特許第6076218号(P6076218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076218
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】ホルダ付きレンズおよびホルダ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   G02B7/02 B
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-149110(P2013-149110)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-22091(P2015-22091A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】篠原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 進
(72)【発明者】
【氏名】久保田 隆
【審査官】 川俣 洋史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−037055(JP,A)
【文献】 特開2008−203418(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0212209(US,A1)
【文献】 特開2004−354473(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0240084(US,A1)
【文献】 特開2009−215140(JP,A)
【文献】 特開平09−033780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ内でレンズが成形されることにより前記ホルダに前記レンズが保持され、かつ、基板面に表面実装されるホルダ付きレンズであって、
前記ホルダは、前記レンズが成形される円柱状の貫通孔を備え、断面が多角形の各角部を円弧形状にした筒状に設けられ、
前記ホルダの各角部が、それぞれ、前記貫通孔の中心を中心とする同じ曲率半径の円弧面とされ、これら円弧面が前記レンズの成形時に前記ホルダの位置決めに用いられることを特徴とするホルダ付きレンズ。
【請求項2】
前記ホルダの断面において、前記貫通孔の中心が、前記多角形の重心と異なることを特徴とする請求項1に記載のホルダ付きレンズ。
【請求項3】
前記ホルダの断面形状は、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部が隣り合う一対ずつの前記角部に分けられ、各対となる2つの前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに同じ長さに設定されているとともに、異なる対の前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なる長さに設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホルダ付きレンズ。
【請求項4】
前記ホルダの断面形状は、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部のうちの少なくとも3つの前記角部は、それぞれ前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なるように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホルダ付きレンズ。
【請求項5】
ホルダ内でレンズが成形されることにより前記ホルダに前記レンズが保持され、かつ、基板面に表面実装されるホルダ付きレンズであって、
前記ホルダは、前記レンズが成形される円柱状の貫通孔を備える筒状に設けられ、
前記ホルダの外周面は、前記貫通孔の中心軸を中心軸とする円筒面の一部を、前記円筒面の前記中心軸方向に平行な平面に代えた形状とされるとともに、前記平面が前記円筒面より内側で、かつ、前記貫通孔より外側の任意に設定された位置に設けられ、
前記ホルダの前記外周面のうちの前記平面を除く円弧面が前記レンズの成形時に前記ホルダの位置決めに用いられ、
前記ホルダの前記平面が前記表面実装の際に前記基板面に当接させられることを特徴とするホルダ付きレンズ。
【請求項6】
内部にレンズが成形されることにより前記レンズが保持され、かつ、基板面に表面実装されるホルダであって、
前記レンズが成形される円柱状の貫通孔を備え、断面が多角形の角部を円弧形状にした筒状に設けられ、
各角部が、それぞれ、前記貫通孔の中心を中心とする同じ曲率半径の円弧面とされ、これら円弧面が前記レンズの成形時に位置決めに用いられることを特徴とするホルダ。
【請求項7】
前記断面において、前記貫通孔の中心が、前記多角形の重心と異なることを特徴とする請求項5に記載のホルダ。
【請求項8】
前記断面の形状が、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部が隣り合う一対ずつの前記角部に分けられ、各対となる2つの前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに同じ長さに設定されているとともに、異なる対の前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なる長さに設定されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のホルダ。
【請求項9】
前記断面の形状が、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部のうちの少なくとも3つの前記角部は、それぞれ前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なるように設定されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信の分野で用いられるホルダ付きレンズおよびホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信において、光源となる半導体レーザから出射される光を光ファイバの端面に集光して結合するレンズとして、円筒状のホルダ(鏡筒)内にレンズが嵌合した状態のホルダ付きレンズが用いられる場合がある。
【0003】
このホルダ付きレンズの製造方法の1つとして、ホルダ内に、例えば、所定形状にプリフォームされた光学用ガラスを入れ、この光学用ガラスをホルダ内でプレス成形し、これによりガラスレンズを成形するとともにガラスレンズの外周面をホルダの内周面に圧着する方法が知られている(例えば、特許文献1〜7参照)。なお、光学ガラスは、例えば、ガラス転移点や軟化点以上に加熱されてプレス成形される。
【0004】
また、プレス成形に際しては、ホルダ内に挿入された状態となる下型(金型)に、ホルダをセットし、ホルダ内にプリフォームされた光学用ガラスを入れ、上から上型(金型)をホルダ内に降下させることにより光学ガラスをプレスして成形する。この際に下型と上型に挟まれる光学用ガラスが半径方向に広がり、ホルダの内周面に押し付けられて接合された状態となる。
【0005】
また、プレス成形装置には、ホルダを外側から位置決めするスリーブが配置され、ホルダは、円筒形状のスリーブの内側に配置される。ホルダの外径はスリーブの内径にクリアランスを考慮した長さとされ、ホルダの内径は、上型および下型のホルダ内に挿入される部分の外径にクリアランスを考慮した長さとされている。
