(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1軸線および前記第2軸線は、前記可動体の前記回転中心軸線に対して前記撮像方向とは反対側に向かって配列されていることを特徴とする請求項5に記載のカメラモジュール。
前記カメラは、前記駆動装置に駆動されて、前記固定体から露出した状態と、前記固定体に隠れた状態とに切り換わることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のカメラモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラの撮像方向を切り換えたいという要求は、監視カメラに限らず、例えば、テレビ電話等の分野でも存在するが、かかる分野では、カメラの撮像方向の切り換えに高い分解能が要求されることから、従来は、手動による切り換えが主流である。すなわち、特許文献1、2に記載の技術のようにベルト機構を採用した場合、モータからの減速比を大きくして分解能を高めようとすると、カメラモジュールが大型化してしまい、テレビ電話等に搭載するのに不適である。特に、据え置き型のテレビにカメラを搭載して、通話者の画像を通話相手に送信するように構成する場合、テレビ画面を囲む枠部分にカメラを配置する必要があるため、ベルト機構を採用した大型のカメラモジュールを用いることが困難である。
【0005】
そこで、ベルト機構に代えて歯車機構を利用することが考えられるが、歯車機構を採用した場合、歯車間のバックラッシュが原因でカメラの撮像方向が安定しないという問題点がある。特に、分解能を高めることを目的に、歯車の数を増やして減速比を大とすると、その分、バックラッシュの影響が大となってしまう。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、小型化を図ることができるとともに、カメラを任意の方向に安定して向かせることのできるカメラモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るカメラモジュールは、カメラと、該カメラを保持する可動体と、該可動体を前記カメラの撮像方向と交差する方向に延在する回転中心軸線周りに回転可能に支持する固定体と、モータ、および該モータの回転を減速して前記可動体に伝達する歯車機構によって前記可動体を前記回転中心軸線周りに回転させる駆動装置と、前記可動体を前記回転中心軸線方向に付勢して前記固定体に押し付ける付勢部材と、を有し、前記固定体はケースを備え、前記可動体は前記回転中心軸線方向に延びる軸部を備え、前記付勢部材は前記軸部を前記ケースに押し付け
ており、前記歯車機構は、第1軸線回りに回転可能な複数の第1歯車と、前記第1軸線と平行に並列する第2軸線回りに回転可能な複数の第2歯車と、前記モータの出力軸に固着されたモータピニオンと、前記モータピニオンに噛合する第1平歯車と、前記第1歯車に噛合し且つ前記第1平歯車に連結される第2平歯車と、を含み、前記第1平歯車および前記第2平歯車は前記第2軸線回りに回転し、前記モータの回転は、前記複数の第1歯車および前記複数の第2歯車において、第1歯車から第2歯車への伝達と、当該第2歯車から別の第1歯車への伝達と、当該別の歯車から別の第2歯車への伝達と、が行われて前記可動体に伝達されることを特徴とする。
【0008】
本発明では、駆動装置においてモータを回転させると、モータの回転は、歯車機構を介して可動体に伝達されるので、カメラを保持する可動体がカメラの撮像方向と交差する回
転中心軸線周りに回転して撮像方向が切り換えられる。ここで、駆動機構では歯車機構が用いられているので、減速比を大きくして分解能を高めた場合でも、ベルト機構を用いた場合に比して小型化を図ることができる。また、可動体
は回転中心軸線方向に延びる軸部を備え、固定体はケースを備え、可動体の軸部を回転中心軸線方向に付勢して固定体
のケースに向けて押し付ける付勢部材が設けられているので、歯車機構にバックラッシュがある場合でも、撮像方向がぶれない。それ故、カメラを任意の方向に安定して向かせることができる。また、モータは、歯車機構によって減速して伝達されるので、付勢部材によって可動体を固定体に向けて押し付けた構成を採用した場合でも、モータの回転によって可動体を回転させることができる。
【0009】
また、本発明では、前記歯車機構は、第1軸線周りに回転可能な複数の第1歯車と、前記第1軸線と平行に並列する第2軸線周りに回転可能な複数の第2歯車と、
