特許第6075809号(P6075809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60758093Dプリンタ装置、3Dプリント方法及び立体造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075809
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】3Dプリンタ装置、3Dプリント方法及び立体造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/00 20170101AFI20170130BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20170130BHJP
【FI】
   B29C67/00ZIT
   B33Y50/00
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-529242(P2015-529242)
(86)(22)【出願日】2013年7月29日
(86)【国際出願番号】JP2013070490
(87)【国際公開番号】WO2015015554
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】伊原 康行
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−160861(JP,A)
【文献】 特開2005−348450(JP,A)
【文献】 特開2004−088177(JP,A)
【文献】 特開2003−011237(JP,A)
【文献】 特開2002−166481(JP,A)
【文献】 特開2000−307851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 67/00
H04N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの入力手段と、
前記入力されたデータに基づき三次元データを生成する三次元データ生成手段と、
前記三次元データから3Dプリンタ入力用データを生成する3Dプリンタ入力用データ生成手段と、
前記3Dプリンタ入力用データに基づき、3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定する製造物許容判定手段と、
許容された場合にのみ製造を実施する3Dプリンタ手段と
を含み、
前記製造物許容判定手段は、
3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の局所特徴量を算出する局所特徴量算出手段と、
3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の大域特徴量を算出する大域特徴量算出手段と、
を含み、
前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いて3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定する
ことを特徴とする3Dプリンタ装置。
【請求項2】
前記局所特徴量算出手段において、特定物体認識技術及び数学理論を用いた特徴抽出技術の少なくとも一方を用いて局所特徴量が抽出され、
前記大域特徴量算出手段において、数学理論を用いた特徴抽出技術を用いて大域特徴量が抽出される
ことを特徴とする請求項記載の3Dプリンタ装置。
【請求項3】
さらに、局所特徴量データベース及び大域特徴量データベースを含み、
前記局所特徴量を用いた判定が、前記局所特徴量データベースを参照した判断であり、
前記大域特徴量を用いた判定が、前記大域特徴量データベースを参照した判断である
ことを特徴とする請求項またはに記載の3Dプリンタ装置。
【請求項4】
さらに形状判定モデルを含み、
前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いた判定が、前記形状判定モデルを参照した機械学習により実施されることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項5】
前記形状判定モデルが、前記局所特徴量データベース及び前記大域特徴量データベースの少なくとも一方を用いたモデル学習により生成されたものであることを特徴とする請求項記載の3Dプリンタ装置。
【請求項6】
データの入力工程と、
前記入力されたデータに基づき三次元データを生成する三次元データ生成工程と、
前記三次元データから3Dプリンタ入力用データを生成する3Dプリンタ入力用データ生成工程と、
前記3Dプリンタ入力用データに基づき、3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定する製造物許容判定工程と、
許容された場合にのみ製造を実施する3Dプリント工程と
を含み、
前記製造物許容判定工程は、
3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の局所特徴量を算出する局所特徴量算出工程と、
3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の大域特徴量を算出する大域特徴量算出工程と、
を含み、
前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いて3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定する
ことを特徴とする3Dプリント方法。
【請求項7】
前記局所特徴量算出工程において、特定物体認識技術及び数学理論を用いた特徴抽出技術の少なくとも一方を用いて局所特徴量が抽出され、
前記大域特徴量算出工程において、数学理論を用いた特徴抽出技術を用いて大域特徴量が抽出される
