特許第6076184号(P6076184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076184
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】車両用灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20170130BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170130BHJP
   F21Y 115/00 20160101ALN20170130BHJP
【FI】
   F21S8/12 292
   F21S8/12 210
   F21W101:10
   F21Y115:00
【請求項の数】3
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-85052(P2013-85052)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-207187(P2014-207187A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 照亮
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−029403(JP,A)
【文献】 特開2013−051031(JP,A)
【文献】 特開2012−069385(JP,A)
【文献】 特開2004−349120(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0314434(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1249003(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10−8/12
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される灯具ユニットであって、
光源と、
前記光源から出射された光の少なくとも一部が通過する投影レンズと、
前記光源から出射された光の一部を遮るように前記投影レンズの後方に配置され、回転軸を有するロータリーシェードと、
前記ロータリーシェードを前記回転軸周りに回転させる駆動機構とを備え、
前記ロータリーシェードは、
前記駆動機構が前記ロータリーシェードを第1角度位置まで回転させたときに、第1配光パターンの周縁の一部として前記投影レンズの前方に投影される第1端縁と、
前記駆動機構が前記ロータリーシェードを第2角度位置まで回転させたときに、前記第1配光パターンよりも照明面積の広い第2配光パターンの周縁の第1部分として前記投影レンズの前方に投影される第2端縁と、
前記回転軸の方向について異なる位置で前記第1端縁と前記第2端縁にそれぞれ交わるように、前記回転軸周りに延びるねじれ端面とを備え、
前記ねじれ端面は、前記ロータリーシェードの回転に伴って移動する前記第2配光パターンの周縁の第2部分として投影されるねじれ端縁を有し、
前記ねじれ端縁を除く前記ねじれ端面の一部に凹部が形成されている、灯具ユニット。
【請求項2】
前記第2配光パターンは、前記第1部分よりも下方と、当該第1部分よりも上方の領域における前記第2部分の左右いずれか一方とを照明する配光パターンであり、
前記駆動機構が前記ロータリーシェードを前記第1角度位置と前記第2角度位置の間で回転させたとき、前記第2部分は左右方向に移動する、請求項1に記載の灯具ユニット。
【請求項3】
前記第1配光パターンは、前記周縁の一部よりも下方のみを照明する配光パターンである、請求項2に記載の灯具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前照灯に搭載される灯具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の灯具ユニットとして、ロータリーシェードと称される部品を備えたものが知られている。ロータリーシェードは、車両の左右方向に延びる回転軸を有する部品であり、その周方向について異なる角度位置には、互いに異なる端縁形状を有する複数の遮光板が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ロータリーシェードがその回転軸周りに回転されることにより、当該複数の遮光板の一つが光源と投影レンズを結ぶ光路上に配置される。これにより光源から出射された光の一部が遮られ、端縁形状が投影レンズを通じて車両の前方に投影される。車両の前方に形成される配光パターンの周縁の一部は、端縁形状に応じた形状を有することとなる。光路上に配置される遮光板を選択することにより、単一の光源を用いつつも複数の配光パターンを選択的に形成することができる。
【0004】
複数の配光パターンとして、前方車両にグレアを与えないように近距離前方を照明するロービームパターンや、遠方まで前方の広範囲を照明するハイビームパターンが知られている。さらに、ハイビーム照射状態において前方に検出された車両や歩行者の存在する領域のみを非照明領域とすることにより、グレア抑制と前方視認性の確保を両立した配光パターンが知られている。本明細書においては、当該配光パターンを「部分的ハイビームパターン」と称する。
【0005】
特許文献1に記載のように、左前照灯においてハイビームパターンの右上部分を非照明領域とする部分的左ハイビームパターンを形成し、右前照灯においてハイビームパターンの左上部分を非照明領域とする部分的右ハイビームパターンを形成する。これらの配光パターンを重ね合わせることにより、上記の部分的ハイビームパターンを形成することができる。灯具ユニットの光軸を左右方向に旋回させるスイブル制御を行なうことにより、非照明領域の位置や大きさを変化させることができる。
【0006】
回転軸方向について異なる位置を接続するように回転軸周りに延びるねじれ端縁を備えたロータリーシェードが知られている(例えば特許文献2参照)。ねじれ端縁は、ハイビームパターン内に部分的に形成される非照明領域との境界として投影される部分である。ロータリーシェードの回転に伴い、投影に供されるねじれ端縁の位置が回転軸方向について変化する。これにより、照明を避ける前方車両や歩行者等の位置に応じて、非照明領域との境界の位置、すなわち非照明領域の位置や大きさを変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−5992号公報
【特許文献2】特開2010−232081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ねじれ端縁を形成可能な範囲(回転軸周りの中心角で定義可)は限られているため、ロータリーシェードの回転に伴う非照明領域との境界の可動範囲を大きく確保しようとすると、投影に供されるねじれ端縁の傾きは緩やかになり、非照明領域との境界が曖昧になる。また投影レンズに向かう光が、ねじれ端縁を形成する端面(ねじれ端面)によって遮られる量が増えるため、境界近傍の照度が低下する。
【0009】
よって本発明は、ロータリーシェードを用いて部分的ハイビームパターンを形成する場合において、非照明領域との境界の可動範囲を確保しつつ、当該境界を明瞭にするとともに、境界近傍の照度低下を回避しうる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる一態様は、車両に搭載される灯具ユニットであって、
光源と、
前記光源から出射された光の少なくとも一部が通過する投影レンズと、
前記光源から出射された光の一部を遮るように前記投影レンズの後方に配置され、回転軸を有するロータリーシェードと、
前記ロータリーシェードを前記回転軸周りに回転させる駆動機構とを備え、
前記ロータリーシェードは、
前記駆動機構が前記ロータリーシェードを第1角度位置まで回転させたときに、第1配光パターンの周縁の一部として前記投影レンズの前方に投影される第1端縁と、
前記駆動機構が前記ロータリーシェードを第2角度位置まで回転させたときに、前記第1配光パターンよりも照明面積の広い第2配光パターンの周縁の第1部分として前記投影レンズの前方に投影される第2端縁と、
前記回転軸の方向について異なる位置で前記第1端縁と前記第2端縁にそれぞれ交わるように、前記回転軸周りに延びるねじれ端面とを備え、
前記ねじれ端面は、前記ロータリーシェードの回転に伴って移動する前記第2配光パターンの周縁の第2部分として投影されるねじれ端縁を有し、
前記ねじれ端縁を除く前記ねじれ端面の一部に凹部が形成されている。
【0011】
このような構成によれば、ねじれ端縁の近傍を通過する光が遮られる量を抑制することができる。これにより、当該ねじれ端縁が前方に投影されることにより形成される非照明領域との境界近傍の照度低下を抑制し、当該境界を明瞭なものとしうる。
【0012】
前記第2配光パターンは、前記第1部分よりも下方と、当該第1部分よりも上方の領域における前記第2部分の左右いずれか一方とを照明する配光パターンとすることができる。この場合、前記駆動機構が前記ロータリーシェードを前記第1角度位置と前記第2角度位置の間で回転させたとき、前記第2部分は左右方向に移動する。
【0013】
ここで前記第1配光パターンは、前記周縁の一部よりも下方のみを照明する配光パターンとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る灯具ユニットが搭載された車両の全体構成を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る右灯具ユニットの一部を示す斜視図である。
図3】右灯具ユニットの構成要素間の位置関係を示す図である。
図4】右灯具ユニットが備える右ロータリーシェードの外観を示す斜視図である。
図5】右ロータリーシェードの回転角度位置と形成される配光パターンの関係を示す図である。
図6】右ロータリーシェードの回転角度位置と形成される配光パターンの関係を示す図である。
図7】右ロータリーシェードによる右モーターウェイパターンの形成について説明する図である。
図8】右ロータリーシェードのねじれ端面に形成された凹部を示す斜視図である。
図9】右灯具ユニットが備える支持部の構成を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る左灯具ユニットが備える左ロータリーシェードの外観を示す斜視図である。
図11】左ロータリーシェードの回転角度位置と形成される配光パターンの関係を示す図である。
図12】左ロータリーシェードの回転角度位置と形成される配光パターンの関係を示す図である。
図13】左右の灯具ユニットにより形成される部分的ハイビームパターンを示す図である。
図14】右ロータリーシェードのねじれ端面に形成された凹部の作用について説明する図である。
図15】支持部が備える遮光壁の作用について説明する図である。
図16】ねじれ端面に形成された凹部の変形例を示す斜視図である。
図17】右ロータリーシェードの変形例を示す斜視図である。
