(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定板に対して可動板をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間の通流開度及び全閉開度に変更するガス量調節部と、
前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に移動操作する電動モータと、
目標火力の大きさ及び燃焼停止を指示する燃焼状態設定部の設定情報に基づいて、前記ガス通流用開度を指示された前記目標火力の大きさに対応する前記通流開度に変更し、かつ、前記燃焼停止の指示によって前記ガス通流用開度を前記全閉開度に変更すべく、前記電動モータの作動を制御するモータ制御部とが設けられた燃焼用ガス量制御装置であって、
前記ガス量調節部が、前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に移動されるに伴って、前記通流開度を漸次減少又は漸次増大させる形態で前記最小通流開度と前記最大通流開度との間で連続的に変更するように構成され、
前記モータ制御部が、前記目標火力の大きさが指示された場合には、複数種類のガス燃料のいずれであるかを設定するガス種設定部のガス種設定情報、及び、前記複数種類のガス燃料の夫々について、指示された前記目標火力の大きさと前記通流開度との関係を定めた開度変更情報に基づいて、前記ガス通流用開度を指示された前記目標火力に対応する前記通流開度に変更すべく、前記電動モータの作動を制御するように構成され、
前記ガス量調節部が、
前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動操作されることにより、前記通流開度を漸次増大し、かつ、前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動操作されることにより、前記通流開度を漸次減少するように構成され、且つ、
前記電動モータの出力軸を前記他方側方向に前記可動板を移動させる回転方向に回転させて、前記複数種類のガス燃料のうちの低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する回転位相に回転させたときの前記通流開度を、前記低発熱量側のガス燃料についての前記最小火力に対応する設定適正開度に調節する開度調節手段を備え、
前記開度調節手段が、前記固定板を前記ガス量調節用移動方向に移動調節する手段である燃焼用ガス量制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の燃焼用ガス量制御装置は、ガス燃料の種類に応じて用意された複数種のオリフィス部材を、使用するガス燃料の種類に応じて選択して装備するものであるため、燃焼用ガス量制御装置を生産する際には、燃焼用ガス量制御装置を組み込むガス燃焼機器にて使用するガスの種類に合わせて、複数種のオリフィス部材のいずれかを選択して装備することになる。
【0007】
しかしながら、複数種のオリフィス部材のいずれかを選択して装備する作業は、手間の掛かる面倒な作業であるため、燃焼用ガス量制御装置の生産効率を向上し難いものであり、改善が望まれるものであった。
【0008】
また、ガス燃焼機器に組み込んだ燃焼用ガス量制御装置の点検保守作業を行う際には、ガス燃焼機器が設置されている使用者宅でのガス漏れ発生等の不具合を回避する必要上、燃焼用ガス量制御装置の全体を新たな燃焼用ガス制御装置に交換することが前提となる。
このため、ガス燃焼機器の製造メーカは、複数種のオリフィス部材が装備された複数種類の燃焼用ガス制御装置を在庫品として保管しておく必要があり、燃焼用ガス制御装置の在庫管理が煩雑となる不都合があり、この点からも改善が望まれるものであった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、生産効率の向上、及び、在庫管理の容易化を図ることができる燃焼用ガス量制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃焼用ガス量制御装置は、固定板に対して可動板をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間の通流開度及び全閉開度に変更するガス量調節部と、
前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に移動操作する電動モータと、
目標火力の大きさ及び燃焼停止を指示する燃焼状態設定部の設定情報に基づいて、前記ガス通流用開度を指示された前記目標火力の大きさに対応する前記通流開度に変更し、かつ、前記燃焼停止の指示によって前記ガス通流用開度を前記全閉開度に変更すべく、前記電動モータの作動を制御するモータ制御部とが設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記ガス量調節部が、前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に移動されるに伴って、前記通流開度を漸次減少又は漸次増大させる形態で前記最小通流開度と前記最大通流開度との間で連続的に変更するように構成され、
前記モータ制御部が、前記目標火力の大きさが指示された場合には、複数種類のガス燃料のいずれであるかを設定するガス種設定部のガス種設定情報、及び、前記複数種類のガス燃料の夫々について、指示された前記目標火力の大きさと前記通流開度との関係を定めた開度変更情報に基づいて、前記ガス通流用開度を指示された前記目標火力に対応する前記通流開度に変更すべく、前記電動モータの作動を制御するように構成され
、
前記ガス量調節部が、
前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動操作されることにより、前記通流開度を漸次増大し、かつ、前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動操作されることにより、前記通流開度を漸次減少するように構成され、且つ、
前記電動モータの出力軸を前記他方側方向に前記可動板を移動させる回転方向に回転させて、前記複数種類のガス燃料のうちの低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する回転位相に回転させたときの前記通流開度を、前記低発熱量側のガス燃料についての前記最小火力に対応する設定適正開度に調節する開度調節手段を備え、
前記開度調節手段が、前記固定板を前記ガス量調節用移動方向に移動調節する手段である点を特徴とする。
【0011】
すなわち、ガス量調節部が、可動板がガス量調節用移動方向に移動されるに伴って、通流開度を漸次減少又は漸次増大させる形態で最小通流開度と前記最大通流開度との間で連続的に変更するように構成されているから、可動板の移動操作によって、最小通流開度と前記最大通流開度との間で通流開度を精度よく調節することができる。
【0012】
そして、使用するガス燃料の種類をガス種設定部にて設定することにより、モータ制御部が、ガス種設定部のガス種設定情報、及び、複数種類のガス燃料の夫々について、指示された目標火力の大きさと通流開度との関係を定めた開度変更情報に基づいて、ガス通流用開度を指示された目標火力に対応する通流開度に変更すべく、電動モータの作動を制御することになる。
【0013】
つまり、ガス量調節部が、可動板の移動操作によって、最小通流開度と前記最大通流開度との間で通流開度を精度よく調節することができるものであるから、ガス種設定情報及び開度変更情報に基づいて、ガス通流用開度を指示された目標火力に対応する通流開度に変更すべく、電動モータの作動を制御することにより、複数種類のガス燃料の夫々について、目標火力に対応する通流開度に適切に変更できるのである。
【0014】
このように、一つの形態の燃焼用ガス量制御装置でありながらも、複数種類のガスの夫々について、目標火力に対応する通流開度に変更できるものであるから、使用するガス燃料の種類に拘わらず、一つの形態の燃焼用ガス量制御装置を生産すればよいものとなる。
しかも、生産過程において、使用するガス燃料の種類に対応して、特別な部品を組み込む作業を必要としないものとなる。
したがって、燃焼用ガス量制御装置の生産効率を向上させることができる。
【0015】
また、生産された燃焼用ガス量制御装置は、複数種のガス燃料に対応するものであるから、ガス燃焼機器に組み込んだ燃焼用ガス量制御装置の点検保守作業を行う際に使用する燃焼用ガス量制御装置としては、使用する複数種のガス燃料に対して一つの形態の燃焼用ガス量制御装置を在庫品として保管すればよく、在庫管理の容易化を図ることができる。
【0016】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、生産効率の向上、及び、在庫管理の容易化を図ることができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【0018】
又、第1特徴構成によれば、可動板がガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動操作されることにより、通流開度が漸次増大され、また、可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動操作されることにより、通流開度が漸次減少されることになる。
【0019】
そして、開度調節手段によって、電動モータの出力軸を他方側方向に可動板を移動させる回転方向に回転させて、複数種類のガス燃料のうちの低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する回転位相に回転させたときの通流開度を、低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する設定適正開度に調節できるため、目標火力を大きな火力から最小火力に調節する際に、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が多い低発熱量側のガス燃料についての最小火力でのガス量を、適正なガス量に調整できる。
【0020】
つまり、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が多い低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する通流開度は、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が少ない高発熱量側のガスについての最小火力に対応する通流開度よりも、大きくなる。
このため、低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する通流開度が単位量ずれた場合と、高発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する通流開度が単位量ずれた場合とを比較すると、低発熱量側のガス燃料についてのガス量の変化が、高発熱量側のガス燃料についてのガス量の変化に較べて大きいものとなる。
【0021】
したがって、低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する回転位相に出力軸を回転させたときの通流開度が、最小火力に対応する設定適正開度からずれていると、最小火力におけるガス量が適正なガス量から大きく変化して、目標火力を大きな火力から最小火力に調節する際に、最小火力に適切に調整できない虞があるが、本第2特徴構成によれば、目標火力を大きな火力から最小火力に調節する際に、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が多い低発熱量側のガス燃料についての最小火力でのガス量を、適正なガス量に調整できるため、目標火力を大きな火力から最小火力に調節することを良好に行うことができる。