ことを特徴とする請求項記載の3Dプリント方法。
【請求項8】
前記局所特徴量を用いた判定が、局所特徴量データベースを参照した判断であり、
前記大域特徴量を用いた判定が、大域特徴量データベースを参照した判断である
ことを特徴とする請求項またはに記載の3Dプリント方法。
【請求項9】
前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いた判定が、形状判定モデルを参照した機械学習により実施されることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の3Dプリント方法。
【請求項10】
前記形状判定モデルが、前記局所特徴量データベース及び前記大域特徴量データベースの少なくとも一方を用いたモデル学習により生成されたものであることを特徴とする請求項記載の3Dプリント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタ装置、3Dプリント方法及び立体造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D(三次元)プリンタは、画像等のデータを基にして三次元(立体)データを作成し、三次元データに基づいて立体造形物を製造する装置を言う。立体造形物の製造方法としては、加熱溶融した樹脂を三次元データに基づき積層しながら立体造形物を形成する積層造形法、三次元データに基づき金属等の固形物を切削して立体造形物を形成する切削造形法等がある。3Dプリンタの開発により、企業又は個人を問わず、誰もが手軽にモノづくりができるようになってきた。また、最近の3Dプリンタの普及に伴い、3Dプリンタの技術開発は目覚ましく、様々な技術が提案され(例えば、特許文献1参照)、オリジナルの製品を高精度で再現可能になってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−86289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、3Dプリンタが高性能化してオリジナルの製品を高精度で再現できるようになったことにより、本来なら製造に許可が必要な製品も簡単に製造でき、これが社会問題となる可能性がある。例えば、銃器類及び硬貨等の違法な製造、印鑑の偽造、鍵のコピー、著作権侵害品の作成等が、問題視されている。
【0005】
そこで、本発明は、3Dプリンタによる製造対象物を予め許可されている物か判定し、許可されてない場合は製造できない3Dプリンタ装置、3Dプリント方法及び立体造形物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の3Dプリンタ装置は、データの入力手段と、前記入力されたデータに基づき三次元データを生成する三次元データ生成手段と、前記三次元データから3Dプリンタ入力用データを生成する3Dプリンタ入力用データ生成手段と、前記3Dプリンタ入力用データに基づき、3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定する製造物許容判定手段と、許容された場合にのみ製造を実施する3Dプリンタ手段とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の3Dプリント方法は、データの入力工程と、前記入力されたデータに基づき三次元データを生成する三次元データ生成工程と、前記三次元データから3Dプリンタ入力用データを生成する3Dプリンタ入力用データ生成工程と、前記3Dプリンタ入力用データに基づき、3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定する製造物許容判定工程と、許容された場合にのみ製造を実施する3Dプリント工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の立体造形物の製造方法は、前記本発明の3Dプリント方法により立体造形物を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、銃器等のように本来許可が無ければ製造ができない物については製造を禁止でき、許可されている物だけを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の3Dプリンタ装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の3Dプリンタ装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の3Dプリンタ装置における製造対象物許可判定の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の装置において、前記製造物許容判定手段は、3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の局所特徴量を算出する局所特徴量算出手段と、3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の大域特徴量を算出する大域特徴量算出手段と、を含み、前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いて3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定することが好ましい。
【0012】
本発明の装置において、前記局所特徴量算出手段において、特定物体認識技術及び数学理論を用いた特徴抽出技術の少なくとも一方を用いて局所特徴量が抽出され、前記大域特徴量算出手段において、数学理論を用いた特徴抽出技術を用いて大域特徴量が抽出されることが好ましい。
【0013】
本発明の装置において、さらに、局所特徴量データベース及び大域特徴量データベースを含み、前記局所特徴量を用いた判定が、前記局所特徴量データベースを参照した判断であり、前記大域特徴量を用いた判定が、前記大域特徴量データベースを参照した判断であることが好ましい。
