(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カップ内に配置された基板に対して処理液を供給する処理液供給部を備え、混合されたときに発熱反応が生じて気体を発生する複数の処理液により基板を処理する複数の処理ユニットと、
各処理ユニットから排出される排液を回収する個別回収管路と、
これらの個別回収管路に接続され、前記個別回収管路から排出される排液をまとめて回収する共通回収管路と、
前記共通回収管路に連通し、前記発熱反応により発生した気体を前記共通回収管路の外部に排出する圧抜き管路と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような基板処理装置においては、混合されたときに発熱反応が生じて気体を発生する複数の処理液が使用される場合がある。このような場合に、これらの処理液が共通の回収管路を介して回収された場合には、これらの処理液が互いに混合されて反応し、気体が発生する。処理液の混合により気体が発生した場合には、回収管路内の圧力が増加し、加圧された気体が混合された処理液とともに、カップやプリディスペンスポッド等の大気解放された領域から基板処理装置の内部に噴出する可能性がある。このような現象が生じた場合には、処理中の基板に対して、処理液が付着するという不具合が生ずる。
【0005】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、発熱反応が生じて気体を発生する複数の処理液が混合された状態で回収された場合においても、回収管路内の圧力の上昇を効果的に抑制して、気体や処理液の噴出を防止することが可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、カップ内に配置された基板に対して処理液を供給する処理液供給部を備え、混合されたときに発熱反応が生じて気体を発生する複数の処理液により基板を処理する複数の処理ユニットと、各処理ユニットから排出される排液を回収する個別回収管路と、これらの個別回収管路に接続され
、前記個別回収管路から排出される排液をまとめて回収する
共通回収管路と、前
記共通回収管路に連通し、前記発熱反応により発生した気体を前記
共通回収管路の外部に排出する圧抜き管路とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の処理ユニットは、各々、前記カップ内を排気するための排気部を有し、前記圧抜き管路は、前記複数の処理ユニットのうち一つの処理ユニットにおける排気部と、前
記共通回収管路とを接続する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記複数の処理ユニットは、上下に重畳する状態で配置されている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記圧抜き管路は、前記複数の処理ユニットのうち最上部に配置された処理ユニットにおける排気部と、前
記共通回収管路とを接続する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記複数の処理ユニットのうち最下部に配置された処理ユニットから排出される排液を回収する個別回収管路内に接続され、当該個別回収管路の圧力を測定する圧力測定手段を備える。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の発明において、前記上下に重畳する状態で配置された複数の処理ユニットから成るタワーを複数備え、前記
個別回収管路および前記共通回収管路と前記圧抜き管路は、前記各タワー毎に配設される。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明において、各処理ユニットは、基板に対して処理液を供給する前に