【0022】
ちなみに、最小火力は、例えば、ガス燃焼機器としてのガスコンロにおいて、小さな加熱量で煮物調理を行う際等において使用される火力であって、最小火力を適正な大きさの火力に調節できない場合には、煮物調理を良好に行なえない等の不都合が生じるため、適正な大きさの火力に調節することが望まれる火力である。
【0023】
要するに、本発明の第
1特徴構成によれば、上
記作用効果に加えて、複数種のガス燃料のうちで、低発熱量側のガス燃料を使用する際に、目標火力を大きな火力から最小火力に調節することを良好に行うことができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【0025】
又、第1特徴構成によれば、固定板をガス量調節用移動方向に移動調節できるようにして、固定板を利用して開度調節手段を構成するものであるから、開度調節手段を、既設の固定板を有効利用した簡素な形態で構成できる。
【0026】
要するに、本発明の第
1特徴構成によれば、上
記作用効果に加えて、開度調節手段を簡素な形態で構成できる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【0027】
本発明の燃焼用ガス量制御装置は、固定板に対して可動板をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間の通流開度及び全閉開度に変更するガス量調節部と、
前記可動板を前記ガス量調節用移動方向に移動操作する電動モータと、
目標火力の大きさ及び燃焼停止を指示する燃焼状態設定部の設定情報に基づいて、前記ガス通流用開度を指示された前記目標火力の大きさに対応する前記通流開度に変更し、かつ、前記燃焼停止の指示によって前記ガス通流用開度を前記全閉開度に変更すべく、前記電動モータの作動を制御するモータ制御部とが設けられたものであって、その第2特徴構成は、
前記ガス量調節部が、前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に移動されるに伴って、前記通流開度を漸次減少又は漸次増大させる形態で前記最小通流開度と前記最大通流開度との間で連続的に変更するように構成され、
前記モータ制御部が、前記目標火力の大きさが指示された場合には、複数種類のガス燃料のいずれであるかを設定するガス種設定部のガス種設定情報、及び、前記複数種類のガス燃料の夫々について、指示された前記目標火力の大きさと前記通流開度との関係を定めた開度変更情報に基づいて、前記ガス通流用開度を指示された前記目標火力に対応する前記通流開度に変更すべく、前記電動モータの作動を制御するように構成され、
前記ガス量調節部が、
前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動操作されることにより、前記通流開度を漸次増大し、かつ、前記可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動操作されることにより、前記通流開度を漸次減少するように構成され、且つ、
前記電動モータの出力軸を前記他方側方向に前記可動板を移動させる回転方向に回転させて、前記複数種類のガス燃料のうちの低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する回転位相に回転させたときの前記通流開度を、前記低発熱量側のガス燃料についての前記最小火力に対応する設定適正開度に調節する開度調節手段を備え、
前記電動モータが、ステッピングモータであり、
前記出力軸の回転位相を検出する回転位相検出手段が設けられ、
前記モータ制御部が、
前記電動モータに印加するパルス数を前記出力軸が設定基準回転位相に回転した状態を基準に管理する形態で、かつ、前記電動モータの回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び補正用のパルス数を加算する形態で、前記可動板を移動操作するために前記電動モータに印加する前記パルス数を定めて、前記電動モータを駆動するように構成され、且つ、
前記出力軸が前記設定基準回転位相になるように前記電動モータを作動させたときに、前記回転位相検出手段の検出情報に基づいて、前記出力軸が前記設定基準回転位相からずれていることを判別した場合には、前記出力軸を前記設定基準回転位相に回転させるように前記電動モータを駆動するように構成されている点を特徴とする。
【0028】
すなわち、ガス量調節部が、可動板がガス量調節用移動方向に移動されるに伴って、通流開度を漸次減少又は漸次増大させる形態で最小通流開度と前記最大通流開度との間で連続的に変更するように構成されているから、可動板の移動操作によって、最小通流開度と前記最大通流開度との間で通流開度を精度よく調節することができる。
そして、使用するガス燃料の種類をガス種設定部にて設定することにより、モータ制御部が、ガス種設定部のガス種設定情報、及び、複数種類のガス燃料の夫々について、指示された目標火力の大きさと通流開度との関係を定めた開度変更情報に基づいて、ガス通流用開度を指示された目標火力に対応する通流開度に変更すべく、電動モータの作動を制御することになる。
つまり、ガス量調節部が、可動板の移動操作によって、最小通流開度と前記最大通流開度との間で通流開度を精度よく調節することができるものであるから、ガス種設定情報及び開度変更情報に基づいて、ガス通流用開度を指示された目標火力に対応する通流開度に変更すべく、電動モータの作動を制御することにより、複数種類のガス燃料の夫々について、目標火力に対応する通流開度に適切に変更できるのである。
このように、一つの形態の燃焼用ガス量制御装置でありながらも、複数種類のガスの夫々について、目標火力に対応する通流開度に変更できるものであるから、使用するガス燃料の種類に拘わらず、一つの形態の燃焼用ガス量制御装置を生産すればよいものとなる。
しかも、生産過程において、使用するガス燃料の種類に対応して、特別な部品を組み込む作業を必要としないものとなる。
したがって、燃焼用ガス量制御装置の生産効率を向上させることができる。
また、生産された燃焼用ガス量制御装置は、複数種のガス燃料に対応するものであるから、ガス燃焼機器に組み込んだ燃焼用ガス量制御装置の点検保守作業を行う際に使用する燃焼用ガス量制御装置としては、使用する複数種のガス燃料に対して一つの形態の燃焼用ガス量制御装置を在庫品として保管すればよく、在庫管理の容易化を図ることができる。
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、生産効率の向上、及び、在庫管理の容易化を図ることができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
又、本発明の第2特徴構成によれば、可動板がガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動操作されることにより、通流開度が漸次増大され、また、可動板が前記ガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動操作されることにより、通流開度が漸次減少されることになる。
そして、開度調節手段によって、電動モータの出力軸を他方側方向に可動板を移動させる回転方向に回転させて、複数種類のガス燃料のうちの低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する回転位相に回転させたときの通流開度を、低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する設定適正開度に調節できるため、目標火力を大きな火力から最小火力に調節する際に、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が多い低発熱量側のガス燃料についての最小火力でのガス量を、適正なガス量に調整できる。
つまり、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が多い低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する通流開度は、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が少ない高発熱量側のガスについての最小火力に対応する通流開度よりも、大きくなる。
このため、低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する通流開度が単位量ずれた場合と、高発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する通流開度が単位量ずれた場合とを比較すると、低発熱量側のガス燃料についてのガス量の変化が、高発熱量側のガス燃料についてのガス量の変化に較べて大きいものとなる。
したがって、低発熱量側のガス燃料についての最小火力に対応する回転位相に出力軸を回転させたときの通流開度が、最小火力に対応する設定適正開度からずれていると、最小
火力におけるガス量が適正なガス量から大きく変化して、目標火力を大きな火力から最小火力に調節する際に、最小火力に適切に調整できない虞があるが、本第2特徴構成によれば、目標火力を大きな火力から最小火力に調節する際に、複数種のガス燃料のうちで、最小火力において通流するガス量が多い低発熱量側のガス燃料についての最小火力でのガス量を、適正なガス量に調整できるため、目標火力を大きな火力から最小火力に調節することを良好に行うことができる。
ちなみに、最小火力は、例えば、ガス燃焼機器としてのガスコンロにおいて、小さな加熱量で煮物調理を行う際等において使用される火力であって、最小火力を適正な大きさの火力に調節できない場合には、煮物調理を良好に行なえない等の不都合が生じるため、適正な大きさの火力に調節することが望まれる火力である。
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、複数種のガス燃料のうちで、低発熱量側のガス燃料を使用する際に、目標火力を大きな火力から最小火力に調節することを良好に行うことができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
又、第2特徴構成によれば、モータ制御部が、電動モータに印加するパルス数を出力軸が設定基準回転位相に回転した状態を基準に管理する形態で、可動板を移動操作するために電動モータに印加するパルス数を定めて、電動モータを駆動するものであるから、つまり、可動板を移動操作する際には、出力軸が設定基準回転位相に回転した状態を基準にしながら、可動板を目標量移動させるためのパルス数を定めて、そのパルス数を電動モータに印加する形態で電動モータを駆動するものであるから、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、電動モータ(ステッピングモータ)を駆動することができる。
【0029】
つまり、電動モータ(ステッピングモータ)を駆動するにあたり、回転位相検出手段の検出情報をフィードバック情報として用いるフィードバック制御形態で電動モータ(ステッピングモータ)を駆動することが考えられるが、このフィードバック制御形態では、設定間隔おきに回転位相検出手段の検出情報を読込みながら、電動モータ(ステッピングモータ)を駆動することになるため、モータ制御部の負荷が大きくなる。
【0030】
本第
2特徴構成は、可動板を目標量移動させるためのパルス数を定めて、そのパルス数を電動モータに印加する形態、いわゆるオープンループ形態で電動モータ(ステッピングモータ)を駆動するものであるから、モータ制御部の負荷が小さな簡素な制御形態で、電動モータ(ステッピングモータ)を駆動することができるのである。
【0031】
