特許第6075813号(P6075813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6075813
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】光照射装置ユニット
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20170130BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20170130BHJP
【FI】
   A01G7/00 601A
   H01L33/62
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-19263(P2016-19263)
(22)【出願日】2016年2月3日
【審査請求日】2016年2月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514058636
【氏名又は名称】株式会社環境フォトニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(72)【発明者】
【氏名】木原 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】中原 徳人
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−183309(JP,A)
【文献】 特開2015−167512(JP,A)
【文献】 特開2007−129062(JP,A)
【文献】 特開2012−119312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の基板と、
前記基板の一方面上で、前記基板の外辺に平行な第1の方向に等間隔に配列され、出力する光の指向角を調整可能な凸レンズ状のレンズキャップをそれぞれ搭載可能な複数の表面実装型の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードのうち、前記第1の方向に並ぶ発光ダイオードを直列に接続する支線と、
前記支線の一方端と電気接続し、前記基板の外辺に平行な第2の方向に延びる第1の幹線と、
前記支線の他方端と電気接続し、前記第2の方向に延びる第2の幹線と、
前記第1の幹線と外部の電気回路とを電気接続するために前記第1の幹線の両端に設けられた第1の外部端子と、
前記第2の幹線と外部の電気回路とを電気接続するために前記第2の幹線の両端に設けられた第2の外部端子と、
を備え
前記発光ダイオードには、複数の異なる光質の光を発光する発光素子が実装されており、
前記支線、前記第1の幹線、前記第2の幹線、前記第1の外部端子及び前記第2の外部端子が、前記発光素子の光質毎に設けられ、
前記発光ダイオードに内蔵された複数の発光素子が前記第1の方向に並ぶように、前記発光ダイオード各々が前記基板に配設されており、
前記発光ダイオードは、前記第1の方向に複数列配列され、
前記第1の方向に直交する方向に隣接する発光ダイオードの向きが互いに逆向きとなるように前記発光ダイオードが配置されている、光照射装置ユニット。
【請求項2】
前記支線には、流れる電流を一定に保つ定電流ダイオード又は電気抵抗が挿入されている、
請求項1に記載の光照射装置ユニット。
【請求項3】
前記第1の幹線及び前記第2の幹線は、前記基板の他方面に設けられており、
前記第1の幹線及び前記第2の幹線は、スルーホールを介して、前記支線と電気接続されている、
請求項又はに記載の光照射装置ユニット。
【請求項4】
前記基板の他方面には、
前記発光ダイオードが設けられた発光領域の裏側の領域に放熱板が設けられている、
請求項1からのいずれか一項に記載の光照射装置ユニット。
【請求項5】
前記発光ダイオードが同じ側を向くように前記基板が敷き詰められたときに、前記発光ダイオードの配列の中心から端部に向かって、出射光の指向角が狭くなるように、前記発光ダイオードに対してレンズキャップが取り付けられている、
請求項1からのいずれか一項に記載の光照射装置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