、処理液供給ノズルから吐出される処理液を回収するためのプリディスペンスポッドと、前記プリディスペンスポッドと前記個別回収管路とを接続する管路とをさらに備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、発熱反応が生じて気体を発生する複数の処理液が混合された状態で回収された場合においても、圧抜き管路の作用により、回収管路内の圧力の上昇を効果的に抑制することができ、気体や処理液の噴出を防止することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、複数の処理液が混合されることにより生じた気体や処理液を、排気部により回収することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、上下に重畳する状態で配置された複数の処理ユニットからの処理液をまとめて効率的に回収することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、最上部に配置された処理ユニットにおける排気部を使用することから、多量の気体が発生して回収管路内の圧力が極めて高くなった場合においても、排気部に気体や処理液が高圧で噴出することを防止することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、気体の発生により圧力が最も上昇する最下部に配置された処理ユニットから排出される排液を回収する個別回収管路内の圧力を測定することから、回収管路内の圧力の上昇を正確に検出して、異常の発生を認識することが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、複数の処理ユニットから成る各タワーに対して回収管路と圧抜き管路を配設することから、複数のタワーからの発熱反応が生じて気体を発生する複数の処理液の混合の可能性を低下させて、気体の発生による圧力上昇の可能性をより低下させることが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、プリディスペンスポッドと個別回収管路とを管路により接続することで、プリディスペンスポッドからの排液を個別回収管路により回収して構成を簡易化することができるとともに、この場合においても、プリディスペンスポッドからの気体や処理液の噴出を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明に係る基板処理装置の概要図である。また、
図2は、各処理ユニットの配置例を示す説明図である。
【0022】
この基板処理装置は、図示を省略したスピンチャックに保持されて回転する基板としての半導体ウエハ100に対して、処理液を供給してその処理を実行するためのものである。
図1および
図2(a)に示すように、基板処理装置は、4個の処理ユニットA、B、C、Dより構成される。処理ユニットAと処理ユニットBとは、上下に重畳する状態で配置されており、これらの処理ユニットAおよび処理ユニットBは、タワー1を構成している。同様に、処理ユニットCと処理ユニットDとは、上下に重畳する状態で配置されており、これらの処理ユニットCおよび処理ユニットDは、タワー2を構成している。
【0023】
処理ユニットAは、半導体ウエハ100に対して処理液を供給するための処理液供給部を構成する処理液供給ノズル21aと、半導体ウエハ100の外周部を包囲するように配設され、半導体ウエハ100から飛散する処理液を捕獲するためのカップ22aと、処理液供給ノズル21aから半導体ウエハ100に処理液を供給する前にプリディスペンスされる処理液を回収するためのプリディスペンスポッド24aと、カップ22a内を排気するための排気部23aとを備える。また、処理ユニットAは、カップ22aにより回収されて排出される処理液の排液を回収する個別回収管路11aと、プリディスペンスポッド24aとこの個別回収管路11aとを接続する管路13aと、カップ22aと排気部23aとを接続する排気管路14aとを備える。
【0024】
処理ユニットAにおける個別回収管路11aには、電磁開閉弁15aが配設されている。管路13aには、電磁開閉弁17aが配設されている。カップ22aと排気部23aとを接続する管路には、電磁開閉弁16aが配設されている。プリディスペンスポッド24aと排気部23aとを接続する管路には、電磁開閉弁18aが配設されている。半導体ウエハ100の処理時には、電磁開閉弁15aおよび電磁開閉弁17aが開放されており、電磁開閉弁16aおよび電磁開閉弁18aは閉止されている。カップ22aやプリディスペンスポッド24aの洗浄時には、電磁開閉弁15aおよび電磁開閉弁17aは閉止され、電磁開閉弁16aおよび電磁開閉弁18aが開放される。
【0025】
