特許第6076181号(P6076181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6076181-開閉体の操作部材取付用座 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076181
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】開閉体の操作部材取付用座
(51)【国際特許分類】
   E05B 3/06 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   E05B3/06 B
   E05B3/06 A
   E05B3/06 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-80046(P2013-80046)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-201989(P2014-201989A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】有田 高宏
(72)【発明者】
【氏名】清野 真二
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−270390(JP,A)
【文献】 特開平10−131556(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第00737495(GB,A)
【文献】 米国特許第05118152(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 3/06
E05B 1/06
E05B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の軸部が挿通する中心孔と、係止受面を備えた複数の連結用孔を有した一側台座と、
操作部材の軸部が挿通する中心孔と、前記係止受面に係止する係止鍔を先端部に備えた複数の連結柱を有した他側台座を備え、
前記各連結柱を各連結用孔に挿通し、一側台座を回転して各係止鍔を各係止受面に係止することで一側台座の台座取付面を開閉体の一側面に接し、かつ他側台座の台座取付面を開閉体の他側面に接することで一側台座と他側台座を開閉体に取り付けるようにした開閉体の操作部材取付用座であって、
前記一側台座には、前記他側台座を連結する際に各連結柱が挿通される各連結用孔を有する係止受面が、台座取付面から異なる距離となるように複数パターンで形成されていることを特徴とする開閉体の操作部材取付用座。
【請求項2】
前記連結柱は、基部柱の先端にねじを螺合し、そのねじの頭部を係止鍔とした請求項1記載の開閉体の操作部材取付用座。
【請求項3】
前記一側台座は、中心孔である内側筒体と、その外周面に設けられ、前記係止受面を備えた連結用孔を有した複数のプレートと、この各プレートの外周面に渡って一体に設けた外側筒体を備え、
前記複数のプレートは、前記他側台座を連結する際に各連結柱が挿通される各連結用孔を有する各プレートが、外側筒体及び内側筒体の一端面から異なる位置となるように複数パターンで形成されている請求項1又は2記載の開閉体の操作部材取付用座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉、障子などの開閉体に、ハンドル、引手、錠などの操作部材を取り付ける操作部材取付用座に関する。
【背景技術】
【0002】
扉にハンドルを取り付けるハンドル取付用座が特許文献1に開示されている。
このハンドル取付用座は、内側ハンドルの軸部が挿通する中心孔と、長孔状の連結孔部分を有する内側台座と、外側ハンドルの軸部が挿通する中心孔と、連結柱を有する外側台座を備え、扉の内壁面に内側台座を接し、扉の外壁面側から外側台座の連結柱を連結孔部分に挿入すると共に、外側台座を回転して連結柱の係止鍔を連結孔部分に係止することで内側台座と外側台座を連結して扉の内壁面と外壁面を挟持して取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−270390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したハンドル取付用座であれば、内側台座と外側台座をねじを用いずに連結して扉に取り付けできるが、扉の厚さが異なる場合には連結柱の長さが異なる外側台座を必要とするので、厚さの異なる複数の扉に対応するには、連結柱の長さが異なる複数の外側台座を準備しなければならず、コスト高となる。
【0005】
本発明の目的は、一側台座と他側台座をねじを用いずに開閉体に取り付けできると共に、厚さの異なる開閉体に取り付けできるようにした開閉体の操作部材取付用座とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、操作部材の軸部が挿通する中心孔と、係止受面を備えた複数の連結用孔を有した一側台座と、
操作部材の軸部が挿通する中心孔と、前記係止受面に係止する係止鍔を先端部に備えた複数の連結柱を有した他側台座を備え、
前記各連結柱を各連結用孔に挿通し、一側台座を回転して各係止鍔を各係止受面に係止することで一側台座の台座取付面を開閉体の一側面に接し、かつ他側台座の台座取付面を開閉体の他側面に接することで一側台座と他側台座を開閉体に取り付けるようにした開閉体の操作部材取付用座であって、