植物工場の栽培用照明装置として用いられ、光合成に適した波長と高光量及びパルス点灯等の発光ダイオードの特徴を活かした光照射装置等が開示されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5732157号公報
【特許文献2】特許第4971706号公報
【特許文献3】特許第4924438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物育成のための研究・実証実験・実際に育成が行われる工場では、その目的に応じて光照射装置に求められる光源サイズ・光の波長(以下、「光質」ともいう)・光質毎の物理的光量(以下、「光量」とする)等が様々である。このため、研究、実証実験及び工場ごとに、光照射装置を個別に設計する必要がある。個別設計の労力を軽減するためには、光照射装置をできるだけ標準化し、光源サイズ・光質・光量を求められる量に調整し易くしておくのが望ましい。
【0005】
植物を育成するための光照射装置の標準化の際の課題として、(A)照射面の光量均一化、(B)配線の煩雑化、(C)複数の発光素子を内蔵した発光ダイオードからの出射光の光軸ずれが上げられる。ここで、照射面とは、光照射装置による光の照射により照らされる面のことであり、植物工場であれば、植物の育成面のことをいう。
【0006】
(A)照射面の光量均一化
照射面における光量が均一でない場合には、照射面における植物の育成状態に差が出るため、光照射装置では、光量が照射面において均一であることが要求される。
【0007】
(B)配線の煩雑化
植物工場の中には、植物が育成される面が極めて大きいものがあり、大きな面に対応する多数の発光ダイオードが配列された光照射装置が必要になる。発光ダイオードの数が増えれば増えるほど、発光ダイオードに電力を供給するための配線は複雑になる。
【0008】
(C)出射光の光軸ずれ
赤、緑、青の各色の発光素子を内蔵するいわゆる3in1の発光ダイオードは、各色の出射光について出射中心角のずれ、いわゆる光軸ずれが生じる。この光軸ずれにより、照射面(植物の育成面)に照射される照射光の光質が場所によって偏るようになる。この偏りは、植物の育成に多大な影響を与える。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、光源サイズ・光質・光量を容易に調整可能に標準化された光照射装置ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の光照射装置ユニットは、
矩形状の基板と、
前記基板の一方面上で、前記基板の外辺に平行な第1の方向に等間隔に配列され、出力する光の指向角を調整可能な凸レンズ状のレンズキャップをそれぞれ搭載可能な複数の表面実装型の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードのうち、前記第1の方向に並ぶ発光ダイオードを直列に接続する支線と、
前記支線の一方端と電気接続し、前記基板の外辺に平行な第2の方向に延びる第1の幹線と、
前記支線の他方端と電気接続し、前記第2の方向に延びる第2の幹線と、
前記第1の幹線と外部の電気回路とを電気接続するために前記第1の幹線の両端に設けられた第1の外部端子と、
前記第2の幹線と外部の電気回路とを電気接続するために前記第2の幹線の両端に設けられた第2の外部端子と、
を備え
前記発光ダイオードには、複数の異なる光質の光を発光する発光素子が実装されており、
前記支線、前記第1の幹線、前記第2の幹線、前記第1の外部端子及び前記第2の外部端子が、前記発光素子の光質毎に設けられ、
前記発光ダイオードに内蔵された複数の発光素子が前記第1の方向に並ぶように、前記発光ダイオード各々が前記基板に配設されており、
前記発光ダイオードは、前記第1の方向に複数列配列され、
前記第1の方向に直交する方向に隣接する発光ダイオードの向きが互いに逆向きとなるように前記発光ダイオードが配置されている
【0012】
前記支線には、流れる電流を一定に保つ定電流ダイオード又は電気抵抗が挿入されている、
こととしてもよい。
【0013】
前記第1の幹線及び前記第2の幹線は、前記基板の他方面に設けられており、
前記第1の幹線及び前記第2の幹線は、スルーホールを介して、前記支線と電気接続されている、
