特許第6075797号(P6075797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075797
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】マイクロ放電に基づく計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/012 20060101AFI20170130BHJP
   B23H 1/02 20060101ALI20170130BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20170130BHJP
   G01B 5/012 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   G01B7/012
   B23H1/02 Z
   B23Q17/20 A
   G01B5/012
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-509411(P2014-509411)
(86)(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公表番号】特表2014-519021(P2014-519021A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】US2012036168
(87)【国際公開番号】WO2012151308
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/482,120
(32)【優先日】2011年5月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513273281
【氏名又は名称】スモルテク インターナショナル,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】SmalTec International,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ムラース,ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー,ジョナサン
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−162448(JP,A)
【文献】 特開平05−329711(JP,A)
【文献】 特開2009−229427(JP,A)
【文献】 特開平10−118849(JP,A)
【文献】 特開平07−032217(JP,A)
【文献】 特開平05−177450(JP,A)
【文献】 特開平01−103234(JP,A)
【文献】 特開2007−105853(JP,A)
【文献】 特開昭61−219519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00 − 7/34
G01B 11/00 − 11/30
G01B 21/00 − 21/32
B23H 1/00 − 11/00
B23Q 17/00 − 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触計測用システム(10)であって、
検出回路(24)と、制御器(26)と、制御ケーブル(28)とを含む制御ユニット(12)と、
前記検出回路(24)に電気接続されたスピンドルプローブ(14)と、
前記制御ユニット(12)に前記制御ケーブル(28)によって接続されたマイクロ放電機械(16)であって、前記スピンドルプローブ(14)を保持するためのレシーバ(30)を含むマイクロ放電機械(16)と、
前記制御ユニット(12)と接続しており、前記スピンドルプローブ(14)を少なくとも2次元に動かす機構(34)と、
作業表面(20)を含むタンク(18)と、
前記作業表面(20)上に配置される工作物(100)と、
を含む非接触計測用システム(10)において、
前記機構(34)が前記制御器(26)から、前記スピンドルプローブ(14)を前記工作物(100)の近傍に動かす指令を受け、前記工作物(100)及び前記スピンドルプローブ(14)の間の間隙が十分に小さくなると誘電物質の破断が生じ、前記検出回路(24)が誘電物質の破断による電流束を検出して前記スピンドルプローブ(14)の位置が記録され、かつ、
前記検出回路(24)は、前記誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが前記工作物(100)の表面を損傷しないエネルギーレベルで作動する、
ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項2】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記検出回路(24)が抵抗−コンデンサ(RC)回路を含み、かつ、前記検出回路(24)が固有周波数で作動する、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項3】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記レシーバ(30)がスピンドル/コレット装置を含む、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項4】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記レシーバ(30)が二重V溝マンドレルホルダを含む、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項5】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記スピンドルプローブ(14)が、丸められた円錐形の先端を有する円筒プローブ、伝統的なCMMスタイラス、円筒スタイラス、超平滑スタイラス、長方形スタイラス、ホイールスタイラス、及びテーパスタイラスのいずれかを含む、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項6】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記工作物(100)が、ステンレス鋼、白金、チタン、金及びモリブデンのいずれかを含む伝導性材料から構成される、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項7】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが2.0ナノジュール未満である、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項8】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが0.500ナノジュール未満である、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項9】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが0.020ナノジュール未満である、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項10】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記スピンドルプローブ(14)が電気絶縁されている、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項11】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、材料侵食除去機械として機能し得る、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項12】
請求項1に記載の非接触計測用システム(10)において、前記スピンドルプローブ(14)を少なくとも2次元において動かす前記機構(34)がコンピュータ数値制御機械を含む、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項13】
非接触計測用システム(10)であって、
検出回路(24)及びcnc制御器を含む制御ユニット(12)と、
前記cnc制御器に接続されるcnc機械であり、機械操作アームと、前記機械操作アームを動かす駆動機構とを含むcnc機械と、
前記検出回路(24)に電気接続されたスピンドルプローブ(14)であり、前記機械操作アームに装着されたスピンドルプローブ(14)と、
作業表面(20)上に配置された工作物(100)と、
を含む非接触計測用システム(10)において、
前記制御ユニット(12)が、前記駆動機構を制御して、前記機械操作アーム及び前記スピンドルプローブ(14)少なくとも2次元において前記工作物(100)の近傍に動かし、前記工作物(100)及び前記スピンドルプローブ(14)の間の間隙が十分に小さくなると誘電物質の破断が生じ、前記検出回路(24)が誘電物質の破断による電流束を検出して前記スピンドルプローブ(14)の位置が記録され、かつ、
前記検出回路(24)は、前記誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが前記工作物(100)の表面を損傷しないエネルギーレベルで作動する、
ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項14】
請求項13に記載の非接触計測用システム(10)において、前記検出回路(24)が抵抗−コンデンサ(RC)回路を含む、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項15】
請求項13に記載の非接触計測用システム(10)において、前記検出回路(24)が、波形発生器によって選択された周波数を有するパルス化直流(DC)発生器を含む、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項16】
請求項13に記載の非接触計測用システム(10)において、前記スピンドルプローブ(14)が、丸められた円錐形の先端を有する円筒プローブ、伝統的なCMMスタイラス、円筒スタイラス、超平滑スタイラス、長方形スタイラス、ホイールスタイラス、及びテーパスタイラスのいずれかを含む、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項17】
請求項13に記載の非接触計測用システム(10)において、前記誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが2.0ナノジュール未満である、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項18】