【0006】
したがって、ホルダをセットする際に、このホルダは、スリーブの内周面と、下型のホルダ内に挿入される部分の外周面によって位置決めされる。また、スリーブ内には、下型のベース部、すなわち、下型のホルダ内に挿入される部分より下側部分が挿入された状態となっている。このベース部の外径は、スリーブ内径にクリアランスを考慮した長さとなっており、下型に対してスリーブが位置決めされた状態となっている。
【0007】
また、上型もホルダに挿入される部分にベース部があり、このベース部の外径は、スリーブ内径にクリアランスを考慮した長さとなっている。
また、ホルダは、円筒状であり、円柱状の部材に円柱状の貫通孔を形成した形状となっている。また、円筒状のホルダの外周面と内周面とは同軸上に配置されている。
【0008】
ガラスレンズのプレス成形においては、成形時に少しでも力のかかり方に偏りがあると、光学特性の低下の原因となる虞がある。例えば、一般的に円形のレンズは、中心からどの方向に対しても同じ形状である必要があるが、それにずれが生じることにより光学特性が低下する虞がある。
【0009】
また、ガラスレンズ等の成形においては、内部に応力が残留するが、応力が残留する場合にレンズ内で屈折率のばらつきが生じる虞があり、応力の残留状態にばらつきがあると、光学特性が低下した状態となる。
また、プリフォームされた光学用ガラスが均等にプレス成形されないと、ホルダに対する接合力が低下し、ホルダから外れ易くなる虞がある。
【0010】
そこで、プレス成形時にできるだけ均一にプレスできるように、上型、下型、スリーブ、ホルダ、ホルダのレンズが成形される貫通孔の中心を一致させることが好ましい。
したがって、ホルダ付きレンズにおいて、ホルダが円筒形状とされるとともに、ホルダの中心に円柱状の貫通孔が形成され、この貫通孔内でレンズがプレス成形されることになる。
このホルダ付きレンズは、例えば、シリコン基板上に金属被膜を形成したシリコンベンチに設けられたV溝に溶接等により表面実装される(例えば、特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−027431号公報
【特許文献2】特開2011−180607号公報
【特許文献3】特開2010−156905号公報
【特許文献4】特開2009−086075号公報
【特許文献5】特開2008−169051号公報
【特許文献6】特開2002−006189号公報
【特許文献7】特開1997−258084号公報
【特許文献8】特開2004−258217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、ホルダが円筒形であることから、板状のシリコンベンチに表面実装する際に、円筒状の外周面をシリコンベンチの平面上の実装面上に直接溶接することは困難であり、上述のV溝等のように円筒状のホルダを転がらないように保持するとともに、少なくとも左右の2箇所で溶接可能とする構造を設ける必要がある。
【0013】
また、光通信の標準規格は、IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)により設定されているが、ダウンサイジングを推し進める傾向にあり、それに対応してホルダ付きレンズも小型化傾向にある。
すなわち、ホルダ付きレンズの径(ホルダの外径)を小さくする傾向にある。ここで、例えば、シリコンベンチ上で、例えば、半導体レーザの光出射位置や光ファイバの端面の中心位置にホルダ付きレンズの中心を合わせた場合に、光ファイバより径の大きいホルダ付きレンズのシリコンベンチの基板面からの高さが高くなる。
【0014】
しかし、ホルダを薄くするなどして、ホルダ付きレンズの外径を小さくしてしまうと、レンズの光軸位置の基板面からの高さが下がってしまい、光源や光ファイバと位置がずれてしまうので、単純にホルダ付きレンズの高さだけを低くすることができない。
この場合に、ホルダの貫通孔の位置すなわちレンズの位置をホルダの中心軸に対して偏心させることが考えられるが、この場合に上型と下型のホルダ内に挿入される部分がホルダ及びスリーブの中心からずれることなり、また、上型および下型のホルダ内に入らずにスリーブに入るベース部分と、ホルダ内に挿入される部分との中心位置がずれることになる。この場合には、均一なプレス成形が難しくなり、成形されたレンズの光学特性が低下する虞がある。
【0015】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、表面実装を容易にできるとともに、ホルダに対してレンズを偏心させて製造するものとしてもレンズを金型の中心に容易に配置できるホルダ付きレンズおよびホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のホルダ付きレンズは、ホルダ内でレンズが成形されることにより前記ホルダに前記レンズが保持され、かつ、基板面に表面実装されるホルダ付きレンズであって、
前記ホルダは、前記レンズが成形される円柱状の貫通孔を備え、断面が多角形の各角部を円弧形状にした筒状に設けられ、
前記ホルダの各角部が、それぞれ、前記貫通孔の中心を中心とする同じ曲率半径の円弧面とされ、これら円弧面が前記レンズの成形時に前記ホルダの位置決めに用いられることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のホルダは、内部にレンズが成形されることにより前記レンズが保持され、かつ、基板面に表面実装されるホルダであって、
前記レンズが成形される円柱状の貫通孔を備え、断面が多角形の角部を円弧形状にした筒状に設けられ、
各角部が、それぞれ、前記貫通孔の中心を中心とする同じ曲率半径の円弧面とされ、これら円弧面が前記レンズの成形時に位置決めに用いられることを特徴とする。
【0018】
これらの構成によれば、ホルダは、断面が略多角形なので、複数の平面状の外面部分を有することになり、シリコンベンチ等の基板に表面実装する際に、基板面にホルダの1つの平面状の外面部分を当接して表面実装することができる。この際に基板面とホルダが金属とされ、ホルダと金属とを溶接する場合に、ホルダの1つの外面部分の4辺のうちの少なくとも互いに平行な2辺において容易に溶接が行える。
すなわち、円筒状のホルダのように基板面に溝を形成しなくとも、容易に溶接して表面実装を行うことができる。
【0019】
また、ホルダの各角部の円弧面が、前記貫通孔の中心を中心とする同じ曲率半径となっているので、各円弧面の円弧は、1つの同じ円の一部となるとともに、その円の中心と貫通孔の中心が一致することになる。これによりホルダの各円弧面によりホルダがスリーブの内周面等に位置決めされた際に、スリーブの中心と貫通孔の中心が一致する。
【0020】
この際に、ホルダの中心(上述の多角形の重心)と貫通孔の中心が一致している必要はなく、上述のように円弧面の円弧の中心と貫通孔の中心が一致していればよい。
したがって、ホルダの中心に対して貫通孔の中心、すなわち、貫通孔内に設置されるレンズの中心が偏心していても、レンズのプレス成形時に、上型および下型のホルダ内に挿入される部分の中心と、挿入される部分に隣接してスリーブの内周面に当接する上述の上型および下型のベース部分の中心と、スリーブの中心と、ホルダの貫通孔の中心を一致させることができ、プレス成形に際して圧に偏りが生じ難い構造とすることができる。
