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特許6075839列車無線通信システムの受信電文選択方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075839
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】列車無線通信システムの受信電文選択方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/04 20090101AFI20170130BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20170130BHJP
   H04B 7/02 20170101ALI20170130BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20170130BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20170130BHJP
【FI】
   H04W4/04 130
   H04W88/02 141
   H04B7/02 Z
   H04B7/08 A
   H04W16/28 150
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-207119(P2012-207119)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-64111(P2014-64111A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】岡山 浩一郎
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−225135(JP,A)
【文献】 特開平07−162349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04B 7/02− 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の軌道に沿って配置され、それぞれが上位装置と有線回線で通信する複数の無線基地局と、前記軌道上を走行する列車の車両に搭載された少なくとも2つ以上の複数のアンテナを有する少なくとも1つの端末とからなる列車無線通信システムにおける受信電文選択方法であって、
前記無線基地局は、前記上位装置から受信した下り電文を所定送信期間内に、少なくとも同じ内容を含む電文として2回送信し、
前記端末は、前記無線基地局から送信された1回目の電文を前記複数のアンテナで受信し、受信した前記複数のアンテナの中で受信した電文のBLERの有無とRSSIの値をそれぞれ取得し、BLERが無い受信した電文の中でRSSIの値が一番高い電文を選択すると共に該当する電文が無い場合にはRSSIの値が一番高い電文を前記複数のアンテナの中で受信状態の一番良い受信電文として選択し、前記無線基地局から送信された1回目の電文に対して前記無線基地局へ応答電文を送信し、前記無線基地局から送信された2回目の電文を前記複数のアンテナで受信し、受信した前記複数のアンテナの中で受信した電文のBLERの有無とRSSIの値をそれぞれ取得し、BLERが無い受信した電文の中でRSSIの値が一番高い電文を選択すると共に該当する電文が無い場合にはRSSIの値が一番高い電文を前記複数のアンテナの中で受信状態の一番良い受信電文として選択し、前記無線基地局から送信された2回目の電文に対して前記無線基地局へ応答電文を送信することを特徴とする列車無線通信システムにおける受信電文選択方法。
【請求項2】
請求項1記載の列車無線通信システムにおける受信電文選択方法であって、
前記基地局は、前記少なくとも同じ内容を含む電文として2回送信した電文に対して前記端末から送信された応答電文をそれぞれ受信し、前記応答電文の中で受信状態の一番良いものを受信電文として選択し、前記上位装置へ送信することを特徴とする列車無線通信システムにおける受信電文選択方法。
【請求項3】
列車の軌道に沿って配置され、それぞれが上位装置と有線回線で通信する複数の無線基地局と、前記軌道上を走行する列車の車両に搭載された少なくとも2つ以上の複数のアンテナを有する少なくとも1つの端末とからなる列車無線通信システムであって、
前記無線基地局は、前記上位装置から下り電文を受信する手段と、当該受信した下り電文を所定送信期間内に少なくとも同じ内容を含む電文として2回送信する手段とを有し、
前記端末は、前記無線基地局から送信された1回目の電文を前記複数のアンテナで受信する手段と、当該受信した前記複数のアンテナの中で受信した電文のBLERの有無とRSSIの値をそれぞれ取得する手段と、BLERが無い受信した電文の中でRSSIの値が一番高い電文を選択すると共に該当する電文が無い場合にはRSSIの値が一番高い電文を前記複数のアンテナの中で受信状態の一番良い受信電文として選択する手段と、前記無線基地局から送信された1回目の電文に対して前記無線基地局へ応答電文を送信する手段と、前記無線基地局から送信された2回目の電文を前記複数のアンテナで受信する手段と、受信した前記複数のアンテナの中で受信した電文のBLERの有無とRSSIの値をそれぞれ取得する手段と、BLERが無い受信した電文の中でRSSIの値が一番高い電文を選択すると共に該当する電文が無い場合にはRSSIの値が一番高い電文を前記複数のアンテナの中で受信状態の一番良い受信電文として選択する手段と、前記無線基地局から送信された2回目の電文に対して前記無線基地局へ応答電文を送信する手段とを有することを特徴とする列車無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車無線通信システムに関し、特に無線基地局と走行中の列車の車上無線端末と通信するようにした列車無線通信システムにおける受信電文の選択方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、近距離無線通信システムとして2.4GHz帯の無線周波数を利用した無線システムの利用が拡大している。
