0020】
図1〜
図3に示すように、小片部23は、積層ロール部220に沿って積層ロール部220の後側から表側に達するように配置されている。
積層ロール部220における長手方向Xに直交する方向の両端のロール端部25は、積層ロール部220の表側に折り返されており、小片部23は、積層ロール部220とロール端部25とによって挟まれている。
小片部23は、その先端部231が、積層ロール部220の表側の表面上において、エアバッグ1の前側の端部よりも内側に位置するように配置されている。
【0021】
以下、さらに詳細に説明する。
図5及び
図6に示すように、エアバッグ1において、中央部21における第1生地部11及び第2生地部12の並び方向を法線方向Zとし、中央部21から大片部22及び小片部23が延出した方向を長手方向Xとし、法線方向Z及び長手方向Xと直交する方向を幅方向Yとして説明する。
図4に示すように、本例に示すエアバッグ1は、自動車における助手席の乗員を保護するエアバッグ装置100に用いられるものである。エアバッグ装置100は、助手席に対して車両の前方側に設けられたインストルメントパネル104内に配されており、高圧ガスを発生させるインフレータ101と、高圧ガスを導入することで膨張するエアバッグ1と、これらを収納するケース102とを有している。
【0022】
エアバッグ装置100は、自動車が衝突し衝撃を感知するとインフレータ101が高圧ガスを発生する。この高圧ガスがエアバッグ1内に導入されることによりエアバッグ1が膨張し、インストルメントパネル104に形成されたドア部(図示略)を押し開くと共に、膨張したエアバッグ1が車室内において、助手席乗員に向かって展開される。
【0023】
図5及び
図6に示すように、エアバッグ1は、合成繊維を製織した低通気性素材によって形成されており、高圧ガスを導入するための導入口111を有する第1生地部11と、第1生地部11に連なり、第1生地部11と共に袋形状を構成する第2生地部12とを備えている。非膨張時において、第1生地部11と第2生地部12とは、平面状に重なり合わせた二重シート10を構成している。
【0024】
二重シート10は、長手方向Xの両端から中央側に向かって徐々に拡幅するように形成されており、膨張時には、略四角錘状の立体形状を形成する(
図4)。また、二重シート10は、長手方向Xにおいて、導入口111が存在する中央部21と、中央部21を挟んで長手方向X両側にそれぞれ位置する大片部22及び小片部23との3つの領域に区画されている。
【0025】
図4及び
図5に示すように、本例において、導入口111の周囲には、仮想線211が形成されている。仮想線211は、四角形状をなしており、ケース102内にエアバッグ1を収納した際の、導入口111に対するケース内周縁103の位置よりも一回り小さい位置に形成されている。
中央部21は、長手方向Xにおける仮想線211の幅寸法211aと同一の範囲に設定してある。中央部21から前側に向かって大片部22が、中央部21から後ろ側に向かって小片部23が伸びており、長手方向Xにおける大片部22の長さ寸法は、小片部23の長さ寸法に比べて大きく設定してある。
【0026】
図7及び
図8に示すように、大片部22は、長手方向Xに略直交する複数の折り曲げ線24に沿って複数回折り曲げ巻回された積層ロール部220を形成して中央部21の表側に積層配置されている。本例において、大片部22は、中央部21の表側に配されるよう、中央部21との境界線212(
図5)に沿って折り曲げた後、4本の折り曲げ線24(
図5)に沿って、先端側から順次表側に折り曲げ巻回することで積層ロール部220を形成している。尚、隣り合う折り曲げ線24の間隔は、エアバッグ1がケース102内に納まるよう適宜設定するものである。
【0027】
図9及び
図10に示すように、小片部23は、その
先端部が二重シート10の内部に折り込まれて4重に重なった4重重ね合わせ部232を構成している。つまり、二重シート10における小片部23の後側の
先端部が、第1生地部11と第2生地部12との間に挟まれるように、二重シート10の内部に折り込まれており、4重重ね合わせ部232の先端は、第1生地部11と第2生地部12とがそれぞれ折り畳まれた第1先端部233及び第2先端部234を有している。
【0028】