図18】変形例に係る右ロータリーシェードの回転角度位置と形成される配光パターンの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面を参照しつつ本発明に係る実施形態の例について以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。また以降の説明に用いる「右」および「左」は、運転席から見た左右の方向を示している。
【0016】
図1に本発明の一実施形態に係る前照灯装置12が搭載された車両10の全体構成を模式的に示す。前照灯装置12は、統合制御部14、車輪速センサ16、操舵角センサ17、およびカメラ18とともに前照灯制御システム11を構成している。
【0017】
統合制御部14は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM等を備え、車両10における様々な制御を実行する。
【0018】
車輪速センサ16は、車両10に組み付けられる左右の前輪および後輪の4つの車輪の各々に対応して設けられている。車輪速センサ16の各々は統合制御部14と通信可能に接続されており、車輪の回転速度に応じた信号を統合制御部14に出力する。統合制御部14は、車輪速センサ16から入力された信号を利用して車両10の速度を算出する。
【0019】
操舵角センサ17は、ステアリングホイールに設けられて統合制御部14と通信可能に接続されている。操舵角センサ17は、運転手によるステアリングホイールの操舵回転角に対応した信号を統合制御部14に出力する。統合制御部14は、操舵角センサ17から入力された信号を利用して車両10の進行方向を算出する。
【0020】
カメラ18は、例えばCCD(Charged Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を備え、車両前方を撮影して画像データを生成する。カメラ18は統合制御部14と通信可能に接続されており、生成された画像データは統合制御部14に出力される。
【0021】
前照灯装置12は、車両10の前部右寄りに配置される右前照灯ユニット22R、および車両10の前部左寄りに配置される左前照灯ユニット22Lを備えている。右前照灯ユニット22Rにおいては、ランプボディ23Rに透光カバー24Rが装着されて灯室25Rを区画形成している。
【0022】
図2は、右前照灯ユニット22Rの灯室25Rに収容されている右灯具ユニット30Rの一部を示す斜視図である。図3の(a)は、右灯具ユニット30Rを構成する一部の要素間の位置関係を示す垂直断面図である。右灯具ユニット30Rは、光源31、ヒートシンク32、リフレクタ33、投影レンズ34、レンズホルダ35、右ロータリーシェード36、駆動機構37、および支持部38を備えている。
【0023】
光源31は、白色発光ダイオード(LED)や有機EL素子などの半導体発光素子である。光源31は、ヒートシンク32に対して固定されている。ヒートシンク32は、光源31から発する熱を発散させるのに適した材質および形状とされている。光源31から出射された光は、リフレクタ33によって反射され前方に向かう。その光の少なくとも一部は、リフレクタ33の前方に配置された投影レンズ34を通過する。
【0024】
リフレクタ33は、車両10の前後方向に延びる光軸A1を中心軸とする略楕円球面を基調とする反射面を有している。光源31は、反射面の鉛直断面を構成する楕円の第1焦点に配置されている。これにより、光源31から出射された光が当該楕円の第2焦点に収束するように構成されている。
【0025】
投影レンズ34は樹脂製であり、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズである。投影レンズ34は、後方焦点Fがリフレクタ33の反射面の第2焦点に一致するように配置されており、後方焦点F上の像を車両10の前方に反転像として投影するように構成されている。投影レンズ34の周縁部はレンズホルダ35により保持され、ヒートシンク32に対して固定されている。
【0026】
図3の(b)は、右灯具ユニット30Rを構成する一部の要素間の位置関係を示す平面図である。右ロータリーシェード36は、光源31から出射された光の一部を遮るように、投影レンズ34の後方に配置されている。右ロータリーシェード36は回転軸A2を有しており、当該回転軸A2が、投影レンズ34の後方焦点Fの下方を通るように配置されている。
【0027】
駆動機構37は、右ロータリーシェード36の軸方向左側の端部に固定されている。駆動機構37は、モータと歯車機構を有しており、右ロータリーシェード36を回転軸A2周りに回転させる。具体的には、車両10の統合制御部14から入力される制御信号に応じてモータおよび歯車機構が駆動され、右ロータリーシェード36を当該信号に応じた角度および方向に回転させるように構成されている。
【0028】
支持部38は、右ロータリーシェード36の軸方向右側の端部を回転可能に支持している。図2に示すように、支持部38は、リフレクタ33が備える反射面の内側に配置されている。
【0029】
図4は、右ロータリーシェード36の外観を示す斜視図である。後に図5から図7を参照して詳述するように、駆動機構37による駆動に基づく回転角度に応じて異なる形状の端縁が、投影レンズ34の後方焦点Fに配置されるような周面および端面を有する形状とされている。
【0030】
光源31から出射された光は、リフレクタ33によって反射されて前方に向かう。その光の一部は、右ロータリーシェード36によって遮られる。このとき投影レンズ34の後方焦点Fに配置されている端縁の形状が、車両10の前方に形成される配光パターンの周縁の一部として投影される。
【0031】
図4に示すように、右ロータリーシェード36は、左側円筒部36a、右側円筒部36b、第1接続部36c、第2接続部36d、第3接続部36e、および第4接続部36fを備えている。
【0032】
左側円筒部36aは、回転軸A2に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A2を中心とする同心円となる形状を有している。左側円筒部36aには、回転軸A2と同軸の軸孔36a1が形成されている。軸孔36a1は、駆動機構37と結合される。
【0033】
右側円筒部36bは、回転軸A2に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A2を中心とする同心円となる形状を有している。右側円筒部36bには、回転軸A2と同軸の軸孔36b1が形成されている。軸孔36b1は、支持部38と結合される。
【0034】
第1接続部36cは、右側円筒部36bに連続して形成され、運転席から見て右側円筒部36bの左側に配置される部分である。第1接続部36cは、回転軸A2に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A2を中心とする同心半円となる形状を有している。当該同心半円の半径は、右側円筒部36bの断面を形成する同心円の半径よりも大きい。
【0035】
第2接続部36dは、運転席から見て第1接続部36cの左側に配置される部分であり、円筒部36d1、第1ねじれ端面36d2、および第2ねじれ端面36d3を有している。円筒部36d1は、回転軸A2に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A2を中心とする同心半円となる形状を基調とし、その一部が第1ねじれ端面36d2および第2ねじれ端面36d3により切り欠かれた形状を呈している。当該同心半円の半径は、第1接続部36cの断面を形成する同心円の半径よりも大きい。
【0036】
第3接続部36eは、第1接続部36cと第2接続部36dの円筒部36d1に連続して形成され、これらを接続する部分である。すなわち第3接続部36eは、第1接続部36cにより形成される半円筒状の周面と第2接続部36dの円筒部36d1により形成される周面とを接続するように、回転軸A2周りに延び、かつ回転軸A2の方向に沿って傾斜する面である。図3の(b)にも示すように、第2接続部36dと第3接続部36eの境界線は、投影レンズ34の後方焦点Fを通るように配置される。
【0037】
第4接続部36fは、左側円筒部36aと第2接続部36dの第2ねじれ端面36d3に連続して形成され、これらを接続する部分である。第1ねじれ端面36d2、第2ねじれ端面36d3、および第4接続部36fの形状については、図5および図6も参照しつつ、詳しく後述する。
【0038】
第1接続部36c、第2接続部36d、第3接続部36e、および第4接続部36fが形成する周面の一部は、それぞれ面取りされて回転軸A2と平行な向きに延びる平坦な端縁36gを形成している。図5の(a)は、端縁36gが投影レンズ34の後方焦点Fに配置される角度位置まで駆動機構37により回転された右ロータリーシェード36を、車両10の前方から見た状態を示している。
【0039】
このとき端縁36gは、第1水平部36g1、第2水平部36g2、および傾斜部36g3を含んでいる。第1水平部36g1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置されて水平方向に延び、第2接続部36dおよび第4接続部36fにより形成される部分である。第2水平部36g2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第1接続部36cにより形成される部分である。傾斜部36g3は、第1水平部36g1から第2水平部36g2に向かって下方に傾斜するように延び、第3接続部36eにより形成される部分である。
【0040】
図5の(b)は、この端縁36gが車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される配光パターンを示す図である。この配光パターンは、右ロービームパターン50に相当する。
【0041】
右ロービームパターン50は、その上端縁に第1水平カットオフライン51、第2水平カットオフライン52、および傾斜カットオフライン53を有している。以降の説明においては、第1水平カットオフライン51、第2水平カットオフライン52、および傾斜カットオフライン53を、必要に応じて「右横カットオフライン54」と総称する。
【0042】
第1水平カットオフライン51は、端縁36gの第1水平部36g1により形成されて水平線H−Hのやや下方において水平に延びており、対向車線側カットオフラインとして利用される。第2水平カットオフライン52は、端縁36の第2水平部36g2により形成されて水平線H−Hに沿って延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。傾斜カットオフライン53は、端縁36gの傾斜部36g3により形成され、第1水平カットオフライン51の左端から左上方に向かって斜めに延び、第2水平カットオフライン52の右端に接続している。
【0043】
すなわち、図5の(a)に示す位置まで駆動機構37が右ロータリーシェード36を回転させたとき、端縁36gが右横カットオフライン54として投影レンズ34の前方に投影される。端縁36gの上方を通過する光は、右ロービームパターン50として右横カットオフライン54の下方を照明する。
