(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076257
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】プロセス中に物品を追跡するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
G01N35/02 C
【請求項の数】34
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-538880(P2013-538880)
(86)(22)【出願日】2011年11月10日
(65)【公表番号】特表2013-542450(P2013-542450A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】US2011060159
(87)【国際公開番号】WO2012064940
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】61/413,050
(32)【優先日】2010年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン−プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘイガン, ノーバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】オパルスキー, デイビッド
【審査官】
渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−010135(JP,A)
【文献】
特開平08−292194(JP,A)
【文献】
特開2008−064586(JP,A)
【文献】
特開2005−017177(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02080553(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0205673(US,A1)
【文献】
特開平11−242036(JP,A)
【文献】
特開2004−093518(JP,A)
【文献】
特表2008−537147(JP,A)
【文献】
特表2003−526789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を保持するように構成される容器ラックであって、
複数の容器受け取りポケットを画定する容器保持構造体であって、それぞれが容器を受け取り、かつ保持するように構成される、容器保持構造体と、
それぞれの容器受け取りポケットと関連付けられ、かつそれぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を含む、機械可読位置データと、
前記容器ラックの容器受け取りポケット内に保持される容器に関する情報、及びそれぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を保存するように構成される電子メモリ素子と、
前記容器保持構造体によって画定される容器受け取りポケット内に保持される任意の容器を被覆するように前記容器保持構造体に取り外し可能に固定されるように構成されるカバーと、
前記情報が前記電子メモリ素子に保存された後に、いったん前記容器保持構造体に固定された前記カバーが前記容器保持構造体から取り外されたかどうかを示すように構成される改ざん防止要素と、を含み、
前記改ざん防止要素は、情報が前記電子メモリ素子に保存されている間、又は保存されていた間に、前記カバーが前記容器保持構造体に固定されているときの第1の構成と、前記情報が前記電子メモリ素子に保存された後に、前記カバーが前記容器保持構造体から取り外されるときの第2の構成との間で変更可能である表示要素を含む、容器ラック。
【請求項2】
容器受け取りポケット内に保持される少なくとも1つの容器を更に含み、前記容器は、前記容器の内容物に関する情報を含む機械可読容器データを含む、請求項1に記載の容器ラック。
【請求項3】
前記機械可読容器データが、前記容器上に配置されるバーコードを構成する、請求項2に記載の容器ラック。
【請求項4】
前記機械可読位置データは、それぞれの容器受け取りポケットに隣接して配置されるバーコードを構成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器ラック。
【請求項5】
前記メモリ素子が無線周波の認証(RFID)タグを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器ラック。
【請求項6】
前記メモリ素子が接触式メモリ素子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器ラック。
【請求項7】
前記表示要素が、前記カバー又は前記容器保持構造体上に実装されてロック位置と解除位置との間で移動可能である移動可能フラグを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器ラック。
【請求項8】
前記フラグをその解除位置に付勢するように構成されるフラグ付勢要素と、
前記カバーが前記容器保持構造体に固定されている間に、前記フラグをそのロック位置に保持するように構成されるフラグ保持構造体であって、前記フラグ保持構造体は、前記カバーが前記容器保持構造体から取り外された場合、前記フラグ保持構造体が前記フラグをそのロック位置でもはや保持しないように構成されており、これによって前記フラグ付勢要素が前記フラグをその解除位置に戻させる、フラグ保持構造体と、を更に含む、請求項7に記載の容器ラック。
【請求項9】
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれるサンプル材料を特定する情報を含む、請求項2に記載の容器ラック。
【請求項10】
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれる試薬を特定する情報を含む、請求項2に記載の容器ラック。
【請求項11】
少なくとも1つの容器を保持するラックを受け取るように構成されるラック受け取り場所と、前記ラック上に配置された機械可読ラベル、及び前記ラック上に保持される前記少なくとも1つの容器上に配置された機械可読ラベルを読み取るように構成されるラベル読み取り装置と、保存可能なデータを前記ラック上に配置されたメモリ素子に書き込むように構成されるデータ書き込み装置と、を含む装置において、容器ラックで運搬される容器上に配置された機械可読ラベルを読み取り、前記ラック上に配置された機械可読ラベルを読み取り、前記容器及び前記容器の位置に関するデータを前記メモリ素子に書き込む方法であって、前記方法は、
