(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列方向に配列された複数の収納部を挿脱位置に対して前記配列方向へ相対移動させることで前記挿脱位置へ位置決めした、前記複数の収納部のうちの一の収納部に対する部品載置用のパレットの挿脱を可能とするパレット交換機をコンピューターに制御させて、前記収納部から引き出して部品実装に用いる前記パレットを前記コンピューターに交換させるパレット交換制御プログラムであって、
隣接する2個以上の前記収納部のうち一部の前記収納部に前記パレットを収納して残りの前記収納部には前記パレットを収納しない初期収納状態を設定する工程と、
次に引き出される前記パレットを収納する前記収納部を前記挿脱位置へ位置決めして前記パレットの引き出しに備える引出準備動作と、引き出し中の前記パレットが部品実装に用いられている間に、前記パレットが収納されておらず引き出し中の前記パレットが次に収納される前記収納部を前記挿脱位置へ位置決めして前記パレットの挿入に備える挿入準備動作とを、前記初期収納状態から交互に実行する工程と
を、前記コンピューターに実行させ、
引き出し中の前記パレットが引き出しの際に収納されていた前記収納部よりも、次に使用される予定の前記パレットが収納されている前記収納部に近い前記収納部を、前記挿脱位置に位置決めする前記挿入準備動作を前記コンピューターに実行させることを特徴とするパレット交換制御プログラム。
次に使用される予定の前記パレットが収納されている前記収納部に隣接する前記収納部を、前記挿脱位置に位置決めする前記挿入準備動作を前記コンピューターに実行させる請求項1に記載のパレット交換制御プログラム。
部品実装が終了すると、前記複数の収納部のうちの少なくとも一部の前記収納部への前記パレットの収納状態を、前記初期収納状態と同じに戻す工程を、前記コンピューターにさらに実行させる請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパレット交換制御プログラム。
部品実装が終了すると、前記複数の収納部のうちの少なくとも一部の前記収納部への前記パレットの収納状態を、次に実行する部品実装に応じて変更する工程を、前記コンピューターにさらに実行させる請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパレット交換制御プログラム。
配列方向に配列された複数の収納部を挿脱位置に対して前記配列方向へ相対移動させることで前記挿脱位置へ位置決めした、前記複数の収納部のうちの一の収納部に対する部品載置用のパレットの挿脱を可能とするパレット交換機を用いて、前記収納部から引き出して部品実装に用いる前記パレットを交換するパレット交換方法であって、
次に引き出される前記パレットを収納する前記収納部を前記挿脱位置へ位置決めして前記パレットの引き出しに備える引出準備動作と、引き出し中の前記パレットが部品実装に用いられている間に、前記パレットが収納されておらず引き出し中の前記パレットが次に収納される前記収納部を前記挿脱位置へ位置決めして前記パレットの挿入に備える挿入準備動作とを、隣接する2個以上の前記収納部のうち一部の前記収納部に前記パレットを収納して残りの前記収納部には前記パレットを収納しない初期収納状態から交互に実行する工程を備え、
引き出し中の前記パレットが引き出しの際に収納されていた前記収納部よりも、次に使用される予定の前記パレットが収納されている前記収納部に近い前記収納部を、前記挿脱位置に位置決めする前記挿入準備動作を実行することを特徴とするパレット交換方法。
配列方向に配列された複数の収納部を挿脱位置に対して前記配列方向へ相対移動させることで前記挿脱位置へ位置決めした、前記複数の収納部のうちの一の収納部に対する部品載置用のパレットの挿脱を可能とするパレット交換機を備え、前記パレット交換機の前記収納部から引き出して部品実装に用いる前記パレットを交換しつつ部品実装を実行する部品実装装置であって、
次に引き出される前記パレットを収納する前記収納部を前記挿脱位置へ位置決めして前記パレットの引き出しに備える引出準備動作と、引き出し中の前記パレットが部品実装に用いられている間に、前記パレットが収納されておらず引き出し中の前記パレットが次に収納される前記収納部を前記挿脱位置へ位置決めして前記パレットの挿入に備える挿入準備動作とを、隣接する2個以上の前記収納部のうち一部の前記収納部に前記パレットを収納して残りの前記収納部には前記パレットを収納しない初期収納状態から交互に実行する制御部をさらに備え、
前記制御部は、引き出し中の前記パレットが引き出しの際に収納されていた前記収納部よりも、次に使用される予定の前記パレットが収納されている前記収納部に近い前記収納部を、前記挿脱位置に位置決めする前記挿入準備動作を実行することを特徴とする部品実装装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
つまり、上記の部品実装装置では、パレット保持部が対向する位置がパレットの挿脱を行う挿脱位置となっており、パレット保持部を移動させることによって、挿脱位置に位置する収納部(パレット収納部)を複数の収納部の間で切り換えることが可能となっている。かかる部品実装装置では、次のようにして、部品実装で使用するパレットを交換することができる。
【0005】
まず、部品実装で使用された交換前のパレットが元々収納されていた収納部を挿脱位置に位置決めして、交換前のパレットを元々の収納部へ挿入する(すなわち、戻す)。続いて、次に部品実装に使用する交換後のパレットが収納されている収納部を挿脱位置に位置決めして、交換後のパレットを収納部から引き出す。これによって、交換前のパレットから交換後のパレットへ、部品実装で使用するパレットを交換することができる。
