(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076213
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】エンジン作業機の吸気ダクト
(51)【国際特許分類】
F02B 63/00 20060101AFI20170130BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20170130BHJP
F02B 77/13 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
F02B63/00 D
F02B63/04 D
F02B77/13 M
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-143180(P2013-143180)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-17504(P2015-17504A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100963
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 陽男
(72)【発明者】
【氏名】尾鷲 真一
(72)【発明者】
【氏名】木村 匡宏
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−293270(JP,A)
【文献】
特開2009−121409(JP,A)
【文献】
実開昭63−171632(JP,U)
【文献】
特開2003−264957(JP,A)
【文献】
実開昭50−106532(JP,U)
【文献】
特開昭53−149128(JP,A)
【文献】
特開2002−030940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/00
F02B 63/04
F02B 77/13
B60K 13/02
F01P 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の上端より上方に延びて、吸気口対向面と上面が開口した箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に空気を整流する複数枚の仕切板を配設して、前記吸気ガイドの内側に形成される空気流路を複数の流路に分割したことを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト。
【請求項2】
前記複数に分割された流路の内の一部の、選択された流路の上面開口を封止し、該流路における前記吸気ガイド上部の背面又は側面に開口を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン作業機の吸気ダクト。
【請求項3】
エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の一側端より横方向に延びて、吸気口対向面と横方向先端面が開口した箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気口と横方向に直交する面と平行に空気を整流する複数枚の仕切板を配設して、前記吸気ガイドの内側に形成される空気流路を複数の流路に分割したことを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト。
【請求項4】
エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の下端より下方に延びて、吸気口対向面と上面が開口した前記吸気口の横幅より幅広な箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気ガイドの上端部から、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に、前記吸気ガイドより長さが短い2枚の仕切板を前記吸気口を挟んで配設し、該2枚の仕切板で挟まれる流路の上面開口を封止したことを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト。
【請求項5】
エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の上端より上方に延びて、吸気口対向面と下面が開口した前記吸気口の横幅より幅広な箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気ガイドの下端部から、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に、前記吸気ガイドより長さが短い2枚の仕切板を前記吸気口を挟んで配設し、該2枚の仕切板で挟まれる流路の下面開口を封止したことを特徴とするエンジン作業機の吸気ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機,エンジン溶接機,エンジンコンプレッサのようなエンジン作業機の筐体内に冷却用の空気を取り込むための吸気ダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路工事等の屋外作業現場では、エンジン、及び該エンジンにより駆動される発電機,溶接機,コンプレッサ等の作業機本体を一つの筐体内に収納したエンジン作業機が稼働している。そのようなエンジン作業機の筐体は、屋外における使用において構成機器が直接風雨等に曝されることがないようにすると共に、運転時の騒音が機外に漏出することを防止するため、鋼鉄製とし、その内壁には吸音材を貼り付けている。
【0003】
また、エンジン作業機では、内部に収容されたエンジン本体やエンジンのラジエータを冷却するために、筐体内に冷却ファンを配置すると共に、冷却用の外気を機内に導入するための吸気口を筐体の壁面に設けている。
【0004】
そして、吸気口の機内側には、機内で発生した騒音が機外に漏出するのを防止したり、吸気口を通して塵芥や雨水等が機内に浸入するのを防止したりするための吸気ダクトが設けられる。その吸気ダクトにおいて、ダクト内の空気流の乱れにより、空気の導入が制限され、吸気口や吸入流路の面積を増大しても、それに見合った空気流量の増大が得られない場合がある。そこで、吸気口や吸入流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができるようにした技術が、特許文献1で提案されている。
【0005】
図8は、従来のエンジン作業機の吸気ダクトを示す図である。筐体の側壁11に形成された吸気口12の機内側下端部に本体側案内体13の下端縁を配設し、該本体側案内体13の幅方向の両辺からそれぞれ突出する側板を設けて、上方のみが開口するようにして吸気口12を内側から覆う。そのようにして、吸気口12より取り込まれた空気を上方に導く流路が形成される。この流路内に中間案内体14を配置して、前記吸気口12を高さ方向の中間位置において上下に分割すると共に、前記流路内を前後2つの流路に分割した。
【0006】
その結果、流路内に中間案内体14を配置するという簡単な構成で、吸気口12の上端部で生じる局部的な風速の上昇を解消して、吸気口12のいずれの位置においても空気流の風速を平均化することができ、吸気口12や吸入流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができる。また、空気流の風速を平均化することができた結果、風切音を低減させることができる。さらに、空気の流路内を中間案内体14によって複数の流路に画成したことにより、個々の吸入流路が狭く、機内の騒音が直接吸気口12を抜け難く、しかも、筐体の内側において吸気口12は本体側案内体13と中間案内体14によって二重に覆われているために、吸気口12を介して漏出しようとする騒音は、本体側案内体13と中間案内体14によって二重に遮られ、漏出する騒音をさらに低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−121409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のエンジン作業機の吸気ダクトには、本体側案内体13と中間
案内体14を前後に二重に配設する必要があるため、吸気ダクトの奥行き寸法が大きくなり、その分、機内に大きなスペースを確保する必要があるという問題点があった。
【0009】
本発明は、そのような問題点に鑑み、吸気ダクトの奥行き寸法を大きくすることなく、空気流の乱れにより空気の導入が制限されるのを防止するとともに、機内の騒音が外部に漏れ出るのを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本願の請求項1にかかる発明は、エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の上端より上方に延びて、吸気口対向面と上面が開口した箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に
空気を整流する複数枚の仕切板を配設して、前記吸気ガイドの内側に形成される空気流路を複数の流路に分割したことを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記複数に分割された流路の内の一部の、選択された流路の上面開口を封止し、該流路における前記吸気ガイド上部の背面又は側面に開口を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3にかかる発明は、エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の一側端より横方向に延びて、吸気口対向面と横方向先端面が開口した箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気口と横方向に直交する面と平行に