(a)機械可読ラベルが上に配置された少なくとも1つの容器を保持するラックを、前記ラック受け取り場所に配置することと、
(b)ステップ(a)の実施中又は実施後に、前記ラベル読み取り装置を使用して、それぞれの容器の前記機械可読ラベルを読み取り、それぞれの容器の容器データを入手することと、
(c)ステップ(a)の実施中又は実施後に、前記ラベル読み取り装置を使用して、前記ラック上に配置された容器の位置識別ラベルを読み取り、それぞれの容器の容器位置データを入手することと、
(d)前記データ書き込み装置を使用してそれぞれの容器に関して、前記容器データ、及び対応する容器位置データを前記メモリ素子に書き込むことと、
(e)改ざん防止要素を使用して、ステップ(d)の間又はその前にラック上に保持された容器の上に配置されたカバーが、ステップ(d)の後に取り外されているかどうかを判定することと、を含み、
前記改ざん防止要素は、ステップ(d)の間又はその後に、前記カバーが前記ラックに固定されているときの第1の構成と、ステップ(d)の後に、前記カバーが前記ラックから取り外されるときの第2の構成との間で変更可能である表示要素を含む、方法。
【請求項12】
前記ラベル読み取り装置は、前記ラック受け取り場所に対して定位置に保持される少なくとも1つのバーコードリーダを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
それぞれの容器上に配置された前記機械可読ラベルは、容器バーコードを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ラック上に配置された前記位置識別ラベルが、前記ラックのそれぞれの容器受け取り場所に隣接して配置された位置バーコードを含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記メモリ素子がRFIDタグを含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記メモリ素子が接触式メモリ素子を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ラベル読み取り装置は、前記ラック受け取り場所に対して定位置に保持されるバーコードリーダを備え、
それぞれの容器上に配置された前記機械可読ラベルは、容器バーコードを含み、
前記ラック上に配置された前記位置識別ラベルが、前記ラックのそれぞれの容器受け取り場所に隣接して配置された位置バーコードを含み、
ステップ(b)が、前記バーコードリーダに対して前記ラックを移動させることと、それぞれの容器バーコード及びそれぞれの位置バーコードを、前記ラックが前記バーコードリーダを通過するときに読み取ることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記表示要素が、前記カバー又は前記ラック上に実装されかつロック位置と解除位置との間で移動可能なように構成される移動可能なフラグを含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記改ざん防止要素が、
前記フラグをその解除位置に付勢するように構成されるフラグ付勢要素と、
前記カバーが前記ラックに固定されている間に、前記フラグをそのロック位置に保持するように構成されるフラグ保持構造体であって、前記フラグ保持構造体は、前記カバーが前記ラックから取り外された場合、前記フラグ保持構造体が前記フラグをそのロック位置にもはや保持しないように構成されており、これによって前記フラグ付勢要素が前記フラグをその解除位置に戻させる、フラグ保持構造体と、を更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
プロセス中に容器を追跡するシステムであって、前記システムは、
複数の容器を保持するように構成される容器ラックであって、前記容器ラックは、
複数の容器受け取りポケットを画定する容器保持構造体であって、それぞれが容器を受け取り、かつ保持するように構成される、容器保持構造体、及び
データを保存するように構成されるメモリ素子を含む、容器ラックと、
前記1つ以上の容器を保持する前記容器ラックを受け取るように構成される第1のラック受け取り場所と、
前記第1のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、前記ラックが前記第1のラック受け取り場所に配置されたときに、前記容器ラック上、及び/又は前記ラック上に保持される1つ以上の容器上に配置された機械可読データを読み取るように構成されるラベル読み取り装置と、
前記第1のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、前記ラベル読み取り装置によって読み取られた前記データに関するデータを、前記第1のラック受け取り場所に配置された前記容器ラックの前記メモリ素子に書き込むように構成されるデータ書き込み装置と、
前記1つ以上の容器を保持する前記容器ラックを受け取るように構成される第2のラック受け取り場所と、
前記第2のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、前記第2のラック受け取り場所に配置された前記容器ラックの前記メモリ素子に保存されたデータを読み出すように構成されるデータ読み取り装置と、を含み、
前記容器ラックは、
前記容器ラックの容器受け取りポケット内に保持される任意の容器を被覆するように前記容器保持構造体に取り外し可能に固定されるように構成されるカバーと、
データが前記データ書き込み装置によって前記メモリ素子に書き込まれた後に、いったん前記容器保持構造体に固定された前記カバーが前記容器保持構造体から取り外されたかどうかを示すように構成される改ざん防止要素と、を更に備える、システム。
【請求項21】
前記容器ラック上に配置され、かつそれぞれの容器受け取りポケットに関連し、それぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を含む機械可読位置データと、
1つ以上の容器であって、それぞれの容器が、前記容器ラックの前記容器受け取りポケットのうちの1つに配置され、かつ機械可読容器データを含む、容器と、を更に含み、
前記ラベル読み取り装置は、前記ラックが前記第1のラック受け取り場所に配置されたときに、又はその間に、前記容器ラック上に配置された機械可読位置データと、前記ラック上に保持された前記容器に関する前記機械可読容器データと、を読み取るように構成され、
