【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成はガス処理装置に係り、その特徴は、
揮発性有機化合物を含む被処理ガスを被処理ガス路を通じて燃焼室に供給するガス処理用ファンと、
燃焼用空気ファンにより燃焼用空気路を通じて供給される燃焼用空気とともに燃料を燃焼させて被処理ガスに含まれる揮発性有機化合物を前記燃焼室において熱分解処理するガス処理用バーナと、
回収用ダンパを介在させた回収路を通じ前記燃焼室から高温の処理済ガスを導入して、その導入処理済ガスを熱回収用熱媒と熱交換させることで導入処理済ガスの保有熱を回収する廃熱回収器とを備えるガス処理装置であって、
冷却用ダンパを介在させた冷却用風路を前記燃焼用空気路における前記燃焼用空気ファンの吐出側箇所から分岐して前記廃熱回収器に接続し、
前記冷却用ダンパを開いた状態で前記燃焼用空気ファンを運転することで、前記燃焼用空気ファンにより供給される燃焼用空気を冷却用空気として前記冷却用風路を通じ前記廃熱回収器に供給して前記廃熱回収器を冷却する構成にし
、
前記冷却用風路は、前記燃焼室からの高温処理済ガスを前記回収路を通じて通風する前記廃熱回収器の器内通風路に対し前記燃焼室からの高温処理済ガスの通風向きとは逆の通風向きで前記冷却用空気を通風する状態にして前記廃熱回収器に接続してある点にある。
【0010】
この構成によれば、通常時には冷却用ダンパを閉じておくことで、燃焼用空気ファンの運転により燃焼用空気を燃焼用空気路を通じガス処理用バーナに供給する状態にしてガス処理用バーナを燃焼作動させることができ、これにより、被処理ガスをガス処理用ファンにより被処理ガス路を通じ燃焼室に供給して、その被処理ガス中の揮発性有機化合物を燃焼室において熱分解処理するガス処理運転を従前と同様に実施することができる。
【0011】
また、このガス処理運転に併行して、回収路における回収用ダンパを開くことで、燃焼室から高温の処理済ガスを回収路を通じ廃熱回収器に導入し、その導入処理済ガスを廃熱回収器で熱回収用熱媒と熱交換させて導入処理済ガスの保有熱を熱回収用熱媒に回収する廃熱回収運転も従前と同様に実施することができる。
【0012】
そして、このガス処理運転及びそれに伴う廃熱回収運転において、何らかの原因で廃熱回収器において異常が発生したときには、対策として回収路における回収用ダンパを閉じるともにガス処理運転を停止するのに対し、冷却用ダンパを開いた状態にして燃焼用空気ファンを運転することで、燃焼用空気ファンにより供給される燃焼用空気を冷却用空気として冷却用風路を通じ異常発生の廃熱回収器に供給して、その冷却用空気により廃熱回収器を強制的に冷却する回収器冷却運転を行うことができる。
【0013】
即ち、この回収器冷却運転により、異常発生した廃熱回収器の先述の如き高温残熱による熱損傷や、燃焼室における高温処理済ガスが閉じ状態の回収用ダンパをリークして異常発生の廃熱回収器に侵入することによる廃熱回収器の熱損傷を効果的に防止することができる。
【0014】
そしてまた、この回収器冷却運転により、高温残熱を保有する異常発生の廃熱回収器が点検補修可能な温度まで温度低下するのに要する時間も従前の如き自然冷却に比べ大巾に短縮することができ、これにより、異常発生の廃熱回収器を復旧してガス処理運転を再開するのに要する時間も効果的に短縮することができる。
【0015】
しかも、このような強制冷却方式としながらも、ガス処理装置に付帯機器として装備される燃焼用空気ファンを利用して冷却用空気を廃熱回収器に供給するから、専用の冷却用ファンを別途装備して廃熱回収器を強制冷却するのに比べ、装置の複雑化や装置コストの増大も効果的に抑止することができる。
さらに、この第1特徴構成では、前記冷却用風路は、前記燃焼室からの高温処理済ガスを前記回収路を通じて通風する前記廃熱回収器の器内通風路に対し前記燃焼室からの高温処理済ガスの通風向きとは逆の通風向きで前記冷却用空気を通風する状態にして前記廃熱回収器に接続してあるから、次の作用効果も併せて得ることができる。
即ち、燃焼室からの高温処理済ガスを回収路を通じ廃熱回収器の器内通風路に通風して導入処理済ガスの保有熱を回収する廃熱回収運転において燃焼室からの高温処理済ガスが流入する側の廃熱回収器における器内通風路の入口側部分よりも低温となる器内通風路の出口側部分(即ち、保有熱が回収されて温度低下した処理済ガスが通過する部分)に冷却用風路を接続する形態となることから、これとは逆に冷却用空気を燃焼室からの高温処理済ガスと同じ通風向きで廃熱回収器の器内通風路に通風する形態を採るのに比べ、冷却用風路の形成材に要求される耐熱性や、冷却用風路に対して施設する断熱手段に要求される断熱性を効果的に軽減することができ、これにより、装置コストの増大を一層効果的に抑止することができる。