しかも、モータ制御部が、電動モータの回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び補正用のパルス数を加算する形態で、可動板を移動操作するために電動モータに印加するパルス数を定めるものであるから、電動モータ(ステッピングモータ)の出力軸と可動板とを連係する連係機構の連係融通(遊び)に拘わらず、可動板を適切に移動操作することができる。
【0032】
つまり、電動モータ(ステッピングモータ)の出力軸と可動板とを連係する連係機構には、連係融通(遊び)が存在するため、電動モータの回転方向を変更した場合には、連係融通(遊び)に相当する量だけ、可動板の移動量が不足することになるが、連係融通(遊び)に対応させて予め設定した遊び補正用のパルス数を、可動板を目標量移動させるためのパルス数に加算して、電動モータ(ステッピングモータ)を駆動することにより、可動板を適切に移動操作することができるのである。
【0033】
さらに、モータ制御部が、出力軸が設定基準回転位相になるように電動モータを作動させたときに、回転位相検出手段の検出情報に基づいて、出力軸が設定基準回転位相からずれていることを判別した場合には、出力軸を設定基準回転位相に回転させるように電動モータを駆動するように構成されているから、上述の如く、オープンループ形態で電動モータ(ステッピングモータ)を駆動することによって、電動モータ(ステッピングモータ)の脱調等により、万が一、出力軸の回転位相がずれることがあっても、そのずれを修正することができるのである。
【0034】
要するに、本発明の第
2特徴構成によれば、上
記作用効果に加えて、簡素な制御形態で電動モータ(ステッピングモータ)を駆動することができ、しかも、電動モータ(ステッピングモータ)の出力軸と可動板とを連係する連係機構の連係融通(遊び)に拘わらず、可動板を適切に移動操作することができ、さらには、出力軸の回転位相がずれることがあっても、そのずれを修正することができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
本発明の燃焼用ガス量制御装置の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記開度調節手段が、前記固定板を前記ガス量調節用移動方向に移動調節する手段である点を特徴とする。
すなわち、固定板をガス量調節用移動方向に移動調節できるようにして、固定板を利用して開度調節手段を構成するものであるから、開度調節手段を、既設の固定板を有効利用した簡素な形態で構成できる。
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、開度調節手段を簡素な形態で構成できる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【0035】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の第
4特徴構成は、上記
第2又は第3特徴構成に加えて、
前記出力軸の前記設定基準回転位相が、前記ガス通流用開度を前記全閉開度に操作する回転位相に定められている点を特徴とする。
【0036】
すなわち、設定基準回転位相が、ガス通流用開度を全閉開度に操作する回転位相に定められているから、燃焼停止の指示によってガス通流用開度を前記全閉開度に操作する際には、出力軸が設定基準回転位相に回転されることになる。
【0037】
したがって、燃焼停止の指示によって出力軸が設定基準回転位相に回転される毎に、回転位相検出手段の検出情報に基づいて、出力軸が設定基準回転位相からずれているか否かを判別して、ずれている場合には、出力軸を設定基準回転位相に回転させるように電動モータが駆動されるものであるから、燃焼停止の指示によってガス通流用開度を確実に全閉開度に操作することができる。
【0038】
要するに、本発明の第
4特徴構成によれば、上記
第2又は第3特徴構成による作用効果に加えて、燃焼停止の指示によってガス通流用開度を確実に全閉開度に操作することができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【0039】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の第
5特徴構成は、上記第
4特徴構成に加えて、
前記ガス量調節部が、前記可動板が前記他方側方向に移動操作されることにより、前記ガス通流用開度を前記通流開度の前記最小通流開度に漸次減少させたのち、前記可動板が引き続いて前記他方側方向に移動操作されたときに、前記ガス通流用開度を前記全閉開度に変更するように構成されている点を特徴とする。
【0040】
すなわち、可動板が他方側方向に移動操作されることにより、ガス通流用開度を通流開度の最小通流開度に漸次減少させたのち、可動板が引き続いて他方側方向に移動操作されたときに、ガス通流用開度が全閉開度に変更されるものであるから、燃焼停止の指示によって、ガス通流用開度が全閉開度に変更される途中において、火力が漸次小さくなる。
【0041】
このように、燃焼停止の指示によって、ガス通流用開度を全閉開度に変更して燃焼を停止させる際に、火力が漸次小さくなるから、使用勝手の向上を図ることができる。
【0042】
つまり、燃焼停止の指示によって、ガス通流用開度を全閉開度に変更して燃焼を停止させる際には、使用者は炎が消える状態に変化するものであると認識しているため、燃焼を停止する途中に火力が大きくなる状態が存在すると、使用者に不安感を与える不都合を招く虞があるが、本第
5特徴構成によれば、燃焼停止の指示によって、ガス通流用開度が全閉開度に変更される途中において、火力が漸次小さくなるものであるから、上記不都合を回避して、使用勝手の向上を図ることができる。
【0043】
要するに、本発明の第
5特徴構成によれば、上記第
4特徴構成による作用効果に加えて、使用勝手の向上を図ることができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【0044】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の第
6特徴構成は、上記第
4又は第
5特徴構成に加えて、
前記モータ制御部が、異常発生情報が入力されたときには、前記ガス通流用開度を前記全閉開度に変更すべく、前記電動モータの作動を制御するように構成されている点を特徴とする。
【0045】
すなわち、モータ制御部が、異常発生情報が入力されたときには、ガス通流用開度を全閉開度に変更すべく、電動モータの作動を制御するように構成されているから、ガス通流用開度を全閉開度に操作して、安全性の向上を図ることができ、また、ガス通流用開度を全閉開度した状態から燃焼開始を適切に行うことができる。
【0046】
つまり、異常発生状態とは、例えば、燃焼中のガスバーナが、ガスの供給を停止していないのにも拘わらず消火する状態や、ガスバーナにて加熱される調理容器が異常な高温になる状態等である。
したがって、このような状態においては、ガス通流用開度を全閉開度に操作して、ガスの供給を遮断することにより、安全性の向上を図ることができる。
【0047】
また、その後、再び燃焼を開始する際には、既に、ガス通流用開度が全閉開度に操作されているから、ガス通流用開度を全閉開度に操作することなく、ガス通流用開度を全閉開度した状態から燃焼開始を適切に行うことができる
【0048】
要するに、本発明の第
6特徴構成によれば、上記第
4又は第
5特徴構成による作用効果に加えて、安全性の向上を図ることができ、また、ガス通流用開度を全閉開度した状態から燃焼開始を適切に行うことができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【0049】
本発明の燃焼用ガス量制御装置の第
7特徴構成は、上記第
1〜第
6特徴構成のいずれかに加えて、
前記可動板が、前記出力軸の軸心に沿う回転軸心回りで回転自在に支持されて、前記回転軸心回りでの回転方向を前記ガス量調節用移動方向として、前記電動モータにて回転操作されるように構成されている点を特徴とする。
【0050】
すなわち、可動板が、出力軸の軸心に沿う回転軸心回りで回転自在に支持されて、回転軸心回りでの回転方向をガス量調節用移動方向として、電動モータにて回転操作されるように構成されているから、電動モータ、可動板及び固定板が、電動モータの出力軸の軸心方向に沿って並ぶ状態になるため、全体構成のコンパクト化を図ることができる。
【0051】
要するに、本発明の第
7特徴構成によれば、上記第
1〜第
6特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、全体構成のコンパクト化を図ることができる燃焼用ガス量制御装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
〔実施形態〕
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図1に示すように、例示するガスコンロは、コンロ本体の上面部に、3つのコンロバーナ1を備え、コンロ本体の内部のグリル部GRに、グリルバーナ2(
図2参照)を備える状態に構成され、そして、キッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプに構成されている。
3つのコンロバーナ1は、左側に配設される高火力バーナ1A、右側に配設される標準バーナ1B、及び、横幅方向の中央の奥側箇所に配設される小火力バーナ1Cである。
グリルバーナ2は、グリル上バーナ2U及びグリル下バーナ2Sである(
図2参照)。
【0054】
コンロ本体の上面は、ガラス製のトッププレート3にて覆われ、コンロ本体の上面の後部側箇所には、グリル部GRの燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成されている。
また、トッププレート3の上部には、3つのコンロバーナ1の夫々にて加熱される鍋等の調理容器を載置するための五徳5が設けられている。
【0055】
ちなみに、
図2に示すように、3つのコンロバーナ1及びグリルバーナ2の夫々に対して、点火用のイグナイタL、熱電対等を用いて構成される着火検出用の着火検出センサJが装備されている。
尚、グリルバーナ2としての、グリル下バーナ2Sは、左右一対装備されるものであるが、
図2においては、一つのみを記載している。
【0056】
(ガスコンロの操作構成)
図1に示すように、コンロ本体の前面部の左方側箇所には、高火力バーナ1Aに対する高火力用操作具6Aが配設され、コンロ本体の前面部の右方側箇所には、標準バーナ1Bに対する標準用操作具6B、及び、小火力バーナ1Cに対する小火力用操作具6Cが配設されている。
尚、以下の記載において、高火力用操作具6A、小火力用操作具6C、及び、標準用操作具6Bを区別して記載する必要がないときには、操作具6と記載する。
【0057】
各操作具6は、対応するコンロバーナ1についての燃焼開始の指示(以下、点火指令と略称する)及び燃焼停止の指示(以下、消火指令と略称する)を指令し、且つ、対応するコンロバーナ1について目標火力の大きさの指示(以下、火力調節指令と略称)を指令するものであって、具体的には、前方側に押し込み操作されるごとに、点火指令と消火指令とを交互に指令し、また、前後方向軸心周りで正逆に回動操作されることにより、火力調節指令を指令するように構成されている。
【0058】
説明を加えると、各操作具6は、押し操作される毎に回転軸心方向に移動して、図示しない位置保持機構によって、コンロ本体の内部側に押し込まれた押し込み位置と前方に突出する突出位置とに切り換え自在に構成され、各操作具6が突出位置に切り換えられているときに、正転方向及び逆転方向の夫々に回動操作可能となるように構成されている。
【0059】
各操作具6に対応して点消火スイッチ7A、7B、7C(
図2参照)が装備され、これらの点消火スイッチ7A、7B、7Cは、操作具6が押し込み位置に操作されると、OFF(オフ)状態となり、操作具6が突出位置に操作されると、ON(オン)状態となるように構成されている。