こととしてもよい。
【0014】
前記基板の他方面には、
前記発光ダイオードが設けられた発光領域の裏側の領域に放熱板が設けられている、
こととしてもよい。
【0015】
前記発光ダイオードが同じ側を向くように前記基板が敷き詰められたときに、前記発光ダイオードの配列の中心から端部に向かって、出射光の指向角が狭くなるように、前記発光ダイオードに対してレンズキャップが取り付けられている、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る光照射装置ユニットでは、矩形状の基板上に複数の発光ダイオードが等間隔で配列されている。したがって、発光ダイオードが同じ側を向くように基板をその外辺を当接させて敷き詰め、等間隔に配列された様々な光源サイズの光照射装置を得ることができる。
【0019】
また、本発明に係る光照射装置ユニットによれば、第1、第2の幹線に接続された第1、第2の外部端子は、第2の方向に延びる第1、第2の幹線の両端に形成されているので、発光ダイオードが同じ側を向くように基板を敷き詰めれば、対応する外部端子を基板間で近接させることができる。したがって、近接した外部端子を電気接続するだけで、簡単に、基板に跨がった発光ダイオードの直列並列回路を構成することができる。この結果、複数のユニットによって形成される光照射装置の回路構成を極めてシンプルなものとすることができる。
【0020】
また、発光ダイオードは、出射する光を調整するレンズキャップを搭載可能であるため、各発光ダイオードで個別に、照射面に照射される光の光質・光量を容易に調整可能となる。例えば、発光ダイオードが配列の中心から端部に向かうにつれて、発光ダイオードから出射される光の指向角が狭くなるようにレンズキャップを装着すれば、照射面の光の光量を均一化することができる。
【0021】
また、発光ダイオードに異なる光質の光を出射する複数の発光素子を内蔵している場合には、発光ダイオードは、内部の発光素子が配列された向きに配列される。また、発光ダイオードは、隣接するもの同士で発光素子の配列が逆となるように配置される。このようにすれば、隣接する発光ダイオードで、各色の光の出射中心軸のずれを逆向きとし、照射面における光の色の偏りを、隣接する発光ダイオードで相殺することができる。
【0022】
以上の構成を有する光照射装置ユニットを用いて光照射装置を構成すれば、光源サイズ・光質・光量を容易に調整可能に標準化された調整可能な光照射装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態1に係る光照射装置ユニットの上面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る複数の光照射装置ユニットから成る光照射装置の上面図である。
図3図3(A)は、発光ダイオードの上面図である。図3(B)は、図3(A)のA−A断面図である。図3(C)は、他の発光ダイオードの上面図である。
図4図4(A)、図4(B)及び図4(C)は、それぞれ指向角が異なるレンズキャップが搭載された発光ダイオードを示す図である。
図5図5(A)は基板の表面を示す図である。図5(B)は、基板の裏面を示す図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、ジャンパー線により基板にまたがって接続された外部端子を示す図である。
図7図7(A)、図7(B)及び図7(C)は、光照射装置ユニットの配列のバリエーションを示す図である。
図8】光照射装置ユニットの配線の変形例を示す図である。
図9図9(A)は、3in1の発光ダイオードの光の出射方向の角度ずれを示す図である。図9(B)は、照射面における色の偏りを示す図である。
図10】本発明の実施の形態2に係る光照射装置ユニットの上面図である。
図11図11(A)は、色の偏りが相殺される様子を示す図である。図11(B)は、Y軸方向に隣接する発光ダイオードの発光素子の配列を示す図である。
図12】本発明の実施の形態2に係る複数の光照射装置ユニットから成る光照射装置の上面図である。
図13図13(A)及び図13(B)は、光照射装置ユニットの配列のバリエーションを示す図である。
