特許第6075998号(P6075998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6075998ドリルヘッド、ドリル装置及び拡幅掘削孔の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6075998
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】ドリルヘッド、ドリル装置及び拡幅掘削孔の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/32 20060101AFI20170130BHJP
   E21B 10/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   E21B10/32
   E21B10/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-187461(P2012-187461)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-43732(P2014-43732A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(72)【発明者】
【氏名】大村 博昭
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−217585(JP,A)
【文献】 特開2006−274578(JP,A)
【文献】 特開2012−077612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
E02D 5/22−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に適宜の間隔を隔てて配置した掘削ビットを底面側に有する掘削翼を回転中心に対して径外側上向き、且つ回転方向に等間隔で複数配置して先端中央に向かって凸状に構成し、ドリル装置によって回転するドリルの先端に装着するドリルヘッドであって、
ドリルヘッド径を拡径する拡径手段と、
少なくとも拡径状態の前記掘削翼の上面側に配置され、上向きの掘削ビットを有する上部掘削手段とを備え、
該上部掘削手段を、
前記上部掘削手段によって掘削される拡幅部分の断面積である拡幅部断面積が、前記掘削翼に備えた前記掘削ビットで掘削する掘削孔の断面積に対して1.3倍以下の面積となるように設定した
ドリルヘッド。
【請求項2】
前記拡径手段を、
先端の回転中心を軸に、前記掘削翼を径外側向きに傾倒可能にする傾倒手段と、
前記掘削翼の傾倒を調整する傾倒調整手段で構成し
請求項1に記載のドリルヘッド。
【請求項3】
請求項1または2のうちいずれかに記載のドリルヘッドを前記ドリルに装着した
ドリル装置。
【請求項4】
低空頭ドリル装置で構成した
請求項3に記載のドリル装置。
【請求項5】
前記ドリルヘッドの先端側に配置した先端ビットの上部に配置した吸入口から掘削土を吸入する吸入手段を備えた
請求項またはに記載のドリル装置。
【請求項6】
請求項5に記載のドリル装置を用い、
ドリルを回転させるとともに、前記吸入手段で掘削土を吸入しながら所定深さまで掘削して掘削孔を構築した後、
前記拡径手段を稼働して前記ドリルヘッド径を拡径するとともに、前記上部掘削手段を出現させ、
前記ドリルを回転させて、前記上部掘削手段で上部を掘削しながら所定高さまで引き上げて孔内拡幅部を構築し、
該孔内拡幅部を構築した後、前記ドリルを下降させて、孔底に堆積する前記上部掘削手段で掘削した掘削土を吸入する
拡幅掘削孔の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転して地盤を掘削するドリルの先端に装着するドリルヘッド、当該ドリルヘッドを装着したドリル装置、並びに拡幅掘削孔の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、杭等を造成するために、回転するドリルで地盤を掘削して掘削孔を構築することが多く、さらには、杭底となる掘削孔の先端を地中で拡幅する工法が多用されており、そのための施工方法やドリルヘッドについて多く提案されている。
例えば、下記特許文献1の拡幅掘削方法もその1つである。
【0003】
特許文献1の拡幅掘削方法は、スパイラルオーガと、拡大掘り用の掘削刃及び外周側に向けて液を噴射させる液体噴射ノズルをドリルヘッドに備え、掘削刃を前記スパイラルオーガの外周より内側に収容した収納状態で、所定深さまで掘削し、その後、液体噴射ノズルから水ジェットを噴射させながら回転させて地盤を水ジェットで緩めるとともに、掘削刃を突出させた状態でドリルヘッドを回転させて孔内拡幅部を上向きに掘削する方法である。
【0004】
