特許第6075861号(P6075861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075861
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】特装車の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20170130BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20170130BHJP
   E03F 7/10 20060101ALI20170130BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   H04M11/00 301
   B60P3/00 Q
   E03F7/10 Z
   H04Q9/00 301B
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-31576(P2013-31576)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2014-160994(P2014-160994A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165343
【氏名又は名称】兼松エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】上田 征吾
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−095573(JP,A)
【文献】 特開平04−272002(JP,A)
【文献】 特開2009−121029(JP,A)
【文献】 特開2002−322679(JP,A)
【文献】 特開2012−232682(JP,A)
【文献】 特開2003−040051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P3/00−9/00
E03F 1/00−11/00
H03J 9/00−9/06
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引作業又は洗浄作業を行うための特装車の遠隔操作システムであって、
前記特装車に設置されて該特装車に搭載された機器の動作を制御する制御装置と、
前記特装車を作業現場で使用している使用者が所持する携帯端末と、
前記特装車の製造会社に設置されるサーバと、を備えており、
前記携帯端末は、前記制御装置及び前記サーバとの間で双方向通信可能に構成され、
前記特装車は、吸引物を収容する又は洗浄水を貯蔵するタンクと、前記タンクと直接又は間接的に接続された配管の開閉を切り換える弁と、前記タンク内の内容物の量を検知するレベルセンサ又は前記弁の開閉を検知する弁センサの少なくともいずれか一方と、を有しており、
前記制御装置は、前記携帯端末から送信される制御信号に基づいて、前記機器を動作又は停止させるための動作信号を送信するとともに、前記機器の動作状態を報知する報知信号を前記携帯端末及び/又は前記サーバに送信し、
前記報知信号は、少なくとも、前記レベルセンサ及び/又は前記弁センサからの検知信号に基づいて、前記タンクの内容物の量及び/又は前記弁の異常を知らせる報知信号を含み、
前記制御装置は、前記報知信号のうち前記使用者が作業現場で対応可能な事項に関する報知信号については、前記携帯端末のみに送信して前記サーバには送信しないことを特徴とする特装車の遠隔操作システム。
【請求項2】
前記特装車の使用者が属する使用会社に設置される第二サーバを備えており、
前記携帯端末は、前記第二サーバとの間で双方向通信可能に構成され、
前記制御装置は、前記報知信号を前記第二サーバにも送信する、
ことを特徴とする請求項1記載の特装車の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、該携帯端末の位置情報取得手段と、該位置情報取得手段により取得された位置情報を前記サーバ及び/又は前記第二サーバへと送信する位置情報送信手段とを備えていることを特徴とする請求項記載の特装車の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記サーバから前記携帯端末を介して送信される制御信号に基づいて、前記機器を動作又は停止させるための動作信号を送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記弁の異常を知らせる報知信号を前記サーバ及び前記携帯端末に送信し、前記タンクの内容物の量を知らせる報知信号を前記携帯端末のみに送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記特装車は、吸引装置を構成するブロワと、前記ブロワの排気温度を検知する温度センサとを有しており、
前記制御装置は、前記温度センサからの検知信号に基づいて、前記ブロワの排気温度の異常を知らせる報知信号を前記携帯端末及び前記サーバに送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記特装車は、作業日時と作業時間を含む作業情報を記録する記憶部を備えており、
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された作業情報及び該作業情報に基づくメンテナンス情報を、前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記機器の動作に異常が発生した時に、異常情報を前記携帯端末及び/又は前記サーバに送信し、
前記異常情報は、異常内容、異常発生場所、異常発生部位、異常発生日時、異常発生機器の製造番号、異常発生時の運転時間、の少なくとも1つ以上の情報を含む、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引作業又は洗浄作業を行うための特装車の遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸引車や洗浄車等の特装車を用いて作業を行う場合、現場にいる作業者は特装車を操作するため或いは特装車の異常等を早期に察知するために、常に特装車の近くにいる必要があった。そのため、作業者は特装車を離れて別の作業を行うことができず、作業効率が悪かった。
