特許第6076178号(P6076178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076178
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】断裁機
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/08 20060101AFI20170130BHJP
   B42C 19/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B26D7/08 C
   B42C19/00
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-76953(P2013-76953)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-200865(P2014-200865A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内梨 実
(72)【発明者】
【氏名】谷内 知則
(72)【発明者】
【氏名】清水 智之
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−168917(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3080595(JP,U)
【文献】 実開昭49−48589(JP,U)
【文献】 特開2004−74344(JP,A)
【文献】 特開2001−179687(JP,A)
【文献】 特開平2−109699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/08
B42C 19/00
B05D 1/00 − 7/24
B23D 33/00
B26D 1/06 − 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製本物を断裁するための断裁刃と、
前記断裁刃の裏面に対向して設けられ、前記製本物を押さえるための押さえ部と、
前記断裁刃の表面に向けて離型剤を噴霧するためのノズルと、
前記押さえ部に設けられ、前記断裁刃の裏面に対向しており、前記ノズルから噴霧される前記離型剤を前記断裁刃の裏面に誘導するための誘導部と、を備えており、
前記ノズルは、噴霧される前記離型剤の上領域を前記断裁刃の表面に噴霧すると共に、噴霧される前記離型剤の下領域を前記誘導部に噴霧し、
噴霧される前記離型剤の下領域が、前記誘導部によって前記断裁刃の裏面に誘導されることを特徴とする断裁機。
【請求項2】
製本物の天辺縁部を断裁するための天用断裁刃と、
前記製本物の地辺縁部を断裁するための地用断裁刃と、
前記天用断裁刃の裏面に対向して設けられ、前記製本物の天辺縁部を押さえるための天用押さえ部と、
前記地用断裁刃の裏面に対向して設けられ、前記製本物の地辺縁部を押さえるための地用押さえ部と、
前記天用断裁刃の表面に向けて離型剤を噴霧するための天用ノズルと、
前記地用断裁刃の表面に向けて離型剤を噴霧するための地用ノズルと、
前記天用及び地用押さえ部に設けられ、前記天用及び地用断裁刃の裏面に対向しており、前記天用及び地用ノズルから噴霧される前記離型剤を前記天用及び地用断裁刃の裏面に誘導するための誘導部と、を備えており、
前記天用及び地用ノズルは、噴霧される前記離型剤の上領域を前記天用及び地用断裁刃の表面に噴霧すると共に、噴霧される前記離型剤の下領域を前記誘導部に噴霧し、
噴霧される前記離型剤の下領域が、前記誘導部によって前記天用及び地用断裁刃の裏面に誘導されることを特徴とする断裁機。
【請求項3】
前記誘導部は、円弧部を備えており、
前記円弧部は、前記ノズルが前記離型剤を噴霧する際に、前記断裁刃の裏面の刃先に対向するように配置され、
前記ノズルから噴霧される前記離型剤の下領域が、前記円弧部に向けて噴霧されて、前記円弧部の湾曲面に沿って、前記断裁刃の裏面に誘導されることを特徴とする請求項1又は2に記載の断裁機。
【請求項4】
前記誘導部は、前記円弧部から落下する前記離型剤を受けるための受け部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の断裁機。