前記一側台座には、前記他側台座を連結する際に各連結柱が挿通される各連結用孔を有する係止受面が、台座取付面から異なる距離となるように複数パターンで形成されていることを特徴とする開閉体の操作部材取付用座である。
【0007】
本発明の開閉体の操作部材取付用座は、前記連結柱は、基部柱の先端にねじを螺合し、そのねじの頭部を係止鍔とすることができる。
このようにすれば、ねじを基部柱に締め付け、弛めることで係止鍔の台座取付面からの距離が変わるので、厚さが微少に異なる開閉体に取り付けできる。
しかも、経年変化などで係止鍔と係止受面との間に隙間が生じた場合にはねじを締め付けることで係止鍔を係止受面に押しつけて一側台座、他側台座のガタつきを防止できる。
【0008】
本発明の開閉体の操作部材取付用座は、前記一側台座は、中心孔である内側筒体と、その外周面に設けられ、前記係止受面を備えた連結用孔を有した複数のプレートと、この各プレートの外周面に渡って一体に設けた外側筒体を備え、
前記複数のプレートは、前記他側台座を連結する際に各連結柱が挿通される各連結用孔を有する各プレートが、外側筒体及び内側筒体の一端面から異なる位置となるように複数パターンで形成することができる。
このようにすれば、一側台座を軽量とすることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一側台座の各係止受面に他側台座の各連結柱の係止鍔をそれぞれ係止して連結することで、一側台座と他側台座を開閉体に取り付けできるから、一側台座と他側台座をねじを用いずに開閉体に取り付けできる。
また、一側台座は複数パターンの複数の連結用孔を有し、各パターンの各連結用孔の係止受面は台座取付面からの距離が異なるので、厚さの異なる開閉体に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の操作部材取付用座でハンドルを扉に取り付けた状態の側面図である。
図2】操作部材取付用座の分解斜視図である。
図3】一側台座の正面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5図3のC−C断面図である。
図6図3のB−B断面図である。
図7】サムターンを取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、開閉体である扉1に操作部材であるハンドル2を取り付ける開閉体の操作部材取付用座3は、一側台座4と他側台座5を備えている。
一側台座4は図1及び図2に示すように、一側ハンドル20の軸部21が挿通する中心孔40と、この中心孔40よりも外周側に設けた複数パターンの複数の連結用孔41、例えば3つのパターンの一対の連結用孔41と、この各連結用孔41よりも外周側に設けた外周壁部42を有している。
他側台座5は図1及び図2に示すように、他側ハンドル22の軸部23が挿通する中心孔50と、この中心孔50よりも外周側に設けた複数の連結柱51、例えば一対の連結柱51と、この各連結柱51よりも外周側に設けた外周壁部52を有している。
【0012】
他側台座5の連結柱51は、先端部に係止鍔53を有している。
例えば、連結柱51は基部柱54と、この基部柱54の先端に設けた小径部55と、この小径部55の先端に設けた係止鍔53を有している。
一側台座4の連結用孔41は、連結柱51の係止鍔53が挿通する係止鍔挿通部である大径孔43と、この係止鍔挿通部である大径孔43と連続し連結柱51(小径部55)が挿通するが係止鍔53は挿通しない連結柱挿通部である小径孔44とで、中心孔40の中心を中心とする円弧形状、例えば、大径孔43の中心と小径孔44の中心が中心孔40の中心を中心とする円弧軌跡上に位置する周方向に向かうほぼだるま形状である。
そして、小径孔44の周縁部における台座取付面4aと反対側の面が係止鍔53が係止する係止受面45である。
【0013】
操作部材取付用座3は次のようにして扉1に取り付ける。
一側台座4の台座取付面4aを扉1の一側面10に接し、他側台座5の複数の連結柱51を扉1の他側方から、その扉1の孔に挿入し、係止鍔53を一側台座4の1つのパターンの複数の連結用孔41の大径孔43を貫通して突出する。
この状態で一側台座4を回転して小径部55を小径孔44に挿通することで、係止鍔53を係止受面45に係止することで、一側台座4と他側台座5が連結され、一側台座4の台座取付面4aが扉1の一側面10に接し、他側台座5の台座取付面5aが扉1の他側面11に接して扉1を挟持して取り付けられる。
【0014】
このようであるから、一側台座4と他側台座5をねじを用いずに連結して扉1に取り付けできるから、操作部材取付用座3を扉1に簡単に取り付けできる。
【0015】
前記異なるパターンの複数の連結用孔41の係止受面45の一側台座4の台座取付面4aからの距離はそれぞれ異なる。
例えば、図3に示すように中心孔40の中心に対して径方向の相対向した一対の第1連結用孔41A、第2連結用孔41B、第3連結用孔41Cの3つのパターンの連結用孔41を有している。
【0016】
図4に示すように、第1連結用孔41Aの第1の係止受面45Aの一側台座4の台座取付面4aからの距離S1が最も短く、第1の係止受面45Aが最も台座取付面4a寄りである。
図5に示すように、第3連結用孔41Cの第3の係止受面45Cの一側台座4の台座取付面4aからの距離S2が最も長く(S2>S1)、第3の係止受面45Cが最も台座取付面4aから遠く離隔している。
図6に示すように、第2連結用孔41Bの第2の係止受面45Bの一側台座4の台座取付面4aからの距離S3が中間の位置(S1<S3<S2)で、第2の係止受面45Bは第1の係止受面45Aと第2の係止受面45Cとの中間に位置する。
【0017】