【0003】
専用の遠隔操作装置(リモコン)を用いて特装車を遠隔操作する技術も存在しているが、遠隔操作できるスイッチ数に限りがあり、装置が高価であることに加えて、特装車側からの運転情報が受け取れない、確実に動作したのか分からない、異常が発生したかどうかも分からない、等の多くの問題点がある。
【0004】
一方、下記特許文献1には、携帯電話機と作業車両側の制御装置とを電話回線または電話回線とインターネットを介して接続可能に構成すると共に、携帯電話の操作に基づいて作業車両側の制御装置から走行変速装置等へ変速作動出力等を行わせることができるように構成した作業車両の遠隔操作システムが開示されている。
【0005】
しかしながら、このシステムは作業車両を遠隔操作することはできるが、作業車両からの情報を遠隔地で受け取ることはできない。そのため、仮にこのシステムを吸引車や洗浄車等の特装車に適用したとしても、作業者が離れた場所にいながら特装車の動作状態(例えば、配管切換弁の故障やタンクが満量や低水位になったこと等)を把握することはできない。また、例えば作業者が現場で対応できないような異常が発生した場合には、作業現場から離れた位置にある特装車の製造会社に連絡をして対応する必要があるが、このシステムでは作業車両からの情報を遠隔地で受け取ることはできないため、製造会社に対して異常情報を迅速に伝えることができない。また、製造会社から直接特装車を遠隔操作することもできないため、対応が遅れてしまうなどの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−208509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、作業者が離れた場所にいながら、吸引作業又は洗浄作業を行うための特装車を遠隔操作することができるとともに、特装車の動作状態(例えば、配管切換弁の故障やタンクが満量や低水位になったこと等)を把握することもでき、加えて作業現場から離れた位置にある特装車の製造会社からも特装車の動作状態を迅速に把握することが可能となる特装車の遠隔操作システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、吸引作業又は洗浄作業を行うための特装車の遠隔操作システムであって、前記特装車に設置されて該特装車に搭載された機器の動作を制御する制御装置と、前記特装車を作業現場で使用している使用者が所持する携帯端末と、前記特装車の製造会社に設置されるサーバと、を備えており、前記携帯端末は、前記制御装置及び前記サーバとの間で双方向通信可能に構成され、前記特装車は、吸引物を収容する又は洗浄水を貯蔵するタンクと、前記タンクと直接又は間接的に接続された配管の開閉を切り換える弁と、前記タンク内の内容物の量を検知するレベルセンサ又は前記弁の開閉を検知する弁センサの少なくともいずれか一方と、を有しており、前記制御装置は、前記携帯端末から送信される制御信号に基づいて、前記機器を動作又は停止させるための動作信号を送信するとともに、前記機器の動作状態を報知する報知信号を前記携帯端末及び/又は前記サーバに送信し、前記報知信号は、少なくとも、前記レベルセンサ及び/又は前記弁センサからの検知信号に基づいて、前記タンクの内容物の量及び/又は前記弁の異常を知らせる報知信号を含み、前記制御装置は、前記報知信号のうち前記使用者が作業現場で対応可能な事項に関する報知信号については、前記携帯端末のみに送信して前記サーバには送信しないことを特徴とする特装車の遠隔操作システムに関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記特装車の使用者が属する使用会社に設置される第二サーバを備えており、前記携帯端末は、前記第二サーバとの間で双方向通信可能に構成され、前記制御装置は、前記報知信号を前記第二サーバにも送信する、ことを特徴とする請求項1記載の特装車の遠隔操作システムに関する。
【0011】
請求項に係る発明は、前記携帯端末は、該携帯端末の位置情報取得手段と、該位置情報取得手段により取得された位置情報を前記サーバ及び/又は前記第二サーバへと送信する位置情報送信手段とを備えていることを特徴とする請求項記載の特装車の遠隔操作システムに関する。
【0012】
請求項に係る発明は、前記制御装置は、前記サーバから前記携帯端末を介して送信される制御信号に基づいて、前記機器を動作又は停止させるための動作信号を送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システムに関する。
【0013】
請求項に係る発明は、前記制御装置は、前記弁の異常を知らせる報知信号を前記サーバ及び前記携帯端末に送信し、前記タンクの内容物の量を知らせる報知信号を前記携帯端末のみに送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システムに関する。
【0014】
請求項に係る発明は、前記特装車は、吸引装置を構成するブロワと、前記ブロワの排気温度を検知する温度センサとを有しており、前記制御装置は、前記温度センサからの検知信号に基づいて、前記ブロワの排気温度の異常を知らせる報知信号を前記携帯端末及び前記サーバに送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システムに関する。
【0015】
請求項に係る発明は、前記特装車は、作業日時と作業時間を含む作業情報を記録する記憶部を備えており、前記制御装置は、前記記憶部に記憶された作業情報及び該作業情報に基づくメンテナンス情報を、前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システムに関する。
【0016】