【0006】
ただし、交換前のパレットが元々収納されていた収納部と、交換後のパレットが収納されている収納部とが離れていると、これらの収納部の間で挿脱位置を変更するために要する時間によって、パレットの交換が速やかに実行できない場合があった。
【0007】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、部品載置用のパレットを収納可能な複数の収納部を配列したパレット交換機によって、部品実装に使用するパレットの交換を速やかに実行可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかるパレット交換制御プログラムは、配列方向に配列された複数の収納部を挿脱位置に対して配列方向へ相対移動させることで挿脱位置へ位置決めした、複数の収納部のうちの一の収納部に対する部品載置用のパレットの挿脱を可能とするパレット交換機をコンピューターに制御させて、収納部から引き出して部品実装に用いるパレットをコンピューターに交換させるパレット交換制御プログラムであって、上記目的を達成するために、隣接する2個以上の収納部のうち一部の収納部にパレットを収納して残りの収納部にはパレットを収納しない初期収納状態を設定する工程と、次に引き出されるパレットを収納する収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの引き出しに備える引出準備動作と、
引き出し中のパレットが部品実装に用いられている間に、パレットが収納されておらず引き出し中のパレットが次に収納される収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの挿入に備える挿入準備動作とを、初期収納状態から交互に実行する工程とを、コンピューターに実行させ、引き出し中のパレットが引き出しの際に収納されていた収納部よりも、次に使用される予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部を、挿脱位置に位置決めする挿入準備動作をコンピューターに実行させることを特徴としている。
【0009】
この発明にかかるプログラム記録媒体は、上記目的を達成するために、上記のパレット交換制御プログラムを、コンピューターによって読み出し可能に記録することを特徴としている。
【0010】
この発明にかかるプログラム作成装置は、上記目的を達成するために、上記のパレット交換制御プログラムを作成することを特徴としている。
【0011】
この発明にかかるパレット交換方法は、配列方向に配列された複数の収納部を挿脱位置に対して配列方向へ相対移動させることで挿脱位置へ位置決めした、複数の収納部のうちの一の収納部に対する部品載置用のパレットの挿脱を可能とするパレット交換機を用いて、収納部から引き出して部品実装に用いるパレットを交換するパレット交換方法であって、上記目的を達成するために、次に引き出されるパレットを収納する収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの引き出しに備える引出準備動作と、
引き出し中のパレットが部品実装に用いられている間に、パレットが収納されておらず引き出し中のパレットが次に収納される収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの挿入に備える挿入準備動作とを、隣接する2個以上の収納部のうち一部の収納部にパレットを収納して残りの収納部にはパレットを収納しない初期収納状態から交互に実行する工程を備え、引き出し中のパレットが引き出しの際に収納されていた収納部よりも、次に使用される予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部を、挿脱位置に位置決めする挿入準備動作を実行することを特徴としている。
【0012】
この発明にかかる部品実装装置は、配列方向に配列された複数の収納部を挿脱位置に対して配列方向へ相対移動させることで挿脱位置へ位置決めした、複数の収納部のうちの一の収納部に対する部品載置用のパレットの挿脱を可能とするパレット交換機を備え、パレット交換機の収納部から引き出して部品実装に用いるパレットを交換しつつ部品実装を実行する部品実装装置であって、上記目的を達成するために、次に引き出されるパレットを収納する収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの引き出しに備える引出準備動作と、
引き出し中のパレットが部品実装に用いられている間に、パレットが収納されておらず引き出し中のパレットが次に収納される収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの挿入に備える挿入準備動作とを、隣接する2個以上の収納部のうち一部の収納部にパレットを収納して残りの収納部にはパレットを収納しない初期収納状態から交互に実行する制御部をさらに備え、制御部は、引き出し中のパレットが引き出しの際に収納されていた収納部よりも、次に使用される予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部を、挿脱位置に位置決めする挿入準備動作を実行することを特徴としている。
【0013】
