特許第6075890号(P6075890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6075890食品スライサーにおける丸刃の安全カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075890
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】食品スライサーにおける丸刃の安全カバー
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20170130BHJP
   A47J 43/20 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B26D3/28 610R
   A47J43/20
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-228428(P2014-228428)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-83757(P2016-83757A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年7月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀明
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第03637293(DE,A1)
【文献】 実開昭52−118375(JP,U)
【文献】 特開昭59−081098(JP,A)
【文献】 実開昭62−065195(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/28
B26D 7/22
B26D 1/14
A47J 43/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台上部の丸刃支持部に回転可能に支持された丸刃と、丸刃の回転面に前端面を沿わせながら左右方向に往復移動する食品箱とを備えた食品スライサーにおいて、前記丸刃の回転面に接近して丸刃全体を覆う大きさの板状に形成された安全カバーを、食品箱の往復移動に連動して食品箱が往復移動の始端部にあるときに丸刃を覆う状態と丸刃から離れた状態とに切り替え可能とした食品スライサーにおける丸刃の安全カバー。
【請求項2】
安全カバーは一端が食品箱に取着され、食品箱が丸刃に向かって移動するにつれて丸刃から離れるようにした請求項1に記載の食品スライサーにおける丸刃の安全カバー。
【請求項3】
安全カバーが、少なくとも食品箱の移動方向に沿って屈曲可能な無端帯で形成された請求項2に記載の食品スライサーにおける丸刃の安全カバー。
【請求項4】
安全カバーの反食品箱側端部が、食品箱の往復移動の終端部側の機台に立設された巻き取りロールに連結された請求項3に記載の食品スライサーにおける丸刃の安全カバー。
【請求項5】
安全カバーが、食品箱の往復移動の終端部側の機台に立設された案内部材に接して食品箱の移動方向と直交して屈曲され、反食品箱側端部が引張コイルばねを介して機台に取着された請求項3に記載の食品スライサーにおける丸刃の安全カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉など食品を載置して送り出す食品箱の前端面を丸刃の回転面に沿わせながら往復移動して食品をスライスする食品スライサーにおける丸刃の安全カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の丸刃を使用する食品スライサーにおける丸刃の安全カバーには、例えば特許文献1に記載されているような丸刃の刃先を覆う刃物カバーが取外し可能に設けられているものがある。
又、特許文献2には、丸刃の肉箱側の面に形成された丸刃と同心円の凹部に遊嵌されたセンターカバーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−81098号公報
【特許文献2】実開昭62−65195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような従来の食品スライサーにおいては、最も危険な丸刃の刃先部分の内、食品箱(給送箱)側の半周部分のみカバーされている(特許文献1の明細書における第1図)が、残り部分は食品をスライスするために露出させている。
又、特許文献2に記載のように、丸刃の肉箱(食品箱)との対向面にセンターカバーが遊嵌されたものにおいても丸刃の外周部分は刃先とともに露出している。
このような食品スライサーにおいては、丸刃の刃先から切り出されるスライス片を直接指先で受け取ることが多く、食品が丸刃によってスライスされているときは、刃先が切り出され中のスライス片に覆われていて比較的安全であるが、食品箱が丸刃から離れた往復移動の始端位置に戻ったときにおいては、不用意に回転中の丸刃の露出した刃先や刃面に接触して切傷事故を起こす危険があった。
【0005】
本発明は前述のような従来の問題点を解消するためになされたものであって、作業者の丸刃との接触による事故に対する安全性を高めた食品スライサーにおける丸刃の安全カバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、機台上部の丸刃支持部に回転可能に支持された丸刃と、丸刃の回転面に前端面を沿わせながら左右方向に往復移動する食品箱とを備えた食品スライサーにおいて、前記丸刃の回転面に接近して丸刃全体を覆う大きさの板状に形成された安全カバーを、食品箱の往復移動に連動して食品箱が往復移動の始端部にあるときに丸刃を覆う状態と丸刃から離れた状態とに切り替え可能とした食品スライサーにおける丸刃の安全カバーとしている。
又、安全カバーは一端が食品箱に取着され、食品箱が丸刃に向かって移動するにつれて丸刃から離れるようにされる。
更には、安全カバーが、少なくとも食品箱の移動方向に沿って屈曲可能な無端帯で形成されること、
安全カバーの反食品箱側端部が、食品箱の往復移動の終端部側の機台に立設された巻き取りロールに連結されること、
