(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)のポリマー粉体は、ポリマーを母材として、その中に白色無機顔料、赤色無機顔料、黄色無機顔料を内包するものである。好ましくは、ポリマー粒子中に、白色無機顔料、赤色無機顔料、黄色無機顔料が分散して存在するものや、ポリマー粒子表面に、白色無機粉体、赤色無機顔料、黄色無機顔料が存在するもの等が挙げられ、特に、ポリマー粒子中に、白色無機粉体、赤色無機顔料、黄色無機顔料が均一に分散しているものが好ましい。
【0011】
(a)白色無機顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型等)等の金属酸化物;酸化亜鉛/二酸化チタン複合酸化物、酸化アルミニウム/酸化マグネシウム複合酸化物、酸化カルシウム/酸化ジルコニウム複合酸化物等の複合金属酸化物;硫酸バリウム等の硫酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩などが挙げられ、これらの白色無機顔料は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、化粧料中における安定性等の観点から、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、酸化亜鉛/二酸化チタン複合酸化物が好ましく、二酸化チタンがより好ましい。
【0012】
(b)赤色無機顔料としては、例えば、ベンガラ、酸化鉄/酸化チタン焼結物、カドミウムレッド、モリブデンレッド等が挙げられ、ベンガラが好ましい。
(c)黄色無機顔料としては、例えば、黄酸化鉄、酸化セリウム、ビスマスバナジウムイエロー、黄鉛、カドミウムイエロー等が挙げられ、黄酸化鉄が好ましい。
【0013】
(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、及び(c)黄色無機顔料の平均粒径は、それぞれ0.01〜0.5μmであるのが、ポリマー粉体中に均一に分散させる点から好ましい。
【0014】
(a)白色無機粉体、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料のポリマー粉体中の質量割合は、光の短波長側をカットして、毛穴・色ムラを目立たないようにさせる観点から、(a):(b):(c)=70〜99:0.1〜10:0.1〜20であり、70〜97:1〜10:2〜20が好ましく、80〜97:1〜5:2〜15がより好ましく、90〜97:1〜3:2〜7が更に好ましい。
【0015】
無機顔料には、例えば、撥水性を付与するシリコーン処理、撥水・撥油性を付与するフッ素処理等の表面処理が施されていることが好ましい。シリコーン処理が施された無機顔料は、一般的な有機溶媒中への分散性に優れ、フッ素処理が施された無機顔料は、フッ素系溶媒中への分散性に優れている。
【0016】
ポリマー粉体中における無機顔料の含有量は、粉体の光透過性と光散乱性のバランス面から、合計で5〜40質量%であるのが好ましく、10〜20質量%であるのがより好ましい。
なお、無機顔料としては、前記(a)、(b)及び(c)以外に、黒色無機顔料(黒酸化鉄等)や、セラミック顔料(陶磁器顔料)などを含有することができる。
【0017】
一方、母材となる前記ポリマー粉体として用いられるポリマーとしては、化粧料に通常用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、セルロース等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル系樹脂、セルロースが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂がより好ましい。
また、重合体が透明又は半透明であり、その製造が容易であって、粒子強度及び耐溶剤性に優れるものが好ましく、架橋ポリマーが好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート−エチレングリコールジ(メタ)アクリレートコポリマーがさらに好ましい。
【0018】
ポリマーに無機顔料を内包させる方法は、用いられるポリマーの種類により適宜選択することができる。例えば、ポリマーの種類がナイロン樹脂の場合、パラフィン等と環状ラクタムとを混合して、加熱、溶解させ、得られた混合物に、所望量の無機顔料(成分(a)、(b)、(c)を含む)の粉末を添加する。これを、かき混ぜながら、重合促進剤、例えば、三塩化リン等を添加してアルカリ重合を行ない、粒子を得る。更に該粒子を濾別し、得られた粒子を、有機溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、ベンゼン等又は水で洗浄し、次いで、乾燥する方法等が挙げられる。
【0019】
また、例えば、ポリマーの種類がシリコーン樹脂の場合、アンモニア、アミン等の水溶液と無機顔料(成分(a)、(b)、(c)を含む)の粉末とを混合し、得られた混合物に加水分解性シラン、アルコキシシラン、アセトキシシラン等を混合してアルコキシシラン等を加水分解する。次いで、アルコキシシラン等の加水分解物と、アルコキシシラン等の加水分解物又は加水分解されていないアルコキシシラン等との縮合反応を行ない、粒子を得る。更に該粒子を濾別し、得られた粒子を水洗して乾燥する方法等が挙げられる。
【0020】
さらに、例えば、ポリマーの種類が、(メタ)アクリル系樹脂の場合、モノマーとして(メタ)アクリル酸エステル、重合開始剤としてのラウロイルパーオキサイドを混合して溶解し、得られた混合物に、所望量の無機顔料(成分(a)、(b)、(c)を含む)を添加して分散させる。得られた分散液をポリビニルアルコール水溶液に添加して分散させ、撹拌しながら加熱して重合(懸濁重合)を行ない、粒子を得る。該粒子を濾別し、得られた粒子を水洗して乾燥する方法等が挙げられる。
【0021】
