特許第6075818号(P6075818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6075818光に対して不安定な薬物を含有する多層錠剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075818
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】光に対して不安定な薬物を含有する多層錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/505 20060101AFI20170130BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20170130BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20170130BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20170130BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170130BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   A61K31/505
   A61K47/02
   A61K47/12
   A61K47/24
   A61K9/20
   A61P3/06
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-550875(P2016-550875)
(86)(22)【出願日】2015年11月10日
(86)【国際出願番号】JP2015081526
(87)【国際公開番号】WO2016076280
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2016年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-228516(P2014-228516)
(32)【優先日】2014年11月11日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108970
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 秀晃
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(72)【発明者】
【氏名】林 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】豊田 智淳
(72)【発明者】
【氏名】六車 嘉貢
【審査官】 安藤 公祐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/057103(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/147462(WO,A1)
【文献】 特開2005−255617(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/087462(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/035128(WO,A1)
【文献】 特開2013−035797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/505
A61K 9/20
A61K 47/02
A61K 47/12
A61K 47/24
A61P 3/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としての(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸またはその薬学的に認容できる塩、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄および酸化チタンからなる群から選択される1以上である光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を含有する有効成分層を有する、二層構造または三層構造の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項2】
効成分層、および有効成分層と隣接する外層からなる二層構造である請求項1記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項3】
効成分層、および有効成分層を挟む外層を含む三層構造である請求項1記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項4】
少なくとも1つの外層に光安定化剤を含有する請求項2または3記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項5】
光安定化剤が黄色三二酸化鉄である請求項記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項6】
無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化ナトリウム、ケイ酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、無水炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物およびクエン酸ナトリウム水和物からなる群から選択される1以上である請求項1〜のいずれかに記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項7】
無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである請求項記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項8】
光安定化剤が黄色三二酸化鉄であり、無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである請求項1〜のいずれかに記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【請求項9】
有効成分が(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸のカルシウム塩である請求項1〜のいずれかに記載の多層の口腔内崩壊錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分としての(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸または薬学的に認容できるその塩(ロスバスタチンまたはその塩)、特にロスバスタチンのカルシウム塩(ロスバスタチンカルシウム)、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を含有する二層錠剤、三層錠剤および多層錠剤とすることによって、光や温度・湿度に対して安定な錠剤、好ましくは口腔内崩壊錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸または薬学的に認容できるその塩(ロスバスタチンまたはその塩)、特にロスバスタチンのカルシウム塩(ロスバスタチンカルシウム、Monocalcium bis((3R,5S,6E)-7-{4-(4-fluorophenyl)-6-isopropyl-2-[methanesulfonyl(methyl)amino] pyrimidin-5-yl}-3,5-dihydroxyhept-6-enoate)))は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMG CoAレダクターゼ)の阻害剤として、欧州特許出願第0521471号およびBioorganic and Medicinal Chemistry(1997)、5(2)、第437〜444頁に記載されており、かつ高コレステロール血症、高脂血蛋白血症およびアテローム性動脈硬化症の治療のために有用である。