【0060】
図2に示すように、点消火スイッチ7A、7B、7Cの検出情報は、運転制御手段としての運転制御部Uに入力されている。
運転制御部Uは、点消火スイッチ7A、7B、7CがON(オン)状態になると、点火指令であると判別し、点消火スイッチ7A、7B、7CがOFF(オフ)状態になると、消火指令であると判別するように構成され、そして、後述の如く、点火指令に基づいて点火処理を実行し、かつ、消火指令に基づいて消火処理を実行するように構成されている。
【0061】
又、各操作具6の回転操作に伴ってパルス信号を出力するパルス発生手段としてのロータリーエンコーダ8A、8B、8C(
図2参照)が、各操作具6に対応して装備されている。
これらのロータリーエンコーダ8A、8B、8Cは、操作具6の一方向への回転操作に伴って2つのパルス信号のうちの一方のパルス信号が他方のパルス信号より位相が進み、操作具6の他方向への回転操作に伴って他方のパルス信号が前記一方のパルス信号より位相が進む状態で、各操作具6の回転操作に伴って互いに異なる位相の2つのパルス信号を出力するように構成されている。
【0062】
図2に示すように、各ロータリーエンコーダ8A、8B、8Cの検出情報は、運転制御部Uに入力されている。
運転制御部Uは、各ロータリーエンコーダ8A、8B、8Cのパルス信号に基づいて、各操作具6が右方向に設定角度回転されるごとに、火力調節指令として、1段階の火力増加指令が指令されたと判断し、また、各操作具6が左方向に設定角度回転されるごとに、火力調節指令として、1段階の火力減少指令が指令されたと判断するように構成され、そして、後述の如く、火力調節指令(火力増加指令、火力減少指令)に基づいて火力調節処理を実行するように構成されている。
【0063】
ちなみに、図示はしないが、各操作具6に対してクリック感を付与する付与手段が、各操作具6が左方向及び右方向に設定角度回転されるごとにクリック感を付与する状態で設けられており、各操作具6を左方向及び右方向に設定角度ずつ回転操作することが行い易いようになっている。
【0064】
本実施形態においては、目標火力の大きさとして9段階の目標火力を設定できるように構成されている。
そして、本実施形態のガスコンロは、ガス燃料として、13Aの都市ガス(以下、13Aガスと略称)とLPガスとを使用できるように構成されるものであって、いずれのガス燃料についても、目標火力の大きさを、9段階の目標火力に設定できるように構成されている。
【0065】
つまり、運転制御部Uは、
図2に示すように、複数種類のガス燃料のいずれであるかを設定するガス種設定部としてのガス種設定スイッチGEにて設定されるガス種設定情報に基づいて、操作具6にて同じ大きさの目標火力が指令されても、コンロ用流量調節弁16A、16B、16C(詳細は後述する)の通流開度を、設定されたガス種に応じた通流開度に変更するように構成されている。
【0066】
ちなみに、3つのコンロバーナ1及びグリルバーナ2は、ガス噴出ノズルからガス燃料が供給され、かつ、ガス燃料がガス噴出ノズルから噴出されることによるエジェクタ作用によって一次空気が導入される混合管を備え、そして、燃焼に伴って二次空気を導入して燃焼するように構成されている。
そして、ガス噴出ノズルとして、13Aガスに応じたガス噴出ノズルと、LPガスに応じたガス噴出ノズルが用意されて、これらのガス噴出ノズルを使用するガス燃料の種類に応じて選択するように構成されている。
【0067】
また、コンロ本体の前面部の右方側箇所における下方側部、つまり、小火力用操作具6C及び標準用操作具6Bの下方側箇所には、調理メニュー等の情報を入力するコンロ用設定操作部SCが設けられている。
そして、
図2に示すように、コンロ用設定操作部SCの設定情報が、運転制御部Uに入力されて、運転制御部Uが、火力を調節しながら設定された調理メニューに対応する運転を実行する等、3つのコンロバーナ1に対する燃焼制御を実行するように構成されているが、本実施形態においては、コンロ用設定操作部SCの設定情報による燃焼制御についての詳細な説明は省略する。
【0068】
ちなみに、本実施形態においては、各操作具6が、燃焼開始、目標火力の大きさ及び燃焼停止を指示する燃焼状態設定部M(
図2参照)として機能することになる。
【0069】
コンロ本体の前面部の右方側箇所の上方部には、電源スイッチ9が設けられており、運転制御部Uは、電源スイッチ9が入り操作されたときに、運転制御を実行するための電力が供給されるように構成されている。
ちなみに、電源スイッチ9が入り操作されることによって供給される電力は、コンロ本体が備える各種の機器類の作動用電力としても用いられることになる。
【0070】
コンロ本体の前面の左方側箇所の下方側部、つまり、高火力用操作具6Aの下方側箇所には、グリルバーナ2に対するグリル用設定操作部SGが配設されている。
そして、
図2に示すように、グリル用設定操作部SGの設定情報が、運転制御部Uに入力されて、運転制御部Uが、グリル部GRのグリル上バーナ2U及びグリル下バーナ2Sの燃焼を制御されるように構成されているが、本実施形態では、グリル上バーナ2U及びグリル下バーナ2Sの燃焼制御についての説明は省略する。
【0071】
(ガスコンロのガス燃料供給構成)
図2に示すように、ガス燃料が供給される元ガス路11に、3つのコンロバーナ1に対する3つのコンロ用分岐路12A、12B、12C、及び、グリルバーナ2に対するグリル用分岐路13が分岐状態で接続されている。
【0072】
そして、元ガス路11には、閉じ付勢された元電磁弁15が配設され、3つのコンロ用分岐路12A、12B、12Cの夫々には、3つのコンロバーナ1に供給するガス燃料の供給量を調節するコンロ用流量調節弁16A、16B、16Cが配設され、さらに、グリル用分岐路13には、グリルバーナ2に供給するガス燃料の供給量を調節するグリル用流量調節弁17が配設されている。
尚、以下の記載において、3つのコンロ用分岐路12A、12B、12Cを区別する必要がないときには、分岐路12と記載し、また、コンロ用流量調節弁16A、16B、16Cを区別する必要がないときには、流量調節弁16と記載する。
【0073】
コンロ用流量調節弁16A、16B、16Cは、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度の間の通流開度及び全閉開度に変更するガス量調節部として機能するものであって、コンロ用ステッピングモータ18A、18B、18Cにて操作されるように構成されており、その詳細は後述する。
同様に、グリル用流量調節弁17が、グリル用ステッピングモータ19にて操作されるように構成されている。
尚、以下に記載において、3つのコンロ用ステッピングモータ18A、18B、18Cを区別する必要がないときには、ステッピングモータ18と記載する
【0074】
また、3つのコンロ用分岐路12A、12B、12Cの夫々には、コンロ用安全弁20A、20B、20Cが配設され、グリル用分岐路13には、グリル用安全弁21及びグリル用ガバナ22が装備されている。
コンロ用安全弁20A、20B、20Cは、ガス供給を遮断する閉じ状態に弾性付勢され、かつ、開き状態に操作されたときに電磁保持部20G(
図8参照)にて開き状態に保持されるように構成されるものであり、グリル用安全弁21も同様である。
【0075】
そして、コンロ用安全弁20A、20B、20Cが、コンロ用ステッピングモータ18A、18B、18Cにて開き状態に操作されるように構成されており、その詳細は後述する。
同様に、グリル用安全弁21が、グリル用ステッピングモータ19にて開き状態に操作されるように構成されている。
尚、以下の記載において、3つのコンロ用安全弁20A、20B、20Cを区別する必要がないときには、安全弁20と記載する。
【0076】
図3に示すように、ガス流動制御ユニットVが設けられており、このガス流動制御ユニットVに、元電磁弁15、コンロ用流量調節弁16A、16B、16C、コンロ用安全弁20A、20B、20C、グリル用流量調節弁17、グリル用安全弁21、及び、グリル用ガバナ22が一体的に組み込まれている。
【0077】
すなわち、ガス流動制御ユニットVは、高火力バーナ1Aに対応する高火力用制御部VA、標準バーナ1Bに対応する標準用制御部VB、小火力バーナ1Cに対応する小火力用制御部VC、及び、グリルバーナ2に対応するグリル用制御部VG、並びに、元電磁弁15を備える状態に構成されている。
【0078】
高火力用制御部VAは、コンロ用流量調節弁16A、コンロ用安全弁20A及びコンロ用ステッピングモータ18Aを装備するように構成されている。
標準用制御部VBは、コンロ用流量調節弁16B、コンロ用安全弁20B及びコンロ用ステッピングモータ18Bを装備するように構成されている。
小火力用制御部VCは、コンロ用流量調節弁16C、コンロ用安全弁20C及びコンロ用ステッピングモータ18Cを装備するように構成されている。
グリル用制御部VGは、グリル用流量調節弁17、グリル用安全弁21、グリル用ステッピングモータ19及びグリル用ガバナ22を装備するように構成されている。
【0079】
(高火力用制御部の構成)
高火力用制御部VA、標準用制御部VB、及び、小火力用制御部VCは、同様な構成であるため、以下、高火力用制御部VAを代表にして、その具体構成を説明する。
また、以下の記載においては、コンロ用流量調節弁16Aを流量調節弁16と記載し、コンロ用安全弁20Aを安全弁20と記載し、また、コンロ用ステッピングモータ18Aをステッピングモータ18と記載する。
【0080】
高火力用制御部VAは、
図4及び
図5に示すように、ケーシング25に、流量調節弁16、及び、安全弁20を組込み、ステッピングモータ18を、ケーシング25の底部に備えている。
ちなみに、
図4に示すように、ステッピングモータ18の出力軸18Tの回転位相を検出する回転位相検出手段としてのポテンショメータPMが、出力軸18Tにギヤ式の連動機構にて連動連結される状態で設けられている。
【0081】
流量調節弁16は、ケーシング25の上部側に設置された固定板26に対して可動板27をガス量調節用移動方向に移動させることにより、ガス通流用開度を最小通流開度と最大通流開度との間の通流開度及び全閉開度に変更するように構成されている。
すなわち、可動板27がガス量調節用移動方向に沿って一方側方向に移動操作されることにより、通流開度が漸次増大し、かつ、可動板27がガス量調節用移動方向に沿って他方側方向に移動操作されることにより、通流開度が漸次減少するように構成され、さらに、通流開度を最小開度に操作したのち、引き続き、可動板27が他方側方向に移動操作されることにより、ガス通流用開度が全閉開度に変更されるように構成されている。
【0082】
具体的には、可動板27が、ステッピングモータ18の出力軸18Tの軸心方向に沿う回転軸心Z回りで回転自在に支持されて、回転軸心Z回りでの回転方向をガス量調節用移動方向として、ステッピングモータ18にて回転操作されるように構成されている。
【0083】
そして、
図6に示すように、可動板27が、一方側方向として、時計回り方向に沿うCW方向に移動操作されることによって、通流開度が漸次増大され、また、可動板27が、他方側方向として、反時計回り方向に沿うCCW方向に移動操作されることにより、通流開度が漸次減少され、さらに、通流開度を最小開度に操作したのち、引き続き、可動板27が反時計回り方向に沿うCCW方向に移動操作されることにより、ガス通流用開度が全閉開度に変更されるように構成されている。
【0084】
(コンロ用流量調節弁の構成)
流量調節弁16について説明を加えると、可動板27が、固定板26の下面に密接する状態で回転軸心Z回りでの回転自在に支持されている。
図5及び
図6に示すように、可動板27には、上下に貫通するガス通流孔27Aが形成され、また、可動板27の上面には、ガス通流孔27Aに連通するガス通流凹溝27Bが、CW方向に沿ってガス通流孔27Aから離れるほど小幅となる状態で、円周方向に沿って形成されている。
【0085】
固定板26には、