このように構成された発明(パレット交換制御プログラム、プログラム記録媒体、プログラム作成装置、パレット交換方法、部品実装装置、パレット交換機の段取方法)によれば、パレット交換機は、次に引き出されるパレットを収納する収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの引き出しに備える引出準備動作と、引き出し中のパレットが次に収納される収納部を挿脱位置へ位置決めしてパレットの挿入に備える挿入準備動作とを交互に実行する。したがって、部品実装の開始に際しては、引出準備動作により挿脱位置へ位置決めされた収納部から、部品実装に使用するパレットが引き出される。また、部品実装に使用するパレットの交換に際しては、挿入準備動作により挿脱位置へ位置決めされた収納部へ、部品実装で使用された交換前のパレット(引き出し中のパレット)が挿入された後に、引出準備動作が実行されて、次に部品実装に使用する交換後のパレット(次に引き出されるパレット)が収納されている収納部が挿脱位置に位置決めされる。そして、挿脱位置へ位置決めされた収納部から交換後のパレットが引き出されて、部品実装に使用するパレットが交換される。
【0014】
このような構成では、挿入準備動作に続いて引出準備動作を実行することで、引き出し中のパレットを挿入する収納部と、次にパレットが引き出される収納部との間で挿脱位置を相対移動させて、パレットの交換が実行される。したがって、挿入準備動作で挿脱位置に位置決めされる収納部と、続く引出準備動作で挿脱位置に位置決めされる収納部との距離が、パレット交換に要する時間に影響する。そこで、かかる距離を抑制するために、次のような構成が設けられている。
【0015】
すなわち、この発明では、隣接する2個以上の収納部のうち一部の収納部にパレットを収納して残りの収納部にはパレットを収納しない初期収納状態から、引出準備動作と挿入準備動作が交互に実行される。換言すれば、引出準備動作や挿入準備動作が開始される前の初期収納状態においては、隣接する2個以上の収納部のうちの一部の収納部が空いている。そのため、パレット交換のために、引き出し中のパレットを収納部に挿入するにあたっては、引き出し中のパレットが元々収納されていた収納部とは別の収納部が空いている。したがって、引き出し中のパレットを、元々の収納部とは別の収納部に挿入することができる。そこで、この発明は、引き出し中のパレットが引き出しの際に収納されていた収納部(元々の収納部)よりも、次に使用される予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部(別の収納部)を、挿脱位置に位置決めする挿入準備動作を実行可能に構成されている。このような構成では、挿入準備動作で挿脱位置に位置決めされる収納部と、続く引出準備動作で挿脱位置に位置決めされる収納部との距離を抑制することができる。その結果、部品実装に使用するパレットの交換を速やかに実行することが可能となっている。
【0016】
なお、挿入準備動作を行うに際して、パレットの元々の収納部よりも、次に使用予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部に空きがない状況も起こり得る。このような場合には、挿入準備動作において、パレットの元々の収納部を挿脱位置に位置決めしても良い。つまり、複数回に渡ってパレット交換を行うような場合には、複数回の挿入準備動作が繰り返し実行される。この際、パレットの元々の収納部よりも、次に使用予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部を挿脱位置に位置決めする挿入準備動作が、複数回の挿入準備動作のうちの少なくとも一部にあれば、パレット交換の速やかな実行を図ることができる。
【0017】
また、次に使用される予定のパレットが収納されている収納部に隣接する収納部を、挿脱位置に位置決めする挿入準備動作をコンピューターに実行させるように構成しても良い。このような構成では、挿入準備動作で挿脱位置に位置決めされる収納部と、続く引出準備動作で挿脱位置に位置決めされる収納部との距離を、隣接する収納部の間隔に抑えることができ、パレット交換をより速やかに実行することが可能となる。
【0018】
また、初期収納状態では、所定個数の収納部おきに、パレットを収納しない収納部が設けられているように構成しても良い。このような構成では、空きの収納部が均等に振り分けられる。そのため、挿入準備動作を行うに際して、パレットの元々の収納部よりも、次に使用予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部に空きがないといった上述の状況の発生を抑制することができ、パレット交換の速やかな実行を効果的に図ることができる。
【0019】
なお、パレットを元々の収納部とは別の収納部に挿入してパレット交換を行う場合、部品実装の終了段階では、いずれのパレットがいずれの収納部に収納されているのかを把握することが難しく、次の部品実装のための段取が作業者にとって大きな負担となることが想定される。そこで、部品実装が終了すると、複数の収納部のうちの少なくとも一部の収納部へのパレットの収納状態を、初期収納状態と同じに戻す工程を、コンピューターにさらに実行させるように構成しても良い。あるいは、部品実装が終了すると、複数の収納部のうちの少なくとも一部の収納部へのパレットの収納状態を、次に実行する部品実装に応じて変更する工程を、コンピューターにさらに実行させるように構成しても良い。このような構成では、次の部品実装のための段取に要する作業者の負担を軽減することができる。
【0020】
また、この発明にかかるパレット交換機の段取方法は、配列方向に並ぶ複数の収納部を挿脱位置に対して配列方向へ相対移動させることで挿脱位置へ位置決めした、複数の収納部のうちの一の収納部に対する部品載置用のパレットの挿脱を可能とするパレット交換機の段取方法であって、上記目的を達成するために、隣接する2個以上の収納部のうち一部の収納部にパレットを収納して残りの収納部にはパレットを収納しないことを特徴としている。