【0003】
ロスバスタチン、特にロスバスタチンカルシウムは、一定の条件下、特に光や温度・湿度によって分解される。このことにより、生成物の調剤および良好な貯蔵期限を有する医薬組成物を得ることが困難になる。
【0004】
ロスバスタチンを安定化する組成物の文献としては、以下の文献が挙げられる。特許文献1には、ロスバスタチンおよび安定化剤として三塩基リン酸塩を含有する医薬組成物が、引用文献2には、ロスバスタチンのアモルファスおよび安定化剤として水酸化マグネシウムおよび/または酢酸カルシウムを含有する医薬組成物が、引用文献3には、ロスバスタチンおよび安定化剤を含有した素錠にヒプロメロースを被覆した組成物について、それぞれ記載されている。しかし、これらの文献の組成物であっても、光や温度・湿度に対し、十分に安定化したとはいえない。
【0005】
光に対して不安定な薬物を保護する剤形として、光に不安定な薬物を含有する内核錠とそれを覆う外層を含む有核錠剤が開示されている(引用文献4〜6)。しかし、外層を打錠して一旦錠剤を製造し、その外層の錠剤の上に内核錠をのせ、再度打錠する必要があるので、製造法が非常に煩雑となる。また、打錠機のトラブルにより、内核錠の位置ずれが発生し、また、複数の内核錠剤を含む場合がある。
【0006】
互いに不安定な薬物を含有する場合、異なる層に薬物を含有させ、多層錠剤とする場合がある(引用文献7〜9)。しかし、当該製剤が光や温度に対して不安定な薬物に適用できることは開示されていない。
【0007】
光に対して不安定な薬物を保護するために、当該薬物を含有する製剤を光安定化剤によって被覆したり、製剤をアルミで包装したりする。しかし、前者の場合、製剤を被覆することによって、製剤の崩壊性が遅くなり、崩壊性が速い製剤、特に口腔内崩壊錠剤に適用することは、困難である。また、後者の場合、包装費が高くなったリ、包装工程が煩雑になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−206877
【特許文献2】特表2010−503723
【特許文献3】国際公開WO2010/030201
【特許文献4】国際公開WO2010/087462
【特許文献5】国際公開WO2010/134540
【特許文献6】特開2013−133291
【特許文献7】国際公開WO2012/074110
【特許文献8】特表2005−518360
【特許文献9】特表2009−545561
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、光や温度・湿度に対し、安定である、ロスバスタチンまたはその塩、特にロスバスタチンのカルシウム塩の口腔内崩壊錠剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、光や温度・湿度に対し安定であり、かつ口腔内で速く崩壊するロスバスタチンの口腔内崩壊錠を開発するために、鋭意検討した結果、最適な処方を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、有効成分であるロスバスタチンまたはその塩を含有する有効成分層、および有効成分層と隣接する外層からなる二層構造である多層錠剤、または、有効成分であるロスバスタチンまたはその塩を含有する有効成分層、および有効成分層を挟む外層を含む多層錠剤である。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)有効成分としての(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸または薬学的に認容できるその塩、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を含有する多層錠剤、
(2)有効成分を含有する有効成分層、および有効成分層と隣接する外層からなる二層構造である上記(1)記載の多層錠剤、
(3)有効成分を含有する有効成分層、および有効成分層を挟む外層を含む上記(1)記載の多層錠剤、
(4)三層構造である上記(3)記載の多層錠剤、
(5)有効成分層に光安定化剤を含有する上記(2)から(4)のいずれかに記載の多層錠剤、
(6)有効成分層に無機塩または塩基性酸化物を含有する上記(2)から(4)のいずれかに記載の多層錠剤、
(7)有効成分層に光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を含有する上記(2)から(4)のいずれかに記載の多層錠剤、
(8)少なくとも1つの外層に光安定化剤を含有する上記(2)から(4)のいずれかに記載の多層錠剤、
(9)有効成分層に光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を含有し、少なくとも1つの外層に光安定化剤を含有する上記(2)から(4)のいずれかに記載の多層錠剤、
(10)光安定化剤が食用タール色素、食用レーキ化したタール色素、食用天然色素、酸化鉄および酸化チタンからなる群から選択される1以上である上記(1)から(9)のいずれかに記載の多層錠剤、
(11)光安定化剤が食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ、カルミン、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、ベンガラ、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄および酸化チタンからなる群から選択される1以上である上記(10)記載の多層錠剤、
(12)光安定化剤が三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄および酸化チタンからなる群から選択される1以上である上記(10)記載の多層錠剤、
(13)光安定化剤が黄色三二酸化鉄である上記(10)記載の多層錠剤、
(14)無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化ナトリウム、ケイ酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、無水炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物およびクエン酸ナトリウム水和物からなる群から選択される1以上である上記(1)から(10)のいずれかに記載の多層錠剤、
(15)無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである上記(14)記載の多層錠剤、
(16)光安定化剤が黄色三二酸化鉄であり、無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである上記(1)から(15)のいずれかに記載の多層錠剤、
(17)有効成分が(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸のカルシウム塩である上記(1)から(16)のいずれかに記載の多層錠剤、
(18)口腔内崩壊錠剤である上記(1)から(17)のいずれかに記載の多層錠剤、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の口腔内崩壊錠剤(以下、「本製剤」という。)は、光や温度に対する安定性を高めるとともに、錠剤硬度が高く、しかも口腔内崩壊時間が速い口腔内崩壊錠剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書中、有効成分(薬物)は、(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸または薬学的に認容できるその塩(以下、「ロスバスタチン」と略することがある。)、特に(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸のカルシウム塩(以下、「ロスバスタチンカルシウム」と略することがある。)である。この化合物については、欧州特許出願第0521471号およびBioorganic and Medicinal Chemistry(1997)に記載されている。
【0014】
本製剤中の有効成分(薬物)の含量は、薬効を生じる量であればよい。例えば、製剤全量に対して、0.01〜90重量%、好ましくは0.025〜80重量%、より好ましくは0.05〜70重量%である。これらの含量より多ければ、錠剤の崩壊性が遅くなる可能性があり、少なければ、製剤自体が大型化することや多量の錠剤を服用しなければならない恐れがある。