図4及び
図5に示すように、上下に貫通するガス流出孔26Aが、可動板27に形成したガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bに対向する位置に形成されている。
そして、安全弁20の開き状態において、ケーシング25の内部を通して流動するガスがガス通流孔27Aに導かれるように構成されている。
【0086】
したがって、ガス流出孔26Aがガス通流孔27Aに合致する状態において、通流開度が最大通流開度となり、かつ、ガス流出孔26Aがガス通流凹溝27Bの最も小幅となる部分にと合致する状態において、通流開度が最小通流開度となる形態で、通流開度が変更されるように構成され、ガス流出孔26Aがガス通流孔27Aやガス通流凹溝27Bに合致しない状態において、ガス通流用開度が全閉開度となるように構成されている。
【0087】
また、
図5及び
図8に示すように、固定板26の外周部における周方向の2箇所に、可動板27の回転軸心Zを中心とする円弧状の調整孔26aが設けられている。
そして、
図4に示すように、この調整孔26aを挿通する状態で、実質的にケーシング25に螺合する締付ボルト28が設けられ、締付ボルト28の締結によって、固定板26がケーシング25に固定されている。
したがって、締付ボルト28を緩めて、固定板26を回転軸心Zの回りに回動させることにより、ガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bに対するガス流出孔26Aの回転軸心Z回りでの位置を調節できるように構成されている。
【0088】
すなわち、ステッピングモータ18の出力軸18TをCCW方向に回転させて、最小火力に対応する回転位相に回転させたときの通流開度を、最小火力に対応する設定適正開度に調節する開度調節手段Wが、調整孔26a及び締付ボルト28を主要部として構成されている。
【0089】
ちなみに、本実施形態においては、燃料ガスとして、13AガスとLPガスとを使用するものであるため、開度調節手段Wによって調節する最小火力は、13AガスとLPガスとのうちの低発熱量側のガスである13Aガスの最小火力である。
【0090】
(安全弁の構成)
安全弁20について説明を加えると、
図5に示すように、ケーシング25の側部に、筒状の安全弁収納部分25Aが設けられている。
図4に示すように、この安全弁収納部分25Aに、弁体30が、弁座31に接当する閉じ位置と弁座31から離間する開き位置とに切換え自在に設けられ、弁体30を閉じ位置に復帰付勢する閉じ付勢用のスプリング32が設けられている。
また、弁体30を開き位置に押圧操作するスライド式の操作体33が、戻しスプリング34にて、弁体30を押圧しない非操作位置に復帰付勢された状態で設けられている。
【0091】
したがって、安全弁20は、弁体30が弁座31に接当する閉じ状態に復帰付勢されるように構成され、かつ、非操作位置から弁体30の存在側に移動されるスライド式の操作体33にて、弁体30が弁座31から離間する開き状態に操作されるように構成されている。
尚、上述の如く、開き位置に押圧された弁体30が電磁保持部20Gにて保持されることにより、安全弁20が、開き状態に保持されるように構成されている。
【0092】
(連係機構の構成)
図4及び
図5に示すように、ケーシング25には、流量調節弁16及び安全弁20に加えて、安全弁20を開き状態に押し開くための開操作用位置と安全弁20が閉じ状態になることを許容する閉動作許容位置とに切換えられる安全弁操作用体35、及び、可動板27を回動操作する中継体36が組み込まれている。
【0093】
すなわち、固定板26の下方に、ステッピングモータ18の出力軸18Tの軸心に沿って下方に伸びる状態で支持ピン37が支持され、この支持ピン37に、可動板27、安全弁操作用体35及び中継体36が、可動板27と安全弁操作用体35との間に、中継体36を位置させる状態で回転自在に支持され、支持ピン37の下端には、安全弁操作用体35の下方側への抜け落ちを阻止する受止片38が装備されている。
【0094】
ステッピングモータ18の出力軸18Tの上端部が、安全弁操作用体35の底部の嵌合部35Bに、一体回転するように嵌合され、可動板27と中継体36との間には、両者を離間側に付勢するコイルスプリング39が配置されている。
【0095】
図5及び
図7に示すように、中継体36の外周部の一部に外方に突出する状態で設けた突起部36aに、上方に伸びる状態で連係ピン40が設けられ、これに対応して、可動板27の外周部の一部に外方に突出する状態で設けた突起部27aに、連係ピン40の上端側部分が上下スライド自在に挿入する挿入孔41が形成されている。
つまり、中継体36と可動板27とが、回転軸心Z方向に相対移動自在な状態で、連係ピン40によって一体回転するように連係されている。
【0096】
図5及び
図7に示すように、中継体36の底部の外周側部分には、下方に突出する帯状の係止突起36Aが、CW方向に沿ってCW方向側に位置するほど突出高さが低くなる形態で設けられ、これに対応して、安全弁操作用体35に、係止突起36Aが係入する係入溝35Aが形成されている。
また、
図8に示すように、中継体36の外周部に設けた突起部36aを受止めるストッパー42が、ケーシング25に設けられている。
【0097】
そして、出力軸18Tが反時計回りに沿うCCW方向に回転するに伴って、安全弁操作用体35がCCW方向に回転するときに、中継体36の外周部に設けた突起部36aがストッパー42にて受止められると、中継体36の係止突起36Aが安全弁操作用体35の上面側に乗り上げる状態となって、安全弁操作用体35がCCW方向に回転することを許容するように構成されている(
図7(b)参照)。
【0098】
また、出力軸18Tが時計回りに沿うCW方向に回転するに伴って、安全弁操作用体35がCW方向に回転するときには、中継体36の係止突起36Aが安全弁操作用体35の係入溝35Aの端面にて押圧されて、中継体36が安全弁操作用体35と一体回転するように構成されている(
図7(a)参照)。
【0099】
つまり、安全弁操作用体35が安全弁20を開き状態に操作するために、CCW方向に回転するときには、中継体36の回転が停止されることにより、可動板27がCCW方向に回転することが阻止され、安全弁操作用体35がCW方向に回転するときには、中継体36が安全弁操作用体35と一体回転することにより、可動板27がCW方向に回転されるように構成されている。
【0100】
図5及び
図8に示すように、安全弁操作用体35は、非操作位置に位置するスライド式の操作体33を弁体30の存在側に係止移動する係止アーム35aを備えるものであって、出力軸18Tが設定基準回転位相A(
図6参照)からCCW方向に回転するときに、非操作位置に位置するスライド式の操作体33を弁体30の存在側に係止移動させるように構成されている(
図9参照)。
【0101】
すなわち、ステッピングモータ18の出力軸18Tと可動板27及び安全弁操作用体35とを連係する連係機構Rが、中継体36や連係ピン40等を主要部として構成されている。
【0102】
連係機構Rは、
図8に示すように、出力軸18Tが設定基準回転位相A(
図6参照)に回転したときには、コンロ用流量調節弁16Aのガス通流用開度が全閉開度となるように可動板27を操作し、かつ、安全弁操作用体35を閉動作許容位置に操作するように、出力軸18Tと可動板27及び安全弁操作用体35とを連係するように構成されている。
ちなみに、出力軸18Tが設定基準回転位相Aに回転しているときには、中継体36の突起部36aは、ストッパー42から離間している。
【0103】
そして、連係機構Rは、
図10に示すように、出力軸18Tが設定基準回転位相Aから回転方向の一方側範囲(CW方向側の範囲)において、正逆に回転したときには、ガス通流用開度を最小通流開度と前最大通流開度との間の通流開度に変更すべく、可動板27をガス量調節用移動方向に沿って正逆に移動操作し、かつ、
図9に示すように、出力軸18Tが設定基準回転位相Aから回転方向の他方側範囲(CCW方向側の範囲)に回転したときには、ガス通流用開度が全閉開度となる位置に可動板27を維持させるように、出力軸18Tと可動板27とを連係するように構成されている。
【0104】
また、連係機構Rは、
図10に示すように、出力軸18Tが一方側範囲(CW方向側の範囲)に回転したときには、安全弁操作用体35を閉動作許容位置に維持させる。
そして、連係機構Rは、
図9に示すように、出力軸18Tが他方側範囲(CCW方向側の範囲)において設定基準回転位相Aから離れる側の安全弁操作用位相F(
図6参照)に回転したときに、安全弁操作用体35を開操作用位置に操作すべく、出力軸18Tと安全弁操作用体35とを連係するように構成されている。
【0105】
尚、安全弁操作用体35の開操作用位置とは、係止アーム35aがスライド式の操作体33を係止移動させる位相範囲に安全弁操作用体35が回転している状態であり、安全弁操作用体35の閉動作許容位置とは、係止アーム35aがスライド式の操作体33を係止しない位相範囲に安全弁操作用体35が回転している状態である。
【0106】
(出力軸の回転位相について)
図6は、出力軸18Tが設定基準回転位相Aに回転している状態を示すものであって、固定板26のガス流出孔26Aが、ガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bに合致しない状態となっている。
【0107】
図6において、Bで示す回転位相は、通流開度を最小通流開度にする回転位相(以下、最小通流位相と略称)であって、ガス燃料としてLPガスを使用する際に、最小目標火力にする回転位相である。
Cで示す回転位相は、ガス燃料として13Aガスを使用する際に、最小目標火力にする回転位相(以下、13A用最小通流位相と略称)である。ちなみに、上述した開度調節手段Wによって、この13A用最小通流位相Cにおける通流開度を調節することになる。
Dで示す回転位相は、通流開度を最大通流開度にする回転位相(以下、最大通流位相と略称)であって、ガス燃料としてLPガス及び13Aガスを使用する際に、最大目標火力にする回転位相である。
Eで示す回転位相は、ガス燃料として13Aガスを使用する際において、コンロバーナ1を点火する場合の通流開度を設定する回転位相(以下、点火用回転位相)である。
【0108】
なお、Bで示す回転位相におけるガス流出孔26Aとガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bとの相対的な位置関係は、
図6において2点鎖線にて示されるガス流出孔26Aの位置はそのままの位置で、図から可動板27だけを22度だけCCW方向に回転させた位置関係となり、Cで示す回転位相におけるガス流出孔26Aとガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bとの相対的な位置関係は、
図6において2点鎖線にて示されるガス流出孔26Aの位置はそのままの位置で、図から可動板27だけを90度だけCCW方向に回転させた位置関係となり、Dで示す回転位相におけるガス流出孔26Aとガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bとの相対的な位置関係は、
図6において2点鎖線にて示されるガス流出孔26Aの位置はそのままの位置で、図から可動板27だけを240度だけCCW方向に回転させた位置関係となり、Eで示す回転位相におけるガス流出孔26Aとガス通流孔27A及びガス通流凹溝27Bとの相対的な位置関係は、
図6において2点鎖線にて示されるガス流出孔26Aの位置はそのままの位置で、図から可動板27だけを165度だけCCW方向に回転させた位置関係となる。
【0109】
Gで示す回転位相は、出力軸18TのCCW方向での回転限度を示す回転位相(以下、CCW方向限度と略称)であり、Hで示す回転位相は、出力軸18TのCW方向での回転限度を示す回転位相(以下、CW方向限度と略称)である。