前記モータの出力軸に固着されたモータピニオンと、前記モータピニオンに噛合する第1平歯車と、前記第1歯車に噛合し且つ前記第1平歯車に連結される第2平歯車と、を含み、
前記第2軸線は前記第1平歯車および前記第2平歯車の回転中心を通り、前記モータの回転は、前記
複数の第1歯車および前記複数の第2歯車において、第1歯車から第2歯車への伝達と、当該第2歯車から別の第1歯車への伝達と、当該別の第1歯車から別の第2歯車への伝達と、が行われて前記可動体に伝達され
る。かかる構成によれば、減速機構を構成するにあたって、第1軸線に沿って配置された複数の第1歯車と、第2軸線に沿って配置された複数の第2歯車と、を利用するので、減速比を大きくした場合でも、歯車機構(減速機構)が占有するスペースが狭く済む。
【0010】
本発明において、前記第1歯車および前記第2歯車は各々、大径歯車に対して前記第1軸線方向および前記第2軸線方向における同一側に小径歯車が一体化されている複合歯車であり、前記複数の第1歯車および前記複数の第2歯車において、第2歯車の大径歯車には、当該第2歯車を駆動する第1歯車の小径歯車が噛合し、当該第2歯車の小径歯車には、当該第2歯車に従動する別の第1歯車の大径歯車が噛合していることが好ましい。かかる構成によれば、減速機構を構成するにあたって、第1歯車および第2歯車として大径歯車と小径歯車とが同一方向に位置する複数の複合歯車を利用するので、減速比を大きくした場合でも、歯車機構(減速機構)が占有するスペースが狭く済む。
【0011】
本発明において、前記モータのモータ軸線は、前記第1軸線および前記第2軸線と平行
であることが好ましい。あるいは
、前記モータのモータ軸線は、前記第1軸
線の延長線上にあることが好ましい。かかる構成によれば、モータおよび歯車機構が占有するスペースが狭く済む。
【0012】
本発明において、前記可動体の前記回転中心軸線は、前記第1軸線および前記第2軸線と平行に延在していることが好ましい。かかる構成によれば、可動体および歯車機構が占有するスペースが狭く済む。
【0013】
本発明において、前記第1軸線および前記第2軸線は、前記可動体の前記回転中心軸線に対して前記撮像方向とは反対側に向かって配列されていることが好ましい。かかる構成によれば、被写体側からみたときにカメラモジュールが占める領域が狭く済む。従って、テレビ画面を囲む枠部分等にカメラモジュールを納めることができる。
【0014】
本発明において、前記複数の第1歯車は各々、前記第1軸線上で延在する共通の第1支軸に回転可能に支持され、前記複数の第2歯車は各々、前記第2軸線上で延在する共通の第2支軸に回転可能に支持されていることが好ましい。かかる構成によれば、複数の第1歯車における支軸を第1支軸として共通化でき、複数の第2歯車における支軸を第2支軸として共通化できるので、部品点数の削減を図ることができるとともに、歯車機構が占有するスペースが狭く済む。
【0015】
本発明において、前記カメラは、前記駆動装置に駆動されて、前記固定体から露出した状態と、前記固定体に隠れた状態とに切り換わることが好ましい。かかる構成によれば、カメラを使用しないときには、カメラを固定体に隠れた状態とすることができるので、カメラが汚れるのを防止することができるとともに、カメラの存在が気になるという事態を回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、駆動装置においてモータを回転させると、モータの回転は、歯車機構を介して可動体に伝達されるので、カメラを保持する可動体がカメラの撮像方向と交差する回転中心軸線周りに回転して撮像方向が切り換えられる。ここで、駆動機構では歯車機構が用いられているので、減速比を大きくして分解能を高めた場合でも、ベルト機構を用いた場合に比して小型化を図ることができる。また、可動体の軸部を回転中心軸線方向に付勢して固定体のケースに向けて押し付ける付勢部材が設けられているので、歯車機構にバックラッシュがある場合でも、撮像方向がぶれない。それ故、カメラを任意の方向に安定して向かせることができる。また、モータは、歯車機構によって減速して伝達されるので、付勢部材によって可動体を固定体に向けて押し付けた構成を採用した場合でも、モータの回転によって可動体を回転させることができる。