このようであるから、3種類の厚さの扉1に取り付けできる。
例えば、厚さHの扉、厚さH+(S2−S1)、厚さH+(S3−S1)の3種類の厚さの扉1に取り付けできる。
【0018】
次に、一側台座4と他側台座5の具体形状を説明する。
一側台座4は、内側筒体46と、この内側筒体46の外周面に一体に設け複数パターンの複数のプレート47、例えば径方向に対向した一対の第1・第2・第3プレート47A,47B,47Cと、この各複数のプレート47の外周面に一体に設けた外側筒体48を備え、その各プレート47に連結用孔41が形成されている。
内側筒体46が中心孔40を形成し、外側筒体48が外周壁部42を形成している。
プレート47における小径孔44の周縁に沿って厚肉部47aを形成して係止受面45としてある。
内側筒体46の一端面と外側筒体48の一端面が面一で、台座取付面4aとしてある。
【0019】
図4図5図6に示すように一対の第1・第2・第3プレート47A,47B,47Cの台座取付面4aからの位置がそれぞれ異なり、一対の第1・第2・第3の係止受面45A,45B,45Cの台座取付面4aからの距離S1,S3,S2がそれぞれ異なるようにしてある。
例えば、図4に示すように、第1プレート47Aが最も台座取付面4aに近く、第1の係止受面45Aが最も台座取付面4aに近い。
図5に示すように、第3プレート47Cが最も台座取付面4aから遠く、第3の係止受面45Cが台座取付面4aから最も遠い。
図6に示すように、第2プレート47Bが第1プレート47Aと第3プレート45Cとの中間に位置し、第2の係止受面45Bが第1の係止受面45Aと第3の係止受面45Cとの中間に位置する。
【0020】
このように、第1・第2・第3プレート47A,47B,47Cの台座取付面4aからの距離を変えて第1・第2・第3の係止受面45A,45B,45Cの台座取付面4aからの距離S1,S3,S2を変えているので、一側台座4を軽量とすることが可能である。
つまり、第1・第2・第3プレート47A,47B,47Cの厚さを変えることで第1・第2・第3の係止受面45A,45B,45Cの台座取付面4aからの距離S1,S3,S2を変えることができるが、このようにすると一側台座4が重くなってしまう。
【0021】
一側台座4は次のようにすることができる。
内側筒体46と外側筒体48とを同じ厚さの円板状のプレート47で一体に連結し、そのプレート47に連結用孔41を複数形成し、小径孔44の周縁における取付台座4aと反対側面に係止鍔53が入り込む溝を形成し、その溝の底面を係止受面45とする。
そして、溝の深さを変えることで、係止受面45の台座取付面4aからの距離を変える。
【0022】
他側台座5は、中心孔50を有した円板状の本体56に一対の連結柱51を設けてある。
連結柱51の小径部55と係止鍔53はねじ57で、そのねじ軸部57aが小径部55、頭部57bが係止鍔53である。
そして、ねじ軸部57aが基部柱54のねじ孔54aに螺合してある。
【0023】
このように、基部柱54にねじ57を螺合して連結柱51としたことにより、そのねじ57を締め付けたり、弛めたりすることでねじ57の頭部57bである係止鍔53の台座取付面5aからの距離を調整できるから、扉1の厚さに合わせた特定の対応範囲を持ち、厚さが微少に異なる扉1に取り付けできる。
また、経年変化等で一側台座4の台座取付面4a、他側台座5の台座取付面5aと扉1の一側面10、他側面11との間に隙間が生じてガタつくようになった場合には、工具を用いてねじ57を締め付けることで各台座取付面4a,5aを扉1の一側面10、他側面11に押しつけてガタつくことがないようにできる。
【0024】
連結柱51は基部柱54と小径部55と係止鍔53を一体としても良い。
また、連結柱51は小径部55を備えずに、基部柱54の先端に係止鍔53を有した形状としても良い。
また、連結柱51は一対に限ることはなく、3本以上設けても良く、その場合には1つのパターンの連結用孔41は3つ以上で、連結柱51の本数と同じ数とする。
【0025】
一側台座4の外周壁部42及び他側台座5の外周壁部52にはカバー49,57をそれぞれ着脱自在に嵌合して取り付けてある。
【0026】
他側ハンドル22の軸部23には角軸24が連結してある。この角軸24を扉1内に設けた錠12を貫通して一側ハンドル20の軸部21の角孔25に嵌合して止めビスで固定してある。
【0027】
操作部材はハンドル2に限ることはなく、引手、錠などでも良い。
例えば、図7に示すように一側台座4の中心孔40に、摘みを備えた回転子26を回転自在に挿入して扉1内の錠12と連結し、他側台座5の中心孔50にキーで回転される回転子27を回転自在に挿入して扉1内の錠12と連結したサムターンとすることができる。
【0028】
一側台座4は樹脂製、例えば樹脂材を用いた射出成形品で、他側台座5はアルミ製又は樹脂製であるが、これに限ることはなく、任意の材料で製作することが可能である。
また、開閉体は扉に限ることはなく、障子、引戸、ドアなどでも良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1…扉(開閉体)、2…ハンドル(操作部材)、3…操作部材取付用座、4…一側台座、4a…台座取付面、5…他側台座、5a…台座取付面、10…一側面、11…他側面、21…軸部、23…軸部、40…中心孔、41…連結用孔、42…外周壁部、45…係止受面、46…内側筒体、47…プレート、48…外側筒体、50…中心孔、51…連結柱、53…係止鍔、54…基部柱、57…ねじ、57b…頭部(係止鍔)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7