【請求項5】
前記受け部は、前記離型剤を吸収するための液体吸収材を備えていることを特徴とする請求項4に記載の断裁機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本工程に用いられて、製本の仕上げのために、製本物の端部を断裁するために用いられる断裁機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本身の背面に糊を塗布し、その背面に表紙を貼り付けて製本物にする無線綴じ製本機は良く知られている。そして、製本機によって作成された製本物を仕上げるために、断裁機を使って、製本物の天辺縁部、地辺縁部および小口辺縁部を断裁する。従来の断裁機として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この断裁機の場合、作業者が製本物を回転しながら、断裁刃を上下方向に運動させることで、製本物の各縁部を断裁するようになっている。
【0003】
また、製本物の天辺縁部、地辺縁部および小口辺縁部を自動で断裁できる三方断裁機がある。従来の三方断裁機として、例えば特許文献2に記載されたものがある。特許文献2の図1及び図3に示すとおり、三方断裁機は、製本物27の天辺縁部27aを断裁するための天用断裁刃11、製本物27の地辺縁部27bを断裁するための地用断裁刃12、製本物27の小口辺縁部27cを断裁するための小口用断裁刃13を備える。
【0004】
三方断裁機は、搬送機構18で製本物27を所定の断裁位置に搬送し、その後、押さえ部15a〜15cで製本物を押さえる。そして、三方断裁機は、製本物27の天辺縁部27aおよび地辺縁部27bを断裁する際に、搬送機構18で製本物27を所定の断裁位置に搬送し、断裁位置に搬送された製本物27を一対の押さえ部15a,15bで押さえて、製本物27を押さえている間に、天用断裁刃11および地用断裁刃12で製本物27の天辺縁部27aおよび地辺縁部27bを断裁する。
【0005】
上記の通り、製本物の背面における本身の背面と表紙との間に糊が付着しているので、断裁機で製本物の天辺縁部及び地辺縁部を断裁する際に、製本物の背面の糊が断裁刃に付着して、製本物を綺麗に断裁できなくなることがある。そのため、作業者が、定期的に、断裁刃に離型剤を塗布して、断裁刃に糊が付着しないようにしている。
【0006】
作業者が離型剤を塗布する際、断裁機に設けられたカバーを取り外して、断裁刃の表面及び裏面の双方に離型剤を塗布しなければならず、非常に手間がかかる。また、ノズルを使って離型剤を断裁刃に噴霧するように構成された断裁機があるが、1つの断裁刃に対して2つのノズルが設けられており、一方のノズルが、断裁刃の表面に離型剤を噴霧し、他方のノズルが、断裁刃の裏面に離型剤を噴霧する。そのため、2つのノズルを備える必要があり、非常に高額となる。また、内部空間に余裕のない断裁機では、2つのノズルを設置できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−66347号公報
【特許文献2】特開2001−252890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、断裁刃の表面及び裏面の双方に離型剤を塗布できると共に、余分な内部空間を必要とせず、比較的安価な構成である断裁機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る断裁機は、
製本物を断裁するための断裁刃と、
断裁刃の裏面に対向して設けられ、製本物を押さえるための押さえ部と、
断裁刃の表面に向けて離型剤を噴霧するためのノズルと、
押さえ部に設けられ、断裁刃の裏面に対向しており、ノズルから噴霧される離型剤を断裁刃の裏面に誘導するための誘導部と、を備えており、
ノズルは、噴霧される離型剤の上領域を断裁刃の表面に噴霧すると共に、噴霧される離型剤の下領域を誘導部に噴霧し、
噴霧される離型剤の下領域が、誘導部によって断裁刃の裏面に誘導される。
【0010】
また、本発明に係る断裁機は、
製本物の天辺縁部を断裁するための天用断裁刃と、
製本物の地辺縁部を断裁するための地用断裁刃と、