請求項に係る発明は、前記制御装置は、前記機器の動作に異常が発生した時に、異常情報を前記携帯端末及び/又は前記サーバに送信し、前記異常情報は、異常内容、異常発生場所、異常発生部位、異常発生日時、異常発生機器の製造番号、異常発生時の運転時間、の少なくとも1つ以上の情報を含む、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の特装車の遠隔操作システムに関する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、作業者が離れた場所にいながら、携帯端末を用いて吸引作業又は洗浄作業を行うための特装車を遠隔操作することができるとともに、特装車の特定の動作状態(配管切換弁の異常、タンクの満量又は低水位)に関する情報を携帯端末から受信することもできる。加えて、作業現場から離れた位置にある特装車の製造会社に設置されたサーバにおいても前記動作状態に関する情報を受信することができる。そのため、作業者(使用者)は、特装車から離れた位置にいても、特装車が特定の動作状態(配管切換弁の異常、タンクの満量や低水位)となったことを速やかに把握して迅速な対応を採ることが可能となる。また、作業現場から離れた位置にある特装車の製造会社においても特装車が特定の動作状態となったことを速やかに把握することができるため、作業者が現場で対応できないような異常が発生した場合にも迅速な対応を採ることが可能となる。
また、制御装置は、報知信号のうち使用者が作業現場で対応可能な事項に関する報知信号については、携帯端末のみに送信してサーバには送信しないことから、携帯端末を所有する作業者(使用者)は作業現場で対応可能な事項(タンク満量や低水位等)に関する報知信号を受けとって迅速に対応することができる。一方、サーバには作業現場で対応可能な事項(タンク満量や低水位等)に関する報知信号は送信されないため、サーバに加わる負荷を少なくすることができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、特装車の使用者が属する使用会社に設置される第二サーバを備えており、携帯端末は第二サーバとの間で双方向通信可能に構成され、制御装置は報知信号を第二サーバにも送信することから、使用会社においても、特装車が特定の動作状態となったことを速やかに把握することができ、必要に応じて迅速な対応を採ることが可能となる。
【0020】
請求項に係る発明によれば、携帯端末は、該携帯端末の位置情報取得手段と、該位置情報取得手段により取得された位置情報をサーバ及び/又は第二サーバへと送信する位置情報送信手段とを備えていることから、特装車の製造会社及び/又は使用会社において、携帯端末を所有する作業者の位置を特定することができる。そのため、特装車の異常発生時等における対応を迅速に行うことが可能となる。
【0021】
請求項に係る発明によれば、制御装置は、サーバから携帯端末を介して送信される制御信号に基づいて機器を動作又は停止させるための動作信号を送信することから、特装車の作業現場から遠く離れた位置にある製造会社からサーバを介して特装車を遠隔操作することが可能となる。
【0022】
請求項に係る発明によれば、制御装置は、弁の異常を知らせる報知信号をサーバ及び携帯端末に送信し、タンクの内容物の量を知らせる報知信号を携帯端末のみに送信することから、携帯端末を所有する作業者(使用者)は作業現場で対応可能なタンク内容物の量に関する報知信号を受けとって迅速に対応することができる。一方、サーバには作業現場で対応可能なタンク内容物の量に関する報知信号は送信されないため、サーバに加わる負荷を少なくすることができる。一方、作業現場で対応できない可能性がある弁の異常を知らせる報知信号はサーバにも送られることから、サーバが設置された製造会社でも対応することが可能となる。
【0023】
請求項に係る発明によれば、特装車は、吸引装置を構成するブロワと、ブロワの排気温度を検知する温度センサとを有しており、制御装置は、温度センサからの検知信号に基づいて、ブロワの排気温度の異常を知らせる報知信号を携帯端末及びサーバに送信することから、ブロワの排気温度の異常が生じた場合に、この異常を、携帯端末を所有する作業者(使用者)とサーバが設置された製造会社の両方で把握することができ、的確且つ迅速な対応を採ることが可能となる。
【0024】
請求項に係る発明によれば、特装車は、作業日時と作業時間を含む作業情報を記録する記憶部を備えており、制御装置は、記憶部に記憶された作業情報を携帯端末に送信することから、携帯端末を所有する作業者(使用者)は、特装車の作業情報を携帯端末で確認し且つ管理することが可能となると共に、給油、給脂や部品交換等のメンテナンス情報も携帯端末で確認し且つ管理することが可能となる。
【0025】
請求項に係る発明によれば、制御装置が、特装車に搭載された機器の動作に異常が発生した時に、異常情報を携帯端末及び/又はサーバに送信することから、携帯端末を所有する作業者(使用者)や特装車の製造会社は、特装車から離れた場所において、機器の異常を把握することができるため、異常に対して迅速な対応を採ることが可能となる。そして、異常情報は、異常内容、異常発生場所、異常発生部位、異常発生日時、異常発生機器の製造番号、異常発生時の運転時間、の少なくとも1つ以上の情報を含むことから、異常に対して的確な対応を採ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る特装車の遠隔操作システムの全体構成を示す図である。
図2】特装車が吸引車である場合における、吸引車に搭載される機器の構成を示す図である。
図3】特装車が洗浄車である場合における、洗浄車に搭載される機器の構成を示す図である。
図4】携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
図5】制御装置及びこれに関連する構成を示すブロック図である。
図6】サーバの概略構成を示すブロック図である。
図7】第二サーバの概略構成を示すブロック図である。
図8】特装車を作業現場で使用している使用者(作業者)が、特装車と離れた位置から携帯端末を使用して特装車を遠隔操作する場合の作用を示すフローチャートである。
図9】特装車の製造会社から、サーバを使用して特装車を遠隔操作する場合の作用を示すフローチャートである。