この方法では、掘削刃を拡幅させる構成に加え、液体噴射ノズルから水ジェットを噴射させる構成も必要となり、装置構成が複雑化するといった問題があった。また、水ジェットで周辺地盤を緩ませてから掘削刃で孔内拡幅部を掘削するが、水ジェットで緩んだ地盤が周囲に悪影響を及ぼすおそれもあり、また、地盤状態によっては掘削刃で孔内拡幅部を掘削する際の掘削抵抗が大きくなり、十分に孔内拡幅部を掘削できないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−106426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、簡単な構造でありながら、地盤状態によらず、所定深さまで掘削した後、上方に掘削して孔内拡幅部を確実に構築できるドリルヘッド、ドリル装置及び拡幅掘削孔の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この本発明は、径方向に適宜の間隔を隔てて配置した掘削ビットを底面側に有する掘削翼を回転中心に対して径外側上向き、且つ回転方向に等間隔で複数配置して先端中央に向かって凸状に構成し、ドリル装置によって回転するドリルの先端に装着するドリルヘッドであって、ドリルヘッド径を拡径する拡径手段と、少なくとも拡径状態の前記掘削翼の上面側に配置され、上向きの掘削ビットを有する上部掘削手段とを備え、該上部掘削手段を、前記上部掘削手段によって掘削される拡幅部分の断面積である拡幅部断面積が、前記掘削翼に備えた前記掘削ビットで掘削する掘削孔の断面積に対して1.3倍以下の面積となるように設定したことを特徴とすることができる。
【0008】
上記ドリルは、オーガスクリュウ、スクリュウドリル等を回転して掘削する掘削治具とすることができる。
上記掘削する掘削孔は、ドリル等を回転して削孔した掘削孔のみならず、切削による掘削孔、あるいはボーリング孔も含む概念である。
【0009】
上述の少なくとも拡径状態の前記掘削翼の上面側に配置されるとは、拡径状態において上面側に配置されていれば、拡径前の状態において上面側に配置されていても、配置されていなくともよく、あるいは、拡径前の状態において露出されておらず、拡径状態において上面側に出現する構成であってもよい。
【0010】
この発明により、簡単な構造でありながら、地盤状態によらず、所定深さまで掘削した後、上方に掘削して孔内拡幅部を確実に構築することができる。
詳しくは、径方向に適宜の間隔を隔てて配置した掘削ビットを底面側に有する掘削翼を回転中心に対して径外側上向き、且つ回転方向に等間隔で複数配置して先端中央に向かって凸状に構成したドリルヘッドを、ドリル装置によって回転するドリルの先端に装着することで、所定深さまで掘削孔を構築することができる。
【0011】
また、ドリルヘッドに、ドリルヘッド径を拡径する拡径手段と、少なくとも拡径状態の前記掘削翼の上面側に配置され、上向きの掘削ビットを有する上部掘削手段とを備えたことにより、所定深さまで掘削後、拡径手段でドリルヘッド径を拡径させ、拡径状態において掘削翼の上面側に上部掘削手段が配置されるドリルヘッドを回転させることで、孔壁を上向きに掘削し、掘削孔を拡幅して孔内拡幅部を構築することができる。なお、孔内拡幅部は、所定深さまで掘削された掘削孔のいずれの高さの部分に構築してもよい。
【0012】
なお、該上部掘削手段を、前記上部掘削手段によって掘削される拡幅部分の断面積である拡幅部断面積が、前記掘削翼に備えた前記掘削ビッで掘削する掘削孔の断面積に応じた面積となるように設定したことにより、ドリル装置の回転能力に応じて定まる掘削孔の断面積、つまり所定深さまで掘削する際の掘削面積に応じた面積となるように、前記上部掘削手段によって掘削される拡幅部分の断面積である拡幅部断面積が設定されるため、地盤状態によらずとも、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削する際、既に掘削された掘削孔の孔壁をガイドとして上向きに掘削でき、掘削孔を確実に拡幅して精度のよい孔内拡幅部を構築することができる。
【0013】
具体的には、前記拡幅部断面積を、前記掘削孔の断面積に対して約1.3倍以下の面積となるように設定しているため、地盤状態によらずとも、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削し、掘削孔をより確実に拡幅することができる。
【0014】
詳しくは、前記拡幅部断面積が前記掘削孔の断面積に対して例えば2倍や3倍のように、前記掘削孔の断面積より広い場合、掘削抵抗がドリル装置の回転能力を上回るため、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削することができない。
【0015】
逆に、前記拡幅部断面積が前記掘削孔の断面積に対して例えば1倍以下である場合、所定深さまで掘削する際の掘削抵抗により上向きの掘削抵抗が同等以下であるため、確実に、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削することができる。
【0016】
しかしながら、所定深さまで掘削する際は、中実な状態の地盤を掘削して孔を構築する、つまり、掘削された掘削土砂の逃げ場のない状態で掘り進む必要があるが、上部掘削手段で上向きに掘削する場合は、すでに構築された孔の孔壁を掘削すればよく、その掘削抵抗は所定深さまで掘削する場合より小さくなる。
【0017】