【0014】
本発明の装置において、さらに形状判定モデルを含み、前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いた判定が、前記形状判定モデルを参照した機械学習により実施されることが好ましい。
【0015】
本発明の装置において、前記形状判定モデルが、前記局所特徴量データベース及び前記大域特徴量データベースの少なくとも一方を用いたモデル学習により生成されたものであることが好ましい。
【0016】
本発明の方法において、前記製造物許容判定工程は、3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の局所特徴量を算出する局所特徴量算出工程と、3Dプリンタ入力用データに基づき、前記製造対象物の大域特徴量を算出する大域特徴量算出工程とを含み、前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いて3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定することが好ましい。
【0017】
本発明の方法において、前記局所特徴量算出工程において、特定物体認識技術及び数学理論を用いた特徴抽出技術の少なくとも一方を用いて局所特徴量が抽出され、前記大域特徴量算出工程において、数学理論を用いた特徴抽出技術を用いて大域特徴量が抽出されることが好ましい。
【0018】
本発明の方法において、前記局所特徴量を用いた判定が、前記局所特徴量データベースを参照した判断であり、前記大域特徴量を用いた判定が、前記大域特徴量データベースを参照した判断であることが好ましい。
【0019】
本発明の方法において、前記局所特徴量及び前記大域特徴量の少なくとも一方を用いた判定が、前記形状判定モデルを参照した機械学習により実施されることが好ましい。
【0020】
本発明の方法において、前記形状判定モデルが、前記局所特徴量データベース及び前記大域特徴量データベースの少なくとも一方を用いたモデル学習により生成されたものであることが好ましい。
【0021】
次に、本発明について、例を挙げて説明する。
【0022】
図1に、本発明の3Dプリンタ装置(立体造形物製造装置)の一例の概略図を示す。本例の3Dプリンタ装置1は、制御部2及び3Dプリンタ3から構成される。制御部2は、データの入力手段と、前記入力されたデータに基づき三次元データを生成する三次元データ生成手段と、前記三次元データから3Dプリンタ入力用データを生成する3Dプリンタ入力用データ生成手段と、前記3Dプリンタ入力用データに基づき、3Dプリンタにより製造される製造対象物が許容された物か否かを判定する製造物許容判定手段とを含む。3Dプリンタは、従来のものを使用でき、例えば、積層造形法の3Dプリンタ、切削造形法の3Dプリンタを使用できる。
【0023】
図2に、本例の3Dプリンタ装置における処理のフローチャートを示す。同図に示すように、本例の3Dプリンタ装置では、まず、データ入力手段によってデータが入力される(S1)。入力されるデータとしては、例えば、製造対象物の画像データ、二次元設計図データ、3Dスキャンデータ等がある。次に、三次元データ生成手段により、入力されたデータから三次元データが生成される(S2)。三次元データとしては、例えば、3D−CADデータ及び3D−CGデータ等がある。そして、3Dプリンタ用入力データ生成手段により、三次元データから3Dプリンタ入力用データが生成される(S3)。3Dプリンタ入力用データとしては、STL形式データ、VRML形式データ等のポリゴン(表面の三角形近似)データがある。次に、製造物許可判定手段により、3Dプリンタ入力用データに基づき、製造対象物が許容されている物か否かが判定される(S4)。その結果、許容されていなければ(No)、3Dプリンタによる製造は行われず処理は終了するが、許容されているものであれば(Yes)、3Dプリンタによる製造が実施される(S5)。
【0024】
本発明において、製造を許可(許容)するか否かの判断は、例えば、法律で製造が制限されているか否かで判断する。製造が許可(許容)されないものとしては、例えば、銃器類、銃弾、兵器、硬貨、印鑑、鍵、著作権侵害物、デジタル万引きに該当する物等がある。
【0025】
本発明において、製造物許可判定には、例えば、特定物体認識技術、数学理論(微分幾何、位相幾何等)を用いた特徴抽出技術、機械学習等の手法を適用できる。
【0026】
特定物体認識技術(局所特徴量算出技術を含む)は、特定の物体を認識する画像認識技術であり、具体的には、硬貨等の物体の画像の一部から局所特徴量(「局所的」な画像特徴量)を抽出することで、判定対象が、事前に画像登録した物体と同一物体かどうかを判定する技術である。
【0027】
数学理論(微分幾何・位相幾何等)を用いた特徴抽出技術において、「微分幾何」は特徴点における「曲率(曲面の曲り具合)」など、物体の「局所的」な形状パターンを数値化するものであり、「位相幾何」は、例えば、「穴の数(50円玉の穴は1個)」「凹みの数」等、物体の「大域的」な形状パターンを数値化するものである。
【0028】
機械学習は、事前収集したサンプルデータから有用な情報を抽出する規則を決めることで、未知のデータに対しても有用な情報(属性情報・判断基準など)を抽出する技術である。機械学習は、銃器等の改造などによる未知の形状に対する対応や、3Dプリンタに入力する3Dデータ(STL・VRML形式のポリゴンデータ)の情報の精度の変化に柔軟に対応することが可能である。
【0029】
図3に、製造物許可判定手段における判定の処理のフローチャートを示す。図3のフローチャートでは、上段部が、「判定用モデル学習時のフローチャート」であり、下段部が、「実際の判定時のフローチャート」である。
【0030】
(判定用モデル学習時)