また、処理ユニットBは、処理液供給ノズル21bと、半導体ウエハ100の外周部を包囲するように配設され、半導体ウエハ100から飛散する処理液を捕獲するためのカップ22bと、処理液供給ノズル21bから半導体ウエハ100に処理液を供給する前にプリディスペンスされる処理液を回収するためのプリディスペンスポッド24bと、カップ22b内を排気するための排気部23bとを備える。また、処理ユニットBは、カップ22bにより回収されて排出される処理液の排液を回収する個別回収管路11bと、プリディスペンスポッド24bとこの個別回収管路11bとを接続する管路13bと、カップ22bと排気部23bとを接続する排気管路14bとを備える。
【0026】
処理ユニットBにおける個別回収管路11bには、電磁開閉弁15bが配設されている。管路13bには、電磁開閉弁17bが配設されている。カップ22bと排気部23bとを接続する管路には、電磁開閉弁16bが配設されている。プリディスペンスポッド24bと排気部23bとを接続する管路には、電磁開閉弁18bが配設されている。半導体ウエハ100の処理時には、電磁開閉弁15bおよび電磁開閉弁17bが開放されており、電磁開閉弁16bおよび電磁開閉弁18bは閉止されている。カップ22bやプリディスペンスポッド24bの洗浄時には、電磁開閉弁15bおよび電磁開閉弁17bは閉止され、電磁開閉弁16bおよび電磁開閉弁18bが開放される。管路13bには、個別回収管路11bに対してこの管路13bを介して接続され、個別回収管路11bの圧力を測定する圧力計19が配設されている。
【0027】
処理ユニットAにおける個別回収管路11aと処理ユニットBにおける個別回収管路11bとは、共通回収管路12に接続されている。処理ユニットAにおける個別回収管路11aと、処理ユニットBにおける個別回収管路11bと、共通回収管路12とは、タワー1における回収管路を構成する。処理ユニットAから排出される処理液の排液と処理ユニットBから排出される処理液の排液とは、個別回収管路11a、11bおよび共通回収管路12から構成される回収管路を介して、クーリングユニットとも呼称される排液部10に排出される。また、共通回収管路12には、後述するように、この共通回収管路12内に発生した気体を外部に排出するための圧抜き管路20が接続されている。この圧抜き管路20は、共通回収管路12と、処理ユニットA、Bのうち最上部に配置された処理ユニットAにおける排気部23aとを接続している。
【0028】
処理ユニットCは、処理液供給ノズル41cと、半導体ウエハ100の外周部を包囲するように配設され半導体ウエハ100から飛散する処理液を捕獲するためのカップ42cと、処理液供給ノズル41cから半導体ウエハ100に処理液を供給する前にプリディスペンスされる処理液を回収するためのプリディスペンスポッド44cと、カップ42c内を排気するための排気部43cとを備える。また、処理ユニットCは、カップ42cにより回収されて排出される処理液の排液を回収する個別回収管路31cと、プリディスペンスポッド44cとこの個別回収管路31cとを接続する管路33cと、カップ42cと排気部43cとを接続する排気管路34cとを備える。
【0029】
処理ユニットCにおける個別回収管路31cには、電磁開閉弁35cが配設されている。管路33cには、電磁開閉弁37cが配設されている。カップ42cと排気部43cとを接続する管路には、電磁開閉弁36cが配設されている。プリディスペンスポッド44cと排気部43cとを接続する管路には、電磁開閉弁38cが配設されている。半導体ウエハ100の処理時には、電磁開閉弁35cおよび電磁開閉弁37cが開放されており、電磁開閉弁36cおよび電磁開閉弁38cは閉止されている。カップ42cやプリディスペンスポッド44cの洗浄時には、電磁開閉弁35cおよび電磁開閉弁37cは閉止され、電磁開閉弁36cおよび電磁開閉弁38cが開放される。
【0030】
また、処理ユニットDは、処理液供給ノズル41dと、半導体ウエハ100の外周部を包囲するように配設され半導体ウエハ100から飛散する処理液を捕獲するためのカップ42dと、処理液供給ノズル41dから半導体ウエハ100に処理液を供給する前にプリディスペンスされる処理液を回収するためのプリディスペンスポッド44dと、カップ42d内を排気するための排気部43dとを備える。また、処理ユニットDは、カップ42dにより回収されて排出される処理液の排液を回収する個別回収管路31dと、プリディスペンスポッド44dとこの個別回収管路31dとを接続する管路33dと、カップ42dと排気部43dとを接続する排気管路34dとを備える。
【0031】
