(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076157
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】焼入装置の冷却ジャケット
(51)【国際特許分類】
C21D 1/667 20060101AFI20170130BHJP
C21D 1/18 20060101ALI20170130BHJP
C21D 1/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
C21D1/667
C21D1/18 F
C21D1/00 123Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-55298(P2013-55298)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-181366(P2014-181366A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026088
【氏名又は名称】富士電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】己之上 潤二
(72)【発明者】
【氏名】増谷 有亮
【審査官】
相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−054536(JP,U)
【文献】
特開平09−111333(JP,A)
【文献】
実開平04−129506(JP,U)
【文献】
実開昭57−170814(JP,U)
【文献】
実開昭59−028549(JP,U)
【文献】
特開平10−249428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00−1/84
C21D 9/00−9/44
B21B 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電流が励起されて加熱された被加熱物に、冷却液を噴射供給する焼入装置の冷却ジャケットであって、
被加熱物に対向する部位に複数の噴射孔を有するジャケット本体と、ジャケット本体に冷却液を供給する供給管とを有し、
前記供給管の一部がジャケット本体内に配置されており、
ジャケット本体内の供給管の少なくとも側面に孔が設けてあり、
ジャケット本体内に冷却液が満たされて、各噴射孔から冷却液が噴射されることを特徴とする焼入装置の冷却ジャケット。
【請求項2】
供給管の側面に複数の孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の焼入装置の冷却ジャケット。
【請求項3】
ジャケット本体内の供給管の向きが、ジャケット本体の噴射孔の向きと一致していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼入装置の冷却ジャケット。
【請求項4】
ジャケット本体における供給管の接続部を、噴射孔を設けた部位と交差する部位に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼入装置の冷却ジャケット。
【請求項5】
前記供給管の端面に孔を設け、
前記端面の孔の総面積は、端面の面積の50%以下であり、
前記端面の孔の総面積は、側面の孔の総面積よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の焼入装置の冷却ジャケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物に向けて冷却液を噴射供給する焼入装置の冷却ジャケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波焼入装置の冷却ジャケットは、特許文献1や特許文献2に開示されているように、冷却液を冷却ジャケット内に供給し、冷却ジャケットに設けられた複数の噴射孔から噴射するように構成されている。
【0003】
図6に示す様に、特許文献1や特許文献2に開示されている冷却ジャケット80は、ジャケット本体81、背面板82、均圧板83を有する。
【0004】
ジャケット本体81は、底壁81aと、側壁81bとを有し、側壁81bにおける底壁81aとは反対側の縁によって開口81cが形成されている。底壁81aには複数の噴射孔88が形成されている。背面板82は、ジャケット本体81の開口81cを閉鎖する板状の部材である。