また、ポリマー粒子内における無機顔料の分散状態は、高分散状態であることが好ましく、分散状態をコントロールする方法としては、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、アトライターミル、ボールミル等の機械を用いる分散方法;低分子界面活性剤〔例えば、アニオン界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等)、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等〕、高分子分散剤〔例えば、デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルポリシロキサン等〕などを用いる分散方法等が挙げられる。
【0022】
成分(A)のポリマー粉体の平均粒径は、毛穴等の皮溝部や皮丘部に対して均一な付着性を発現することにより、肌へのむらづき、仕上がりの厚ぼったさを抑制し、自然な仕上がりを与え、塗布時の初期のひっかかり感を軽減する点から、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。また、ポリマー粒子の平均粒径の上限値は、使用時の粉っぽさを抑える観点から、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
本発明において、成分(A)の平均粒径は、エタノールを溶媒とし、レーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定された体積基準平均粒径をいう。なお、ポリマー粉体中の顔料の粒子径は、電子顕微鏡観察により測定しても良い。
【0023】
成分(A)のポリマー粉体の形状は、球状、紡錘状、棒状、板状、不定形状などいずれでも良く、光散乱効果と使用感に優れる点から、球状、紡錘状が好ましい。「球状」とは、真球である必要はなく、例えば、真球状のもの;略球状のもの;正反射及び/又は乱反射を抑制する性質を発現する回転楕円体;球状のものの表面に凹凸があるもの等をいう。
【0024】
また、ポリマー粉体は、肌の色むらと肌の凹凸や毛穴を目立たなくさせる効果の点から、全透過率は40%以上80%未満であるのが好ましく、50%以上80%未満であるのがより好ましく、ヘイズ値は45以上100未満が好ましく、60以上100未満がより好ましい。
全透過率とヘイズ値の測定は、粉体0.4g、アミノ変性シリコーン(SF8417、東レ・ダウコーニング社製)1.6gを良く練り込んだものをガラス板に塗布して、サンプルとし、Haze−meter HM−150(村上色彩技術研究所社製)にて行なう。測定には、波長550nmをピークとした光、8°視野光を用いる。
【0025】
ポリマー粉体は、そのままの状態で用いることができるが、更にその表面に、通常用いられている疎水化処理剤で疎水化処理を施して用いることもできる。
疎水化処理剤としては、通常用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン等のシリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、炭素数8〜22のN−モノ脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するリン酸エステル等が挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。疎水化処理剤のうち、シリコーン油、パーフルオロアルキル基を有するリン酸エステルが好ましい。
【0026】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、肌へのむらづきや粉っぽさを抑制する観点から、含有量は、全組成中に0.3質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。そして、仕上がりが厚ぼったくならず、自然な仕上がりが得られる点から、25質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。また、成分(A)は、全組成中に0.3〜25質量%含有され、好ましくは0.5〜20質量%であり、より好ましくは2〜15質量%含有される。
【0027】
本発明で用いる成分(B)のフッ素変性シリコーンは、前記一般式(1)及び(2)で表されるポリシロキサン単位を有するものである。
式中、R
1 、R
2 及びR
3 で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基等の分岐鎖アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基などが挙げられる。
【0028】
また、mは2〜6の数を示し、好ましくは2〜5、より好ましくは3である。nは1〜6の数を示し、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
pは3〜50の数を示し、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。sは1〜5の数を示し、好ましくは1〜3、より好ましくは1である。
【0029】
また、p及びsの割合、すなわち、一般式(1)で表されるポリシロキサン単位pの、一般式(1)及び(2)で表されるポリシロキサン単位の合計p+sに対する変性率は、使用感や化粧持ちに優れ、外観のムラが起こりにくく、化粧料を塗布した後の塗布ムラを起こりにくくする点から、0.66≦p/(p+s)≦0.9であり、0.75≦p/(p+s)≦0.83が好ましい。
【0030】
成分(B)のフッ素変性シリコーンは、例えば、特開平6−184312号公報に記載の方法に従って、製造することができる。
成分(B)としては、次の一般式(3)で表されるものが好ましい。
【0032】
(式中、p及びsは、前記と同じ意味を示し、qは5の数を示す)
【0033】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、肌へのむらづきや粉っぽさがなく、仕上がりが厚ぼったくならず、自然な仕上がりが得られる点から、含有量は、化粧料全体に対して、0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、50質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、0.01〜50質量%であり、0.1〜30質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
