特許第6075929号(P6075929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6075929-ペット用トイレシート 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6075929
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】ペット用トイレシート
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20170130BHJP
   A01K 23/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   A01K1/015 A
   A01K23/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-222876(P2016-222876)
(22)【出願日】2016年11月16日
【審査請求日】2016年11月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516282226
【氏名又は名称】大前 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100137372
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 徳子
(72)【発明者】
【氏名】大前 真美
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−17448(JP,A)
【文献】 特開2008−245662(JP,A)
【文献】 特開2009−11306(JP,A)
【文献】 実開昭63−178451(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水シートと透液性シートの間に吸水性素材を重ねて成るペット用トイレシートにおいて、
透液性シート側の長手方向の周縁下部に取り付けた一対の粘着手段で
ペット用トイレシートの下部を折り返し形成した尿吸収ポケットを有することを特徴とするペット用トイレシート。
【請求項2】
防水シートと透液性シートの間に吸水性素材を重ねて成るペット用トイレシートにおいて、
透液性シート側の長手方向の周縁下部を折り返して熱溶着し形成した尿吸収ポケットを有することを特徴とするペット用トイレシート。
【請求項3】
下部が側面視においてW型に折り返されていることを特徴とする請求項1又は2に記載したペット用トイレシート。
【請求項4】
尿吸収ポケット内部が側面視において蛇腹状であることを特徴とする請求項1又は2に記載したペット用トイレシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペットの排尿時に使用するトイレシート、より詳しくは室内で飼う雄犬が片足を上げておしっこをするときに自分の尿で足が汚れないようにするためのペット用トイレシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内でペットを飼育するときケージの中にトイレシートを敷設し、ペットはその上で排泄している。しかしながら、雄犬の習性である、片足を上げて直立状の物に向けて行う排尿に対応するためには、床面にトイレシートを敷設するとともに、別のトイレシートをケージの壁面を覆う様に縦方向に吊り下げて使用するなどの工夫が必要となる。一方、雄犬がケージ外で柱や壁などの所定の位置でおしっこをする際には、その場所にトイレシートを縦方向に取り付けてペットの排尿に対応している。
【0003】
また、一枚のトイレシートで床面及び壁面を覆うことができるようにL字型に折曲形成されたペット用トイレシートの発明がある(特許文献1及び特許文献2)。
【0004】
また、トイレシートを縦方向に取り付け、保持するための器具に関する発明がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-66779号公報
【特許文献2】特開2013−17448号公報
【特許文献3】特開2009−11306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
室内で犬を飼育するとき雄犬が本能的に片足を上げておしっこをする際に使用するトイレシートとして特許文献1に記載するようなL字型に形成されたものがある。これは雄犬が片足を上げて行う排尿に対応させて、長方形状のトイレシートを折り曲げて壁から床まで連続させたものであるが、あくまで水平方向に排出される尿で壁などが汚れることを防ぐことを目的としている。すなわち、縦方向に設置されたトイレシートや床のトイレシートに尿が瞬時に吸収されるわけではなく、流れ落ちた尿は床のトイレシート上に拡散して広範囲にトイレシートを汚したり、また溜まった尿で犬の足が汚れてしまうことがある。