また、本発明では、減速機構を構成するにあたって、第1軸線に沿って配置された複数の第1歯車と、第2軸線に沿って配置された複数の第2歯車と、を利用するとともに、歯車機構は、モータの出力軸に固着されたモータピニオンに噛合する第1平歯車と、第1歯車に噛合し且つ第1平歯車に連結される第2平歯車と、を含み、第2軸線は前記第1平歯車および前記第2平歯車の回転中心を通るので、減速比を大きくした場合でも、歯車機構が占有するスペースが狭く済む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明を適用したカメラモジ
ュールの一例を説明する。なお、以下の説明において、カメラが正面に向いているときの撮像方向をX軸方向とし、X軸方向に直交する横方向をY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に直交する上下方向をZ軸方向として説明する。また、X軸方向のうち、被写体が位置する側を一方側+Xとし、被写体が位置する側とは反対の他方側−Xとし、Y軸方向のうち、カメラに向かって左側を一方側+Yとし、右側を他方側−Yとし、Z軸方向のうち、上側を一方側+Zとし、下側を他方側−Zとして説明する。
【0019】
(テレビの全体構成)
図1は、本発明を適用したカメラモジュールを搭載したテレビの説明図である。
図1に示すテレビ100において、テレビ画面110の周りは矩形の枠体120で囲まれており、枠体120の上辺部分121には、本発明を適用したカメラモジュール1が搭載されている。カメラモジュール1は、テレビ電話用のカメラ10と、カメラ10を支持する固定体80とを備えており、カメラ10は、固定体80を介して枠体120に支持されている。このように構成したテレビ100は、テレビ電話機能を有しており、カメラモジュール1によって撮影した通話者の画像を通話相手に送信する。また、テレビ画面110には通話相手が映し出される。
【0020】
カメラモジュール1において、通話者の顔の高さによってはカメラ10による撮像方向を上下方向で調節する必要がある。このため、本形態のカメラモジュール1には、後述する駆動装置20が内蔵されており、駆動装置20によって、カメラモジュール1内において、カメラ10をY軸方向に延在する回転中心軸線Lc周りに回転させて撮像方向を調節する。また、テレビ100を通常のテレビとして使用する際、カメラ10が露出していると気になることから、本形態では、駆動装置20によって、カメラモジュール1内において、カメラ10をY軸方向に延在する回転中心軸線Lc周りに回転させてカメラ10をカメラモジュール1に用いた固定体80に隠れるようにする。
【0021】
(カメラモジュール1の全体構成)
図2は、本発明を適用したカメラモジュール1の全体構成を示す説明図であり、
図2(a)、(b)は、カメラ10が固定体80に隠れた待機状態における斜視図、および待機状態において上ケースを外した状態の斜視図であり、
図2(c)、(d)は、カメラ10が固定体80から露出した使用状態における斜視図、および使用状態において上ケースを外した状態の分解斜視図である。
図3は、本発明を適用したカメラモジュール1の内部構成を示す分解斜視図である。
図4は、本発明を適用したカメラモジュール1に用いた各部材説明図であり、
図4(a)、(b)は、カメラモジュール1を
図3よりさらに細かく分解したときの分解斜視図、および第1歯車等の斜視図である。
図5は、カメラモジュール1の平面構成を示す説明図であり、
図5(a)、(b)は、カメラモジュール1の平面図、および上ケースを外した状態における平面図である。
【0022】
図2、
図3、
図4および
図5に示すように、カメラモジュール1は、カメラ10を保持する可動体90と、可動体90をカメラ10の撮像方向(X軸方向の一方側+X)と交差するY軸方向に延在する回転中心軸線Lc周りに回転可能に支持する固定体80と、可動体90を回転中心軸線Lc周りに回転させてカメラ10の撮像方向を切り換える駆動装置20とを有している。駆動装置20は、モータ30と、モータ30の回転を減速して可動体90に減速して伝達する歯車機構40とを備えている。本形態においては、モータ30としてステッピングモータが用いられている。
【0023】
(固定体80の構成)
図3および
