【実施例】
【0018】
図3は、本発明の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、自車位置情報を取得する位置情報取得部102、渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する交通情報取得部104、ユーザーからの入力を受け取るユーザー入力部106、外部と有線または無線によるデータ通信を可能にするデータ通信部108、ディスプレイに道路地図などを表示する表示部110、音声を出力する音声出力部112、記憶部114、外部機器との接続を可能にする外部インターフェース(I/F)116、各部を制御する制御部118を含んで構成される。ここに示される構成は一例であり、ナビゲーション装置は、必ずしもこのような構成に限定されない。
【0019】
位置情報取得部102は、例えば、GPS衛星136(
図3(B)を参照)から送信される信号を利用して自車の絶対位置を検出するもの、ジャイロセンサや加速度センサなど車両に搭載された種々のセンサから自車の相対位置を検出するものであることができる。また、位置情報取得部102は、
図3(B)に示すように、ネットワーク120を介して位置情報配信サイト(または配信サーバー)130にアクセスし、そこから自車位置情報を取得することもできる。この場合、ネットワーク120への接続は、データ通信部108を介して行われる。
【0020】
交通情報取得部104は、例えば、FMラジオ放送やその他の放送波に重畳された道路交通情報を取得したり、幹線道路や高速道路などの路側に設置されたアンテナから無線通信により道路交通情報を取得することができる。また、交通情報取得部104は、
図3(B)に示すように、ネットワーク120を介して道路交通情報配信サイト(または配信サーバー)134にアクセスし、そこから道路交通情報を取得することもできる。この場合、ネットワーク120への接続は、データ通信部108を介して行われる。
【0021】
ユーザー入力部106は、ユーザーとナビゲーション装置100との間のインターフェースを提供する。ユーザー入力部106は、入力キーデバイス、タッチパネル、音声認識装置などを含むことができる。データ通信部108は、WiFi、LAN、赤外線通信、電話回線などを利用した有線または無線によるデータ通信を可能にする。データ通信部108は、その機能がナビゲーション装置に内蔵されるものでもよいし、携帯電話やスマートフォンなどを外部接続しその通信機能を利用するものであってもよい。上記したように、データ通信部108は、
図3(B)に示すようなネットワーク120を介して種々のデータ配信サイトに接続することを可能にする。
【0022】
表示部110は、道路地図等を表示するディスプレイ等を含む。音声出力部22は、誘導経路の案内や各種の警告等を出力するスピーカ等を含む。
【0023】
記憶部114は、ナビゲーション装置100の動作に必要な道路地図データ等を格納することができる。一つの例では、記憶部114は、大容量の記憶装置を含み、ここに道路地図データや施設データなどのデータベースを蓄積することができる。他の例では、記憶部114は、
図3(B)に示すようにネットワーク120を介して道路地図データ配信サイト132にアクセスし、そこから必要な道路地図データ等を取得することができる。この場合、ネットワーク120への接続は、データ通信部108を介して行われる。
【0024】
制御部118は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラから構成され、ROMまたはRAMには、ナビゲーション装置の動作を制御するための種々のプログラムを格納することができる。プログラムは、目的地や経由地を検索するもの、目的地までの最適な経路を探索するもの、目的地までの経路を案内するものなどが含まれる。本実施例では、目的地までの経路を案内するプログラムには、スマートICに対応したPAやSA内の施設を利用するときの案内も含まれる。この施設利用のための案内プログラムの機能的な構成を
図4に示す。
【0025】
施設利用の案内プログラム150は、施設利用可否情報を保持する施設利用可否情報保持部152と、目的地までの誘導経路情報を保持する誘導経路情報保持部154と、誘導経路上に存在するスマートICを検出するスマートIC検出部156と、スマートICに対応する施設利用可否情報を検索する施設利用可否情報検索部158と、検索された施設利用可否情報に基づき施設利用の可否を判定する施設利用可否判定部160と、施設利用可否判定部160の判定結果に基づき警告や案内を行う警告・案内部162とを含む。