天用断裁刃の裏面に対向して設けられ、製本物の天辺縁部を押さえるための天用押さえ部と、
地用断裁刃の裏面に対向して設けられ、製本物の地辺縁部を押さえるための地用押さえ部と、
天用断裁刃の表面に向けて離型剤を噴霧するための天用ノズルと、
地用断裁刃の表面に向けて離型剤を噴霧するための地用ノズルと、
天用及び地用押さえ部に設けられ、天用及び地用断裁刃の裏面に対向しており、天用及び地用ノズルから噴霧される離型剤を天用及び地用断裁刃の裏面に誘導するための誘導部と、を備えており、
天用及び地用ノズルは、噴霧される離型剤の上領域を天用及び地用断裁刃の表面に噴霧すると共に、噴霧される離型剤の下領域を誘導部に噴霧し、
噴霧される離型剤の下領域が、誘導部によって天用及び地用断裁刃の裏面に誘導される。
【0011】
好ましくは、
誘導部は、円弧部を備えており、
円弧部は、ノズルが離型剤を噴霧する際に、断裁刃の裏面の刃先に対向するように配置され、
ノズルから噴霧される離型剤の下領域が、円弧部に向けて噴霧されて、円弧部の湾曲面に沿って、断裁刃の裏面に誘導される。
【0012】
好ましくは、
誘導部は、円弧部から落下する離型剤を受けるための受け部を備えている。
【0013】
好ましくは、
受け部は、離型剤を吸収するための液体吸収材を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る断裁機は、断裁刃の表面に向けて離型剤を噴霧するためのノズルと、押さえ部に設けられ、断裁刃の裏面に対向しており、ノズルから噴霧される離型剤を断裁刃の裏面に誘導するための誘導部と、を備えている。そして、ノズルは、噴霧される離型剤の上領域を断裁刃の表面に噴霧すると共に、噴霧される離型剤の下領域を誘導部に噴霧し、噴霧される離型剤の下領域が、誘導部によって断裁刃の裏面に誘導される。
【0015】
上記の通り、ノズルから噴霧される離型剤の上領域は、断裁刃の表面に噴霧される。さらに、ノズルから噴霧される離型剤の下領域は、誘導部に誘導されることで、断裁刃の裏面に噴霧される。その結果、1つのノズルで断裁刃の表面及び裏面の双方に離型剤を噴霧できるので、1つの断裁刃に対して1つのノズルを設けるだけでよい。従って、1つの断裁刃に対して2つのノズルを設ける必要がないので、余分な内部空間を不要とし、比較的安価な構成にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】三方断裁機を示す斜視図。
図2】三方断裁機を示す平面図。
図3】三方断裁機の一部を示す正面図。
図4】三方断裁機の一部を示す側面図。
図5】待機位置にある断裁刃と待機位置にある押さえ部とを示す正面図。
図6】断裁位置にある断裁刃と押圧位置にある押さえ部とを示す正面図。
図7】待機位置にある断裁刃と噴霧位置にある押さえ部とを示す正面図。
図8】別の実施形態における誘導部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明に係る三方断裁機について説明する。
【0018】
図1の通り、製本物27は、天辺縁部27a、地辺縁部27b、小口辺縁部27c及び背面27dを有する。無線綴じ製本機(不図示)が、本身の背面に、糊を塗布し、表紙を貼り付けて、製本物27を製造する。従って、製本物27の背面27dにおける本身と表紙との間に、糊が付着している。無線綴じ製本機によって製造された製本物27は、三方断裁機に送られる。三方断裁機は、製本物27の天辺縁部27a、地辺縁部27b及び小口辺縁部27cを断裁することで、製本物27を所定寸法に仕上げる。
【0019】
三方断裁機は、製本物27の天辺縁部27aを断裁するための天用断裁刃11、製本物27の地辺縁部27bを断裁するための地用断裁刃12、製本物27の小口辺縁部27cを断裁するための小口用断裁刃13を備える。三方断裁機は、天用断裁刃11で製本物27を断裁する際に製本物27を押さえるための天用押さえ部15a、地用断裁刃12で製本物27を断裁する際に製本物27を押さえるための地用押さえ部15b、小口用断裁刃13で製本物27を断裁する際に製本物27を押さえるための小口用押さえ部15cを備える。
【0020】