【0007】
特許文献2記載の吸収性シートは特許文献1の発明に比べると、床に延設したトイレシートへの尿の拡散を抑制する工夫がなされているが十分とは言えない。
【0008】
縦方向に設置されたトイレシートによって、雄犬が横方向に排出した尿から壁などを守ることができるが、トイレシートに吸収されずに流れ落ちた尿は床のトイレシートに溜まり、犬の足元が濡れてしまう。するとその都度犬の足を洗ってタオルでふき取るなどの手間がかかる上に、室内で放し飼いをする犬の足が尿で濡れたことを知らずにいると濡れた足で犬が歩き回って室内を汚し、部屋中を拭き掃除しなければならないことになる。特に朝一番の排泄は量が多く、トイレシートの床部分に尿が溜まってしまう場合がほとんどである。
【0009】
一方、室内で放し飼いなどにされている雄犬が柱、壁に足を上げておしっこする際に使
用する、トイレシートを縦型に取り付ける器具については取り付け具の最下部に三日月状の受け皿が設けられているが、トイレシートだけでこのような機能を発揮する製品はなかった。すなわち、縦方向に設置されたトイレシートを流れ落ちた尿を受けるポケット部を有するトイレシートはなかった。
【0010】
そこで、本願発明では室内で飼育する、片足を上げておしっこをする雄犬に対応するために、尿吸収ポケット部を有するトイレシートを提供して床方向への尿の流出を完全に防いで犬の足が尿で濡れることをなくし、ペットを室内で衛生的且つ簡便に飼育することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本願発明では防水シートと透液性シートの間に吸水性素材を重ねて成るペット用トイレシートを縦型に配置し、長手方向の周縁下部の透液性シート側に一対の粘着手段を取り付けるとともにこれを折り返して尿吸収ポケットを形成し、当該ポケットで流れ落ちた尿を受けとめて吸収し、床方向への流出を防止するのである。
【0012】
また、熱溶着によってトイレシートの下部にあらかじめ尿吸収ポケットを形成するのである。
【0013】
さらに、トイレシートの下部の折り返しを側面視においてW型に形成し、吸収効率を増加させるのである。
【発明の効果】
【0014】
雄犬が片足を上げておしっこをしても尿吸収ポケットにせき止められて床に流れだすことがない。従って、尿で足を汚すことがないので犬の足を洗う手間が省ける。また、犬が濡れた足のまま歩きまわることがなくなり室内が汚れることがない。
【0015】
折り返し部を簡易に開封可能に形成したため、雌用トイレシートや床用トイレシートなどの平面状トイレシートに容易に変更可能である。
【0016】
収納部の尿吸収面積を広く形成したので排泄物の吸収効率が高い。
【0017】
折り返し部を両面粘着テープあるいは熱溶着によって尿吸収ポケットを形成するため、従来のトイレシートの作成工程に少ない工程を追加するだけで製造でき、大幅なコストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1はトイレシートの一の実施形態を示した説明図である。
図2図2はトイレシートの他の実施形態を示した説明図である。
図3図3はトイレシートの収納部を側面視した状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本願発明の最適な実施形態について図面を参照しながら詳説する。
【0020】
図1は、本願請求項1に記載したトイレシート1を正面から見た状態を示す説明図である。トイレシート1は展開状態で略長方形状であって、ケージの縦方向の壁面を形成する柵などにトイレシート1の上部1aをクリップ、洗濯ハサミなどで吊り下げて使用する。
【0021】
トイレシート1は一般的なペット用トイレシートの構造同様、不織布などからなる透液性を有する表面シート2と、樹脂フィルムなどの不透液性の裏面シート3と、表面シート
と裏面シートの間に吸収性シートなど4を一体的に重ねて成る。
【0022】
裏面シート3の素材としては防水性素材として周知であるポリエチレンフィルム等、水や尿などの低粘度の液を不透過である熱可塑性樹脂フィルムからなるものである。
【0023】
また、吸収性シート4は従来のペット用トイレシートに使用されている素材と同質のものを使用する。例えば、パルプ層の表面に高吸水性樹脂層を設けたものなどである。
【0024】