【0026】
施設利用可否情報は、スマートICに対応したPAおよびSA内の施設(駐車場を含む)を利用可能か否かに関する情報であり、この情報は予めSAおよびPA毎に用意される。施設利用可否情報保持部152は、道路地図データとともに施設利用可否情報を記憶部114等に記憶するものでもよいし、
図3(B)に示すように、必要なSAまたはPAの施設利用可否情報を道路地図データ配信サイト132から取得するものであってもよい。
図5に、SA/PAと施設利用可否情報のデータ保持例を示す。
図5に示すテーブルは、SA/PAを識別するためのSA/PA識別コード、スマートICの対応の有無を表す情報、施設利用可否情報が用意されているか否かを表す情報を含んでいる。例えば、「○○SA」は、スマートICに対応しており(すなわち、ETCゲートが併設されており)、施設利用可否情報が用意され、「××SA」は、スマートICに対応しているが、施設利用可否情報が用意されていない。「□□PA」は、スマートICに対応しておらず、施設利用可否情報は用意されていない。
【0027】
図6は、施設利用可否情報のデータ構成の一例を表している。同図に示すように、施設利用可否情報は、判定テーブル170および利用条件172を含んでいる。判定テーブル170は、スマートICの出入りと高速道路等の本線の上り線および下り線との関係からスマートIC内の施設を利用可能か否かを判定する情報を有する。
図7に判定テーブルの一例を示す。スマートICのETCゲートから上り線に進入する場合には、Uinの情報、上り線から脱出しETCゲートから出る場合には、Uoutの情報が参照される。同様に、スマートICのETCゲートから下り線に進入する場合には、Dinの情報、下り線から脱出しETCゲートから出る場合には、Doutの情報が参照される。Uin、Uout、Din、Doutは、当該スマートIC内の施設を利用することができるか否かを判定する情報を含み、例えば、施設を利用することができる場合には「1」、施設を利用することができない場合には「0」の2値データによって表される。
【0028】
利用条件172は、施設を利用することができる場合、すなわち判定テーブルが「1」である場合に参照される。利用条件172は、施設を利用することができるが、施設の利用には一定の条件が課されることを表す。すなわち、スマートIC内の施設を利用する際に逆走が発生しない駐車エリアを特定しまたは識別するための情報である。
【0029】
図8に利用条件の一例を示す。利用条件は、スマートIC内の施設を利用可能な駐車エリアを特定するための座標情報と、施設の利用不可能な駐車エリアを特定するための座標情報とを含む。前者は、駐車エリアからETCゲートまでの区間/またはETCゲートから駐車エリアまでの区間において逆走が発生しない駐車エリアであり、後者は、それと反対に、駐車エリアからETCゲートまでの区間/またはETCゲートから駐車エリアまでの区間に逆走が発生する駐車エリアである。この例では、施設利用可能な駐車エリアと利用不可能な駐車エリアの2つを用意しているが、少なくともいずれか一方の駐車エリアを特定するような情報を利用条件として備えていればよい。
【0030】
誘導経路情報保持部154は、ユーザーによって目的地までの経路探索が行われたとき、当該探索された誘導経路情報を記憶部114等に保持する。経路の探索は、公知のように、道路地図データを参照することにより行われ、例えば、目的地までの最短時間となる経路、または目的地までの最短距離となるような経路が探索される。こうして探索さえた誘導経路情報は、目的地までの道路(リンク)の接続であり、このリンクデータは、始点および終点のノードの座標情報、ノードの接続情報、道路種別、道路名称などを含む。ノードの接続情報には、ETCゲートの接続の有無、ランプ道路の接続の有無、SAまたはPAの接続の有無などが含まれる。このノード接続情報は、スマートICの検出に利用され得る。
【0031】
スマートIC検出部156は、誘導経路情報および道路地図データを参照し、誘導経路上に存在するスマートICを検出する。スマートIC検出部156は、上記したように、誘導経路情報に含まれるリンクデータのノード接続情報に基づき、誘導経路がETCゲートを通過する場合には、ETCゲートまたはランプ道路に接続されたSAまたはPAの識別情報を検出する。そして、
図5に示すテーブルを参照し、識別されたSAまたはPAがスマートICに対応しているか否かを判定する。スマートICの対応が「Y」であれば、当該SAまたはPAはスマートICであると判定する。なお、上記のスマートICの検出方法は一例であって、他の検出方法を用いるものであってもよい。