すなわち、レンズがホルダに対して偏心していても、プレス成形時に圧のばらつきや偏りが生じてレンズの光学特性が低下するのを防止できる。
【0021】
このようにホルダの中心に対してレンズの中心を偏心させたホルダ付きレンズが容易に作成できることから、例えば、ホルダの基板面に当接する平面状の外面部分(底面部分)と、それと平行な外面部分(天面)との中心にレンズを配置するのではなく、天面側に偏って配置することができる。この場合に、ホルダのレンズより上の部分の肉厚を薄くした形状とすることができ、これにより基板面に実装した際に、基板面からホルダの天面までの高さが低くなる。
【0022】
すなわち、ホルダを基板面に実装した際に、レンズの光軸の基板面からの距離を変えることなく、基板面からホルダの天面までの距離を小さくできる。例えば、光通信用の光源モジュールにおいて、半導体レーザや光ファイバの位置を変更することなく、ホルダ付きレンズの高さだけを低くすることができる。
【0023】
また、ホルダに対するレンズの位置を基板面に直交する高さ方向ではなく、基板面に平行な横方向に偏心してもよく、この場合に、たとえば、光通信用の光源モジュール等において、表面実装されるホルダ付きレンズと、それに近接する他の構成要素との干渉を避けることができる。
【0024】
また、ホルダの円弧面の曲率半径が同じならば、ホルダに対して貫通孔の位置がいずれにあっても、基本的に同じ金型を用いてレンズを成形することが可能になる。したがって、同じサイズで貫通孔の位置が異なる複数種のホルダ付きレンズを製造する場合に、コストの低減を図ることが可能になり、かつ、金型等の部品点数が少なくなるので、それらの管理が容易になる。
【0025】
また、本発明のホルダ付きレンズは、前記ホルダの断面において、前記貫通孔の中心が、前記多角形の重心と異なることが好ましい。
【0026】
また、本発明のホルダは、前記断面において、前記貫通孔の中心が、前記多角形の重心と異なることが好ましい。
【0027】
これらの構成によれば、上述のようにホルダに対して貫通孔が偏心していても、レンズの成形時にレンズの中心が金型の各構成要素の中心からずれることがなく、レンズのプレス成形に問題が生じるのを防止でき、かつ、ホルダに対してレンズを偏心することで、ホルダの小型化を図ったり、ホルダの位置に係わる設計の自由度を高めたりすることができる。
【0028】
また、本発明のホルダ付きレンズにおいて、前記ホルダの断面形状は、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部が隣り合う一対ずつの前記角部に分けられ、各対となる2つの前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに同じ長さに設定されているとともに、異なる対の前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なる長さに設定されていることが好ましい。
【0029】
また、本発明のホルダは、前記断面の形状が、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部が隣り合う一対ずつの前記角部に分けられ、各対となる2つの前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに同じ長さに設定されているとともに、異なる対の前記角部の前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なる長さに設定されていることが好ましい。
【0030】
これらの構成によれば、ホルダを基板面に実装した際に、貫通孔の位置が基板面に直交する方向または、貫通孔に直交し基板面に平行な方向に偏心することになる。したがって、上述のようにホルダ付きレンズを低くしたり、部品同士の干渉等を避けるために少しだけホルダの設置位置を左右にずらしたりすることが可能になる。
【0031】
また、本発明のホルダ付きレンズは、前記ホルダの断面形状が、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部のうちの少なくとも3つの前記角部は、それぞれ前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なるように設定されていることが好ましい。
【0032】
また、本発明のホルダは、前記断面の形状が、前記角部に対応する部分が円弧となっている矩形状にされ、
4つの前記角部のうちの少なくとも3つの前記角部は、それぞれ前記円弧面の円弧方向に沿う長さが互いに異なるように設定されていることが好ましい。
【0033】
これらの構成によれば、ホルダの貫通孔(に設置されたレンズ)は、基板面に直交する方向と、基板面に平行な方向との両方に対して偏心した状態となる。したがって、ホルダを低くするとともにホルダの実装位置を少しだけずらすことが可能になる。なお、基板面に直交する方向と、基板面に平行な方向との偏心量が同じならば、二つの対角のうち、一方の対角の角部同士は、円弧面の長さが同じとなり、他方の対角の角部同士の円弧面の長さが異なるものとなり、さらに異なる対角の角部同士の円弧面の長さは、異なるものになる。また、基板面に直交する方向と、基板面に平行な方向との偏心量が異なる場合には、4つの角部の全ての円弧面の円弧方向に沿った長さが互いに異なるものになる。
【0034】
また、本発明のホルダ付きレンズは、ホルダ内でレンズが成形されることにより前記ホルダに前記レンズが保持され、かつ、基板面に表面実装されるホルダ付きレンズであって、
前記ホルダは、前記レンズが成形される円柱状の貫通孔を備える筒状に設けられ、
前記ホルダの外周面は、前記貫通孔の中心軸を中心軸とする円筒面の一部を、前記円筒面の前記中心軸方向に平行な平面に代えた形状とされるとともに、前記平面が前記円筒面より内側で、かつ、前記貫通孔より外側の任意に設定された位置に設けられ、
前記ホルダの前記外周面のうちの前記平面を除く円弧面が前記レンズの成形時に前記ホルダの位置決めに用いられ、
前記ホルダの前記平面が前記表面実装の際に前記基板面に当接させられることを特徴とする。
【0035】
このような構成によれば、ホルダは、例えば、その外周面に1つの平面を有することになり、シリコンベンチ等の基板に表面実装する際に、基板面にホルダの1つの平面を当接して表面実装することができる。この際に基板面とホルダが金属とされ、ホルダと金属とを溶接する場合に、ホルダの1つの平面の例えば4辺のうちの少なくとも互いに平行な2辺において容易に基板面に溶接が行える。
すなわち、円筒状のホルダのように基板面に溝を形成しなくとも、容易に溶接して表面実装を行うことができる。
【0036】
また、ホルダの外周面の平面を除く円弧面が、前記貫通孔の中心軸を中心軸とするので、このホルダがスリーブの内周面等に位置決めされた際に、スリーブの中心と貫通孔の中心が一致する。
【0037】
この際に、ホルダの外周面の平面は、任意の位置に設定されるので、この平面を基板面に当接した際に、ホルダの平面の位置によって、基板面からのホルダの高さや、レンズの中心の高さが異なることになる。これにより、ホルダやレンズの基板面からの高さをホルダの平面の位置を設計変更することにより、変更可能になる。
【0038】
このようにレンズの中心に対して表面実装に使用される平面の位置を任意に設定できることから、ホルダのレンズより下の部分の肉厚を薄くした形状とすることができ、これにより基板面に実装した際に、基板面からホルダの天端までの高さが低くなる。なお、ホルダの外周面に形成される上述の平面は一つに限られるものではなく、2つ以上設けてもよい。