【0044】
図5の(c)は、図5の(a)に示す状態から車両10の前方に向けて約90度回転させた右ロータリーシェード36を、車両10の前方から見た状態を示している。第1接続部36c、第2接続部36d、第3接続部36e、および第4接続部36fは、それぞれの一部によって、回転軸A2に沿って連続した平坦面36hを形成している。平坦面36hは、左側円筒部36aと右側円筒部36bの間に空間36iを区画形成している。
【0045】
空間36iは、投影レンズ34の光軸A1を含む空間を開放している。そのため光源31から出射され、リフレクタ33により反射された光は、遮られることなく空間36iおよび投影レンズ34を通過し、車両10の前方に図5の(d)に示す右ハイビームパターン55を形成する。右ハイビームパターン55は、車両10の前方を遠方まで広範囲に照明する配光パターンである。
【0046】
図6の(a)は、図5の(a)に示す状態から車両の10の後方に向けて約90度回転させた右ロータリーシェード36を、車両10の前方から見た状態を示している。図6の(b)および(c)は、図6の(a)に示す状態から車両10の後方に向けてさらに回転させた右ロータリーシェード36を、車両10の前方から見た状態を示している。
【0047】
図4および図6の(a)〜(c)に示すように、第1ねじれ端面36d2は、第1縁部36d21、第2縁部36d22、第3縁部36d23、および第4縁部36d24により区画形成される端面である。
【0048】
第1縁部36d21は、第2接続部36dの円筒部36d1、および第4接続部36fと交わるとともに、第2ねじれ端面36d3との境界を定める直線状の端縁である。
【0049】
図6の(a)〜(c)より明らかなように、第1ねじれ端面36d2は、第2接続部36dの円筒部36d1のみならず、投影レンズ34の光軸A1に対応する位置を横切り、第3接続部36eと第1接続部36cの一部を切り欠くように延びている。第2縁部36d22は、円筒部36d1、第3接続部36e、および第1接続部36cの周面と順に交わりながら右側円筒部36bに接近する曲線状の端縁である。
【0050】
第3縁部36d23は、第1ねじれ端面36d2と平坦面36hの境界を定める直線状の端縁である。第2縁部36d22と第3縁部36d23は、第1接続部36cの周面と平坦面36hが交わる端縁36c1と交わっている。第4縁部36d24は、第1縁部36d21と第3縁部36d23を接続する曲線状の端縁である。
【0051】
第2ねじれ端面36d3は、第1縁部36d31、第2縁部36d32、および第1ねじれ端面36d2の第1縁部36d21により区画形成される端面である。
【0052】
第1縁部36d31は、端縁36gと交わる位置において第2接続部36dと第4接続部36fの境界を定め、円筒部36d1の周面と交わりながら第3接続部36eに接近し、第1ねじれ端面36d2の第1縁部36d21と交わる位置まで延びる曲線状の端縁である。このように延びることにより、円筒部36d1と第2ねじれ端面36d3の境界を定めている。
【0053】
第2縁部36d32は、端縁36gと交わる位置において第1縁部36d31とともに第2接続部36dと第4接続部36fの境界を定め、第4接続部36fの周面と交わりながら、第1ねじれ端面36d2の第1縁部36d21と交わる位置まで延びる曲線状の端縁である。このように延びることにより、第4接続部36fと第2ねじれ端面36d3の境界を定めている。
【0054】
図6の(a)に示す状態において、右ロータリーシェード36の上端部には、第1水平端縁36j1、第1傾斜端縁36j2、第2水平端縁36j3、および第2傾斜端縁36j4が現れる。
【0055】
第1水平端縁36j1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第1接続部36cの周面により形成される部分である。第2水平端縁36j3は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置されて水平方向に延び、第2接続部36dの円筒部36d1により形成される部分である。
【0056】
第1傾斜端縁36j2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、第1水平端縁36j1から第2水平端縁36j3に向かって上方に傾斜するように延び、第3接続部36eの周面により形成される部分である。第2傾斜端縁36j4は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置され、第2水平端縁36j3から第4接続部36fに向かって下方に傾斜するように延び、第1ねじれ端面36g2の第1縁部36d21により形成される部分である。
【0057】
図6の(d)は、第1水平端縁36j1、第1傾斜端縁36j2、第2水平端縁36j3、および第2傾斜端縁36j4が、車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される配光パターンを示す図である。この配光パターンは、部分的右ハイビームパターン60に相当し、右ロービームパターン50よりも照明面積が広い。
【0058】
部分的右ハイビームパターン60は、第1水平カットオフライン61、第1傾斜カットオフライン62、第2水平カットオフライン63、および第2傾斜カットオフライン64を有している。以降の説明においては、第1水平カットオフライン61、第1傾斜カットオフライン62、および第2水平カットオフライン63を、必要に応じて「右横カットオフライン65」と総称する。
【0059】
第1水平カットオフライン61は、第1水平端縁36j1により形成されて水平線H−Hに沿って延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。第2水平カットオフライン63は、第2水平端縁36j3により形成されて水平線H−Hのやや下方において水平に延びており、対向車線側カットオフラインとして利用される。
【0060】
第1傾斜カットオフライン62は、第1傾斜端縁36j2により形成され、第1水平カットオフライン61の右端から右下方に向かって斜めに延び、第2水平カットオフライン63の左端に接続している。第2傾斜カットオフライン64は、第2傾斜端縁36j4(第1ねじれ端面36d2の第1縁部36d21)により形成され、第2水平カットオフライン63の右端から右上方に向かって斜めに延びている。
【0061】
図6の(a)に示すように、運転席から見て第2傾斜端縁36j4の左側には、光が通過可能な空間36kが形成されている。当該空間36kを通過した光は、第2傾斜カットオフライン64の右側の領域を照明する。
【0062】
すなわち、図6の(a)に示す位置まで駆動機構37が右ロータリーシェード36を回転させたとき、第1水平端縁36j1、第1傾斜端縁36j2、および第2水平端縁36j3が、右横カットオフライン65として投影レンズ34の前方に投影される。また第1ねじれ端面36d2の一部である第1縁部36d21が、第2傾斜カットオフライン64として投影レンズ34の前方に投影される。右ロータリーシェード36の上方および空間36kを通過する光は、部分的右ハイビームパターン60として、右横カットオフライン65の下方、および当該右横カットオフライン65の上方の領域のうち、第2傾斜カットオフライン64の右側を照明する。
【0063】
図6の(b)は、図6の(a)に示す状態から車両10の後方に向けて約45度回転させた右ロータリーシェード36を、車両10の前方から見た状態を示している。このとき右ロータリーシェード36の上端部には、第1水平端縁36m1、第1傾斜端縁36m2、第2水平端縁36m3、および第2傾斜端縁36m4が現れる。
【0064】
第1水平端縁36m1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第1接続部36cの周面により形成される部分である。第2水平端縁36m3は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置されて水平方向に延び、第2接続部36dの円筒部36d1により形成される部分である。
【0065】
第1傾斜端縁36m2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、第1水平端縁36m1から第2水平端縁36m3に向かって上方に傾斜するように延び、第3接続部36eの周面により形成される部分である。第2傾斜端縁36m4は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置され、第2水平端縁36m3から第4接続部36fに向かって下方に傾斜するように延び、第1ねじれ端面36d2の第2縁部36d22により形成される部分である。
【0066】
図6の(e)は、第1水平端縁36m1、第1傾斜端縁36m2、第2水平端縁36m3、および第2傾斜端縁36m4が、車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される、部分的右ハイビームパターン60を示す図である。
【0067】
第1水平カットオフライン61は、第1水平端縁36m1により形成されて水平線H−Hに沿って延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。第2水平カットオフライン63は、第2水平端縁36m3により形成されて水平線H−Hのやや下方において水平に延びており、対向車線側カットオフラインとして利用される。
【0068】
第1傾斜カットオフライン62は、第1傾斜端縁36m2により形成され、第1水平カットオフライン61の右端から右下方に向かって斜めに延び、第2水平カットオフライン63の左端に接続している。第2傾斜カットオフライン64は、第2傾斜端縁36m4(第1ねじれ端面36d2の第2縁部36d22)により形成され、第2水平カットオフライン63の右端から右上方に向かって斜めに延びている。
【0069】
図6の(b)に示すように、運転席から見て第2傾斜端縁36m4の左側には、光が通過可能な空間36kが形成されている。当該空間36nを通過した光は、第2傾斜カットオフライン64の右側の領域を照明する。
【0070】
すなわち、図6の(b)に示す位置まで駆動機構37が右ロータリーシェード36を回転させたとき、第1水平端縁36m1、第1傾斜端縁36m2、および第2水平端縁36m3が、右横カットオフライン65として投影レンズ34の前方に投影される。また第1ねじれ端面36d2の一部である第2縁部36d22が、第2傾斜カットオフライン64として投影レンズ34の前方に投影される。右ロータリーシェード36の上方および空間36kを通過する光は、部分的右ハイビームパターン60として、右横カットオフライン65の下方、および当該右横カットオフライン65の上方の領域のうち、第2傾斜カットオフライン64の右側を照明する。
【0071】