そのため、前記拡幅部断面積が前記掘削孔の断面積に対して約1.3倍以下の面積となるように設定することによって、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削し、掘削孔をより確実に拡幅して孔内拡幅部を構築することができる。なお、前記拡幅部断面積を、前記掘削孔の断面積に対して約1.3倍以下の面積となるように設定することによって、孔内拡幅部を、掘削孔の径のおよそ1.5倍程度の径で構築することができる。ここで、上述の前記掘削孔の断面積に対して約1.3倍以下の面積とは、例えば、掘削径が所定の範囲において調整可能である場合は、調整可能な所定の範囲における最大掘削径に対する約1.3倍以下の面積である。
【0018】
また、既に掘削された掘削孔の孔壁をガイドとして上向きに掘削して孔内拡幅部を構築する場合であっても、前記拡幅部断面積を、前記掘削孔の断面積に対して約1.3倍以下の面積となるように設定するため、上述したように、上向き掘削による掘削負荷が過剰に作用することを防止でき、既に掘削された掘削孔の孔壁を崩すことなく、孔内拡幅部を構築することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記拡径手段を、先端の回転中心を軸に、前記掘削翼を径外側向きに傾倒可能にする傾倒手段と、前記掘削翼の傾倒を調整する傾倒調整手段で構成することができる。
【0020】
この発明により、簡単な構造で確実にドリルヘッド径を拡径することができる。したがって、所定深さまで掘削後、傾倒調整手段により径外側向きに掘削翼を傾倒させて上部掘削手段を出現させ、孔壁を上向きに掘削し、掘削孔を拡幅して孔内拡幅部を構築することができる。
【0021】
またこの発明は、上述のドリルヘッドを前記ドリルに装着したドリル装置であることを特徴とする。
上述の理由により、簡単な構造でありながら、地盤状態によらず、所定深さまで掘削した後、上方に掘削して孔内拡幅部を確実に構築することができる。
なお、ドリル装置は、載置式、あるいは自走式のドリル装置であってもよい。
【0022】
この発明の態様として、前記ドリル装置を、低空頭ドリル装置とすることができる。
この発明により、ドリルを回転する回転能力の低い低空頭ドリル装置であっても、地盤状態によらずとも、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削し、掘削孔をより確実に拡幅することができる。
【0023】
また、低空頭ドリル装置は、通常のドリル装置に比べ装置重量も軽くなり、拡径しない通常状態で所定深さまで掘削する際の反力の確保が困難であり、太径の掘削孔を掘削することは困難であるため、孔内拡幅部の構築が求められることが多い。このような状況において、該上部掘削手段を、前記上部掘削手段によって掘削される拡幅部分の断面積である拡幅部断面積が、前記掘削翼に備えた前記掘削ビッで掘削する掘削孔の断面積に応じた面積となるように設定し、上向きに掘削することにより、回転能力が低くく、軽量である低空頭ドリル装置であっても、地盤状態によらずとも、また、掘削抵抗によって浮き上がることもなく、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削し、掘削孔をより確実に拡幅することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記ドリルヘッドの先端側に配置した先端ビットの上部に配置した吸入口から掘削土を吸入する吸入手段を備えたことを特徴とする。
この発明により、掘削しながら、あるいは掘削後に掘削土を吸入口から吸入することができる。したがって、別の吸入装置を備えずとも、掘削土が掘削箇所に堆積し、掘削抵抗が増大することを防止できる。
【0025】
さらにまたこの発明は、上述のドリル装置を用い、ドリルを回転させるとともに、前記吸入手段で掘削土を吸入しながら所定深さまで掘削して掘削孔を構築した後、前記拡径手段を稼働して前記ドリルヘッド径を拡径するとともに、前記上部掘削手段を出現させ、前記ドリルを回転させて、前記上部掘削手段で上部を掘削しながら所定高さまで引き上げて孔内拡幅部を構築し、該孔内拡幅部を構築した後、前記ドリルを下降させて、孔底に堆積する前記上部掘削手段で掘削した掘削土を吸入する拡幅掘削孔の施工方法であることを特徴とする。
【0026】
この施工方法により、地盤状態によらずとも、掘削孔の孔壁を上部掘削手段で上向きに掘削し、掘削孔を確実に拡幅して孔内拡幅部を構築することができる。
また、所定深さまで掘削した後、ドリルヘッドを拡径し、上部掘削手段で上部を掘削しながら所定高さまで引き上げて孔内拡幅部を構築した後、前記ドリルを下降させて、孔底に堆積する前記上部掘削手段で掘削した掘削土を吸入するため、孔底に掘削土が堆積していない孔内拡幅部を有する掘削孔を構築することができる。
【0027】
また、所定深さまで掘削してから、所定高さまで引き上げて孔内拡幅部を構築し、さらに下降して掘削土を吸入手段で吸入するため、掘削孔の孔壁をそのままにしておく時間が短くなるため、孔壁が崩れることがなく、より所望の形状の拡径孔を構築することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、簡単な構造でありながら、地盤状態によらず、所定深さまで掘削した後、上方に掘削して孔内拡幅部を確実に構築できるドリルヘッド、ドリル装置及び拡幅掘削孔の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ドリルヘッドの説明図。
図2】拡径状態ドリルヘッドの説明図。
図3】低空頭掘削機の概要図。
図4】RCD工法で拡底場所打ち杭を構築するフローチャート。