図10】特装車に搭載された機器に関して対応が必要な事象が生じた場合であって、当該事象が、現場の作業者が作業現場で対応可能な事象である場合の作用を示すフローチャートである。
図11】特装車に搭載された機器に関して対応が必要な事象が生じた場合であって、当該事象が、現場の作業者が作業現場で対応できない事象である場合の作用を示すフローチャートである。
図12】サーバが設置された製造会社において、特装車に搭載された機器の動作情報を要求する場合の作用を示すフローチャートである。
図13】特装車を作業現場で使用している使用者が、特装車に対して作業情報を要求する場合の作用を示すフローチャートである。
図14】本発明に係る特装車の遠隔操作システムの動作時における、携帯端末の表示部の表示内容の一例を示す図である。
図15】本発明に係る特装車の遠隔操作システムの動作時における、携帯端末の表示部の表示内容の一例を示す図である。
図16】本発明に係る特装車の遠隔操作システムの動作時における、携帯端末の表示部の表示内容の一例を示す図である。
図17】本発明に係る特装車の遠隔操作システムの動作時における、携帯端末の表示部の表示内容の一例を示す図である。
図18】本発明に係る特装車の遠隔操作システムの動作時における、携帯端末の表示部の表示内容の一例を示す図である。
図19】本発明に係る特装車の遠隔操作システムの動作時における、携帯端末の表示部の表示内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る特装車の遠隔操作システムの好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る特装車の遠隔操作システムの全体構成を示す図である。
本発明に係る特装車の遠隔操作システムは、特装車(1)に設置されて該特装車に搭載された機器の動作を制御する制御装置(2)と、特装車(1)を作業現場で使用している使用者(作業者)が所持する携帯端末(3)と、特装車(1)を製造する製造会社(4)に設置されるサーバ(5)とを備えている。またこれに加えて、特装車(1)の使用者(作業者)が属する使用会社(6)に設置される第二サーバ(7)を備えることができる。
【0028】
特装車(1)は、吸引作業を行うために吸引力を発生させることができる吸引車、又は洗浄作業を行うために洗浄水を噴射することができる洗浄車である。図1では、特装車として吸引車を示している。
特装車(1)は、上記制御装置(2)に加えて、少なくとも、吸引物を収容する又は洗浄水を貯蔵するタンク(10)と、タンク(10)内の内容物の量を検知するレベルセンサと、タンク(10)と直接又は間接的に接続された配管の開閉を切り換える弁と、弁の開閉を検知する弁センサとを有している。
【0029】
図2は、特装車(1)が吸引車である場合における、吸引車に搭載される機器の構成を示す図である。但し、この構成は一例であって、この構成に限定されるものではない。
この吸引車は、吸引物を収容するタンク(10)と、吸引ホース(101)と、タンク(10)内を減圧状態とすることにより吸引装置として機能する2台のルーツブロワ(以下、ブロワと称す)(102)と、タンク(10)内に回収されなかった固形分を捕捉するサイクロン式集塵機からなる2次キャッチャ(103)と、2次キャッチャ(103)で捕捉されなかった固形分を捕捉する湿式集塵機からなる3次キャッチャ(104)と、3次キャッチャ(104)で捕捉されずにブロワ(102)を通過した固形分を捕捉するミストキャッチャ兼消温水槽からなる4次キャッチャ(105)と、吐出サイレンサ(106)を備えている。
また、タンク(10)と2次キャッチャ(103)とを連結する配管(107)の中途部下流側には第一切換弁(108)が設けられている。配管(107)は、第一切換弁(108)の上流側において分岐されており、この分岐管は第二切換弁(109)を介してタンク(10)と2次キャッチャ(103)を連結する配管の中途部上流側に接続されている。下流側のブロワ(102)と吐出サイレンサ(106)を連結する配管の中途部には第三切換弁(110)が設けられている。
【0030】
図3は、特装車(1)が洗浄車である場合における、洗浄車に搭載される機器の構成を示す図である。但し、この構成は一例であって、この構成に限定されるものではない。
この洗浄車は、洗浄水を貯蔵するタンク(10)と、ポンプ(201)と、調圧弁(202)と、高圧水蓄積装置(アキュームレーター)(204)と、バイパス弁(205)とを備えている。タンク(10)は連結パイプ(206)を介してポンプ(201)に連結されるとともに、還流パイプ(207)を介して調圧弁(202)に連結されている。ポンプ(201)はこのポンプ内に設けられたプランジャー(図示せず)から高圧の流体を噴出しタンク(10)内の水を連結パイプ(206)を介して吸引するものであって、このポンプ(201)は調圧弁(202)に連結されている。
【0031】
携帯端末(3)としては、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、モバイル型パソコンなどの無線通信機能を有し且つ携帯可能な端末を使用することができ、特に機能と携帯性の両立の観点からスマートフォンが好適に使用される。
携帯端末(3)は、制御装置(2)及びサーバ(5)との間で双方向に無線通信可能に構成されている。具体的には、制御装置(2)との間の通信にはBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等が使用され、サーバ(5)との間の通信には通信基地局(11)等を介する公衆回線網(公衆通信ネットワーク)等を利用したWAN(Wide Area Network)が使用される。
【0032】
図4は、携帯端末(3)の概略構成を示すブロック図である。