【0021】
このように構成された発明(パレット交換機の段取方法)によれば、段取の後に実行されるパレット交換は、隣接する2個以上の収納部のうち一部の収納部にパレットを収納して残りの収納部にはパレットを収納しない初期収納状態から実行される。そのため、パレット交換のために、引き出し中のパレットを収納部に挿入するにあたっては、当該パレットを元々の収納部とは別の収納部に挿入することができる。したがって、引き出し中のパレットが引き出しの際に収納されていた収納部(元々の収納部)よりも、次に使用される予定のパレットが収納されている収納部に近い収納部(別の収納部)を、挿脱位置に位置決めする挿入準備動作を実行することが可能となる。その結果、上述のように、部品実装に使用するパレットの交換を速やかに実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、この発明によれば、部品載置用のパレットを収納可能な複数の収納部を配列したパレット交換機によって、部品実装に使用するパレットの交換を速やかに実行することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明を適用可能な部品実装装置の一例を模式的に示す平面図である。
図1および以下の図では、X方向(基板搬送方向)、Y方向(前後方向)およびZ方向(鉛直方向)を示す三次元の直交座標系を適宜示すこととする。表面実装機1は、基板搬送機構2によって搬入した基板10に対して、ヘッドユニット3によって部品供給部4、5からの供給部品を実装する概略構成を備える。
【0025】
表面実装装置1では、基板搬送方向Xへ基板10を搬送する基板搬送機構2が基台11上に配置されている。基板搬送機構2は、基板搬送方向Xに延設された2本のコンベア21を幅方向Yへ間隔を空けて配置した構成を具備する。2本のコンベア21は、基板搬送方向Xの上流側(−X側)から搬入された基板10を基板搬送方向Xの下流側(+X側)へ搬送して、所定の実装作業位置(
図1の基板10の位置)で停止させる。なお、実装作業位置で停止した基板10は、図示を省略する保持機構によって実装作業位置に固定される。さらに、2本のコンベア21は、実装作業位置で部品実装を受けた基板10を、実装作業位置から基板搬送方向Xの下流側(+X側)へ搬出する。
【0026】
実装作業位置に固定された基板10への部品実装は、ヘッドユニット3が部品供給部4、5から供給される部品を基板10へ移載することで実行される。ヘッドユニット3は、先端に吸着ノズルを有する複数の実装ヘッド31を基板搬送方向Xに配置した構成を具備している。そして、ヘッドユニット3は、コンベア21の上方でX方向およびY方向へ移動することで、吸着ノズルによって部品供給部4、5からの供給部品をピックアップして実装作業位置の基板10へ移載する。このようなヘッドユニット3の移動は、次のような構成によって実行される。
【0027】
つまり、基台11上には、Y方向に延びるY軸固定レール71と、Y軸サーボモーター72によって回転されるY軸ボールネジ軸73とが設けられている。ヘッドユニット支持部材74は、Y軸固定レール71に移動自在に支持されており、ヘッドユニット支持部材74に設けられたナット部75がY軸ボールネジ軸73に螺合している。また、ヘッドユニット支持部材74には、X方向に延びるX軸ガイド部材(図示省略)と、X軸サーボモーター76によって回転されるX軸ボールネジ軸77とが設けられている。ヘッドユニット3は、X軸ガイド部材に移動自在に支持されており、ヘッドユニット3に設けられたナット部(図示省略)がX軸ボールネジ軸77に螺合している。
【0028】
そして、Y軸サーボモーター72が作動すると、ヘッドユニット支持部材74に伴ってヘッドユニット3がY方向へ移動する。また、X軸サーボモーター76が動作すると、ヘッドユニット3がヘッドユニット支持部材74に対してX方向へ移動する。こうして、ヘッドユニット3は、部品供給部4、5の上方位置と実装作業位置の上方位置との間を移動して、部品のピックアップおよび移載を実行する。
【0029】
部品供給部4は、基板搬送機構2の前側(+Y側)に配置されている。部品供給部4は、複数のテープフィーダー41をX方向に並べた構成を具備する。各テープフィーダー41は、IC(Integrated Circuit)、トランジスタ、コンデンサ等の比較的小型のチップ部品を所定間隔おきに収納したテープをリールから導出する構成を具備し、各テープフィーダー41が間欠的に送り出す部品が、ヘッドユニット3によってピックアップされて、実装作業位置の基板10へ移載される。
【0030】
部品供給部5は、基板搬送機構2の後側(−Y側)に配置されている。
図1に示す例では、2個の部品供給部5がX方向に並んでいるが、これらは互いに共通する構成を具備して同様の動作を行うものであるので、以下では、基本的に1個の部品供給部5について説明を行う。部品供給部5は、例えば特開2006−198375号公報の部品供給装置と同様の構成を具備しており、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball grid array)などの比較的大型のパッケージ部品を供給する。具体的には、部品供給部5は、パレット交換機6の収納部Sと部品供給位置Lsとの間で前後方向YへパレットPを搬送するパレット搬送機構51(パレット引出機構)を具備している。そして、部品が載置されたパレットPをパレット搬送機構51により収納部Sから部品供給位置Lsまで引き出すことで、部品の供給が実行される。つまり、部品供給位置Lsに引き出されたパレットP上の部品がヘッドユニット3によってピックアップされて、実装作業位置の基板10へ移載される。