【0005】
背面板82には、冷却液供給管86を装着するねじ孔82aが設けてある。また、背面板82には、支柱84、85が設けられている。支柱84、85の自由端側端部は、小径で且つナット89を螺合させるねじが切ってある。背面板82は、図示しない固定手段によって、ジャケット本体81に対して密着すると共に、着脱可能に固定することができる。
【0006】
均圧板83には、冷却液を通す複数の孔83aと、支柱84、85の先端部分を挿通させる孔83bが設けられている。均圧板83の2つの孔83bに、各々支柱84、85の先端部が挿通されており、さらに支柱84、85の先端部のねじにナット89が螺合しており、均圧板83は背面板82から所定距離をおいて固定されている。
【0007】
ジャケット本体81の開口81cを背面板82で閉鎖すると、冷却ジャケット80内には内部空間79が形成される。そして、内部空間79には、均圧板83が配置される。均圧板83は、底壁81a及び背面板82と平行に配置されている。
【0008】
均圧板83は、冷却液供給管86から供給された冷却液90を、内部空間79の全領域に分散させ、各噴射孔88から略均一の圧力で冷却液92を噴射させる機能を果たしている。すなわち、特許文献1に開示されている均圧板83を設けることによって、各噴射孔88から噴射される冷却液92が均一化され、被加熱物87に対して冷却液92を略均等に噴射供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−54536号公報
【特許文献2】特開平9−111333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1や特許文献2に開示されているように冷却ジャケット80に均圧板83を設けると、各噴射孔88から噴射される冷却液92の噴射量を略均一化することができるが、ジャケット本体81内に均圧板83を設置するためには、背面板82に支柱84、85を設け、さらに支柱84、85に均圧板83を固定しなければならず、構成が複雑化すると共に、コスト高となる。
【0011】
そこで本発明は、簡素な構成で各噴射孔から略均等に冷却液を噴射することができる焼入装置の冷却ジャケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、誘導電流が励起されて加熱された被加熱物に、冷却液を噴射供給する焼入装置の冷却ジャケットであって、被加熱物に対向する部位に複数の噴射孔を有するジャケット本体と、ジャケット本体に冷却液を供給する供給管とを有し、前記供給管の一部がジャケット本体内に配置されており、ジャケット本体内の供給管の少なくとも側面に孔が設けてあり、ジャケット本体内に冷却液が満たされて、各噴射孔から冷却液が噴射されることを特徴とする焼入装置の冷却ジャケットである。
【0013】
請求項1に記載の発明では、供給管の一部がジャケット本体内に配置されており、ジャケット本体内の供給管の少なくとも側面に孔が設けてあるので、供給管を流れる冷却液は、側面の孔からジャケット本体内に流入する。すなわち、供給管内を流れる冷却液の進行方向が、ジャケット本体内に流入する際に変更される。そして、ジャケット本体内に冷却液が満たされて、各噴射孔から冷却液が噴射されるので、各噴射孔から冷却液が略均等に噴射される。
【0014】
請求項2に記載の発明は、供給管の側面に複数の孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の焼入装置の冷却ジャケットである。
【0015】
請求項2に記載の発明では、供給管の側面に複数の孔を設けたので、供給管内の冷却液が、各孔からジャケット本体内に流入する。すなわち、ジャケット本体内に、複数の孔から冷却液が流れるので、ジャケット本体内に冷却液が流入し易い。
【0016】
請求項3に記載の発明は、ジャケット本体内の供給管の向きが、ジャケット本体の噴射孔の向きと一致していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼入装置の冷却ジャケットである。
【0017】
請求項3に記載の発明では、ジャケット本体内の供給管の向きが、ジャケット本体の噴射孔の向きと一致しているので、供給管の側壁の孔の向きは、必ずジャケット本体の噴射孔と不一致になる。その結果、供給管の孔からジャケット本体内に流入した冷却液は、直ちに噴射孔から噴射されることがなく、ジャケット本体内に冷却液が充満すると、略一様に噴射孔から噴射される。