携帯端末(3)は、上述したスマートフォン等の無線通信機能を有し且つ携帯可能なコンピュータ端末からなり、CPU(中央演算処理装置)を含む制御部(31)と、RAMやROM等からなる記憶部(32)と、液晶ディスプレイ等からなる表示部(33)と、外部機器との間で信号の送受信を行うための通信部(34)と、タッチパネル、キーボード、マウス等からなる入力部(35)と、GPS(Global Positioning System)を利用して携帯端末の位置情報(緯度及び経度を含む)を取得する位置情報取得手段(36)と、位置情報取得手段(36)により取得された位置情報をサーバ(5)及び/又は第二サーバ(7)へと送信する位置情報送信手段(37)を備えている。
【0033】
記憶部(32)について、RAMはデータ作業領域として用いられ、ROMはオペレーティングシステム(OS)及び後述する各手段を実行するためのプログラム(アプリケーションソフトウェア)を格納(記憶)している。これは後述する他の記憶部(22)、(52)、(72)についても同様である。記憶部(32)には、制御装置(2)、サーバ(5)、第二サーバ(7)から送信される各種の情報が記憶される。
【0034】
制御部(31)は、記憶部(32)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、入力部(35)からの入力或いはサーバ(5)から送信される制御信号に基づいて、制御装置(2)に対して特装車(1)に搭載された各種の機器(8)に対して動作信号の送信を要求する手段、位置情報を取得する位置情報取得手段(36)、取得した位置情報を送信する位置情報送信手段(37)を実現する。
【0035】
図5は、制御装置(2)及びこれに関連する構成を示すブロック図である。
制御装置(2)はコンピュータからなり、CPU(中央演算処理装置)を含む制御部(21)と、RAMやROM等からなる記憶部(22)と、液晶ディスプレイ等からなる表示部(23)と、外部機器との間で信号の送受信を行うための通信部(24)とを備えている。
記憶部(22)には、作業日時と作業時間を含む作業情報(作業日報)、作業情報に基づくメンテナンス情報、車両番号、各機器の現在及び過去の動作状態を示す動作情報のデータ、各機器の製造番号等が記録されている。メンテナンス情報とは、作業時間の情報に基づいて算出された、給油、給脂、部品交換等の時期(メンテナンス時期)に関する情報である。
【0036】
制御部(21)は、記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、携帯端末(3)から送信される制御信号に基づいて特装車(1)に搭載された各種の機器(8)を動作又は停止させるための動作信号を送信する手段(動作信号送信手段)、センサ等により取得された機器(8)の動作状態を報知する報知信号を携帯端末(3)及び/又はサーバ(5)に送信する手段(報知信号送信手段)、記憶部(22)に記憶された上記作業情報を携帯端末(3)に送信する手段(作業情報送信手段)、機器(8)の動作に異常が発生した時に異常情報を携帯端末(3)及び/又はサーバ(5)に送信する手段(異常情報送信手段)を実現する。報知信号送信手段は、必要に応じて、前記報知信号の全て又は一部を第二サーバ(7)に送信するように設定される。
【0037】
制御部(21)により制御される機器(8)としては、タンク(10)と直接又は間接的に接続された配管の開閉を切り換える弁(108)、(109)、(110)、(205)、(202)、吸引装置(真空発生装置)として機能するブロワ(102)(吸引車の場合)、洗浄水を吐出するためのポンプ(201)(洗浄車の場合)、エンジン(81)等が挙げられるが、これらに限定はされない。
動作信号送信手段により送信される動作信号により実行される動作としては、例えば、弁の開閉(開度の調節も含む)、ポンプの作動/停止や運転条件の変更(水圧や流量の増減等)、ブロワの作動/停止や運転条件の変更(水圧や流量の増減等)、タンクの動作(ハッチ開閉やダンプアップ)、エンジンの作動/停止や回転数の増減、作業灯の点灯等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
異常情報送信手段により送信される異常情報には、異常内容、異常発生場所、異常発生部位、異常発生日時、異常発生機器の製造番号、異常発生時の運転時間、の少なくとも1つ以上の情報(好ましくは全ての情報)が含まれるが、これらに限定されない。
異常内容(例えばエンジンの回転異常)の情報は、予め定められた異常内容が分かるエラーコード(例えば4桁の数字)として送信される。異常発生場所の情報は、特装車(1)に備えられたGPSを利用した車両位置情報取得手段により取得された位置情報(緯度及び経度を含む)を含む。異常発生部位の情報は、どの機器(例えばポンプやブロワ等)に異常が発生したかを知らせる情報である。異常発生時の運転時間(稼働時間)の情報は、特装車(1)に備えられたアワーメータにより取得される。また、異常発生機器の製造番号を送信することは、機器の種類によって必要な交換部品が異なる場合があるため、異常への対応時に有効である。
【0039】
特装車(1)に取り付けられるセンサ(9)は、上述したレベルセンサ(91)及び弁センサ(92)の他に、ブロワ(102)の排気温度を検知する温度センサ(93)等からなるが、これらに限定はされない。
レベルセンサ(91)には、タンク(10)の内容物の量(回収物の量又は洗浄水の水位)を検知するレベルセンサ、2次キャッチャ(103)に回収された内容物の量を検知するレベルセンサ、4次キャッチャ(105)の水位を検知するレベルセンサのうち、少なくとも1つ以上のセンサが含まれる。
弁センサ(92)には、弁(108)、(109)、(110)、(205)、(202)の開閉を検知するセンサ(リミットスイッチ等)のうち、少なくとも1つ以上のセンサが含まれる。
【0040】
制御部(21)は、上述した通り、機器(8)の動作状態を報知する報知信号を携帯端末(3)及び/又はサーバ(5)に送信する。この報知信号は、少なくとも、レベルセンサ(91)及び/又は弁センサ(92)からの検知信号に基づいて、タンク(10)の内容物の量及び/又は弁((108)、(109)、(110)、(205)、(202)の少なくとも1つ以上)の異常を知らせる報知信号を含んでいる。更に、温度センサ(93)からの検知信号に基づいて、ブロワ(102)の排気温度の異常を知らせる報知信号、機器(8)への配線に取り付けられた配線用遮断器(ブレーカー)が遮断されたことを知らせる報知信号、を含むことができる。