請求項13に記載の非接触計測用システム(10)において、前記スピンドルプローブ(14)が電気絶縁されている、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項19】
請求項13に記載の非接触計測用システム(10)において、前記cnc機械が、さらに材料侵食除去機械として機能し得る、ことを特徴とする非接触計測用システム(10)
【請求項20】
非接触の計測機械としてのマイクロ放電機械(16)の操作方法において、
制御ユニット(12)を前記マイクロ放電機械(16)に接続するステップであって、前記制御ユニットは、検出回路(24)と、前記検出回路(24)とは電気接続しながら電気絶縁されたスピンドルプローブ(14)とを含む、ステップと、
電気絶縁された前記スピンドルプローブ(14)を測定を行う工作物(100)の近傍に少なくとも2次元に動かすように、前記マイクロ放電機械(16)を操作し、前記工作物(100)及び前記スピンドルプローブ(14)の間の間隙が十分に小さくなると、誘電物質の破断が生じるステップと、を含み、
前記検出回路(24)が誘電物質の破断による電流束を検出するとともに、前記検出回路(24)は、前記誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが前記工作物(100)の表面を損傷しないエネルギーレベルで作動し、
前記操作方法がさらに、
前記電流束における前記スピンドルプローブ(14)の位置を記録するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタイラスを使用し、ピコジュールのエネルギーレベルにおいて検出するマイクロ放電機械(micro−electrical discharage machine:μEDM)に基づく計測システムに関する。このマイクロ放電機械に基づく計測システムは、工程内品質保証/品質管理(in−process quality assurance/quality control:QA/QC)を可能にする非接触、非破壊かつオンボードの計測システムである。
【背景技術】
【0002】
半導体、医療、自動車、防衛及び航空機を含む多くの産業において、一般的に微細構造として知られる部品、即ち寸法がミクロン単位で測定される部品に対する需要が増大している。しかし、これらの微細構造を測定するための既知の方法は種々の欠点を有しており、仕様外に製造される部品の廃棄が必要になる結果をもたらす場合が多い。
【0003】
従来どおりのサイズの部品を製造する場合には、その部品を加工プラットホームから取り外して測定することが可能である。寸法が許容公差外であることが判明すると、その部品を加工プラットホームに戻して追加加工することが可能である。しかし、加工部品がミクロンサイズにまで縮小され、その許容公差がミクロンレベルより更に小さくなると、部品を、必要な精度で測定した後加工機に再装着することは非現実的である。従って、いくつかの基準点を加工部品上に維持するために、部品を、取り外す前に加工プラットホーム上において測定しなければならない。もし、部品を加工機から取り外して測定して、それが仕様外であることが判明すると、その部品は、追加加工に必要な精度でもって加工機に再装着することが非常に難しいので、廃棄せざるを得ない。その場合は、加工プロセスを修正して、新しい部品を製作しなければならない。これは時間及び費用を必要とし、材料を浪費する結果になる。
【0004】
既知のオンマシン計測装置はこの不良率を90%削減でき、製造者、供給者及び消費者に大きな節減をもたらすが、この既知の計測プラットホームは高価であり、脆弱なセンサーを含み、しかも測定範囲が限定されている。
【0005】
既知のオンマシンマイクロ計測システムは、一般的に2つのタイプ、即ち触覚システム及び光学システムに区分される。光学システムは、可視光またはレーザのいずれによるものであっても、視線の制約によって制限される(見ることができなければ測定できない)。一方、触覚に基づくシステムは、アスペクト比、側壁及び張り出しに関する制限範囲を有する敏感なセンサーを含む。更にまた、触覚センサーは部品との表面接触に依拠しており、表面接触は、部品に検証マーク、傷または欠陥を残す可能性がある。これは、部品を意図する目的に使用できないものにする場合がある。一例として、ある1つのタイプの超高精度プローブは0.300Nm/μmの力で表面に接触する。この力は、本発明のセンサーによる最小の力に比べると150億倍大きい。
【0006】
また、触覚システム及び光学システムの両者は機械油または他の機械加工残渣によって悪影響を蒙る。どちらにせよこれらのシステムが有効であるためには、加工プラットホームの内部及び外部の双方において使用前の追加の清浄化のステップが必要である。
【0007】
従って、微細なサイズの構成要素を測定する改良型の計測システムであって、既知の計測システムの欠点を回避した計測システムに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目標は、構成要素のサイズを測定するために放電検出を利用する計測システムを提供することにある。
【0009】