例えば、2つ設けた場合に、基板面に当接する平面と平行に天端側に平面を設けることによって、基板面からホルダの天端(天端側の平面)までの高さをさらに低くすることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ホルダに対するレンズの位置を偏心するものとしても、レンズのプレス成形時にレンズの成形位置をスリーブ等のホルダの位置を決める部材の中心に配置することができ、プレス成形時に圧が偏るなどにより、レンズの光学特性が低下するのを防止できる。これにより、例えば、ホルダ付きレンズを基板に表面実装した際に、レンズの高さ位置を変えることなく、ホルダの高さだけ低くするようなことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1の実施の形態のホルダを示す図面であって、(a)はホルダを示す平面図であり、(b)はスリーブと下型に位置決めされたホルダを示す平面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態のホルダ付きレンズを示す図面であって、(a)はスリーブ内で成形されたホルダ付きレンズを示す平面図であり、(b)はホルダ付きレンズを示す平面図である。
図3】本発明の第2の実施の形態のホルダを示す図面であって、(a)はホルダを示す平面図であり、(b)はスリーブと下型に位置決めされたホルダを示す平面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態のホルダ付きレンズを示す図面であって、(a)はスリーブ内で成形されたホルダ付きレンズを示す平面図であり、(b)はホルダ付きレンズを示す平面図である。
図5】本発明の第3の実施の形態のホルダを示す図面であって、(a)はホルダを示す平面図であり、(b)はスリーブと下型に位置決めされたホルダを示す平面図である。
図6】本発明の第3の実施の形態のホルダ付きレンズを示す図面であって、(a)はスリーブ内で成形されたホルダ付きレンズを示す平面図であり、(b)はホルダ付きレンズを示す平面図である。
図7】本発明の第4の実施の形態のホルダ付きレンズを示す図面であって、(a)はスリーブ内で成形されたホルダ付きレンズを示す平面図であり、(b)はホルダ付きレンズを示す平面図である。
図8】ホルダ付きレンズの成形方法を説明するための図であって、ホルダがセットされる前のスリーブと下型を示す断面図である。
図9】ホルダ付きレンズの成形方法を説明するための図であって、ホルダがセットされたスリーブと下型を示す断面図である。
図10】ホルダ付きレンズの成形方法を説明する図であって、ホルダ内にプリフォームされた光学ガラスをセットし、上型によるプレス成形を行う前のスリーブと上型および下型を示す断面図である。
図11】ホルダ付きレンズの成形方法を説明する図であって、ホルダ内でレンズが成形された際のスリーブと上型および下型を示す断面図である。
図12】ホルダ付きレンズにおいて、ホルダに対してレンズを偏心した場合と偏心していない場合とにおけるホルダの径の差を説明するためのホルダ付きレンズを有する光源モジュールの概略図であって、(a)はレンズが偏心していない場合を示す図であり、(b)はレンズが偏心している場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態のホルダおよびホルダ付きレンズは、光通信で用いられるものであり、例えば、シリコンベンチ上に表面実装されるものである。
【0042】
図1および図2に示すように、ホルダ1は、略正方形(略矩形)の断面形状を有するとともに円柱状の貫通孔2が形成された略角筒状に形成されている。
ホルダ1の四つの角部3a〜dは、所謂面取りされてRが付けられた形状であり、円弧面4a〜dとなっている。各円弧面4a〜dの円弧形状の中心は、貫通孔2の中心(図2(a)にレンズ6の中心6aとして「+」を図示)と一致するように形成されている。また、各円弧面4a〜dの円弧の曲率半径は互いに等しくなっている。なお、貫通孔2内で成形されるレンズ6の外径が貫通孔2の内周面により決まることから、貫通孔2の中心は、貫通孔2内に成形されるレンズ6の中心と一致することになる。
【0043】
ホルダ1の断面において、各角部3a〜dの円弧の全ては、貫通孔2の中心(レンズの中心6a)を中心とする一つの円上に配置される。なお、図2(a)に示すように、各円弧面4a〜dの円弧に重なる1つの円と、ホルダ1がセットされた後述のスリーブ61の内周面62に重なる円とが略一致する。なお、円弧面4a〜dが配置される円の径の方がスリーブ61の内周面62に重なる円より嵌め合いを考慮したクリアランス分だけ小さくなっている。すなわち、スリーブ61の内周面62によりホルダ1をその円弧面4a〜dにより位置決めすることができるとともに、スリーブ61内にホルダ1を出し入れ可能となっている。
【0044】
また、ホルダ1の中心1aと貫通孔2の中心(レンズ6の中心6a)とが一致することと、各円弧面4a〜4bの円弧の中心が貫通孔の中心と一致することと、各円弧面4a〜4bの円弧の曲率半径が互いに等しいことから、ホルダ1の各角部3a〜dの円弧面4a〜dの各円弧方向に沿った長さは、互いに等しくなっている。ここで、ホルダ1の中心は、ホルダ1を断面正方形と見なした場合の重心位置であり、ホルダ1の断面形状の内接円の中心である。なお、第2の実施の形態および第3の実施の形態においても、ホルダ1,11,21の中心は、ホルダ11,21を正方形と見なした場合の重心位置であり、ホルダの断面形状の内接円の中心である。なお、第4の実施の形態においては、円筒形のホルダ31に軸方向に沿って一つの平面としての外面37を設けた形状であり、ホルダ31の中心に対して貫通孔2の中心が偏心するのではなく、外面37の位置(たとえば、貫通孔2の中心軸からの距離)を設定することにより、基板面(実装面42)への実装時に、基板面からのホルダ31の高さが決まる構成となっている。
また、ホルダ1の4つの外面(平面)7a〜dのホルダ1の軸方向に直交する長さが互いに等しくなっている。
【0045】
以上のようなホルダ1は、円筒形状において、円筒の軸方向に平行な複数の平面として4つの外面7a〜dを互いに間隔をあけて配置することにより、略四角筒状とし、各外面7a〜dの各間を角部3a〜dとし、これらの角部3a〜dを円弧面4a〜dとした形状を有するものである。また、各外面7a〜dは、上述の円筒の外周面より内側で、かつ、前記貫通孔2より外側に配置されている。また、上述のようにホルダ1の断面形状が角部を面取りした正方形状なので、隣り合う外面7a〜7dは、互いに直角に配置され、隣り合わない一対ずつの外面7a〜dが互いに平行となるように配置されている。
【0046】
第1の実施の形態では、角部3a〜dが円弧面4a〜dとされた略正方形状のホルダ1の中心1a(図2(a)に「×」として図示)と、貫通孔2の中心(6a)とが一致するようになっている。
【0047】
なお、本発明においては、ホルダ1の中心1aと、貫通孔2の中心(レンズの中心6a)とが一致する必要はなく、貫通孔2の中心(レンズの中心6a)とホルダ1の各角部3a〜dの円弧面4a〜dの各円弧の中心が一致すればよい。また、ホルダ1の中心1aは、この実施の形態において、ホルダ1の断面形状を矩形の一部である正方形と見なし、この正方形の中心とする。なお、ホルダ1は、矩形の一部として長方形であってもよく、この場合も上述のように角部が円弧面とされ、ホルダの中心は、断面形状を長方形と見なして、この長方形の中心になる。
【0048】