図5】拡底掘削孔の掘削施工説明図。
図6】RCD工法で拡幅場所打ち杭を構築するフローチャート。
図7】拡幅掘削孔の掘削施工説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1はドリルヘッド10の説明図を示し、図2は拡径状態ドリルヘッド10aの説明図を示し、図3は低空頭掘削機100の概要図を示している。詳しくは、図1(a)はドリルヘッド10の正面図を示し、図1(b)は、図1(a)におけるA−A矢視図を示している。図2(a),図2(b)についても、拡径状態ドリルヘッド10aについて、図1(a)及び図1(b)と同様に図示している。なお、図1(a),図2(a)においてスタビライザ30についてのみ、図1(b)におけるB−B矢視図で示している。また、図1(b)において、スタビライザ30について破線で示している。
【0031】
また、図4はRCD工法で拡底場所打ち杭を構築するフローチャートを示し、図5は拡底場所打ち杭を構築するための拡底掘削孔Ktの掘削施工説明図を示している。
【0032】
さらにまた、図6はRCD工法で拡幅場所打ち杭を構築するフローチャートを示し、図7は、拡幅場所打ち杭を構築するための拡幅掘削孔Kfの掘削施工説明図を示している。
【0033】
ドリルヘッド10は、図3に示す低空頭掘削機100に備えたドリルシャフト101の先端に脱着可能に装着され、硬質土を掘削可能であり、掘削径を拡幅可能にするドリルヘッドである。
詳しくは、ドリルヘッド10は、脱着手段11によって、ドリルシャフト101の先端に取り付けられるヘッドシャフト12と、ヘッドシャフト12の外周面において、放射方向に等間隔で配置した4枚の掘削翼20と、掘削翼20の傾斜角度を調整する角度調整機構13と、ヘッドシャフト12の先端側に配置した先端ビット14とで構成している。
【0034】
ドリルシャフト101及びヘッドシャフト12は、脱着手段11によって導通可能に接続される中空の管体で構成し、ドリルシャフト101の上端側に、サクション・ジェット・エアリフト式などの排土設備が接続され、ドリルヘッド10で掘削した掘削土砂をヘッドシャフト12の先端開口部12aから吸引して、排土する排土機構Hを構成している。
【0035】
先端ビット14は、底部中央が下向きに凸状となり、底部中央から径外側に向かって、斜め上方向に傾斜する底面部分に沿って、径方向に所定間隔を隔てて、掘削チップ14aを複数配置している。
【0036】
また、先端ビット14の上部中央におけるヘッドシャフト12の先端開口部12aに対向する部分には、先端開口部12aから吸引される掘削土の通過を許容する開口である吸引開口14bを設けている。
【0037】
掘削翼20は、ヘッドシャフト12に対して、図示省略する枢動軸を枢動中心として、傾斜角度を調整可能に構成した掘削翼であり、図1(b)に示すように、周方向に等間隔で4枚配置している。
【0038】
掘削翼20は、図2(a)に示すように、上辺部分20aが略水平となる状態で、底辺部分20bが、径外側向きに、斜め上方に傾斜する略台形状で形成し、底辺部分20bに沿って、径方向に所定間隔を隔てた複数の下向き掘削チップ21bを備えている。また、上辺部分20aの径外側の所定範囲において、径方向に所定間隔を隔てた複数の上向き掘削チップ21aを備えている。なお、上向き掘削チップ21aを配置する径外側の所定範囲について、後で詳細に説明する。
【0039】
角度調整機構13は、ヘッドシャフト12に対して、上下方向にスライド可能に外嵌する外嵌リング13aと、一端部13baが外嵌リング13aに対して上下方向に枢動可能に接続され、他端部13bbが掘削翼20に接続されることで、外嵌リング13aと掘削翼20とを連結する連結アーム13bとで構成している。
【0040】
外嵌リング13aは、図示省略するジャッキによって、ヘッドシャフト12に対する上下位置が規制される構成である。
連結アーム13bは、4枚配置した掘削翼20のそれぞれに対して1枚ずつ備えている。
【0041】
また、連結アーム13bの他端部13bbと掘削翼20との接続について詳述すると、他端部13bbは、掘削翼20の上辺部分20a付近において、上辺部分20aに平行にスライド可能に構成されたスライド軸22によって、掘削翼20に対して、スライド軸22を中心として回動可能に接続されている。
【0042】
このように構成された角度調整機構13によって、枢動軸(図示省略)を枢動中心としてヘッドシャフト12に対して傾斜角度を調整可能に構成した掘削翼20の傾斜角度を規制することができる。
【0043】
詳しくは、図示省略するジャッキによって、外嵌リング13aが上側位置で規制されると、図1(a)に示すように、連結アーム13b及びスライド軸22を介して、傾斜角度が急な状態で掘削翼20の傾斜角度を規制することができる。
これに対して、外嵌リング13aがジャッキによって下側位置に規制されると、図2(a)に示すように、連結アーム13b及びスライド軸22を介して、掘削翼20は傾倒し、傾斜角度が緩やかな状態で規制される。
【0044】
なお、図1(a)に示すような傾斜角度が急である通常の状態に対し、図2(a)に示すように、掘削翼20が傾倒し、傾斜角度が緩やかになることで、掘削面積Sが拡大された径状態となる。ちなみに、本明細書において、掘削翼20が傾倒し、傾斜角度が緩やかになることで、掘削面積の径が拡大される拡径状態のドリルヘッド10を、便宜上、拡径状態ドリルヘッド10aとする。また、図1(b)において円形状ハッチングに示すように、通常の状態におけるドリルヘッド10で掘削可能な範囲の面積を下向き掘削面積Sとする。