図14図14(A)及び図14(B)は、本発明の実施の形態2に係る光照射装置ユニットのレンズキャップを付けてない場合の照射面における照射分布を示す図である。
図15図15(A)及び図15(B)は、本発明の実施の形態2に係る光照射装置ユニットのレンズキャップを付けた場合の照射面における照射分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。図1に示すように、本実施の形態1に係る光照射装置ユニット100Aは、基板1A上に、発光ダイオード2,3、定電流ダイオード(CCR)13が2次元配列された装置である。光照射装置ユニット100Aは、発光ダイオード2,3が同じ側を向くように基板1Aが敷き詰められた状態で使用される(図2参照)。ここでは、まず、光照射装置ユニット100Aの構成について説明する。
【0026】
本実施の形態に係る光照射装置ユニット100Aは、1枚の矩形状の基板1Aを中心に構成されている。基板1A上の一方面(+Z側の面)には、複数の発光ダイオード2、3、定電流ダイオード(CCR)13が配列されている。
【0027】
複数の発光ダイオード2は、基板1AのY軸方向に延びる外辺に平行な方向に等間隔に複数列配列されている。各列の発光ダイオード2の間隔も、列内の発光ダイオード2の間隔と同じである。
【0028】
発光ダイオード2は、表面実装型の発光ダイオードである。図3(A)に示すように、発光ダイオード2には、赤色の光を出力する発光素子2R、緑色の発光素子2G、青色の光を出力する発光素子2Bが内蔵されている。すなわち、発光ダイオード2は、3in1の発光ダイオードである。発光ダイオード2は、赤色、青色、緑色の各色の光を出射する。
【0029】
図3(B)に示すように、発光ダイオード2には、発光素子2Rの正負の電極2R1,2R2をはじめ、発光素子2G,2B用の正負の電極が別々に設けられている。このように、発光ダイオード2では、発光素子2R,2G,2Bを別々の電圧で駆動可能となっている。
【0030】
なお、発光ダイオード2に代えて、図3(C)に示すような1in1の発光ダイオード2’を用いてもよい。発光ダイオード2’の発光素子2Aは、発光素子2R,2G,2Bのいずれかである。対応する光質の発光ダイオード2’を各光質に対応する支線5に接続すればよい。
【0031】
複数の発光ダイオード3は、基板1Aの一辺に平行な方向に等間隔に複数列配列されている。複数の発光ダイオード3は、例えば、遠赤色の光を出射する表面実装型の発光ダイオードである。複数の発光ダイオード3は、発光ダイオード2から出射される光では得られない光質の光を出射するためと、発光ダイオード3の同じ光質の光の光量を増量するために設けられている。
【0032】
言い換えれば、発光ダイオード2,3は、XY平面上にマトリクス状に等間隔で配列されている。発光ダイオード2はX軸方向及びY軸方向に等間隔で配列され、発光ダイオード3は、発光ダイオード2の間に設けられている。
【0033】
発光ダイオ−ド2,3には、例えば図3(B)に示すように、それぞれ、レンズキャップ4が搭載されている。レンズキャップ4は、発光ダイオード2,3から出射する光の指向角を調整可能な凸レンズとしての役割を果たす。指向角の選択により、発光ダイオード2,3から出射される放射強度を選択することができる。
【0034】
図4(A)、図4(B)及び図4(C)に示すように、本実施の形態では、3種類のレンズキャップ4が用意されている。図4(A)に示すレンズキャップ4(4A)は、指向角が最も狭くなっており、指向角が狭くなった分、光量が大きくなっている。また、図4(B)に示すレンズキャップ4(4B)は、指向角が、レンズキャップ4(4A)の次に狭くなっている。そして、図4(C)に示すレンズキャップ4(4C)の指向角が一番広くなっている。
【0035】
図1に戻り、各発光ダイオード2,3に電力を供給すべく、基板1A上には、配線パターンが形成されている。配線パターンは、支線5,6と、第1の幹線7、第2の幹線8とに分類される。
【0036】
支線5は、複数の発光ダイオード2のうち、Y軸方向に一列に並ぶ発光ダイオード2をそれぞれ直列に接続する。支線5は、発光ダイオード2の発光素子2R,2G,2B、定電流ダイオード(CCR)13とそれぞれ接続するために一列につき3本設けられている。
【0037】