例えば、2.4GHz帯無線通信システムを利用した鉄道制御システムとして、CBTC(Communication Based Train Control)システムがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の無線基地局と走行中の列車の車上無線端末と通信するようにした列車無線通信システムにおいて、車上無線端末が受信した電文の中で一番受信状態の良いものを選択することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の列車無線通信システムにおける受信電文選択方法は、列車の軌道に沿って配置され、それぞれが上位装置と有線回線で通信する複数の無線基地局と、前記軌道上を走行する列車の車両に搭載された少なくとも2つ以上の複数のアンテナを有する少なくとも1つの端末とからなる列車無線通信システムにおける受信電文選択方法であって、前記無線基地局は、前記上位装置から受信した下り電文を所定送信期間内に、少なくとも同じ内容を含む電文として2回送信し、前記端末は、前記無線基地局から送信された電文を前記複数のアンテナで受信し、受信した前記複数のアンテナの中で受信状態の一番良いものを受信電文として選択し、前記無線基地局から送信された電文に対して前記無線基地局へ応答電文を送信することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の列車無線通信システムにおける受信電文選択方法は、上述の列車無線通信システムにおける受信電文選択方法であって、前記基地局は、前記少なくとも同じ内容を含む電文として2回送信した電文に対して前記端末から送信された応答電文をそれぞれ受信し、前記応答電文の中で受信状態の一番良いものを受信電文として選択し、前記上位装置へ送信することを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明の列車無線通信システムにおける受信電文選択方法は、列車の軌道に沿って配置され、それぞれが上位装置と有線回線で通信する複数の無線基地局と、前記軌道上を走行する列車の車両に搭載された少なくとも1つの端末とからなる列車無線通信システムにおける受信電文選択方法であって、前記各無線基地局は、前記上位装置から受信した下り電文を所定送信期間内に、少なくとも同じ内容を含む電文として2回送信し、
前記端末は、前記無線基地局から送信された電文を受信し、受信した前記基地局から送信された電文に対して前記基地局へ応答電文を送信し、前記基地局は、前記少なくとも同じ内容を含む電文として2回送信した電文に対して前記端末から送信された応答電文をそれぞれ受信し、前記応答電文の中で受信状態の一番良いものを受信電文として選択し、前記上位装置へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の無線基地局が複数回同じ電文を送信して、車上無線端末が受信した電文の中で一番受信状態の良いものを選択することができる。
また、本発明の時間ダイバーシティにより、フェージング等の電波障害の影響を低減して電文を受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明が適用されるCBTC無線通信システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施例である車上無線端末のブロック図である。
図3】本発明の一実施例である車上無線端末のソフトウェアの構成を示す図である。
図4】本発明の実施例であるCBTC無線サブシステムの制御を説明するための図である。
図5】本発明の一実施例である車上無線端末のRAM部に記憶する電文の電波状態を説明するためのメモリテーブルである。
図6】本発明の一実施例である車上無線端末が行う時間ダイバーシティ処理を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の他の一実施例である車上無線端末のRAM部に記憶する電文の電波状態を説明するためのメモリテーブルである。
図8】本発明の他の一実施例である車上無線端末が行う1回目の時間ダイバーシティ処理を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の他の一実施例である車上無線端末が行う2回目の時間ダイバーシティ処理を説明するためのフローチャートである。
図10】本発明の他の一実施例である無線基地局が行う最終判定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用されるCBTC(Communication Based Train Control)無線通信システムの全体構成を示す図である。