【0034】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、パウダーファンデーションを重ねて仕上げた際に、肌へのむらづきや粉っぽさがなく、仕上がりが厚ぼったくならず、自然な仕上がりが得られ、塗布時初期のひっかかり感や、肌のごわつき感が抑制される観点から、0.03以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、10以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。また、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、0.03〜10であるのが好ましく、0.1〜4がより好ましく、0.4〜3がさらに好ましい。
【0035】
本発明で用いる成分(C)の微粒子酸化亜鉛は、比表面積が10〜100m
2/gのものであって、15〜95m
2/gのものが好ましい。このような比表面積の微粒子酸化亜鉛を用いることにより、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得ることができる。
【0036】
成分(C)の微粒子酸化亜鉛は、そのまま使用することができるが、必要に応じて、シリコーン、金属セッケン、レシチン、N−アシルアミノ酸、フッ素化合物等によって、撥水及び/又は撥油処理を行ったものを用いることもできる。化粧崩れを防ぎ、化粧料中の微粒子酸化亜鉛の分散性を向上させる点から、シリコーン処理したものが好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたシリコーン処理をするのがより好ましい。これらの処理は、通常の方法により行うことができる。
【0037】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、化粧の持続性に優れ、肌へのむらづきや粉っぽさがなく、仕上がりが厚ぼったくならず、自然な仕上がりが得られる点から、含有量は、化粧料全体に対し、0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、15質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、化粧料全体に対して、0.1〜15質量%であり、0.5〜10質量%が好ましく、1〜6質量%がより好ましい。
【0038】
本発明において、成分(B)及び(C)の質量割合(B)/(C)は、自然な仕上がりが得られ、塗布時初期のひっかかり感や、肌のごわつき感が抑制される観点から、0.05以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。また、成分(B)及び(C)の質量割合(B)/(C)は、0.05〜30であるのが好ましく、0.5〜20がより好ましく、1〜15がさらに好ましい。
【0039】
本発明の油中水型乳化化粧料は、更に(D)トリデカフルオロオクチルエトキシシランで表面処理された粉体を含有することができる。
成分(D)の粉体は、下記式で示されるトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理されたものである。
F
3C−(CF
2)
5−(CH
2)
2−Si−(OCH
2CH
3)
3
粉体を表面処理するフッ素化合物のうちでも、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理した粉体を用いることにより、肌のむらづきを抑制し、自然な仕上がりを得ることができる。トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランとしては、大東化成工業株式会社より販売されているFHSが好適である。
【0040】
処理される粉体としては、通常の化粧料に用いられる体質顔料、着色顔料であれば特に制限されず、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びカーボンブラック、これらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等の有機粉体;さらに、上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。
【0041】
粉体をトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理する方法としては、例えば、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランをミキサー内で滴下または添加して粉体と混合した後、熱処理を行い、必要に応じて解砕する方法や、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを溶解又は分散させた有機溶剤液と粉体とを混合した後、有機溶剤を除去し、乾燥後解砕する方法などが挙げられる。
中でも、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを有機溶剤に溶解又は分散させ、粉体とミキサー内で混合しながら、ミキサーを減圧下で加温して有機溶剤を除去した後、必要に応じて熱処理及び解砕する製造方法が好ましい。ここで用いる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルムに代表される極性有機溶剤や、ノルマルヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素系有機溶剤が適当である。
【0042】
トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランの処理量は粉体によって異なるが、成分(D)の粉体質量に対して、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。また、0.05〜50質量%であるのが好ましく、0.1〜20質量%処理されるのがより好ましい。この処理量であれば、撥水性及び撥油性が十分に発現し、感触や流動性も良好であるので好ましい。
【0043】
成分(D)は、塗布時の粉っぽさと仕上がりの点から、平均粒径が0.01〜20μmであるのが好ましく、0.01〜10μmであるのがより好ましい。