図4に示すように、固定体80は、Z軸方向の寸法がX軸方向の寸法やY軸方向の寸法に比して短い扁平形状の直方体からなるモジュールケースを構成しており、かかる固定体80によってカメラモジュール1の外形形状が規定されている。本形態において、固定体80は、Z軸方向の一方側+Z(上側)に向けて開放状態にある箱形状の下ケース81と、下ケース81の上部開口を塞ぐ四角形の上ケース82とを備えている。下ケース81は、Z軸方向の他方側−Zに位置する底板部810と、底板部810の外縁からZ軸方向の一方側+Zに向けて起立した4つの側板部811、812、813、814とを備えている。下ケース81において、X軸方向の他方側−Xに位置する側板部813には矩形の切り欠きが形成されており、かかる切り欠きは基板88によって塞がれている。また、側板部811には、カメラ10を露出させる矩形の切り欠き811sと、後述する平歯車99を配置するスペースを確保するための切り欠き811tとが形成されている。
【0024】
固定体80において、下ケース81の側板部811、812、813、814の外面には複数の突起819が形成されており、上ケース82の外縁には突起819に係合する複数のフック829が形成されている。このため、下ケース81に上ケース82を被せる際にフック829と突起819とを係合させれば、下ケース81と上ケース82とを結合することができる。また、下ケース81の底板部810には、Y軸方向の中央、かつ、X軸方向の他方側−X寄りの位置に、ねじ穴818aが形成された肉厚の座部818が形成されている一方、上ケース82においてねじ穴818aに重なる位置には貫通穴828が形成されている。従って、フック829と突起819との係合によって下ケース81と上ケース82とを結合させた後、貫通穴828からねじ穴818aにネジ89を止めれば、下ケース81と上ケース82とをさらに結合させることができる。
【0025】
(可動体90の構成)
可動体90は、回転中心軸線Lcに沿ってY軸方向に延在する棒状部材であり、可動体90のY軸方向の一方側+Yにおいてカメラ10を内側に保持する大径部91と、大径部91に対してY軸方向の他方側−Yに連接する中径部95と、中径部95に対してY軸方向の他方側−Yに連接する小径部96と、小径部96より小の径寸法をもって小径部96に対してY軸方向の他方側−Yに連接する第1軸部97とを備えている。大径部91の周面の一部には平坦面911が形成されており、かかる平坦面911には、カメラ10のレンズを露出させる円形の穴912が形成されている。
【0026】
また、可動体90は、大径部91に対してY軸方向の一方側+Yに連接する第2軸部98(
図5参照)を備えている。一方、固定体80では、Y軸方向の一方側+Yに位置する側板部814の内面に第2軸部98を回転可能に支持する受け部814eが上下方向に延在する溝状に形成され、底板部810の上面には、第1軸部97を回転可能に支持する溝状の受け部810eが形成されている。このようにして、可動体90は固定体80によってY軸方向に延在する回転中心軸線Lc周りに回転可能に支持されている。また、底板部810の上面には、小径部96が内側に位置する溝状凹部810fが形成されており、かかる溝状凹部810fには、小径部96の外周面に所定の角度範囲にわたって形成された切り欠き96fの端部(段部)と干渉して可動体90の回転を規定する凸状のストッパ810g(
図5(b)参照)が形成されている。このため、本形態では、小径部96とストッパ810gとが干渉した位置をカメラ10が下向きになった初期位置(待機位置)として設定されている。従って、可動体90を組み込み際に可動体90の角度位置を調整しなくても、カメラ10の初期位置を規定することができるとともに、モータ30に供給する駆動電流の送りパルスの数によって可動体90(カメラ10)の向きを制御することができる。また、カメラモジュール1を駆動した際、カウンタおよびメモリ等を用いて、小径部96とストッパ810gとが干渉した位置を基準に前回の可動体90の角度位置を記憶しておけば、再度、可動体90を前回の角度位置まで復帰させるのが容易である。なお、下ケース81の底板部810および上ケース82において可動体90の大径部91と重なる位置は湾曲した凹部になっており、底板部810や上ケース82が大径部91と接しないようになっている。
【0027】
(駆動装置20の構成)
図3、
図4および
図5に示すように、駆動装置20は、モータ30と、モータ30の回転を減速して可動体90に減速して伝達する歯車機構40とを備えており、モータ30は、可動体90の大径部91に対してX軸方向の他方側−Xで離間する位置に、モータ軸線LmがY軸方向に延在するように配置されている。モータ30は、モータ本体38の外周面のうち、X軸方向の他方側−Xに位置する部分に端子32が配置されており、端子32は基板88の穴881を貫通して基板88からX軸方向の他方側−Xに向けて突出した状態にある。従って、端子32を介して外部からモータ30に給電可能である。