まず、学習用データを入力する(11)。学習用データとしては、銃器、硬貨等の許可(許容)の判断の対象となる物品の3Dプリンタ入力用データが挙げられる。学習用データは、対象物1個について、1個のデータになるように入力する。
【0031】
次に、局所特徴量算出12及び大域特徴量算出13の少なくとも一方を実施するが、好ましくは双方を実施する。
【0032】
局所特徴量算出12は、例えば、特定物体認識における特徴抽出(画像の一部から「局所的」な画像特徴量を抽出。例えばSIFT特徴量やSURF特徴量等)の方法で、3Dデータ(STL形式、VRML形式)の一部から局所的な特徴量を算出するものである。局所特徴量算出において、1個の3Dデータに対し、通常、複数個の局所特徴量が算出される。そして、算出した局所特徴量を、元の物体の名前(例えば、銃器、500円硬貨など)と共に、局所特徴量データベース14に蓄積する。
【0033】
局所特徴量算出12は、例えば、微分幾何理論または位相幾何理論を用いた手法で、3Dデータ(STL形式、VRML形式)の一部から、物体の局所的な形状パターンを数値化することでも実施可能である。具体的な例としては、曲面の曲がり具合を表す曲率の算出が挙げられる。この場合でも、前述と同様に、1個の3Dデータに対し、通常、複数個の局所特徴量が算出され、算出した局所特徴量を、元の物体の名前(銃器、500円硬貨など)と共に、局所特徴量データベース14に蓄積する。
【0034】
大域特徴量算出13は、例えば、微分幾何理論または位相幾何理論を用いた手法で、3Dデータ(STL形式、VRML形式)全体から、物体の大域的な形状パターン(全体形状のパターン)を数値化することで実施できる。具体的な例としては、ポリゴンデータから容易に算出可能な「穴の数(50円玉の場合1個)」などが挙げられる。大域特徴量算出13において、1個の3Dデータに対し、通常、1個または複数個の大域特徴量が算出され、算出結果を大域特徴量データベース15に蓄積する。
【0035】
次に、局所特徴量データベース14及び大域特徴量データベース15の少なくとも一方のデータに用いて(好ましくは双方のデータを用いて)、物体の形状クラスを判定する識別モデルの学習16を機械学習技術を用いて行い、形状判定モデル17を生成する。物体の形状クラス分類は、「銃」「硬貨」などの法的製造制限の有るクラスと、法的製造制限の無いクラスなど、ある程度、大まかなクラス分類でもよく、銃器又は硬貨の詳細の種類を特定しなくてもよいが、詳細に種類を特定して細かくクラスを設定してもよい。識別モデルの学習時には、LDA(線形判別分析)、SVM(Support Vector Machine)、LSPC(Least-Squares Probabilistic Classifier、最小二乗確率的分類器)、k-NN(k-近傍法)などが用いられる。
【0036】
(実際の判定時)
まず、判定の対象となるテストデータを入力する(21)。入力するデータは、3Dプリンタ入力用データ(STL形式データ又はVRML形式データ)である。そして、前述の判定用モデル学習時と同様にして、局所特徴量算出22及び大域特徴量算出23の少なくとも一方、好ましくは双方を実施する。
【0037】
次に、局所特徴量及び大域特徴量の少なくとも一方、好ましくは双方を用いて、製造対象物が許容できるかを、下記の判定(A)から(C)の少なくとも一つを用いて実施する。
【0038】
判定(A)24は、局所特徴量が算出されている場合のみ実施するものであり、テスト用3Dデータの元の物体の名前またはクラスを特定することを目的とする。判定(A)は、テスト用3Dデータから得られた複数個の局所特徴量の各々に対し、局所特徴量データベース14の局所特徴量と照合を行い、最も類似している局所特徴量の元の物体の名前またはクラスに投票し、この投票をテスト用3Dデータから得られた複数個の局所特徴量全てに対して行い、最大得票数の物体の名前またはクラスを、テスト用3Dデータの元の物体の名前またはクラスとすることで実施する。特定した名前又はクラスから、製造を許可(許容)するか否かを判定する。この場合、最大得票数が、テスト用3Dデータから得られた局所特徴量の数と比較して少ない場合は、物体の名前またはクラスが特定されないから製造許可としてもよい。
【0039】
判定(B)25は、テスト用3Dデータの元の物体のクラスを特定することを目的とする。判定(B)では、局所特徴量及び大域特徴量の少なくとも一方を用い、好ましくは双方を用い、形状判定モデル17を参照して、テスト用3Dデータの元の物体のクラスを特定し、クラス識別結果を出力する。例えば、「銃器」、「硬貨」など法的製造制限ありのクラス、または、法的製造制限の無いクラス等がある。
【0040】
判定(C)26は、大域特徴量が算出されている場合のみ実施し、テスト用3Dデータの元の物体の名前またはクラスを特定することを目的とする。判定(C)は、テスト用3Dデータから得られた複数個の大域特徴量の各々に対し、大域特徴量データベース15の特徴量と照合を行い、一致又は最も類似している特徴量の元の物体の名前またはクラスに投票し、この投票をテスト用3Dデータから得られた複数個の大域特徴量全てに対して行い、最大得票数の物体の名前またはクラスを、テスト用3Dデータの元の物体の名前またはクラスとすることで実施する。特定した名前又はクラスから、製造を許可(許容)するか否かを判定する。この場合、最大得票数が、テスト用3Dデータから得られた局所特徴量の数と比較して少ない場合は、物体の名前またはクラスが特定されないから製造許可としてもよい。
【0041】
次に、判定(A)から(C)の少なくとも一つの判定結果、好ましくは2つの判定結果、より好ましくは3つの判定結果を統合し(形状判定結果統合27)、最終判定結果28を出力する。判定結果の統合27においては、重み付きで統合することが好ましく、重み付けは、事前実験等の経験により正解率が最も高くなるように適宜設定することが好ましい。
【0042】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、3Dプリンタに関する分野に広く用いられ、その用途は制限されない。
図1
図2
図3