【0018】
請求項4に記載の発明は、ジャケット本体における供給管の接続部を、噴射孔を設けた部位と交差する部位に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼入装置の冷却ジャケットである。
【0019】
請求項4に記載の発明では、ジャケット本体における供給管の接続部を、噴射孔を設けた部位と交差する部位に設けたので、ジャケット本体内において供給管は、噴射孔を設けた部位に沿ってのびる。そのため、冷却ジャケットにおける噴射孔の方向の寸法を短くし、冷却ジャケットを小型化することができる。すなわち、供給管の側壁の全ての孔が、ジャケット本体内に配置されていなければならないので、ジャケット本体は、供給管の側壁の全ての孔を収容できる大きさが必要である。ところが、請求項4の発明では、供給管がジャケット本体の噴射孔の設けた部位に沿ってのびるので、冷却ジャケットにおける噴射孔の方向の寸法を小さくすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、前記供給管の端面に孔を設け、前記端面の孔の総面積は、端面の面積の50%以下であり、前記端面の孔の総面積は、側面の孔の総面積よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の焼入装置の冷却ジャケットである。
【0021】
請求項5に記載の発明では、供給管の端面にも孔を設けたので、供給管内の冷却液が、端面の孔からもジャケット本体内に流入する。すなわち、供給管の端面と側面からジャケット本体内に冷却液が流入する。そのため、側面にのみ孔を設けた場合よりも、冷却液がジャケット本体内に流入し易い。
そして、供給管の向きが、ジャケット本体の噴射孔の向きと一致する場合には、供給管の端面がジャケット本体に近接する。この場合においては、供給管の端面の孔からジャケット本体内に流入した冷却液が、主に、ジャケット本体の噴射孔のうちの、供給管の端面に近接した噴射孔から良好に噴射される。また、前記端面の孔の総面積は、端面の面積の50%以下であり、供給管の端面の孔の総面積は、供給管の側面の孔の総面積よりも小さいので、供給管内の冷却液は、主に側面の孔からジャケット本体内に流入する。そのため、ジャケット本体内の冷却液は、各噴射孔から略均一に被加熱物に向けて噴射される。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、ジャケット本体内の供給管の側壁に孔を設けることにより、供給管内を流れる冷却液の進行方向が、ジャケット本体内において容易に変更される。そして、ジャケット本体内に冷却液が満たされると、各噴射孔から冷却液が略均等に噴射される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る焼入装置の冷却ジャケットの一部を破断した斜視図である。
【
図3】
図1の冷却ジャケットのIII−III断面図である。
【
図4】(a)は、
図1〜
図3とは別の実施形態に係る焼入装置の冷却ジャケットの、
図3に対応する断面図であり、(b)は、(a)のA−A断面図である。
【
図5】
図3に示す冷却ジャケットにおいて、別の装着部材を装着した焼入装置の冷却ジャケットの断面図である。
【
図6】従来の焼入装置の冷却ジャケットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1、
図2に示す様に、冷却ジャケット1は、ジャケット本体2、背面板3、装着部材4、5を有する。
ジャケット本体2は、底壁8(被加熱物に対向する部位)と4つの側壁10a〜10dとで構成されている。底壁8は、矩形の薄板状の部材であり、複数の噴射孔9が設けられている。底壁8の各縁には、各々側壁10a〜10dが直交して連続している。すなわちジャケット本体2は、側壁10a〜10の縁で仕切られた開口15を有する有底の器状の部材である。
【0025】
背面板3は、矩形の薄板状の部材であり、中央付近にねじ孔11、12(ジャケット本体における供給管の接続部)が設けられている。背面板3の形状及び大きさは、ジャケット本体2の開口15を閉じることができる形状及び大きさである。
【0026】
図2に示す様に、装着部材4は、先端部21、ねじ部22、ストッパ23、供給管接続部24を有する。