【0028】
モータ30においては、モータ本体38からY軸方向の一方側+Yに向けて出力軸35が突出している。また、モータ本体38のY軸方向の一方側+Yの面には端板31が固着されており、モータ本体38は、端板31を介して下ケース81の底板部810に位置決めされている。上ケース82には、3方が切り欠かれた弾性板部825が形成されており、下ケース81の底板部810と上ケース82との間にモータ本体38を挟むように下ケース81と上ケース82と結合させると、モータ本体38が弾性板部825に当接して弾性板部825が撓む結果、モータ本体38は、弾性板部825によって底板部810に弾性をもって押圧された状態となる。
【0029】
(歯車機構40の構成)
歯車機構40は、モータ30の出力軸35に固着された平歯車からなるモータピニオン41と、モータピニオン41に対してX軸方向の一方側+Xで隣接する位置でモータピニオン41に噛合する平歯車42と、平歯車42からY軸方向の他方側−Yに向けて延在する円筒体48を介して平歯車42に連結された平歯車43とを備えている。
【0030】
また、歯車機構40は、第1軸線L1周りに回転可能な複数の第1歯車51、52と、第1軸線L1と平行に並列する第2軸線L2周りに回転可能な複数の第2歯車61、62とを含んでいる。
【0031】
第1軸線L1は、モータ30に対してY軸方向の他方側−Yでモータ軸線Lmの延長線上に位置している。より具体的には、第1軸線L1上(モータ軸線Lmの延長線上)には、Y軸方向に延在する第1支軸21が配置されており、かかる第1支軸21に第1歯車51が回転可能に支持され、第1歯車51に対してY軸方向の他方側−Yで隣り合う位置では、第2歯車52が第1支軸21に回転可能に支持されている。本形態では、第1支軸21のY軸方向の一方側+Yの端部は、座部818のY軸方向の他方側−Yの面に溝状に形成された受け部818fに保持され、第1支軸21のY軸方向の他方側−Yの端部は、側板部812の内面に溝状に形成された受け部812fに保持されている。
【0032】
第2軸線L2は、モータ軸線Lmと回転中心軸線Lcとの間(第1軸線L1と回転中心軸線Lcとの間)に設定されており、平歯車42、43の回転中心を通っている。このため、平歯車42、43も、第2歯車61、62と同様、第2軸線L2周りに回転する。より具体的には、第2軸線L2上には、Y軸方向に延在する第2支軸22が配置されており、かかる第2支軸22は、両端に平歯車42、43が固着された円筒体48の内側を貫通している。このため、円筒体48および平歯車42、43は、第2支軸22周り(第2軸線L2周り)に回転可能である。また、第2支軸22において、平歯車43に対してY軸方向の他方側−Yで隣り合う位置には第2歯車61が回転可能に支持され、第2歯車61に対してY軸方向の他方側−Yで隣り合う位置では、第2歯車62が第2支軸22に回転可能に支持されている。本形態では、第2支軸22のY軸方向の一方側+Yの端部は、側板部814の内面に溝状に形成された受け部814gに保持され、第2支軸22のY軸方向の他方側−Yの端部は、側板部812の内面に溝状に形成された受け部812gに保持されている。
【0033】
このように構成した駆動装置20において、平歯車43は、第1歯車51と噛合している。このため、モータ30が回転すると、モータ30の回転は、モータピニオン41から平歯車42に伝達された後、円筒体48を介して平歯車43に伝達され、その後、平歯車43の回転は、第1歯車51、第2歯車61、第1歯車52、および第2歯車62の順に伝達されて、可動体90の第1軸部97のY軸方向の他方側−Yの端部に固着された平歯車99に伝達される。このため、モータ30の回転が可動体90に伝達される結果、可動体90が回転中心軸線Lc周りに回転する。
【0034】
ここで、平歯車42はモータピニオン41より外径が大であり、モータ30の回転は、減速して平歯車42に伝達された後、平歯車43から第1歯車51、第2歯車61、第1歯車52、および第2歯車62を経て平歯車99に伝達されるまでの間でも減速される。より具体的には、第1歯車51、52および第2歯車61、62は各々、大径歯車に対してY軸方向の他方側−Y(第1軸線L1の方向および第2軸線L2の方向における同一側)に小径歯車が一体化されている複合歯車であり、以下に説明するように、大径歯車と小径歯車とが噛合して減速機構を構成している。
【0035】