【0032】
施設利用可否情報検索部158は、スマートICが検出された場合には、
図5のテーブルを参照して当該スマートICには、施設利用可否情報が用意されているか否かを検索する。施設利用可否判定部160は、施設利用可否情報検索部158の検索結果に基づきスマートICの施設が利用できるか否かを判定する。この判定結果は、警告・案内部162に供される。
【0033】
警告・案内部162は、SAやPAの施設利用の可否に関するメッセージ、利用条件に関するメッセージなどを、所定のタイミングで、表示部110および/または音声出力部112を介して、音声または画像によって警告または案内する。好ましくは、警告・案内部162は、施設利用可否判定部160によってスマートIC内の施設を利用することができないと判定された場合には、スマートICの施設を利用することができない警告を報知し、さらにスマートICの前後のSAまたはPAの施設の利用を促すような案内をする。例えば、ETCゲートから入る場合にそのスマートICの施設を利用することができないと判定された場合には、スマートICを通過後の次のSAまたはPAの施設の利用を事前に警告する。また、ETCゲートから出る場合にそのスマートICの施設を利用することができないと判定された場合には、スマートICよりも少なくとも1つ前のSAまたはPAの施設の利用を事前に警告する。
【0034】
他方、施設利用可否判底部160によりスマートICの施設を利用することができると判定された場合には、警告・案内部162は、利用条件に則した警告または案内を行う。例えば、警告・案内部162は、自車がスマートICに到達する前に、スマートIC内の施設を利用する場合には、逆走が生じない特定の駐車エリアに停車する必要があることを警告し、自車がスマートICに到達した場合には、自車位置周辺の道路地図画面上において、逆走が生じない特定の駐車エリアの案内を行う。特定の駐車エリアの案内方法は、例えば、
図8に示す利用条件の座標情報を用い、画面上のSAまたはPAの駐車エリア上に、施設利用可能な駐車エリアが認識できるような識別情報を合成して表示する。例えば、利用可能な駐車エリアを示す輪郭を識別表示したり、反対に、利用不可能な駐車エリアを示す輪郭を識別表示する。
【0035】
次に、本実施例の施設利用の案内動作について
図9のフローチャートを参照して説明する。ナビゲーション装置において、ユーザーによって目的地が設定されると、道路地図データを参照して目的地までの経路が探索され(S101)、探索された経路は、誘導経路情報として誘導経路情報保持部154によって保持される。次に、スマートIC検出部154は、上記したように誘導経路情報等を参照して、誘導経路上のスマートICを検出する(S102)。
【0036】
スマートICが検出された場合、すなわち誘導経路がスマートICを通過する場合には、施設利用可否情報検索部158は、
図5のテーブルを参照し、スマートICの施設利用可否情報の有無を検索する(S103)。施設利用可否情報が存在する場合には、施設利用可否判定部160は、
図6に示す施設利用可否情報の判定テーブル170を参照し(S104)、自車が通過するスマートICの施設を利用することができるか否かを判定する(S105)。施設利用可否判定部160は、誘導経路情報に基づき、自車が通過するスマートICが上り線か下り線かを特定し、さらにETCゲートを入るのかまたは出るのかを特定し、その特定された結果に該当する
図7の情報(Uin、Uout、Din、Dout)を参照する。スマートICの施設の利用の可否は、上り線、下り線、ETCゲートを入るとき、またはETCゲートを出るときによって異なるためである。
【0037】
施設を利用することができないと判定された場合には、警告・案内部162は、スマートICの施設を利用するために駐車すると、ETCゲートまでの区間において逆走が発生することの警告を発し、スマートICの1つ前のSAまたはPAの施設利用の案内、あるいはスマートICの次のSAまたはPAの施設利用の案内を行う(S106)。好ましくは、この警告および案内は、ルート探索時に行われ、さらに走行中にスマートICに近づいたときに繰り返されるようにしてもよい。
【0038】
図10は、スマートICの施設を利用することができないと判定された場合の施設利用の案内例を説明する図であり、ここに示されるスマートIC180は、