支線6は、複数の発光ダイオード3のうち、Y軸方向に一列に並ぶ発光ダイオード3、定電流ダイオード(CCR)13をそれぞれ直列に接続する。
【0038】
第1の幹線7、第2の幹線8は、3本の支線5と1本の支線6それぞれに対応してそれぞれ計4本設けられている。第1の幹線7は、Y軸方向に延びており、複数の支線5,6それぞれの一方端(+Y端)と電気接続している。第2の幹線8は、Y軸方向に延びており、複数の支線5,6それぞれの他方端(−Y端)と電気接続している。
【0039】
第1の幹線7のY軸方向両端、かつ、基板1Aの外縁近傍には、第1の外部端子9が設けられている。第1の外部端子9は、第1の幹線7と外部の電気回路とを電気接続するために設けられている。
【0040】
第2の幹線8のY軸方向両端、かつ、基板1Aの外縁近傍には、第2の外部端子10が設けられている。第2の外部端子10は、第2の幹線8と外部の電気回路とを電気接続するために設けられている。
【0041】
基板1A上には、複数の支線5,6、第1の幹線7、第2の幹線8、第1の外部端子9及び第2の外部端子10が、発光素子の光質(赤、緑、青、遠赤)毎に定電流ダイオード(CCR)13が設けられている。これにより、同じ支線5,6に接続された複数の発光ダイオード2,3を同一電圧で動作させ、各発光素子での発光強度を均等にすることができる。
【0042】
実際には、図5(A)及び図5(B)に示すように、第1の幹線7及び第2の幹線8は、基板1Aの他方面(−Z側の面)に設けられている。第1の幹線7及び第2の幹線8は、スルーホールを介して、複数の支線5,6と電気接続されている。これにより、基板1Aの+Z面の配線パターンを簡素化することができるうえ、基板1AをXY面内に小型化することができる。
【0043】
なお、図5(B)に示すように、基板1Aの−Z側の面には、複数の発光ダイオード2,3、定電流ダイオード(CCR)13が設けられた発光領域の裏側の領域に放熱板11が設けられている。放熱板11には、基板1Aを構成する電気的導通する銅箔面が用いられている。この放熱板11により、発光ダイオード2,3で発生する熱を放熱し易くなっている。これにより、発光ダイオード2,3をより安定して動作させることができる。
【0044】
図2に示すように、光照射装置ユニット100Aが、複数の発光ダイオード2,3が同じ側を向くように複数の基板1Aが敷き詰められて光照射装置が構成されている。この状態で、図6(A)に示すように、複数の基板1Aにまたがって隣接する第1の外部端子9同士が、ジャンパー線12等で接続される。同様に、図6(B)に示すように、複数の基板1Aにまたがって隣接する第2の外部端子10同士がジャンパー線12等で接続される。これにより、複数の基板1Aに跨がって発光ダイオード2,3、定電流ダイオード(CCR)13が直列回路を並列に接続した回路が構成される。この回路は、各電源回路に接続され、電源回路(不図示)から流れる電流に応じて、発光ダイオード2の各色の発光素子2R,2G,2B及び発光ダイオード3を発光させる。
【0045】
本実施の形態では、各光照射装置ユニット100Aの発光ダイオード2,3に対して、それぞれ場所に応じたレンズキャップ4(4A,4B,4C)が搭載される。図2に示すように、角部に配置された光照射ユニット100A(符号Aが付されている)の発光ダイオード2,3には、レンズキャップ4(4A)が搭載される。また、外辺側の光照射装置ユニット100A(符号Bが付されている)の発光ダイオード2,3には、レンズキャップ4(4B)が搭載される。さらに、中央の光照射装置ユニット100A(符号Cが付されている)の発光ダイオード2,3には、レンズキャップ4(4C)が搭載される。
【0046】
このようにすれば、複数の発光ダイオード2,3の配列の中心から端部に向かって、出射光の指向角が狭くなるように、複数の発光ダイオード2,3に対して、レンズキャップ4(4A,4B,4C)を取り付けることができる。この場合、発光ダイオード2,3は2次元配列されているため、発光ダイオード2,3の配列領域の中心から外周に向かって、レンズキャップ4の指向角が狭くなる。
【0047】