放電加工(electrical discharge machining:EDM)は、現在、純粋な材料侵食除去製造法であって、所要の形状を成形するために工作物から材料を侵食除去するのに電気の火花を使用する。工具電極及び工作物電極に誘電物質内において電圧を印加する。当初、工具電極が工作物電極に近付く際には、誘電物質は絶縁体として作用する。工具電極が工作物電極に更に近接すると、電場が誘電物質を破断し、工具電極及び工作物電極の間にプラズマバブルが形成される。プラズマバブルはエネルギーの流れを導き、工作物電極及び工具電極の間の火花が工作物から材料を蒸発させ、かつ、工具から微少量の材料を蒸発させる。このエネルギーの流れは装置内に貯蔵された電荷を消耗し、工具電極及び工作物電極の間の電位を均等化する。これによって電場は消滅し、火花事象が終了する。蒸発した材料の粒子は、冷却され、誘電性流体によって運び去られる。電気の流れが中断すると、コンデンサが再充電され、電場が再構成される。表1は、従来型のEDM及びμEDM装置が使用する伝統的なエネルギーレベルを列挙している。EDM回路は60ボルトより低いバイアス電圧では機能しないと見られることが伝統的に認められている。
【0010】
EDMの上記の従来型の使用法に代えて、本発明の計測器は、工作物の表面から材料を全く除去しないように低レベルのエネルギーを用いる。
【0011】
好ましい一実施形態において、非接触、非破壊かつオンボードの計測用のマイクロ放電に基づく計測システムが、ピコジュールのエネルギーレベルのμEDM検出回路と、電気絶縁された高信頼性のスピンドルプローブセンサーであって、種々の従来型EDM加工機に装着可能なプローブセンサーとを含む。μEDM用のスタイラスを使用するこのエネルギーレベルでの検出法は、EDMの背後のプロセスを逆転したものである。このような微小なエネルギーレベルを高い周波数応答のエレクトロニクスと結合すると、現場計測用の非破壊、非接触電気センサーが創出されるであろう。本発明のシステムは、微細計測の能力を有するだけでなく、それ自体のプローブセンサーを自己製造するμEDM固有の能力という付加的な利点と、同時に、微小孔の製造、輪郭成形及び導電性材料のバリ取りに関する標準的なμEDMの機能とを有するであろう。
【0012】
好ましい一実施形態において、本発明のマイクロ放電に基づく計測システムが、工作物を好ましくは誘電性流体内に保持するためのタンクを含む。タンクは、支持表面と、工作物を少なくとも2次元において、好ましくは3次元において再配置する機構とを含むことが望ましい。工作物は、伝導性材料、例えば、ステンレス鋼、白金、チタン、金及びモリブデンを包含するがこれに限定されない金属材料から構成することが望ましい。しかし、工作物は、金属材料である必要はなく、セラミック材料、ドープしたシリコン、含浸セラミック、薄膜被覆した非伝導性材料などを包含するがこれに限定されない任意の伝導性材料から構成することができる。
【0013】
本発明のマイクロ放電に基づく計測システムは、更に、プローブを工作物に近接して配置する機構を備えたプローブを含む。この機構は、プローブを少なくとも2次元において、好ましくは3次元において動かすことができるコンピュータ数値制御(computer numerical control:cnc)機械であることが望ましい。プローブは、伝統的な座標測定機(coordinate measuring machine:CMM)スタイラス、円筒スタイラス、超平滑スタイラス、長方形スタイラス、ホイールまたはディスクスタイラス、及びテーパスタイラスのいずれかを含むことが望ましい。しかし、本発明は、以上に列挙したスタイラスに限定されず、当業者に既知の任意のタイプのスタイラスを用いることができる。
【0014】
本発明のマイクロ放電に基づく計測システムは、更に、検出回路(放電回路としても知られる)と、cnc機械用の制御器とを備えた制御ユニットを含む。検出回路はプローブ及び工作物に電気接続される。検出回路は、選択された成分値の固有周波数で作動する抵抗−コンデンサ(RC)回路を含むことが望ましい。代わりの方式として、検出回路は、波形発生器によって選択された周波数を有するパルス化直流(DC)発生器を含むことができる。
【0015】
操作においては、cnc機械がプローブを工作物の近傍に動かし、工作物及びプローブの間の間隙が十分に小さくなると、誘電物質の破断が生じ、少なくともプローブ及び工作物のいずれかの位置が、好ましくは制御ユニット及び/またはcnc機械内の記録媒体上に記録される。cnc機械は、続いて、別の位置を記録するため、プローブを工作物に近接する別の位置に動かす。このプロセスが、工作物の寸法が決定されるまで、必要に応じて繰り返される。好ましい一実施形態においては、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが工作物の表面を損傷しない。一実施形態において、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが2.0ナノジュール(nJ)より小さい。別の実施形態においては、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが0.500ナノジュールより小さい。更に別の実施形態においては、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーが0.020ナノジュールより小さい。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の非接触測定用のマイクロ放電機械が、絶縁されたプローブ装置と、スタンドアロンの制御ボックスと、制御ケーブルと、第3者のマイクロ放電機械及び/または第3者のcnc機械にインタフェース接続するためのコード化された指令とを含むスタンドアロン機械である。別の実施形態においては、このマイクロ放電機械を、既存のμEDMに追加組み込みすることが可能であり、かつ、新しいμEDMプラットホームと共にライセンス供与して供給できる。