空気を整流する複数枚の仕切板を配設して、前記吸気ガイドの内側に形成される空気流路を複数の流路に分割したことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4にかかる発明は、エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の下端より下方に延びて、吸気口対向面と上面が開口した前記吸気口の横幅より幅広な箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気ガイドの上端部から、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に、前記吸気ガイドより長さが短い2枚の仕切板を前記吸気口を挟んで配設し、該2枚の仕切板で挟まれる流路の上面開口を封止したことを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項5にかかる発明は、エンジン作業機のドア又は筐体側壁に設けた吸気口の機内側に、前記吸気口の上端より上方に延びて、吸気口対向面と下面が開口した前記吸気口の横幅より幅広な箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気ガイドの下端部から、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に、前記吸気ガイドより長さが短い2枚の仕切板を前記吸気口を挟んで配設し、該2枚の仕切板で挟まれる流路の下面開口を封止したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1にかかる発明においては、吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、吸気口と縦方向に直交する面と平行に
空気を整流する複数枚の仕切板を配設して、前記吸気ガイドの内側に形成される空気流路を複数の流路に分割したので、吸気ガイドと
仕切板より成る吸気ダクトの奥行き寸法は大きくならない。また、空気の流れが仕切板によって整流されるため、乱流が生じにくくなって、内部を流れる空気流の風速を平均化でき、空気の流れが良くなり、吸気口や吸気ガイドの流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができる。また、空気の乱流の発生を抑えた結果、風切音を低減させることができる。さらに、吸気ガイドの流路内を仕切板によって複数の流路に画成したことにより、個々の吸入流路が狭く、機内の騒音は直接吸気口を抜け難くなるために、吸気口から機内の騒音が外部に漏れ難くなる。
【0017】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるエンジン作業機の吸気ダクトにおいて、複数に分割された流路の内の一部の、選択された流路の上面開口を封止し、該流路における吸気ガイド上部の背面又は側面に開口を設けるようにしたので、空気流路の上面開口の内、騒音源に近い開口を選択的に封止でき、機外に漏れ出る騒音を低く抑えることができる。
【0018】
また、請求項3にかかる発明においては、吸気口の一側端より横方向に延びて、吸気口対向面と横方向先端面が開口した箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気口と横方向に直交する面と平行に
空気を整流する複数枚の仕切板を配設して、前記吸気ガイドの内側に形成される空気流路を複数の流路に分割したので、請求項1に記載の吸気ダクトと同様に、吸気ガイドと仕切板より成る吸気ダクトの奥行き寸法を大きくすることなく、また、吸気口や吸気ガイドの流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができる。しかも、吸気ガイドはすべて横方向に開口しているため、上方にエンジン等の騒音源がある場合に、騒音源から全開口を遠ざけることができ、機外に漏れ出る騒音をより一層低く抑えることができる。また、吸気ガイドの開口をエンジンのラジエータがある方向に向けて配設し、機外から取り入れた外気をラジエータに直接当てることができて、冷却効果を向上させることも可能になる。
【0019】
また、請求項4にかかる発明においては、吸気口の下端より下方に延びて、吸気口対向面と上面が開口した前記吸気口の横幅より幅広な箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気ガイドの上端部から、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に、前記吸気ガイドより長さが短い2枚の仕切板を前記吸気口を挟んで配設し、該2枚の仕切板で挟まれる流路の上面開口を封止した。その結果、請求項1に記載の吸気ダクトと同様に、吸気ガイドと仕切板より成る吸気ダクトの奥行き寸法を大きくすることなく、また、吸気口や吸気ガイドの流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができる。しかも、空気流路は、2枚の仕切板で挟まれる部分と、それぞれの仕切板と吸気ガイドで挟まれる左右両側の部分とに形成され、吸気口から吸引された外気は、2枚の仕切板で挟まれる流路を下方に流れ、仕切板の下端部で折り返して、左右両側の流路を上方に向かい、上方開口から機内に導入されるので、空気が流れる流路が長くなって、その分、機外に漏れ出る騒音を抑えることができる。