処理ユニットDにおける個別回収管路31dには、電磁開閉弁35dが配設されている。管路33dには、電磁開閉弁37dが配設されている。カップ42dと排気部43dとを接続する管路には、電磁開閉弁36dが配設されている。プリディスペンスポッド44dと排気部43dとを接続する管路には、電磁開閉弁38dが配設されている。半導体ウエハ100の処理時には、電磁開閉弁35dおよび電磁開閉弁37dが開放されており、電磁開閉弁36および電磁開閉弁38dは閉止されている。カップ42dやプリディスペンスポッド44dの洗浄時には、電磁開閉弁35dおよび電磁開閉弁37dは閉止され、電磁開閉弁36dおよび電磁開閉弁38dが開放される。管路33dには、個別回収管路31dに対してこの管路33dを介して接続され、個別回収管路31dの圧力を測定する圧力計39が配設されている。
【0032】
処理ユニットCにおける個別回収管路31cと処理ユニットDにおける個別回収管路31dとは、共通回収管路32に接続されている。処理ユニットCにおける個別回収管路31cと、処理ユニットDにおける個別回収管路31dと、共通回収管路32とは、タワー2における回収管路を構成する。処理ユニットCから排出される処理液の排液と処理ユニットDから排出される処理液の排液とは、個別回収管路31c、31dおよび共通回収管路32から構成される回収管路を介して、排液部10に排出される。また、共通回収管路32には、後述するように、この共通回収管路32内に発生した気体を外部に排出するための圧抜き管路40が接続されている。この圧抜き管路40は、共通回収管路32と、処理ユニットC、Dのうち最上部に配置された処理ユニットCにおける排気部43cとを接続している。
【0033】
上述した各処理ユニットA、B、C、Dにおいては、半導体ウエハ100に対して、硫酸と過酸化水素を混合した処理液であるSPMによる処理工程と、温水による温水洗浄工程と、アルカリ系の処理液であるSC1による処理工程と、純水による純水洗浄工程と、乾燥工程とが順次実行される。なお、半導体ウエハ100は、図示しない搬送アームにより、各処理ユニットA、B、C、Dに順番に搬送されることから、各処理ユニットA、B、C、Dにおいては、SPMによる処理工程、温水による温水洗浄工程、SC1による処理工程、純水による純水洗浄工程および乾燥工程が、互いに独立したタイミングで実行される。
【0034】
SPMは、各処理ユニットA、B、C、Dにおいて、上述した処理液供給ノズル21a、21b、41c、41dより半導体ウエハ100に供給される。また、温水と、SC1と、純水とは、各々、図示を省略したノズル等から半導体ウエハ100に供給される。そして、半導体ウエハ100に供給された後のSPMは、上述した各回収管路により回収され、排液部10に排出される。一方、SC1と純水とは、半導体ウエハ100に供給され、上述した回収管路とは別の回収管路により回収される。さらに、温水洗浄工程においては、初期の段階においては回収された温水中に高濃度のSPMが含まれることから、半導体ウエハ100に供給された温水は、上述した各回収管路により回収され、排液部10に排出される。これに対して、温水洗浄工程の後半においては、温水中のSPMの濃度が低下することから、半導体ウエハ100に供給された温水は、上述した回収管路とは別の回収管路により回収され、他の排液部に排出される。
【0035】
以上のような構成を有する基板処理装置においては、半導体ウエハ100に供給されたSPMと温水が混合されることにより発熱反応が生じて気体を発生し、回収管路内の圧力が上昇する場合がある。
【0036】
この点について、
図3に基づいて説明する。
図3は、タワー1を構成する処理ユニットAおよび処理ユニットBにおいて実行される各処理工程のタイミングを示すタイミングチャートである。なお、タワー2を構成する処理ユニットCおよび処理ユニットDにおいても、同様の工程により各処理工程が実行される。
【0037】
図3に示すように、処理ユニットAにおいては、図示しない搬送アームにより半導体ウエハ100がカップ22a内に搬入された後に、この半導体ウエハ100に対して、SPMによる処理工程と、温水による温水洗浄工程と、SC1による処理工程と、純水による純水洗浄工程とが順次実行される。そして、上述したように、SPMと、温水洗浄工程の前半において処理に供された温水とは、上述した各回収管路により回収され、排液部10に排出される。一方、温水洗浄工程の後半において処理に供された温水と、SC1と、純水とは、上述した回収管路とは別の回収管路により回収され、他の排液部に排出される。
【0038】