【0017】
本発明のこれら及び他の目的及び特徴は、図面に関連付けて記述される以下の詳細説明から、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態によるマイクロ放電に基づく計測システムの模式図である。
図2図2は、本発明の好ましい一実施形態による検出回路を示す。
図3図3は、図1のマイクロ放電に基づく計測システムにおいて使用することができるプローブの好ましい一実施形態を示す。
図4図4.1は、図1のマイクロ放電に基づく計測システムにおいて使用することができる多様なプローブの1つを示す。図4.2は、同じく別のプローブを示す。図4.3は、同じく更に別のプローブを示す。図4.4は、同じく更に別のプローブを示す。図4.5は、同じく更に別のプローブを示す。図4.6は、同じく更に別のプローブを示す。図4.7は、同じく更に別のプローブを示す。
図5図5.1は、図1のマイクロ放電に基づく計測システムにおいて使用することができる1対のプローブの片方と、そのプローブから生じる表面変形とを示す。図5.2は、図5.1の対プローブのもう一方と、それから生じる表面変形とを示す。
図6A図6Aは、本発明のマイクロ放電に基づく計測システムの測定の再現性を示す1対のグラフの片方を示す。
図6B図6Bは、図6Aのグラフのもう一方を示す。
図7図7Aは、カーバイドノズルを示す。図7Bは、そのカーバイドノズルの3Dマッピングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明のマイクロ放電(μEDM)に基づく計測システム10の好ましい一実施形態を示す模式図である。μEDMに基づく計測システム10は非接触、非破壊かつオンボードの計測システムを提供する。この実施形態のμEDMに基づく計測システム10は、μEDMに基づく計測システム10を操作するための制御ユニット12と、スピンドルプローブ14と、マイクロ放電機械16と、作業表面20を備えかつ誘電性流体22が充満されたタンク18とを含む。
【0020】
好ましい一実施形態において、制御ユニット12が、スピンドルプローブ14及び工作物100に電気接続される検出回路24(放電回路としても知られる)を含む。好ましい一実施形態においては、検出回路24は、選択された成分値の固有周波数で作動する抵抗−コンデンサ(RC)回路を含む。図2は、本発明の検出回路24の好ましい実施形態用の詳細な回路構成を示す。図2の回路は、プローブへの接続50と、プローブからの接続60と、制御回路への接続70とを含む。代わりの実施形態においては、検出回路24が、波形発生器によって選択された周波数を有するパルス化直流(DC)発生器を含むことができる。
【0021】
好ましい一実施形態において、検出回路24が、工作物100の損傷を避けるために、ピコジュールのエネルギーレベル、例えば、5〜20ボルト及び10pFで操作されるように構成される。しかし、検出回路24は、非破壊計測を可能にする任意のエネルギーレベルで操作されるように構成することが可能である。
【0022】
図1の実施形態においては、制御ユニット12は、μEDM16に対する指令を提供する制御器26を更に含む。制御器26は、制御ケーブル28を介してμEDM16に接続される。好ましい一実施形態においては、使用者から独立した閉ループの計測システムを提供するために、制御器26は、コード化された指令(ソフトウェア及び/またはハードウェア)を含む。この場合、コード化された指令は、データプロセッサと組み合わされる記録可能媒体を含むことができる。制御ユニット12は、種々の第3者の加工プラットホーム上において動作及び検出を通信するために必要な入力/出力(I/O)を供給できるように、プラットホームから独立したものであることが望ましい。これによって、μEDMに基づく計測システム10を第3者のプラットホームに取り付けることが可能になり、第3者のプラットホームの加工機能に加えて、オンボードのマイクロ計測システムとして作動し得るようになるであろう。μEDMに基づく計測システム10は、直接第3者のプラットホームと共に、自己適応型のマイクロ加工プラットホームとして作動し得ることが望ましい。図1の実施形態においては、制御ユニット12は別個の構成要素として示されているが、代替の実施形態においては、制御ユニット12をμEDM16の構成要素または特徴部分として製造できる。
【0023】
図1の実施形態においては、μEDM16は、スピンドルプローブ14を位置決めする機構34と、スピンドルプローブ14をμEDM16に連結するレシーバ30とを含む。好ましい一実施形態においては、スピンドルプローブ14を位置決めする機構は、プローブ14を少なくとも2次元に、好ましくは3次元に動かすことができるコンピュータ数値制御(cnc)機械である。本発明の好ましい一実施形態においては、プローブ14の位置を制御する機構34を、制御ユニット12から制御できる。
【0024】
レシーバ30は、プローブ14をμEDM16から取り外して、後刻、付加的な測定のために、位置決め較正を殆ど必要とすることなく再装着できる二重V溝マンドレルホルダとすることが望ましい。二重V溝マンドレルホルダは、位置精度をマンドレル間において0.250ミクロン未満に維持するので、マイクロ製造部品の現場における測定が可能になり、かつ、マイクロ製造部品を加工プラットホームから取り外す前に検証できる。別の実施形態においては、レシーバ30は、プローブ14をμEDM16に連結する他の手段を含むことができる。これには、例えば、スピンドル/コレット装置及びチャックスピンドルプローブが含まれるが、これに限定されない。
