特許第6075815号(P6075815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6075815商品等の予約販売に関する販売条件管理装置及び販売条件の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6075815
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】商品等の予約販売に関する販売条件管理装置及び販売条件の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20170130BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20170130BHJP
【FI】
   G06Q30/06 300
   G06Q30/02 368
   G06Q30/02 350
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-136478(P2016-136478)
(22)【出願日】2016年7月10日
【審査請求日】2016年7月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500165795
【氏名又は名称】ネットパイロティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 光太郎
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−241864(JP,A)
【文献】 特開2014−178729(JP,A)
【文献】 特許第5629029(JP,B1)
【文献】 特開2007−042056(JP,A)
【文献】 特開2002−215998(JP,A)
【文献】 特開2004−192357(JP,A)
【文献】 特開2006−119748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又はサービスの予約販売に関する販売条件を管理する販売条件管理装置であって、
顧客の操作画面に、商品又はサービスの予約販売に関する選択可能な販売条件の異なる2以上のプランを提示して、いずれかのプランの選択を受け付けるプラン選択受付手段と、
前記プラン選択受付手段が選択を受け付けた顧客が選択したプランの販売条件に関する情報を含む、顧客に関する情報を記憶する顧客情報記憶手段と、
前記顧客情報記憶手段に記憶された顧客が選択したプランの販売条件が達成されたか否かを、前記顧客に対する商品又はサービスの販売実績に関する情報から判断して、前記プランの販売条件が達成されたと判断されると、前記プランの対象となる商品又はサービスの予約販売について、前記顧客が選択した前記プラン及び前記顧客が前記プランを選択した際に提示されたものの前記顧客が選択しなかった他のプランについて、前記顧客が前記プランを選択した際に提示した販売条件より顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が次回選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定する選択可能プラン設定手段と、
を備えることを特徴とする販売条件管理装置。
【請求項2】
前記選択可能プラン設定手段は、販売条件が達成されたと判断されたプランが、対象となる商品又はサービスの予約販売についてあらかじめ定められた最も顧客側に有利なプランに該当する場合には、前記顧客が前記プランを選択した際に提示した2以上のプランと同じプランを、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定すること
を特徴とする請求項1記載の販売条件管理装置。
【請求項3】
前記選択可能プラン設定手段は、選択可能な2以上のプランのうち、より達成の難度が高いプランの販売条件を達成した場合には、より達成の難度が低いプランの販売条件を達成した場合に比べて、各々のプランに顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定すること
を特徴とする請求項1又は2記載の販売条件管理装置。
【請求項4】
前記プラン選択受付手段が前記操作画面に提示するプランの販売条件には、同一の商品又はサービスを対象に販売量と販売期限が指定され、前記操作画面には、同一の商品又はサービスを対象に販売量又は販売期限の少なくともいずれかが異なる2以上のプランが提示されて、
前記選択可能プラン設定手段は、顧客が選択したプランの販売条件に指定された販売期限までに前記販売条件に指定された販売量が全て販売された場合に、前記プランの販売条件が達成されたと判断すること
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の販売条件管理装置。
【請求項5】
前記選択可能プラン設定手段は、顧客が選択したプランの販売条件に指定された販売期限より所定の期間早い時期までに前記販売条件に指定された販売量が全て販売され、前記プランの販売条件が達成されたと判断された場合には、各々のプランに前記プランの販売条件が達成された場合に通常設定される販売条件よりさらに顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定すること
を特徴とする請求項4記載の販売条件管理装置。
【請求項6】
前記選択可能プラン設定手段は、顧客が選択したプランの販売条件に指定された販売期限までに前記販売条件に指定された販売量を超える所定の量の商品又はサービスが販売された場合には、各々のプランに前記プランの販売条件が達成された場合に通常設定される販売条件よりさらに顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定すること
を特徴とする請求項4又は5記載の販売条件管理装置。
【請求項7】
前記顧客情報記憶手段には、顧客に関する情報として、顧客との取引実績に応じて設定される顧客ステイタスが記憶されていて、
前記選択可能プラン設定手段は、同じプランの販売条件が達成されたと判断された場合であっても、前記顧客情報記憶手段に記憶された顧客ステイタスが異なる場合には、各々のプランに顧客ステイタスに応じて決定される販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定すること
を特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の販売条件管理装置。
【請求項8】
商品又はサービスの予約販売に関する販売条件を管理する販売条件管理装置によって実行される販売条件の管理方法であって、
前記販売条件管理装置が、顧客の操作画面に、商品又はサービスの予約販売に関する選択可能な販売条件の異なる2以上のプランを提示して、いずれかのプランの選択を受け付けるプラン選択受付ステップと、