【0011】
図1において、LAN(Local Area Network)102には、監視装置101と、管理装置103,104が接続されている。
監視装置101は、LAN102を介して列車の運行を監視する。
管理装置103,104は、所定区間の列車120の運行情報を管理することによって、列車の安全運転を確保する管理装置であり、CBTC無線サブシステム110の区間内に設置されたBase Station Master(以下、BSCという)111と接続されている。
【0012】
BSC111は、列車の軌道130に沿って設置された複数の無線基地局(以下、Base Master:BSという)112〜115と接続され、これらのBSと管理装置103との間で、上り/下り電文(通信メッセージ)を中継する中継装置として機能する。各BS112〜115は、BSC111から受信した下り電文を無線で送信し、列車120から無線で受信した上り電文をBSC111に転送する。
【0013】
軌道130上を走行する各列車120は、前方車両と後方車両に車上無線端末(以下、Mobile Station:MSという)121,122が搭載されている。前方車両は、先頭車両でも2両目の車両でもよく、後方車両は、最終車両でもその前の車両でもよい。これらのMS121,122は、列車内の通信回線124を介して、前方車両に搭載された車上制御装置:ATP/ATO(Automatic Train Protection / Automatic Train Operation)123に接続されている。ATP/ATO123は、管理装置103から与えられた指令を表示するための表示装置を備えており、表示装置の他に、例えば、運転員に警報を知らせるための警報出力装置や、列車の現在位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)を備えている。
【0014】
列車120に搭載されたMS121,122は、通信圏内に位置したBS112〜115と無線で通信し、管理装置103から送信された下り電文をBS112〜115経由で受信して、ATP/ATO123に転送すると共に、ATP/ATO123が生成した上り電文を無線でBS112〜115に送信する。
【0015】
ATP/ATO123は、MS121,122で受信した下り電文から、管理装置103が送信したメッセージを抽出し、受信メッセージの表示や、受信メッセージが示す制御命令に応答した制御動作を行う。ATP/ATO123は、GPSで検出された列車の位置などのステータス情報と、列車の識別情報を含む上り電文を生成し、後述するように、生成された上り電文を所定のタイミングでMS121,122から送信する。本実施例では、列車120の前方車両に1台、後方車両に1台のMSが搭載された場合について説明するが、ダイバーシティ効果を高めるために、同一列車に3台以上のMSを搭載しも良い。
【0016】
図2は本発明の一実施例である車上無線端末のブロック図である。
図2において、MS121,122は、アンテナRX0系206と、アンテナRX1系207と、無線データの送受信を行うFPGA/DSP(Field Programmable Gate Array/Digital Signal Processor)部205と、外部と接続するためのインターフェース機能等を有するPLD(Programmable Logic Device)部204と、端末の制御を行うCPU(Central Processing Unit)部201と、CPU部201を動作させるためのソフトウェア等を記憶しているROM(Read Only Memory)部203と、無線状態等のメモリテーブルを一次記憶するRAM(Random Access Memory)部202を有している。
【0017】
図3は本発明の一実施例である車上無線端末のソフトウェアの構成を示す図である。
図3のソフトウェアは、アプリケーション301と、ミドルウェア302と、OS(Operation System)304と、PLD部204,CPU部201,FPGA/DSP部205を動作せせるためのハードウェア/CPU/FPGA305により構成されている。
時間ダイバーシティは、ミドルウェア302の中にあるTRX Control303で制御を行う。TRX Control303はCPU部201により制御され、FPGA/DSP部205から無線データ(電文)の受信を行う。
【実施例1】
【0018】
次に本発明の一実施例である時間ダイバーシティの動作について、図1図6を用いて説明する。
本実施例では、管理装置103と、BSC111と、BS113と、MS122と、ATP/ATO123に限定して動作説明を行う。なお、MS121は本実施例の動作に関与しないもととする。また、MS122のアンテナRX1系207も本実施例の動作には関与しないもととする。
図4は本発明の実施例であるCBTC無線サブシステム110の制御を説明するための図である。
図4において、管理装置103は列車制御情報である電文をBSC111を介してBS113に送信する。
本発明の一実施例では、管理装置103が所定周期である500mec毎に列車制御情報を送信する。
【0019】
BS113は、MS122に対して同じ内容を含む電文をシステムパラメータで指定した所定期間の間隔で少なくとも2回送信する。なお、システムパラメータは可変可能なパラメータであり、本実施例ではシステムパラメータで指定した所定期間を、一例として160msec間隔としているがこれに限るものではない。