まず、第1歯車51は、大径歯車511に対してY軸方向の他方側−Yに大径歯車511より小径の小径歯車512が一体化されている複合歯車であり、第1歯車52は、大径歯車521に対してY軸方向の他方側−Yに大径歯車521より小径の小径歯車522が一体化されている複合歯車である。第2歯車61は、大径歯車611に対してY軸方向の他方側−Yに大径歯車611より小径の小径歯車612が一体化されている複合歯車であり、第2歯車62は、大径歯車621に対してY軸方向の他方側−Yに大径歯車621より小径の小径歯車622が一体化されている複合歯車である。ここで、大径歯車511、521、611、621はいずれも外径寸法が同一であり、小径歯車512、522、612、622はいずれも外径寸法が同一である。
【0036】
また、平歯車43は、第1歯車51の大径歯車511に噛合しており、大径歯車511の外径寸法は平歯車43の外径寸法より大である。第1歯車51の小径歯車512は第2歯車61の大径歯車611に噛合し、第2歯車61の小径歯車612は第1歯車52の大径歯車521に噛合している。また、第1歯車52の小径歯車522は第2歯車62の大径歯車621に噛合し、第2歯車62の小径歯車622は平歯車99に噛合している。ここで、平歯車99の外径寸法は小径歯車622の外径寸法より大である。このため、平歯車43から平歯車99までの歯車列では、歯車間で回転が伝達される度に減速される。
【0037】
(バックラッシュ防止用の付勢部材の構成)
本形態では、モータ30の回転を可動体90まで複数の歯車からなる歯車機構40によって伝達しているため、歯車同士のバックラッシュの影響が大であり、可動体90の回転中心軸線Lc周りの角度位置(カメラ10の撮像方向)が変動しやすい。そこで、本形態では、可動体90を固定体80に向けて押し付ける付勢部材70が設けられている。
【0038】
より具体的には、可動体90の第1軸部97には、コイルばねからなる付勢部材70が装着されており、付勢部材70に対して小径部96とは反対側(Y軸方向の他方側−Y)にはリング状のワッシャ71が装着されている。この状態で、可動体90を下ケース81上に搭載する際、ワッシャ71の付勢部材70とは反対側の面(Y軸方向の他方側−Yの面)が、下ケース81において受け部810eが形成された壁810hのY軸方向の一方側+Yの面に当接させる。その結果、付勢部材70が可動体90の回転中心軸線Lc方向で圧縮された状態となり、小径部96を介して可動体90をY軸方向の一方側+Y(回転中心軸線Lc方向)に付勢する。このため、可動体90の第2軸部98のY軸方向の一方側+Yの端部は、側板部814に形成された受け部814eに支持された状態のまま、受け部814e内において側板部814の内面に弾性をもって当接する。従って、モータ30によって駆動されない限り、可動体90は、回転中心軸線Lc周りに不用意に回転することがない。
【0039】
(動作および本形態の主な効果)
本形態のテレビ100においては、テレビ100でテレビ画像を見るとき、
図2(a)、(b)に示すように、可動体90は、カメラ10および穴912が下向き(Z軸方向の他方側−Z)となる角度位置にある(待機状態)。この状態において、カメラ10は、固定体80に隠れた状態にある。また、待機状態では、
図3等を参照して説明した小径部96の切り欠き96fの端部(段部)と下ケース81側のストッパ810gとが干渉した状態にある。
【0040】
この状態から、テレビ100をテレビ電話として利用する場合、テレビ本体に設けられているスイッチやリモコンスイッチを操作してモータ30を作動させる。その結果、モータ30の回転は、歯車機構40によって可動体90に伝達されるので、可動体90が回転中心軸線Lc周りに90°回転し、
図2(c)、(d)に示すように、可動体90は、カメラ10および穴912が前向き(X軸方向の一方側+X)となる角度位置に移行する(使用状態)。その際、カメラ10による撮像方向を通話者の顔の高さに合わせたいときには、テレビ本体に設けられているスイッチやリモコンスイッチを操作してモータ30を作動させる。その結果、モータ30の回転は、歯車機構40によって可動体90に伝達されるので、カメラ10の撮像方向を所定の方向に合わせることができる。その際、歯車機構40は減速機構として構成されているので、カメラ10の撮像方向を容易に調整することができる。特に本形態では、多数の歯車によって、歯車機構40を構成しているため、減速比が大きい。従って、カメラ10の撮像方向を高い分解能をもって調整することができる。