【0031】
ちなみに、パレットPには、トレイ50を介して部品が載置される。このトレイ50には、複数のパッケージ部品が整列されており、パレットPは、単一のあるいは複数のトレイ50を磁力等によって固定した状態で支持する構成を具備する。そして、この実施形態では、パレット交換機6によって、部品供給位置Lsへ供給するパレットPを交換することが可能となっている。
【0032】
図2は、
図1に例示した部品実装装置が備えるパレット交換機の構成および動作の一例を模式的に示した図である。同図に示すように、パレット交換機6は、それぞれがパレットPを収納可能な複数の収納部Sを鉛直方向Zに積層した交換機本体61を有する。なお、同図では、複数の収納部Sを区別するために、符号Sに「1」〜「10」までの整数が付されている(収納部S1〜S10)。収納部S1〜S10のそれぞれは、パレットPを水平に保持した状態で収納するものであり、前後方向Yの前側(+Y側)へ向く開口を介してパレットPを挿脱することができる。さらに、パレット交換機6は、交換機本体61を昇降させる昇降部62を有する。したがって、昇降部62によって複数の収納部S1〜S10をパレット搬送機構51に対して鉛直方向Zへ相対移動させることで、複数の収納部S1〜S10のうちの1個を、パレット搬送機構51との間でパレットPの受け渡しが可能となる挿脱位置Lに位置決めすることができる。
【0033】
続いて、パレット交換機6の動作の一例について、
図2を用いて説明する。
図2では、部品供給位置Lsに引き出されていたパレットPを収納部S1に戻す一方、収納部S3に収納されているパレットPを部品供給位置Lsに引き出すことで、パレットPを交換する動作が例示されている。パレットPの交換に際しては、引き出し中のパレットPの収納部Sへの挿入に準備する挿入準備動作が実行される。つまり、
図2の「挿入準備動作」の欄に示すように、引き出し中のパレットPの挿入先となる収納部S1が挿脱位置Lに位置決めされる。続いて、
図2の「挿入動作」の欄に示すように、挿脱位置Lに位置決めされた収納部S1に対して、パレット搬送機構51がパレットPを挿入する。この挿入動作が完了すると、収納部SからのパレットPの引き出しに準備する引出準備動作が実行される。つまり、
図2の「引出準備動作」の欄に示すように、次に引き出されるパレットPが収納された収納部S3が挿脱位置Lに位置決めされる。続いて、
図2の「引出動作」に示すように、挿脱位置Lに位置決めされた収納部S3から、パレット搬送機構51がパレットPを引き出す。こうして、パレットPの交換が完了する。なお、
図2では、収納部S1、S3の間におけるパレット交換を例示したが、これらと異なる収納部Sの間においても同様にパレット交換を実行できる。
【0034】
図3は、
図1に例示した部品実装装置が備える電気的構成の一例を模式的に示したブロック図である。なお、
図3では。部品実装装置1が備える電気的構成の他に、ホストコンピューター200や記録媒体300等も併記されている。部品実装装置1は、当該装置1の全体を統括的に制御するマシン制御部100を備える。マシン制御部100は、CPU(Central Processing Unit)やメモリー等で構成されたコンピューターであり、基板搬送機構2、ヘッドユニット3、部品供給部4、5等の動作を制御することで、上述した部品実装やパレット交換等を実行する。また、表面実装装置1は、部品実装やパレット交換等をマシン制御部100に実行させるプログラム(例えば、制御プログラム400)や、各種データを記憶する記憶部110を具備する。さらに、表面実装装置1は、マシン制御部100とのユーザーインターフェースとして機能するディスプレイ120を有する。ディスプレイ120としては、作業者への表示機能のみならず、タッチパネル方式により作業者からの入力を受け付ける入力機能も併せ持つものを用いることができる。
【0035】
また、
図3では、部品実装装置1にLAN(Local Area Network)を介して接続されるホストコンピューター200を具備する。ホストコンピューター200は、より上位から部品実装装置1を制御することで、
図3に示されない他の装置と部品実装装置1との連携を取る他、作業者とのインターフェースとしても機能する。
【0036】
そして、この実施形態では、部品実装装置1のマシン制御部100は、コンピューターによって読み出し可能に記録媒体300に記録されて提供される制御プログラム400に基づいて、上述のパレット交換を実行する。記録媒体300としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の種々のものを用いることができる。なお、ここでは、制御プログラム400は記録媒体300に記録されて提供されると説明したが、制御プログラム400は記録媒体300を介さずにダウンロードによって提供されても構わない。
【0037】
図4は、制御プログラムに基づいて実行されるパレット交換の一例を示すフローチャートである。
図5は、
図4のフローチャートに従って実行される動作の一例を示す動作説明図である。なお、
図4のフローチャートは、制御プログラム400に組み込まれており、マシン制御部100によって実行される。また、
図5では、複数のパレットPを区別するために、符号Pに「a」〜「e」までのアルファベットが付されている(パレットPa〜Pe)。以下では、
図4、
図5を用いて、部品実装の実行中に実行されるパレット交換について説明する。