トイレシート1の透液性シート側の長手方向の周縁1bの下部に一対の両面粘着テープ5−5を取り付ける。使用時に両面粘着テープ5の剥離紙をはがして粘着面を露出させて所望寸法を折り返して接着させ尿吸収ポケット6を形成する。トイレシート1は柔軟性を有するため、下部を折り返して形成された尿吸収ポケット6の上部周縁6aは前方方向、すなわち取り付け壁とは反対方向に撓むためトイレシート本体1と尿吸収ポケット6との間に適度な隙間ができ開口部が自然に広がった状態となり、多少の跳ね返りが有っても尿を確実に受け止めることができる。
【0025】
片足を上げて排泄しない犬用、あるいは床用シートとして使用する場合は両面粘着テープ5−5の剥離紙をはがさずに展開状態で使用することができる。
【0026】
トイレシートを折り返して接着させる接着部材は両面粘着テープに限定されるものではなく、また強固に接着させる必要はなく弱粘着性能を有する素材であれば足りる。
【0027】
現在生産されているサイズのトイレシートの制作工程にこの接着部材の取り付け工程を追加すれば本願発明品を製造できるため既存の設備を利用でき過大なコストアップとはならないものと思われる。
【0028】
尿吸収ポケットの形成方法としては上記両面粘着テープの取り付けのほかに、熱溶着によってあらかじめ端部を折り返して接着し、尿吸収ポケットを形成した状態にすることも可能である。使用する熱溶着性接着剤はホットメルト樹脂接着剤等である。
【0029】
雄犬に使用する場合はそのまま尿収納ポケットを下部に配置してトイレシートをケージの柵に吊り下げて使用し、雌犬用、床用に使用する場合は、接着部を破って開放すると平面形状に容易に展開することができて便利である。
【0030】
トイレシートは消耗品であり、数回の使用によって頻繁に取り換えられるものである。
【0031】
従って、尿収納ポケットを形成するための接着手段は強固なものである必要がなく、弱粘着性を有する接着手段で充分であると考える。すなわち、熱溶着性接着剤で簡易に接合された接着部を破って平面形状のトイレシートへと変更することが容易なのである。
【0032】
あらかじめ尿収納ポケットを形成する接着手段は上記熱溶着に限られるものではなく、本願発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の手段の応用が可能である。
【0033】
本願発明の他の実施形態として、トイレシート下部を複数回折り返して尿吸収ポケットを形成し吸収効率を高めたトイレシート7がある。
【0034】
図2に示すトイレシート5の構成は前述のとおりである。すなわち、表面シート、不透液性の裏面シートの間に吸収性シート6を介在させてなる。この実施形態ではトイレシート7の下部を図3に示すように側面視においてW字型に折り畳んで尿収納ポケット8を形成するのである。ケージの柵に掛止した、縦方向のトイレシート7aを流れ落ちた尿は尿
吸収ポケット8を形成している、トイレシートの折り返し面7b、7c、7dの3つの領域で吸収するため、飛散した尿を効率よく受け止めてトイレシートに素早く吸収することができるのである。尿吸収ポケット内部の折り返しはW字型に限定するものではなく、蛇腹のように多数の折り返しを形成して尿吸収ポケット内部の表面積を増やすことでさらに尿の吸収効率を高めることができるのである。
【0035】
また、トイレシートをケージの柵や柱に吊り下げる際にフックなどを係止する孔又は切り目をトイレシート上部の所定位置に複数設けておくと取り付けに便利である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本願発明に係るトイレシートは雄犬のマーキング行動による排尿姿勢に対応させたものであるが、汎用のペットのトイレシートとして他のペットの排泄物処理にも応用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1、7、トイレシート
6、8、尿吸収ポケット
5、両面粘着テープ
4、吸収体
【要約】
【課題】室内で犬を飼育する際、雄の犬は片足を上げておしっこをする習性がある。通常、排泄物処理用のトイレシートはケージの中の床に敷設するが、水平方向に排泄される雄犬の尿に対応することができない。また、縦方向にトイレシートを掛下することも考えられるが、トイレシートを流れ落ちて床に溜まった尿で犬が足を汚してしまうことがあり、犬の足を洗浄する手間がかかる。そこで雄犬の横方向の排泄に対応するとともに、犬の足を尿で汚さないトイレシートを提供し、簡易且つ衛生的にペットを室内で飼育することを目的とする。
【解決手段】長方形状のトイレシートの長手方向の周縁下部に粘着手段を取り付け、使用の際剥離紙をはがしてトイレシートの下部を折り返して尿吸収ポケットを形成する。またあらかじめトイレシートの下部を折り返した状態で長手方向周縁部を熱溶着して尿吸収ポケットを形成するのである。
【選択図】図1
図1
図2
図3