【0045】
次に、掘削翼20の上辺部分20aにおける径外側において上向き掘削チップ21aを配置した範囲である所定範囲について説明する。
上向き掘削チップ21aを配置した範囲を回転させた平面視リング状の面積、つまり、拡径状態ドリルヘッド10aの回転に伴って、掘削翼20の上辺部分20aにおいて径外側の所定範囲に配置した上向き掘削チップ21aによって掘削する上向き掘削面積S1が、通常の状態であるドリルヘッド10によって掘削される下向き掘削面積Sに応じて設定している。
具体的には、上向き掘削面積S1が、下向き掘削面積Sに対して約1.3倍以下の面積となるように設定している。
【0046】
なお、通常状態のドリルヘッド10を回転させて掘削する場合の掘削孔の直径が2000mmとなり、その時の下向き掘削面積Sが3.14mとなるように設定した本実施形態では、拡径状態ドリルヘッド10aの回転による回転軌跡面積が7.065mとなり、そのときの直径が、ドリルヘッド10による直径の1.5倍となる3000mmとなり、上向き掘削チップ21aによる上向き掘削面積S1は、下向き掘削面積Sの1.25倍となるように設定している。
【0047】
このように構成した角度調整機構13と掘削翼20との間には、ヘッドシャフト12に対して上下方向に規制されるが、回転自在なスタビライザ30を備えている。
スタビライザ30は、角度調整機構13より上方のヘッドシャフト12に対して回転自在に外嵌する外嵌リング31と、図1(b)に示すように、ドリルヘッド10による下向き掘削面積Sを構成する平面視円形と略同じ径のリング部材32と、外嵌リング31とリング部材32とを径方向に連結する連結バー33とで構成している。なお、連結バー33は、周方向において等間隔で8本配置している。また、リング部材32の断面において、上下の端部を径内側に折り曲げて端部テーパ32aを形成している。
それぞれを上述したように構成したドリルヘッド10は、上述したように、低空頭掘削機100に装着されるドリルシャフト101の先端に装着されて用いられる。
【0048】
続いて、ドリルヘッド10を装着した低空頭掘削機100によって、拡底場所打ち杭を構築する方法について、説明する。
なお、ドリルヘッド10を装着した低空頭掘削機100によって、場所打ち杭を構築する方法として、以下では、リバースサーキュレーション工法(Reverse Circulation Drill method、以下においてRCD工法とする)について説明するが、ドリルヘッド10を用いて掘削孔を掘削する工法として、上記RCD工法に限定されず、例えば、杭の構築以外で用いてもよい。
【0049】
RCD工法は、掘削孔内に満たしたベントナイト溶液の静水圧で孔壁を保持しつつ、ドリルシャフト101の先端に取り付けたドリルヘッド10によって土砂を掘削し、水とともに逆循環によって排土機構Hで掘削土を排土したのち、掘削孔にコンクリートを打ち込んで杭を造成する工法である。
【0050】
RCD工法を施工するためには、図3に示す低空頭掘削機100、ドリルシャフト101の上端に接続される排土設備、貯水槽等の設備が必要となる。なお、図3には、定置式の低空頭掘削機100を図示しているが、クローラ等の自走式の掘削機であってもよい。
【0051】
具体的な施工方法について、図4及び図5とともに説明する。なお、本施工では、表面の軟弱層Gnの下側の硬質土で構成された支持層Gsに達する深さの拡底杭を構築する場合について説明する。
【0052】
まず、図5(a)に示すように、スタンドパイプ110を地表層Ghに建込む(ステップs1)。そして、図5(b)に示すように、地表面に低空頭掘削機100を設置し、スタンドパイプ110の内部から、通常状態のドリルヘッド10で一次掘削する(ステップs2)。このとき、掘削翼20の下向き掘削チップ21bで掘削された掘削土砂は、ヘッドシャフト12の先端開口部12aから吸引され、ドリルシャフト101の内部を通じて排土される。なお、図5(c)乃至(f)において、低空頭掘削機100の図示を省略している。
【0053】
ドリルヘッド10が所定深さに達するまで一次掘削を続け(ステップs3:No)、ドリルヘッド10が支持層Gsにおける所定深さまで達すると(ステップs3:Yes)、図5(c)に示すように、ドリルヘッド10を回転させながら、角度調整機構13によって掘削翼20を傾倒させ、ドリルヘッド10を拡径して拡径状態ドリルヘッド10aとする(ステップs4)。なお、通常状態のドリルヘッド10で所定深さまで掘削された掘削孔を、一次掘削孔K1とする。
【0054】
そして、図5(d)に示すように、拡径状態ドリルヘッド10aを回転させて、一次掘削孔K1の孔壁に対し、上向き掘削チップ21aで上向きに二次掘削を行い(ステップs5)、一次掘削孔K1の杭底を拡幅する拡底部K2を構築する。なお、二次掘削は、スタビライザ30で一次掘削孔K1の孔壁にガイドされながら所定高さまで行うが(ステップs6:No)、この二次掘削において、掘削翼20の上辺部分20aに配置された上向き掘削チップ21aによって掘削された掘削土は、一次掘削孔K1の孔底にたまる。
【0055】