前記販売条件管理装置が、前記プラン選択受付ステップで選択を受け付けた顧客が選択したプランの販売条件に関する情報を、顧客に関する情報を記憶する顧客情報記憶手段に記憶させる選択プラン記憶ステップと、
前記販売条件管理装置が、前記顧客情報記憶手段に記憶された顧客が選択したプランの販売条件が達成されたか否かを、前記顧客に対する商品又はサービスの販売実績に関する情報から判断して、前記プランの販売条件が達成されたと判断されると、前記プランの対象となる商品又はサービスの予約販売について、前記顧客が選択した前記プラン及び前記顧客が前記プランを選択した際に提示されたものの前記顧客が選択しなかった他のプランについて、前記顧客が前記プランを選択した際に提示した販売条件より顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が次回選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定する選択可能プラン設定ステップと、
を有することを特徴とする販売条件の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品又はサービスの予約販売に関する販売条件を管理する販売条件管理装置及び販売条件の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顧客を囲い込んで商品の販売を促進するために、商品を購入した顧客に対して、商品の購入代金等に充当することができるポイントを購入金額や購入数量に応じて付与する、いわゆるポイントサービスが小売業者やメーカー等によって広く提供されている。顧客に対してより多くの商品の購入を促すために、単に購入金額や購入数量に応じてポイント等のインセンティブを付与するだけでなく、一定の金額や数量の購入を予約した顧客に対しては、より有利な条件で商品を購入できる仕組みが採用されることもある。
【0003】
こうした仕組みを管理するための技術として、例えば、商品の購入金額に応じて固定された比率のポイントを付与するだけでなく、対象期間中に予定購入金額以上の商品を購入すると、通常より好条件のボーナスポイントが付与されるポイント管理方法に関する発明や(特許文献1参照)、所定の期間内に所定の数量の商品を購入することを予約する「まとめ買い」によって、通常より有利な条件で商品を購入することができる購入予約がされた商品又はサービスの販売管理装置に関する発明(特許文献2参照)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−241864号公報
【特許文献2】特許第5629029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載された発明によると、顧客に対して期間中に予約した金額分や数量分の商品を購入するインセンティブを働かせることができるが、いずれの発明も、予約した金額や数量に対してボーナスポイントや値引き等の有利な条件が適用されるものであって、顧客が予約分の購入を終えた後に、さらに同じ商品等を繰り返し購入しようとするインセンティブとして働くものではない。
【0006】
また、特許文献2に示されている例では、ある商品を有利な条件で購入できる「まとめ買い」のプランが、一つの商品に対して一つしか提示されていないため、顧客によって異なる商品の購入量の違いに対応できないことも課題となる。
【0007】
一方、特許文献1には、顧客がどれだけの期間にどれだけの金額の商品を購入するか、複数のプラン(契約パッケージ)が提示される例が開示されているが、前述のとおり、特許文献1に記載された発明は、選択したプランの条件に従って予約した購入金額分にボーナスポイントを適用するものであるため、ボーナスポイントを得るための条件を達成しても、将来の商品の購入まで有利になることはないし、自らが選択しなかった他のプランの条件に影響を与えることもない。そのため、仮に特許文献1に記載された発明を応用して、ボーナスポイントを得るための条件を達成したら、次に同じプランを選択する際にはボーナスポイントをさらに加算していくように構成したとしても、他のプランを選択した場合には一からやり直しとなり、プランの変更が顧客に不利に働くこととなるため、購入時の需要に合わせてプランを選択したい顧客のニーズには対応できないことになってしまう。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、顧客の多様なニーズに合わせて商品やサービスの販売を促進することに効果的な、商品又はサービスの予約販売に関する販売条件を管理する販売条件管理装置及び販売条件の管理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、商品又はサービスの予約販売に関する販売条件を管理する販売条件管理装置であって、顧客の操作画面に、商品又はサービスの予約販売に関する選択可能な販売条件の異なる2以上のプランを提示して、いずれかのプランの選択を受け付けるプラン選択受付手段と、前記プラン選択受付手段が選択を受け付けた顧客が選択したプランの販売条件に関する情報を含む、顧客に関する情報を記憶する顧客情報記憶手段と、前記顧客情報記憶手段に記憶された顧客が選択したプランの販売条件が達成されたか否かを、前記顧客に対する商品又はサービスの販売実績に関する情報から判断して、前記プランの販売条件が達成されたと判断されると、前記プランの対象となる商品又はサービスの予約販売について、前記顧客が選択した前記プラン及び前記顧客が前記プランを選択した際に提示されたものの前記顧客が選択しなかった他のプランについて、前記顧客が前記プランを選択した際に提示した販売条件より顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が次回選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定する選択可能プラン設定手段と、を備えることを特徴とする販売条件管理装置である。
【0010】
本発明は、顧客の操作画面に商品又はサービスの予約販売に関する選択可能な販売条件の異なる2以上のプランを提示し、選択を受け付けたプランの販売条件が達成されたかを顧客に対する販売実績から判断して、販売条件が達成されるとより有利な販売条件が指定されたプランを選択可能なプランとして設定することによって、顧客の将来の購入のインセンティブを高めることが可能な構成となっている。また、販売条件が達成された際には、顧客が選択したプランのみでなく、他のプランについてもより有利な販売条件が指定されたプランを顧客が選択可能なプランとして設定するため、顧客が購入時の需要に合わせて異なるプランを順に選択する場合にも、選択したプランの販売条件を達成すれば、連続してより有利な条件へと販売条件が変更されていくため、顧客の多様なニーズへの対応に好適な構成となる。