安全カバーが、食品箱の往復移動の終端部側の機台に立設された案内部材に接して食品箱の移動方向と直交して屈曲され、反食品箱端部が引張コイルばねを介して機台に取着されることが好ましい。

【発明の効果】
【0007】
食品箱の前端面が丸刃の回転面から離れて丸刃の回転面側が露出しても、安全カバーが丸刃の回転面側に接近した状態で丸刃の回転面側全体を覆うので安全な作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る食品スライサーの平面図。
図2】要部を示す側面図。
図3】要部を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照しながら本発明に係る食品スライサーの構成を説明する。図1に記載された食品スライサーは、主として食肉をスライスする食品スライサーであって広く用いられているものなので各部の構成については詳しく説明しないが、機台1の上部に設けられた丸刃支持部2には丸刃3が支持されていて、機台内に据え付けられたモーター(図示なし)によって回転可能とされている。
【0010】
載置された原料の食肉塊などの食品を前端面から丸刃3に向けて送り出す送り出し手段を備えた食品箱4は、前端面を丸刃の回転面(食品箱側の刃面)に沿わせながら食品箱4の下方に設けられた図示しないクランク装置により左右方向(図1,3に示す矢印方向)に往復移動される。
【0011】
食品箱4には、図3に示すように底面から左右一対の側板5,6が立設されていて、底面と左右両側板5,6の対向面とで形成される空間が食品の載置部であって、食品箱4は、この載置部の丸刃側端面が丸刃3の刃先から離れた始端位置(図3に示す食品箱の実線表示位置)から反丸刃側端面が丸刃3の刃先に達する終端位置(図3に示す食品箱の仮想線表示位置)の間を往復移動される構成であって、始端位置から終端位置に向かって往動するときに食品箱4の前端面から送り出された食品の先端が丸刃3によってスライスされる構成である。
又、この食品スライサーには、食品箱4の前端面(丸刃側開口部)を覆い、送り出される食品の前端面に当接してスライス厚みを規制する当て板7が設けられている。
【0012】
このようなよく知られた食品スライサーに対して、本発明に係る丸刃の安全カバーを実施した一例を図によって説明する。
安全カバー8は、食品箱4が図3において実線表示された往復移動の始端位置にあるときに、図3で示すように露出する丸刃の食品箱4との対向面側である回転面の全体を覆うことができる大きさの板状に形成されて、丸刃3の回転面に接近して設けられる。
【0013】
本例の安全カバー8は、少なくとも食品箱4の移動方向に沿って屈曲可能な無端帯で構成される。詳細図示は省略するが、例えば、窓や出入り口に用いられる巻き上げ式のシャッターのような屈曲方向に直交する方向には剛性を有する部材を使用することが好ましい。
【0014】
安全カバー8の一端は食品箱4の丸刃側の側面に適宜な手段で着脱可能に装着され、反対側の端部近くは、機台1の幅方向にはみ出さないようにしてコンパクトにまとめるために丸刃3の外側に回転可能に立設されたローラー9に接して直角方向に屈曲される。
安全カバー8は、ローラー9による屈曲部を過ぎた位置まで延設されるが端部付近には、適宜な線径のワイヤーロープ或いはローラーチエン10,10が適宜な手段で止め付けられ、機台1の長さ方向の大きさをコンパクトにするためにワイヤーロープ10、10の先端部は途中に設けられたガイドローラー11,11を介して下方に向けて方向変換されて、機台1に一端が固着された引張コイルばね12、12,に連結されて安全カバー8が撓むことのないように適宜な張力で引張される。
【0015】
このように構成された安全カバー8は、食品箱4が始端部にあるときに食品箱4との対向面である丸刃3の回転面を全部覆った図3に示す状態から食品箱4が丸刃3に向かって往動するにつれて安全カバー8も引張コイルばね11の張力によって引っ張られながら撓み無く移動して丸刃3の回転面から離れていくが、このときには食品箱4に載置された食品の先端部が丸刃3の刃先によってスライスされているので丸刃3の刃先は食品によって覆われている。更に、食品箱4が終端位置に達して安全カバー8が丸刃3の回転面から離れても食品箱4の前端面によって覆われる。
安全カバー8は作業終了後の洗浄時や点検時などにおいては、食品箱4への取り付け部から取り外される。
【0016】
従来の食品スライサーにおいては、始端位置に停止した食品箱4へ食品を補給するときに回転している丸刃3の回転面が露出しているので不用意に指先などを刃面に近づけると危険であったが、この安全カバー8を装着することで安心して作業ができる。
【0017】
安全カバー8の構成は、本例に限ることなく、例えば一端が食品箱4に取着された安全カバー8を食品箱4の移動方向に沿って屈曲可能とし、反食品箱側端部を機台に立設された巻き取りロール(図示なし)に連結し食品箱4の移動に追随して安全カバー8を巻き取るようにしてもよい。巻き取りロールはロールブラインドなどでよく知られた構成に準ずるものとし、安全カバー8の移動に追随して撓み無く巻き取り、繰り出しが可能とされる。
【0018】
又、 安全カバー8を、複数の板材を繋ぎ合わせた引違い戸状として食品箱の移動につれて順次重なった状態で収納できるようにするなど種々の変形が可能である。
図示はしないが、安全カバー8は丸刃3の回転面に接近して設けられるので、安全カバー8が移動中に撓みなどによって丸刃3に接触しないように、接近しようとする安全カバー8の丸刃対向面側を受け止める規制具を、丸刃3から外れた上下位置に設けて機台1に支持させると良い。
【0019】
更には、安全カバー8を本例のように食品箱4の移動方向と同方向に移動させることなく、図示はしないが、食品箱4の移動方向に対して直交する方向(上下方向)に移動させるように構成し、食品箱4を移動させるクランク装置とは異なる別の移動手段として例えば電動ねじ(モーターで回転されるねじ)を介在させ、食品箱4の移動と連動させて電動ねじのモーターの運転制御を行って移動可能としてもよく、要は、安全カバーが食品箱の往復移動に連動して丸刃の回転面を覆う状態と離れた状態とに切り替えが可能な構成であればよい。
【符号の説明】
【0020】
1 機台
3 丸刃
4 食品箱
8 安全カバー
図1
図2
図3