右ロータリーシェード36が図6の(a)に示す状態から(b)に示す状態まで回転されるのに伴い、第2傾斜カットオフライン64として投影される第1ねじれ端面36d2の一部は、第1縁部36d21から第2縁部36d22に移行し、徐々に右側円筒部36bに近づいていく。これに伴って光が通過可能な空間36kは徐々に広くなっていく。したがって、第2傾斜カットオフライン64は徐々に左側へ移動し、その右側の照明領域の面積が大きくなる。これに伴って第2水平カットオフライン63は徐々に短くなる。
【0072】
図6の(c)は、図6の(b)に示す状態から車両10の後方に向けて約45度回転させた右ロータリーシェード36を、車両10の前方から見た状態を示している。このとき右ロータリーシェード36の上端部には、水平端縁36p1および傾斜端縁36p2が現れる。
【0073】
水平端縁36p1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第1接続部36cの端縁36c1により形成される部分である。傾斜端縁36p2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置され、水平端縁36p1から第4接続部36fに向かって下方に傾斜するように延び、第1ねじれ端面36d2の第2縁部36d22により形成される部分である。
【0074】
図6の(f)は、水平端縁36p1および傾斜端縁36p2が、車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される、部分的右ハイビームパターン60を示す図である。
【0075】
部分的右ハイビームパターン60は、第1水平カットオフライン61、および第2傾斜カットオフライン64を有している。第1水平カットオフライン61は、水平端縁36p1により形成されて水平線H−Hに沿って延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。第2傾斜カットオフライン64は、傾斜端縁36p2(第1ねじれ端面36d2の第2縁部36d22)により形成され、第1水平カットオフライン61の右端から右上方に向かって斜めに延びている。
【0076】
図6の(c)に示すように、運転席から見て傾斜端縁36p2の左側には、光が通過可能な空間36kが形成されている。当該空間36kを通過した光は、傾斜カットオフライン68の右側の領域を照明する。
【0077】
すなわち、図6の(c)に示す位置まで駆動機構37が右ロータリーシェード36を回転させたとき、水平端縁36p1が、第1水平カットオフライン61として投影レンズ34の前方に投影される。また第1ねじれ端面36d2の一部である第2縁部36d22が、第2傾斜カットオフライン64として投影レンズ34の前方に投影される。右ロータリーシェード36の上方および空間36kを通過する光は、第1水平カットオフライン61の下方、および当該第1水平カットオフライン61の上方の領域のうち、第2傾斜カットオフライン64の右側を照明する。
【0078】
右ロータリーシェード36が図6の(b)に示す状態から(c)に示す状態まで回転されるのに伴い、第2傾斜カットオフライン64として投影される第2縁部36d22は、さらに右側円筒部36bに近づいていく。これに伴って光が通過可能な空間36kはさらに広くなる。したがって、第2傾斜カットオフライン64はさらに左側へ移動し、第1傾斜カットオフライン62と第2水平カットオフライン63は形成されなくなる。
【0079】
図4に示すように、右ロータリーシェード36の第2ねじれ端面36d3は、回転軸A2の方向について異なる位置で第1ねじれ端面36d2および端縁36gに交わるように、回転軸A2の周りに延びている。
【0080】
したがって図5の(a)に示す状態から図6の(a)に示す状態まで右ロータリーシェード36を回転させる間、第2ねじれ端面36d3の第1縁部36d31が、右ロータリーシェード36の上端部に現れる。
【0081】
この第2ねじれ端面36d3の第1縁部36d31は、図6の(a)に破線で示す第2傾斜カットオフライン64’として投影レンズ34の前方に投影される。右ロータリーシェード36が回転されるのに伴い、第2ねじれ端面36d3の第1縁部36d31は、徐々に右側円筒部36bに近づいていく。これに伴い、第2ねじれ端面36d3の左方に位置する光が通過する空間36kは、徐々に広くなっていく。したがって、第2傾斜カットオフライン64’は徐々に左側へ移動し、その右側の照明領域の面積が大きくなる。
【0082】
上記のような第2ねじれ端面36d3は、右ロービームパターン50から部分的右ハイビームパターン60への移行を滑らかにし、運転者が感じる違和感を抑制するために形成されている。
【0083】
図7の(a)は、図5の(a)における線VII−VIIに沿う断面図であり、右ロータリーシェード36が光軸A1と交差する位置を、第1接続部36cの側から見た状態を示している。端縁36gが投影レンズ34の後方焦点Fに配置されており、図7の(b)に示す右ロービームパターン50が形成される。
【0084】
図7の(c)は、図7の(a)に示す状態から車両10の前方へ向けて所定の角度だけ回転させた右ロータリーシェード36を、図7の(a)と同様の断面図で示している。端縁36gが投影レンズ34の後方焦点Fよりも前方かつ下方に移動することにより、図7の(d)に示す右モーターウェイパターン58が形成される。
【0085】
右モーターウェイパターン58は、右ロービームパターン50の右横カットオフライン54が、その形状を維持したまま幾分上方に移動されることにより形成される配光パターンである。高速道路などにおいて前走車が存在しない場合に選択される配光パターンであり、右ハイビームパターン55よりも照明面積が小さいものの、右ロービームパターン50よりも上方かつ遠方を照明することができる。
【0086】
すなわち、右モーターウェイパターン58は、図5の(a)に示す角度位置から図5の(c)に示す角度位置まで、図6の(a)〜(c)に示す状態を経由しない側に右ロータリーシェード36を回転させることにより形成することができる。
【0087】
図8は、図3の(b)における矢印VIIIの方向から見た右ロータリーシェード36の一部を拡大して示す斜視図である。第1ねじれ端面36d2の一部には、凹部36d25が形成されている。具体的には、図4および図6の(a)〜(c)にも示すように、第1ねじれ端面36d2のうち、第1縁部36d21、第2縁部36d22、第3縁部36d23、および第4縁部36d24を除く部分に凹部36d25が形成されている。
【0088】
図9の(a)は、支持部38の構成を示す斜視図である。支持部38は、支持面38aに開口する円形かつ有底の孔38bを有している。孔38bの底部には、軸受突起38cが形成されている。右ロータリーシェード36の右側円筒部36bを孔38bに挿入することにより、軸受突起38cと軸孔36b1(図4参照)が嵌合し、右ロータリーシェード36は、支持部38により回転軸A2周りに回転可能に支持される。
【0089】
支持面38aには遮光壁38dが形成されている。遮光壁38dは、孔38bの上方において車両10の前後方向に延び、孔38bの周縁に沿って湾曲し、孔38bの後方において車両10の上下方向に延びている。
【0090】
図9の(b)は、右ロータリーシェード36が支持部38に装着された状態を、車両10の前方から見た図である。図9の(c)は、右ロータリーシェード36が支持部38に装着された状態を、車両10の後方から見た図である。
【0091】
遮光壁38dの外側面38d1は、右ロータリーシェード36の第1接続部36cの外周面と連続した同一面を形成するように配置されている。遮光壁38dは、その内側面38d2が右ロータリーシェード36の第1接続部36cと右側円筒部36bの境界部分に対向するように配置されている。
【0092】
左前照灯ユニット22Lの灯室25Lには、左灯具ユニット30Lが収容されている。左灯具ユニット30Lは、図2に示す右灯具ユニット30Rの右ロータリーシェード36を、後述する左ロータリーシェード46で置き換えたものに相当する。それ以外の構成は右灯具ユニット30Rと同一であるため、図示および繰り返しとなる説明は割愛する。
【0093】
図10は、左ロータリーシェード46の外観を示す斜視図である。後に図11および図12を参照して詳述するように、駆動機構37による駆動に基づく回転角度に応じて異なる形状の端縁が、投影レンズ34の後方焦点Fに配置されるような周面および端面を有する形状とされている。
【0094】
光源31から出射された光は、リフレクタ33によって反射されて前方に向かう。その光の一部は、左ロータリーシェード46によって遮られる。このとき投影レンズ34の後方焦点Fに配置されている端縁の形状が、車両10の前方に形成される配光パターンの周縁の一部として投影される。
【0095】
図10に示すように、左ロータリーシェード46は、左側円筒部46a、右側円筒部46b、第1接続部46c、第2接続部46d、第3接続部46e、および第4接続部46fを備えている。
【0096】
左側円筒部46aは、回転軸A3に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A3を中心とする同心円となる形状を有している。左側円筒部46aには、回転軸A3と同軸の軸孔46a1が形成されている。軸孔46a1は、駆動機構37と結合される。
【0097】
右側円筒部46bは、回転軸A3に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A3を中心とする同心円となる形状を有している。右側円筒部46bには、回転軸A3と同軸の軸孔46b1が形成されている。軸孔46b1は、支持部38と結合される。
【0098】
第1接続部46cは、左側円筒部46aに連続して形成され、運転席から見て左側円筒部46aの右側に配置される部分である。第1接続部46cは、回転軸A3に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A3を中心とする同心半円となる形状を有している。当該同心半円の半径は、左側円筒部46aの断面を形成する同心円の半径よりも大きい。
【0099】
第2接続部46dは、運転席から見て第1接続部46cの右側に配置される部分であり、円筒部46d1、第1ねじれ端面46d2、および第2ねじれ端面46d3を有している。円筒部46d1は、回転軸A3に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A3を中心とする同心半円となる形状を基調とし、その一部が第1ねじれ端面46d2および第2ねじれ端面46d3により切り欠かれた形状を呈している。当該同心半円の半径は、第1接続部46cの断面を形成する同心円の半径よりも小さい。
【0100】
第3接続部46eは、第1接続部46cと第2接続部46dの円筒部46d1に連続して形成され、これらを接続する部分である。すなわち第3接続部46eは、第1接続部46cにより形成される半円筒状の周面と第2接続部46dの円筒部46d1により形成される周面とを接続するように、回転軸A3周りに延び、かつ回転軸A3の方向に沿って傾斜する面である。図11および図12に示すように、第1接続部46cと第2接続部46dの境界線は、投影レンズ34の後方焦点Fを通るように配置される。