【0015】
本明細書中の製剤の構造としては、ロスバスタチンまたは薬学的に認容されるその塩の光安定性を向上させるために、多層錠剤であることが好ましい。多層錠剤とは、層成分が二層以上となった錠剤である。本製剤の構造としては、1)有効成分であるロスバスタチンまたは薬学的に認容できるその塩を含有する有効成分層、および有効成分層と隣接する外層からなる二層構造、または2)有効成分であるロスバスタチンまたは薬学的に認容できるその塩を含有する有効成分層、および有効成分層を挟む外層を含む三層以上の多層構造である。多層構造において、好ましくは有効成分であるロスバスタチンまたは薬学的に認容できるその塩を含有する有効成分層、および有効成分層を挟む外層を含む三層構造である。また、有効成分層および外層中には、ロスバスタチン以外の他の有効成分を含有することができる。有効成分層の含量は、製剤全量に対し、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%である。外層の含量は、製剤全量に対し、有効成分層の含量を差し引いた残りの含量となる。
【0016】
本製剤は、ロスバスタチンまたは薬学的に認容されるその塩の光安定性を向上させるために、光安定化剤を含有する。光安定化剤は、多層構造の製剤において、いずれの層に配合してもよいが、好ましくは、有効成分を含有する有効成分層に配合すればよい。
【0017】
本明細書中、光安定化剤としては、ロスバスタチン、特にロスバスタチンカルシウムが光に対し、安定化することができる添加物であればよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているものを使用することができる。例えば、食用タール色素、食用レーキ化したタール色素、食用天然色素、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。好ましくは、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ、カルミン、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、ベンガラ、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。より好ましくは、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄、酸化チタンであり、特に好ましくは黄色三二酸化鉄である。
【0018】
本明細書中の光安定化剤の含量は、ロスバスタチン、特にロスバスタチンカルシウムが光に対し、安定化する量であればよい。例えば、製剤全量に対して、0.01〜80重量%、好ましくは0.025〜70重量%、より好ましくは0.05〜50重量%である。これらの含量より多ければ、製剤を製造できない恐れがあり、少なければ、光安定化が不十分である恐れがある。
【0019】
本製剤は、ロスバスタチンまたは薬学的に認容されるその塩の温度・湿度に対する安定性を向上させるために、無機塩または塩基性酸化物を含有する。無機塩とは、無機酸の水素を金属で置換してできる塩または無機質のことである。塩基性酸化物とは、水と反応して塩基を生じるか、または酸と反応して塩を生じる金属元素の酸化物である。無機塩または塩基性酸化物は、多層構造の製剤において、いずれの層に配合してもよいが、好ましくは、有効成分を含有する有効成分層に配合すればよい。
【0020】
本明細書中、無機塩または塩基性酸化物としては、ロスバスタチン、特にロスバスタチンカルシウムが安定化する添加物であればよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているものを使用することができる。例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化ナトリウム、ケイ酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、無水炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、クエン酸ナトリウム水和物である。好ましくは、酸化マグネシウムである。
【0021】
本明細書中の無機塩または塩基性酸化物の含量は、ロスバスタチン、特にロスバスタチンカルシウムが温度及び水分(湿度)に対し、安定化する量であればよい。例えば、製剤全量に対して、0.01〜80重量%、好ましくは0.025〜70重量%、より好ましくは0.05〜50重量%である。これらの含量より多ければ、製剤を製造できない可能性があり、少なければ、安定化、特に高温多湿下で安定化できない恐れがある。
【0022】
本製剤において、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物は、併用することができる。好ましい組み合わせとしては、光安定化剤が黄色三二酸化鉄および/または酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである。
【0023】
光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を併用する場合、好ましい組み合わせおよびその含量は、光安定化剤が黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである場合、製剤全量に対して、黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、好ましくは、黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、より好ましくは、黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%である。光安定化剤が酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである場合、製剤全量に対して、酸化チタンが0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、好ましくは、酸化チタンが0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、より好ましくは、酸化チタンが0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%である。光安定化剤が黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物が酸化マグネシウムである場合、製剤全量に対して、黄色三二酸化鉄および酸化チタンが0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、好ましくは、酸化チタンが0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、より好ましくは、酸化チタンが0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%である。
【0024】
本製剤は、崩壊剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているに収載されている崩壊剤を使用することができる。例えば、カルメロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。好ましくは、カルメロースである。
【0025】
崩壊剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、1〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは7.5〜20重量%である。これらの含量より多ければ、錠剤の硬度が低下する可能性があり、少なければ、錠剤の崩壊時間が長くなる恐れがある。
【0026】