二次掘削が所定高さまで達すると(ステップs6:Yes)、図5(e)に示すように、拡径状態ドリルヘッド10aを杭底まで下げ、杭底にたまる掘削土を排土機構Hで吸引して排土し(ステップs7)、拡径状態ドリルヘッド10aを角度調整機構13で縮径して、図5(f)に示すように、拡底部K2より上方の一次掘削孔K1を引き上げ(ステップs8)、拡底掘削孔Ktを完成させる。
【0056】
なお、スタビライザ30におけるリング部材32の上端部に端部テーパ32aを形成しているため、スタビライザ30が拡底部K2を超えて、一次掘削孔K1に侵入する際においても、リング部材32の端部テーパ32aによって、スタビライザ30は誘導させ、一次掘削孔K1にスムーズに侵入することができる。
【0057】
そして、拡底掘削孔Ktに鉄筋籠を挿入し(ステップs9)、さらに、拡底掘削孔Ktにトレミー管を祖建込み(ステップs10)、拡底掘削孔Kt内にコンクリートを打設しながら、トレミー管を引き抜く(ステップs11)。コンクリートが地表面まで打設されると、スタンドパイプ110を引き抜くとともに、埋戻しして(ステップs12)、RCD工法は完了する。
この施工により、支持層Gsで拡底された場所打ち杭を構築することができる。
【0058】
次に、通常状態のドリルヘッド10で掘削する一次掘削孔K1より太径の拡径場所打ち杭をRCD工法で構築する場合について説明する。このように、通常状態のドリルヘッド10で掘削する一次掘削孔K1より太径の拡径場所打ち杭を構築するために、太径の拡径掘削孔Kfを掘削するが、硬質な支持層Gsを拡径状態ドリルヘッド10aによる一次掘削で掘削することは低空頭掘削機100の能力では困難である。
【0059】
そこで、図7(a)に示すように、スタンドパイプ110を地表層Ghに建込み(ステップt1)、図7(b)に示すように、地表面に低空頭掘削機100を設置し、スタンドパイプ110の内部から、軟弱層Gnを拡径した拡径状態ドリルヘッド10aで一次掘削する。これを拡径一次掘削とする(ステップt2)。このとき、掘削翼20の下向き掘削チップ21bで掘削された掘削土砂は、ヘッドシャフト12の先端開口部12aから吸引され、ドリルシャフト101の内部を通じて排土される。
【0060】
拡径状態ドリルヘッド10aが支持層Gsに達するまで拡径一次掘削を続け(ステップt3:No)、ドリルヘッド10が支持層Gsにおける所定深さまで達すると(ステップt3:Yes)、ドリルヘッド10を回転させながら、角度調整機構13によって拡径状態ドリルヘッド10aを縮径する(ステップt4)。
【0061】
なお、通常状態の低空頭掘削機100で所定深さまで掘削された掘削孔を、拡径一次掘削孔Ka1とする。そして、支持層Gsを縮径されたドリルヘッド10で縮径一次掘削し(ステップt5:図7(c))、ドリルヘッド10が所定深さに達するまで続ける。(ステップt6:No)、ドリルヘッド10が支持層Gsにおける所定深さまで達すると(ステップt6:Yes)、図7(d)に示すように、ドリルヘッド10を回転させながら、角度調整機構13によって掘削翼20を傾倒させ、ドリルヘッド10を拡径状態の拡径状態ドリルヘッド10aとする(ステップt7)。なお、通常状態のドリルヘッド10で所定深さまで掘削された掘削孔を、縮径一次掘削孔Ka2とする。
【0062】
そして、図7(e)に示すように、拡径状態ドリルヘッド10aを回転させて、縮径一次掘削孔Ka2の孔壁に対し、上向き掘削チップ21aで上向きに二次掘削を行い(ステップt8)、縮径一次掘削孔Ka2の杭底を拡幅する拡底部Ka3を構築する。なお、二次掘削は、スタビライザ30で縮径一次掘削孔Ka2の孔壁にガイドされながら所定高さまで行うが(ステップt9:No)、この二次掘削において、掘削翼20の上辺部分20aに配置された上向き掘削チップ21aによって掘削された掘削土は、一次掘削孔K1の孔底にたまる。
【0063】
二次掘削が所定高さまで達すると(ステップt9:Yes)、図7(f)に示すように、拡径状態ドリルヘッド10aを杭底まで下げ、杭底にたまる掘削土を排土機構Hで吸引して排土し(ステップt10)、拡径状態ドリルヘッド10aを角度調整機構13で縮径して、図7(g)に示すように、拡底部Ka3より上方の拡径一次掘削孔Ka1を引き上げ(ステップt11)、拡径掘削孔Kfを完成させる。
【0064】
そして、拡径掘削孔Kfに鉄筋籠を挿入し(ステップt12)、さらに、拡径掘削孔Kfにトレミー管を祖建込み(ステップt13)、拡径掘削孔Kf内にコンクリートを打設しながら、トレミー管を引き抜く(ステップt14)。コンクリートが地表面まで打設されると、スタンドパイプ110を引き抜くとともに、埋戻しして(ステップt15)、RCD工法は完了する。
この施工により、通常の掘削孔より拡径された場所打ち杭を構築することができる。
【0065】
このように、径方向に適宜の間隔を隔てて配置した下向き掘削チップ21bを底面側に有する掘削翼20を回転中心に対して径外側上向き、且つ回転方向に等間隔で複数配置して先端中央に向かって凸状に構成し、低空頭掘削機100によって回転するドリルシャフト101の先端に装着するドリルヘッド10に、ドリルヘッド径を拡径する角度調整機構13と、拡径状態の掘削翼20の上面側に配置され、上向きの上向き掘削チップ21aとを備え、上向き掘削チップ21aを、上向き掘削チップ21aによって掘削される拡幅部分の断面積である上向き掘削面積S1が、掘削翼20に備えた下向き掘削チップ21bで掘削する下向き掘削面積Sに応じた面積となるように設定したことにより、簡単な構造でありながら、硬質な支持層Gsであっても、所定深さまで掘削した後、上方に掘削して拡底部K2を確実に構築することができる。