【0101】
第4接続部46fは、右側円筒部46bと第2接続部46dの第2ねじれ端面46d3に連続して形成され、これらを接続する部分である。第1ねじれ端面46d2、第2ねじれ端面46d3、および第4接続部46fの形状については、図11および図12も参照しつつ、詳しく後述する。
【0102】
第1接続部46c、第2接続部46d、第3接続部46e、および第4接続部46fが形成する周面の一部は、それぞれ面取りされて回転軸A3と平行な向きに延びる平坦な端縁46gを形成している。図11の(a)は、端縁46gが投影レンズ34の後方焦点Fに配置される角度位置まで駆動機構37により回転された左ロータリーシェード46を、車両10の前方から見た状態を示している。
【0103】
このとき端縁46gは、第1水平部46g1、第2水平部46g2、および傾斜部46g3を含んでいる。第1水平部46g1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置されて水平方向に延び、第1接続部46cにより形成される部分である。第2水平部46g2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第2接続部46dおよび第4接続部46fにより形成される部分である。傾斜部46g3は、第1水平部46g1から第2水平部46g2に向かって下方に傾斜するように延び、第3接続部46eにより形成される部分である。
【0104】
図11の(b)は、この端縁46gが車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される配光パターンを示す図である。この配光パターンは、左ロービームパターン70に相当する。
【0105】
左ロービームパターン70は、その上端縁に第1水平カットオフライン71、第2水平カットオフライン72、および傾斜カットオフライン73を有している。以降の説明においては、第1水平カットオフライン71、第2水平カットオフライン72、および傾斜カットオフライン73を、必要に応じて「左横カットオフライン74」と総称する。
【0106】
第1水平カットオフライン71は、端縁46gの第1水平部46g1により形成されて水平線H−Hのやや下方において水平に延びており、対向車線側カットオフラインとして利用される。第2水平カットオフライン72は、端縁46の第2水平部46g2により形成されて水平線H−Hに沿って延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。傾斜カットオフライン73は、端縁46gの傾斜部46g3により形成され、第1水平カットオフライン71の左端から左上方に向かって斜めに延び、第2水平カットオフライン72の右端に接続している。
【0107】
すなわち、図11の(a)に示す位置まで、駆動機構37が左ロータリーシェード46を回転させたとき、端縁46gが左横カットオフライン74として投影レンズ34の前方に投影される。端縁46gの上方を通過する光は、左ロービームパターン70として左横カットオフライン74の下方を照明する。
【0108】
図11の(c)は、図11の(a)に示す状態から車両10の前方に向けて約90度回転させた左ロータリーシェード46を、車両10の前方から見た状態を示している。第1接続部46c、第2接続部46d、第3接続部46e、および第4接続部46fは、それぞれの一部によって、回転軸A3に沿って連続した平坦面46hを形成している。平坦面46hは、左側円筒部46aと右側円筒部46bの間に空間46iを区画形成している。
【0109】
空間46iは、投影レンズ34の光軸A1を含む空間を開放している。そのため光源31から出射され、リフレクタ33により反射された光は、遮られることなく空間46iおよび投影レンズ34を通過し、車両10の前方に図11の(d)に示す左ハイビームパターン75を形成する。左ハイビームパターン75は、車両10の前方を遠方まで広範囲に照明する配光パターンである。
【0110】
図12の(a)は、図11の(a)に示す状態から車両の10の後方に向けて約90度回転させた左ロータリーシェード46を、車両10の前方から見た状態を示している。図12の(b)と(c)は、図12の(a)に示す状態から車両10の後方に向けてさらに回転させた左ロータリーシェード46を、車両10の前方から見た状態を示している。
【0111】
図10および図12の(a)〜(c)に示すように、第1ねじれ端面46d2は、第1縁部46d21、第2縁部46d22、第3縁部46d23、および第4縁部46d24により区画形成される端面である。
【0112】
第1縁部46d21は、第2接続部46dの円筒部46d1、および第4接続部46fと交わるとともに、第2ねじれ端面46d3との境界を定める直線状の端縁である。
【0113】
図12の(a)〜(c)より明らかなように、第1ねじれ端面46d2は、第2接続部46dの円筒部46d1のみならず、投影レンズ34の光軸A1に対応する位置を横切り、第3接続部46eと第1接続部46cの一部を切り欠くように延びている。第2縁部46d22は、円筒部46d1、第3接続部46e、および第1接続部46cの周面と順に交わりながら左側円筒部46aに接近する曲線状の端縁である。
【0114】
第3縁部46d23は、第1ねじれ端面46d2と平坦面46hの境界を定める直線状の端縁である。第2縁部46d22と第3縁部46d23は、第1接続部46cの周面と平坦面46hが交わる端縁46c1と交わっている。第4縁部46d24は、第1縁部46d21と第3縁部46d23を接続する曲線状の端縁である。
【0115】
第2ねじれ端面46d3は、第1縁部46d31、第2縁部46d32、および第1ねじれ端面46d2の第1縁部46d21により区画形成される端面である。
【0116】
第1縁部46d31は、端縁46gと交わる位置において第2接続部46dと第4接続部46fの境界を定め、円筒部46d1の周面と交わりながら第3接続部46eに接近し、第1ねじれ端面46d2の第1縁部46d21と交わる位置まで延びる曲線状の端縁である。このように延びることにより、円筒部46d1と第2ねじれ端面46d3の境界を定めている。
【0117】
第2縁部46d32は、端縁46gと交わる位置において第1縁部46d31とともに第2接続部46dと第4接続部46fの境界を定め、第4接続部46fの周面と交わりながら、第1ねじれ端面46d2の第1縁部46d21と交わる位置まで延びる曲線状の端縁である。このように延びることにより、第4接続部46fと第2ねじれ端面46d3の境界を定めている。
【0118】
図12の(a)に示す状態において、左ロータリーシェード46の上端部には、第1水平端縁46j1、第1傾斜端縁46j2、第2水平端縁46j3、および第2傾斜端縁46j4が現れる。
【0119】
第1水平端縁46j1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置されて水平方向に延び、第1接続部46cの周面により形成される部分である。第2水平端縁46j3は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第2接続部46dの円筒部46d1により形成される部分である。
【0120】
第1傾斜端縁46j2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、第1水平端縁46j1から第2水平端縁46j3に向かって下方に傾斜するように延び、第3接続部46eの周面により形成される部分である。第2傾斜端縁46j4は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、第2水平端縁46j3から第4接続部46fに向かって下方に傾斜するように延び、第1ねじれ端面46g2の第1縁部46d21により形成される部分である。
【0121】
図12の(d)は、第1水平端縁46j1、第1傾斜端縁46j2、第2水平端縁46j3、および第2傾斜端縁46j4が、車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される配光パターンを示す図である。この配光パターンは、部分的左ハイビームパターン80に相当し、左ロービームパターン70よりも照明面積が広い。
【0122】
部分的左ハイビームパターン80は、第1水平カットオフライン81、第1傾斜カットオフライン82、第2水平カットオフライン83、および第2傾斜カットオフライン84を有している。以降の説明においては、第1水平カットオフライン81、第1傾斜カットオフライン82、および第2水平カットオフライン83を、必要に応じて「左横カットオフライン85」と総称する。
【0123】
第1水平カットオフライン81は、第2水平端縁46j3により形成されて水平線H−Hのやや下方において水平に延びており、対向車線側カットオフラインとして利用される。第2水平カットオフライン83は、第1水平端縁46j1により形成されて水平線H−Hに沿って延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。
【0124】
第1傾斜カットオフライン82は、第1傾斜端縁46j2により形成され、第1水平カットオフライン81の左端から左上方に向かって斜めに延び、第2水平カットオフライン83の右端に接続している。第2傾斜カットオフライン84は、第2傾斜端縁46j4(第1ねじれ端面46d2の第1縁部46d21)により形成され、第2水平カットオフライン83の左端から左上方に向かって斜めに延びている。
【0125】
図12の(a)に示すように、運転席から見て第2傾斜端縁46j4の右側には、光が通過可能な空間46kが形成されている。当該空間46kを通過した光は、第2傾斜カットオフライン84の左側の領域を照明する。
【0126】
すなわち、図12の(a)に示す位置まで駆動機構37が左ロータリーシェード46を回転させたとき、第1水平端縁46j1、第1傾斜端縁46j2、および第2水平端縁46j3が、左横カットオフライン85として投影レンズ34の前方に投影される。また第1ねじれ端面46d2の一部である第1縁部46d21が、第2傾斜カットオフライン84として投影レンズ34の前方に投影される。左ロータリーシェード46の上方および空間46kを通過する光は、部分的左ハイビームパターン80として、左横カットオフライン85の下方、および当該左横カットオフライン85の上方の領域のうち、第2傾斜カットオフライン84の左側を照明する。
【0127】
図12の(b)は、図12の(a)に示す状態から車両10の後方に向けて約45度回転させた左ロータリーシェード46を、車両10の前方から見た状態を示している。このとき左ロータリーシェード46の上端部には、水平端縁46m1、第1傾斜端縁46m2、および第2傾斜端縁46m4が現れる。
【0128】