前記データ書き込み装置は、それぞれの容器に関して前記容器データ及び対応する容器位置データを、前記第1のラック受け取り場所に配置された前記容器ラックの前記メモリ素子に書き込むように構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
それぞれの容器の内容物に関し、かつそれぞれの容器の前記機械可読容器データと関連付けられる情報を含むデータストレージを更に含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記機械可読容器データが、前記容器上に配置されたバーコードを構成し、前記ラベル読み取り装置がバーコードリーダを備える、請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
前記機械可読位置データが、それぞれの容器受け取りポケットに隣接して配置されたバーコードを構成し、前記ラベル読み取り装置がバーコードリーダを備える、請求項21〜23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記メモリ素子がRFIDタグを含む、請求項20〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記メモリ素子が接触式メモリ素子を含む、請求項20〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記カバーが前記容器保持構造体に最初に固定された後に取り外されているということを前記改ざん防止要素が示す場合、前記データ読み取り装置によって読み取られたデータを却下するように構成されるコンピュータ制御装置を更に備える、請求項20〜26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれるサンプル材料を特定する情報を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれる試薬を特定する情報を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1のラック受け取り場所が単独型モジュールである、請求項20〜29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1のラック受け取り場所が前記容器の内容物を処理するように構成される機器と一体である、請求項20〜29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記改ざん防止要素が、前記カバー又は前記容器保持構造体上に実装されかつロック位置と解除位置との間で移動可能であるような移動可能フラグを備える、請求項20〜27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記改ざん防止要素が、
前記フラグをその解除位置に付勢するように構成されるフラグ付勢要素と、
前記第1のラック受け取り場所に関連付けられたフラグ係合要素であって、前記フラグ係合要素は、前記容器保持構造体に固定されたカバーを有する前記容器ラックが、前記第1のラック受け取り場所に配置されたとき、前記解除位置から前記ロック位置まで前記フラグを移動させるように構成される、フラグ係合要素と、
前記カバーが前記容器保持構造体に固定されている間に、前記フラグ係合要素が前記フラグを前記ロック位置に移動させた後に、前記フラグをそのロック位置に保持するように構成されているフラグ保持構造体であって、前記カバーが前記容器保持構造体から取り外された場合、前記フラグ保持構造体が前記フラグをそのロック位置にもはや保持しないように構成されており、これによって前記フラグ付勢要素が前記フラグをその解除位置に戻させる、フラグ保持構造体と、を更に含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第2のラック受け取り場所と関連付けられ、かつ前記ラックが前記第2のラック受け取り場所に配置されたときに、前記フラグが前記ロック位置にあるかどうかを検出するように構成されるフラグ位置検出要素を更に含む、請求項32又は33に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年11月12日出願の米国特許仮出願第61/413,050号の、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、その開示の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、サンプル搬送装置によるアクセスのために、サンプル材料を保管し、かつこれを表示し、並びにサンプル搬送操作中に、サンプルを含む導管と導管の間の二次汚染の発生を制限するためのシステム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で参照した全ての文書、又は指定部分は、本明細書において参照することにより援用する。しかしながら、いかなる文書も特許請求する主題に対して従来技術であるとは認められない。
【0004】
流体サンプルにアッセイを実施する分析器は一般的に、流体サンプル材料及び他の流体を様々な容器(receptacle)又は容器(container)間で搬送する、流体搬送メカニズムを含む。例えば流体サンプル材料は、規定量の流体サンプルを含み、分析器内に配置されるか、又は分析器に近接して作用しているサンプル容器、例えば試験官を介して分析器内に取り込むことができる。分析器は、容器の内容物にアクセスするための吸引プローブを有する、ロボット制御されたピペット操作装置を備える自動流体搬送メカニズムを含む場合がある。プローブはその遠位端上に(例えば摩擦によって)実装された保護先端部(例えばピペット先端部)を有するバレルを備える場合がある。
【0005】
流体サンプル材料は、吸引プローブをサンプル容器の上に配置し、次いでこのプローブを、容器内に保持されている流体サンプル材料にプローブの遠位端が浸漬されるまでプローブを下降させることによって、サンプル容器から搬送される。プローブが浸漬された後、規定量の流体がプローブに引き込まれる。プローブは次いで持ち上げられ、分析器内の他の場所に移動され、他の容器の上に操作可能に配置される(又は代わりに、プローブは定位置に保持される場合があり、サンプル容器及び他の容器はプローブに相対的に移動する場合がある)。サンプル材料は、反応容器(例えば試験官、キュベット、マイクロタイタープレートウェル等)に搬送される場合があり、その内部ではサンプル材料は、試薬及び/又は他の反応体と組み合わされて(並びに、必要に応じて、容器及びその内容物は他の条件又は刺激、例えば高温におけるインキュベーション、混合、及び/又は遠心分離が行われる場合がある)、形質変換又は化学的、生化学的若しくは生物学的反応を実施する場合がある。サンプル材料を受け取る容器の上にプローブが配置された後、必要に応じて受け取り側の容器から受け取り側の容器へとプローブを移動させながら、流体の一部又は全てがプローブから1つ以上の容器に分配される。