本製剤は、賦形剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているに収載されている賦形剤を使用することができる。例えば、粉末還元麦芽糖水飴、ぶどう糖、果糖、乳糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、白糖、ショ糖、フラクトオリゴ糖、パラチノース、麦芽糖(マルトース)、還元麦芽糖、粉飴、水飴、乳糖、ラクチュロース、還元乳糖ラクチトール、蜂蜜糖、D−ソルビトール、キシリトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。好ましくは、無水リン酸水素カルシウム、結晶セルロースである。
【0027】
賦形剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、1〜95重量%、好ましくは2.5〜92.5重量%、より好ましくは5〜90重量%である。これらの含量より多ければ、製剤自体が大型化することや多量の錠剤を服用しなければならない恐れがあり、少なければ、錠剤が製造できない恐れがある。
【0028】
本製剤は、甘味剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているに収載されている甘味剤を使用することができる。例えば、アスパルテーム、アミノ酢酸、果糖、還元麦芽糖水あめ、カンゾウ、カンゾウエキス、キシリトール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸二モノアンモニウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、タウマチン、ブドウ糖、粉末還元麦芽糖水あめ、マルチトール、マルトース、D−マンニトール、水あめ、スクラロース、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア又はその塩等が挙げられる。好ましくは、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチンである。
【0029】
甘味剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、10重量%以下、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜7.5重量%である。これらの含量より多ければ、錠剤が製造できない恐れがあり、少なければ、甘味が十分に生じない恐れがある。
【0030】
本製剤は、流動化剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているに収載されている流動化剤を使用することができる。例えば、流動化剤として、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、酸化チタン、合成ケイ酸アルミニウム、タルク等が挙げられ、好ましくは含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸である。
【0031】
流動化剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜7.5重量%である。これらの含量より多ければ、製剤自体が大型化することや多量の錠剤を服用しなければならない恐れがあり、少なければ、錠剤が製造できない恐れがある。
【0032】
本製剤は、滑沢剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されているに収載されている滑沢剤を使用することができる。例えば、フマル酸ステアリルナトリウム,ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられるが、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
【0033】
滑沢剤の含量は、製剤全量に対し、例えば、0.001〜2重量%、好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.001〜0.8重量%である。これらの含量より多ければ、錠剤硬度や崩壊性が低下する可能性があり、少なければ、錠剤を製造できない恐れがある。
【0034】
本製剤は、さらに必要であれば、上述以外の添加剤を含有してもよく、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されている添加剤を使用することができる。また、これらの添加剤の含量は、任意の割合でよい。上述以外の添加剤としては、例えば、香料、結合剤、着色剤、矯味剤、コーティング剤等が挙げられる。
香料とは、着香剤といわれるものを含み、例えば、シュガーフレーバー、バナナフレーバー、サンフィックスバナナ、オレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が挙げられ、好ましくはシュガーフレーバーである。
結合剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、アラビアゴム、アラビアゴム末、ゼラチン、カンテン、デキストリン、プルラン、ポビドン、ポリビニルアルコール、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース等が挙げられる。
着色剤として、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号などの食用色素、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、抹茶末等が挙げられる。
矯味剤として、例えば、アスコルビン酸およびその塩、アスパルテーム、スクラロース、グリシン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、希塩酸、クエン酸およびその塩(クエン酸ナトリウム)、無水クエン酸、L−グルタミン酸およびその塩、コハク酸およびその塩、酢酸、酒石酸およびその塩、炭酸水素ナトリウム、フマル酸およびその塩、リンゴ酸およびその塩、氷酢酸、イノシン酸二ナトリウム、ハチミツ等が挙げられる。
コーティング剤として、例えば、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、PVAコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、オパドライ、カルナバロウ、カルボキシビニルポリマー、乾燥メタクリル酸コポリマー、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー、ステアリルアルコール、セラック、セタノール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマー、2−メチル−5−ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。
【0035】
本製剤の剤形は、日本薬局方の製剤総則に規定されている錠剤である。
【0036】
本製剤の製法としては、1)薬物および添加剤を混合し、その混合物を打錠して製造する方法(直接粉末圧縮法)、2)薬物および添加剤を混合して造粒、その造粒物を打錠して製造する方法(顆粒圧縮法)、3)添加剤を混合して造粒、その後薬物と混合してから打錠して製造する方法がある。好ましくは、薬物および添加剤を混合し、その混合物を打錠して製造する方法である。2)の場合、造粒物は、通常製剤学的に用いられる造粒法で製造すればよい。例えば、乾式造粒法、押し出し造粒法、撹拌造粒法、流動層造粒法、転動造粒法等である。なお、造粒物は、コーティング剤によって被覆されていてもよい。
【0037】
打錠を行う場合、単発打錠機、ロータリー式打錠機などを用いて圧縮成形する。圧縮成形する際に、通常の打錠法(内部混合法)や打錠機の臼杵に滑沢剤を付着させる外部滑沢法を用いて滑沢剤を添加することができる。外部滑沢法を行う装置としては(株)菊水製作所製のELSP1−タイプIIIなどがある。内部混合法で製造した混合末に外部滑沢法を併用して圧縮成形してもよい。
【0038】
本製剤の成形に関しては、どのような形状も採用することができ、例えば丸形、楕円形、球形、棒状型、ドーナツ型の形状などであってもよく、さらにはコーティングによって被膜することもできる。また、識別性向上のためのマーク、文字などの刻印さらには割線を付けてもよい。
【0039】
本製剤の直径は、患者が服用できる大きさであればよいが、通常、3〜20mm、好ましくは4〜15mm、より好ましくは5〜10mmである。
【0040】