【0038】
部品実装を開始するにあたっては、マシン制御部100が初期収納状態を設定して(ステップS101)、ディスプレイ120あるいはホストコンピューター200に表示する(ステップS102)。初期収納状態は、部品実装が開始される前におけるパレット交換機6の各収納部Sに対するパレットPの収納状態を示すものである。そして、部品実装を開始する前に、作業者は、初期収納状態が示すとおりに収納部SにパレットPを収納して、パレット交換機6の段取を実行する(ステップS103)。この実施形態では、初期収納状態は、隣接する複数の収納部S1〜S10のうち一部の収納部SにパレットPを収納して残りの収納部SにはパレットPを収納しない状態である。具体的には、初期収納状態では、10個の収納部S1〜S10のうち、1個おきに5個の収納部S1、S3、S5、S7、S9にパレットPa、Pb、Pc、Pd、Peが収納されて、残りの5個の収納部S2、S4、S6、S8、S9は空きとなっている(
図5の「動作A」の欄参照)。これによって、パレットPa、Pb、Pc、Pd、Peが収納された収納部S1、S3、S5、S7、S9に隣接する収納部S2、S4、S6、S8、S9が空くこととなる。
【0039】
パレットPの段取が完了すると、作業者はその旨を、ディスプレイ120あるいはホストコンピューター200を介してマシン制御部100に入力する。これを受けて、マシン制御部100は、部品実装の開始に際して、部品実装で最初に使用されるパレットPaについて引出準備動作を実行する(ステップS104)。これによって、
図5の「動作A」の欄に示すように、パレットPaを収納する収納部S1が挿脱位置Lに位置決めされる。引出準備動作が完了すると、
図5の「動作B」の欄に示すようにパレットPaを収納部S1から引き出す引出動作が実行される(ステップS105)。そして、パレットPaが部品供給位置Lsまで引き出されると、マシン制御部100は部品実装を開始する(ステップS106)。
【0040】
ステップS107では、パレットPaの使用中に、挿入準備動作が実行される(ステップS107)。ここでの挿入準備動作は、引き出し中(換言すれば、部品実装に使用中)のパレットPaが次のパレット交換に伴って収納部Sに挿入されるのに備える動作である。ちなみに、パレットPaは、元々の収納部S1に挿入されるのではなく、収納部S1に隣接する空きの収納部S2に戻される。そこで、
図5の「動作C」の欄に示すように、ステップS107の挿入準備動作では、収納部S2が挿脱位置Lに位置決めされる。
【0041】
ステップS108では、部品実装に使用するパレットPの交換が必要となったか否かが判断される。そして、パレット交換が必要となった場合(ステップS108で「YES」の場合)には、ステップS109の挿入動作が実行されて、予め挿脱位置Lに位置決めされた収納部S2にパレットPaが挿入される(
図5の「動作D」の欄)。続くステップS110では、パレットPaに代えて部品供給位置Lsに送り出されるパレットPbについて、引出準備動作が実行される。これによって、
図5の「動作E」の欄に示すように、パレットPbが収納された収納部S3が挿脱位置Lに位置決めされる。そして、ステップS111では引出動作が実行されて、
図5の「動作F」の欄に示すように、パレットPbが収納部S3から部品供給位置Lsまで引き出される。
【0042】
つまり、この実施形態では、パレット交換前のパレットPaを、元々の収納部S1よりも、パレット交換後のパレットPbが収納されている収納部S3に近い収納部S2に収納することで、パレットPa、Pbを交換する。その結果、交換前のパレットPaを挿入してから、交換後のパレットPbを挿脱位置Lに位置決めするために、ステップS110で収納部S1〜S10を移動させる距離lを短く抑えることが可能となっている。
【0043】
ステップS112では、現在実行中の部品実装で使用予定の全パレットPa〜Peについて交換が完了したかが判断される。
図5に示す例では、パレットPbに続いてパレットPc、Pd、Peがこの順で部品実装に使用される予定であるので、ステップS112で「NO」と判断されて、ステップS107に戻り、引き出し中のパレットPbについて挿入準備動作が実行される。ちなみに、上述のパレットPa、Pbの交換と同様に、パレットPb、Pcの交換も実行される。つまり、パレットPbは、元々の収納部S3に挿入されるのではなく、交換後のパレットPcが収納されている収納部S5に隣接する空きの収納部S4に挿入される。そこで、ステップS107の挿入準備動作では、収納部S4が挿脱位置Lに位置決めされる。そして、ステップS108でパレット交換が必要と判断されると、ステップS109の挿入動作が実行されて、パレットPbが収納部S4に挿入される。続くステップS110では、パレットPcが収納される収納部S5が挿脱位置Lに位置決めされ、ステップS111では、パレットPcが収納部S5から引き出される。こうして、パレットPb、Pcの交換が実行される。
【0044】
さらに、ステップS107〜S112が繰り返されて、パレットPc、Pdの交換およびパレットPd、Peの交換が実行される。ちなみに、上述のパレットPa、Pbの交換やパレットPb、Pcの交換と同様に、パレットPc、Pdの交換についても、パレットPcを元々の収納部S5に挿入するのではなく、交換後のパレットPdが収納されている収納部S7に隣接する空きの収納部S6に収納し、パレットPd、Peの交換についても、パレットPdを元々の収納部S7に挿入するのではなく、交換後のパレットPeが収納されている収納部S9に隣接する収納部S8に収納する。これによって、ステップS110の引出準備動作で収納部Sを移動させる距離lを短く抑えることができる。