これにより、照射面(植物の育成面)の外周付近の1点の光量に寄与する発光ダイオード2の数は、照射面の中央付近1点の光量に寄与する発光ダイオード2,3の数より少なくなるものの、外周付近の1点に到達する各発光ダイオード2,3の光は、中央の1点に到達する各発光ダイオード2,3の光より強くなるため、照射面外周側の光量が高くなって、照射面全体における光量分布を均一なものとすることができる。このようにすれば、照射面中央の植物に対して、照射面外周の植物の育成が遅れるのを回避することができる。
【0048】
また、レンズキャップ4は凸レンズの役割を果たすので、レンズキャップ4を発光ダイオード2,3に取り付けることによって、全体的に照射面における照射光の光量増やすことができる。
【0049】
光照射装置ユニット100Aの敷き詰め方は、図2に示すものには限られない。例えば、図7(A)に示すように、光照射装置ユニット100Aを2行2列に配置してもよいし、図7(B)に示すように、光照射装置ユニット100Aを3行2列に配置してもよい。また、図7(C)に示すように、光照射装置ユニット100Aを4行4列に配置してもよい。このように、様々な光源サイズの光照射装置を構成することができる。
【0050】
本実施の形態によれば、配列状態がどのようなものであっても、レンズキャップ4(4A,4B,4C)を用いて、発光ダイオード2,3から出射される出射光の指向角及び強度を調整しているため、光照射装置ユニット100Aの配列に関わらず、発光ダイオード2,3の全体の配列領域の中心から外側に向けて出射する光の指向角が狭くなるように、レンズキャップ4を搭載することができる。
【0051】
例えば、図7(A)及び図7(B)に示すように、内側の領域の発光ダイオード2,3に指向角の広いレンズキャップ4(4C)を搭載し、外側の領域の発光ダイオード2,3に指向角の狭いレンズキャップ4(4A)を搭載すれば、照射面での光の光量を均一化することができる。また、図7(C)に示すように、内側の領域の発光ダイオード2,3に指向角の広いレンズキャップ4(4C)を搭載し、その外側の領域の発光ダイオード2,3にレンズキャップ4(4B)を搭載し、最も外側の領域の発光ダイオード2,3にレンズキャップ4(4A)を搭載するようにしてもよい。このようにしても、照射面の光量を均一化することができる。
【0052】
以上詳細に説明したように、光照射装置ユニット100Aによれば、矩形状の基板1A上に複数の発光ダイオード2,3が等間隔に2次元配列されて形成されている。したがって、複数の発光ダイオード2,3が同じ側を向くように基板1Aを敷き詰めれば、所望の光源サイズの光照射装置を得ることができる。
【0053】
また、光照射装置ユニット100Aによれば、第1、第2の幹線7,8に接続された第1、第2の外部端子9,10は、Y軸方向に延びる第1、第2の幹線7,8の両端に接続されているので、複数の発光ダイオード2,3、定電流ダイオード(CCR)13が同じ側を向くように基板1Aを敷き詰めれば、第1、第2の外部端子9,10を基板1A間で近接させることができる。したがって、近接した第1、第2の外部端子9,10を電気接続するだけで、簡単に、基板1Aに跨がった発光ダイオード2,3の直列並列回路を構成することができる。この結果、複数の光照射装置ユニット100Aによって形成される光照射装置の回路構成を極めてシンプルなものとすることができる。
【0054】
また、各発光ダイオード2,3は、出射する光を集光するレンズキャップ4(4A,4B,4C)を搭載可能であるため、各発光ダイオード2,3で個別に、照射面に照射される光質・光量を容易に調整可能となる。本実施の形態では、発光ダイオード2,3が配列の中心から端部に向かうにつれて、発光ダイオード2,3から出射される光の指向角が狭くなるようにレンズキャップを装着するので、照射面の光の光量を均一化することができる。
【0055】
なお、図8には、光照射装置ユニット100Aの変形例である光照射装置ユニット100Bが示されている。光照射装置ユニット100A’では、支線5,6はX軸方向に延びており、この方向で発光ダイオード2,3、定電流ダイオード(CCR)13を直列に接続している。光照射装置ユニット100A,100A’を比較すると、光照射装置ユニット100A’の方が、支線5,6を、第1、第2の幹線7,8の方へ伸ばすX軸方向の配線が不要となるので、配線としては、よりシンプルなものとなる。このように、支線5,6と第1、第2の幹線7,8を平行とする必要はない。
【0056】
実施の形態2.