【0020】
また、請求項5にかかる発明においては、吸気口の上端より上方に延びて、吸気口対向面と下面が開口した前記吸気口の横幅より幅広な箱形の吸気ガイドを取り付け、該吸気ガイドの内側に形成される空気流路内に、前記吸気ガイドの下端部から、前記吸気口と縦方向に直交する面と平行に、前記吸気ガイドより長さが短い2枚の仕切板を前記吸気口を挟んで配設し、該2枚の仕切板で挟まれる流路の下面開口を封止した。その結果、請求項1に記載の吸気ダクトと同様に、吸気ガイドと仕切板より成る吸気ダクトの奥行き寸法を大きくすることなく、また、吸気口や吸気ガイドの流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができる。しかも、空気流路は、2枚の仕切板で挟まれる部分と、それぞれの仕切板と吸気ガイドで挟まれる左右両側の部分とに形成され、吸気口から吸引された外気は、2枚の仕切板で挟まれる流路を上方に流れ、仕切板の上端部で折り返して、左右両側の流路を下方に向かい、下方開口から機内に導入されるので、空気が流れる流路が長くなって、その分、機外に漏れ出る騒音を抑えることができる上、吸気ガイドの下方のみが開口しているため、エンジンや冷却ファン等の騒音源より下方に開口させることができて、騒音が機外に漏れ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例に係るエンジン作業機の吸気ダクトの概略構造を示す図である。
【
図2】
図1の吸気ダクトの吸気ガイド及び仕切板を示す図である。
【
図7】吸気ガイドと仕切板に吸音材を貼り付けた状態を示す図である。
【
図8】従来のエンジン作業機の吸気ダクトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の一実施例に係るエンジン作業機の吸気ダクトの概略構造を示す図であり、
図2は、
図1の吸気ダクトの吸気ガイド及び仕切板を示す図である。
図1,2において、1はエンジン作業機のドア、2は吸気口、3は吸気ガイド、4は仕切板である。
【0025】
エンジン作業機のドア1に吸気口2が設けられており、吸気口2は、9段6列に配置された小孔により形成されている。そのような吸気口2の機内側に、吸気ガイド3が設けられている。吸気ガイド3は、吸気口2に対向する面と上面が開口した箱形をしており、その上端部は、吸気口2の上端より上方に延びている。また、吸気ガイド3の底面は、吸気口2から雨等が吹き込んでも、機内に流れ込まず、機外に排出されるように、前側が低くなるように傾斜させている。さらに、吸気ガイド3の内側には、吸気口2と縦方向に直交する面と平行に、吸気口2の上端部から吸気ガイド3の上端部まで延びる2枚の仕切板4,4を、吸気口2の9段6列に配置された小孔を3等分した位置に等間隔に配設し、吸気ガイド3の内側に形成される空気流路を三つの流路に分割している。
【0026】
吸気口2から吸引された外気は、吸気ガイド3内を通って、図中矢印で示すように、上方開口から作業機内部に導入される。その際、仕切板4を設けないと、吸気ガイド3内を流れる空気が互いに影響しあって乱流が発生し、空気の流れが悪くなるが、本発明では、空気の流れが仕切板4によって整流されるため、乱流が生じにくくなって、内部を流れる空気流の風速を平均化でき、空気の流れが良くなる。
【0027】
その結果、吸気口2や吸気ガイド3の流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができる。また、空気の乱流の発生を抑えた結果、風切音を低減させることができる。さらに、吸気ガイド3の流路内を仕切板4によって複数の流路に画成したことにより、個々の吸入流路が狭く、機内の騒音は直接吸気口2を抜け難くなるために、吸気口2から機内の騒音が外部に漏れ難くなる。また、吸気ガイド3の流路を横方向に分割するので、吸気ガイド3と仕切板4とより成る吸気ダクトの奥行き寸法は大きくならない。
【0028】
なお、上記実施例では、吸気口2をドア1に設けたが、それに限定されず、吸気口2は、筐体側壁に設けても良い。また、仕切板4は2枚設けたが、3枚以上設けてもよい。
【実施例2】
【0029】
図3は、本発明の第2実施例を示す図である。符号1〜4は
図1,
図2のものに対応しており、5は封止板、6は開口である。この実施例では、仕切板4で三つに分割された流路の内の一部の、選択された流路、例えば、左右の流路の上面開口を封止板5で封止し、該流路における吸気ガイド上部の背面や側面に開口6,7を設けている。
【0030】