なお、本発明において、成分(D)の粒径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA−920)で測定する。
【0044】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、化粧の持続性に優れる点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。また、成分(D)は、全組成中に0.1〜30質量%含有されるのが好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、1〜20質量%含有されるのがさらに好ましい。
【0045】
成分(D)に含まれる着色顔料の含有量は、パウダーファンデーションを重ねて仕上げた際の肌へのむらづきや粉っぽさがなく、仕上がりが厚ぼったくならず、自然な仕上がりが得られる点から、全組成中に5質量%以下であるのが好ましく、4質量%以下がより好ましい。
ここで、着色顔料とは、白色、又は有色の顔料であれば特に制限されず、例えば、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びカーボンブラック、これらの複合体等の無機顔料が挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる水の含有量は、使用感、保存安定性の点から、全組成中に、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。また、水は全組成中に、10〜60質量%含有されるのが好ましく、15〜50質量%がより好ましい。
【0047】
また、本発明に用いられる油剤は、20℃で液状のものが挙げられ、固体状、ペースト状の油剤を用いる場合には、一度別の油剤や溶媒に溶解してから用いることが好ましい。
本発明で用いる油剤としては、シリコーン油、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油(油脂を含む)、エーテル油、鉱油等が挙げられ、使用感の観点から、シリコーン油、炭化水素油、エステル油がより好ましく、シリコーン油がさらに好ましい。なかでも、ジメチルポリシロキサン、シクロポリシロキサンがよりさらに好ましい。
これら油剤は、1種又は2種以上用いることができる。
また、本発明に用いられる油剤の含有量は、全組成中に、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。また、油剤は、全組成中に、10〜50質量%含有するのが好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
【0048】
また、本発明に用いられる界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。中でも、非イオン界面活性剤が好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。成分(A)、(B)、(C)を安定に乳化させる観点から、HLB値が1以上、7以下が好ましく、HLB値が2以上、6以下がより好ましい。
界面活性剤の含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、8質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。また、界面活性剤は、全組成中に0.1〜8質量%含有するのが好ましく、0.2〜6質量%がより好ましい。
【0049】
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
【0050】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの重量(g)を示す。
【0051】
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ等の固形油分;水溶性及び油溶性ポリマー;前記成分以外の粉体;エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤などを含有することができる。
【0052】
本発明の油中水型乳化化粧料は、パウダーファンデーションを重ねて仕上げた際の肌へのむらづきや粉っぽさがなく、仕上がりが厚ぼったくならず、自然な仕上がりが得られる点から、成分(A)〜(D)以外の粉体を10質量%以下含むことが好ましい。より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下含むことができる。
【0053】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。剤型としては、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状が挙げられ、乳液状が好ましい。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーションがより好ましく、化粧下地がさらに好ましい。
【0054】
本発明の油中水型乳化化粧料は、配合安定性、使用性、使用感の点から、25℃における粘度が500〜20万mPa・sであるのが好ましく、1000〜10万mPa・sがより好ましく、2000〜5万mPa・sであるのが更に好ましい。ここで、粘度はB型粘度計で測定したものである。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0055】
<1>次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)無機顔料を内包するポリマー粉体であって、(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、及び(c)黄色無機顔料を含み、(a):(b):(c)の質量割合が70〜99:0.1〜10:0.1〜20であるポリマー粉体 0.3〜25質量%、
(B)下記一般式(1)及び(2)
【0057】
(式中、Rfは炭素数6の直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基を示し、R
1、R
2及びR