【0011】
尚、本発明は、商品の販売のみでなくサービスの提供にも適用することが可能であり、本発明の「商品又はサービスの予約販売」には、販売数量や販売金額等を指定した商品の予約販売と、提供回数や提供金額等を指定したサービスの予約販売の双方を含むものとする。「有利な販売条件」の内容は特に限定されるものではないが、例えば、ボーナスポイントの付与や、値引率のアップ等の条件を適用することができる。
【0012】
また、本発明は、前記選択可能プラン設定手段は、販売条件が達成されたと判断されたプランが、対象となる商品又はサービスの予約販売についてあらかじめ定められた最も顧客側に有利なプランに該当する場合には、前記顧客が前記プランを選択した際に提示した2以上のプランと同じプランを、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定することを特徴とすることもできる。
【0013】
商品等の販売の実態を考慮すると、顧客側により有利な販売条件への変更を際限なく繰り返すことは事実上困難であるため、このように構成することによって、顧客側に有利な販売条件に上限を設けることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記選択可能プラン設定手段は、選択可能な2以上のプランのうち、より達成の難度が高いプランの販売条件を達成した場合には、より達成の難度が低いプランの販売条件を達成した場合に比べて、各々のプランに顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定することを特徴とすることもできる。
【0015】
顧客にとって達成の難度が高いプランには、顧客の購入数量や購入金額がより多い販売条件や、所定の数量や金額を購入する期間がより短い販売条件が指定されることが想定されるが、このように構成すると、販売側にはより販売を促進するために有効であるとともに、難度が高いプランを達成した顧客は、より有利に扱われることとなるため、顧客の公平感にも配慮した販売条件の設定が可能になる。
【0016】
また、本発明は、前記プラン選択受付手段が前記操作画面に提示するプランの販売条件には、同一の商品又はサービスを対象に販売量と販売期限が指定され、前記操作画面には、同一の商品又はサービスを対象に販売量又は販売期限の少なくともいずれかが異なる2以上のプランが提示されて、前記選択可能プラン設定手段は、顧客が選択したプランの販売条件に指定された販売期限までに前記販売条件に指定された販売量が全て販売された場合に、前記プランの販売条件が達成されたと判断することを特徴とすることもできる。
【0017】
さらに本発明は、前記選択可能プラン設定手段は、顧客が選択したプランの販売条件に指定された販売期限より所定の期間早い時期までに前記販売条件に指定された販売量が全て販売され、前記プランの販売条件が達成されたと判断された場合には、各々のプランに前記プランの販売条件が達成された場合に通常設定される販売条件よりさらに顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定することを特徴としてもよい。
【0018】
さらに本発明は、前記選択可能プラン設定手段は、顧客が選択したプランの販売条件に指定された販売期限までに前記販売条件に指定された販売量を超える所定の数量の商品又はサービスが販売された場合には、各々のプランに前記プランの販売条件が達成された場合に通常設定される販売条件よりさらに顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定することを特徴としてもよい。
【0019】
このように構成すると、同じプランを選択して販売条件を達成した顧客であっても、早期に所定の販売量の商品等を購入した顧客、あるいは販売期限までに所定の販売量を超えて商品等を購入した顧客には、より有利な販売条件が適用されることになるため、顧客に商品等のさらなる購入を促すのに好適な構成となる。
【0020】
尚、ここで販売条件に指定される販売量には、商品等の販売数量の他、商品等の販売金額も含まれるものとする。
【0021】
また、本発明は、前記顧客情報記憶手段には、顧客に関する情報として、顧客との取引実績に応じて設定される顧客ステイタスが記憶されていて、前記選択可能プラン設定手段は、同じプランの販売条件が達成されたと判断された場合であっても、前記顧客情報記憶手段に記憶された顧客ステイタスが異なる場合には、各々のプランに顧客ステイタスに応じて決定される販売条件を指定して、前記顧客が選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定することを特徴とすることもできる。
【0022】
このように構成すると、同じプランを選択して販売条件を達成した顧客であっても、プランの対象商品等以外の商品等の購入も含めてこれまでの取引額が多い顧客や、取引を続けている期間が長い顧客といった重要度の高い顧客に対しては、顧客の階層管理によってより有利な販売条件を適用することによって、きめ細かな顧客管理に基づく顧客サービスの提供に資する構成となる。
【0023】
本発明は、本発明に係る販売条件管理装置によって実行される販売条件の管理方法として特定することもできる。
【0024】
本発明に係る販売条件の管理方法は、商品又はサービスの予約販売に関する販売条件を管理する販売条件管理装置によって実行される販売条件の管理方法であって、前記販売条件管理装置が、顧客の操作画面に、商品又はサービスの予約販売に関する選択可能な販売条件の異なる2以上のプランを提示して、いずれかのプランの選択を受け付けるプラン選択受付ステップと、前記販売条件管理装置が、前記プラン選択受付ステップで選択を受け付けた顧客が選択したプランの販売条件に関する情報を、顧客に関する情報を記憶する顧客情報記憶手段に記憶させる選択プラン記憶ステップと、前記販売条件管理装置が、前記顧客情報記憶手段に記憶された顧客が選択したプランの販売条件が達成されたか否かを、前記顧客に対する商品又はサービスの販売実績に関する情報から判断して、前記プランの販売条件が達成されたと判断されると、前記プランの対象となる商品又はサービスの予約販売について、前記顧客が選択した前記プラン及び前記顧客が前記プランを選択した際に提示されたものの前記顧客が選択しなかった他のプランについて、前記顧客が前記プランを選択した際に提示した販売条件より顧客側に有利な販売条件を指定して、前記顧客が次回選択可能なプランとして前記顧客情報記憶手段の前記顧客に関する情報に設定する選択可能プラン設定ステップと、を有することを特徴とする販売条件の管理方法である。
【0025】