三方断裁機は、製本物27の天辺縁部27aを断裁する際に、天用押さえ部15aと共に製本物27を押さえるための天用断裁台16を備える。三方断裁機は、製本物27の地辺縁部27bを断裁する際に、地用押さえ部15bと共に製本物27を押さえるための地用断裁台17を備える。そして、図3の通り、天用断裁台16は、天用断裁刃11の刃先を受けるための刃受け16aを備える。地用断裁台17は、地用断裁刃12の刃先を受けるための刃受け17aを備える。
【0021】
図1の通り、三方断裁機は、ねじ軸32を回転自在に支持する支持部31を備える。天用押さえ部15aは、ねじ軸32に螺合されている。さらに、三方断裁機は、ねじ軸34を回転可能に支持する支持部33を備える。地用押さえ部15bは、ねじ軸34に螺合されている。さらに、三方断裁機は、ねじ軸36を回転可能に支持する支持部35を備える。小口用押さえ部15cは、ねじ軸36に螺合されている。
【0022】
各ねじ軸32,34,36は、その上端部にプーリー32a,34a,36aを備える。三方断裁機は、押さえ部駆動モータ26を備える。押さえ部駆動モータ26の出力軸は、無端ベルト37aを介して、各ねじ軸32,34,36のプーリー32a,34a,36aに連結されている。そして、押さえ部駆動モータ26が駆動すると、無端ベルト37aと共にねじ軸32,34,36が回転して、押さえ部15a,15b,15cが昇降するようになっている。
【0023】
図1の通り、地用断裁刃12は、駆動ロッド25aの一端部が回転自在に連結されている。駆動ロッド25aの他端部は、駆動減速機23の出力軸24のクランク25に連結されている。三方断裁機は、断裁刃駆動モータ22を備える。断裁刃駆動モータ22は、無端ベルト37bを介して、駆動減速機23と連結している。そして、断裁刃駆動モータ22が駆動して、駆動減速機23の出力軸24が一回転すると、地用断裁刃12が1サイクル昇降運動する。また、断裁刃駆動モータ22が駆動すると、地用断裁刃12と共に天用断裁刃11も昇降運動するように構成されている。なお、小口用断裁刃13は、別の断裁刃駆動モータ(不図示)で昇降運動するようになっている。
【0024】
図2の通り、三方断裁機は、搬入部1a、位置合わせ部1b、小口断裁部1c、天地断裁部1d及び排出部1eで構成される。製本物27は、搬入部1aに設けられたベルトコンベア100によって位置合わせ部1bへ搬送され、位置合わせ部1bに設けられた位置合わせプレート102,103によって位置合わせされる。そして、製本物27は、搬送機構18によって小口断裁部1cへ搬送されて、小口用断裁刃13によって製本物27の小口辺縁部27cが断裁される。そして、製本物27は、搬送機構18によって天地用断裁部1dへ搬送されて、天用断裁刃11及び地用断裁刃12によって製本物27の天辺縁部27a及び地辺縁部27bが断裁される。その後、製本物27は、搬送機構18によって搬出部1eへ搬送されて、搬出部1eに設けられたベルトコンベア101によって搬出される。
【0025】
図1及び図4の通り、搬送機構18は、チャック機構180を備える。チャック機構180は、固定側把持部18aと可動側把持部18bとで製本物27を把持する。チャック機構180は、可動側把持部18bを開位置と閉位置とに移動可能にするためのアクチュエーター18cを備える。チャック機構180は、可動側把持部18bを開位置にして製本物27を解放し、可動側把持部18bを閉位置して製本物27を把持する。
【0026】
搬送機構18は、小口断裁部1cと天地断裁部1dと間に延設された送りねじ184を備える。搬送機構18は、送りねじ184に螺合された移動部183を備える。移動部183は、チャック機構180に連結されている。送りねじ184は、無端ベルト182を介して搬送駆動モータ181に連結される。搬送駆動モータ181の駆動によって、送りねじ184は正逆回転する。送りねじ184の正逆回転によって、移動部183は、送りねじ184の軸方向に沿って進退移動する。移動部183が移動することによって、チャック機構180は、製本物27を把持して、小口断裁部1cと天地用断裁部1dとの間を移動することができる。
【0027】
図1の通り、三方断裁機は、製本物27の下方に配置される一対の製本物受け台14a,14bを備える。製本物受け台14a,14bは、小口断裁部1cと天地用断裁部1dとの間に延設されている。各製本物受け台14a,14bは、空間部14cを介して配置されている。図3の通り、空間部14cには、チャック機構18の固定側把持部18aが配置されるようになっており、これによって、チャック機構18が空間部14cに沿って移動できるので、製本物27を製本物受け台14a,14bの上で搬送できる。