4重重ね合わせ部232を形成した小片部23は、積層ロール部220に沿って積層ロール部220の後側から表側に達するように配置されている。このとき、小片部23は、第1先端部233及び第2先端部234が、積層ロール部220の表側の表面上において、エアバッグ1の前側の端部よりも内側(後側)に位置するように配置されている。本例においては、小片部23の先端部231と積層ロール部220の前側の端部との間の距離Aは、エアバッグ1の長手方向Xの全長Lに対して、0.5L=Aの関係となるように設定してある。
【0029】
図2、
図3及び
図9に示すように、幅方向Yにおいて、積層ロール部220の両端における、仮想線211の幅寸法211bよりも外側に配されたロール端部25は、小片部23を挟んで積層ロール部220の表側に折り返されている。本例においては、両端のロール端部25を折り返した際に、その先端が、積層ロール部220の表側の略中央位置に配されている。
【0030】
次に、本例の作用効果について説明する。
エアバッグ1においては、積層ロール部220を中央部21の表側に積層配置し、小片部23を積層ロール部220の表側に達するように配置すると共に、ロール端部25が小片部23を挟むように積層ロール部220の表側に折り返している。そして、小片部23の第1先端部233及び第2先端部234が、積層ロール部220の表側の表面上において、エアバッグ1の前側の端部よりも内側(後側)に位置するように配置されている。
そのため、エアバッグ1の膨張、展開を速やかかつ確実に行うことができる。
【0031】
すなわち、小片部23は、積層ロール部220とロール端部25との間に挟まれているため、エアバッグ1の展開初期には、積層ロール部220とロール端部25から小片部23に展開を阻害するように抵抗がかかる。上述のように、小片部23の第1先端部233及び第2先端部234を、エアバッグ1の前側の端部よりも内側に配置することにより、積層ロール部220とロール端部25との間に挟まれた部位を縮小することができる。
【0032】
したがって、積層ロール部220とロール端部25から小片部23にかかる抵抗を低減することができる。これにより、小片部23が積層ロール部220とロール端部25との間から抜け出やすくなる。それゆえ、小片部23、積層ロール部220及びロール端部25を容易に展開することが可能となり、エアバッグ1の膨張、展開を速やかかつ確実に行うことができる。
【0033】
また、第1先端部233及び第2先端部234とエアバッグ1の前側の端部との間の距離を調整することにより、小片部23が積層ロール部220とロール端部25との間から抜け出るタイミングを調整することができる。これにより、エアバッグ1における展開初期の膨張方向と、膨張、展開のタイミングを任意に設定することができる。
【0034】
また、第1先端部233及び第2先端部234と積層ロール部220の前側の端部との間の距離Aは、エアバッグ1の長手方向Xの全長Lに対して、0.1L<A<0.9Lの関係を有している。そのため、エアバッグ1の展開性及び折り畳み作業性を向上することができる。
【0035】
また、小片部23の先端は、二重シート10の内部に折り込まれて4重に重なった4重重ね合わせ部232を構成している。そのため、エアバッグ1の形状を変化させることなく、小片部23の先端と積層ロール部220の前側の端部との間の距離Aを調整することができる。また、二重シート10の内部に折り込むことで、高圧ガスの導入がスムースに行われ、エアバッグ1の膨張、展開性を向上することができる。
【0036】
以上のように、本例のエアバッグ1によれば、速やかかつ確実に膨張、展開することができる。
【0037】
上記実施例1に示したエアバッグ1においては、小片部23の先端部231に4重重ね合わせ部232を形成したがこれに限るものではなく、
図11に示すように、二重シート10のまま折り畳んでもよい。
また、ロール端部25における幅方向Yの寸法が大きい場合には、
図12に示すように積層ロール部220の中央側から、さらに幅方向Y外側に向かって折り返してもよい。
また、上述した積層ロール部220を形成する際の、大片部22の折り曲げ線24の数、折り曲げ回数及び折り曲げ方向は、一例を示すものであり、適宜変更することができる。
上記のいずれの形態においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。