エンジン作業機で、空気流路の開口が、エンジンや冷却ファン等の騒音源より下方に開口させることができないとか、騒音源の近くにくると、空気流路を介して機外に漏れ出る騒音が大きくなってしまう。そこで、空気流路の上面開口の内、騒音源に近い開口は、封止板5で封止し、上面開口を封止した流路については、吸気ガイド上部の背面や側面に開口6,7を設けて、それらの開口6,7を通して空気を機内に導入する。その結果、機内に導入される空気は、図中矢印で示すように、それぞれ異なった方向に流れ出ることになる。そのようにすれば、騒音源近くには開口がなくなるので、機外に漏れ出る騒音を低く抑えることができる。
【実施例3】
【0031】
図4は、本発明の第3実施例を示す図である。符号1〜4は、
図1,
図2のものに対応している。吸気口2の機内側に、吸気ガイド3が設けられている。吸気ガイド3は、吸気口2の対向面と横方向先端面が開口していて、吸気口2の一側端、例えば左端より吸気口2を覆いながら横方向に延びている。また、吸気ガイド3の内側には、吸気口2と直交する面内で、吸気口2の左端部から吸気ガイド3の先端部まで横方向に延びる2枚の仕切板4,4を配設し、吸気ガイド3の内側に形成される空気流路を三つの流路に分割している。
【0032】
そして、吸気口2から吸引された外気は、吸気ガイド3内を横方向に通って、図中矢印で示すように、吸気ガイド3の右端開口から作業機内部に導入される。その際、吸気ガイド3内の空気の流れが仕切板4によって整流され、乱流が生じにくくなって、内部を流れる空気流の風速を平均化でき、空気の流れが良くなる。
【0033】
その結果、上記各実施例と同様に、吸気ガイド3と仕切板4,4より成る吸気ダクトの奥行き寸法を大きくすることなく、また、吸気口や吸気ガイドの流路の面積を拡張することなく空気の取り込み量を増加させることができる。しかも、吸気ガイド3はすべて横方向に開口しているため、上方にエンジン等の騒音源がある場合に、騒音源から全開口を遠ざけることができ、機外に漏れ出る騒音をより一層低く抑えることができる。また、吸気ガイド3の開口をエンジンのラジエータがある方向に向けて配設すれば、吸気口2から取り入れた外気をラジエータに直接当てることができて、冷却効果を向上させることも可能になる。
【実施例4】
【0034】
図5は、本発明の第4実施例を示す図である。符号1〜4は、
図1,
図2のものに対応しており、8は封止板である。この実施例では、9段3列に配置された小孔により形成される吸気口2をドア1のやや高い位置に設け、該吸気口2の機内側に、吸気口2の下端より下方に延びて、吸気口対向面と上面が開口した吸気口2の横幅より幅広な箱形の吸気ガイド3を取り付けている。そして、該吸気ガイド3の内側に形成される空気流路内に、吸気口2と直交する方向に、吸気口2を挟んで、吸気ガイド3の上端部から下方に延びるように、吸気ガイド3より長さが短い2枚の仕切板4,4を配設し、該2枚の仕切板4,4で挟まれる流路の上面開口を、封止板8で封止している。
【0035】
その結果、空気流路は、仕切板4,4で挟まれる部分と、それぞれの仕切板4と吸気ガイド3の側板で挟まれる左右両側の部分とに形成され、吸気口2から吸引された外気は、
仕切板4,4で挟まれる流路を下方に流れ、仕切板4,4の下端部で折り返して、左右両側の流路を上方に向かい、図中矢印で示すように、上方開口から機内に導入される。
【0036】
この実施例によれば、空気が流れる流路が長くなって、その分、機外に漏れ出る騒音を抑えることができる。
【実施例5】
【0037】
図6は、本発明の第5実施例を示す図である。符号1〜4は
図1,
図2のものに対応しており、9は封止板である。この実施例では、9段3列に配置された小孔により形成される吸気口2をドア1の低い位置に設け、該吸気口2の機内側に、吸気口2の上端より上方に延びて、吸気口対向面と下面が開口した吸気口2の横幅より幅広な箱形の吸気ガイド3を取り付けている。そして、該吸気ガイド3の内側に形成される空気流路内に、吸気口2と直交する方向に、吸気口2を挟んで、吸気ガイド3の下端部から上方に延びるように、吸気ガイド3より長さが短い2枚の仕切板4,4を配設し、該2枚の仕切板4,4で挟まれる流路の下面開口を、封止板9で封止している。
【0038】
その結果、空気流路は、仕切板4,4で挟まれる部分と、それぞれの仕切板4と吸気ガイド3の側板で挟まれる左右両側の部分とに形成され、吸気口2から吸引された外気は、仕切板4,4で挟まれる流路を上方に流れ、仕切板4,4の上端部で折り返して、左右両側の流路を下方に向かい、図中矢印で示すように、下方開口から機内に導入される。
【0039】
この実施例によれば、空気が流れる流路が長くなって、その分、機外に漏れ出る騒音を抑えることができる上、吸気ガイド3の下方のみが開口しているため、エンジンや冷却ファン等の騒音源より下方に開口させることができて、騒音が機外に漏れ難くなる。
【0040】
なお、上記各実施例の吸気ダクトでは、
図7に示すように、吸気ガイド3の内面と仕切板4の両面に、発泡ウレタンシート等よりなる吸音材10を貼り付ける。そのようにすれば、より一層の騒音低減効果が得られる。
【符号の説明】
【0041】
1 ドア
2 吸気口
3 吸気ガイド
4 仕切板
5,8,9 封止板
6,7 開口
10 吸音材