【0028】
天用断裁刃11及び地用断裁刃12は、製本物27の背面27dを通じて、製本物27の天辺縁部27a及び地辺縁部27bを断裁する。上記の通り、製本物27の背面27dにおける冊子と表紙との間に、糊が付着しているので、製本物27の背面27dを断裁する際に、天用断裁刃11及び地用断裁刃12に糊が付着することがある。このため、天用断裁刃11及び地用断裁刃12に糊が付着して断裁能力が低下しないように、定期的に、天用断裁刃11及び地用断裁刃12に離型剤を塗布する必要がある。
【0029】
図3の通り、三方断裁機は、天用断裁刃11に対向して設けられた天用ノズル2aと、地用断裁刃12に対向して設けられた地用ノズル2bと、を備える。天用ノズル2aは、天用断裁刃11に定期的に離型剤を噴霧し、地用ノズル2bは、地用断裁刃12に離型剤を定期的に噴霧する。
【0030】
天用断裁刃11及び地用断裁刃12は、製本物27の天辺縁部27a及び地辺縁部27bを断裁する際に、製本物27の背面27dの一部も断裁する。天用断裁刃11及び地用断裁刃12に、製本物27の背面27dの糊が付着しないように、天用及び地用ノズル2a,2bは、天用断裁刃11及び地用断裁刃12に離型剤を噴霧する。なお、天用及び地用断裁刃11,12における離型剤が噴霧される部分は、製本物27の背面27dを断裁する部分でよい。
【0031】
天用及び地用断裁刃11,12が予め設定された回数だけ昇降する度に、天用及び地用ノズル2a,2bが離型剤を天用及び地用断裁刃11,12に噴霧する。天用及び地用ノズル2a,2bが天用及び地用断裁刃11,12に噴霧する動作については、後述する。
【0032】
図1の通り、三方断裁機は、制御部1を備える。制御部1は、三方断裁機の駆動を制御するようになっており、断裁刃駆動モータ22、押さえ部駆動モータ26、搬送駆動モータ181、天用及び地用ノズル2a,2b等の駆動を制御する。三方断裁機は、制御部1に入力された設定に基づいて、三方断裁機の駆動を制御する。
【0033】
<天地断裁動作>
次に、図5及び図6に基づいて、天用断裁刃11が、製本物27の天辺縁部27aを断裁する動作について説明する。
【0034】
製本物27は、搬送機構18によって天地用断裁部1d(図2)へ搬送される。その後、製本物27が天地用断裁部1dで停止している間に、押さえ部駆動モータ26が駆動して、それによって、天用押さえ部15aが、製本物27から上方に離れた待機位置(図5)から製本物27を押さえる押圧位置(図6)へ下降する。待機位置と押圧位置との位置関係は、予め設定されている。
【0035】
そして、押さえ部15aが製本物27を押さえている間に、断裁刃駆動モータ22が駆動して、それによって、天用断裁刃11が、製本物27から上方に離れた待機位置(図5)から製本物27を断裁する断裁位置(図6)へ下降する。その結果、製本物27の天辺縁部27aが断裁される。
【0036】
上記と同様に、天地用断裁部1dに搬送された製本物27は、地用押さえ部15bが待機位置から押圧位置へ移動することで押さえられ、その後、地用断裁刃12が待機位置から断裁位置へ移動することで、製本物27の地辺縁部27bが断裁される。
【0037】
<噴霧動作>
次に、図7に基づいて、天用ノズル2aが天用断裁刃11に離型剤を噴霧する動作について説明する。
【0038】
制御部1は、天用断裁刃11が予め設定された回数だけ昇降運動する度に、噴霧動作を行うように制御する。天用断裁刃11は、表面11a及び裏面11bを備える。天用ノズル2aは、天用断裁刃11の表面11aに向けて離型剤を噴霧するように配置されている。天用断裁刃11における離型剤が噴霧される部分が、製本物27の背面27dを断裁する部分になるように、天用ノズル2aは構成されている。
【0039】
天用ノズル2aは、離型剤が放射状に噴霧するように構成されている。さらに、天用ノズル2aは、噴霧される離型剤20の噴霧方向線20cが天用断裁刃11の刃先11cに向くように配置されている。また、噴霧される離型剤20は、噴霧範囲の上領域20aと、噴霧範囲の下領域20bとからなる。