3は、同一又は異なって、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、mは2〜6の数を示し、nは1〜6の数を示し、pは3〜50の数を示し、sは1〜5の数を示し、p及びsの割合が、0.66≦p/(p+s)≦0.9である)
で表されるポリシロキサン単位を有するフッ素変性シリコーン 0.01〜50質量%、
(C)比表面積10〜100m
2/gの微粒子酸化亜鉛 0.1〜15質量%
を含有し、成分(A)と成分(B)の質量割合(A)/(B)が、0.03〜10であって、0.1〜4が好ましく、0.4〜3がより好ましい油中水型乳化化粧料。
【0058】
<2>成分(A)において、(a)白色無機粉体、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料のポリマー粉体中の質量割合は、(a):(b):(c)=70〜99:0.1〜10:0.1〜20であり、70〜97:1〜10:2〜20が好ましく、80〜97:1〜5:2〜15がより好ましく、90〜97:1〜3:2〜7が更に好ましい前記<1>記載の油中水型乳化化粧料。
<3>成分(A)において、母材となるポリマーが、(メタ)アクリル系樹脂、セルロースであって、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート−エチレングリコールジ(メタ)アクリレートコポリマーがより好ましい前記<1>又は<2>記載の油中水型乳化化粧料。
【0059】
<4>成分(A)の平均粒径が1〜30μmであって、3〜15μmが好ましい前記<1>〜<3>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<5>成分(A)が、全透過率40%以上80%未満であって、50%以上80%未満が好ましく、ヘイズ値45以上100未満であって、60以上100未満が好ましい前記<1>〜<4>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0060】
<6>成分(A)の含有量が、全組成中に0.3〜25質量%であって、0.5〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい前記<1>〜<5>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<7>成分(B)の含有量が、全組成中に0.01〜50質量%であって、0.1〜30質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい前記<1>〜<6>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0061】
<8>成分(C)の含有量が、全組成中に0.1〜15質量%であって、0.5〜10質量%が好ましく、1〜6質量%がより好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<9>成分(B)及び(C)の質量割合(B)/(C)が、0.05〜30であって、0.5〜20が好ましく、1〜15がより好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0062】
<10>さらに、(D)トリデカフルオロオクチルエトキシシランで表面処理した粉体を含有する前記<1>〜<9>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<11>成分(D)の含有量が、全組成中に0.1〜30質量%であって、0.5〜25質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい前記<10>記載の油中水型乳化化粧料。
<12>成分(D)に含まれる着色顔料の含有量が、全組成中に5質量%以下であって、4質量%以下が好ましい前記<10>又は<11>記載の油中水型乳化化粧料。
【実施例】
【0063】
製造例1(ポリマー粉体の製造)
1300mL容のビーカーに、ラウリルメタクリレート 56g、エチレングリコールジメタクリレート 19g及びラウロイルパーオキシド 1.5gを仕込み、溶液を得た。また、平均粒径0.25μmの酸化チタン(CR−50、石原産業社製)、平均粒径0.38μmのベンガラ(ベンガラ七宝、森下ベンガラ社製)、平均粒径0.07×0.7μm(針状のため)の黄酸化鉄(イエローLLXLO、チタン工業社製)を、表1に示す割合で混合し、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて撥水処理(無機粉体に対して2%)した。次に、得られた溶液と、撥水処理した無機顔料とを、表1に示す内包率になるよう混合し、分散させて、分散液を得た。この分散液に1質量%ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−17、日本合成化学工業社製)水溶液750gを添加し、超音波分散機を用いて分散した(時間と強度で粒径がコントロールできる)。得られた分散液を1000mL容のセパラブルフラスコに仕込み、その後、該セパラブルフラスコ内の気相を窒素置換した。次いで、前記分散液を150r/minで撹拌しながら、75℃で8時間、窒素雰囲気下に維持して、重合を行なった。重合終了後、得られた産物を濾過して固体を回収し、水で洗浄し、次いで、減圧乾燥して、表1に示す平均粒径の無機顔料含有ポリマー粉体120gを得た。
得られたポリマー粉体について、透過率及びヘイズ値を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0064】
(測定方法)
各粉体の全透過率及びヘイズ値は、Haze−meter HM−150(村上色彩技術研究所社製)を用いて測定した。測定には、波長550nmをピークとした光を用いた。
試料の調製は以下のように行った。粉体を0.4g秤取り、これをアミノ変性シリコーン(SF8417、東レ・ダウコーニング社)1.6gに練り込み、ガラス板へ塗布する。練り込みはフーバーマーラー(混錬機:YOSHIMITSU社製、フーバーマーラー)を用いて100回転で行い、1回かきとりを入れた後、更に100回転で練り込んだ。またガラス板への塗布は、0.025mmのコーター(YOSHIMITSU社製、コーター)を用いて行った。
【0065】