先端部21は、円筒状の側壁21a(側面)と、円板状の端壁21bとを有する。側壁21aの一端に端壁21bが連続している。すなわち、筒状の先端部21の一端は、端壁21bで閉じられており、先端部21内には空間27(
図3)が形成されている。側壁21aには、複数の孔26が設けられている。孔26は、空間27と連通している。
【0027】
先端部21の他端側には、ねじ部22を介してストッパ23が連続している。ねじ部22は、先端部21よりも大径である。また、ストッパ23は、ねじ部22よりも半径方向に突出している。さらにストッパ23におけるねじ部22とは反対側には供給管接続部24が連続している。供給管接続部24には、後述の冷却液供給管6が装着される。ねじ部22、ストッパ23、供給管接続部24には、冷却液通路25が形成されている。冷却液通路25は、先端部21の空間27と連通している。すなわち、装着部材4は、冷却液供給管6と一体化して、冷却液供給管6の一部を構成している。
【0028】
装着部材5は、装着部材4と同じ構成を有する部材であり、重複する説明は省略する。
【0029】
次に、各部材の関係を説明する。
ジャケット本体2の開口15には、図示しない固定手段によって背面板3が固定されている。そのため、開口15は背面板3で塞がれており、ジャケット本体2と背面板3の間は冷却液が漏れないように密着している。ジャケット本体2と背面板3によって、空間28が形成されている。
【0030】
背面板3のねじ孔11(
図2)には、装着部材4のねじ部22が、液密を保ちながら螺合して装着されている。ストッパ23は、背面板3に当接している。装着部材4は、背面板3から底壁8に向かって突出している。突出量は、ストッパ23が背面板3に当接することによって規制されている。そして、装着部材4の突出方向は、噴射孔9の向きと一致している。換言すると、装着部材4の冷却液通路25は、噴射孔9の向きにのびている。同様に、ねじ孔12には、装着部材5が装着されている。
【0031】
また、装着部材4の供給管接続部24には、冷却液供給管6が液密を保ち接続されている。そのため、冷却液供給管6の冷却液通路6aは、装着部材4の冷却液通路25及び空間27と連通している。すなわち、装着部材4は、冷却液供給管6の一部を構成し、先端部21が空間28内に配置されている。装着部材5についても同様に、冷却液供給管7の一部を構成している。
【0032】
冷却液供給管6、7は、各々図示しない冷却液の供給源に接続され、加圧された冷却液を冷却ジャケット1に導く。冷却液供給管6、7には、図示しない電磁弁が設けられており、電磁弁の開閉によって、冷却ジャケット1への冷却液の供給と、供給の遮断とを切り換えることができるようになっている。
【0033】
次に、冷却ジャケット1の動作を説明する。
図3に示す被加熱物が、図示しない高周波加熱装置によって加熱され、焼入れ温度に達した後、冷却ジャケット1を作動させる。すなわち、図示しない電磁弁を開くと、加圧された冷却液が、冷却液供給管6の冷却液通路6aから装着部材4の冷却液通路25内に入り、さらに空間27に至る。そして空間27内の冷却液は、側壁21の孔26を介して、空間27から空間28に、冷却液18として流出する。ここで、冷却液の進行方向が、装着部材4(冷却液供給管6)がのびる方向と直交する方向に変更される。
【0034】
装着部材4、5から噴射された冷却液18、19の噴射方向を見ると、いずれも噴射孔9の向き、すなわち、噴射された冷却液20の進行方向に対して直交している。換言すると、冷却液18、19は、底壁8と平行に噴射される。これは、装着部材4が噴射孔9の向きと一致する方向(又は、底壁8と直交する方向)へ突出し、装着部材4の先端部21の側壁21aに孔26を設けたためである。よって、冷却液18の進行方向は、噴射孔9の向きと直交しており、噴射孔9から直に排出されることがない。そして冷却液18は、空間28内に蓄積され、空間28内の液位が上昇し充満すると、加圧された冷却液20が、複数の噴射孔9から略一様に噴射される。
【0035】
以上では、装着部材4(5)の端壁21bには、孔を設けない例を説明したが、端壁21bに、側壁21aに設けた孔26の総開口面積に対して十分に小さい(例えば、十分の一以下)孔を設けてもよい。
【0036】
次に、
図4を参照しながら別の実施形態について説明する。
図4(a)に示す冷却ジャケット41は、背面板3にねじ孔11、12(