【0040】
天用押さえ部15aは、天用ノズル2aから噴霧される離型剤20を、天用断裁刃11の裏面11bに誘導するための誘導部5aを備える。誘導部5aは、離型剤が噴霧される範囲に設けられる(図4)。誘導部5aは、天用断裁刃11の裏面11bに対向するように設けられている。誘導部5aは、円弧部50aを備えており、天用ノズル2aから噴霧される離型剤20が、円弧部50aの湾曲面に沿って、天用断裁刃11の裏面11bに誘導されるようになっている。
【0041】
噴霧動作の際、天用断裁刃11は待機位置に待機し、天用押さえ部15aは、待機位置より下方の噴霧位置に下降する。噴霧される離型剤20の上領域20aは、待機位置に配置された天用断裁刃11の表面11aの刃先に向けて噴霧される。その結果、天用断裁刃11の表面11aの刃先付近に、離型剤が塗布される。
【0042】
また、天用押さえ部15aが噴霧位置に配置されると、誘導部5aの円弧部50aが、天用断裁刃11の裏面11bの刃先に対向するように配置される。これにより、噴霧される離型剤20の下領域20bは、誘導部5aの円弧部50aに噴霧される。そして、噴霧される離型剤20の下領域20bは、誘導部5aの円弧部50aに沿って回りこみ(図7の矢印参照)、天用断裁刃11の裏面11bの刃先付近に誘導される。その結果、天用断裁刃11の裏面11bの刃先付近に、離型剤が塗布される。
【0043】
誘導部5aは、円弧部50aの下方に受け部50bを備える。受け部50bは、円弧部50aから落下する離型剤を受けるように構成されている。受け部50bは、長手方向(図7の奥行き方向)に傾斜しており、受け部50bに落下した離型剤が、受け部50aの上面に沿って流れて、所定場所に集められるように構成されている。受け部50bが離型剤を受けることにより、離型剤が天用断裁台16に落下して製本物27に付着しないようにできる。
【0044】
上記と同様に、地用断裁刃12が待機位置に配置され、地用押さえ部15bが噴霧位置に配置されて、その後、地用ノズル2bが離型剤を噴霧することで、噴霧される離型剤20の上領域20aが、地用断裁刃12の表面の刃先に塗布され、噴霧される離型剤20の下領域20bが、地用押さえ部15bに設けられた誘導部5aに沿って、地用断裁刃12の裏面の刃先に誘導されて塗布される。
【0045】
[別の実施形態]
また、図8の通り、別の実施形態では、誘導部5aは、U字状に形成されると共に、その開口部を上方に向けて設けられた受け台50bと、受け台50bの内側に収納された液体吸収材50cとを備える。この実施形態では、離型剤は、円弧部50aから液体吸収材50cに落下して、液体吸収材50cに吸収されるようになっている。これにより、円弧部50aから落下した離型剤を確実に保持して、離型剤が天用断裁台16に落下することを確実に防止できる。
【0046】
上記の実施形態では、誘導部5aは、円弧部50aによって、噴霧される離型剤20の下領域20bを天断裁刃11の裏面に誘導するように構成されている。円弧部50aは、円弧形状なので、滑らかに離型剤を誘導できる。しかし、誘導部5aは、複数の直線部を組み合わせた形状によって、噴霧される離型剤20の下領域20bを天断裁刃11の裏面に誘導するように構成してもよい。
また、上記の実施形態では、押さえ部15aを切り欠くことで誘導部5aが形成されているが、金属プレートで構成された誘導部5aを押さえ部15aに取り付けてもよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、三方断裁機であるが、一つの断裁刃を備え、作業者が製本物を回転して断裁する断裁機であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
11 天用断裁刃
12 地用断裁刃
15a 天用押さえ部
15b 地用押さえ部
2a 天用ノズル
2b 地用ノズル
11a 天用断裁刃の表面
11b 天用断裁刃の裏面
11c 天用断裁刃の刃先
20 噴霧された離型剤
20a 噴霧された離型剤の上領域
20b 噴霧された離型剤の下領域
20c 噴霧方向線
5a 誘導部
50a 円弧部
50b 受け部
50c 液体吸収材
27 製本物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8