CCW方向限度Gは、安全弁20を開き状態に操作する操作体33を安全弁収納部分25Aに設けた受止体43(
図8参照)にて受止めることにより、達成されるように構成されている。
CW方向限度Hは、中継体36がCW方向に回転したときに、突起部36aが上述したストッパー42に受止められることにより達成されることになる(
図10参照)。
【0110】
そして、
図6において、設定基準回転位相Aを0度とし、CW方向を正の角度とし、かつ、CCW方向を負の角度として表す場合において、最小通流位相Bは、設定基準回転位相Aから22度回転した位相であり、13A用最小通流位相Cは、設定基準回転位相Aから90度回転した位相であり、最大通流位相Dは、設定基準回転位相Aから240度回転した位相であり、点火用回転位相Eは、設定基準回転位相Aから165度回転した位相であり、安全弁操作用位相Fは、設定基準回転位相Aから−48度回転した位相である。
【0111】
また、CCW方向限度Gは、設定基準回転位相Aから−70度回転した位相であり、そして、CW方向限度Hは、設定基準回転位相Aから280度(−80度)回転した位相である。
【0112】
さらに、
図6において、Kで示す範囲は、ポテンショメータPMが検出不能となる検出不能範囲である。
つまり、ポテンショメータPMは、設定基準回転位相Aから256.5度回転した位相と、設定基準回転位相Aから−76.55度回転した位相との間において、出力軸18Tの回転位相に対応する角度を検出するように構成されている。
【0113】
(高火力用制御部のガス燃料の流れ)
次に、高火力用制御部VAにおけるガス燃料の流れについて説明を加えると、
図4及び
図5に示すように、ケーシング25の安全弁収納部分25Aに、ガス入口部44が設けられている。
このガス入口部44から安全弁収納部分25Aの内部に流動したガスは、弁体30が開き位置に位置するときには、弁座31の形成部分を通過してケーシング25の内部に流動することになる。
【0114】
ケーシング25の内部に流動したガスは、安全弁操作用体35や中継体36の配置箇所を通して可動板27の下方側箇所に流動し、その後、ガス通流孔27Aを通して、可動板27と固定板26の間に流動する。
そして、可動板27と固定板26の間に流動したガスは、ガス流出孔26Aがガス通流孔27A又はガス通流凹溝27Bに合致しているときには、ガス流出孔26Aより流出することになる。
尚、
図4に示すように、ケーシング25における出力軸18Tの挿通箇所には、ケーシング25の内部に流動したガスが、ステッピングモータ18の存在側に漏れるのを抑制するシール用のOリング45が、出力軸18Tに外嵌する状態で設けられている。
【0115】
(運転制御部の記憶内容)
運転制御部Uは、流量調節弁16のガス通流用開度と出力軸18Tの設定基準回転位相Aを基準とした回転角度(回転位相)との関係として、出力軸18TをCCW方向に回転させた状態における、ガス通流用開度と回転角度(回転位相)との関係を記憶するように構成されている。
【0116】
すなわち、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fから最大通流位相Dに回転させ、その後、出力軸18Tを最大通流位相Dから安全弁操作用位相Fに回転させた場合において、回転角度(回転位相)とガス通流用開度との関係を実験により計測したところ、
図11に示すように、連係機構Rの連結融通(遊び)のために、例えば、約7度のヒステリシスが存在することが判明した。
本実施形態においては、このようなヒステリシスが存在するため、ガス通流用開度と回転角度(回転位相)との関係として、出力軸18TをCCW方向に回転させた状態における関係を記憶させるようにした。
【0117】
また、運転制御部Uは、図示はしないが、出力軸18Tの設定基準回転位相Aを基準とした回転角度(回転位相)とポテンショメータPMの出力値との関係を記憶するように構成されている。
ちなみに、ポテンショメータPMの出力は、例えば、CW方向限度Hにて0.000V、CCW方向限度Gにて0.060V、安全弁操作用位相Fにて0.260V、設定基準回転位相Aにて0.690V、最小通流位相Bにて0.892V、13A用最小通流位相Cにて1.500V、最大通流位相Dにて2.850Vである。
尚、「V」は、ボルトの略記である。
【0118】
さらに、本実施形態においては、運転制御部Uが、13Aガスについての、各段階の火力と出力軸18Tの設定基準回転位相Aを基準とした回転角度(回転位相)との関係を、目標火力の大きさと通流開度との関係を定めた開度変更情報として記憶し、同様に、LPガスについての、各段階の火力と出力軸18Tの設定基準回転位相Aを基準とした回転角度(回転位相)との関係を、目標火力の大きさと通流開度との関係を定めた開度変更情報として記憶するように構成されている。
【0119】
尚、13Aガスについての開度変更情報は、13A用最小通流位相Cと最大通流位相Dとの間に定められることになり、LPガスについての開度変更情報は、最小通流位相Bと最大通流位相Dとの間に定められることになる。
【0120】
(ステッピングモータの制御)
運転制御部Uは、マイクロコンピュータを主要部として構成されて、上述の如く、3つのコンロバーナ1夫々についての、消火指令、点火指令、及び、火力調節指令(火力増加指令、火力減少指令)を判別して、コンロバーナ1の燃焼を制御することになるが、コンロバーナ1の燃焼を制御するために、消火指令、点火指令、及び、火力調節指令、並びに、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、ステッピングモータ18の作動を制御するモータ制御部として機能することになる。
【0121】
次に、ステッピングモータ18の制御作動について説明するが、3つのコンロ用ステッピングモータ18A、18B、18Cについての制御は同様に行われるものである。
また、ガス種設定スイッチGEにて、13Aガスが設定されている場合であるとして説明する。
【0122】
運転制御部Uは、可動板27を移動操作する際には、ステッピングモータ18に通電することになるが、可動板27を移動操作しないときには、ステッピングモータ18に対する通電を停止する形態で、ステッピングモータ18の作動を制御するように構成されている。
すなわち、
図12に示すように、本実施形態のステッピングモータ18は、2相励磁式に構成されており、ステッピングモータ18を駆動するときには、A極及びB極にパルス電流を通電することになるが、ステッピングモータ18を停止するときには、パルス電流の通電を停止するように構成されている。
【0123】
図13は、後述の点火処理において、出力軸18Tを設定基準回転位相Aから安全弁操作用位相Fに向けてCCW方向に回転させ、その後、CW方向に回転させる際に、ステッピングモータ18に通電するパルス電流を示すものである。
そして、
図13に示すように、運転制御部Uは、点火処理において、出力軸18Tを安全弁操作用位相Fに回転させた際に、出力軸18Tの回転を停止しかつ出力軸18Tが外力により回転されるのを牽制する停止保持電流を、設定ホールド時間に亘りステッピングモータ18に通電する出力軸保持処理を実行するように構成されている。
【0124】
また、運転制御部Uは、点火処理において、設定基準回転位相Aから安全弁操作用位相に出力軸18Tを回転させる速度よりも、出力軸保持処理の実行後において出力軸18Tを回転させる速度が高速となるように、ステッピングモータ18の励磁切替え速度を制御するように構成されている。
【0125】
具体的には、
図15に示すように、設定基準回転位相Aから−20度に達するまでは、励磁切替え速度を200PPSとし、−20度から安全弁操作用位相F(−48度)に達するまでは、励磁切替え速度を150PPSとする。
そして、出力軸保持処理の実行後において出力軸18Tを回転させる際には、先ず、励磁切替え速度を300PPSした後、励磁切替え速度を500PPSに切換える等、励磁切替え速度が制御されるように構成されている。
尚、「PPS」とは、パルス・パー・セコンドの略記である。
【0126】
(オープンループ式の制御)
また、運転制御部Uは、ステッピングモータ18に印加するパルス数を出力軸18Tが設定基準回転位相Aに回転した状態を基準に管理する形態で、かつ、ステッピングモータ18の回転方向を変更する場合には、予め設定した遊び補正用のパルス数を加算する形態で、可動板27を移動操作するためにステッピングモータ18に印加するパルス数を定めて、ステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
【0127】
すなわち、運転制御部Uは、後述の如く、消火指令が指令された場合や異常発生情報が入力された場合においては、出力軸18TをCCW方向に回転させながら設定基準回転位相Aに回転させかつポテンショメータPMの検出情報を用いて設定基準回転位相Aに位置決めするように構成されているため、運転開始として点火処理を開始してから消火処理が終了するまでの間は、出力軸18Tが設定基準回転位相Aに回転した状態を基準としながら、上述の如く記憶した記憶情報及びステッピングモータ18の出力軸18Tが1ステップにて回転する角度に基づいて、ステッピングモータ18に印加するパルス数を定めて、ステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
【0128】
つまり、運転制御部Uは、点火処理を開始してから消火処理が終了するまでの間は、基本的に、出力軸18Tが1ステップにて回転する角度及び記憶情報に基づいて、ステッピングモータ18に印加するパルス数を定める、いわゆるオープンループ式の制御形態で、ステッピングモータ18を駆動するように構成されている。
【0129】
説明を加えると、本実施形態のステッピングモータ18は、1ステップにて0.395度回転するものである。
したがって、出力軸18Tを設定基準回転位相Aから安全弁操作用位相F(−48度)に回転させる際には、48を0.395にて除算して求められる122ステップを、必要ステップ数(印加するパルス数)として定めてステッピングモータ18をCCW方向に駆動することになる。
【0130】
設定基準回転位相Aから安全弁操作用位相Fに回転させた出力軸18Tを、安全弁操作用位相F(−48度)から点火用回転位相E(165度)に回転させる際には、48と165とを加算した213を0.395にて除算して求められる539ステップに、連係機構Rの遊び7度を0.395にて除算して求められる18ステップを加えた557ステップを、必要ステップ数(印加するパルス数)として定めてステッピングモータ18をCW方向に駆動することになる。
【0131】
また、例えば、安全弁操作用位相Fから点火用回転位相Eに回転させた出力軸18Tを、点火用回転位相E(165度)から最大通流位相(240度)に回転させる際には、240から165を減算した75を0.395にて除算して求められる75ステップを、必要ステップ数(印加するパルス数)として定めてステッピングモータ18をCW方向に駆動することになる。
また、例えば、安全弁操作用位相Fから点火用回転位相Eに回転させた出力軸18Tを、点火用回転位相E(165度)から13A用最小通流位相C(90度)に回転させる際には、165から90を減算した75を0.395にて除算して求められる190ステップに、連係機構Rの遊び7度を0.395にて除算して求められる18ステップを加えた208ステップを、必要ステップ数(印加するパルス数)として定めてステッピングモータ18をCCW方向に駆動することになる。
【0132】
ちなみに、運転制御部Uが、ステッピングモータ18に印加するパルス数を、出力軸18Tが設定基準回転位相Aに回転した状態を基準に管理する形態で、可動板27を移動操作するためにステッピングモータ18に印加するパルス数を定めるとは、後述の位相調整処理によって、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転した状態に位置決めしながら、出力軸18Tを目標回転位相に回転させる場合には、単に、出力軸18Tを目標量回転させるのに必要となるパルス数を定めることを意味するものである。