本製剤の厚みは、患者が服用できる大きさであればよいが、通常、1〜9mm、好ましくは1.5〜7mm、より好ましくは1.75〜5mmである。
【0041】
本製剤の有効成分層、外層の厚みは、有効成分が安定な厚みであればよいが、有効成分層の厚みは、全体の厚みに対して通常、2.5〜90%、好ましくは5〜85%、より好ましくは10〜80%であり、外層の総厚みは、全体の厚みに対して通常、10〜97.5%、好ましくは15〜95%、より好ましくは20〜90%である。
【0042】
本製剤は、多層構造であり、外層、有効成分層ごとに有効成分、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を含有することが可能である。好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物の配合としては、1)外層に光安定化剤、有効成分層に有効成分、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を配合、2)有効成分層に有効成分、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を配合、3)外層に光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物、有効成分層に有効成分、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を配合、4)外層に無機塩または塩基性酸化物、有効成分層に有効成分、光安定化剤、および無機塩または塩基性酸化物を配合すれば、有効成分であるロスバスタチン、ロスバスタチンカルシウムは安定化する。
【0043】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、有効成分が0.01〜90重量%、光安定化剤が0.01〜80重量%、無機塩または塩基性酸化物が0.01〜80重量%、好ましくは有効成分が0.025〜80重量%、光安定化剤が0.025〜70重量%、無機塩または塩基性酸化物が0.025〜70重量%、より好ましくは有効成分が0.05〜70重量%、光安定化剤が0.05〜50重量%、無機塩または塩基性酸化物が0.05〜50重量%である。
【0044】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物の配合としては、1)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、2)有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、3)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、4)外層に無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化する。
【0045】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%である。
【0046】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物の配合としては、1)外層に光安定化剤として酸化チタン、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタンおよび無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、2)有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタンおよび無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、3)外層に光安定化剤として酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタンおよび無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、4)外層に無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタンおよび無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化する。
【0047】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、酸化チタンが0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、酸化チタンが0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、酸化チタンが0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%である。
【0048】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物の配合としては、1)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタンおよび無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、2)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタンおよび無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、3)外層に光安定化剤として酸化チタン、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、4)外層に光安定化剤として酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化する。
【0049】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%である。
【0050】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物の配合としては、1)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、2)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、3)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタンおよび無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、4)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、5)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、6)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、7)有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、8)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、9)外層に光安定化剤として酸化チタン、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、10)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、11)外層に光安定化剤として酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、12)外層に無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄および酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、13)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、14)外層に光安定化剤として酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、15)外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として酸化チタン、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有、16)外層に光安定化剤として酸化チタン、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウムを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化する。