【0006】
そのような流体搬送手順の間に、サンプル材料をこぼすか、又は置き違えることによる二次汚染を避けるために注意が払われなければならない。例えば、1つのサンプル容器からのサンプルは、異なるサンプル、又は異なる源からのサンプルを含む他のサンプル容器内に誤って堆積されるべきではない。同様に、いずれのサンプル材料も、かかるサンプルが意図されていない反応容器内、例えば内部に異なるサンプルが既に分配されている反応容器内に堆積されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、複数の容器を保持するように構成される容器ラックにおいて実施される。容器ラックは、複数の容器受け取りポケットを画定する容器保持構造体と、それぞれの容器受け取りポケットと関連付けられた機械可読位置データと、電子メモリ素子と、を含む。ポケットのそれぞれは、容器を受け取り、保持するように構成される。機械可読位置データは、それぞれの容器受け取りポケットと関連付けられ、かつそれぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を含む。電子メモリ素子は、容器ラックの容器受け取りポケット内に保持される容器に関する情報、及びそれぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を保存するように構成される。
【0008】
容器ラックで実施される本発明の別の態様によると、容器ラックは、容器受け取りポケット内に保持される少なくとも1つの容器を更に含み、容器は、容器の内容物に関する情報を含む機械可読容器データを含む。
【0009】
容器ラックで実施される本発明の別の態様によると、機械可読容器データは、容器上に配置されるバーコードを構成する。
【0010】
容器ラックで実施される本発明の別の態様によると、機械可読位置データは、それぞれの容器受け取りポケットに隣接して配置されるバーコードを構成する。
【0011】
容器ラックで実施される本発明の他の態様によると、メモリ素子は無線周波の認証(RFID)タグを含む。
【0012】
容器ラックで実施される本発明の他の態様によると、メモリ素子は接触式メモリ素子を含む。
【0013】
容器ラックで実施される本発明の別の態様によると、容器ラックは、容器保持構造体によって画定される容器受け取りポケット内に保持される、任意の容器を被覆するように、容器保持構造体に取り外し可能に固定されるカバーと、情報が電子メモリ素子に保存されている間に、容器保持構造体に固定されているカバーが、情報が電子メモリ素子に保存された後に、容器保持構造体から取り外されたかどうかを示すように構成される、改ざん防止要素と、を更に含む。
【0014】
容器ラックで実施される本発明の他の態様によると、改ざん防止要素は、情報が電子メモリ素子に保存されている間に、カバーが容器保持構造体に固定されているときの第1の構成と、情報が電子メモリ素子に保存された後に、カバーが容器保持構造体から取り外されるときの第2の構成との間で変更可能である表示要素を含む。
【0015】
容器ラックで実施される本発明の他の態様によると、表示要素は、カバー又は容器保持構造体上に実装されて、ロック位置と解除位置との間で移動可能である移動可能フラグを含む。
【0016】
容器ラックで実施される本発明の他の態様によると、表示要素は、フラグ付勢要素及びフラグ保持構造体を更に含む。フラグ付勢要素は、フラグをその解除位置に付勢するように構成される。フラグ保持構造体は、カバーが容器保持構造体に固定されている間は、フラグをそのロック位置に保持するように構成され、カバーが容器保持構造体から取り外された場合、フラグ保持構造体がフラグをそのロック位置でもはや保持しないように構成されており、これによってフラグ付勢要素がフラグをその解除位置に戻させる。
【0017】
容器ラックで実施される本発明の別の態様によると、機械可読容器データは、容器に含まれるサンプル材料を特定する情報を含む。
【0018】
容器ラックで実施される本発明の別の態様によると、機械可読容器データは、容器に含まれる試薬を特定する情報を含む。
【0019】
本発明の他の態様は、容器ラックで運搬される容器上に配置された機械可読ラベルを読み取り、ラック上に配置された機械可読ラベルを読み取り、容器及び容器の位置に関するデータをラック上のメモリ素子に書き込む方法で実施される。その上に配置された機械可読ラベルを有する、少なくとも1つの容器を保持するラックは、ラック受け取り場所に配置される。ラックをラック受け取り場所に配置している間又はその後に、ラベル読み取り装置を使用して、それぞれの容器の機械可読ラベルが読み取られ、それぞれの容器の容器データを入手し、ラック上に配置された容器の位置識別ラベルはラベル読み取り装置を使用して読み取られ、それぞれの容器の容器位置データを入手する。データ書き込み装置が次いで使用されて、それぞれの容器に関して、容器データ、及び対応する容器位置データをメモリ素子に書き込む。
【0020】
本方法で実施される本発明の他の態様によると、ラベル読み取り装置は、ラック受け取り場所に対して定位置に保持される、少なくとも1つのバーコードリーダを備える。
【0021】
本方法で実施される本発明の別の態様によると、それぞれの容器上に配置された機械可読ラベルは容器バーコードを含む。
【0022】
本方法で実施される本発明の他の態様によると、ラック上に配置された位置識別ラベルは、ラックのそれぞれの容器受け取り場所に隣接して配置された位置バーコードを含む。
【0023】
本方法で実施される本発明の他の態様によると、メモリ素子はRFIDタグを含む。
【0024】
本方法で実施される本発明の他の態様によると、メモリ素子は接触式メモリ素子を含む。
【0025】
本方法で実施される本発明の別の態様によると、ラベル読み取り装置は、ラック受け取り場所に対して定位置に保持されるバーコードリーダを備え、それぞれの容器上に配置された機械可読ラベルは、容器バーコードを含み、ラック上に配置された位置識別ラベルは、ラックのそれぞれの容器受け取り場所に隣接して配置された位置バーコードを含み、それぞれの容器の機械可読ラベルを読み取ることは、バーコードリーダに対してラックを移動させ、それぞれの容器バーコード及びそれぞれの位置バーコードを、ラックがバーコードリーダを通過するときに読み取ることを含む。