まず、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2でも、発光ダイオードとして3in1の発光ダイオードが用いられている。
【0057】
まず、3in1の発光ダイオードの特性について説明する。図9(A)は、3in1の発光ダイオードを並べて配置した時の各色の光出射方向を示す。図9(A)に示すように、3in1の発光ダイオードでは、赤色の発光素子2Rが中心に配置されており、その一方側に緑色の発光素子2Gが配置され、反対側に青色の発光素子2Bが実装されている。これにより、レンズキャップ4を介して発光素子2R,2B,2Gから出射される光には、角度ずれ(光軸ずれ)が発生する。この光軸ずれは、図9(B)に示すように、照射面Fにおける色の偏りを引き起こす。この色の偏りは、植物の育成等に不均一性をもたらず。図10に示す光照射装置ユニット100Bは、このような照射面による光の色の偏りを解消する。
【0058】
図10に示すように、本実施の形態に係る光照射装置ユニット100Bは、基板1Bを中心に構成されている。基板1B上の一方面(+Z側の面)には、複数の発光ダイオード2,3が配列されている。複数の発光ダイオード2は、基板1BのY軸方向に延びる外辺に平行な方向に等間隔に2列配列されている。また、複数の発光ダイオード3は、基板1BのY軸方向に延びる外辺に平行な方向に等間隔に1列配列されている。
【0059】
支線5は、複数の発光ダイオード2のうち、Y軸方向に一列に並ぶ発光ダイオード2をそれぞれ直列に接続する。支線5は、発光ダイオード2の発光素子2R,2G,2B、定電流ダイオード(CCR)13とそれぞれ接続するために一列につき3本設けられている。
【0060】
支線6は、複数の発光ダイオード3のうち、Y軸方向に一列に並ぶ発光ダイオード3、定電流ダイオード(CCR)13をそれぞれ直列に接続する。
【0061】
第1の幹線7、第2の幹線8は、3本の支線5と1本の支線6それぞれに対応してそれぞれ計4本設けられている。第1の幹線7は、Y軸方向に延びており、複数の支線5,6それぞれの一方端(+Y端)と電気接続している。第2の幹線8は、Y軸方向に延びており、複数の支線5,6それぞれの他方端(−Y端)と電気接続している。
【0062】
光照射装置ユニット100Bでは、各発光ダイオード2に実装された複数の発光素子2R,2G,2BがY方向に並ぶように、複数の発光ダイオード2各々が基板1Bに配設されている。複数の発光ダイオード2は、Y軸方向に並んでいる。これにより、図11に示すように、Y軸方向については、隣接する発光ダイオード2同士の光が補いあって、色の偏りが軽減される。
【0063】
また、本実施の形態では、発光ダイオード2がX軸方向に2列並んでいる。本実施の形態では、図11(A)に示すように、Y軸方向に並ぶ発光ダイオード2の各列について、発光ダイオード2の赤、緑、青の発光素子2R,2G,2Bの並び順が逆になっている。すなわち、Y軸方向に直交する方向に隣接する発光ダイオード2の向きが互いに逆向きとなるように複数の発光ダイオード2が配置されている。
【0064】
このようにすれば、図11(A)に示すように、Y軸方向に隣接する発光ダイオード2の間で、同じ色の光の出射方向の傾斜方向が逆向きとなるので、それらの間で出射方向の傾斜を相殺することができる。この結果、照射面における光の色の偏りをさらに低減することができる。
【0065】
このような配置を実現するために、本実施の形態では、基板1B上の支線5の配線パターンは、矩形波状に折れ曲がっている。
【0066】
3本の支線5と1本の支線6にはそれぞれ、定電流ダイオード(CCR)13が挿入されている。このようにすれば、同じ支線5,6に接続された複数の発光ダイオード2,3を同一電圧で動作させることができる。
【0067】
本実施の形態に係る光照射装置ユニット100Bも、図12に示すように、Y軸方向に連結することにより、所望の長さの光照射装置を構成することができる。また、図13(A)及び図13(B)に示すように、X軸方向や、X軸方向及びY軸方向に光照射装置ユニット100Bを連結して所望の大きさの光照射装置を構成し、面光源を構成することができる。
【0068】