【0016】
本発明の第2特徴構成はガス処理装置に係り、その特徴は、
揮発性有機化合物を含む被処理ガスを被処理ガス路を通じて燃焼室に供給するガス処理用ファンと、
燃焼用空気ファンにより燃焼用空気路を通じて供給される燃焼用空気とともに燃料を燃焼させて被処理ガスに含まれる揮発性有機化合物を前記燃焼室において熱分解処理するガス処理用バーナと、
回収用ダンパを介在させた回収路を通じ前記燃焼室から高温の処理済ガスを導入して、その導入処理済ガスを熱回収用熱媒と熱交換させることで導入処理済ガスの保有熱を回収する廃熱回収器とを備えるガス処理装置であって、
外気導入用ダンパを介在させた外気導入路を前記被処理ガス路における前記ガス処理用ファンの吸入側箇所に接続するとともに、
冷却用ダンパを介在させた冷却用風路を前記被処理ガス路における前記ガス処理用ファンの吐出側箇所から分岐して前記廃熱回収器に接続し、
前記外気導入用ダンパ及び前記冷却用ダンパを開いた状態で前記ガス処理用ファンを運転することで、前記ガス処理用ファンにより前記外気導入路を通じ外気を導入し、この導入外気を冷却用空気として前記ガス処理用ファンにより前記冷却用風路を通じ前記廃熱回収器に供給して前記廃熱回収器を冷却する構成にし
、
前記冷却用風路は、前記燃焼室からの高温処理済ガスを前記回収路を通じて通風する前記廃熱回収器の器内通風路に対し前記燃焼室からの高温処理済ガスの通風向きとは逆の通風向きで前記冷却用空気を通風する状態にして前記廃熱回収器に接続してある点にある。
【0017】
この構成によれば、通常時は外気導入用ダンパ及び冷却用ダンパを閉じておくことで、ガス処理用ファンの運転により被処理ガス路を通じて被処理ガスを燃焼室に供給することができ、これにより、ガス処理用ファンにより燃焼室に供給される被処理ガス中の揮発性有機化合物を燃焼室において熱分解処理するガス処理運転を従前と同様に実施することができる。
【0018】
また、このガス処理運転に併行して、回収路における回収用ダンパを開くことで、燃焼室から高温の処理済ガスを回収路を通じ廃熱回収器に導入し、その導入処理済ガスを廃熱回収器で熱回収用熱媒と熱交換させて導入処理済ガスの保有熱を熱回収用熱媒に回収する廃熱回収運転も従前と同様に実施することができる。
【0019】
そして、このガス処理運転及びそれに伴う廃熱回収運転において、何らかの原因で廃熱回収器において異常が発生したときには、対策として回収路における回収用ダンパを閉じるとともにガス処理運転を停止するのに対し、外気導入用ダンパ及び冷却用ダンパを開いた状態にしてガス処理用ファンを運転することで、ガス処理用ファンにより外気導入路を通じ外気を導入し、この導入外気を冷却用空気としてガス処理用ファンにより冷却用風路を通じ廃熱回収器に供給して、その冷却用空気により廃熱回収器を強制的に冷却する回収器冷却運転を行うことができる。
【0020】
即ち、この回収器冷却運転により、第1特徴構成と同様、異常発生した廃熱回収器の先述の如き高温残熱による熱損傷や、燃焼室における高温処理済ガスが閉じ状態の回収用ダンパをリークして異常発生の廃熱回収器に侵入することによる廃熱回収器の熱損傷を効果的に防止することができる。
【0021】
そしてまた、この回収器冷却運転により、高温残熱を保有する異常発生の廃熱回収器が点検補修可能な温度まで温度低下するのに要する時間も従前の如き自然冷却に比べ大巾に短縮することができ、これにより、異常発生の廃熱回収器を復旧してガス処理運転を再開するのに要する時間も効果的に短縮することができる。
【0022】
しかも、このような強制冷却方式としながらも、ガス処理装置に付帯機器として装備されるガス処理用ファンを利用して冷却用空気を廃熱回収器に供給するから、専用の冷却用ファンを別途装備して廃熱回収器を強制冷却するのに比べ、装置の複雑化や装置コストの増大も効果的に抑止することができる。
【0023】
さらに、この第2特徴構成では、第1特徴構成と同様に、前記冷却用風路は、前記燃焼室からの高温処理済ガスを前記回収路を通じて通風する前記廃熱回収器の器内通風路に対し前記燃焼室からの高温処理済ガスの通風向きとは逆の通風向きで前記冷却用空気を通風する状態にして前記廃熱回収器に接続してある
から、次の作用効果も併せて得ることができる。
【0024】