【0025】
スピンドルプローブ14をレシーバ30に装着する際、プローブを較正することが望ましい。好ましい一実施形態においては、本発明のスピンドルプローブ14を、CMM較正用の試験法、例えば、ASME B89.4.1、VDI/VDE 217、及びISO 10360を用いて較正する。CMM較正用の試験法は、種々の標準の21個の試験を含むことが望ましい。この試験には、各軸(X、Y、Z)に対する直線精度、各軸相互の直角度(XY、XZ、YZ)、各軸(X、Y、Z)の水平及び垂直真直度、及び各軸の回転精度(各軸のピッチ、ロール及びヨー)が含まれる。各試験は、アメリカ国立標準技術研究所によって規定され、かつ、幾度にもわたって較正され提供された一連の測定基準を測定することによるデータの収集を包含する。
【0026】
スピンドルプローブ14は、被測定構成要素の形状及び材料に応じて、種々の形状及びサイズを有することが可能である。ワイヤ放電研削加工(Wire Electro−Discharge Grinding:WEDG)が、種々の形状及びサイズを備えた工具の創成を可能にする工具形成法である。プローブ14は、WEDG法によって個別部品測定用の最適の形状に加工することが望ましい。図3は、丸められた円錐形の先端を有する円筒プローブを含む本発明のプローブ14の好ましい実施形態を示す。図4.1〜4.7は、本発明のμEDMに基づく計測システム10において使用することができるプローブの7種類の異なる実施形態を示す。図4.1は高アスペクト比の形状用のプローブである。図4.2は伝統的なCMMスタイラスである。図4.3は、側壁、逆テーパ及びネジを含むがこれに限定されない多様な形態の測定に用いるディスクまたはホイールプローブである。図4.4は一般的な円筒スタイラスである。図4.5は、CMM様式における超平滑(10nmRa)70ミクロンスタイラスである。図4.6は、内側のコーナ半径測定用の長方形スタイラスである。図4.7は、V溝及びテーパ孔内部の底部の半径測定用の特殊工具である。しかし、プローブ14は、図2及び3.1〜3.7の形状に限定されるものではなく、本発明による構成要素の測定に必要な任意の形状を有し得ることが理解されるべきである。
【0027】
図1に示すように、μEDM16は、作業表面20を備えたタンク18を更に含む。好ましい一実施形態においてはタンク18に誘電性流体22が充満されるが、タンクは必ずしも誘電性流体22を必要とするものではない。好ましい一実施形態において、誘電性流体22は、例えば表2に列挙される流体を含むがこれに限定されない標準的なμEDMの誘電性流体を含む。

【0028】
しかし、誘電性流体22は、表2に列挙される流体に限定されることはなく、プローブ14が工作物100に近接した時に誘電物質の破断が生じ得る任意の流体を含むことができる。代わりの実施形態においては、誘電性流体22を、例えば、空気及びアルゴンガスを含む気体とすることができる。
【0029】
本発明の一実施形態においては、μEDM16が、工作物100の位置の少なくとも2次元における調整、好ましくは3次元における調整を可能にするプラットホーム32を更に含む。
【0030】
操作においては、制御器26を含む制御ユニット12が、μEDM16及び/またはcnc機械34に、プローブ14を工作物100の近傍に動かすように指令する。工作物100とプローブ14との間の間隙が十分に小さくなると、誘電物質の破断が生起する。誘電物質の破断による電流束を検出すると、プローブ14は停止され、プローブ14の座標が記録される。μEDM16は、続いて、プローブ14を、別の誘電物質の破断が生起して別の位置が記録されるまで、工作物に近接する別の位置に動かす。このプロセスが、工作物100の寸法が決定されるまで、必要に応じて繰り返される。例えば、比較的平坦な表面を測定する場合には、μEDM16は、プローブ14を、誘電物質の破断が生起してプローブの位置が記録されるまで、垂直方向(z軸)に10ミクロン動かす。プローブ14は、逆の垂直方向に動かされ、続いて、側方(x軸及び/またはy軸)に10ミクロン動かされる。プローブ14は、更に続いて、別の誘電物質の破断が生起してプローブの位置が再度記録されるまで、再度下げられる。x軸、y軸及びz軸におけるプローブ14の動きは、工作物100の材料及び表面形状に応じて必要により変えることができる。好ましい一実施形態においては、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーは、工作物100の表面を損傷しない。一実施形態において、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーは2.0ナノジュール未満である。別の実施形態においては、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーは0.500ナノジュール未満である。更に別の実施形態においては、誘電物質の破断から生じる火花のエネルギーは0.020ナノジュール未満である。
【0031】