水平端縁46m1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置されて水平方向に延び、第1接続部46cの周面により形成される部分である。第1傾斜端縁46m2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、水平端縁46m1から下方に傾斜するように延び、第3接続部46eの周面により形成される部分である。第2傾斜端縁46m4は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、第2水平端縁46m3から第4接続部46fに向かって下方に傾斜するように延び、第1ねじれ端面46d2の第2縁部46d22により形成される部分である。
【0129】
図12の(e)は、水平端縁46m1、第1傾斜端縁46m2、および第2傾斜端縁46m4が、車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される、部分的左ハイビームパターン80を示す図である。
【0130】
第1水平カットオフライン81は、第1水平端縁46m1により形成されて水平線H−Hのやや下方を水平に延びており、対向車線側カットオフラインとして利用される。第1傾斜カットオフライン82は、第1傾斜端縁46m2により形成され、第1水平カットオフライン81の左端から左上方に向かって斜めに延び、第2傾斜カットオフライン84の右端に接続している。第2傾斜カットオフライン84は、第2傾斜端縁46m4(第1ねじれ端面46d2の第1縁部46d22)により形成され、第2傾斜カットオフライン82の左端から左上方に向かって斜めに延びている。
【0131】
図12の(b)に示すように、運転席から見て第2傾斜端縁46m4の右側には、光が通過可能な空間46kが形成されている。当該空間46kを通過した光は、第2傾斜カットオフライン84の右側の領域を照明する。
【0132】
すなわち、図12の(b)に示す位置まで駆動機構37が左ロータリーシェード46を回転させたとき、水平端縁46m1および第1傾斜端縁46m2が、左横カットオフライン85として投影レンズ34の前方に投影される。また第1ねじれ端面46d2の一部である第2縁部46d22が、第2傾斜カットオフライン84として投影レンズ34の前方に投影される。左ロータリーシェード46の上方および空間46kを通過する光は、部分的左ハイビームパターン80として、左横カットオフライン85の下方、および当該左横カットオフライン85の上方の領域のうち、第2傾斜カットオフライン84の左側を照明する。
【0133】
左ロータリーシェード46が図12の(a)に示す状態から(b)に示す状態まで回転されるのに伴い、第2傾斜カットオフライン84として投影される第1ねじれ端面46d2の一部は、第1縁部46d21から第2縁部46d22に移行し、徐々に左側円筒部46aに近づいていく。これに伴い、光が通過可能な空間46kは徐々に広くなる。したがって、第2傾斜カットオフライン84は徐々に右側へ移動し、その左側の照明領域の面積が大きくなる。これに伴い、第2水平カットオフライン83は形成されなくなる。
【0134】
図12の(c)は、図12の(b)に示す状態から車両10の後方に向けて約45度回転させた左ロータリーシェード46を、車両10の前方から見た状態を示している。このとき左ロータリーシェード46の上端部には、水平端縁46p1および傾斜端縁46p2が現れる。
【0135】
第1水平端縁46p1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも左側に配置されて水平方向に延び、第1接続部46cの端縁46c1により形成される部分である。傾斜端縁46p2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、水平端縁46p1から第4接続部46fに向かって下方に傾斜するように延び、第1ねじれ端面46d2の第2縁部46d22により形成される部分である。
【0136】
図12の(f)は、水平端縁46p1および傾斜端縁46p2が、車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される、部分的左ハイビームパターン80を示す図である。
【0137】
部分的左ハイビームパターン80は、水平カットオフライン81、および第2傾斜カットオフライン84を有している。水平カットオフライン81は、水平端縁46p1により形成されて水平線H−Hのやや下方において水平に延びており、対向車線側カットオフラインとして利用される。第2傾斜カットオフライン84は、傾斜端縁46p2(第1ねじれ端面46d2の第2縁部46d22)により形成され、水平カットオフライン87の左端から左上方に向かって斜めに延びている。
【0138】
図12の(c)に示すように、運転席から見て傾斜端縁46p2の右側には、光が通過可能な空間46kが形成されている。当該空間46kを通過した光は、第2傾斜カットオフライン84の左側の領域を照明する。
【0139】
すなわち、図12の(c)に示す位置まで駆動機構37が左ロータリーシェード46を回転させたとき、水平端縁46p1が、水平カットオフライン81として投影レンズ34の前方に投影される。また第1ねじれ端面46d2の一部である第2縁部46d22が、第2傾斜カットオフライン84として投影レンズ34の前方に投影される。左ロータリーシェード46の上方および空間46kを通過する光は、部分的左ハイビームパターン86として、水平カットオフライン87の下方、および当該水平カットオフライン87の上方の領域のうち、第2傾斜カットオフライン84の左側を照明する。
【0140】
左ロータリーシェード46が図12の(b)に示す状態から(c)に示す状態まで回転されるのに伴い、傾斜カットオフライン84として投影される第2縁部46d22は、さらに左側円筒部46aに近づいていく。これに伴って光が通過可能な空間36kはさらに広くなる。したがって、第2傾斜カットオフライン84はさらに右側へ移動する。
【0141】
図10に示すように、左ロータリーシェード46の第2ねじれ端面46d3は、回転軸A3の方向について異なる位置で第1ねじれ端面46d2および端縁46gに交わるように、回転軸A3の周りに延びている。
【0142】
したがって図11の(a)に示す状態から図12の(a)に示す状態まで左ロータリーシェード46を回転させる間、第2ねじれ端面46d3の第1縁部46d31が、左ロータリーシェード46の上端部に現れる。
【0143】
この第2ねじれ端面46d3の第1縁部46d31は、図12の(a)に破線で示す第2傾斜カットオフライン84’として投影レンズ34の前方に投影される。左ロータリーシェード46が回転されるのに伴い、第2ねじれ端面46d3の第1縁部46d31は、徐々に左側円筒部46aに近づいていく。これに伴い、第2ねじれ端面46d3の右方に位置する光が通過する空間46kは、徐々に広くなっていく。したがって、第2傾斜カットオフライン84’は徐々に右側へ移動し、その左側の照明領域の面積が大きくなる。
【0144】
上記のような第2ねじれ端面46d3は、左ロービームパターン70から部分的左ハイビームパターン80への移行を滑らかにし、運転者が感じる違和感を抑制するために形成されている。
【0145】
図7を参照して説明した右ロータリーシェード36と同様に、左ロータリーシェード46を図11の(a)に示す状態から車両10の前方へ向けて所定の角度だけ回転させることにより、図7の(d)と同様の形状を有する左モーターウェイパターンを形成することができる。
【0146】
右モーターウェイパターンは、左ロービームパターン70の左横カットオフライン74が、その形状を維持したまま幾分上方に移動されることにより形成される配光パターンである。高速道路などにおいて前走車が存在しない場合に選択される配光パターンであり、右ハイビームパターン75よりも照明面積が小さいものの、左ロービームパターン70よりも上方かつ遠方を照明することができる。
【0147】
すなわち、左モーターウェイパターンは、図11の(a)に示す角度位置から図11の(c)に示す角度位置まで、図12の(a)〜(c)に示す状態を経由しない側に左ロータリーシェード46を回転させることにより形成することができる。
【0148】
図10および図12の(a)〜(c)に示すように、第1ねじれ端面46d2の一部には、凹部46d25が形成されている。具体的には、第1ねじれ端面46d2のうち、第1縁部46d21、第2縁部46d22、第3縁部46d23、および第4縁部46d24を除く部分に凹部46d25が形成されている。
【0149】
次に図13を参照しつつ、上述の構成を有する右灯具ユニット30Rおよび左灯具ユニット30Lにより形成される配光パターンを説明する。図13の(a)は、右灯具ユニット30Rにより形成された部分的右ハイビームパターン60を模式的に示す図である。図13の(b)は、左灯具ユニット30Lにより形成された部分的左ハイビームパターン80を模式的に示す図である。
【0150】
右灯具ユニット30Rにおいては、右ロータリーシェード36が光源31から出射する光の一部を遮ることにより、図13の(a)に示すように、ハイビームパターンの一部に右側非照明領域RSが形成される。右側非照明領域RSは、第2傾斜カットオフライン64対応する右縦カットオフラインRCを含んでいる。
【0151】
右ロータリーシェード36を回転させることにより、その角度位置に応じて右縦カットオフラインRCがハイビーム照射領域内を左右方向に移動し、右側非照明領域RSの面積が変化する。換言すると、部分的右ハイビームパターン60の形状が変化する。
【0152】
左灯具ユニット30Lにおいては、左ロータリーシェード46が光源31から出射する光の一部を遮ることにより、図13の(b)に示すように、ハイビームパターンの一部に左側非照明領域LSが形成される。左側非照明領域LSは、第2傾斜カットオフライン84に対応する左縦カットオフラインLCを有している。
【0153】
左ロータリーシェード46を回転させることにより、その角度位置に応じて左縦カットオフラインLCがハイビーム照射領域内を左右方向に移動し、左側非照明領域LSの面積が変化する。換言すると、部分的左ハイビームパターン80の形状が変化する。
【0154】
図13の(c)は、上記の部分的右ハイビームパターン60および部分的左ハイビームパターン80を重ね合わせて得られる部分的ハイビームパターン90を示している。右側非照明領域RSと左側非照明領域LSが重ね合わされた部分は非照明領域Sとなる。
【0155】
非照明領域Sはハイビーム照射領域に検出された前走車のグレアを抑制するために形成するものである。図13の(c)では自車線上に前走車F1が存在しており、当該前走車F1が非照明領域Sに収まるように右縦カットオフラインRCと左縦カットオフラインLCの位置が定められている。
【0156】
前走車が存在しない場合は、右灯具ユニット30Rおよび左灯具ユニット30Lにおいて、右ロータリーシェード36と左ロータリーシェード46を、それぞれ光源31から出射される光を遮らない角度位置(図5の(c)および図11の(c)に示す状態)まで回転させることにより、右ハイビームパターン55と左ハイビームパターン75を形成する。これらを重ね合わせることにより、非照明領域Sを含まないハイビームパターンが形成される。
【0157】
