特許第6076001号(P6076001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076001
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】道路反射鏡
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/619 20160101AFI20170130BHJP
【FI】
   E01F9/619
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-191985(P2012-191985)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-47556(P2014-47556A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591132405
【氏名又は名称】燕振興工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】小柳 孝礼
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭49−040953(JP,Y1)
【文献】 特開2002−237204(JP,A)
【文献】 特開平09−222867(JP,A)
【文献】 特開2002−146728(JP,A)
【文献】 特開2004−334166(JP,A)
【文献】 特開平08−041831(JP,A)
【文献】 実公昭39−017526(JP,Y1)
【文献】 実開昭49−024195(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡において、透明基板に鏡面形成材付着されて形成された鏡面部と、この鏡面部の前記鏡面形成材に向けて光を照射する光源部と、前記光源部が設けられる裏板部と、前記光源部から照射された光を拡散させる拡散板とから成り、前記鏡面部が、前記透明基板上に前記光源部から照射された光前記透明基板側に透過し得る厚みの前記鏡面形成材が付着されて形成された半透鏡部と、前記光が前記透明基板側に透過し得ない厚みの前記鏡面形成材が付着されて形成された全鏡部から成る構成とされると共に、前記半透鏡部の形状が、前記鏡面部を視認した人に通行の際に注意を喚起する文字に形成された構成とされ、前記光源部がLEDから成る構成とされ、前記裏板部と前記拡散板とが白色処理された構成とされており、前記光源部が消灯している場合は、前記鏡面部が反射鏡となり、前記光源部が点灯した場合は、前記鏡面部がこの光源部から照射されたLED光が前記拡散板で拡散されて前記半透鏡部全体を透過して前記鏡面部表面に通行の際に注意を喚起する白色の文字が表示される表示灯となるように構成されていることを特徴とする道路反射鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路反射鏡は、家や塀等によって死角が生じ見通しの悪くなった住宅街の交差点や山道の対向車の存在が確認できないような急なカーブの手前等に設置されるものである。
【0003】
従って、一般的には、自動車やバイクの運転手は、この道路反射鏡が設置されている場所は、左右方向や前方の見通しが悪く出会いがしらの事故が起き易く、通行する際は、安全に十分気を付けなければならない場所であるとの認識を持っている。
【0004】
よって、自動車やバイクの運転手は、この道路反射鏡の存在を認識することで、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識し、この道路反射鏡で死角方向の状況、即ち、死角方向から他の車両や自転車、歩行者等が接近していないかどうかの安全確認を行ったうえで、十分安全に注意して交差点やカーブに進入し、出会いがしらの事故の発生を未然に防いでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の道路反射鏡は、夜間、周囲が暗くなると、鏡面部で死角方向の状況を確認することができなくなるばかりか、道路反射鏡の存在そのものが認識しづらくなってしまうので、自動車やバイク等の運転手は、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができなくなってしまい、安全確認を怠り、事故を起こしてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、夜間、周囲が暗くなっても、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを確実に自動車やバイク等の運転手や歩行者に認識させることができる道路反射鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡において、透明基板1に鏡面形成材2付着されて形成された鏡面部3と、この鏡面部3の前記鏡面形成材2に向けて光を照射する光源部4と、前記光源部4が設けられる裏板部8と、前記光源部4から照射された光を拡散させる拡散板9とから成り、前記鏡面部3が、前記透明基板1上に前記光源部4から照射された光前記透明基板1側に透過し得る厚みの前記鏡面形成材2が付着されて形成された半透鏡部5と、前記光が前記透明基板1側に透過し得ない厚みの前記鏡面形成材2が付着されて形成された全鏡部6から成る構成とされると共に、前記半透鏡部5の形状が、前記鏡面部3を視認した人に通行の際に注意を喚起する文字に形成された構成とされ、前記光源部4がLEDから成る構成とされ、前記裏板部8と前記拡散板9とが白色処理された構成とされており、前記光源部4が消灯している場合は、前記鏡面部3が反射鏡となり、前記光源部4が点灯した場合は、前記鏡面部3がこの光源部4から照射されたLED光が前記拡散板9で拡散されて前記半透鏡部5全体を透過して前記鏡面部3表面に通行の際に注意を喚起する白色の文字が表示される表示灯となるように構成されていることを特徴とする道路反射鏡に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述のように構成したから、日中の明るい時は、通常の道路反射鏡として死角方向の様子を鏡面部に映し出すことができ、また、夜間、暗くなって鏡面部を認識することができず、更に、この道路反射鏡自体の存在も認識しづらい状況になっても、鏡面部が、例えば「歩行者注意」や「自転車注意」等の通行する際に注意を喚起するような文字が表示される表示灯となるので、自動車やバイクの運転手は、この表示灯に表示された文字を見ることによって、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができ、事故を起こさないように死角方向に対して十分に注意を払いながら進入するようになり、これによって、出会いがしらの事故の発生を未然に防ぐことができる実用性に優れた画期的な道路反射鏡となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例を示す側断面図である。
図2】本実施例の夜間における使用状態を示す説明斜視図である。
図3】本実施例の鏡面部の要部を示す断面図である。
図4】本実施例の日中における使用状態を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0012】
本発明は、日中の明るい状況の中では、鏡面部3の表面は全面が鏡面となっているので、通常の道路反射鏡同様に、家や塀等によって死角が生じ見通しの悪くなった住宅街の交差点や山道の対向車の存在が確認できないような急なカーブの手前等に設置することで、死角方向の状況確認、即ち、死角方向から他の車両や自転車、歩行者等が接近していないかどうかの安全確認を鏡面部3で行うことができる。
【0013】
また、夜間、周囲が暗くなった状況の中で、光源部4が点灯すると、この光源部4から照射された光が半透鏡部5を透過して、鏡面部3の半透鏡部5を形成した部分が明るくなり、鏡面部3は、表面に半透鏡部5の形状が浮かび上がる表示灯となる。
【0014】
本発明においては、この半透鏡部5の形状を、鏡面部3を視認した人に通行の際に注意を喚起する文字形状、例えば「歩行者注意」や「自転車注意」という文字形状に設定した構成としたので、鏡面部3表面には、この「歩行者注意」或いは「自転車注意」といった自動車やバイクなどの運転手や歩行者に対して通行の際に注意を促すような文字が表示される。
【0015】
これによって、夜間、暗くなって道路反射鏡の存在が認識しづらくなっても、この鏡面部3に表示されている文字に運転手や歩行者が気付き、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができ、これにより、運転手や歩行者は、この場所を、事故を起こさないように死角方向に対して十分に注意を払いながら進入するようになり、夜間、道路反射鏡としての効果が発揮されなくても、見通しの悪い交差点や急カーブの道などで事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0016】