一方、処理ユニットBにおいては、処理ユニットAにおいてSPMによる処理が実行されている途中で、図示しない搬送アームによりカップ22b内に半導体ウエハ100が搬入された後に、この半導体ウエハ100に対して、SPMによる処理工程と、温水による温水洗浄工程と、SC1による処理工程と、純水による純水洗浄工程とが順次実行される。そして、処理ユニットBにおいても、SPMと、温水洗浄工程の前半において処理に供された温水とは、上述した各回収管路により回収され、排液部10に排出される。一方、温水洗浄工程の後半において処理に供された温水と、SC1と、純水とは、上述した回収管路とは別の回収管路により回収され、他の排液部に排出される。
【0039】
このため、
図3に示すように、処理ユニットAにおいてSPMによる処理工程終了後に温水洗浄工程開始したときに、処理ユニットBにおいてはSPMによる処理工程が実行されることから、処理ユニットAにおける個別回収管路11aを流下した温水と処理ユニットBにおける個別回収管路11bを流下したSPMが共通回収管路12において混合される。このため、共通回収管路12内において気体が発生し、共通回収管路12内の圧力が上昇する。
【0040】
しかしながら、タワー1においては、共通回収管路12と処理ユニットAにおける排気部23aとが圧抜き管路20により接続されていることから、この圧抜き管路20により共通回収管路12内に発生した気体を排気部23aに排出することができ、共通回収管路12内の圧力の上昇を防止することができる。このとき、圧抜き管路20は、共通回収管路12を、タワー1における最上部に配置された処理ユニットAの排気部23aに接続していることから、多量の気体が発生して共通回収管路12内の圧力が極めて高くなった場合においても、排気部23aに気体や処理液が高圧で噴出することを防止することが可能となる。
【0041】
このため、処理ユニットAにおける個別回収管路11aを流下した温水(純水)と処理ユニットBにおける個別回収管路11bを流下したSPMが共通回収管路12において混合され、共通回収管路12内において気体が発生した場合においても、大気解放されたカップ22a、22bから気体や処理液が噴出して半導体ウエハ100の処理に悪影響を及ぼすことを防止することが可能となる。
【0042】
また、プリディスペンスポッド24aは管路13aを介して個別回収管路11aに接続されており、プリディスペンスポッド24bは管路13bを介して個別回収管路11bに接続されていることから、プリディスペンスポッド24a、24bが共通回収管路12と接続されている場合に比べ、大気解放されたプリディスペンスポッド24a、24bから気体や処理液が噴出することを効果的に防止することが可能となる。
【0043】
さらに、タワー1における最下部に配設された処理ユニットBの管路13bには、個別回収管路11bに対してこの管路13bを介して接続され、個別回収管路11bの圧力を測定する圧力計19が配設されている。このため、何らかの原因で共通回収管路12内の圧力が上昇した場合には、この圧力の上昇を圧力計19により検出することができる。従って、大気解放されたカップ22a、22bから気体や処理液が噴出して半導体ウエハ100の処理に影響が生じた可能性がある場合には、その現象の発生を認識することが可能となる。
【0044】
なお、共通回収管路12内の圧力が上昇した場合には、タワー1における最下部に配設された処理ユニットBにおける個別回収管路11b内の圧力が最も高くなることから、個別回収管路11bの圧力を検出する圧力計19を配設すれば、処理ユニットAにおける個別回収管路11a内の圧力を検出する必要はない。
【0045】
また、上記と同様、タワー2を構成する処理ユニットCおよび処理ユニットDにおいても、搬送アームによる半導体ウエハ100の搬送の都合上、処理ユニットCにおいてSPMによる処理工程終了後に温水による温水洗浄工程を実行しているときに、処理ユニットDにおいてはSPMによる処理工程が実行されることから、処理ユニットCにおける個別回収管路31cを流下した温水と処理ユニットDにおける個別回収管路31dを流下したSPMが共通回収管路32において混合される。このため、共通回収管路32内において気体が発生し、共通回収管路32内の圧力が上昇する。
【0046】
この場合においても、タワー2においては、共通回収管路32と処理ユニットCにおける排気部43cとが圧抜き管路40により接続されていることから、この圧抜き管路40により共通回収管路32内に発生した気体を排気部43cに排出することができ、共通回収管路32内の圧力の上昇を防止することができる。このとき、圧抜き管路40は、共通回収管路32を、タワー2における最上部に配置された処理ユニットCの排気部43cに接続していることから、多量の気体が発生して共通回収管路32内の圧力が極めて高くなった場合においても、排気部43aに気体や処理液が高圧で噴出することを防止することが可能となる。