【0026】
本方法で実施される本発明の他の態様によると、本方法は、データがメモリ素子に書き込まれている間にラック上に保持された容器上に配置されたカバーが、データがメモリ素子に書き込まれた後で取り外されているかどうかを判定するステップを更に含む。
【0027】
本方法で実施される本発明の他の態様によると、カバーが取り外されているかどうかを判定することは、カバー又はラック上に実装され、ロック位置と解除位置との間で移動可能なように構成される移動可能フラグを含む改ざん防止要素によって実施される。
【0028】
本方法で実施される本発明の他の態様によると、改ざん防止要素は、フラグ付勢要素及びフラグ保持構造体を更に備える。フラグ付勢要素は、フラグをその解除位置に付勢するように構成される。フラグ保持構造体は、カバーがラックに固定されている間に、フラグをそのロック位置に保持するように構成され、フラグ保持構造体は、カバーがラックから取り外された場合、フラグ保持構造体がフラグをそのロック位置にもはや保持しないように構成されており、これによってフラグ付勢要素はフラグをその解除位置に戻させる。
【0029】
本発明の他の態様は、プロセス中に反応容器を追跡するシステムにおいて実施され、ここで、システムは、容器ラックと、第1のラック受け取り場所と、ラベル読み取り装置と、データ書き込み装置と、第2のラック受け取り場所と、データ読み取り装置と、を含む。容器ラックは、複数の容器を保持するように構成され、並びに複数の容器受け取りポケットを画定する容器保持構造体であって、それぞれが容器を受け取り、かつ保持するように構成される容器保持構造体、及びデータを保存するように構成されるメモリ素子を含む。第1のラック受け取り場所は、1つ以上の容器を保持する容器ラックを受け取るように構成され、ラベル読み取り装置は、第1のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、ラックが第1のラック受け取り場所に配置されたときに、容器ラック上、及び/又はラック上に保持される1つ以上の容器上に配置された機械可読データを読み取るように構成される。データ書き込み装置は、第1のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、ラベル読み取り装置によって読み取られたデータを、第1のラック受け取り場所に配置された容器ラックのメモリ素子に書き込むように構成される。第2のラック受け取り場所は、1つ以上の容器を保持する容器ラックを受け取るように構成され、データ読み取り装置は、第2のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、第2のラック受け取り場所に配置された容器ラックのメモリ素子に保存されたデータを読み出すように構成される。
【0030】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、本システムは、容器ラック上に配置され、かつそれぞれの容器受け取りポケットに関連し、それぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を含む、機械可読位置データと、1つ以上の容器であって、それぞれの容器が、容器ラックの容器受け取りポケットのうちの1つに配置され、かつ機械可読容器データを含む、容器と、を更に含む。ラベル読み取り装置は、ラックが第1のラック受け取り場所に配置されたときに、又はその間に、容器ラック上に配置された機械可読位置データと、ラック上に保持された、容器に関する機械可読容器データと、を読み取るように構成され、データ書き込み装置は、それぞれの容器に関して容器データ及び対応する容器位置データに関するデータを、第1のラック受け取り場所に配置された容器ラックのメモリ素子に書き込むように構成されている。
【0031】
本システムにおいて実施される本発明の他の態様によると、本システムは、それぞれの容器の内容物に関し、かつそれぞれの容器の機械可読容器データと関連付けられる情報を含む、データストレージを更に含む。
【0032】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、機械可読容器データは、容器上に配置されたバーコードを構成し、ラベル読み取り装置はバーコードリーダを備える。
【0033】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、機械可読位置データは、それぞれの容器受け取りポケットに隣接して配置されるバーコードを構成し、ラベル読み取り装置はバーコードリーダを備える。
【0034】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、メモリ素子はRFIDタグを含む。
【0035】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、メモリ素子は接触式メモリ素子を含む。
【0036】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、容器ラックは、容器ラックの容器受け取りポケット内に保持される任意の容器を被覆するように、容器保持構造体に取り外し可能に固定されるように構成されるカバーと、データがデータ書き込み装置によってメモリ素子に書き込まれている間に、容器保持構造体に固定されたカバーが、データがデータ書き込み装置によってメモリ素子に書き込まれた後に、容器保持構造体から取り外されたかどうかを示すように構成される、改ざん防止要素と、を更に備える。
【0037】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、本システムは、カバーが容器保持構造体に最初は固定された後に取り外されているということを改ざん防止要素が示す場合、前述のデータ読み取り装置によって読み取られたデータを却下するように構成されるコンピュータ制御装置を更に備える。
【0038】
本システムで実施される本発明の別の態様によると、機械可読容器データは、容器に含まれるサンプル材料を特定する情報に関する。
【0039】
本システムで実施される本発明の別の態様によると、機械可読容器データは、容器に含まれる試薬を特定する情報に関する。
【0040】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、第1のラック受け取り場所は単独型モジュールである。
【0041】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、第1のラック受け取り場所は容器の内容物を処理するように構成される器具と一体である。