このホルダ1を有するホルダ付きレンズは、図2に示すように、ホルダ1の貫通孔2内にレンズ6をプレス成形したものであり、ホルダ1の貫通孔2内に光軸方向(ホルダ1および貫通孔2の軸方向と同じ方向)に直交する断面形状が円形のレンズ6が嵌合して保持された状態となっている。なお、図11にレンズ6の光軸方向に沿った断面形状が図示されているが、レンズ6の光軸方向に沿った断面形状は、この断面形状に限定されるものではない。また、レンズ6は、基本的に中心軸(光軸)に直交する断面が全て円となる形状となっていることが好ましい。
また、第1の実施の形態では、ホルダ1の中心1aに対して貫通孔2の中心(6a)が一致していることから、ホルダ1の中心1aに対してレンズ6の中心6aが一致している。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
本発明の第2の実施の形態におけるホルダ11およびホルダ付きレンズは、第1の実施の形態に対して、基本的にホルダ11に対する貫通孔2の位置が異なるもの、すなわち、ホルダ11の中心11a(図4(a)に「×」として図示)に対して貫通孔2の中心(図4(a)にレンズ6の中心6aとして「+」を図示)が偏心しているものである。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素は、図3および図4において、図1および図2と同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0050】
図3および図4に示すように、ホルダ11は、略正方形(略矩形)の断面形状を有するとともに円柱状の貫通孔2が形成された略角筒状に形成されている。
ホルダ11の四つの角部13a〜dは、所謂面取りされてRが付けられた形状であり、円弧面14a〜dとなっている。各円弧面14a〜dの円弧形状の中心は、貫通孔2の中心(6a)と一致するように形成されている。また、各円弧面14a〜dの円弧の曲率半径は互いに等しくなっている。
【0051】
したがって、ホルダ11の断面において、各角部13a〜dの円弧の全ては、貫通孔2の中心(6a)を中心とする一つの円上に配置される。なお、図4(a)に示すように、各円弧面14a〜dの円弧に重なる1つの円と、ホルダ1がセットされた後述のスリーブ61の内周面62に重なる円とが略一致する。なお、円弧面14a〜dが配置される円の径の方がスリーブ61の内周面62に重なる円より嵌め合いを考慮したクリアランス分だけ小さくなっている。
【0052】
また、ホルダ11は、断面略正方形状のホルダ11の断面の各辺に対応する4つの外面17a〜dを備える。隣り合う各外面17a〜dは、互いに直角となるように配置され、かつ、互いに1つ置きの外面17a,17c(17b,17d)となる一対ずつの外面においては、対となる外面17a,17c(17b,17d)が互いに平行となっている。ホルダ11の中心11aに対する貫通孔2の中心(6a)の偏心の方向は、上述の互いに平行な一対ずつの外面17a、17c、外面17b,17dのうちの一方の一対の外面17b,17dに平行な方向で、他方の一対の外面17a,17cに直交する方向となっている。
【0053】
例えば、図12に示すように、シリコンベンチ41の実装面42にホルダ11の上述の4つの外面17a〜dのうちの1つの外面17c(他方の一対の外面17a,17cのうちの1つの面)を当接してホルダ付きレンズを表面実装した場合に、シリコンベンチ41の実装面42に直交する方向(X方向)に沿って、貫通孔2の中心(レンズ6の6a)がホルダ11の中心11aに対してずれている状態となる。
また、ホルダ11の一方の一対の外面17b,17dのうちの1つの外面17dを実装面42に当接してホルダ付きレンズを表面実装した場合に、シリコンベンチ41の実装面42に平行な方向で、かつ、ホルダ11の中心軸に直交する方向(Y方向)に沿って、貫通孔2の中心(6a)がホルダ11の中心11aに対してずれている状態となる。
【0054】
したがって、第2の実施の形態では、角部13a〜dが円弧面14a〜dとされた断面略正方形状のホルダ11の中心11a(図4(a)に図示)と、貫通孔2の中心(6a)とがホルダ11の断面の4辺のうちの2辺に平行で2辺に直交する方向にずれている。
また、ホルダ11の中心11aと貫通孔2の中心(6a)とがずれていることから、約正方形状のホルダ11の中心11aと各円弧面14a〜dの円弧の中心がずれることになる。
【0055】
この場合に、各円弧面14a〜dの円弧方向に沿った長さが変わることになる。第2の実施の形態では、ホルダ11の中心11aに対する貫通孔2の中心(6a)のずれ方向と直交する外面17a,7cの両側縁部のそれぞれの円弧面14a,14b(14c,14d)における円弧方向沿った長さは、互いに等しくなっている。それに対して、上述のずれ方向と平行な外面17b,17dの両側縁部のそれぞれの円弧面14b,14c(14a,14d)における円弧方向に沿った長さが、互いに異なるものとなっている。
【0056】
また、貫通孔2の中心(6a)が近い方の外面17aの両側縁部の円弧面14a、14bの円弧方向に沿った長さに対して、貫通孔2の中心(6a)が遠い方の外面17cの両側縁部の円弧面14c,14dの円弧方向に沿った長さが長くなっている。また、外面17a〜cのホルダ11の軸方向に直交する長さは、その左右の円弧面14a〜dの円弧方向に沿った長さが長くなると短くなる。この実施の形態では、外面17bと外面17dの長さが同じとされ、これらより外面17aの長さが長く、外面17cの長さが短くなっている。
【0057】
このホルダ11を有するホルダ付きレンズは、図4に示すように、ホルダ11の貫通孔2内にレンズ6をプレス成形したものであり、ホルダ11の貫通孔2内に光軸方向に直交する断面形状が円形のレンズ6が嵌合して保持された状態となっている。
第2の実施の形態においては、ホルダ11の中心11aに対して貫通孔2の中心(6a)が偏心していることからホルダ11の中心11aに対してレンズ6の中心6aが偏心している。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
本発明の第3の実施の形態におけるホルダ21およびホルダ付きレンズは、第1の実施の形態に対して、基本的にホルダ21に対する貫通孔2の位置が異なるもの、すなわち、ホルダ21の中心21a(図6(a)に「×」として図示)に対して貫通孔2の中心(図6(a)にレンズ6の中心6aとして「+」を図示)が偏心しているものである。なお、第1の実施の形態と同様の構成要素は、図5および図6において、図1および図2と同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0059】
図5および図6に示すように、ホルダ21は、略正方形(略矩形)の断面形状を有するとともに円柱状の貫通孔2が形成された略角筒状に形成されている。
ホルダ21の四つの角部23a〜dは、所謂面取りされてRが付けられた形状であり、円弧面24a〜dとなっている。各円弧面24a〜dの円弧形状の中心は、貫通孔2の中心(6a)と一致するように形成されている。また、各円弧面24a〜dの円弧の曲率半径は等しくなっている。
【0060】
したがって、ホルダ21の断面において、各角部23a〜dの円弧の全ては、貫通孔2の中心(6a)を中心とする一つの円上に配置される。なお、図6(a)に示すように、各円弧面24a〜dの円弧に重なる1つの円と、ホルダ21がセットされた後述のスリーブ61の内周面62に重なる円とが略一致する。なお、円弧面14a〜dが配置される円の径の方がスリーブ61の内周面62に重なる円より嵌め合いを考慮したクリアランス分だけ小さくなっている。