また、本発明に係る販売条件の管理方法は、先に説明した本発明に係る販売条件管理装置の各々の構成に対応して実行される販売条件の管理方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、顧客に将来の商品やサービスの購入に対するインセンティブを与えるとともに、顧客の多様なニーズに対応した予約販売の販売条件を設定することが可能になるので、商品やサービスの販売促進に貢献し、経済活動の活性化に資することが期待できる。また、商品やサービスの予約販売の促進は、提供者側の生産計画や人員配置の適正化にも資するものであるため、商品やサービスを提供する企業等の生産性の向上に役立つことも想定される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態の概要を示す図である。
図2】本発明による商品の予約販売に関する販売条件の設定の流れを示す図である。
図3】本発明に係る販売条件管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明に係る販売条件管理装置が、顧客の操作画面に商品紹介画面を表示させる処理フローを示すフローチャートである。
図5】本発明に係る販売条件管理装置が、顧客情報に選択可能プランを設定する処理フローを示すフローチャートである。
図6】本発明において顧客の操作画面に表示される、選択可能な商品の予約販売のプランを含む商品紹介画面の例を示す第1の図である。
図7】本発明において顧客の操作画面に表示される、選択可能な商品の予約販売のプランを含む商品紹介画面の例を示す第2の図である。
図8】本発明における顧客が選択可能な販売条件の異なる2つのプランと、販売条件が達成又は未達成となった場合に設定されるプランの販売条件の例を示す第1の図である。
図9】本発明における顧客が選択可能な販売条件の異なる2つのプランと、販売条件が達成又は未達成となった場合に設定されるプランの販売条件の例を示す第2の図である。
図10】本発明に係る販売条件管理装置の顧客情報記憶手段に記憶される情報の一例を示す図である。
図11】本発明において、顧客が繰り返しプランを選択して販売条件が達成又は未達成となり、販売条件が変遷する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明では、本発明を店舗システムや顧客端末とネットワークを介して接続された販売管理サーバにおいて、商品の販売を対象にして実施する例を対象にしているが、これは本発明の実施形態の一例を示したものであって、本発明はスタンドアローンで利用されるコンピュータにおいて実施することや、サービスの提供(サービスの販売)を対象に実施することも可能である等、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0029】
図1図2を用いて、本発明の実施形態の概要と、本発明による商品の予約販売に関する販売条件の設定の流れについて説明する。図1において、商品を販売している店内に設置されたKIOSK端末やレジ端末等からなる店舗システム、あるいはPC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォン等の顧客端末とネットワーク及びWebサーバを介して接続された販売管理サーバが、本発明に係る販売条件管理装置に対応する。
【0030】
店舗で商品を購入する顧客は店内に設置されたKIOSK端末を操作して、Web上で商品を購入する顧客は顧客端末をインターネットに接続して、顧客へのレコメンド商品等に関する情報を取得するが、このときに所定の期間内に一定の数量を購入することを予約する「まとめ買い」が可能な商品については、選択可能な2以上の「まとめ買い」プランに関する情報も、顧客の操作画面にあわせて提示される。顧客がいずれかの「まとめ買い」プランを選択すると、その販売条件が販売管理サーバの顧客データベースに登録される。
【0031】
顧客が「まとめ買い」プランの登録を行った後に、対象となる商品(予約した商品)を購入すると、その情報が店内に設置されたレジ端末から販売管理サーバに、あるいは顧客端末で購入した情報がWebサーバを介して販売管理サーバに送信される。販売管理サーバでは、対象となる商品(予約した商品)の販売履歴が管理されていて、販売条件に指定された期間内に指定された数量の商品が販売されたか、すなわち、販売条件が達成されたかを判断する。販売条件が達成されたと判断されると、その顧客の顧客情報には、先に提示された「まとめ買い」プランに比べて、販売条件が顧客側により有利なプランが、顧客が次に同じ商品を購入する際に選択可能な「まとめ買い」プランとして設定される。
【0032】
この流れをより具体的に示したものが、図2である。商品を購入したい顧客が、店舗システム(店内に設置されたKIOSK端末)から、又はWebサーバを介した顧客端末から、販売管理サーバにアクセスすると、販売管理サーバでは、会員カード等から読み取った、あるいは顧客が入力することによって送信された会員番号等の顧客の識別コードから顧客を特定する。そして、いわゆるレコメンドエンジンを用いて、顧客の属性や過去の購買履歴等から顧客の嗜好に合致することが推測される商品をデータベースから選択して、顧客に推奨する商品に関する情報(レコメンド情報)を店舗システム(店内に設置されたKIOSK端末)に、又はWebサーバを介して顧客端末に送信する。
【0033】
このとき、選択された商品について、所定の期間内に所定の数量を購入することを予約すると通常より有利な条件で購入できる「まとめ買い」プランが設定されている場合は、「まとめ買い」プランについてもレコメンド情報として店舗システム(店内に設置されたKIOSK端末)に、又はWebサーバを介して顧客端末に送信する(1)。
【0034】
レコメンド情報を受信した店舗システム(店内に設置されたKIOSK端末)又は顧客端末には、顧客に推奨する商品と、その商品について選択可能な「まとめ買い」プランに関する情報が、顧客の操作画面に表示される。図2の例では、顧客に推奨する商品である商品Aについて「まとめ買い」プランに関する情報が表示されているが、本発明では、選択可能なプランとして2以上のプラン(図2の例では「プラン1」と「プラン2」の2つのプランが該当し、例えば、商品Aについて「プラン1」では3ヶ月以内に3個買えば1%ポイントアップ、「プラン2」では3ヶ月以内に6個買えば2%ポイントアップといった販売条件が、それぞれ指定されている。)が顧客の操作画面に提示されることを特徴としている。
【0035】
顧客が選択可能な2以上の「まとめ買い」プランのうち、いずれかのプラン、図2の例では「プラン1」を選択する操作を行うと、顧客が選択したプランに関する情報が、店舗システム(店内に設置されたKIOSK端末)から、又はWebサーバを介した顧客端末から、販売管理サーバに送信される(2)。これを受信した販売管理サーバでは、顧客情報のデータベースに、その顧客に現在適用されるプランとして、「プラン1」が登録される(3)。
【0036】