統合制御部14は、カメラ18が取得した車両10の前方画像に基づいて、前方車両や歩行者等の有無を検出し、部分的ハイビームパターンPHを形成することの要否を判断する。部分的ハイビームパターンPHの形成が必要と判断された場合、カメラ18を通じて検出された対象物の位置、車輪速センサ16が検出した車両10の速度、および操舵角センサ17が検出した車両10の進行方向に基づき、形成すべき非照明領域Sの位置および範囲を決定する。
【0158】
上述のように、非照明領域Sの位置および範囲は、右縦カットオフラインRCと左縦カットオフラインLCの位置、すなわち右ロータリーシェード36と左ロータリーシェード46の角度位置により定まる。統合制御部14は、決定した位置および範囲の非照明領域Sを実現しうる角度位置まで右ロータリーシェード36と左ロータリーシェード46を回転させる制御信号を生成し、右灯具ユニット30Rと左灯具ユニット30Lの駆動機構37へそれぞれ送信する。
【0159】
右灯具ユニット30Rと左灯具ユニット30Lの駆動機構37は、それぞれ右ロータリーシェード36と左ロータリーシェード46を制御信号が指定する方向および角度に回転させ、光源31から出射されてリフレクタ33に反射された光の一部を遮光する。これにより所望の非照明領域Sを有する部分的ハイビームパターン90が、車両10の前方に形成される。
【0160】
上記の構成を有する右灯具ユニット30Rにおいては、駆動機構37が右ロータリーシェード36を図5の(a)に示す角度位置(第1角度位置の一例)まで回転させたとき、端縁36g(第1端縁の一例)が、右ロービームパターン50の右横カットオフライン54(第1配光パターンの周縁の一部の一例)として投影レンズ34の前方に投影される。駆動機構37が右ロータリーシェード36を図6の(c)に示す角度位置(第2角度位置の一例)まで回転させたとき、水平端縁36p1(第2端縁の一例)が、部分的右ハイビームパターン60の第1水平カットオフライン61(第2配光パターンの周縁の第1部分の一例)として投影レンズ34の前方に投影される。
【0161】
右ロータリーシェード36は、第1ねじれ端面36d2と第2ねじれ端面36d3(ねじれ端面の一例)を備えている。第1ねじれ端面36d2と第2ねじれ端面36d3は、回転軸A2の方向について異なる位置で端縁36gと水平端縁36p1にそれぞれ交わる。第1ねじれ端面36d2は、第1縁部36d21と第2縁部36d22を有している。第2ねじれ端面36d3は、第1縁部36d31を有している。図6に示したように、これらの縁部(ねじれ端縁の一例)は、右ロータリーシェード36の回転に伴って移動する第2傾斜カットオフライン64(第2配光パターンの周縁の第2部分の一例)として、投影レンズ34の前方に投影される。
【0162】
図4図6、および図8を参照して説明したように、第1ねじれ端面36d2のうち、第1縁部36d21、第2縁部36d22、第3縁部36d23、および第4縁部36d24を除く部分に凹部36d25が形成されている。
【0163】
図14の(a)は、図3の(b)における矢印XIVの方向から見た右ロータリーシェード36の一部を拡大して示す斜視図である。光源31より出射されてリフレクタ33により反射された光は、様々な方向から投影レンズ34に向かって進行する。このとき特に投影レンズ34への入射光量に及ぼす影響が大きいのが、当該方向から入射する光である。具体的には、投影レンズ34の後方焦点Fの後方から、光軸A1に向かって空間36kを通過する光である。
【0164】
図14の(b)は、同方向から見た比較例に係る右ロータリーシェード36Aの一部を拡大して示す斜視図である。右ロータリーシェード36Aは、ねじれ端面36d2Aを備えている。ねじれ端面36d2Aには凹部が形成されていない。
【0165】
リフレクタ33により反射され、空間36kAを通過する光の一部は、ねじれ端面36d2Aにより遮られる。その結果、図14の(c)に示す右縦カットオフラインRCAが形成される。実線で示す右縦カットオフラインRCは、縁部36d22Aが前方に投影されることにより形成されるものである。
【0166】
すなわち、ねじれ端面36d2Aにより光が遮られることによって、右縦カットオフラインRCの近傍の照度は下がり、縁部36d24Aの輪郭が投影されたものに対応する右縦カットオフラインRCAが形成される。特に投影レンズ34への入射光量に大きな影響を及ぼす矢印XIV方向からの入射光がねじれ端面36d2により遮られるため、非照明領域との境界近傍の照度が大きく低下し、当該境界が不明瞭になる。
【0167】
一方、本実施形態の構成によれば、第1ねじれ端面36d2に凹部36d25が形成されているため、第2縁部36d22の近傍を通過する光が遮られる量を抑制することができる。これにより、本来の意図通りに第2縁部36d22を右縦カットオフラインRCとして前方に投影させることができる。また右縦カットオフラインRC近傍の照度低下を防止することができる。
【0168】
図14の(c)から判るように、右縦カットオフラインRCの水平軸Hに対する傾斜角度は、比較例に係る右縦カットオフラインRCAの同傾斜角度よりも大きい。したがって非照明領域との境界をより明瞭なものとすることができる。
【0169】
また凹部36d25は、少なくとも第1縁部36d21と第2縁部36d22を除く第1ねじれ端面36d2の一部に形成されている。これらの縁部は、右縦カットオフラインRC(第2傾斜カットオフライン64)として前方に投影される部分である。したがって、非照明領域との境界の可動範囲を本来の意図通りに確保しつつ、上述した境界の明瞭化や照度低下防止を実現することができる。
【0170】
図2を参照して説明したように、支持部38は、リフレクタ33が備える反射面の内側に配置されている。このような構成とすることにより、右灯具ユニット30Rの左右方向の寸法を小さくでき、例えば隣接する灯具ユニット間の距離を縮めることができる。すなわち、右前照灯ユニット22Rの設計自由度を向上させることができる。
【0171】
図15の(a)は、支持部38に右ロータリーシェード36が装着された状態を、車両10の前方から見た図である。図15の(b)は、比較例に係る支持部38Aに右ロータリーシェード36が装着された状態を、同方向から見た図である。
【0172】
右ロータリーシェード36を支持部38に装着する場合、第1接続部36cと支持面38aの間の隙間をなくすことは困難である。比較例に係る支持部38Aをリフレクタ33の反射面の内側に配置した場合、反射光が隙間Gを通過して右ロータリーシェード36による遮光が不十分となる。そのため、図15の(c)に示すように、漏れ光による筋LLが、右ロービームパターン50の第2水平カットオフライン52上に現れる。
【0173】
一方、本実施形態の構成によれば、支持部38が遮光壁38dを備えている。遮光壁38dの内側面38d2は、右ロータリーシェード36の第1接続部36cと右側円筒部36bの境界部分(上述の隙間G)に対向するように配置されている。
【0174】
したがって、支持部38をリフレクタ33の反射面の内側に配置した構成においても、反射光が隙間Gを通過することがない。したがって図15の(c)に示す漏れ光による筋LLの発生を防止できる。
【0175】
また遮光壁38dの外側面d1は、右ロータリーシェード36の第1接続部36cの外周面と連続した同一面を形成するように配置されている。したがって、外側面38d1が第2水平カットオフライン52の一部として前方に投影される。
【0176】
これにより、支持部38をリフレクタ33の反射面の内側に配置した構成においても、不連続性のない第2水平カットオフライン52を形成することができ、運転者に違和感を感じさせることのない右ロービームパターン50を形成することができる。
【0177】
図7を参照して説明したように、右ロービームパターン50を形成している状態から、右ロータリーシェード36を車両10の前方へ所定角度だけ回転させることにより、右モーターウェイパターン58を形成することができる。すなわち、端縁36gを投影レンズ34の後方焦点Fよりも前方かつ下方に移動させることにより、右横カットオフライン54の位置を上昇させている。
【0178】
右横カットオフライン54は、投影レンズ34の後方焦点Fを通過する端縁により形成されることが好ましい。しかしながら、当該端縁を形成することができるロータリーシェードの外周面の範囲は限られている。よって右モーターウェイパターン58専用の端縁を設けようとすると、ねじれ端面を形成可能な範囲が制限され、右縦カットオフラインRCの可動範囲を大きく確保することが困難となる。
【0179】
本実施形態の構成によれば、右ロービームパターン50を形成する角度位置から右ハイビームパターン55を形成する角度位置まで、部分的右ハイビームパターン60を形成する角度位置を経由しない側に右ロータリーシェード36を回転させることにより、右モーターウェイパターン58を形成する。
【0180】
したがって、右モーターウェイパターン58を形成可能とするにあたって、右縦カットオフラインRCの可動範囲を定める第1ねじれ端面36d2と第2ねじれ端面36d3の形成範囲や形状が影響を受けることがない。すなわち、意図通りの右縦カットオフラインRCの形状および可動範囲を確保しつつ、形成可能な配光パターンを1つ増やすことができる。
【0181】
なお上述の説明は、左右を適宜に読み替えることにより、左灯具ユニット30Lについても適用可能である。
【0182】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
【0183】
少なくとも第1縁部36d21と第2縁部36d22を除く第1ねじれ端面36d2の一部に形成される限りにおいて、凹部36d25の位置および形状は、配光パターンに求められる要求設計事項に基づいて適宜に定められうる。
【0184】
例えば、図16の(a)に示すように、第2縁部36d22から離れた側に凹部36d25を形成した場合、空間36kの下側を通過する光量が増すため、第2傾斜カットオフライン64における上側部分の輪郭を比較的鮮明にすることができる。
【0185】
一方、図16の(b)に示すように、第2縁部36d22に近い側に凹部36d25を形成した場合、空間36kの上側を通過する光量が増すため、第2傾斜カットオフライン64における下側部分の輪郭を比較的鮮明にすることができる。
【0186】
ねじれ端面の一例である第2ねじれ端面36d3の一部に、凹部36d25と同様の凹部を形成してもよい。このとき当該凹部は、少なくとも第1縁部36d31を除く位置に形成される。この場合、図6の(d)に示す第2傾斜カットオフライン64’についても、第2傾斜カットオフライン64と同様の配光改善を得ることができる。
【0187】
なお凹部36d25の変形例に係る上記の説明は、左右を適宜に読み替えることにより、左ロータリーシェード46についても適用可能である。
【0188】
右ロータリーシェード36の形状は、上記の実施形態に限られるものではない。図17に示す形状の右ロータリーシェード136を用いることもできる。ロータリーシェード136は、左側円筒部136a、右側円筒部136b、第1接続部136c、および第2接続部136dを備えている。
【0189】