即ち、燃焼室からの高温処理済ガスを回収路を通じ廃熱回収器の器内通風路に通風して導入処理済ガスの保有熱を回収する廃熱回収運転において燃焼室からの高温処理済ガスが流入する側の廃熱回収器における器内通風路の入口側部分よりも低温となる器内通風路の出口側部分(即ち、保有熱が回収されて温度低下した処理済ガスが通過する部分)に冷却用風路を接続する形態となることから、これとは逆に冷却用空気を燃焼室からの高温処理済ガスと同じ通風向きで廃熱回収器の器内通風路に通風する形態を採るのに比べ、冷却用風路の形成材に要求される耐熱性や、冷却用風路に対して施設する断熱手段に要求される断熱性を効果的に軽減することができ、これにより、装置コストの増大を一層効果的に抑止することができる。
【0025】
本発明の
第3特徴構成は、
第1又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記回収路における前記回収用ダンパより前記燃焼室寄りの部分から又は前記燃焼室から排気路へ高温の処理済ガスを導く逃がし路を設けるとともに、この逃がし路を開閉する逃がし用ダンパを設けてある点にある。
【0026】
この構成によれば、燃焼室から回収路を通じ廃熱回収器に導入する高温処理済ガスとは逆の通風向きで廃熱回収器の器内通風路に冷却用風路からの冷却用空気を通風する回収器冷却運転において、回収路における回収用ダンパ及び上記逃がし用ダンパを開くことで、廃熱回収器の器内通風路を燃焼室からの高温処理済ガスとは逆の通風向きで通過した冷却用空気(即ち、廃熱回収器に対して冷却作用した後の冷却用空気)を燃焼室に向けて回収路を逆流させる状態で逃がし路に導いて、その逃がし路を通じ排気路へ排出することができ、これにより、十分な風量の冷却用空気を異常発生した廃熱回収器の器内通風路に対して円滑に通風することができる。
【0027】
なお、この回収器冷却運転において燃焼室が未だ高温の状態で回収路の回収用ダンパを開いたとしても、燃焼室における高温処理済ガスが回収路を通じて廃熱回収器に侵入することは、回収路における燃焼室に向けての冷却用空気の逆流により確実に阻止することができ、これにより、燃焼室の高温処理済ガスが異常発生の廃熱回収器に侵入することによる廃熱回収器の熱損傷は確実に防止することができる。
【0028】
また、この逃がし路は、廃熱回収器において異常が発生したとき燃焼室における高温の処理済ガスを排気路に排出するときの導風路や、ガス処理運転において燃焼室の温度管理のために燃焼室における高温処理済ガスの一部を排気路に排出するときの導風路などにも兼用することができ、この兼用化により、装置の複雑化や装置コストの増大を一層効果的に抑止することもできる。
【0029】
本発明の
第4特徴構成は、
第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記冷却用ダンパに対するバイパス路を前記冷却用風路に設け、
このバイパス路に、前記廃熱回収器に向かう空気流れを許して逆向きの空気流れを阻止する逆止手段を設けてある点にある。
【0030】
この構成によれば、ガス処理運転の停止に続き外気導入により燃焼室を冷却する装置冷却運転の実施時など、冷却用ダンパを開く回収器冷却運転の実施は不要な状況においても、回収路における回収用ダンパが閉じ状態にあるときには、逆止手段により逆流を確実に阻止しながら少量の冷却用空気(即ち、第1特徴構成では燃焼用空気ファンにより供給される燃焼用空気、また、第2特徴構成では外気導入路を通じガス処理用ファンにより吸入される外気)をバイパス路を通じ廃熱回収器に供給する形態で、閉じ状態の回収用ダンパに対し冷却用空気の供給圧力(即ち、燃焼用空気ファン又はガス処理用ファンの吐出圧力)を燃焼室向きに作用させることができ、これにより、燃焼室が高温であるとしても燃焼室の高温処理済ガスや高温空気が閉じ状態の回収用ダンパをリークして廃熱回収器に侵入することを確実に防止することができ、この点で、廃熱回収器の熱損傷を防止するのに一層優れたガス処理装置にすることができる。
【0031】
本発明の
第5特徴構成は、第1〜
第4特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記ガス処理用ファンにより前記被処理ガス路を通じ被処理ガスを前記燃焼室に供給して、その被処理ガスに含まれる揮発性有機化合物を前記燃焼室で熱分解処理するガス処理運転と、前記冷却用風路を通じ前記廃熱回収器に前記冷却用空気を供給して前記廃熱回収器を冷却する回収器冷却運転との切り換えを行う制御手段を設け、
この制御手段は、前記ガス処理運転中に前記廃熱回収器で異常が発生したとき、異常検出情報に基づき前記ガス処理運転を自動的に停止して前記回収器冷却運転を自動的に開始する構成にしてある点にある。
【0032】
この構成によれば、廃熱回収器において異常が発生したとき、ガス処理運転から回収器冷却運転への切り換えが上記制御手段により自動的に行われるから、その運転切り換えを人為的に行うのに比べ、廃熱回収装置の熱損傷を一層確実に防止することができ、また、装置の運転管理も容易になる。