図2)が設けられておらず、代わりにジャケット本体2の側壁10c(噴射孔を設けた部位と交差する部位)にねじ孔42(ジャケット本体における供給管の接続部)が設けられている。そして、ねじ孔42に装着部材4のねじ部22が、液密を保ちながら螺合している。冷却ジャケット41には、装着部材4が1つだけ設けられており、その他の構成は
図1〜
図3に示す冷却ジャケット1と同様である。
【0037】
冷却ジャケット41では、装着部材4が、空間28内において底壁8に沿って突出している。ところが、
図4(b)に示す様に、装着部材4の孔26の向きは、いずれも噴射孔9の向きとは一致していない。そのため、孔26から流出した冷却液43は、直に噴射孔9から噴射されることはない。
【0038】
また、冷却ジャケット41では、装着部材4が、側壁8に沿って空間28内に突出しているため、
図3の冷却ジャケット1よりも厚さt(背面板3から底壁8までの距離)を薄くすることができる。すなわち、冷却ジャケット41は、冷却ジャケット1よりも小型化を図ることができる。
【0039】
以上説明した冷却ジャケット1、41において、装着部材4、5の先端部21等に相当する構成を、冷却液供給管6、7の端部に直に形成してもよい。
【0040】
また、
図3及び
図4に示す冷却ジャケット1、41では、装着部材4(5)の端壁21bに、側壁21aの孔26と同様の孔を設けても差し支えない。これを、
図5を参照しながら説明する。
【0041】
図5に示す冷却ジャケット51は、装着部材40、50を備えている。すなわち、
図5に示す冷却ジャケット51は、
図3に示す冷却ジャケット1に対して、装着部材4、5の代わりに、装着部材40、50を備えた点だけが相違しており、その他の構成は、冷却ジャケット1と同じである。そして、冷却ジャケット51において、冷却ジャケット1と同じ構成には、同じ符号を付してある。
【0042】
冷却ジャケット51の装着部材40は、
図3に示す装着部材4の端壁21bと同様の端壁121b(端面)を有する。装着部材40の端壁121bには、孔31が設けてある。孔31は、装着部材40の内外を連通する孔である。孔31の大きさや数は任意であるが、孔31の総面積は、端壁121bの面積の50%以下である。そのため、冷却液供給管6から装着部材40内に供給された冷却液は、端壁121bから抵抗を受ける。よって、装着部材40内の冷却液は、一部が端壁121bの孔31からジャケット本体2の空間28内に流入し、残りが側壁21aの孔26から空間28内に流入する。
【0043】
また、孔31の総面積は、装着部材40の側壁21aに設けた孔26の総面積よりも小さい。そのため、装着部材40内の冷却液は、主に側壁21aの孔26から空間28内に流入する。
【0044】
さらに、装着部材40の端壁121b(端面)は、ジャケット本体2の底壁8と近接している。そのため、装着部材40の端壁121bと、ジャケット本体2の底壁8の間隔は狭く、空間28内に充満した冷却液は、底壁8に設けられた噴射孔9aから外部へ流出しにくい。
【0045】
ところが、装着部材40の端壁121bには孔31が設けられている。そのため、装着部材40内の冷却液は、孔31から冷却液32(
図5)として空間28内に流入する。冷却液32は、底壁8の噴射孔9aに達し易い。その結果、底壁8の他の噴射孔9と同様に、冷却液20が噴射孔9aからも被加熱物30に向けて良好に噴射される。
【0046】
また、底壁8の噴射孔9b付近には、装着部材50の端壁が近接している。ところが、装着部材50の端壁には、装着部材40の端壁121bの孔31と同様の孔(図示せず)が設けられており、この孔から冷却液33が噴射される。そのため、噴射孔9aと同様に、噴射孔9bからも冷却液20が被加熱物30に向けて良好に噴射される。
【0047】
図5の冷却ジャケット51は、
図3の冷却ジャケット1の変形例を示すものであるが、
図4に示す冷却ジャケット41において、装着部材4の代わりに、装着部材40を使用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 冷却ジャケット
2 ジャケット本体
4、5 装着部材(冷却液供給管におけるジャケット本体内に配置される部位)
6、7 冷却液供給管
8 底壁(噴射孔を設けた部位)
9 噴射孔
10c 噴射孔を設けた部位と交差する部位
20 冷却液
21a 装着部材の先端部の側壁(側面)
26 孔
28 空間(ジャケット本体内)
30 被加熱物
41 冷却ジャケット
42 ねじ孔(ジャケット本体における供給管の接続部)