【0061】
また、ホルダ21は、断面略正方形状のホルダ21の断面の各辺に対応する4つの外面27a〜dを備える。隣り合う各外面27a〜dは、互いに直角となるように配置され、かつ、互いに1つ置きの外面27a,27c(27b,27d)となる一対ずつの外面は互いに平行となっている。ホルダ21の中心21aに対する貫通孔2の中心(6a)の偏心方向は、上述の各外面27a〜dの全てに対して斜めとなっている。
【0062】
この場合に、上述のシリコンベンチ41に一つの外面27a〜dを当接させて設置した場合に、シリコンベンチ41の実装面42に直交するX方向と、実装面42に平行でホルダ21の軸方向に直交するY方向との両方に貫通孔2の中心(レンズ6の中心6a)がホルダ21の中心21aに対して偏心していることになる。
【0063】
したがって、第3の実施の形態では、角部23a〜dが円弧面24a〜dとされた断面略正方形状のホルダ21の中心21a(図6(a)に図示)に対して貫通孔2の中心(6a)がホルダ21の断面の4辺に斜めになる方向に偏心している。すなわち、上述のX方向とY方向との両方に偏心していることになる。
また、ホルダ21の中心21aと貫通孔2の中心(6a)とがずれていることから、約正方形状のホルダ21の中心21aと各円弧面24a〜dの円弧の中心がずれることになる。
【0064】
この場合に、各円弧面24a〜dの円弧方向に沿った長さが変わることになる。第3の実施の形態では、上述のX方向(外面27a,27cに直交し、外面27b,27dに平行な方向)の偏心量と、上述のY方向(外面27b,27dに直交し、外面27a,27cに平行な方向)の偏心量が同じとなっており、これにより、互いに対角の位置にある2対の円弧面24a〜dのうちの一方の対の円弧面24b,24dでは、互いに円弧方向に沿う長さが等しくなっている。互いに対角の位置にある他方の対の円弧面24a,24cでは、互いに円弧方向に沿う長さが異なるものとなっている。また、対角の関係にない円弧面24a〜d同士では、それぞれ円弧方向に沿った長さが異なる。ここでは、対角の関係にある一対の円弧面24b,24dだけは互いに円弧方向に沿った長さが同じとなるが、三つの円弧面24a〜dでは、円弧面に沿った長さが異なるものとなっている。
【0065】
また、ホルダ21の中心に対する貫通孔2の中心(6a)のY方向の偏心量とX方向の偏心量が異なる場合には、4つの円弧面24a〜dの全てがそれぞれ円弧面に沿った長さが異なることになる。但し、Y方向の偏心量とX方向の偏心量が両方とも0となっていないことが必要である。
【0066】
また、各円弧面24a〜dの円弧方向の長さは、貫通孔2の中心(6a)が近い円弧面24a〜dほど、円弧方向に沿った長さが短くなる。
また、各外面27a〜dのホルダ21の軸方向に直交する方向の長さは、その庁側の円弧面24a〜dの円弧方向の長さが長くなるほど短くなる。この実施の形態では、ホルダ21の中心21aに対して貫通孔2の中心(6a)の偏心量が、X方向とY方向とで同じになっているので、ホルダ21の軸方向に直交する方向に沿った外面27aの長さと、外面27bの長さが同じにされ、かつ、ホルダ21の軸方向に直交する方向に沿った外面27bの長さと外面27cの長さが同じにされている。
【0067】
このホルダ21を有するホルダ付きレンズは、図6に示すように、ホルダ21の貫通孔2内にレンズ6をプレス成形したものであり、ホルダ21の貫通孔2内に光軸方向に直交する断面形状が円形のレンズ6が嵌合して保持された状態となっている。
第3の実施の形態においては、ホルダ21の中心21aに対して貫通孔2の中心(6a)が偏心していることからホルダ21の中心21aに対してレンズ6の中心6aがX方向およびY方向に偏心している。
【0068】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
本発明の第4の実施の形態におけるホルダ31およびホルダ付きレンズは、図7に示すように、第1の実施の形態に対して、ホルダ31の形状が異なるものであり、ホルダ31は、断面略正方形状の略角筒状ではなく、ホルダ31は、円筒面に一つの平面を形成した形状とされることにより、ホルダ31の外周面が1つの平面である外面37と、1つの円弧面34からなっている。なお、外面37は、上述の円筒面の軸方向に平行に形成されるとともに、円筒面より内側で貫通孔2より外側の任意に設定された位置に配置される。
円弧面34は、前記円筒面のうちの平面である外面37を除いた面である。
なお、第1の実施の形態と同様の構成要素は、図7において、図2と同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0069】
ホルダ31は、略D字状の断面を有し、上述のように外周面が円弧面34と平面である1つの外面37とからなっているとともに、円弧面34の円弧の中心に貫通孔2の中心が配置され、この貫通孔2に貫通孔2の中心を中心とするレンズ6が配置されている。
ここで、外面37の位置は、貫通孔2より外側で、円弧面34を含む円筒面より内側となる範囲内で、任意に設定することができ、ホルダ31の円弧面34の円弧の中心からの距離で規定することが可能である。
【0070】
ホルダ31の円弧面34の断面の円弧を含む円と、ホルダ31がセットされた後述のスリーブ61の内周面62の断面の円とが略一致する。なお、円弧面34の円弧を含む円の径の方がスリーブ61の内周面62に断面の円より嵌め合いを考慮したクリアランス分だけ小さくなっている。
【0071】
このようなホルダ31では、上述のシリコンベンチ41に一つの外面37を当接させて設置した場合に、円筒形状のホルダを設置した場合よりもホルダ31の高さやレンズ6の位置を低くすることができる。シリコンベンチ41の実装面42に外面37を当接させた場合のホルダ31の高さ、レンズ6の高さは、上述のように任意で設定される外面37の位置によって決定される。なお、この実施の形態では、ホルダ31の外周面の形状が円筒に一つの平面(外面37)を設けた形状であるが、平面を二つ設けるものとしてもよく、例えば、外面37と平行に貫通孔2の反対側にもう一つの平面としての外面を設けてもよい。
【0072】
次に、上述の第1〜第4の実施形態のホルダ付きレンズの製造方法として、ホルダ1,11,21、31内にレンズ6をプレス成形する方法を説明する。
レンズ6のプレス成形は、第1〜第4の実施の形態のいずれのホルダ付きレンズでも同様に行われる。
【0073】
このプレス成形に用いられるプレス成形装置は、図8図11に示すように金型としての下型51および上型71と、下型51にセットされて、ホルダ1,11,21,31を位置決めするスリーブ61を備えている。
下型51は、その上端面に、プリフォームされた光学ガラス89(図10に図示)を下側から成形する成形面52を備えている。
また、下型51は、上側の小径部51aと、その下側で小径部51aより径の大きな大径部51bを備えている。小径部51aと大径部51bは、それぞれ円柱状で同軸上に配置されている。また、下型51は、スペーサ53を介して台座部55上に配置されている。また、下型51の小径部51aの下部の周囲には、缶高さ規制用リング54が、小径部51aが貫通した状態で配置されている。
【0074】
下型51の小径部51aは、その上端部がホルダ1,11,21,31の貫通孔2内に挿入されて、ホルダ1、11,21,31の貫通孔2内で球状にプリフォームされた光学ガラス89の下面側を成形してレンズ6とするためのものであり、その上面が上述の成形面52になっている。