左側円筒部136aは、回転軸A4に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A4を中心とする同心円となる形状を有している。左側円筒部136aには、回転軸A4と同軸の軸孔136a1が形成されている。軸孔136a1は、駆動機構37と結合される。
【0190】
右側円筒部136bは、回転軸A4に沿う向きから見た断面形状が、回転軸A4を中心とする同心円となる形状を有している。右側円筒部136bには、回転軸A4と同軸の軸孔136b1が形成されている。軸孔136b1は、支持部38に結合される。
【0191】
第1接続部136cは、右側円筒部136bに連続して形成され、運転席から見て右側円筒部136bの左側に配置される部分である。第1接続部136cは、回転軸A4に沿う向きから見て、回転軸A4を中心とする同心円が切り欠かれた断面形状を有している。当該同心円の半径は、右側円筒部136bの断面を形成する同心円の半径よりも大きい。
【0192】
第2接続部136dは、左側円筒部136aと第1接続部136cに連続して形成され、これらを接続する部分である。第2接続部136dは、回転軸A4に沿う向きから見て、回転軸A4を中心とする同心円が切り欠かれた断面形状を有している。当該同心円の半径は、左側円筒部136aおよび右側円筒部136bの断面を形成する同心円の半径よりも小さい。
【0193】
第1接続部136cは、第1端縁136c1、および第2端縁136c2を有している。第1端縁136c1および第2端縁136c2は、回転軸A4と平行な向きに延びる端縁である。第1端縁136c1の左端部136c11は、第2端縁136c2の左端部136c21よりも左側、すなわち左側円筒部136a1に近い側に位置している。
【0194】
第1接続部136cは、さらに周面136c3、ねじれ端縁136c4、およびねじれ端面136c5を有している。ねじれ端面136c5の一部には、凹部136c6が形成されている。
【0195】
周面136c3は、第1端縁136c1と第2端縁136c2の間を、回転軸A4と同心状に延びる面である。ねじれ端縁136c4は、第1端縁136c1の左端部136c11と第2端縁136c2の左端部136c21を接続するように、回転軸A4周りに延びる端縁である。すなわち、回転軸A4の方向について異なる位置で第1端縁136c1と第2端縁136c2にそれぞれ交わっている。ねじれ端面136c5は、ねじれ端縁136c4と第2接続部136dに連続して形成され、これらを接続する部分である。
【0196】
図18の(a)は、右ロータリーシェード136の第1端縁136c1を投影レンズ34の後方焦点Fに配置した状態(第1角度位置の一例)を、車両10の前方から見た状態を示している。このとき右ロータリーシェード136の上端部には、水平端縁136j1と傾斜端縁136j2が現れる。
【0197】
水平端縁136j1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第1接続部136cの第1端縁136c1により形成される部分である。傾斜端縁136j2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1より左側に配置され、水平端縁136j1から第2接続部136dに向かって下方に傾斜するように延び、ねじれ端縁136c4の一部により形成される部分である。
【0198】
図18の(d)は、水平端縁136j1と傾斜端縁136j2が車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される部分的右ハイビームパターン160(第1配光パターンの一例)を示す図である。部分的右ハイビームパターン160は、右横カットオフライン161と右縦カットオフライン162を有している。
【0199】
右横カットオフライン161は、水平端縁136j1(第1端縁136c1)により形成され、水平線H−Hに対して幾分傾斜して延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。右縦カットオフライン162は、傾斜端縁136j2(ねじれ端縁136c4)により形成され、右横カットオフライン161の右端から右上方に向かって斜めに延びている。
【0200】
図18の(a)に示すように、運転席から見て傾斜端縁136j2の左側における第2接続部136dの上方には、光が通過可能な空間136kが形成されている。当該空間136kを通過した光は、右縦カットオフライン162の右側の領域を照明する。
【0201】
図18の(b)は、図18の(a)に示す状態から車両10の後方に向けて約90度回転させた右ロータリーシェード136を、車両10の前方から見た状態を示している。このとき右ロータリーシェード136の上端部には、水平端縁136m1と傾斜端縁136m2が現れる。
【0202】
水平端縁136m1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第1接続部136cの周面136c3により形成される部分である。傾斜端縁136m2は、投影レンズ34の光軸A1の近傍に配置され、水平端縁136m1から第2接続部136dに向かって下方に傾斜するように延び、ねじれ端縁136c4の一部により形成される部分である。
【0203】
図18の(e)は、水平端縁136m1と傾斜端縁136m2が車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される部分的右ハイビームパターン160である。
【0204】
右横カットオフライン161は、水平端縁136m1により形成され、水平線H−Hに対して幾分傾斜して延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。右縦カットオフライン162は、傾斜端縁136m2(ねじれ端縁136c4)により形成され、右横カットオフライン161の右端から右上方に向かって斜めに延びている。
【0205】
図18の(b)に示すように、運転席から見て傾斜端縁136m2の左側における第2接続部136dの上方には、光が通過可能な空間136kが形成されている。当該空間136kを通過した光は、右縦カットオフライン162の右側の領域を照明する。
【0206】
図18の(c)は、図18の(b)に示す状態から車両10の後方に向けて約90度回転させ、右ロータリーシェード136の第2端縁136c2を投影レンズ34の後方焦点Fに配置した状態(第2角度位置の一例)を、車両10の前方から見た状態を示している。このとき右ロータリーシェード136の上端部には、水平端縁136p1および傾斜端縁136p2が現れる。
【0207】
水平端縁136p1は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置されて水平方向に延び、第1接続部136cの第2端縁136c2により形成される部分である。傾斜端縁136p2は、運転席から見て投影レンズ34の光軸A1よりも右側に配置され、水平端縁136p1から第2接続部136dに向かって下方に傾斜するように延び、ねじれ端縁136c4の一部により形成される部分である。
【0208】
図18の(f)は、水平端縁136p1と傾斜端縁136p2が車両10の前方に配置された仮想鉛直スクリーンに投影されることにより形成される部分的右ハイビームパターン160(第2配光パターンの一例)であり、図18の(d)に示した配光パターン(第1配光パターンの一例)よりも照明面積が広い。
【0209】
右横カットオフライン161(第2配光パターンの周縁の第1部分の一例)は、水平端縁136p1(第2端縁136c2)により形成され、水平線H−Hに対して幾分傾斜して延びており、自車線側カットオフラインとして利用される。右縦カットオフライン162(第2配光パターンの周縁の第2部分の一例)は、傾斜端縁136p2(ねじれ端縁136c4)により形成され、右横カットオフライン161の右端から右上方に向かって斜めに延びている。
【0210】
図18の(c)に示すように、運転席から見て傾斜端縁136p2の左側における第2接続部136dの上方には、光が通過可能な空間136kが形成されている。当該空間136kを通過した光は、右縦カットオフライン162の右側の領域を照明する。
【0211】
右ロータリーシェード136を図18の(a)に示す状態から(c)に示す状態まで回転させると、ねじれ端縁136c4の傾斜カットオフライン62として投影される部分が、第1端縁136c1の側から第2端縁136c2の側へ移行する。これに伴い、光が通過可能な空間136kは徐々に広くなっていく。したがって、右縦カットオフライン162は徐々に左側へ移動し、その右側の照明領域の面積が大きくなる。これに伴い、右横カットオフライン161は徐々に短くなる。
【0212】
逆に右ロータリーシェード136を図18の(c)に示す状態から(a)に示す状態まで回転させると、ねじれ端縁136c4の傾斜カットオフライン62として投影される部分が、第2端縁136c2の側から第1端縁136c1の側へ移行する。これに伴い、光が通過可能な空間136kは徐々に狭くなっていく。したがって、右縦カットオフライン162は徐々に右側へ移動し、その右側の照明領域の面積が小さくなる。これに伴い、右横カットオフライン161は徐々に長くなる。
【0213】
左灯具ユニット30Lは、上述の右ロータリーシェード136と左右対称の形状を有する左ロータリーシェードを備えている。当該左ロータリーシェードにより形成される部分的左ハイビームパターンは、図18の(d)から(f)に示した部分的右ハイビームパターン160と左右対称の形状となる。
【0214】
上記の実施形態においては、主として色収差対策の容易性という観点から、光源31として半導体発光素子を用い、投影レンズ34として樹脂性レンズを用いている。しかしながら、光源31としてはレーザ光源や、ランプ光源(白熱ランプ、ハロゲンランプ、放電ランプ、ネオンランプなど)を用いてもよい。また投影レンズ34としては、ガラスレンズを用いてもよい。
【符号の説明】
【0215】
30R:右灯具ユニット、30L:左灯具ユニット、31:光源、34:投影レンズ、36:右ロータリーシェード、36d2:第1ねじれ端面、36d21:第1縁部、36d22:第2縁部、36d25:凹部、36d3:第2ねじれ端面、36d31:第1縁部、36g:端縁、36p1:水平端縁、37:駆動機構、46:左ロータリーシェード、46d2:第1ねじれ端面、46d21:第1縁部、46d22:第2縁部、46d25:凹部、46d3:第2ねじれ端面、46d31:第1縁部、46g:端縁、46p1:水平端縁、50:右ロービームパターン、54:右横カットオフライン、60:部分的右ハイビームパターン、64:第2傾斜カットオフライン、65:右横カットオフライン、70:左ロービームパターン、74:左横カットオフライン、80:部分的左ハイビームパターン、84:第2傾斜カットオフライン、85:左横カットオフライン、A2:右ロータリーシェードの回転軸、A3:左ロータリーシェードの回転軸
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