【0041】
タンク(10)の内容物の量の異常を知らせる報知信号には、吸引車のタンク内が回収物で満量となったことを知らせる信号、洗浄車のタンク内の洗浄水が低水位となったことを知らせる信号、2次キャッチャ(103)に回収された内容物が満量となったことを知らせる信号、4次キャッチャ(105)の水槽が低水位となったことを知らせる信号が含まれる。
弁の異常を知らせる報知信号には、第一切換弁(108)の故障(制御信号を受けても切り替えが行われないこと)を知らせる信号、第二切換弁(109)の故障を知らせる信号、第三切換弁(110)の故障を知らせる信号、バイパス弁(205)の故障を知らせる信号、調圧弁(202)の故障を知らせる信号が含まれる。
【0042】
上記した各種の報知信号は、予め、特装車(1)の使用者(作業者)が作業現場で対応可能な事項(事象)に関する報知信号(「報知信号A」と称す)と、使用者が作業現場で対応することが困難な事項(事象)に関する報知信号(「報知信号B」と称す)とに区別されており、この区別情報は記憶部(22)に記憶されている。
制御部(21)は、記憶部(22)に記憶された区別情報に基づき、記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、報知信号Aについては携帯端末(3)のみに送信し(サーバには送信しない)、報知信号Bについては携帯端末(3)を介してサーバ(5)及び/又は第二サーバ(7)に送信する。
【0043】
報知信号Aとしては、例えば、吸引車のタンク内が回収物で満量となったことを知らせる信号、洗浄車のタンク内の洗浄水が低水位となったことを知らせる信号、2次キャッチャ(103)に回収された内容物が満量となったことを知らせる信号、4次キャッチャ(105)の水槽が低水位となったことを知らせる信号が含まれるが、これに限定はされない。
報知信号Bとしては、例えば、第一切換弁(108)の故障(制御信号を受けても切り替えが行われないこと)を知らせる信号、第二切換弁(109)の故障を知らせる信号、第三切換弁(110)の故障を知らせる信号、バイパス弁(205)の故障を知らせる信号、調圧弁(202)の故障を知らせる信号、ブロワ(102)の排気温度の異常を知らせる報知信号、故障発生時の機械運転時間を報知する信号、機器(8)に取り付けられた配線用遮断器(ブレーカー)が遮断されたことを知らせる報知信号が含まれるが、これに限定はされない。
【0044】
このように、報知信号を2種類に区別し、特装車(1)の使用者(作業者)が作業現場で対応可能な事項に関する報知信号は、携帯端末(3)のみに送信してサーバには送信しない構成を採ることにより、携帯端末を所有する作業者(使用者)は作業現場で対応可能な事項(タンク満量や低水位等)に関する報知信号を受けとって迅速に対応することができる。一方、サーバには作業現場で対応可能な事項(タンク満量や低水位等)に関する報知信号は送信されないため、サーバに加わる負荷を少なくすることができる。加えて、使用者が作業現場で対応することが困難な事項(弁の故障等)に関する情報は、サーバ(5)及び/又は第二サーバ(7)に送信されるため、特装車の製造会社や使用会社において、当該事項を迅速に把握して対応を採ることが可能となる。
【0045】
図6は、サーバ(5)の概略構成を示すブロック図である。
サーバ(5)はコンピュータであって、CPU(中央演算処理装置)を含む制御部(51)と、RAMやROM等からなる記憶部(52)と、液晶ディスプレイ等からなる表示部(53)と、外部機器との間で無線により信号の送受信を行うための通信部(54)と、タッチパネル、キーボード、マウス等からなる入力部(55)とを備えている。
記憶部(52)には、携帯端末(3)から送信される情報が記憶される。
【0046】
制御部(51)は、入力部(55)からの入力に基づいて、記憶部(52)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、機器(8)を動作又は停止させるための動作信号を携帯端末(3)に対して送信する手段(第2動作信号送信手段)、機器(8)の動作状態を報知する報知信号の送信を携帯端末(3)を介して制御装置(2)に要求する手段(第2報知信号要求手段)、を実現する。
【0047】
図7は、第二サーバ(7)の概略構成を示すブロック図である。
第二サーバ(7)はコンピュータであって、CPU(中央演算処理装置)を含む制御部(71)と、RAMやROM等からなる記憶部(72)と、液晶ディスプレイ等からなる表示部(73)と、外部機器との間で無線により信号の送受信を行うための通信部(74)と、タッチパネル、キーボード、マウス等からなる入力部(75)とを備えている。
記憶部(72)には、携帯端末(3)から送信される情報が記憶される。
【0048】
制御部(71)は、入力部(75)からの入力に基づいて、記憶部(72)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、機器(8)を動作又は停止させるための動作信号を携帯端末(3)に対して送信する手段(第3動作信号送信手段)、機器(8)の動作状態を報知する報知信号の送信を携帯端末(3)を介して制御装置(2)に要求する手段(第3報知信号要求手段)、を実現する。
【0049】
上述したサーバ(5)及び/又は第二サーバ(7)への報知信号の送信については、全ての報知信号をサーバ(5)と第二サーバ(7)の両方に送信する設定としてもよいし、全ての報知信号をサーバ(5)に送信して一部の報知信号のみを第二サーバ(7)に送信する設定としてもよいし、全ての報知信号を第二サーバ(7)に送信して一部の報知信号のみをサーバ(5)に送信する設定としてもよいし、一部の報知信号をサーバ(5)に送信して残りの報知信号を第二サーバ(7)に送信する設定としてもよい。いずれの設定とするか、一部の報知信号をどの報知信号とするかについては、製造会社と使用会社との間で適当に定めることができる。
【0050】
以下、本発明に係る特装車の遠隔操作システムの作用(動作)の一例について、図8図13を参照しながら説明する。