【0051】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%である。
【0052】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物および崩壊剤の配合としては、外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄および崩壊剤としてカルメロース、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、崩壊剤としてカルメロースを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化し、かつ硬度が高く、崩壊時間が短い口腔内崩壊錠剤を製造することができる。
【0053】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%およびカルメロースが1〜30重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%およびカルメロースが5〜25重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%およびカルメロースが7.5〜20重量%である。
【0054】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物、崩壊剤および賦形剤の配合としては、外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、崩壊剤としてカルメロース、および賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、崩壊剤としてカルメロース、および賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化し、かつ硬度が高く、崩壊時間が短い口腔内崩壊錠剤を製造することができる。
【0055】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、カルメロースが1〜30重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが1〜95重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、カルメロースが5〜25重量%および、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが2.5〜92.5重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%、カルメロースが7.5〜20重量%および、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが5〜90重量%である。
【0056】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物、崩壊剤、賦形剤および甘味剤の配合としては、外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、崩壊剤としてカルメロース、賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース、および甘味剤としてスクラロースおよびアセスルファムカリウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、崩壊剤としてカルメロース、賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース、および甘味剤としてスクラロースおよびアセスルファムカリウムを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化し、かつ硬度が高く、崩壊時間が短い口腔内崩壊錠剤を製造することができる。
【0057】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、カルメロースが1〜30重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが1〜95重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが10重量%以下、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、カルメロースが5〜25重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが2.5〜92.5重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが0.01〜10重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%、カルメロースが7.5〜20重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが5〜90重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが0.1〜7.5重量%である。
【0058】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物、崩壊剤、賦形剤、甘味剤および流動化剤の配合としては、外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、崩壊剤としてカルメロース、賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース、甘味剤としてスクラロースおよびアセスルファムカリウム、および流動化剤として軽質無水ケイ酸、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、崩壊剤としてカルメロース、賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース、甘味剤としてスクラロースおよびアセスルファムカリウム、および流動化剤として軽質無水ケイ酸を含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化し、かつ硬度が高く、崩壊時間が短い口腔内崩壊錠剤を製造することができる。
【0059】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、カルメロースが1〜30重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが1〜95重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが10重量%以下、軽質無水ケイ酸が0.01〜15重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、カルメロースが5〜25重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが2.5〜92.5重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが0.01〜10重量%、軽質無水ケイ酸が0.1〜10重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%、カルメロースが7.5〜20重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが5〜90重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが0.1〜7.5重量%、軽質無水ケイ酸が0.2〜7.5重量%である。