【0047】
このため、処理ユニットCにおける個別回収管路31cを流下した温水と処理ユニットDにおける個別回収管路31dを流下したSPMが共通回収管路32において混合され、共通回収管路32内において気体が発生した場合においても、大気解放されたカップ42c、42dから気体や処理液が噴出して半導体ウエハ100の処理に悪影響を及ぼすことを防止することが可能となる。
【0048】
また、プリディスペンスポッド44cは管路33cを介して個別回収管路31cに接続されており、プリディスペンスポッド44dは管路33dを介して個別回収管路31dに接続されていることから、プリディスペンスポッド44c、44dが共通回収管路32と接続されている場合に比べ、大気解放されたプリディスペンスポッド44c、44dから気体や処理液が噴出することを効果的に防止することが可能となる。
【0049】
さらに、タワー2における最下部に配設された処理ユニットDの管路33cには、個別回収管路31dに対してこの管路33dを介して接続され、個別回収管路31dの圧力を測定する圧力計39が配設されている。このため、何らかの原因で共通回収管路32内の圧力が上昇した場合には、この圧力の上昇を圧力計39により検出することができる。従って、大気解放されたカップ42c、42dから気体や処理液が噴出して半導体ウエハ100の処理に影響が生じた可能性がある場合には、その現象の発生を認識することが可能となる。
【0050】
そして、処理ユニットAおよび処理ユニットBからなるタワー1と処理ユニットCおよび処理ユニットDからなるタワー2に対して、各々、共通回収管路12、32と圧抜き管路20、40とを配設することから、これらのタワー1、2からの発熱反応が生じて気体を発生する複数の処理液の混合の可能性を低下させて、気体の発生による圧力上昇の可能性をより低下させることが可能となる。
【0051】
なお、上述した実施形態においては、
図2(a)に示すように、上下に重畳する状態で配置された2個の処理ユニットA、Bからなるタワー1と、上下に重畳する状態で配置された2個の処理ユニットC,Dからなるタワー2とを備えた基板処理装置にこの発明を適用した場合について説明した。しかしながら、この発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図2(b)に示すように、上下に重畳する状態で配置された3個の処理ユニットA、B、Eからなるタワー1と、上下に重畳する状態で配置された3個の処理ユニットC,D、Fからなるタワー2とを備えた基板処理装置にこの発明を適用してもよい。この場合においては、圧抜き管路は、共通回収管路と最上部に配置された処理ユニットA、Cにおける排気部とを接続すればよい。また、圧力計は、最下部に配置された処理ユニットE、Fにおける個別回収管路の圧力を測定するようにすればよい。
【0052】
また、上述した実施形態においては、処理ユニットAにおける個別回収管路11aと処理ユニットBにおける個別回収管路11bとを、直接、共通回収管路12に接続するとともに、処理ユニットCにおける個別回収管路31cと処理ユニットDにおける個別回収管路31cとを、直接、共通回収管路32に接続している。しかしながら、個別回収管路11aと個別回収管路11bとを、混合用のボックス等を介して共通回収管路12に接続し、また、個別回収管路31cと個別回収管路31dとを、混合用のボックス等を介して共通回収管路32に接続するようにしてもよい。
【0053】
さらに、上述した実施形態においては、個別回収管路11bの圧力を測定するために圧力計19を、また、個別回収管路31dの圧力を測定するために圧力計39を使用しているが、圧力計19、39にかえて流量計を使用し、この流量計により測定した気体の流量に基づいて個別回収管路11b、31dの圧力を測定するようにしてもよい。
【0054】
なお、上述した実施形態で使用した薬液は一例であり、他の薬液を用いることもできる。この発明は、混合されたときに発熱反応が生じて気体を発生する処理液を用いる場合に効果を奏する。例えば、純水や温水に換えて他の薬液成分を含む処理液によって洗浄処理が行われてもよい。他の薬液成分とは、塩酸、炭酸、過酸化水素水、オゾンなどの酸系薬液、アンモニアなどのアルカリ性薬液を含む。