MS122は、ATP/ATO123から列車位置情報等を所得する。
MS122は、BS113から送信された1回目の電文を受信し、BS113に対して列車の位置情報等を含む応答電文を送信する。
さらにMS122は、BS113から送信された2回目の電文を受信し、BS113に対して列車の位置情報等を含む応答電文を送信する。なお、ATP/ATO123に対して受信状態の良い方の電文を送信しても良い。
【0020】
BS113は、MS122から送信された2回の列車位置情報等を含む応答電文の中で受信状態の良い方を選択して、BSC111を介して管理装置103に送信する。
【0021】
図5は本発明の一実施例である車上無線端末のRAM部202に記憶する電文の電波状態を説明するためのメモリテーブルである。
BS113は500ms時間内に少なくとも同じ内容を含む電文を2回送信する。
MS122はアンテナRX0系206でBS113から送信された電文を受信する。
メモリテーブルは、時間ダイバーシティ1回目と時間ダイバーシティ2回目で受信した電文からBLER(BLock Error Rate)とRSSI(Received Signal Strength Indication)を取得し、取得したデータを記憶する。
BLER=XXの“XX”は、エラーの有無を示すものであり、エラーなしが“0”であり、エラーありが“1”である。
RSSI=YYの“YY”は、受信感度の値を示すものであり、値が高いほど受信感度が良い。
【0022】
図6は本発明の一実施例である車上無線端末が行う時間ダイバーシティ処理を説明するためのフローチャートである。
MS122のCPU部201は、ステップS601でRAM部202に記憶しているメモリテーブルから1回目と2回目のBLER情報を読出して取得する。取得後、ステップS602の処理に進む。
ステップS602では、RAM部202に記憶しているメモリテーブルから1回目と2回目のRSSI情報を読出して取得する。取得後、ステップS603の処理に進む。
ステップS603では、BLERが1回目と2回目共にエラーなし“0”を判定し、両方共にエラーなし“0”の場合(YES)はステップS604の処理に進み、エラーが片方または両方共にあり“1”の場合(NO)はステップS606の処理に進む。
ステップS606では、BLERの1回目にエラーがないかを判定し、エラーなし“0”の場合(YES)はステップS607の処理に進み、エラーがあり“1”場合(NO)はステップS604の処理に進む。
ステップS604では、1回目と2回目のRSSI情報で受信感度の高い方のデータ(電文)を選択し、ステップS605の処理に進む。
ステップS607では、1回目と2回目のBLERでエラーなし“0”の方のデータ(電文)を選択し、ステップS605の処理に進む。
ステップS605では、BS113に選択したデータ(電文)を通知および列車位置情報を送信し、時間ダイバーシティ処理を終了する。
本処理により、MS122は、BS113から送信されたデータ(電文)の中で無線品質の良いデータ(電文)を選択することができる。
【実施例2】
【0023】
次に本発明の他の一実施例である時間ダイバーシチィとアンテナダイバーシティを組み合わせた動作について図1図4および図7図10を用いて説明する。
本実施例では、管理装置103と、BSC111と、BS113と、MS122と、ATP/ATO123に限定して動作説明を行う。なお、MS121は本実施例の動作に関与しないもととする。
【0024】
次に、本発明の他の一実施例であるCBTC無線サブシステム110の制御について図4を用いて説明する。
図4は本発明の実施例であるCBTC無線サブシステム110の制御を説明するための図である。
図4において、管理装置103は列車制御情報である電文をBSC111を介してBS113に送信する。
本発明の他の一実施例では、管理装置103が所定周期である500mec毎に列車制御情報を送信する。
【0025】
BS113は、MS122に対して同じ内容を含む電文をシステムパラメータで指定した所定期間の間隔で少なくとも2回送信する。なお、システムパラメータは可変可能なパラメータであり、本実施例ではシステムパラメータで指定した所定期間を、一例として160msec間隔としているがこれに限るものではない。
MS122は、ATP/ATO123から列車位置情報等を所得する。
MS122は、BS113から送信された1回目の電文を受信し、BS113に対して列車の位置情報等を含む応答電文を送信する。
さらにMS122は、BS113から送信された2回目の電文を受信し、BS113に対して列車の位置情報等を含む応答電文を送信する。なお、ATP/ATO123に対して受信状態の良い方の電文を送信しても良い。
【0026】
図4の制御は、MS122のアンテナRX0系206で受信した電文と、アンテナRX1系207で受信した電文の両方で行う。
【0027】
BS113は、MS122から送信された4回の列車位置情報等を含む応答電文の中で受信状態の一番良い応答電文を選択して、BSC111を介して管理装置103に送信する。
【0028】
図7は、本発明の他の一実施例である車上無線端末のRAM部に記憶する電文の電波状態を説明するためのメモリテーブルである。
BS113は500ms時間内に同じ内容を含む電文を少なくとも2回送信する。
MS122はアンテナRX0系206でBS113から送信された少なくとも2回の電文を受信する。
メモリテーブルは、アンテナRX0系206で受信した時間ダイバーシティ1回目と時間ダイバーシティ2回目の電文からBLERとRSSIを取得し、取得したデータを記憶する。