【0060】
好ましい有効成分、光安定化剤、無機塩または塩基性酸化物、崩壊剤、賦形剤、甘味剤、流動化剤および滑沢剤の配合としては、外層に光安定化剤として黄色三二酸化鉄、崩壊剤としてカルメロース、賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース、甘味剤としてスクラロースおよびアセスルファムカリウム、流動化剤として軽質無水ケイ酸、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム、有効成分層に有効成分としてロスバスタチンカルシウム、光安定化剤として黄色三二酸化鉄、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム、崩壊剤としてカルメロース、賦形剤として無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース、甘味剤としてスクラロースおよびアセスルファムカリウム、流動化剤として軽質無水ケイ酸、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを含有すれば、有効成分であるロスバスタチンカルシウムは安定化し、かつ硬度が高く、崩壊時間が短い口腔内崩壊錠剤を製造することができる。
【0061】
上記のような多層構造である場合、製剤全量に対するそれぞれの含有量は、例えば、ロスバスタチンカルシウムが0.01〜90重量%、黄色三二酸化鉄が0.01〜80重量%、酸化マグネシウムが0.01〜80重量%、カルメロースが1〜30重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが1〜95重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが10重量%以下、軽質無水ケイ酸が0.01〜15重量%、ステアリン酸マグネシウムが0.001〜2重量%、好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.025〜80重量%、黄色三二酸化鉄が0.025〜70重量%、酸化マグネシウムが0.025〜70重量%、カルメロースが5〜25重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが2.5〜92.5重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが0.01〜10重量%、軽質無水ケイ酸が0.1〜10重量%、ステアリン酸マグネシウムが0.001〜1重量%、より好ましくはロスバスタチンカルシウムが0.05〜70重量%、黄色三二酸化鉄が0.05〜50重量%、酸化マグネシウムが0.05〜50重量%、カルメロースが7.5〜20重量%、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロースが5〜90重量%、スクラロースおよびアセスルファムカリウムが0.1〜7.5重量%、軽質無水ケイ酸が0.2〜7.5重量%、ステアリン酸マグネシウムが0.001〜0.8重量%である。
【0062】
本製剤は、口腔内崩壊錠剤として有用であり、唾液により、口腔内で速やかに崩壊し、ざらつきを残さずに滑らかに服用可能である。本製剤の崩壊時間は、通常1〜60秒、好ましくは1〜40秒、さらに好ましくは1〜30秒程度である。
【0063】
本製剤の硬度(錠剤硬度計による測定値)は、通常30〜70N程度であれば問題の無い値であることが知られているが、本発明の口腔内崩壊錠剤は10〜200N、好ましくは30〜150N程度である。
【0064】
口腔内崩壊錠を服用する際、有効成分によって苦みを感じる場合がある。有効成分のロスバスタチンカルシウム自体は、苦みを呈する。しかし、本製剤の場合、有効成分層が有効成分を実質的に含まない外層に覆われているので、苦みをほとんど感じることなく、口腔内で本製剤を崩壊して服用することが可能である。さらに、本製剤中に甘味剤や矯味剤を配合し、苦みを抑制している。
【0065】
本発明において、前もって活性成分を含有し、苦味を抑制した製剤(例えば、粉・粒体)を製造した後、これら製剤とともに上記成分を混合し、錠剤を製造することも可能である。この場合、苦味を抑制した口腔内崩壊錠剤を製造することが可能である。
【0066】
なお、本製剤は口腔内で崩壊させることなく服用することや水と一緒に服用することもできる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。実施例、比較例および参考例の錠剤は、下記方法によって、製造した。
【0068】
1.単層錠剤製造法
表1に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、ロスバスタチンカルシウム(アストラゼネカ製)を用いた。また、光安定化剤として黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)、無機塩または塩基性酸化物として水酸化マグネシウム(協和化学工業製)、酸化マグネシウム(ICL industrial products製)および第三リン酸カルシウム(Innophos Inc.製)を用いた。その他の添加剤として、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製)、無水リン酸水素カルシウム(協和化学工業製)、カルメロース(五徳薬品製)、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)、アセスルファムカリウム(キリン協和フーズ製)、タウマチン(三栄源エフ・エフ・アイ製)、軽質無水ケイ酸(CABOT製)、ハッカ油(小城製薬製)、オレンジ油(小川香料製)およびステアリン酸マグネシウム(マリンクロッド製)を用いた。
製造方法としては、ロスバスタチンカルシウム、無機塩または塩基性酸化物として、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、第三リン酸カルシウムのいずれかを、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチン、軽質無水ケイ酸および香料としてl−メントールまたはオレンジ油を混合して錠剤用粉末を作製した。ステアリン酸マグネシウムを塗布した杵及び臼と、この錠剤用粉末を製剤実験用圧縮試験機ABM100S型静的圧縮機(JTトーシ製)によって打錠し、錠剤とした。なお、無機塩または塩基性酸化物を含有しない製剤として、比較例2を製造した。このときの杵の形状は丸型、直径は6.5mmを用いた。
【0069】
2.温度・湿度安定性試験
検体を恒温恒湿槽(ナガノサイエンス製)に入れ、40℃、75%相対湿度下に4、8、12週間保存した。その後、HPLCを用いて、ラクトン体およびその他類縁体量を測定した。
【0070】
3.硬度試験
錠剤硬度計(ERWEKA International AG製)を用いて測定した。試験は2錠で行い、その平均値を示す。
【0071】
4.口腔内崩壊試験
第16改正日本薬局方崩壊試験法(補助盤なし、試験液:精製水)に従って崩壊試験機を用いて2錠の崩壊時間を測定した。表中には崩壊時間の最大値を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
5.温度安定性試験の結果
40℃、75%相対湿度下に4、8、12週間保存後において、主要な類縁体であるラクトン体の量を表2に、その他類縁体の量を表3に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】

その結果、無機塩または塩基性酸化物として水酸化マグネシウム(参考例1)、酸化マグネシウム(参考例2)、第三リン酸カルシウム(参考例3)を用いた製剤は、無機塩または塩基性酸化物を含有しない製剤(比較例1)と比較し、ラクトン体、その他の類縁体量は明らかに低い値となった。また、参考例1および2と、参考例3の製剤のラクトン体、その他の類縁体量を比べると、参考例1および2で低い値となった。
【0076】
6.単層錠剤の硬度、崩壊時間の結果
参考例1、2、3、比較例1の錠剤の硬度および崩壊時間を表4に示す。その結果、いずれの錠剤の硬度も30N以上であり、30秒以内に錠剤が崩壊した。
【0077】
【表4】
【0078】
7.光安定化剤を含有した単層錠剤製造法