【0045】
ステップS112では、全パレットPa〜Peについて交換が完了したと判断されると(「YES」と判断されると)、ステップS113に進んで、部品実装が終了したか否かが判産される。そして、部品実装が終了すると(ステップS113で「YES」)、ステップS114に進んで、収納部Sに対するパレットPの収納状態を、初期収納状態に戻す(
図6)。
【0046】
図6は、パレットの収納状態を初期収納状態に戻す動作の一例を模式的に示す図である。同図の「戻す前」の欄では、部品実装を終えた時点での収納状態が示され、同図の「戻した後」の欄では、初期収納状態に戻した後の収納状態が示されている。なお、
図6では、全ての収納部Sについて初期収納状態に戻すのではなく、一部の収納部S(S1〜S6)について初期収納状態に戻した場合が例示されている。初期収納状態に戻す具体的な動作は、パレット交換機6とパレット搬送機構50との協働によって実行することができる。
【0047】
以上に説明したように、この実施形態によれば、パレット交換機6は、次に引き出されるパレットPを収納する収納部Sを挿脱位置Lへ位置決めしてパレットPの引き出しに備える引出準備動作と、引き出し中のパレットPが次に収納される収納部Sを挿脱位置Lへ位置決めしてパレットPの挿入に備える挿入準備動作とを交互に実行する。したがって、部品実装の開始に際しては、引出準備動作により挿脱位置Lへ位置決めされた収納部Sから、部品実装に使用するパレットPが引き出される(例えば、動作A、B)。また、部品実装に使用するパレットPの交換に際しては、挿入準備動作により挿脱位置Lへ位置決めされた収納部Sへ、部品実装で使用された交換前のパレットP(引き出し中のパレット)が挿入された後に(例えば、動作C、D)、引出準備動作が実行されて、次に部品実装に使用する交換後のパレットP(次に引き出されるパレット)が収納されている収納部Sが挿脱位置Lに位置決めされる(例えば、動作E)。そして、挿脱位置Lへ位置決めされた収納部Sから交換後のパレットPが引き出されて(例えば、動作F)、部品実装に使用するパレットPが交換される。
【0048】
このような構成では、挿入準備動作に続いて引出準備動作を実行することで、引き出し中のパレットPを挿入する収納部Sと、次にパレットPが引き出される収納部Sとの間で挿脱位置Lを相対移動させて、パレットPの交換が実行される。したがって、挿入準備動作で挿脱位置Lに位置決めされる収納部Sと、続く引出準備動作で挿脱位置Lに位置決めされる収納部Sとの距離が、パレット交換に要する時間に影響する。そこで、かかる距離を抑制するために、次のような構成が設けられている。
【0049】
すなわち、隣接する複数の収納部Sのうち一部の収納部SにパレットPを収納して残りの収納部SにはパレットPを収納しない初期収納状態から、引出準備動作と挿入準備動作が交互に実行される。換言すれば、引出準備動作や挿入準備動作が開始される前の初期収納状態においては、一部の収納部Sが空いている。そのため、パレット交換のために、引き出し中のパレットPを収納部Sに挿入するにあたっては、引き出し中のパレットPが元々収納されていた収納部Sとは別の収納部Sが空いている。したがって、引き出し中のパレットPを、元々の収納部Sとは別の収納部Sに挿入することができる。そこで、この実施形態では、引き出し中のパレットPの元々の収納部Sよりも、次に使用予定のパレットPが収納されている収納部Sに近い収納部Sを、挿脱位置Lに位置決めする挿入準備動作が実行可能である。このような構成では、挿入準備動作で挿脱位置Lに位置決めされる収納部Sと、続く引出準備動作で挿脱位置Lに位置決めされる収納部Sとの距離lを抑制することができる。その結果、部品実装に使用するパレットPの交換を速やかに実行することが可能となっている。
【0050】
なお、この実施形態で示した例とは異なり、挿入準備動作を行うに際して、パレットPの元々の収納部Sよりも、次に使用予定のパレットPが収納されている収納部Sに近い収納部Sに空きがない状況も起こり得る。このような場合には、挿入準備動作において、パレットPの元々の収納部Sを挿脱位置Lに位置決めしても良い。つまり、複数回に渡ってパレット交換を行うような場合には、複数回の挿入準備動作が繰り返し実行される。この際、パレットPの元々の収納部Sよりも、次に使用予定のパレットPが収納されている収納部Sに近い収納部Sを挿脱位置Lに位置決めする挿入準備動作が、複数回の挿入準備動作のうちの少なくとも一部にあれば、パレット交換の速やかな実行を図ることができる。
【0051】
なお、パレット交換に際して、交換後のパレットPを挿脱位置Lに位置決めするために収納部Sを移動させる移動時間は、パレットPで供給されるべき部品を部品実装に使用することができず、このことが部品実装の手順を制約する要因となっていた。これに対して、この実施形態では、パレット交換に際して、交換後のパレットPを挿脱位置Lに位置決めするための収納部Sの移動距離lが短く抑えられており、収納部Sの移動時間が短縮化されるため、部品実装の手順に対する制約が緩和される。その結果、部品実装の自由度が高まり、さらに言えば、部品実装をマシン制御部100に実行させるための実装プログラムの作成が容易になる。
【0052】
また、この実施形態では、次に使用予定のパレットPが収納されている収納部Sに隣接する収納部Sを、挿脱位置Lに位置決めする挿入準備動作を実行している。このような構成では、挿入準備動作で挿脱位置Lに位置決めされる収納部Sと、続く引出準備動作で挿脱位置Lに位置決めされる収納部Sとの距離lを、隣接する収納部Sの間隔に抑えることができ、パレット交換をより速やかに実行することが可能となる。