このように、本発明は、日中は通常の道路反射鏡としての効果を発揮し、夜間は、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを運転手や歩行者に認識させるための通行の際に注意を喚起する文字を表示する表示灯としての効果を発揮する実用性に優れた画期的な道路反射鏡となる。
【実施例】
【0017】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施例は、交差点やカーブ手前に設置され、死角となる方向の様子を手前から視認することができる道路反射鏡において、透明基板1に鏡面形成材2を付着して形成した鏡面部3と、この鏡面部3の前記鏡面形成材2に向けて光を照射する光源部4とを備え、前記鏡面部3は、前記透明基板1上に前記鏡面形成材2の厚みを前記光源部4から照射された光を前記透明基板1側に透過し得る厚みに設定した半透鏡部5と透過し得ない厚みに設定した全鏡部6を形成した構成とすると共に、前記半透鏡部5の形状をこの鏡面部3を視認した人に通行の際に注意を喚起する文字に設定した構成として、前記光源部4が消灯している場合は、前記鏡面部3は反射鏡となり、前記光源部4が点灯した場合は、この光源部4から照射された光が前記半透鏡部5を透過して前記鏡面部3表面に通行の際に注意を喚起する文字が表示される表示灯となるように構成したものである。
【0019】
以下に、本実施例の道路反射鏡7について詳細に説明する。
【0020】
本実施例の道路反射鏡7は、図1に示すように、凸状湾曲面(凸面鏡)に形成した鏡面部3と、光源部4を設けた裏板部8と、光源部4から照射された光を拡散する拡散板9と、鏡面部3の雨よけや雪よけとして付設するフード部10と、光源部4に電源を供給する電源部11とで構成している。
【0021】
具体的には、鏡面部3は、アクリル樹脂からなる透明基板1に鏡面形成材2を付着(具体的には、本実施例ではアルミニウムを蒸着)して形成した構成としている。
【0022】
また、この鏡面部3は、この透明基板1に鏡面形成材2を付着する際、付着量、即ち鏡面形成材2の厚みを異ならせてこの透明基板1上に半透鏡部5と全鏡部6とを形成した構成とし、具体的には、半透鏡部5は、鏡面形成材2の厚みを後述する光源部4から照射される光が透過し得る厚みに設定した構成とし、全鏡部6は、厚みが光源部4から照射される光を透過し得ない厚みに設定した構成としている。
【0023】
また、本実施例では、この半透鏡部5の形状を、この鏡面部3を視認した人に通行の際に注意を喚起する文字に設定して、光源部4が点灯した際、この光源部4から照射された光が半透鏡部5を透過することによって鏡面部3表面に通行の際に注意を喚起する文字が表示されるように構成している。
【0024】
具体的には、本実施例では、半透鏡部5の形状を、「歩行者注意」及び「自転車注意」という自動車やバイクの運転手に対して注意を喚起する文字に設定した構成として、光源部4が点灯した際に、図2に示すように、鏡面部3表面に「歩行者注意」及び「自転車注意」の文字が点灯表示されるように構成している。
【0025】
尚、この半透鏡部5の形状は、上記に限定されるものではなく、歩行者や自転車に乗っている人に対して注意を喚起するような文字形状、例えば「飛び出し注意」や、全ての人を対象とした「安全確認」、「左右確認」などの文字形状に形成しても良い。
【0026】
本実施例では、この半透鏡部5と全鏡部6とを透明基板1上に形成する際、以下のようにして形成している。
【0027】
先ず、透明基板1上(裏面側)の全面に鏡面形成材2を光源部4から照射された光を透過し得る厚みとなるように付着してこの透明基板1上全面に半透鏡層を形成し、次いで、この半透鏡層上の半透鏡部5を形成する位置にこれ以降透明基板1上に鏡面形成材2を付着させないためのマスク部を付着する。
【0028】
このマスク部を付着したまま、更に、透明基板1上全面に鏡面形成材2を、この透明基板1上のマスク部を設けた部分以外、即ち全鏡部6となる部分の鏡面形成材2の厚みが光源部4から照射された光を透過し得ない厚みとなるように付着し、次いで、この透明基板1に付着させた鏡面形成材2を保護する保護材12(本実施例では、一般的な塗料を使用)を全面に付着し、この保護材12を付着した後、マスク部を除去することで、図3に示すような、マスク部を付着していた部分は、鏡面形成材2の厚みが光源部4から照射された光を透過し得る厚みとなった半透鏡部5が形成され、これ以外の部分は、鏡面形成材2の厚みが光源部4から照射された光を透過し得ない厚みとなり上層に保護材12が被覆された全鏡部6が形成される。