顧客が「まとめ買い」プランを選択した後に、所定の期間内に所定の数量を購入することを予約した商品を購入すると、店舗で購入すれば店舗システム(店内に設置されたレジ端末)から、Web上で購入すれば商品を販売するサイトであるWebサーバ等から、商品が販売された情報が販売管理サーバに送信されて、販売管理サーバで販売履歴の管理が行われる(4)。このように蓄積される販売履歴から、販売管理サーバでは、顧客が選択したプランの販売条件(例えば、「プラン1」に指定された「3ヶ月以内に3個」という予約販売の販売条件)が達成されたかを判断する。
【0037】
顧客が選択したプランの販売条件が達成されたと判断されると、顧客情報のデータベースに、同じ顧客が次に同じ商品を購入する際に選択可能な2以上の「まとめ買い」プラン(この例では「プラン1’」と「プラン2’」)が、次回選択可能なプランとして設定される(5)。
【0038】
尚、ここで次回選択可能なプランとして設定される「プラン1’」と「プラン2’」には、顧客が「プラン1」を選択した際に顧客の操作画面に提示された選択可能な「プラン1」と「プラン2」に対して、それぞれ対象となる商品と期間、数量が同じで、顧客側により有利な販売条件(例えば、「プラン1’」には3ヶ月以内に3個買えば2%ポイントアップ、「プラン2’」には3ヶ月以内に6個買えば3%ポイントアップといった販売条件)が指定される。
【0039】
その後に同じ顧客が、店舗システム(店内に設置されたKIOSK端末)から、又はWebサーバを介して顧客端末から販売管理サーバにアクセスして、販売管理サーバで顧客に推奨する商品として商品Aが選択された場合には、「まとめ買い」プランについては、商品Aに対して通常選択可能な「プラン1」と「プラン2」ではなく、次回選択可能なプランとして顧客情報のデータベースに設定されている「プラン1’」と「プラン2’」が、レコメンド情報として店舗システム(店内に設置されたKIOSK端末)に、又はWebサーバを介して顧客端末に送信されて(6)、顧客の操作画面に選択可能なプランとして提示される。
【0040】
その後の流れについてはこれまでの説明と同様に、顧客がいずれかのプランを選択して、そのプランの販売条件を達成した場合には、さらに顧客側に有利な販売条件(例えば、「プラン1’’」には3ヶ月以内に3個買えば3%ポイントアップ、「プラン2’’」には3ヶ月以内に6個買えば4%ポイントアップという販売条件)が指定されたプランが、次回選択可能なプランとして、顧客情報のデータベースに設定される。これによって、顧客は「まとめ買い」プランの利用を継続すればするほど、より有利な条件で商品を購入することができるので、商品の予約販売が促進され、提供者側には商品の安定的な販売が可能になる。
【0041】
一方、顧客が選択したプランの期限内に所定の数量の商品が購入されず、販売条件が達成されなかったと判断された場合(例えば、「3ヶ月以内に3個」という「プラン1」の予約販売の販売条件に対して、登録から3ヶ月を経過しても商品Aの販売個数が2個以下である場合)は、顧客情報のデータベースに次回選択可能なプランは設定されず、その顧客に対しては、次に同じ商品Aを推奨する際にも、前回と同じ「まとめ買い」プランに関する情報(この例では「プラン1」と「プラン2」)が提示される。
【0042】
この場合は、図2を用いた説明の最初の状態に戻ることになるので、その後の流れについてはこれまでに説明した通りとなる。
【0043】
以上のように、本発明は、顧客が選択したプランの販売条件が達成されると、顧客が選択したプランだけでなく、選択しなかった他のプランについても、同じ顧客が次回選択可能なプランに、前回より顧客側に有利な販売条件が指定されることを特徴としている。顧客がどのプランを選択したとしても、選択したプランの販売条件を達成したという実績が、その後の選択可能なプランの販売条件に連続して反映されていくことになり、顧客がその時々の需要に応じて選択するプランを変更しても有利な条件が順次引き継がれていくことになるため、顧客の多様なニーズに対応しやすくなる。
【0044】
続いて、図3を用いて、本発明に係る販売条件管理装置の構成について説明する。図3の販売管理サーバ10が、本発明にかかる販売条件管理装置に対応する。
【0045】
販売管理サーバ10は、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられ、ネットワークに接続可能なサーバコンピュータであって、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、所定の機能が実現される。
【0046】
販売管理サーバ10を構成するコンピュータの物理的な構成は特に限定されるものではなく、本発明で用いられる「まとめ買い」プラン等の販売条件の管理に関する機能以外の他の機能が同一のコンピュータに備えられるものであってもよく、図3の例では、顧客の嗜好に合うことが推測される商品のレコメンドや、顧客毎の商品の販売履歴の管理に関する機能も備える前提で説明する。本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて実現されるものであってもよい。
【0047】
販売管理サーバ10の商品情報提供部11、プラン選択受付部12、販売情報処理部13、選択可能プラン設定部14は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0048】
販売管理サーバ10の商品情報記憶部15、顧客情報記憶部16(顧客マスタ161、適用プラン162、販売履歴163等が記憶される)、プラン情報記憶部17には、それぞれHDD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを要件とするものではなく、データベースサーバを構成するコンピュータ等を含む複数のコンピュータに設けられるものであってもよい。
【0049】
店舗システム20には、商品を販売している店舗内に設置されるKIOSK端末やレジ端末が該当する。Webサーバ30はインターネットショッピング等のサービスを提供するサーバコンピュータで、その構成は特に限定されるものではない。顧客端末40には、PC、スマートフォン、タブレット型コンピュータ等のインターネットに接続可能なネットワーク端末が用いられる。
【0050】
尚、本発明は、スタンドアローンで用いられるコンピュータにおいて実施することも可能であるが、その場合は、本発明に係る販売条件管理装置に対応する販売管理サーバ10がコンピュータ本体に、店舗システム20やWebサーバ30を介して接続される顧客端末40は、コンピュータの入力装置や出力装置に対応することになる。
【0051】
以上の構成を前提にして、図4図5に示したフローチャートに従って、本発明に係る販売条件管理装置による処理フローについて説明する。
【0052】
図4のフローチャートは、本発明に係る販売条件管理装置が、顧客の操作画面に商品紹介画面を表示させる処理フローを示している。本発明に係る販売条件管理装置が、店舗システム20から、又はWebサーバ30を介して顧客端末40から、顧客を識別する会員番号等の顧客コードを受信すると(S01)、顧客の認証処理を実行する(S02)。