なお、ヘイズ値(H)は拡散透過率(Td)を全透過率(Tt)で割った値に100を掛けることで算出されるが、本発明(実施例)に記載するヘイズ値(H)は各サンプルの厚さによる測定誤差をなくすため、各サンプルが15μmのときの値に換算した値(H15)である。換算式は以下のとおりである。サンプルの厚さは、透過率、ヘイズ値測定後、膜厚計(YOSHIMITSU社製)を用いて測定する。
【0066】
【数1】
【0067】
式中、Ttは全透過率、Tdは拡散透過率、Lは膜厚である。膜厚は測定後の塗布膜を膜厚計で測定した値を用いる。
【0068】
【表1】
【0069】
製造例2
(a)平均粒径0.25μmの酸化チタン(CR−50、石原産業社製)、(b)平均粒径0.38μmのベンガラ(ベンガラ七宝、森下ベンガラ社製)、(c)平均粒径0.07×0.7μm(針状のため)の黄酸化鉄(イエローLLXLO、チタン工業社製)を、(a):(b):(c)=95:1:4の割合で混合し、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて撥水処理(無機粉体に対して2%)した。次に、得られた分散液20質量部とビスコース80質量部を粗混合し、無機顔料混合ビスコースを得た。その後、アニオン性高分子であるポリアクリル酸ソーダの水溶液に混ぜて混合し、10分かけて80℃に昇温し、さらに30分間、80℃にて混合し、凝固粒子を得た。次いで、この凝固粒子をガラスフィルターにてろ別し、0.5質量%塩酸にて中和し、さらに過剰の水とメタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥させ、無機顔料内包着色球状セルロース粉体を得た。得られた粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて解析した結果、その形状は略球状であり、平均粒径が10μmであった。
【0070】
製造例3(化合物B1の合成)
【化4】
【0071】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 の合成:
温度計、冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに、FA-6 (ユニマッテク社製)800g(2.2mol)と粒状NaOH(和光純薬社製)175.78g(4.4mol)を加えた。窒素雰囲気下で、テフロン(登録商標)製12cm三日月攪拌翼にて200rpmにて攪拌しながら、加熱し、フラスコ内温度を60℃とした。そこへ臭化アリル(和光純薬社製)398.73g(3.3mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間、80℃で1時間撹拌した。その後130℃に昇温し、過剰の臭化アリルを除去した。60℃まで冷却後、イオン交換水800gを入れ、30分間攪拌、その後静置して分層させた。上層の水層を抜き出し、さらにイオン交換水800gを入れ、再度攪拌、静置、水層除去を行った。60℃/5KPaにて脱水し、100℃/2KPaにて蒸留し、留分として、C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 774.9gを得た(収率88%)。
【0072】
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)52.89g(111mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.66gを加え、110℃に昇温した。
【0073】
【化5】
【0074】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 197.11g(488mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液25.07gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)2.51gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水62.5gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物B1)206.3gを得た(収率89%)。
【0075】
製造例4(化合物B2の合成)
【化6】
【0076】
製造例2と同様にして、C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 を合成した。
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)21.29g(51mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.26gを加え、110℃に昇温した。
【0077】
【化7】
【0078】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 78.71g(195mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液10.03gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)1.00gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水25gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物B2)78.9gを得た(収率85%)。
【0079】
製造例5(化合物B3の合成)
【化8】
【0080】
製造例2と同様にして、C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 を合成した。
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)17.61g(33mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.27gを加え、110℃に昇温した。
【0081】
【化9】
【0082】
C
6F