図8は、特装車(1)を作業現場で使用している使用者(作業者)が、特装車(1)と離れた位置から携帯端末(3)を使用して特装車(1)を遠隔操作する場合の作用を示すフローチャートである。
使用者が携帯端末(3)の入力部(35)を操作して操作内容を入力すると、携帯端末(3)の制御部(31)は記憶部(32)に記憶されたプログラムを実行することにより、通信部(34)を介して、特装車(1)に搭載された制御装置(2)に対して制御信号を無線送信する(S1)。
制御装置(2)は、通信部(24)を介して携帯端末(3)から送信された制御信号を受信すると、制御部(21)が記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、当該制御信号に基づいて、機器(8)に対して動作信号(例えば、弁の切り替え動作を行うための信号)を送信する(S2)。
機器(8)は、制御装置(2)から送信された動作信号に基づいて動作(例えば、弁の切り替え動作)を実行する(S3)。
【0051】
図9は、特装車(1)の作業現場とは遠く離れた場所(遠隔地)にある、特装車の製造会社から、サーバ(5)を使用して特装車(1)を遠隔操作する場合の作用を示すフローチャートである。尚、特装車の使用会社から第二サーバ(7)を使用して特装車(1)を遠隔操作する場合の作用も同様である。
製造会社の担当者がサーバ(5)の入力部(55)を操作して操作内容を入力すると、サーバ(5)の制御部(51)は記憶部(52)に記憶されたプログラムを実行することにより、通信部(54)から携帯端末(3)を介して、特装車(1)に搭載された制御装置(2)に対して制御信号を無線送信する(S1)。
制御装置(2)は、通信部(24)を介してサーバ(5)から送信された制御信号を受信すると、制御部(21)が記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、当該制御信号に基づいて、機器(8)に対して動作信号(例えば、弁の切り替え動作を行うための信号)を送信する(S2)。
機器(8)は、制御装置(2)から送信された動作信号に基づいて動作(例えば、弁の切り替え動作)を実行する(S3)。
【0052】
図10は、特装車(1)に搭載された機器(8)に関して対応が必要な事象が生じた場合であって、当該事象が、現場の作業者(使用者)が作業現場で対応可能な事象である場合の作用を示すフローチャートである。ここでは、吸引車のタンク内が回収物で満量となった場合を例に挙げて説明する。
吸引車のタンク(10)が満量になると、レベルセンサ(91)がこれを検知し、制御装置(2)に対して検知信号を送信する(S1)。
制御装置(2)は、レベルセンサ(91)からの検知信号を受信する(S2)と、制御部(21)が記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、当該検知信号に基づいて、生じた事象が上記報知信号Aの場合に該当することを判断し、携帯端末(3)に対してのみ報知信号(タンク満量を知らせる信号)を送信する(S3)。
作業者は、携帯端末(3)により報知信号を受信すると、タンクが満量になったことを把握し、携帯端末(3)の入力部(35)を操作して制御装置(2)に対して制御信号を無線送信する(S4)。
制御装置(2)は、携帯端末(3)から送信された制御信号を受信すると、当該制御信号に基づいて、機器(8)に対して動作信号(ブロワを停止させる信号)を送信する(S5)。
機器(8)は、制御装置(2)から送信された動作信号に基づいて動作(ブロワの停止動作)を実行する(S6)。
【0053】
図11は、特装車(1)に搭載された機器(8)に関して対応が必要な事象が生じた場合であって、当該事象が、現場の作業者(使用者)が作業現場で対応できない事象である場合の作用を示すフローチャートである。ここでは、吸引車の弁に異常(故障等)が生じた場合を例に挙げて説明する。
吸引車の弁に異常(故障等)が生じると、弁センサ(92)がこれを検知し、制御装置(2)に対して検知信号を送信する(S1)。
制御装置(2)は、弁センサ(92)からの検知信号を受信する(S2)と、制御部(21)が記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、当該検知信号に基づいて、生じた事象が上記報知信号Bの場合に該当することを判断し、携帯端末(3)及びサーバ(5)に対して報知信号(弁の異常を知らせる信号)を送信する(S3)。
サーバ(5)が設置された製造会社の担当者は、携帯端末(3)を介して報知信号を受信すると、弁に異常が生じたことを把握し、サーバ(5)の入力部(55)を操作して制御装置(2)に対して制御信号を無線送信する(S4)。
制御装置(2)は、サーバ(5)から送信された制御信号を受信すると、当該制御信号に基づいて、機器(8)に対して動作信号(例えば、ブロワを停止させる信号)を送信する(S5)。
機器(8)は、制御装置(2)から送信された動作信号に基づいて異常の解除動作(例えば、ブロワの停止動作)を実行する(S6)。
【0054】
図12は、サーバ(5)が設置された製造会社において、特装車(1)に搭載された機器(8)の動作情報を要求する場合の作用を示すフローチャートである。
サーバ(5)が設置された製造会社の担当者は、サーバ(5)の入力部(55)を操作して制御装置(2)に対して制御信号を無線送信する(S1)。
制御装置(2)は、サーバ(5)から送信された制御信号を受信すると、当該制御信号に基づいて、機器(8)の動作信号(例えば、エンジン回転数、タンクの水量等)を送信する(S2)。
サーバ(5)は、制御装置(2)から送信された機器の動作情報を受信する(S3)と、表示部(53)に表示するとともに、記憶部(52)に記憶する。
【0055】
図13は、特装車(1)を作業現場で使用している使用者(作業者)が、特装車(1)に対して作業情報を要求する場合の作用を示すフローチャートである。
作業者が携帯端末(3)の入力部(35)を操作して操作内容を入力すると、携帯端末(3)の制御部(31)は記憶部(32)に記憶されたプログラムを実行することにより、通信部(34)を介して、特装車(1)に搭載された制御装置(2)に対して制御信号を無線送信する(S1)。