【0029】
このように、鏡面形成材2の厚みを異ならせて光源部4から照射される光を透過し得る半透鏡部5と、透過し得ない全鏡部6とを形成することによって、屋外という劣悪な環境下に設置しても、耐久性に優れ半透鏡部5の形状を良好に保持することができるように構成している。
【0030】
また、上述した鏡面部3の裏面側(鏡面形成材2を付着した側)を塞ぐ裏板部8は、耐食性を有する金属板(本実施例では、ステンレス鋼板を採用)で構成し、周縁部を鏡面部3の周縁部と重合連結する構成としている。
【0031】
また、この裏板部8は、内側面に一若しくは複数の光源部4(本実施例では、LEDを採用)を設けると共に、この光源部4の前方に配設されるように拡散板9を設けた構成とし、光源部4から照射された光をこの拡散板9によって全方向に拡散して、この光源部4から照射された光が鏡面部3に形成した半透鏡部5全体に透過するように構成している。
【0032】
具体的には、光源部4は、道路反射鏡7の上部に配設した電源部11としての太陽電池より電源が供給される構成とすると共に、点灯及び消灯の切り替えを照度センサやタイマを用いて自動的に行われる構成としている。
【0033】
また、本実施例では、裏板部8と拡散板9を白色処理し、鏡面部3に表示される文字が明るい白色となり、運転者や歩行者がこの鏡面部3に表示される文字を容易に認識できるように構成している。
【0034】
また、フード部10は、庇形状に形成し、鏡面部3の上部にこの鏡面部3表面側に向けて突設した構成としている。
【0035】
尚、図中の符号13は、鏡面部3と裏板部8との重合連結部をシールするためのシール材、符号14は、道路反射鏡7を設置するための支柱、符号15は、道路反射鏡7を支柱14に取り付けるための取付けステーである。
【0036】
本実施例は、以上のように構成したので、以下のような作用・効果を発揮する。
【0037】
本実施例は、透明基板1の全面に鏡面形成材2を付着したので、図4に示すように、鏡面部3全面が鏡面形成材2によって鏡面状態となっているので、日中の明るい状況の中では、従来の道路反射鏡同様に、家や塀等によって死角が生じ見通しの悪くなった住宅街の交差点や山道の対向車の存在が確認できないような急なカーブの手前等に設置することで、死角方向の状況確認、即ち、死角方向から他の車両や自転車、歩行者等が接近していないかどうかの安全確認を行うことができる。
【0038】
また、夜間、周囲が暗くなり、道路反射鏡7の存在が認識しづらくなっても、道路反射鏡7内部に設けた光源部4が自動的に点灯して、この光源部4から照射された光が半透鏡部5を透過して、鏡面部3の半透鏡部5を形成した部分が明るくなり、鏡面部3は、表面に半透鏡部5の形状が表示される(浮かび上がる)表示灯となる。
【0039】
具体的には、本実施例の場合、図2に示すように、鏡面部3表面に、「歩行者注意」及び「自転車注意」という自動車やバイクなどの運転手に対して通行の際に注意を促すような文字が明るい白色の文字で表示されるので、これによって、夜間、暗くなって道路反射鏡が認識しづらくなっても、この鏡面部3に表示されている文字に運転手や歩行者が容易に気付き、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを認識することができ、これにより、運転手や歩行者は、この場所を、事故を起こさないように死角方向に対して十分に注意を払いながら進入するようになり、夜間、道路反射鏡としての効果が発揮されなくても、見通しの悪い交差点や急カーブの道などで事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0040】
このように、本実施例は、日中は通常の道路反射鏡としての効果を発揮し、夜間は、この場所が安全に気を付けなければならない場所であることを運転手や歩行者に認識させるための通行の際に注意を喚起する文字を表示する表示灯としての効果を発揮する実用性に優れた画期的な道路反射鏡となる。
【0041】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0042】
1 透明基板
2 鏡面形成材
3 鏡面部
4 光源部
5 半透鏡部
6 全鏡部
裏板部
拡散板
図1
図2
図3
図4