表5に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、ロスバスタチンカルシウム(アストラゼネカ社製)を用いた。また、光安定化剤として黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)、無機塩または塩基性酸化物として水酸化マグネシウム(協和化学工業製)を用いた。その他の添加剤として、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製)、無水リン酸水素カルシウム(協和化学工業製)、カルメロース(五徳薬品製)、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)、アセスルファムカリウム(キリン協和フーズ製)、タウマチン(三栄源エフ・エフ・アイ製)タルク(富士タルク工業製)、軽質無水ケイ酸(CABOT製)、シュガーフレーバー(小川香料製)およびステアリン酸マグネシウム(マリンクロッド製)を用いた。
製造方法としては、ロスバスタチンカルシウム、黄色三二酸化鉄、水酸化マグネシウム、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチン、タルク、軽質無水ケイ酸およびシュガーフレーバーを混合して錠剤用粉末を製造した。ステアリン酸マグネシウムを塗布した杵及び臼とこの錠剤用粉末を製剤実験用圧縮試験機ABM100S型静的圧縮機(JTトーシ製)によって打錠し、錠剤とした。なお、光安定化剤である黄色三二酸化鉄を含有しない製剤として、比較例3を製造した。このときの杵の形状は丸型、直径は6.5mmを用いた。
【0079】
8.光安定性試験
検体を大型光安定性試験装置(ナガノ科学機械製作所製)に入れ、25℃3570ルクスの光を336時間(D65ランプ、積算照度60万ルクス・時間)照射し、HPLCを用いて類縁体量を測定した。
【0080】
【表5】
【0081】
9.光安定性試験の結果
光照射後の類縁体量の合計を表6に示す。その結果、黄色三二酸化鉄を含有しない比較例2の製剤に比べ、含有する参考例4の製剤の方が類縁体の量は低下したが、その量は約5%であった。
【0082】
【表6】
【0083】
10.単層錠剤の硬度、崩壊時間の結果
比較例2、参考例4の錠剤の硬度および崩壊時間を表7に示す。その結果、いずれの錠剤の硬度も30N以上であり、30秒以内に錠剤が崩壊した。
【0084】
【表7】
【0085】
11.光安定化剤を含有した多層錠剤製造法
表8、9に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、ロスバスタチンカルシウム(アストラゼネカ製)を用いた。また、光安定化剤として黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)、酸化チタン(東邦チタニウム製)、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム(ICL industrial products製)を用いた。その他の添加剤として、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製)、無水リン酸水素カルシウム(協和化学工業製)、カルメロース(五徳薬品製)、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)、アセスルファムカリウム(キリン協和フーズ製)、タウマチン(三栄源エフ・エフ・アイ製)、軽質無水ケイ酸(CABOT製)、シュガーフレーバー(小川香料製)およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製)を用いた。
製造方法としては、ロスバスタチンカルシウム、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチン、軽質無水ケイ酸およびシュガーフレーバーを混合して有効成分層用の混合末を製造した。黄色三二酸化鉄、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチン、軽質無水ケイ酸およびシュガーフレーバーを混合して外層用の混合末を製造した。外層用混合末、有効成分層用混合末、外層用混合末の順に、ステアリン酸マグネシウムを塗布した杵及び臼に充填し、製剤実験用圧縮試験機ABM100S型静的圧縮機(JTトーシ製)によって打錠し、錠剤とした。このときの杵の形状は丸型、実施例1〜3の直径は6.5mm、実施例4〜6の直径は8mmを用いた。
【0086】
12.光安定性試験法
検体を大型光安定性試験装置(ナガノ科学機械製作所製)に入れ、25℃3570ルクスの光を168時間(D65ランプ、積算照度60万ルクス・時間)照射し、HPLCを用いて類縁体量を測定した。













【0087】
【表8】
【0088】
【表9】
【0089】
13.光安定性試験の結果
光照射後の類縁体量の合計を表10に示す。その結果、単層錠剤である参考例4の黄色三二酸化鉄の量は、0.27w/w%に対し、多層錠剤である実施例1〜6の黄色三二酸化鉄の合計量は、0.24w/w%であり、実施例のほうが黄色三二酸化鉄の量が少ないにもかかわらず、類縁体の量は著しく低減することができた。さらに、酸化チタンを含有する製剤であれば、類縁体量はさらに低減することが明らかとなったが、服用すると舌や口腔内がやや白くなった。
【0090】
【表10】
【0091】
14.錠剤の硬度、崩壊時間の結果
実施例1〜6の錠剤の硬度および崩壊時間を表11に示す。その結果、いずれの錠剤の硬度も30N以上であり、30秒以内に錠剤が崩壊した。
【0092】
【表11】
【0093】
15.光安定化剤の含有量を変更した多層錠剤製造法
表12、13に1錠あたりの錠剤の処方を示す。薬物としては、ロスバスタチンカルシウム(アストラゼネカ製)を用いた。また、光安定化剤として黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)、無機塩または塩基性酸化物として酸化マグネシウム(富田製薬製)を用いた。その他の添加剤として、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製)、無水リン酸水素カルシウム(協和化学工業製)、カルメロース(五徳薬品製)、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)、アセスルファムカリウム(キリン協和フーズ製)、タウマチン(三栄源エフ・エフ・アイ製)、軽質無水ケイ酸(CABOT製)、シュガーフレーバー(小川香料製)およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製)を用いた。
製造方法としては、ロスバスタチンカルシウム、黄色三二酸化鉄、酸化マグネシウム、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチン、軽質無水ケイ酸およびシュガーフレーバーを混合して有効成分層用の混合末を製造した。黄色三二酸化鉄、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、スクラロース、アセスルファムカリウム、タウマチン、軽質無水ケイ酸およびシュガーフレーバーを混合して外層用の混合末を製造した。外層用混合末、有効成分層用混合末、外層用混合末の順に、ステアリン酸マグネシウムを塗布した杵及び臼に充填し、製剤実験用圧縮試験機ABM100S型静的圧縮機(JTトーシ製)によって打錠し、錠剤とした。このときの杵の形状は丸型、実施例7〜9及び比較例3の杵の直径は6.5mmであった。
【0094】
16.光安定性試験
実施例1〜6と同様である。
【0095】
【表12】
【0096】
【表13】
【0097】
17.光安定性試験の結果
光照射後の類縁体量の合計を表14に示す。その結果、黄色三二酸化鉄を含まない比較例3に対し、黄色三二酸化鉄を0.08w/w%以上含む実施例7〜9の類縁体量は著しく低減することができた。黄色三二酸化鉄の配合量が多いほど、類縁体の生成量が減ることもわかった。
【0098】
【表14】
【産業上の利用可能性】
【0099】
ロスバスタチンまたはその塩を含有する口腔内崩壊錠について、光や温度・湿度に対して安定であり、実用的なレベルの錠剤を供することが可能となる。さらに、ロスバスタチンまたはその塩と他の医薬品の合剤とする口腔内崩壊錠を製造することができる。