また、減速機構を歯車機構40によって構成したため、ベルト機構を用いた場合に比して駆動装置20が占有するスペースを縮小することができる。それ故、カメラモジュール1の小型化を図ることができる。また、本形態では、多数の歯車を備えた歯車機構40によって減速機構を構成するにあたって、可動体90を回転中心軸線Lcの方向に付勢して固定体80に押し付ける付勢部材70が設けられている。このため、歯車機構40にバックラッシュがある場合でも、可動体90が不用意に回転しないので、カメラ10の撮像方向がぶれない。それ故、カメラ10を任意の方向に安定して向かせることができる。また、モータ30は、歯車機構40によって減速して伝達されるので、付勢部材70によって可動体90を固定体80に向けて押し付けた構成を採用した場合でも、モータ30の回転によって可動体90を回転させることができる。
【0041】
そして、テレビ電話による通話が終了して、テレビ画像を見るとき、テレビ本体に設けられているスイッチやリモコンスイッチを操作してモータ30を作動させると、
図2(a)、(b)に示すように、可動体90は、カメラ10および穴912が下向き(Z軸方向の他方側−Z)となる角度位置に戻り、カメラ10は、固定体80に隠れた状態となる(待機状態)。このように、カメラ10を使用しない待機状態では、カメラ10を固定体80に隠れた状態とすることができるので、カメラ10が汚れるのを防止することができるとともに、カメラ10の存在が気になるという事態を回避することができる。
【0042】
また、本形態において、歯車機構40は、第1軸線L1周りに回転可能な第1歯車51、52と、第1軸線L1と平行に並列する第2軸線L2周りに回転可能な第2歯車61、62とを含み、モータ30の回転は、第1歯車51、52および第2歯車61、62の間での伝達が行われる度に減速して可動体90に伝達される。このため、歯車の数を増やして減速比を大きくしても、歯車機構40(減速機構)が占有するスペースが狭く済む。しかも、第1歯車51、52および第2歯車61、62は各々、大径歯車に対して同一側に小径歯車が一体化されている複合歯車であり、第1歯車51、52と第2歯車61、62では、一方の歯車の大径歯車と他方の歯車の小径歯車とが噛合している。このため、減速比を大きくした場合でも、歯車機構40(減速機構)が占有するスペースが狭く済む。
【0043】
また、モータ30のモータ軸線Lmは、第1軸線L1の延長線上にある。このため、モータ30と第1歯車51,52とをY軸方向で隣り合う位置に配置できる等、モータ30と歯車機構40とを占有するスペースが狭く済む。また、可動体90の回転中心軸線Lcは、第1軸線L1および第2軸線L2と平行に延在しているため、歯車機構40では、簡素な構成で所定の歯車同士を噛合させることができる。従って、可動体90および歯車機構40が占有するスペースが狭く済む。さらに、複数の第1歯車51、52は各々、第1軸線L1上で延在する共通の第1支軸21に回転可能に支持され、複数の第2歯車61、62は各々、第2軸線L2上で延在する共通の第2支軸22に回転可能に支持されている。このため、複数の第1歯車51、52における支軸を第1支軸21として共通化でき、複数の第2歯車61、62における支軸を第2支軸22として共通化できるので、部品点数の削減を図ることができるとともに、歯車機構40が占有するスペースが狭く済む。
【0044】
しかも、第1軸線L1および第2軸線L2は、可動体90の回転中心軸線Lcに対して撮像方向とは反対側に向かって配列されており、第1軸線L1、第2軸線L2および回転中心軸線Lcは同一のXY平面内で回転中心軸線Lc、第2軸線L2、および第1軸線L1の順に配列されている。このため、カメラモジュール1を7mm程度まで扁平化することができるので、被写体側(X軸方向の一方側+X)からみたとき、カメラモジュール1が占める領域が狭く済む。従って、テレビ画面110を囲む枠部分120にカメラモジュール1を納めることができる。
【0045】
[別の実施の形態]
上記実施の形態では、付勢部材70としてコイルばねを用いたが、板バネ等の付勢部材70によって可動体90を回転中心軸線Lcの方向に付勢して固定体80に押し付けてもよい。
【0046】
上記実施の形態では、テレビ電話用のカメラモジュール1を例示したが、被写体の人物の動きを分析してテレビあるいはテレビに接続されている機器に対する指示を入力するカメラモジュール1に本発明を適用してもよい。また、テレビ電話以外にも、パーソナルコンピュータ用、携帯端末用、監視カメラ用等のカメラモジュール1に本発明を適用してもよい。