制御装置(2)は、通信部(24)を介して携帯端末(3)から送信された制御信号を受信すると、制御部(21)が記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、当該制御信号に基づいて、記憶部(22)に記憶された作業情報(作業日時と作業時間を含む)を送信する(S2)。
携帯端末(3)は、制御装置(2)から送信された作業情報を受信する(S3)と、表示部(33)に表示するとともに、記憶部(32)に記憶する。
【0056】
サーバ(5)に加えて第二サーバ(7)を使用する場合には、上述した図8図13に示すフローチャートの動作において、第二サーバ(7)にもサーバ(5)と同様の動作を実行させることにより、第二サーバ(7)からの機器(8)の遠隔操作や動作情報の取得が可能となる。
【0057】
メンテナンス情報の送信は、特装車(1)を作業現場で使用している使用者(作業者)が特装車(1)に対してメンテナンス情報を要求した場合に、図13に示すフローチャートの動作に従って作業情報の代わりにメンテナンス情報を送信することにより行われる。しかし、メンテナンス情報は、作業者の要求が無くとも、制御装置(2)の制御部(21)が記憶部(22)に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することによって、定期的に且つ自動的に携帯端末(3)及び/又はサーバ(5)に(必要に応じて第二サーバ(7)にも)送信するように構成することが好ましい。
【0058】
図14図19は、本発明に係る特装車の遠隔操作システムの動作時における、携帯端末(3)の表示部(33)の表示内容の一例を示している。尚、図14図18において、(a)図は制御装置(2)を内蔵する制御盤(26)を示し、(b)は携帯端末(図示例ではスマートフォン)(3)を示している。図示のように、携帯端末(3)は、制御装置(2)の報知信号送信手段により送信される機器(8)の動作状態をリアルタイムで表示部(33)に表示することができる。
【0059】
図14では、機器(8)の動作状態としてエンジン(81)の回転数が表示部(33)に示されている。具体的には、制御装置(2)を含む制御盤(26)に備えられたタコメータ(28)に類似する表示が、携帯端末(3)の表示部(33)に表示されている。これにより携帯端末(3)を所持する作業者は、リアルタイムでエンジンの回転数を容易に把握することができる。また、携帯端末(3)の表示部(33)に表示された操作ボタン(入力部(35)に相当)を押すことにより、エンジン(81)の動作を制御することもできる。
【0060】
図15では、機器(8)の動作状態として、エンジン(81)の回転数、タンク(10)内の圧力(空圧)、ブレーカーの状態、PTOの状態、オートアクセルの状態、ポンプ(102)の状態、操作盤灯の状態等が表示部(33)に示されている。これにより、携帯端末(3)を所持する作業者は、リアルタイムでエンジンの回転数やタンクの内圧等の様々な機器に関する動作情報を把握することができる。また、携帯端末(3)の表示部(33)に表示された操作ボタン(入力部(35)に相当)を押すことにより、携帯端末(3)から各機器の動作を制御することもできる。
【0061】
図16は、携帯端末(3)から機器(8)の動作を制御する時の操作画面の一例を示している。タッチパネルからなる表示部(33)には、機器(8)を操作するための操作ボタン(331)〜(334)(入力部(35)に相当)が表示されており、作業者がこれらの操作ボタンを押すことにより機器(8)を操作することができる。また、表示部(33)には、特装車(1)の絵が表示されており、操作される機器(8)の部位が他の部分と異なる色(図では黒)で表示される又は異なる色の円で囲まれる。
【0062】
図17は、タンク(10)が満量になった時の携帯端末(3)の表示部(33)の表示の一例を示している。表示部(33)には、注意を喚起する「!」の三角マークと共に「レシーバタンクが満量になりました」と表示されている。このとき、制御盤(26)の表示部(23)にも「タンク満量」との表示がなされて画面の色が変わる。
【0063】
携帯端末(3)は、制御装置(2)の異常情報送信手段により送信される異常情報をリアルタイムで表示部(33)に表示することもできる。
図18では、表示部(33)に「エラーが発生しました。」の表示とともに「15秒後にエラー情報を本社に送信します。」の表示がなされており、異常情報が作業者の所有する携帯端末(3)に加えて製造会社のサーバ(5)にも送信されることが示されている。
【0064】
図19は、携帯端末(3)の表示部(33)に、制御装置(2)から受信した作業情報が表示されている状態を示している。図示例では、表示部(33)には、作業日時と作業時間と燃料消費量が、日付毎に作業日報として示されている。作業者が、携帯端末(3)の表示部(33)に表示された操作ボタン(入力部(35)に相当)を押すことにより、制御装置(2)の記憶部(22)に記憶された作業日報を携帯端末(3)にダウンロードすることができる。ダウンロードしたデータは、CSV形式で保存することができ、表計算ソフトウェア(Excel(登録商標)等)でデータを開くと表になって表示されるため、管理が容易となる。
【0065】
本発明に係る特装車の遠隔操作システムでは、携帯端末(3)の表示部(33)に表示される情報を、サーバ(5)の表示部(53)や第二サーバ(7)の表示部(73)にもリアルタイムで表示させる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、吸引車や洗浄車を遠隔操作するためのシステムとして利用され、例えば多人数の作業者の派遣が困難な遠隔地の災害現場等において好適に利用することができる。また、メンテナンスや故障診断機能の活用により、機器を適正な状態に保つことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 特装車
2 制御装置
3 携帯端末
4 製造会社
5 サーバ
6 使用会社
7 第二サーバ
8 機器
10 タンク
91 レベルセンサ
92 弁センサ
93 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19