本発明のμEDMに基づく計測システム10において、どの変数が表面変形に最も大きな影響を有するかを決定するために、2つのタイプのセンサープローブと、4種類の材料と、種々のエネルギーレベルとを用いて試験した。試験した2つのタイプのプローブは、平坦な端部を有する円筒プローブと、丸められた円錐形の先端を有する円筒プローブとである。4種類の材料は、ステンレス鋼、モリブデン、金及び白金であった。試験は、2つの基本的な側面、即ち再現性と表面変形とに焦点を当てて行った。試験は、操業中の機械工場において、標準的なμEDM誘電性流体(EDM30)を使用し、センサープローブまたは試験材料のいずれにも付加的な清浄化プロセスを行うことなく実施した。
【0032】
表3は、電気的な変数と、表面変形に対するその影響のレベルとを示す。
【表3】
【0033】
試験の結果、20V(10pF)未満で5ボルト(10pF)より大きい場合、エネルギーレベルは表面変形に殆ど影響を及ぼさないことが分かった。しかし、20Vより高い電圧においては、誘電物質の破断と、明確なEDM痕を生成する迷走放電との機会が増大する。また、5V未満の低電圧も、それが検出回路の5V供給電圧より低いので信頼性が低く、本発明の検出能力を低下させ、プローブが工作物に接触して工作物に印付けする結果をもたらす可能性を有する。
【0034】
試験は、更に、放電回路の感度が殆ど重要でないことを明らかにした。感度があまりに高く、例えば75%より高く設定されていたら、装置は、フラッシング媒体即ち誘電性流体中の不純物によって起動することがあり得たであろう。
【0035】
試験は、更にまた、正の電圧極性が、負の電圧極性の場合よりも遥かに大きな表面変形に対する影響を有することを明らかにした。この試験から、殆どのプローブの場合、最適の検出電圧は、基板に対して−5〜−20ボルトの間であることが決定された。
【0036】
試験は、真直な90°円筒と丸められた円錐形円筒との2つのタイプのプローブによって実施した。プローブの形状は、本発明の方法の非接触特性に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。図5.1及び5.2は、それぞれのプローブと、白金上に生じた表面変形とを示す。図5.1は、真直な90°円筒プローブと、600xズームにおける白金上に生じた表面変形とを示し、図5.2は、丸められた円錐形円筒プローブと、3000xズームにおける白金上に生じた表面変形とを示す。これらの図は、平坦表面のプローブが如何に表面接触し易くかつ研削性を有するかを示す一方、丸められた表面プローブは高い信頼度で非接触であることを示している。更にまた、平坦なセンサーが丸められたセンサーと同等の結果を実現するには、より低い送り速度が必要であることが明らかにされた。プローブは両者共5mm/minで動作した。
【0037】
試験回路は検出回路の5V供給電圧を用いていることに留意されたい。しかし、検出回路の5V供給電圧は、必ずしも5Vである必要はなく、電気的変数と、上記の表面変形に対するその影響のレベルとを変えることができるようなより高い、またはより低い電圧で作動するように設計することが可能である。
【0038】
いかなる表面侵食も爾後の位置決めを変える可能性があるので、再現性が本発明の重要な一側面である。この方法の非破壊特性は、表面侵食によって惹起される誤差を最小化する。図6は、この方法がどのような再現性で単一の線を測定したかを表す50個サンプルのセグメントを示す。線測定の標準偏差は100nmの範囲内であり、最大値150nm、最小値80nmであった。
【0039】
方法の最終試験として、工作物を測定し、欠陥について検査した。図7は、研磨ノズルと、そのマップ形式の断面図とを示す。研磨ノズルを、総当りアルゴリズム(brute force algorithm)を用いて測定し、続いて別個にマップ化した。マップ化は、従来型の加工法によって生成されたあらゆる不整合もしくは棚状欠陥を曝露するために行ったものである。結果は平滑な形状のグラフである。研磨ノズルは、後で「検証」マークについて検査した(1000x)が、なにも見つからなかった。
【0040】
従って、この試験は、本発明のμEDMに基づく計測システムが有効な計測ツールであり得ることを示している。この方法に影響を及ぼす主要な変数は、電圧の極性とエネルギーとプローブの形状とである。他の変数は、極端な場合を除いて左程重要でないことが分かったが、いくつかの変数、例えば送り速度及び電位などは、電極形状の最適化と共に、方法に有利になるように変化させた。
【0041】
以上の如く、本発明は、マイクロ放電機械に基づく計測システムを提供する。マイクロ放電機械に基づく計測システムは、工程内品質保証/品質管理を可能にする非接触、非破壊かつオンボードの計測システムである。
【0042】
以上述べた実施形態の詳細は、例示目的用に提示されたものであって、本発明の範囲を制限するものと見做されるべきではないことが理解されるであろう。本発明の僅かに数件の典型的な実施形態について上記に詳細説明したが、当業者は、本発明の新規の教示及び利点から実質的に離れることなく、上記の典型的な実施形態において多くの変更をなし得ることを容易に理解するであろう。従って、このようなすべての変更は、以下の請求項及びそのすべての等価物において規定される本発明の範囲内に包含されることが意図されている。更に、いくつかの実施形態、特に好ましい実施形態の利点のすべてを実現するわけではない多くの実施形態を考えることができるが、特定の利点の欠落が、そのような実施形態が本発明の範囲外であることを必然的に意味すると見做されるべきではないことが認められる。
図1
図2
図3
図4.1】
図4.2】
図4.3】
図4.4】
図4.5】
図4.6】
図4.7】
図5
図6A
図6B
図7