また、下型51の小径部51aの外周面は、円筒状であり、その径は、ホルダ1,11,21,31の貫通孔2の内径よりクリアランス分だけ小さなものとなっている。ホルダ1,11,21,31を下型51にセットする際に、ホルダ1,11,21,31の貫通孔2内に下型51の小径部51aの上端部が入り込むようにすることにより、下型51に対してホルダ1,11,21,31がその水平方向の位置を位置決めされた状態になる。
【0075】
下型51の大径部51bは、円柱状に形成され、その外径が円筒状のスリーブ61の内周面62(62b)の内径よりクリアランス分だけ小さくなっている。また、下型51の大径部51bの外径と、缶高さ規制用リング54の外径が等しくなっている。
下型51の大径部51bが円筒状のスリーブ61内に挿入されることにより、スリーブ61が下型51によって水平方向に位置決めされ、下型51(小径部51aおよび大径部51b)の中心および缶高さ規制用リング54の中心と、スリーブ61の中心が一致するようになっている。
【0076】
缶高さ規制用リング54は、円筒状に形成され、その内径がホルダ1,11,21,31の貫通孔2の内径と等しくされ、缶高さ規制用リング54の貫通孔内に下型51の小径部51aが挿入可能になっている。缶高さ規制用リング54の外径が円筒状のスリーブ61の内径よりクリアランス分だけ小さくなっている。
【0077】
缶高さ規制用リング54は、下型51の大径部51bと小径部51aとの段差部分の大径部51b上に配置され、その上にホルダ1,11,21,31が配置されるようになっている。これにより、缶高さ規制用リング54は、下型51に対するホルダ1,11,21,31の高さ位置を決めるとともに、缶高さ規制用リング54の高さ(上下長さ)により、下型51にセットされるホルダ1,11,21,31の高さ位置を調整可能になっている。
スペーサ53は、スリーブ61の内径よりクリアランス分小さな外径を有する円板状の部材であり、台座部55上に配置されるスリーブ61内で、下型51の高さ位置を調整するものである。す
【0078】
スリーブ61は、上述のように、下型51の大径部51b、缶高さ規制用リング54およびスペーサの外径に対してクリアランス分だけ大きな内径を有し、これら下型51の大径部51bおよび缶高さ規制用リング54によりスリーブ61が位置決めされ、スリーブ61の円筒状の内周面62(62b)の中心と、これら下型51の大径部51bおよび缶高さ規制用リング54の中心が一致するようになっている。
【0079】
また、スリーブ61の上端部の内周面には、二段階で拡径するように二つの段差が設けられており、内周面62が、その本体部分である下段部62bと、上端部である上段部62aと、これら下段部62bと、上段部62aとの間の中段部62cとからなっている。
上段部62aが最も内径が広く、下段部62bが最も内径が狭く、中段部62cの内径がこれら上段部62aの内径と下段部62bの内径との間の広さとなっている。
【0080】
上段部62aの内径は、上型71の後述の大径部71bの外径にクリアランス分を加えた広さとなっている。
なお、スリーブ61の内周面62の本体部分である下段部62bの内径を、上述のスリーブ61の内周面62の内径と記載している。
【0081】
また、中段部62cは、図9に示すようにスリーブ61と下型51にホルダ1,11,21,31をセットした場合に、ホルダ1,11,21,31の上部に対応する高さ位置にある。この中段部62cの内径は、ホルダ1,11,21,31の円弧面4a〜d、14a〜d、24a〜d、34の径(曲率半径の2倍)より広くなっており、ホルダ1,11,21,31をスリーブ61内から取り出すためのスペースを確保するようになっている。
【0082】
上型71は、プリフォームされた光学ガラス89(図10に図示)を上側から成形する成形面72を備える下側の小径部71aと、その上側の大径部71bとを備える。小径部71aと大径部71bは、同軸上に配置されるとともにそれぞれ円板状に形成されている。
上型71の小径部71aは、略円板状で、その下面に成形面72を形成したものであり、その外径は、ホルダ1,11,21,31の貫通孔2の内径よりクリアランス分だけ小さなものとなっている。
【0083】
上型71の大径部71bは、円板状に形成され、その外径がスリーブ61の内周面62の上段部62aの内径からクリアランス分を除いた長さとなっている。
また、上型71の大径部71bは、図示しない昇降装置(加圧装置)に接続されており、昇降自在に支持されるとともに、下降させられる際に加圧が可能になっている。
【0084】
このようなプレス成形装置により、第1〜第3の実施形態のホルダ1,11,21,31内でレンズ6をプレス成形する際には、図8に示すように上型71を上昇させて、下型51にセットされたスリーブ61の上側を開放した状態とし、下型51の小径部51aの外周面と、スリーブ61の内周面62(下段部62b)との間に、図9に示すようにホルダ1,11,21,31をセットする。
【0085】
この際には、ホルダ1,11,21,31の円弧面4a〜d、14a〜d、24a〜d、34が、スリーブ61の内周面62に当接して位置決めされる。いずれのホルダ1,11,21,31においても、円弧面4a〜d、14a〜d、24a〜d、34の円弧の曲率半径が同じにされ、かつ、これら円弧面4a〜d、14a〜d、24a〜d、34の円弧の中心が同じにされるとともに、この中心が貫通孔2の中心(6a)と一致するようになっている。なお、ホルダ1,11,21では、円弧面4a〜d、14a〜d、24a〜dが4つであるが、ホルダ31では、円弧面34が1つとなっている。
【0086】
したがって、図1(b)、図3(b)、図6(b)に示すように、スリーブ61の内周面62に円弧面4a〜d、14a〜d、24a〜dを当接させた場合に、ホルダ1,11,21,31の貫通孔2の中心は、スリーブ61の内周面62の中心と一致した状態になる。
【0087】
すなわち、ホルダ1,11,21,31の中心1a,11a,21a(ホルダ31の中心は図示略)に対して、それらの貫通孔2がどの方向に偏心していても、偏心していない場合と同様に、スリーブ61の内周面62の中心に対して、貫通孔2の中心(6a)が一致するようになっている。
【0088】
したがって、いずれのホルダ1,11,21,31においても、貫通孔2の中心と、貫通孔2内に挿入される下型51の小径部51aおよび上型71の小径部71aの中心とが一致し、これら下型51の小径部51aおよび上型71の小径部71aを用いて貫通孔2内でレンズ6を成形可能となっている。また、この場合に、ホルダ11,21に対して貫通孔2が偏心していても、ホルダ11,21の中心11a、21aに対する貫通孔2の偏心方向を気にすることなく、ホルダ11,21を下型51とスリーブ61にセットすることができる。すなわち、スリーブ61および下型51に対して、ホルダ11,21を鉛直方向の軸回りに回転させても、スリーブ61の内周面62の中心と貫通孔2の中心(6a)が一致しているので、下型51および上型71に対して貫通孔2の位置がずれることがない。
すなわち、ホルダ1,11,21,31に対して貫通孔2が偏心していても、ホルダ1,11,21,31の回転角度を位置合わせする必要がない。
【0089】
円弧面4a〜d、14a〜d、24a〜dの曲率半径が同じで、貫通孔2の内径が同じホルダ1,11,21,31ならば,貫通孔2がホルダ1,11,21,31のどの位置にあっても、同じプレス成形装置の同じ下型51、スリーブ61、上型71を用いて、レンズ6を成形することが可能になる。
【0090】