【0053】
また、この実施形態では、初期収納状態において、所定個数(上の例では1個)の収納部Sおきに、パレットPを収納しない収納部Sが設けられている。このような構成では、空きの収納部Sが均等に振り分けられる。そのため、挿入準備動作を行うに際して、パレットPの元々の収納部Sよりも、次に使用予定のパレットPが収納されている収納部Sに近い収納部Sに空きがないといった上述の状況の発生を抑制することができ、パレット交換の速やかな実行を効果的に図ることができる。
【0054】
なお、パレットPを元々の収納部Sとは別の収納部Sに挿入してパレット交換を行う場合、部品実装の終了段階では、いずれのパレットPがいずれの収納部Sに収納されているのかを把握することが難しく、次の部品実装のための段取が作業者にとって大きな負担となることが想定される。そこで、この実施形態では、部品実装が終了すると、複数の収納部Sのうちの少なくとも一部の収納部SへのパレットPの収納状態を、初期収納状態と同じに戻す工程を実行している。このような構成では、次の部品実装のための段取に要する作業者の負担を軽減することができる。
【0055】
また、この実施形態では、部品実装の開始前のパレット交換機6の段取において、隣接する複数の収納部Sのうち一部の収納部SにパレットPを収納して残りの収納部SにはパレットPを収納しない。そのため、段取の後に実行される部品実装では、パレット交換のために、引き出し中のパレットPを収納部Sに挿入するにあたって、当該パレットPを元々の収納部Sとは別の収納部Sに挿入することができる。したがって、引き出し中のパレットPが引き出しの際に収納されていた収納部S(元々の収納部)よりも、次に使用予定のパレットPが収納されている収納部Sに近い収納部S(別の収納部S)を、挿脱位置Lに位置決めする挿入準備動作を実行することが可能となる。その結果、上述のように、部品実装に使用するパレットPの交換を速やかに実行することが可能となる。
【0056】
上述のように、上記実施形態では、制御プログラム400が本発明の「パレット交換制御プログラム」の一例に相当し、マシン制御部100が本発明の「コンピューター」の一例に相当し、パレット交換機6が本発明の「パレット交換機」の一例に相当し、パレットPが本発明の「パレット」の一例に相当し、収納部Sが本発明の「収納部」の一例に相当し、「鉛直方向Z」が本発明の「配列方向」の一例に相当し、挿脱位置Lが本発明の「挿脱位置」の一例に相当し、記録媒体300が本発明の「プログラム記録媒体」の一例に相当し、部品実装装置1が本発明の「部品実装装置」の一例に相当する。
【0057】
その他
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、パレット交換機6が具備する収納部Sの具体的構成や個数は、上述のものに限られず、適宜変更することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、パレット交換に際しては、交換前のパレットPを、交換後のパレットPを収納する収納部Sに隣接する収納部Sに挿入していた。しかしながら、交換前のパレットPの挿入先は、交換後のパレットPを収納する収納部Sに隣接している必要はなく、交換前のパレットPの元々の収納部Sよりと比べて、交換後のパレットPを収納する収納部Sに近ければ、本発明の効果を奏し得る。
【0059】
また、上記実施形態では、初期収納状態において、パレットPが収納される収納部Sと空きの収納部Sとが1個ずつ交互に設けられていた。しかしながら、初期収納状態においては、例えばパレットPが収納される収納部Sと空きの収納部Sとが2個ずつ交互に設けられても良く、あるいはパレットPが収納される複数の収納部Sと1個の空きの収納部Sとが交互に設けられても良い。また、初期収納状態において、空きの収納部Sが所定個数の収納部Sおきに設けられていなくても良く、空きの収納部Sがランダムに設けられても良い。
【0060】
また、上記実施形態では、部品実装が終了すると、パレット交換機6へのパレットPの収納状態を、初期収納状態へ戻していた。しかしながら、部品実装の終了時において、初期収納状態へ戻す代わりに、次に実行する部品実装に応じて、パレット交換機6へのパレットPの収納状態を変更しても良い。この際、パレット交換機Pの全収納部Sの収納状態を変更しても良く、少なくとも一部の収納部Sの収納状態を変更しても良い。このような構成では、次の部品実装のための段取に要する作業者の負担を軽減することができる。
【0061】
あるいは、部品実装の終了時点において、パレット交換機6のパレットPの収納状態を、初期収納状態や次の部品実装に応じた状態へ変更する動作を省略しても構わない。
【0062】
また、上記実施形態では特に言及しなかったが、制御プログラム400(パレット交換制御プログラム)をホストコンピューター200で作成するように構成しても良い。この場合、ホストコンピューター200が本発明の「プログラム作成装置」に相当することとなる。なお、スタンドアローンのコンピューターによって制御プログラム400を作成するように構成しても構わない。また、ホストコンピューター200やスタンドアローンのコンピューターによって実装プログラムも作成するように構成しても良い。
【0063】
なお、上記実施形態のパレット交換機6は、複数の収納部Sを移動させることで、挿脱位置Lに対して複数の収納部Sを相対移動させるものであった。しかしながら、特開2012−114324号公報に記載のように、パレット保持部を移動させて挿脱位置Lを移動させることで、挿脱位置Lに対して複数の収納部Sを相対移動させるパレット交換機6を用いて本発明を構成することもできる。