13−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 82.39g(206mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液10.03gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)1.00gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水25gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物B3)75.8gを得た(収率82%)。
【0083】
製造例6(化合物B4の合成)
【化10】
【0084】
冷却管及び磁気攪拌子を備えた100mLの二つ口フラスコに、窒素雰囲気下、メチル水素ポリシロキサン(MD
2D
H2M)(東芝シリコーン社製)を19.0g(44.1mmol)、C
8F
17−CH
2CH
2−O−CH
2CH=CH
2 53.3g(105.8mmol)を仕込んだ。次に、フラスコ内の温度を80℃に昇温したのち、塩化白金酸の2%イソプロピルアルコール溶液174.5μLを加え、60℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、ヘキサン50mL及び活性炭2.2gを加え、室温で1時間攪拌した。その後、活性炭を濾別し、溶媒を留去した。未反応の化合物を減圧留去し、目的化合物(化合物B5)49.4gを無色透明の油状物として得た(収率78%)。
【0085】
実施例1〜14及び比較例1〜6
表2及び表3に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、得られた油中水型乳化化粧料塗布後、パウダーファンデーションを重ねて仕上げた際の肌へのむらづきのなさ、粉っぽさのなさ、仕上がりの厚ぼったさのなさ、自然な仕上がり、塗布時初期のひっかかり感のなさ及びごわつき感のなさを評価した。結果を表2及び表3に併せて示す。
【0086】
(製法)
粉体相成分を混合粉砕し、別途混合した油相成分に添加してディスパーで分散した。その後、水相成分を添加し、ディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料を得た。
【0087】
(評価方法)
各油中水型乳化化粧料を塗布した後にパウダーファンデーション(エスト パウダーメイクアップ アクティブオーラ)を重ねて仕上げたとき、肌へのむらづきのなさ、粉っぽさのなさ、仕上がりの厚ぼったさのなさ、自然な仕上がり、パウダーファンデーションの塗布時初期のひっかかり感のなさ、肌のごわつき感を評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者10人が下記の5段階で官能評価し、10人の合計点で示した。
【0088】
(1)肌へのむらづきのなさ:
5;肌へのむらづきが非常にない。
4;肌へのむらづきがない。
3;どちらとも言えない。
2;肌へのむらづきがややある。
1;肌へのむらづきがある。
【0089】
(2)粉っぽさのなさ:
5;粉っぽさが非常にない。
4;粉っぽさがない。
3;どちらとも言えない。
2;粉っぽさがややある。
1;粉っぽさがある。
【0090】
(3)仕上がりの厚ぼったさのなさ:
5;厚ぼったさが非常にない。
4;厚ぼったさがない。
3;どちらとも言えない。
2;厚ぼったさがややある。
1;厚ぼったさがある。
【0091】
(4)自然な仕上がり:
5;仕上がりが非常に自然である。
4;仕上がりが自然である。
3;どちらとも言えない。
2;仕上がりがあまり自然でない。
1;仕上がりが自然でない。
【0092】
(5)塗布時初期のひっかかり感:
5;ひっかかり感が非常にない。
4;ひっかかり感がない。
3;どちらとも言えない。
2;ひっかかり感がややある。
1;ひっかかり感がある。
【0093】
(6)ごわつき感のなさ:
5;ごわつき感が非常にない。
4;ごわつき感がない。
3;どちらとも言えない。
2;ごわつき感がややある。
1;ごわつき感がある。
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
実施例15(リキッドファンデーション)
(成分)
(質量%)
(1)フッ素変性シリコーン(化合物B1;製造例2) 4.5
(2)ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体
(SH3775M、東レ・ダウコーニング社製) 3.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シリコーン TSF405) 11.0
(4)ジメチルポリシロキサン
(信越化学工業社製、KF−96L−2cs) 15.5
(5)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 2.0
(6)エタノール 9.8
(7)硫酸マグネシウム 0.3
(8)精製水 残量
(9)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5質量%処理酸化チタン 7.5
(10)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5質量%処理ベンガラ 0.4
(11)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5質量%処理黄酸化鉄 2.0
(12)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5質量%処理黒酸化鉄 0.1
(13)トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン3質量%処理タルク 5.0
(14)粉体8(a:b:c=95:1:4,含有量20%、平均粒径10μm) 3.0
(15)シリコーン処理微粒子酸化亜鉛(テイカ社製、MZ-500)*1 3.0
合計 100
*1:メチルハイドロジェンポリシロキサンで2質量%処理したもの
【0097】
(製法)
実施例1〜14と同様にして、リキッドファンデーション(油中水型乳化化粧料)を製造した。
得られたリキッドファンデーションは、肌へのむらづきや粉っぽさがなく、仕上がりが厚ぼったくならず、自然な仕上がりが得られ、塗布時初期のひっかかり感や、肌のごわつき感が抑制されたものであった。