【0133】
そして、出力軸18Tを目標量回転させるのに必要となるパルス数、つまり、ステッピングモータ18に印加するパルス数は、本実施形態においては、上述の如く、出力軸18Tが1ステップにて回転する角度、及び、各段階の火力と出力軸18Tの設定基準回転位相Aを基準とした回転角度(回転位相)との関係に基づいて定めることになる。
【0134】
尚、出力軸18Tを目標量回転させるのに必要となるパルス数、つまり、ステッピングモータ18に印加するパルス数を定めるにあたり、各段階の火力に対応する回転位相に出力軸18Tを回転させるために必要となるパルス数を設定基準回転位相Aを基準として定めたパルス設定情報を、目標火力の大きさと通流開度との関係を定めた開度変更情報として記憶させて、記憶されているパルス数の演算によって、ステッピングモータ18に印加するパルス数を定めるようにしてもよい。
【0135】
(位相調整処理)
また、運転制御部Uは、出力軸18Tが設定基準回転位相Aになるようにステッピングモータ18を作動させたときに、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tが設定基準回転位相Aからずれていることを判別した場合には、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させるようにステッピングモータ18を駆動する位相調整処理を実行するように構成されている。
【0136】
すなわち、出力軸18Tが設定基準回転位相AになるときのポテンショメータPMの検出値(0.690V)と、出力軸18Tが設定基準回転位相Aになるようにステッピングモータ18を作動させたときにときのポテンショメータPMの現在値とが、設定範囲以上ずれている場合には、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させるようにステッピングモータ18を駆動することになる。
【0137】
本実施形態のステッピングモータ18は1ステップにて0.395度回転するものであるから、上述の設定範囲は、+0.395度より大きく、かつ、−0.395度よりも小さい範囲として設定されている。
また、出力軸18Tが設定基準回転位相Aをオーバーしている場合には、一旦、出力軸18TをCW方向に回転させて設定基準回転位相Aの手前側に戻した後、設定基準回転位相Aに向けてCCW方向に回転させることになる。
【0138】
つまり、運転制御部Uは、上述の如く、ステッピングモータ18に印加するパルス数を出力軸18Tが設定基準回転位相Aに回転した状態を基準に管理する形態で、可動板27を移動操作するためにステッピングモータ18に印加するパルス数を定めて、ステッピングモータ18を駆動する、いわゆるオープンループ式の制御形態で、ステッピングモータ18を駆動するものであるから、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させた際に、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、出力軸18Tの回転位相が設定基準回転位相Aからずれている場合には、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転した状態に修正することになる。
【0139】
(運転制御部の燃焼制御)
次に、運転制御部Uの燃焼制御について説明するが、3つのコンロバーナ1の夫々に対する制御内容は同様であるので、以下の記載においては、コンロバーナ1が高火力バーナ1Aであるとして説明する。
また、ガス種設定スイッチGEにて、13Aガスが設定されている場合であるとして説明する。
【0140】
運転制御部Uは、コンロバーナ1に対する基本的な制御として、点火指令に基づいて実行する点火処理、消火指令に基づいて実行する消火処理、及び、火力調節指令に基づいて実行する火力調節処理を行うことになり、加えて、異常発生情報が入力されたときには、消火処理を実行するように構成されている。
【0141】
ちなみに、異常発生情報とは、コンロバーナ1が燃焼中であるにも拘わらず、着火検出センサJにて、コンロバーナ1の消火が検出された場合や、コンロバーナ1に加熱される調理容器の温度を検出する温度検出センサPS(
図1参照)にて、異常な高温が検出された場合等である。
【0142】
(点火処理)
点火処理は、
図15に示すように、安全弁操作用体35を開操作用位置に操作した後、安全弁操作用体35を閉動作許容位置に操作し、かつ、ガス通流用開度を点火用火力の大きさに対応する通流開度に変更すべくステッピングモータ18を作動させる処理、及び、安全弁20を開き状態に保持すべく電磁保持部20Gに通電し、点火用のイグナイタLを作動させ且つ着火検出センサJにて着火を検出する処理を実行する処理である。
【0143】
また、この点火処理においては、元電磁弁15が閉じられているときには、元電磁弁15を開く操作を行うことになる。
尚、元電磁弁15を開くときには、先ず、吸着用の大きな電流と保持用の小さな電流と通電し、その後、吸着用の大きな電流の通電を停止することになる。
【0144】
点火処理におけるステッピングモータ18の作動処理は、具体的には、出力軸18Tを設定基準回転位相Aから安全弁操作用位相Fに回転させた後、ガス通流用開度を点火用火力の大きさに対応する通流開度にすべく、出力軸18Tを点火用回転位相Eに操作する処理を実行することになる。
ちなみに、出力軸18Tを設定基準回転位相Aから安全弁操作用位相Fに回転させた際には、上述の如く、停止保持電流を設定ホールド時間に亘りステッピングモータ18に通電する出力軸保持処理が実行されることになる。
【0145】
(火力調節処理)
火力調節処理は、点火処理の実行後において、火力調節指令が指令されると、指示された目標火力の大きさに対応する通流開度に変更する処理であり、具体的には、13A用最小通流位相Cと最大通流位相Dとの間で出力軸18Tを回転させながら、ガス通流用開度を目標火力に対応する通流開度に変更することになる。
【0146】
ちなみに、
図15においては、出力軸18Tを点火用回転位相Eから最大通流位相Dに回転される場合、及び、出力軸18Tを点火用回転位相Eから13A用最小通流位相Cに回転させた後、8段階目の火力8に回転させる場合が例示されており、出力軸18Tの回転方向が変更されるときには、可動板27を移動操作するためにステッピングモータ18に印加するパルス数が、遊び補正用のパルス数を加算する形態で定められることになる。
尚、出力軸18Tを13A用最小通流位相Cに回転させる際には、後述する高精度調整処理が実行されることになる。
【0147】
また、本実施形態においては、この火力調節処理において、高精度調整処理、異常対策処理、予備対策処理、及び、初期化処理が実行されるように構成されているが、各処理の詳細は後述する。
【0148】
(消火処理)
消火処理は、消火指令が指令されると、ガス通流用開度を全閉開度に変更する処理であり、具体的には、
図16に示すように、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させる処理、及び、安全弁20を閉じる処理を実行することになる。
ちなみに、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させた際に、出力軸18Tが設定基準回転位相Aからずれていることを判別した場合には、上述の如く、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させるようにステッピングモータ18を駆動する位相調整処理を実行することになる。
【0149】
消火処理におけるステッピングモータ18の作動処理は、具体的には、出力軸18Tの回転位相が、設定基準回転位相AよりもCW方向側にある場合には、先ず、出力軸18Tを13A用最小通流位相Cに回転させ、その後、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させる処理を実行することになり、また、出力軸18Tの回転位相が、設定基準回転位相AよりもCCW方向側にある場合には、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させる処理を実行することになる。
【0150】
そして、運転制御部Uは、出力軸18Tの回転位相が設定基準回転位相AよりもCW方向側にある場合において、出力軸18Tを13A用最小通流位相Cに回転させた際に、着火検出センサJにて消火が検出されていない場合には、安全弁20の故障であると判別する安全弁故障判断処理を実行するように構成されている。
尚、安全弁故障判断処理を実行した後、他のコンロバーナ1やグリルバーナ2が使用されていない場合には、元電磁弁15を閉じることになる。
【0151】
また、運転制御部Uは、出力軸18Tの回転位相が、設定基準回転位相AよりもCCW方向側にある場合において、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させる際には、先ず、出力軸18Tの回転位相が設定基準回転位相Aを越えるまでCW方向に回転させ、その後、出力軸18Tの回転位相が設定基準回転位相AになるまでCCW方向に回転させることになる。
【0152】
また、この消火処理は、異常発生情報が入力された場合にも実行されることになり、この異常発生情報に対応する消火処理においては、出力軸18Tの回転位相が設定基準回転位相AよりもCW方向側にある場合及び出力軸18Tの回転位相が設定基準回転位相AよりもCCW方向側にある場合のいずれにおいても、直ちに、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させる処理を実行することになり、また、元電磁弁15が直ちに閉じ操作されることになる。
ちなみに、消火処理においては、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回転させるものであるから、安全弁操作用体35が閉作動許容位置に操作されることになる。
【0153】
(燃焼制御の流れ)
図14に示すフローチャートに基づいて、燃焼制御の流れについて説明する。
先ず、コンロバーナ1が燃焼中であるか否かを判別し(#1)、燃焼中でないと判別したときには、点火処理中であるか否かを判別し(#2)、点火処理中でない場合には、操作具6の操作によって点火指令が指令されているか否かを判別し(#3)、指令されていない場合には、#1の処理に移行することになる。
【0154】
#3の処理によって、点火指令が指令されていると判別したときには、コンロバーナ1を点火させる点火処理を実行し(#4)、その後、#1の処理に移行することになる。
#2の処理によって、点火処理中であると判別した場合には、操作具6の操作によって消火指令が指令されているか否かを判別し(#5)、消火指令が指令されていない場合には、#4の処理に移行し、消火指令が指令されている場合には、#6の消火処理に移行することになる。
【0155】
#1の処理によって、燃焼中であると判別したときには、コンロバーナ1が消火した等の異常発生状態が生じたか否かを判別し(#7)、異常発生の場合には、#6の消火処理に移行する。
#7の処理にて、異常発生でないと判別したときには、操作具6の操作によって消火指令が指令されているか否かを判別し(#8)、消火指令が指令されている場合には、#6の消火処理に移行することになる。
また、火力調節処理中であるか否かを判別し(#9)、火力調節処理中である場合や、火力調節指令が指令されたと判別したときには(#10)、火力調節処理(#11)を実行することになる。
【0156】
(高精度調整処理)
運転制御部Uは、上述の如く、基本的には、オープンループ式の制御形態でステッピングモータ18を駆動することになるが、ステッピングモータ18を駆動するときに設定開始条件を満たす場合には、高精度調整処理を実行するように構成されている。