【0066】
詳しくは、径方向に適宜の間隔を隔てて配置した下向き掘削チップ21bを底面側に有する掘削翼20を回転中心に対して径外側上向き、且つ回転方向に等間隔で複数配置して先端中央に向かって凸状に構成したドリルヘッド10を、低空頭掘削機100によって回転するドリルシャフト101の先端に装着することで、所定深さまで一次掘削孔K1を構築することができる。
【0067】
また、ドリルヘッド10に、ドリルヘッド径を拡径する角度調整機構13と、少なくとも拡径状態の掘削翼20の上面側に配置され、上向きの上向き掘削チップ21aとを備えたことにより、所定深さまで掘削後、角度調整機構13でドリルヘッド径を拡径させて拡径状態ドリルヘッド10aとなり、掘削翼20の上面側に上向き掘削チップ21aが配置される拡径状態ドリルヘッド10aを回転させることで、孔壁を上向きに掘削し、一次掘削孔K1を拡幅して拡底部K2を構築することができる。
【0068】
なお、上向き掘削チップ21aによって掘削される拡幅部分の断面積である上向き掘削面積S1が、掘削翼20に備えた下向き掘削チップ21bで掘削する下向き掘削面積Sに応じた面積となるように上向き掘削チップ21aを設定したことにより、低空頭掘削機100の回転能力に応じて定まる下向き掘削面積S、つまり一次掘削孔K1の下向き掘削面積Sに応じた面積となるように、上向き掘削チップ21aによって掘削される拡幅部分の断面積である上向き掘削面積S1が設定されるため、硬質な支持層Gsであっても、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削する際、既に掘削された一次掘削孔K1の孔壁をスタビライザ30によりガイドとして上向きに掘削でき、一次掘削孔K1を確実に拡幅して精度のよい拡底部K2を構築することができる。
【0069】
また、上向き掘削面積S1を、下向き掘削面積Sに対して約1.3倍以下の面積となるように設定することにより、硬質な支持層Gsであっても、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削し、一次掘削孔K1をより確実に拡幅することができる。
【0070】
詳しくは、上向き掘削面積S1が下向き掘削面積Sに対して例えば2倍や3倍のように、下向き掘削面積Sより広い場合、掘削抵抗が低空頭掘削機100の回転能力を上回るため、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削することができず、上向き掘削面積S1が下向き掘削面積Sに対して例えば1倍以下である場合、所定深さまで掘削する際の掘削抵抗により上向きの掘削抵抗が同等以下であるため、確実に、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削することができる。
【0071】
しかしながら、所定深さまで一次掘削孔K1を掘削する際は、中実な状態の地盤を掘削して孔を構築する、つまり、掘削された掘削土砂の逃げ場のない状態で掘り進む必要があるが、上向き掘削チップ21aで上向きに掘削する場合は、すでに構築された孔の孔壁を掘削すればよく、その掘削抵抗は所定深さまで掘削する場合より小さくなる。そのため、上向き掘削面積S1が下向き掘削面積Sに対して約1.3倍以下の面積となるように設定することによって、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削し、一次掘削孔K1をより確実に拡幅して拡底部K2を構築することができる。なお、上向き掘削面積S1を、下向き掘削面積Sに対して約1.3倍以下の面積となるように設定することによって、拡底部K2を、一次掘削孔K1の径のおよそ1.5倍程度の径で拡底することができる。
【0072】
また、既に掘削された一次掘削孔K1の孔壁をガイドとして上向きに掘削して拡底部K2を構築する場合であっても、上向き掘削面積S1を、下向き掘削面積Sに対して約1.3倍以下の面積となるように設定するため、上述したように、上向き掘削による掘削負荷が過剰に作用することを防止でき、既に掘削された一次掘削孔K1の孔壁を崩すことなく、拡底部K2を構築することができる。
【0073】
また、枢動軸により掘削翼20を径外側向きに傾倒可能にするとともに、角度調整機構13で掘削翼20の傾倒を調整するため、簡単な構造で確実にドリルヘッド径を拡径することができる。したがって、所定深さまで掘削後、角度調整機構13により径外側向きに掘削翼20を傾倒させて上向き掘削チップ21aを出現させ、孔壁を上向きに掘削し、一次掘削孔K1を拡幅して拡底部K2を構築することができる。
【0074】
またドリルヘッド10をドリルシャフト101に装着した低空頭掘削機100は、簡単な構造でありながら、地盤状態によらず、所定深さまで掘削した後、上方に掘削して拡底部K2を確実に構築することができる。
【0075】
なお、低空頭掘削機100はドリルシャフト101を回転する回転能力の低いが、硬質な支持層Gsであっても、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削し、一次掘削孔K1をより確実に拡幅することができる。