本実施の形態でも、発光ダイオ−ド2,3に、レンズキャップ4が搭載されている。レンズキャップ4は、発光ダイオード2,3から出射される光の指向角を調整可能な凸レンズとしての役割を果たす。指向角の調整により、発光ダイオード2,3から出射される光量を調整することができる。
【0069】
この場合、+Y端、−Y端に実装されている発光ダイオード2,3に搭載するレンズキャップ4の指向角を狭くすることにより、Y軸方向に関して、照射面(植物の育成面)における光量をより強く、かつ、より均一化することができる。このようにすれば、Y軸方向中央の植物に対して、Y軸方向両端の植物の育成が遅れるのを回避することができる。
【0070】
上記各実施形態では、複数の発光ダイオード2,3を、複数列配列したが、発光ダイオード2,3の配列は一列であってもよい。この場合でも、両端側の発光ダイオード2,3に搭載される狭い指向角を持ったレンズキャップ4(4A)を内側の発光ダイオード2,3に搭載される広い指向角を持ったレンズキャップ4(4C)を配置する事によって照射面の光量を均一化することができる。
【0071】
図14(A),図14(B)には、レンズキャップ4を搭載していない場合の照射面における光量分布が示され、図15(A),図15(B)には、レンズキャップ4を搭載した場合の照射面における光量分布が示されている。図14(A)及び図14(B)と、図15(A)及び図15(B)とを比較すると、レンズキャップ4を付けることにより、照射面の光量が大きくなり、かつ、長手方向に均一になっているのがわかる。
【0072】
以上述べたように、上記各実施の形態によれば、各発光ダイオード2,3は、出射する光を集光するレンズキャップ4を搭載可能であるため、発光ダイオード2,3から出射される光の光量を調整可能となる。以上の構成を有する光照射装置ユニット100A,100A’,100Bを用いて光照射装置を構成すれば、光源サイズ・光質・光量を、求められる光量に調整可能な光照射装置を得ることができる。
【0073】
本発明は、上記各実施の形態に係るものには限られない。光照射装置ユニット100A,100A’,100Bにおける発光ダイオードの配列の数は、適宜変更することが可能である。また、発光ダイオードは3in1ダイオードでなくてもよい。また、レンズキャップ4の種類は、3つには限れず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0074】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、植物工場における植物の育成用の光照射装置に適用することができる。この光照射装置は、例えば植物・藻類等の育成用・補光用・電照用光照射、化学物質分解用光照射、集魚灯、殺菌用光照射等に用いられる。
【符号の説明】
【0076】
1A,1B 基板
2 発光ダイオード(3in1)
2’ 発光ダイオード(1in1)
2A,2R,2B,2G 発光素子
2R1,2R2 電極
3 発光ダイオード(1in1)
4(4A,4B,4C) レンズキャップ
5,6 支線
7 第1の幹線
8 第2の幹線
9 第1の外部端子
10 第2の外部端子
11 放熱板
12 ジャンパー線
13 定電流ダイオード(CCR)
100A,100A’,100B 光照射装置ユニット
F 照射面
【要約】
【課題】光源サイズ・光質・光量を、容易に調整可能に標準化された光照射装置を得る。
【解決手段】表面実装型の複数の発光ダイオード2,3は、矩形状の基板1Aの一方面に、基板1Aの一辺に平行な方向に等間隔に配列され、出力する光の指向角を調整可能なレンズキャップを搭載可能である。支線5,6は、発光ダイオード2のうち、一列に並ぶ発光ダイオード2をそれぞれ直列に接続する。第1の幹線7は、支線5,6それぞれの一方端と電気接続し、Y軸方向に延びている。第2の幹線8は、支線5,6それぞれの他方端と電気接続し、Y軸方向に延びている。第1の外部端子9は、第1の幹線7と外部の電気回路とを電気接続するために第1の幹線7の両端に設けられている。第2の外部端子10は、第2の幹線8と外部の電気回路とを電気接続するために第2の幹線8の両端に設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15