【0042】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、本システムは、カバー上又は容器保持構造体上に実装されて、ロック位置と解除位置との間で移動可能であるような移動可能フラグを備える、改ざん防止要素を更に含む。
【0043】
本システムで実施される本発明の他の態様によると、改ざん防止要素は、フラグ付勢要素、フラグ係合要素、及びフラグ保持構造体を更に備える。フラグ付勢要素は、フラグをその解除位置に付勢するように構成される。フラグ係合要素は、カバーを備え、容器保持構造体に固定された容器ラックが、第1のラック受け取り場所に配置されたとき、第1のラック受け取り場所に関連付けられ、かつ解除位置からロック位置までフラグを移動させるように構成される。フラグ保持構造体は、カバーが容器保持構造体に固定されている間に、フラグ係合要素がフラグをロック位置に移動させた後に、フラグをそのロック位置に保持するように構成される。フラグ保持構造体は、カバーが容器保持構造体から取り外された場合、フラグをそのロック位置にもはや保持しないように構成されており、これによってフラグ付勢要素はフラグをその解除位置に戻させる。
【0044】
本システムにおいて実施される本発明の他の態様によると、改ざん防止要素は、第2のラック受け取り場所と関連付けられ、ラックが第2のラック受け取り場所に配置されたときに、フラグがロック位置にあるかどうかを検出するように構成される、フラグ位置検出要素を更に含む。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
複数の容器を保持するように構成される容器ラックであって、
複数の容器受け取りポケットを画定する容器保持構造体であって、それぞれが容器を受け取り、かつ保持するように構成される、容器保持構造体と、
それぞれの容器受け取りポケットと関連付けられ、かつそれぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を含む、機械可読位置データと、
前記容器ラックの前記容器受け取りポケット内に保持される前記容器に関する情報、及びそれぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を保存するように構成される電子メモリ素子と、を含む、容器ラック。
(項目2)
前記容器受け取りポケット内に保持される少なくとも1つの容器を更に含み、前記容器は、該容器の内容物に関する情報を含む機械可読容器データを含む、項目1に記載の容器ラック。
(項目3)
前記機械可読容器データが、前記容器上に配置されるバーコードを構成する、項目2に記載の容器ラック。
(項目4)
前記機械可読位置データは、それぞれの容器受け取りポケットに隣接して配置されるバーコードを構成する、項目1〜3のいずれか一項に記載の容器ラック。
(項目5)
前記メモリ素子が無線周波の認証(RFID)タグを含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の容器ラック。
(項目6)
前記メモリ素子が接触式メモリ素子を含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の容器ラック。
(項目7)
前記容器保持構造体によって画定される前記容器受け取りポケット内に保持される、任意の容器を被覆するように、前記容器保持構造体に取り外し可能に固定されるように構成されるカバーと、
前記情報が前記電子メモリ素子に保存された後に、いったん前記容器保持構造体に固定された前記カバーが前記容器保持構造体から取り外されたかどうかを示すように構成される、改ざん防止要素と、を更に含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の容器ラック。
(項目8)
前記改ざん防止要素は、情報が前記電子メモリ素子に保存されている間、又は保存されていた間に、前記カバーが前記容器保持構造体に固定されているときの第1の構成と、前記情報が前記電子メモリ素子に保存された後に、前記カバーが前記容器保持構造体から取り外されるときの第2の構成との間で変更可能である表示要素を含む、項目7に記載の容器ラック。
(項目9)
前記表示要素が、前記カバー又は前記容器保持構造体上に実装されて、ロック位置と解除位置との間で移動可能である移動可能フラグを含む、項目8に記載の容器ラック。
(項目10)
前記フラグをその前記解除位置に付勢するように構成されるフラグ付勢要素と、
前記カバーが前記容器保持構造体に固定されている間に、前記フラグをその前記ロック位置に保持するように構成されるフラグ保持構造体であって、前記フラグ保持構造体は、前記カバーが前記容器保持構造体から取り外された場合、前記フラグ保持構造体が前記フラグをその前記ロック位置でもはや保持しないように構成されており、これによって前記フラグ付勢要素が前記フラグをその前記解除位置に戻させる、フラグ保持構造体と、を更に含む、項目9に記載の容器ラック。
(項目11)
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれるサンプル材料を特定する情報を含む、項目2に記載の容器ラック。
(項目12)
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれる試薬を特定する情報を含む、項目2に記載の容器ラック。
(項目13)
少なくとも1つの容器を保持するラックを受け取るように構成されるラック受け取り場所と、前記ラック上に配置された機械可読ラベル、及び前記ラック上に保持される前記少なくとも1つの容器上に配置された機械可読ラベルを読み取るように構成されるラベル読み取り装置と、保存可能なデータを前記ラック上に配置されたメモリ素子に書き込むように構成されるデータ書き込み装置と、を含む装置において、前記容器ラックで運搬される前記容器上に配置された前記機械可読ラベルを読み取り、前記ラック上に配置された機械可読ラベルを読み取り、前記容器及び前記容器の位置に関するデータを前記メモリ素子に書き込む方法であって、前記方法は、
(a)その上に配置された前記機械可読ラベルを有する、少なくとも1つの容器を保持するラックを、前記ラック受け取り場所に配置することと、
(b)前記ステップ(a)の実施中又は実施後に、前記ラベル読み取り装置を使用して、それぞれの容器の前記機械可読ラベルを読み取り、それぞれの容器の容器データを入手することと、
(c)前記ステップ(a)の実施中又は実施後に、前記ラベル読み取り装置を使用して、前記ラック上に配置された容器の位置識別ラベルを読み取り、それぞれの容器の容器位置データを入手することと、
(d)前記データ書き込み装置を使用してそれぞれの容器に関して、前記容器データ、及び対応する前記容器位置データを前記メモリ素子に書き込むことと、を含む、方法。