【0157】
すなわち、運転制御部Uは、出力軸18TをCCW方向に回転させて、最小火力に対応する回転位相(13A用最小通流位相C)に回転させるときに、設定開始条件が満たされたと判別するように構成されている。
そして、高精度調整処理として、出力軸18Tの実回転位相が目標回転位相(13A用最小通流位相C)よりも設定量手前側となるときに、ステッピングモータ18を一旦停止させ、その後、ポテンショメータPMの検出情報に基づいて、実回転位相が目標回転位相(13A用最小通流位相C)となるようにステッピングモータ18に印加する補正パルス数を求めて、ステッピングモータ18に補正パルス数を印加する処理を実行するように構成されている。
【0158】
具体的には、出力軸18Tの実回転位相が目標回転位相(13A用最小通流位相C)よりも設定量手前側となるときとして、出力軸18Tを目標回転位相(13A用最小通流位相C)に回転させるのに必要なステップ数から設定ステップ数(例えば、36ステップ)手前となった段階で、ステッピングモータ18を一旦停止させる。
そして、ポテンショメータPMの現在の検出値から目標回転位相(13A用最小通流位相C)に対応するポテンショメータPMの検出値(0.892V)を減算した減算値を求め、その減算値を0.395にて乗算して、補正パルスを求め、その後、ステッピングモータ18に補正パルス数を印加して、出力軸18Tを目標回転位相(13A用最小通流位相C)に回転させるようにする(
図15参照)。
【0159】
つまり、運転制御部Uが、上述の如く、オープンループ式の制御形態でステッピングモータ18を駆動することになるため、万が一、出力軸18Tの回転位相が何らかの原因によりずれることがあっても、出力軸18Tを最小火力に対応する回転位相(13A用最小通流位相C)に的確に回転させることができるように構成されている。
【0160】
(異常対策処理)
また、運転制御部Uは、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲(0.000〜3.000V)でない異常であると判別したときには、出力軸18Tを基準回転方向としてのCW方向に向けて、回転位相が設定基準回転位相AよりもCW方向側の一方側範囲(CW方向側の範囲)となるように回転させるべく、予め定めた異常対策用設定パルス数をステッピングモータ18に印加する異常対策処理を実行するように構成され、かつ、この異常対策処理を実行する際には、安全弁20及び元電磁弁15を閉じ操作する弁閉じ操作処理が実行されることになる。
【0161】
すなわち、運転制御部Uは、火力調節処理を実行するためにステッピングモータ18を作動させることが終了する毎に、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲内であるか否かを判別するように構成されている。
そして、運転制御部Uは、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲でない異常であると判別したときには、出力軸18TをCW方向に向けて90度回転させるべく、予め定めた異常対策用設定パルス数をステッピングモータ18に印加するように構成され、また、コンロバーナ1の燃焼を停止させるために、安全弁20及び元電磁弁15を閉じ操作するように構成されている。
【0162】
異常対策用設定パルス数は、出力軸18TをCW方向に向けて90度回転させるのに必要なパルス数として設定されるものであり、出力軸18Tの回転位相が、設定基準回転位相AよりもCCW方向側の他方側範囲(CCW方向側の範囲)であっても、出力軸18Tの回転位相を、設定基準回転位相AよりもCW方向側の一方側範囲(CW方向側の範囲)となるように回転させるのに必要なパルス数である。
【0163】
出力軸18Tの回転位相が、設定基準回転位相AよりもCW方向側の一方側範囲(CW方向側の範囲)になると、安全弁操作用体35が閉弁作動許容位置となるため、安全弁20が的確に閉じ状態に操作されることになる。
つまり、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲でない異常であると判別したときには、安全弁20及び元電磁弁15と閉じ操作して、ガス漏れが生じないようにすることができるのである。
【0164】
ちなみに、本実施形態においては、異常対策処理は、後述の如く、予備対策処理の実行後において、実行されることになる。
尚、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲でない異常であると判別したときには、警報ランプ等を作動させて、使用者に異常状態であることを報知することになる。
【0165】
(予備対策処理)
上記一方側範囲(CW方向側の範囲)及び上記他方側範囲(CCW方向側の範囲)を加えた角度、つまり、安全弁操作用位相Fと最大通流位相Dとの間の角度は、上述の説明から明らかな如く、360度よりも小さな角度であり、また、ポテンショメータPMは、上述の如く、上記一方側範囲(CW方向側の範囲)及び上記他方側範囲(CCW方向側の範囲)を外れた範囲のうちの一部範囲(検出不能範囲K)において、出力軸18Tの回転位相を検出不能となる形態に構成されている。
【0166】
運転制御部Uは、火力調節処理を実行するためにステッピングモータ18を作動させることが終了する毎に、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲内であるか否かを判別して、検出値(出力値)が正常範囲でない異常であると判別したときには、予備対策処理を実行するように構成されている。
【0167】
予備対策処理は、出力軸18Tの回転位相が上述の一部範囲(検出不能範囲K)にあると仮定したときに、回転位相が上述の一方側範囲(CW方向側の範囲)となるように、出力軸を基準回転方向とは逆方向(CCW方向)に向けて回転させるべく、予め定めた予備対策用設定パルス数をステッピングモータ18に印加する処理である。
ちなみに、予備対策用設定パルス数は、出力軸18Tを180度回転させるのに必要なパルス数として定められる。
【0168】
また、本実施形態においては、予備対策用設定パルス数をステッピングモータ18に印加して、出力軸18Tを回転させる際には、設定サンプリング間隔でポテンショメータPMの検出値(出力値)を読込んで、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲内に戻ったときには、その時点で、ステッピングモータ18を停止するように構成されている。
【0169】
そして、運転制御部Uは、予備対策処理の実行後において、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲でない異常であると判別したときには、上述の異常対策処理を実行することになる。
【0170】
また、運転制御部Uは、予備対策処理の実行後において、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲内であると判別したときには、出力軸18Tを設定基準回転位相に回転させるべく、ステッピングモータ18の作動を制御するように構成されている。
具体的には、出力軸18Tの現在の回転位相と設定基準回転位相Aとの間に相当する角度を回転させるのに必要なステップ数を定めて、ステッピングモータ18を作動させることになる。
尚、出力軸18Tを設定基準回転位相に回転させた際には、上述した位相調整処理が実行されることになる。
【0171】
つまり、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲でない場合に、予備対策処理の実行により、出力軸18Tの回転位相が上述の一部範囲(検出不能範囲K)にあるときには、正常な状態に復帰させることができることになり、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲でない場合に、直ちに、異常対策処理を実行する場合に較べて、使用勝手の向上を図るようにしてある。
【0172】
(初期化処理)
また、運転制御部Uが、火力調節処理を実行するためにステッピングモータ18を作動させることが終了する毎に、ポテンショメータPMの検出値(出力値)が正常範囲内であるか否かを判別した際に、検出値(出力値)が正常範囲内であるものの、火力調節処理を実行した結果として予測される予測値に対して設定量以上の差がある場合には、基準回転方向(CW方向)とは逆方向(CCW方向)に回転させる形態で、出力軸18Tを設定基準回転位相Aに回動させるべく、ステッピングモータ18を作動させる初期化処理を実行するように構成されている。
【0173】
運転制御部Uは、初期化処理を実行する際には、安全弁20を閉じ操作するように構成され、また、警報ランプ等を作動させて、初期化処理の実行により、コンロバーナ1が消火されている状態であることを報知することになる。
尚、出力軸18Tを設定基準回転位相に回転させた際には、上述した位相調整処理が実行されることになる。
【0174】
上述の予測値とは、運転制御部Uが、目標火力の大きさに応じて予め記憶している値であり、また、本実施形態のステッピングモータ18は1ステップにて0.395度回転するものであるから、上述の設定量以上の差がある場合とは、予測値と検出値(出力値)とが、0.395度の数倍以上(例えば2倍以上)離れている場合である。
【0175】
つまり、火力調節処理を実行した際に、検出値(出力値)が予測値から大きく外れている場合には、初期化処理を実行することにより、目標火力と大きく異なる火力にて加熱調理が実行されることを回避するようにしてある。
【0176】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0177】
(1)上記実施形態では、3つのコンロバーナ1を備える形態のガスコンロに本発明を適用する場合を例示したが、例えば、一つのコンロバーナ1を備える形態のガスコンロに本発明を適用する等、本願発明を適用するガスコンロの形態は種々変更できるものである。
【0178】
(2)上記実施形態では、可動板27を移動操作する電動モータとして、ステッピングモータ18を例示したが、直流モータ等の各種の電動モータを使用することができ、この場合には、ポテンショメータの検出情報をフィードバック情報として利用するフィードバック式の制御形態にて電動モータの作動を制御することになる。
【0179】
(3)上記実施形態では、可動板27が回転軸心Z回りで回転する形態で、ガス量調節部としての流量調節弁16が構成される場合を例示したが、ガス量調節量移動方向が直線に沿う方向に設定されて、可動板27がスライド移動する形態のガス量調節部についても、本発明は適用できるものである。
【0180】
(4)上記実施形態では、ガス燃料の種類として、13Aの都市ガスとLPガスと選択して使用する場合を例示したが、その他の種類のガス燃料を使用する場合にも本発明は適用できるものである。
そして、選択して使用するガス燃料の種類が、3種類以上存在させる形態で実施してもよい。
【0181】
(5)上記実施形態では、出力軸18Tの設定基準回転位相Aが、ガス通流用開度を全閉開度に操作する回転位相に定められている場合を例示したが、例えば、設定基準回転位相Aを、ガス量調節部としての流量調節弁16における最小通流開度に対応する回転位相に定める等、設定基準回転位相Aにおけるガス通流用開度は種々変更できるものである。
【0182】
(6)上記実施形態においては、ステッピングモータ18にて開き状態に操作される安全弁20を装備する場合を例示したが、安全弁20を装備しない形態で実施してもよい。
この場合、出力軸18Tを設定基準回転位相AよりもCCW方向側に回動させることが省略されることになる。
【0183】
(7)上記実施形態では、回転位相検出手段として、ポテンショメータPMを例示したが、回転位相検出手段は、アブソリュート型のロータリーエンコーダ等、種々の検出センサを使用することができる。