図1のものと同じである(福島松川の下り線PA)。同図に示すように、スマートIC180の施設利用をすることができないと判定された場合には、「出口の松川PAで施設を利用すると、逆走になります。この先のSAの施設をご利用ください」との音声メッセージ182が警告される。このような音声メッセージ182は、ルート探索時もしくは少なくともスマートIC180の手前のSA184から一定距離手前の時点で発せられる。これにより、スマートIC180内における逆走を未然に防止し、他のSAまたはPAでの施設の利用が可能になる。なお、
図10に示すスマートIC180のETCゲート28から入る場合には、施設22、24の利用が可能であり、言い換えればどこに駐車しても逆走は発生しないため、上記のような音声メッセージは警告されない。
【0039】
他方、スマートICの施設利用が可能であると判定された場合には、施設利用可否判定部160はさらに、利用条件172の有無が存在するか否かを判定し(S107)、利用条件172がある場合には、判定結果とともに利用条件172を警告・案内部162へ伝える。警告・案内部162は、スマートIC内の施設を利用する場合には、一定の利用条件があることの警告を行い、スマートIC内における利用条件に則した駐車エリアの案内を行う(S108)。好ましくは、この警告は、ルート探索時に行われ、スマートICに近づいたときに繰り返されるようにしてもよい。
【0040】
図11は、スマートICの施設の利用が可能と判定され、かつ利用条件がある場合の施設利用の案内を説明する図である。ここに示されるスマートICは、
図2のものと同じである(福島松川上り線PA)。
図11(A)は、ETCゲート28から出る場合の例であり、自車MがスマートICに進入する前に、上記の音声メッセージが警告される。自車MがスマートIC内に進入されると、図に示すように、利用条件172の座標情報に基づき、施設を利用可能な駐車エリア(逆走とならない駐車エリア)を示す識別表示200(図中、点線の領域)が道路地図画面上に表示され、そこへの誘導案内が行われる。また、施設の利用不可能な駐車エリア(逆走となる駐車エリア)を示す識別表示210(図中、破線の領域)を道路地図画面上に表示するようにしてもよい。これにより、ユーザーは、逆走することなくスマートIC内の施設を利用することができる。
【0041】
図11(B)は、同じスマートICにおいて、ETCゲート28から入る場合の施設利用の案内を説明する図である。同図に示すように、自車Mが一般道26を走行しているとき、スマートIC内の施設の利用条件に関する音声メッセージが発せられ、自車MがETCゲート28を通過後に、利用条件172の座標情報に基づき、施設を利用可能な駐車エリアを示す識別表示200と、施設を利用することができない駐車エリアを示す識別表示210が表示され、施設利用可能な駐車エリアへの誘導がなされる。ここで、同じスマートICであっても、
図11(A)、(B)に示すように、ETCゲート28から出る場合と、入る場合とでは、それぞれ利用条件が異なることに留意すべきである。
【0042】
なお、上記の実施例では、福島松川の上り線および下り線のPAのスマートICを例示したが、上記以外のSAまたはPAでも、上り線/下り線に応じて、または出る時/入る時に応じて、駐車場/施設が利用可能または利用不可能に変わる。
図12は、泉PA、長者原SA、友部SAの施設/駐車場の利用可否の例を示している。これら泉PA、長者原SA、友部SAでは、
図1に示した福島松川PAのときと同様に、ETCゲートがランプ道路に接続されており、駐車場には接続されていないため、上り線または下り線において、ETCゲートを出る時または入る時のいずれか一方で、施設/駐車場を利用することができなくなる。
【0043】
以上のように本実施例のナビゲーション装置は、ルート設定時に、スマートIC内の施設の利用可否を事前に警告する。そして、スマートIC内の施設を利用することができない場合には、施設の利用不可の案内とともに、スマートICを出るときには、1つ手前のSAまたはPAの施設利用を案内し、スマートICから入るときには、次のSAまたはPAの施設利用の案内をする。さらに、施設を利用することができる場合に、利用条件があるときには、施設利用のための駐車可能なエリアを案内する。これにより、高速道路に入るまたは出るタイミングで、休憩(トイレ)を利用する場合が多いので、事前に利用できない出入口を案内することで、ユーザーにとってきめ細かな有益な情報を提供することができる。さらに、スマートIC内において逆走の発生を未然に防止することができる。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。