【0053】
認証処理の方法は特に限定されるものではないが、例えば、顧客情報記憶部16に所定の情報が記憶されている有効な顧客コードに該当することのみをもって認証OKとしてもよいし、顧客にパスワードを入力させ、あらかじめ顧客情報記憶部16の顧客マスタ161に登録されているパスワードとの一致をもって認証OKとしてもよい。認証OKとならなかった場合には(S03がNo)、店舗システム20や顧客端末40の操作画面に顧客の本人認証が行えなかったことを表示するなど、所定のエラー処理を実行する。
【0054】
認証OKとなった場合(S03がYes)は、商品情報提供部11が起動されて、顧客に推奨するレコメンド商品の選択を実行する(S04)。レコメンド商品を選択する方法も特に限定されるものではないが、例えば、いわゆるレコメンドエンジンを用いて、顧客情報記憶部16の顧客マスタ161に記憶されている顧客の属性情報や、顧客情報記憶部16の販売履歴163に記憶されている過去に顧客が購入した商品の傾向等から顧客の嗜好を分析して、顧客の嗜好に合致することが推測される商品を、レコメンド商品として商品情報記憶部15に商品情報が記憶された商品から選択することとすればよい。
【0055】
レコメンド商品を選択すると、その中に「まとめ買い」プランの対象商品が含まれているかを確認する(S05)。「まとめ買い」プランとは、所定の期間内に所定の数量を購入することを予約すると通常より有利な条件で商品を購入できる、期間と数量が指定された商品の予約販売のプランのことであり、本発明は「まとめ買い」の対象商品それぞれについて、選択可能な2以上のプランが設けられていることを特徴としている。どの商品にどのような販売条件の「まとめ買い」プランが設けられているかに関する情報は、プラン情報記憶部17に記憶されている。商品情報提供部11は、例えば、レコメンドエンジンによって選択されたレコメンド商品の商品コードをキーにプラン情報記憶部17を検索して、各々のレコメンド商品に「まとめ買い」プランが設けられているか、すなわち、「まとめ買い」プランの対象商品に該当するかを判断することとすればよい。
【0056】
「まとめ買い」プランの対象商品が含まれていなければ(S05がNo)、レコメンド商品として選択された商品について、商品情報記憶部15から読み出した商品情報を用いてレコメンド商品を紹介する商品紹介画面を生成し、店舗システム20に、又はWebサーバ30を介して顧客端末40に送信するが(S09)、「まとめ買い」プランの対象商品が含まれている場合には(S05がYes)、以下の処理によって、「まとめ買い」プランに関する情報を商品紹介画面に追加する。
【0057】
まず、顧客情報記憶部16の適用プラン162に、次にその顧客にその商品の商品情報をレコメンド商品として紹介する際に顧客が選択可能なプランとして提示する「次回プラン」が設定されるかを確認する(S06)。その詳細については後に説明するが、「次回プラン」が設定されていれば(S06がYes)、「次回プラン」に設定されている「まとめ買い」プランに関する情報をプラン情報記憶部17から読み出し(S07)、その「まとめ買い」プランに関する情報を含む商品紹介画面を生成して、店舗システム20に、又はWebサーバ30を介して顧客端末40に送信する。
【0058】
「次回プラン」が設定されていない商品については(S06がNo)、「次回プラン」が設定されていない顧客に対して提示される、デフォルト設定された「まとめ買い」プランに関する情報をプラン情報記憶部17から読み出し(S08)、その「まとめ買い」プランを含む商品紹介画面を生成して、店舗システム20に、又はWebサーバ30を介して顧客端末40に送信する。
【0059】
このようにして店舗システム20や顧客端末40に送信された商品紹介画面は、店舗システム20や顧客端末40の操作画面に出力されるが、図6図7はその一例を示したものである。先に説明したとおり、本発明は「まとめ買い」の対象商品それぞれについて、選択可能な2以上のプランが設けられていることを特徴としているので、図6図7のいずれの例でも、顧客の操作画面には、商品Aについて選択可能な2つの「まとめ買い」プラン(「プラン1」と「プラン2」)に関する情報が含まれている。
【0060】
ここで顧客が操作画面に提示されたいずれかの「まとめ買い」プランを選択する操作(図6図7の「このプランを選ぶ」のボタンを押下する等)を行うと、選択されたプランに関する情報が販売管理サーバ10に送信されて、プラン選択受付部12が起動される。プラン選択受付部12は、選択されたプランを識別するプランコードを、顧客情報記憶部16の適用プラン162に、その顧客に現在適用される「現在プラン」として設定する。
【0061】
この後、顧客が選択して「現在プラン」に設定された「まとめ買い」プランに指定された販売条件が達成されたか、すなわち、所定の期間内に所定の数量の商品が販売されたかが管理され、販売条件が達成されると、達成した顧客には、さらに顧客側に有利な条件の「まとめ買い」プランが、次回選択可能なプランとして設定されることになるが、次に、図5に示したフローチャートを用いて、本発明に係る販売条件管理装置が顧客情報に選択可能プランを設定する処理フローについて説明する。
【0062】
顧客が商品を購入すると、店舗で購入した場合は店舗システム20から、Web上で購入した場合は顧客端末40と接続されたWebサーバ30から、商品の販売情報が販売管理サーバ10に送信される。この情報を販売管理サーバ10が受信すると(S11)、販売情報処理部13が起動されて、次の処理が実行される。
【0063】
受信した商品の販売情報から、商品コードや販売数量、販売日時、販売した店舗等の所定の情報が、顧客情報記憶部16の販売履歴163に新たな販売履歴として記録される(S12)。さらに、商品コードによって特定される顧客に販売された商品が、顧客情報記憶部16の適用プラン162に「現在プラン」として設定された「まとめ買い」プランの対象商品であるかを確認し(S13)、「現在プラン」に設定された対象商品でなければ(S13がNo)、販売情報処理部13による処理をそのまま終了する。
【0064】
「現在プラン」に設定された対象商品である場合は(S13がYes)、選択可能プラン設定部14が起動されて、「現在プラン」の販売条件を達成したかを確認する(S14)。販売条件を達成したか否かは、例えば、顧客情報記憶部16の販売履歴163を確認して、「現在プラン」に定められた期間内に定められた個数の対象商品が販売されているかを判断することとすればよい。販売条件が達成されていなければ(S14がNo)、販売情報処理部13による処理をそのまま終了するが、達成されている場合は(S14がYes)、顧客情報記憶部16の適用プラン162に、次にその顧客にその商品の商品情報をレコメンド商品として紹介する際に顧客が選択可能なプランとして提示する「次回プラン」を、所定のルールに基づいて設定する(S15)。「次回プラン」が設定されたことを、電子メール等で顧客に通知することとしてもよい。