また、プレス成形装置では、上述のようにホルダ1,11,21,31のいずれの位置に貫通孔2が配置されても、この際に、下型51の小径部51aおよび大径部51b、スペーサ53、缶高さ規制用リング54の中心位置が一致し、かつ、これらの中心と、上型71の小径部71aおよび大径部71bの中心が一致するようになっている。
【0091】
したがって、ホルダ11,21に対して貫通孔2の位置が偏心していても、プレス成形に際して、プレス時に圧力のばらつきが生じるのを抑制することができ、プレス成形されたレンズ6の光学特性が、プレス成形時の圧力のばらつきにより劣化するのを防止することができる。
以上のことから、ホルダ1,11,21,31に対してレンズ6を偏心させて成形することが容易に可能になる。
【0092】
図12(a)は、シリコンベンチ41上に図示しない光ファイバと、当該光ファイバにレーザによる信号を入力するための光源としてのレーザダイオード43と、このレーザダイオード43を所定高さに支持する支持台44と、光源のレーザを光ファイバに結合するための第1の実施の形態のホルダ1を備えるホルダ付きレンズ6を有する光通信用の光源モジュールを示している。
【0093】
図12(b)は、シリコンベンチ41上に図示しない光ファイバと、当該光ファイバにレーザによる信号を入力するための光源としてのレーザダイオード43と、このレーザダイオード43を所定高さに支持する支持台44と、光源のレーザを光ファイバに結合するための第2の実施の形態のホルダ11を備えるホルダ付きレンズ6を有する光通信用の光源モジュールを示している。
【0094】
第2の実施の形態のホルダ11に対してレンズ6をX方向に沿って上側に偏心して設けることにより、レーザダイオード43や光ファイバの高さ位置を変えることなく、ホルダ11として、第1の実施の形態のホルダ1よりも小さなホルダ11を用いることが可能になる。
【0095】
これによりホルダ付きレンズの小型化を図ることができる。この際には、ホルダ11の左右幅も狭くなり、ホルダ11の左右の少なくともいずれかに配置される構造物(部材や電極等)がある場合に、これら構造物をホルダ付きレンズに近づけて配置することも可能になる。
【0096】
また、ホルダ11に対してレンズ6をY方向に偏心することも可能であり、この場合にも、ホルダ11の左右のいずれかに配置される構造物がある場合に、これら構造物をホルダ付きレンズにより近づけて配置することが可能になる。または、これら構造物をよけるようにホルダ付きレンズが小型化される。
【0097】
また、ホルダ21に対してレンズ6をX方向とY方向との両方に偏心させることにより、ホルダ21の高さを低くするとともに、ホルダ11の左右のいずれかに配置される構造物がある場合に、これら構造物を逃げるようにホルダ付きレンズを配置することが可能になる。
【0098】
なお、ホルダ1,11,21,31の製造方法は、例えば、旋盤等の工作機械により、円柱状の部材を同じ回転中心で回転させながら、外周面と内周面を切削加工することにより、外周面の中心と、内周面の中心とを一致した状態の円筒体を形成する。この円筒体の内周面側が貫通孔2となり、外周面側は、その一部が最終的に4つの円弧面4a〜d,14a〜d,24a〜dとして残ることになる。
【0099】
次に、ホルダ1,11,21,31の4つの外面7a〜d,17a〜d,27a〜dをスライス盤等によりホルダ1,11,21,31の外周面を切削して形成する。この場合に、各外面7a〜7dの位置を円筒体の断面に対してホルダ1,11,21,31の断面に対応するサイズの四角形を偏心して配置することにより、外面7a〜dの形成位置を決める。
このようにホルダ1,11,21,31を形成することで、ホルダ1,11,21,31に対して貫通孔2がどの位置にあっても、貫通孔2の中心と円弧面4a〜d,14a〜d,24a〜d、34の同じ曲率半径の円弧の中心とを精度高く合わせることができる。なお、第4の実施の形態においては、円弧面34が1つで、外面37が1つなので、円筒体に対して、この外面37の位置を決めることにより、形状が決まる。
【0100】
なお、ホルダ1,11,21,31の製造は、これに限られるものではなく、例えば、四角柱状の部材を旋盤で同じ回転中心で回転させながら、円弧面4a〜d,14a〜d,24a〜dと貫通孔2の内周面との両方を加工することにより、円弧面4a〜d,14a〜d,24a〜dの円弧の中心と貫通孔2の中心(6a)を一致させるようにしてもよい。この場合には、四角柱状の部材の回転中心を決めることにより、ホルダ1,11,21,31の中心1a,11a,21aに対する貫通孔2の中心(6a)の位置を設定することができる。
【0101】
また、各実施の形態において、前記レンズ6は、例えば、シリカを主成分とし、アルミナ、ナトリウム、フッ化ランタン等が添加された低融点ガラスにより構成される。レンズ6は、例えば、軟化温度が約600℃以下の低融点ガラスで構成されても、軟化温度が約400℃以下の超低融点ガラスで構成されてもよい。
【0102】
前記ホルダ1,11,21,31は、レンズ6の材料より線膨張係数が大きい材料が好ましく選択され、例えば、ステンレスやコバール等により構成される。成形後の冷却時にレンズ6よりホルダ1,11,21,31が大きく収縮してレンズ6を締め付け、ホルダ1,11,21,31とレンズ6との接合力(取付け強度)を高めることができる。
【0103】
前記スリーブ61は、タングステンカーバイト(WC)を主成分とする超硬合金を含んで構成される。スリーブ61は、ホルダ1,11,21,31よりも線膨張係数が小さい材料が好ましい。また、スリーブ61は、下型51や上型71と同じ材料であることが好ましいが、下型51よりも線膨張係数が若干小さい材料をスリーブ61に採用すれば、常温にてスリーブ61が下型51に設置される時には下型51にかじることはなく容易に設置することができ、成形時には昇温されてスリーブ61が下型51に固定されるので、成形時の位置ずれを防げて更に好ましい。
【0104】
下型51及び上型71は、例えば、タングステンカーバイトを主成分とする超硬合金を含んで構成される。或いは、炭化珪素、サーメット、インコネル、スタバックス、ハイス等の高温耐久性と強度とを兼ね備えた材料も好ましく用いられる。下型51及び上型71は、形状再現性の観点から、材質が同じであることが好ましい。レンズ6の光学素材の屈伏点(屈伏温度)Atに応じて下型51及び上型71の材料を選択するようにすれば更に好ましい。
下型51及び上型71は、好適な離型性を実現するため、成形面に被膜層(図示省略)が形成されている。被膜層は、例えば、白金(Pt)−イリジウム(Ir)合金により形成される。また、被膜層は、白金−イリジウム合金以外の貴金属合金、貴金属と遷移金属との合金、貴金属と汎用金属との合金、カーボン、又はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等フッ素や塩素との反応性が低い材料がいずれも好適に使用される。
【符号の説明】
【0105】
1 ホルダ
1a ホルダの中心
2 貫通孔
3a〜d 角部
4a〜d 円弧面
6 レンズ
7a〜d 外面(平面)
6a レンズの中心(ホルダの貫通孔の中心)
11 ホルダ
11a ホルダの中心
13a〜d 角部
14a〜d 円弧面
17a〜d 外面(平面)
21 ホルダ
21a ホルダの中心
23a〜d 角部
24a〜d 円弧面
27a〜d 外面(平面)
42 実装面(基板面)
61 スリーブ
31 ホルダ
34 円弧面
37 外面(平面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12