(項目14)
前記ラベル読み取り装置は、前記ラック受け取り場所に対して定位置に保持される、少なくとも1つのバーコードリーダを備える、項目13に記載の方法。
(項目15)
それぞれの容器上に配置された前記機械可読ラベルは、容器バーコードを含む、項目13又は14に記載の方法。
(項目16)
前記ラック上に配置された前記位置識別ラベルが、前記ラックのそれぞれの容器受け取り場所に隣接して配置された位置バーコードを含む、項目13〜15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記メモリ素子がRFIDタグを含む、項目13〜16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記メモリ素子が接触式メモリ素子を含む、項目13〜16のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記ラベル読み取り装置は、前記ラック受け取り場所に対して定位置に保持されるバーコードリーダを備え、
それぞれの容器上に配置された前記機械可読ラベルは、容器バーコードを含み、
前記ラック上に配置された前記位置識別ラベルが、前記ラックのそれぞれの容器受け取り場所に隣接して配置された位置バーコードを含み、
前記ステップ(b)が、前記バーコードリーダに対して前記ラックを移動させることと、それぞれの容器バーコード及びそれぞれの位置バーコードを、前記ラックが前記バーコードリーダを通過するときに読み取ることと、を含む、項目13に記載の方法。
(項目20)
前記ステップ(d)の間又はその前に、前記ラック上に保持された容器の上に配置されたカバーが、前記ステップ(d)の後に取り外されているかどうかを判定するステップを更に含む、項目13〜19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記カバーが取り外されているかどうかを判定することが、前記カバー又は前記ラック上に実装され、かつ前記ロック位置と前記解除位置との間で移動可能なように構成される移動可能なフラグを含む、改ざん防止要素を用いて実施される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記改ざん防止要素が、
前記フラグをその前記解除位置に付勢するように構成されるフラグ付勢要素と、
前記カバーが前記ラックに固定されている間に、前記フラグをその前記ロック位置に保持するように構成されるフラグ保持構造体であって、前記フラグ保持構造体は、前記カバーが前記ラックから取り外された場合、前記フラグ保持構造体が前記フラグをその前記ロック位置にもはや保持しないように構成されており、これによって前記フラグ付勢要素が前記フラグをその前記解除位置に戻させる、フラグ保持構造体と、を更に備える、項目21に記載の方法。
(項目23)
プロセス中に容器を追跡するシステムであって、該システムは、
複数の容器を保持するように構成される容器ラックであって、前記容器ラックは、
複数の容器受け取りポケットを画定する容器保持構造体であって、それぞれが前記容器を受け取り、かつ保持するように構成される、容器保持構造体、及び
データを保存するように構成されるメモリ素子を含む、容器ラックと、
前記1つ以上の容器を保持する前記容器ラックを受け取るように構成される第1のラック受け取り場所と、
前記第1のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、前記ラックが前記第1のラック受け取り場所に配置されたときに、前記容器ラック上、及び/又は前記ラック上に保持される前記1つ以上の容器上に配置された機械可読データを読み取るように構成されるラベル読み取り装置と、
前記第1のラック受け取り場所に対して操作可能に配置され、前記ラベル読み取り装置によって読み取られた前記データに関するデータを、前記第1のラック受け取り場所に配置された前記容器ラックの前記メモリ素子に書き込むように構成される、データ書き込み装置と、
前記1つ以上の容器を保持する前記容器ラックを受け取るように構成される第2のラック受け取り場所と、
前記第2のラック受け取り場所に対して操作可能に配置されたデータ読み取り装置であって、前記第2のラック受け取り場所に配置された前記容器ラックの前記メモリ素子に保存されたデータを読み出すように構成される、データ読み取り装置と、を含む、システム。
(項目24)
前記容器ラック上に配置され、かつそれぞれの容器受け取りポケットに関連し、それぞれの容器受け取りポケットの位置に関する情報を含む、機械可読位置データと、
1つ以上の容器であって、それぞれの容器が、前記容器ラックの前記容器受け取りポケットのうちの1つに配置され、かつ前記機械可読容器データを含む、容器と、を更に含み、
前記ラベル読み取り装置は、前記ラックが前記第1のラック受け取り場所に配置されたときに、又はその間に、前記容器ラック上に配置された前記機械可読位置データと、前記ラック上に保持された、前記容器に関する前記機械可読容器データと、を読み取るように構成され、
前記データ書き込み装置は、それぞれの容器に関して前記容器データ及び対応する前記容器位置データを、前記第1のラック受け取り場所に配置された前記容器ラックの前記メモリ素子に書き込むように構成されている、項目23に記載のシステム。
(項目25)
それぞれの容器の内容物に関し、かつそれぞれの容器の前記機械可読容器データと関連付けられる情報を含む、データストレージを更に含む、項目24に記載のシステム。
(項目26)
前記機械可読容器データが、前記容器上に配置されたバーコードを構成し、前記ラベル読み取り装置がバーコードリーダを備える、項目24又は25に記載のシステム。
(項目27)
前記機械可読位置データが、それぞれの容器受け取りポケットに隣接して配置されたバーコードを構成し、前記ラベル読み取り装置がバーコードリーダを備える、項目24〜26のいずれか一項に記載のシステム。
(項目28)
前記メモリ素子がRFIDタグを含む、項目23〜27のいずれか一項に記載のシステム。
(項目29)
前記メモリ素子が接触式メモリ素子を含む、項目23〜27のいずれか一項に記載のシステム。
(項目30)
前記容器ラックは、
前記容器ラックの前記容器受け取りポケット内に保持される、任意の容器を被覆するように、前記容器保持構造体に取り外し可能に固定されるように構成されるカバーと、
データが前記データ書き込み装置によって前記メモリ素子に書き込まれた後に、いったん前記容器保持構造体に固定された前記カバーが前記容器保持構造体から取り外されたかどうかを示すように構成される、改ざん防止要素と、を更に備える、項目23〜29のいずれか一項に記載のシステム。