【0065】
尚、ここでは「現在プラン」の販売条件を達成したかの判断について、「現在プラン」に定められた期間内に定められた個数の対象商品が販売されているかを判断する例を説明したが、所定の期間内に所定の金額以上の対象商品が販売されることを販売条件に指定することとしてもよい。
【0066】
顧客に提示される選択可能なプランと、その中から選択された「現在プラン」、「現在プラン」に指定された販売条件を達成した場合に設定される「次回プラン」の関係について、図8図11を用いて、さらに詳しく説明する。
【0067】
図8は、顧客が選択可能な販売条件の異なる2つの「まとめ買い」プランと、販売条件が達成又は未達成となった場合に設定される「次回プラン」の販売条件の例を示したものである。図8の左側の2つが、商品コード「1234 5678」の商品について選択可能な2つの「まとめ買い」プランの販売条件を示したものであり、商品コード「1234 5678」について初めて「まとめ買い」プランを利用する顧客、あるいは過去に「まとめ買い」プランを選択したものの販売条件を達成できなかった顧客に提示される、デフォルト設定された販売条件に該当するものである。
【0068】
プランコード「03−01」のプランは、3ヶ月の間に3個、対象商品を購入することを予約するもので、これを達成すると購入額に対して平均3.0%のポイントが付与される販売条件が指定されている。通常ポイントが購入額に対して1.0%であるとすると、顧客側に有利な条件となるため、2.0%分のボーナスポイントが、顧客が購入を予約するインセンティブとなるものである。
【0069】
プランコード「03−02」のプランは、3ヶ月の間に6個、対象商品を購入することを予約するもので、これを達成すると購入額に対して平均4.5%のポイントが付与される販売条件が指定されている。購入額の1.0%という通常ポイントに対して顧客側に有利なのはもちろんのこと、3ヶ月の間に3個購入すればよいプランコード「03−01」のプランに比べて購入予約数量が多くなり、販売条件を達成する難度が高くなるものの、その分、ボーナスポイントは3.5%となって、さらに顧客側に有利な条件で対象商品を購入できるプランとなっている。
【0070】
本発明では、こうした選択可能な2以上のプランを提示することによって、顧客の選択肢を増やしており、顧客がその時々でどの程度の量を購入したいかという購入時の需要に合わせてプランを選択できることとしている。また、この例では、いずれのプランも後になるほど付与されるポイントが多くなっているが、均一にポイントを付与する場合に比べて、顧客がプランの途中で購入を止めたとしても提供者側のダメージが比較的抑えられること、後になるほど条件が有利になるので顧客が予約分を買い切るインセンティブとなることから、ポイント付与や値引き等の条件は、このように設定することが好ましいと考えられる。
【0071】
図8の右側の2つは、顧客がプランコード「03−01」のプランを選択して、このプランの販売条件である3ヶ月の間に3個という販売条件を達成した場合に、次にその顧客に商品コード「1234 5678」の商品の商品情報をレコメンド商品として紹介する際に顧客が選択可能なプランとして提示する「次回プラン」の例を示したものである。プランコード「03−01」のプランの販売条件を達成した顧客に対しては、さらに顧客側に有利な販売条件のプランが提示されることになるが、本発明では、達成された「3ヶ月の間に3個」という販売条件のみでなく、先に顧客に提示された全てのプラン、ここでは「3ヶ月の間に6個」というプランコード「03−02」のプランの販売条件についても、さらに有利な条件が指定される。
【0072】
図8の例では、「3ヶ月の間に3個」を購入するプランコード「03−11」のプランの販売条件には、同じ「3ヶ月の間に3個」を購入する先に顧客に提示されたプランコード「03−01」のプランの販売条件に比べて、平均0.5%のポイントが加算された、顧客側にさらに有利となる販売条件が指定されている。それのみならず、顧客が選択しなかった「3ヶ月の間に6個」を購入するプランについても、プランコード「03−12」のプランの販売条件には、同じ「3ヶ月の間に6個」を購入する先に顧客に提示されたプランコード「03−02」のプランの販売条件に比べて、平均0.5%のポイントが加算された、顧客側にさらに有利となる販売条件が指定されている。
【0073】
このように、本発明では、顧客が選択して販売条件を達成したプランに対応するプランの販売条件のみでなく、顧客が選択しなかったプランに対応するプランについても、顧客側にさらに有利となる販売条件を指定することを特徴としている。これによって、顧客がその時々の需要に応じて、初回は「3ヶ月の間に3個」、次の回には「3ヶ月の間に6個」のようにプランを変更しながら同じ商品の購入を継続するケースでも、有利な条件が順次引き継がれていくことになるため、顧客の多様なニーズに応えることができて、より魅力的なインセンティブを提供することが可能になるものである。
【0074】
尚、顧客が選択したプランの販売条件を達成できなかった場合、具体的には3ヶ月が経過しても商品コード「1234 5678」の商品を3個未満しか購入しなかった場合には、「次回プラン」は設定されず、次にその顧客に商品コード「1234 5678」の商品の商品情報をレコメンド商品として紹介する際にも、初回と同様にプランコード「03−01」とプランコード「03−02」が選択可能なプランとして提示される。
【0075】
図9は、顧客がプランコード「03−02」のプランを選択して、このプランの販売条件である3ヶ月の間に6個という販売条件を達成した場合に、次にその顧客に商品コード「1234 5678」の商品の商品情報をレコメンド商品として紹介する際に顧客が選択可能なプランとして提示する「次回プラン」の例を示している。プランコード「03−02」はプランコード「03−01」と期間は同じであるのに数量が多く、顧客にとっては達成の難度が高いプランとなっているため、この販売条件を達成すると、プランコード「03−01」のプランの販売条件を達成した場合に比べて、さらに顧客側に有利な販売条件のプランが提示されることになる。
【0076】
図9の例では、顧客がプランコード「03−02」のプランの販売条件を達成して設定される「次回プラン」について、「3ヶ月の間に3個」というプランコード「03−21」のプランの販売条件には、同じ「3ヶ月の間に3個」という図8のプランコード「03−11」のプランの販売条件に比べて、平均0.5%高いポイントが付与される顧客側にさらに有利となる販売条件が指定されている。プランコード「03−22」のプランの販売条件についても、同じ「3ヶ月の間に6個」という図8のプランコード「03−12」のプランの販売条件に比べて、平均0.5%高いポイントが付与される顧客側にさらに有利となる販売条件が指定されている。このように、顧客にとって達成の難度が高いプランの販売条件を達成すると、次回はより有利な条件で商品を購入できることとすれば、顧客がより多くの商品を購入するインセンティブとして働くものとなる。