【0076】
また、低空頭掘削機100は、通常の低空頭掘削機100に比べ装置重量も軽くなり、拡径しない通常状態で所定深さまで掘削する際の反力の確保が困難であり、太径の一次掘削孔K1を掘削することは困難であるため、拡底部K2の構築が求められることが多いが、上向き掘削チップ21aを、上向き掘削チップ21aによって掘削される拡幅部分の断面積である上向き掘削面積S1が、掘削翼20に備えた下向き掘削チップ21bで掘削する下向き掘削面積Sに応じた面積となるように設定し、上向きに掘削することにより、回転能力が低くく、軽量である低空頭掘削機100であっても、硬質な支持層Gsであっても、また、掘削抵抗によって浮き上がることなく、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削し、一次掘削孔K1をより確実に拡幅することができる。
【0077】
またドリルヘッド10の先端側に配置した先端ビット14の上部に配置した先端開口部12aから掘削土を吸入する排土機構Hを備えたことにより、掘削しながら、あるいは掘削後に掘削土を先端開口部12aから吸入することができる。したがって、別の吸入装置を備えずとも、掘削土が掘削箇所に堆積し、掘削抵抗が増大することを防止できる。
【0078】
さらにまた、上述の低空頭掘削機100を用い、ドリルシャフト101を回転させるとともに、排土機構Hで掘削土を吸入しながら所定深さまで掘削して一次掘削孔K1を構築した後、角度調整機構13を稼働してドリルヘッド径を拡径するとともに、上向き掘削チップ21aを出現させ、ドリルシャフト101を回転させて、上向き掘削チップ21aで上部を掘削しながら所定高さまで引き上げて拡底部K2を構築し、拡底部K2を構築した後、ドリルシャフト101を下降させて、孔底に堆積する上向き掘削チップ21aで掘削した掘削土を吸入する拡底掘削孔Ktの施工方法により、硬質な支持層Gsであっても、一次掘削孔K1の孔壁を上向き掘削チップ21aで上向きに掘削し、一次掘削孔K1を確実に拡幅して拡底部K2を構築することができる。
【0079】
また、所定深さまで掘削した後、ドリルヘッド10を拡径し、上向き掘削チップ21aで上部を掘削しながら所定高さまで引き上げて拡底部K2を構築した後、ドリルシャフト101を下降させて、孔底に堆積する上向き掘削チップ21aで掘削した掘削土を吸入するため、孔底に掘削土が堆積していない拡底部K2を有する一次掘削孔K1を構築することができる。
【0080】
また、所定深さまで掘削してから、所定高さまで引き上げて拡底部K2を構築し、さらに下降して掘削土を排土機構Hで吸入するため、一次掘削孔K1の孔壁をそのままにしておく時間が短くなるため、孔壁が崩れることがなく、より所望の形状の拡径孔を構築することができる。
【0081】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、掘削ビットは、下向き掘削チップ21bに対応し、
以下同様に、
ドリル装置及び低空頭ドリル装置は、低空頭掘削機100に対応し、
ドリルは、ドリルシャフト101に対応し、
拡径手段及び傾倒調整手段は、角度調整機構13に対応し、
上部掘削手段は、上向き掘削チップ21aに対応し、
拡幅部断面積は、上向き掘削面積S1に対応し、
掘削孔の断面積は、下向き掘削面積Sに対応し、
傾倒手段は、掘削翼20の枢動中心となる枢動軸に対応し、
吸入口は、先端開口部12aに対応し、
吸入手段は、排土機構Hに対応し、
掘削孔は、一次掘削孔K1に対応し、
孔内拡幅部は、拡底部K2に対応し、
拡幅掘削孔は、拡底掘削孔Ktに対応し、
に対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
【0082】
例えば、ドリルシャフト101のみならず、オーガスクリュウ、スクリュウドリルの先端にドリルヘッド10を装着してもよい。また、上述の説明では載置式の低空頭掘削機100であったが、自走式の低空頭掘削機であってもよく、さらには、低空頭でない掘削機を用いてもよい。
【0083】
また、上述の説明では、掘削翼20を傾倒させて拡径したが、例えば、掘削翼20の径外部分から引き出し可能に構成した拡径部分を引き出して拡径してもよく、この場合、上向き掘削チップ21aは、引き出し部分の上面に配置すればよい。このように、掘削翼20の拡径構造及び拡径方法は問わず、いずれの拡径構造及び拡径方法であってもよい。
【0084】
また、上述の説明では、一次掘削孔K1の底部を拡径状態ドリルヘッド10aで掘削して拡底部K2を構築したが、一次掘削孔K1の高さ方向のいずれの場所を上向き掘削チップ21aで掘削して、拡底部K2を構築してもよい。さらには、軟弱層Gnに拡底部K2を構築してもよく、また、全部が硬質な支持層Gs層である地盤に拡底部K2を有する拡底掘削孔Ktを形成してもよい。
【符号の説明】
【0085】
10…ドリルヘッド
10a…拡径状態ドリルヘッド
12a…先端開口部
13…角度調整機構
20…掘削翼
21a…上向き掘削チップ
21b…下向き掘削チップ
100…低空頭掘削機
101…ドリルシャフト
H…排土機構
K1…一次掘削孔
K2…拡底部
Kt…拡底掘削孔
S…下向き掘削面積
S1…上向き掘削面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7