次に、MS122はアンテナRX1系207でBS113から送信された少なくとも2回の電文を受信する。
メモリテーブルは、アンテナRX1系207で受信した時間ダイバーシティ1回目と時間ダイバーシティ2回目の電文からBLERとRSSIを取得し、取得したデータを記憶する。
BLER=XXの“XX”は、エラーの有無を示すものであり、エラーなしが“0”であり、エラーありが“1”である。
RSSI=YYの“YY”は、受信感度の値を示すものであり、値が高いほど受信感度が良い。
【0029】
図8は、本発明の他の一実施例である車上無線端末が行う1回目の時間ダイバーシティ処理を説明するためのフローチャートである。
MS122のCPU部201は、ステップS801でRAM部202に記憶しているメモリテーブルからアンテナRX0系206とアンテナRX1系207のBLER情報を読出して取得する。取得後、ステップS802の処理に進む。
ステップS802では、RAM部202に記憶しているメモリテーブルからアンテナRX0系206とアンテナRX1系207のRSSI情報を読出して取得する。取得後、ステップS803の処理に進む。
ステップS803では、BLERがアンテナRX0系206とアンテナRX1系207で同じかを判定し、同じ場合(YES)はステップS804の処理に進み、異なる場合(NO)はステップS805の処理に進む。
ステップS804では、RSSI情報で受信感度の高い方のデータ(電文)を選択し、ステップS806の処理に進む。
ステップS805では、アンテナRX0系206とアンテナRX1系207でBLER=0側のデータ(電文)を選択し、ステップS806の処理に進む。
ステップS806では、BS113に選択したデータ(電文)を通知および列車位置情報を送信し、1回目の時間ダイバーシティ処理を終了する。
【0030】
図9は、本発明の他の一実施例である車上無線端末が行う2回目の時間ダイバーシティ処理を説明するためのフローチャートである。
MS122のCPU部201は、ステップS901でRAM部202に記憶しているメモリテーブルからアンテナRX0系206とアンテナRX1系207のBLER情報を読出して取得する。取得後、ステップS902の処理に進む。
ステップS902では、RAM部202に記憶しているメモリテーブルからアンテナRX0系206とアンテナRX1系207のRSSI情報を読出して取得する。取得後、ステップS903の処理に進む。
ステップS903では、BLERがアンテナRX0系206とアンテナRX1系207で同じかを判定し、同じ場合(YES)はステップS904の処理に進み、異なる場合(NO)はステップS905の処理に進む。
ステップS904では、RSSI情報で受信感度の高い方のデータ(電文)を選択し、ステップS906の処理に進む。
ステップS905では、アンテナRX0系206とアンテナRX1系207でBLER=0側のデータ(電文)を選択し、ステップS906の処理に進む。
ステップS906では、BS113に選択したデータ(電文)を通知および列車位置情報を送信し、2回目の時間ダイバーシティ処理を終了する。
【0031】
図10は、本発明の他の一実施例である無線基地局が行う最終判定処理を説明するためのフローチャートである。
BS113は、ステップS1001でMS122から送信された1回目と2回目の時間ダイバーシティ処理のデータを取得し、ステップS1002の処理に進む。
ステップS1002では、BLERが1回目と2回目共に同じデータ即ち共にエラーなし“0”又は共にエラーあり“1”を判定し、両方共に同じデータの場合(YES)はステップS1003の処理に進み、データが異なる場合(NO)はステップS1004の処理に進む。
ステップS1003では、1回目と2回目のRSSI情報で受信感度の高い方のデータ(電文)を選択し、最終判定処理を終了する。
ステップS1004では、BLER=0側のデータ(電文)を選択し、最終判定処理を終了する。
本判定処理により、BS113は、MS112から送信されたデータの中で無線品質の良いデータを選択することができる。
【0032】
上述の実施例では、MSとATP/ATOを別々の装置として記載しているが、MSはATP/ATOの機能を含んでも良い。
【0033】
上述の実施例では、MSに2つのアンテナを有して、この2つのアンテナで受信した信号を用いたアンテナダイバーシティとしたが、列車の前方端末と後方端末の各1つのアンテナを用いてアンテナダイバーシティとしても良い。この場合、データの選択はATP/ATOで行う。
【0034】
本発明によれば、複数の無線基地局が複数回同じ電文を送信して、車上無線端末が受信した電文の中で一番受信状態の良いものを選択することができる。
また、本発明の時間ダイバーシティにより、フェージング等の電波障害の影響を低減して電文を受信することができる。
【0035】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された列車無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0036】
101:監視装置、102:LAN、103,104:管理装置、110:CBTC無線サブシステム、111:BSC、112〜115:BS、120:列車、121,122:MS、123:ATP/ATO、130:軌道。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10