【0077】
以上のように難度の高いプランを達成したときだけでなく、例えば、販売条件に指定された期間より早期に予約した数量が販売されて、早期に販売条件を達成した場合や、指定された期間内に予約した数量以上が販売され、対象商品が販売条件を超えて販売された場合には、次回選択可能なプランに、販売条件を達成した時期の早さや、販売条件を超えて販売された数量の多さに応じて、さらに顧客側に有利な販売条件を指定することとしてもよい。
【0078】
尚、ここでは「まとめ買い」プランを選択すれば、商品の購入時にボーナスポイントが付与される例について説明したが、「まとめ買い」プランを選択するインセンティブはボーナスポイントに限定されるものではなく、販売価格の値引き、クーポン券の発行等、顧客側に有利となるものであれば、特にその内容は限定されない。
【0079】
図10は、図8に示した例を前提として、顧客情報記憶部16の適用プラン162に「次回プラン」を設定する例を示している。顧客が選択可能な2つのプランから、プランコード「03−01」のプランを選択すると、「現在プラン」のフィールドに選択したプランのプランコードが設定される。対象商品の商品コード「1234 5678」や、3ヶ月の期間が経過する「プラン期限」を、あわせて記憶させることとしてもよい。対象商品の販売実績は、顧客情報記憶部16の販売履歴163を随時参照することとしてもよいが、図10の例のように、販売条件に定められた数量分のフィールドを設けて、販売された日付等を記録していくこととすれば、販売条件が達成されたか否かを直ちに判断することができる。
【0080】
「現在プラン」に設定されたプランの販売条件が達成されると、先に説明したとおり、次にその顧客に商品コード「1234 5678」の商品の商品情報をレコメンド商品として紹介する際には、プランコード「03−11」とプランコード「03−12」が選択可能なプランとして提示されることになるので、「次回プラン」のフィールドには、プランコード「03−11」とプランコード「03−12」が次回選択可能なプランとして設定される。このコードに対応するプランの詳細はプラン情報記憶部17から読み出され、読み出した情報を用いて、図7の例のように、さらに有利になった「まとめ買い」プランの販売条件が示された、商品紹介画面が生成されることになる。
【0081】
「現在プラン」に設定されたプランの販売条件の「プラン期限」が到来しても、所定の数量(ここでは3個)の商品が販売されていない場合は、販売条件が達成されなかったと判断されて、「現在プラン」に設定された情報が削除等により無効化される。このケースで、次にその顧客に商品コード「1234 5678」の商品の商品情報をレコメンド商品として紹介する際には、初回と同様にプランコード「03−01」とプランコード「03−02」が選択可能なプランとして提示されることになる。
【0082】
尚、顧客情報記憶部16の顧客マスタ161に、顧客の過去の取引額や取引期間に応じた顧客ステイタスを記憶させておき、同じプランを選択して販売条件を達成した顧客であっても、顧客ステイタスに応じて「次回プラン」に設定されるプランの販売条件を変動させることとしてもよい。例えば、対象商品等以外の商品等の購入も含めて取引額が多い、あるいは取引を続けている期間が長いといった重要度の高い顧客に対しては、階層管理によってより有利な販売条件を適用することとによって、きめ細かな顧客管理に基づく顧客サービスを提供することが可能になる。
【0083】
図11は、本発明において、顧客が繰り返しプランを選択して販売条件が達成又は未達成となり、販売条件が変遷する例を示したものである。図8図9に示した2段階のステージのみでなく、最初に適用されるプランコード「03−01」「03−02」の「ステージ1」をクリアして、プランコード「03−11」「03−12」「03−21」「03−22」の「ステージ2」に進み、次に「ステージ2」に属するプランの販売条件を達成すれば、さらに有利な販売条件が指定された「ステージ3」に進むという形で、選択したプランの販売条件を達成する毎に、さらに有利な条件が適用されることとすれば、顧客が継続的に商品を購入するインセンティブがさらに高められることになる。
【0084】
但し、商品の販売の実態を考慮すると、顧客側により有利な販売条件への変更を際限なく繰り返すことは事実上困難であるため、図11の例で「ステージ5」に属するプランの販売条件を達成しても次回は同じ「ステージ5」に属するプランが提示されているように、顧客側に有利な販売条件には上限を設けておくことが好ましい。
【0085】
販売条件を達成できなかった場合の扱いについて、「ステージ1」に該当する図8図9のケースでは、次回も再び「ステージ1」に属するプランが提示されることを説明したが、「ステージ2」以降に販売条件を達成できなかった場合の扱いについては、「ステージ1」に戻るという方式に限定されるものではない。図11にはその一例を示しているが、未達成が1回目の場合は再度同じステージに属するプランを提示する(未達成1回目ならステージが下がらない)こととして、未達成が2回目になると「ステージ2」からは「ステージ1」に、「ステージ3」以上に進んだ場合は「ステージ2」に(「ステージ3」以上に進んだ顧客は優遇して一旦は「ステージ2」を下限とする)、ステージが下げる扱いとする運用等が考えられる。
【符号の説明】
【0086】
10 販売管理サーバ
11 商品情報提供部
12 プラン選択受付部
13 販売情報処理部
14 選択可能プラン設定部
15 商品情報記憶部
16 顧客情報記憶部
161 顧客マスタ
162 適用プラン
163 販売履歴
17 プラン情報記憶部
20 店舗システム
30 Webサーバ
40 顧客端末
【要約】
【課題】 顧客の多様なニーズに合わせて商品やサービスの販売を促進することに有効な、商品又はサービスの予約販売に関する販売条件を管理する販売条件管理装置等を提供する。
【解決手段】 顧客の操作画面に商品又はサービスの予約販売に関する選択可能な販売条件の異なる2以上のプランを提示し、選択を受け付けたプランの販売条件が達成されたかを顧客に対する販売実績から判断して、販売条件が達成されるとより有利な販売条件が指定されたプランを顧客が選択可能なプランとして設定する。販売条件が達成された際には、顧客が選択したプランのみでなく、他のプランについてもより有利な販売条件が指定されたプランを顧客が選択可能なプランとして設定し、顧客が購入時の需要に合わせて異なるプランを順に選択する場合にも、選択したプランの販売条件を達成すれば、連続してより有利な条件へと販売条件が変更される。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11