(項目31)
前記カバーが前記容器保持構造体に最初に固定された後に取り外されているということを前記改ざん防止要素が示す場合、前記データ読み取り装置によって読み取られたデータを却下するように構成される、コンピュータ制御装置を更に備える、項目30に記載のシステム。
(項目32)
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれるサンプル材料を特定する情報を含む、項目24〜27のいずれか一項に記載のシステム。
(項目33)
前記機械可読容器データが、前記容器内に含まれる試薬を特定する情報を含む、項目24〜27のいずれか一項に記載のシステム。
(項目34)
前記第1のラック受け取り場所が単独型モジュールである、項目23〜33のいずれか一項に記載のシステム。
(項目35)
前記第1のラック受け取り場所が前記容器の前記内容物を処理するように構成される機器と一体である、項目23〜33のいずれか一項に記載のシステム。
(項目36)
前記改ざん防止要素が、前記カバー又は前記容器保持構造体上に実装されて、ロック位置と解除位置との間で移動可能であるような移動可能フラグを備える、項目30又は31に記載のシステム。
(項目37)
前記改ざん防止要素が、
前記フラグをその前記解除位置に付勢するように構成されるフラグ付勢要素と、
前記第1のラック受け取り場所に関連付けられたフラグ係合要素であって、前記フラグ係合要素は、前記容器保持構造体に固定された前記カバーを有する前記容器ラックが、前記第1のラック受け取り場所に配置されたとき、前記解除位置から前記ロック位置まで前記フラグを移動させるように構成される、フラグ係合要素と、
前記カバーが前記容器保持構造体に固定されている間に、前記フラグ係合要素が前記フラグを前記ロック位置に移動させた後に、前記フラグをその前記ロック位置に保持するように構成されているフラグ保持構造体であって、前記カバーが前記容器保持構造体から取り外された場合、前記フラグ保持構造体が前記フラグをその前記ロック位置にもはや保持しないように構成されており、これによって前記フラグ付勢要素が前記フラグをその前記解除位置に戻させる、フラグ保持構造体と、を更に含む、項目36に記載のシステム。
(項目38)
前記第2のラック受け取り場所と関連付けられ、かつ前記ラックが前記第2のラック受け取り場所に配置されたときに、前記フラグが前記ロック位置にあるかどうかを検出するように構成される、フラグ位置検出要素を更に含む、項目36又は37に記載のシステム。
【0045】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明、添付の請求項及び添付の図面の検討後に、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本明細書に組み込まれ、かつ明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の様々な実施形態を例示する。図中、同様の参照符合は、同一又は機能的に同様の要素を示すものである。
【
図1】本発明の態様を実施するサンプル容器モジュールの上方の前方斜視図。
【
図2】サンプル容器モジュールの上方の後方斜視図。
【
図3】サンプル容器モジュールのサンプル区画の下方の前方斜視図。
【
図4】容器ホルダー、及び容器ホルダーから取り外されているのが示されているカバーを含む、サンプル容器モジュールのサンプルラックの斜視図。
【
図5】カバーが取り外されている状態の容器ホルダーの平面図。
【
図6】容器ホルダー及びカバーを含むサンプルラックの側面図。
【
図7】容器ホルダー及びカバーを含み、複数の異なる寸法のサンプル容器が容器ホルダーで運搬されている、サンプルラックの側面図。
【
図8】容器ホルダー及びカバーを含む、サンプルラックの代替の実施形態の側面図。
【
図9】1つ以上の容器を保持するラック上の容器の情報を保存し、かつ記憶デバイスに容器の情報を書き込むための装置を含む、診断処理システム。
【
図11】本発明の実施形態の例示のシステム構造体を示すブロック図。
【
図12】容器及びラック上の機械可読ラベルを読み取り、かつラック上のメモリ素子にデータを書き込むためのプロセスを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1に示されるように、本発明の態様を実施するサンプル容器モジュールは、内部に複数のサンプルラック100が配置されているサンプル区画10を含む。例示の実施形態では、サンプル区画10は最高で8個のサンプルラック100を保持する。
【0048】
図1〜3に示されているように、サンプル区画10は第1側壁12、第2側壁16、後壁18及び底部プレート20を有する、箱様の構造体である。壁部12、16及び18は断熱されていてもよい。サンプル区画10は、壁部12、16、及び18によってその縁部において保持されるサンプル区画カバー40を更に含む。サンプル区画10の前方端部32は開口しており、サンプルラック100が、サンプル区画10の内部に挿入され、かつサンプル区画10から取り外されるのを可能にする。底部プレート20は、それぞれのラックを正確にかつ繰り返し位置決めするために、それぞれのサンプルラック100の底部に形成された、嵌合ガイドに係合するサンプルラックガイド22を更に含んでもよい。後壁18に形成された穴19は、各サンプルラックの位置と位置合わせされている。
【0049】
サンプル区画10の実施形態は、バーコードブラケット34を更に含み、これは第1側壁12に実装され、第1側壁12に形成されるバーコード窓部14に対して操作可能位置において、バーコードリーダ15を保持するように構成され得る。バーコードブラケット34に保持されるバーコードリーダ15は、サンプルラック100のそれぞれで搬送される個々のサンプル容器上に配置されたバーコード、並びにサンプルラック100自体の上のバーコードを読み取るように構成されている。バーコードは、サンプルラックがサンプル区画10内に押し込まれるとき、又はサンプル区画10から取り出されるときにバーコード窓部14を通じて読み取られる。サンプル容器上のバーコードを読み取る手順は以下に記載される。
【0050】
一実施形態では、サンプル区画10の内部は、
図3に示されるように、底部プレート20の下に配置される冷却材チューブ30を通じて流れる冷却材媒体によって、周囲温度よりも低温で保持されるのが好ましい。冷水を含み得る冷却材媒体は、
図2に示されるように、後壁18の背後に実装されている冷却材注入コネクタ28、及び冷却材排出コネクタ26を介して冷却材チューブ30を通過する。他の冷却手段、例えば1つ以上の熱電ペルチェ装置が冷却材チューブ30に加えて、又はこれの代わりに採用されてもよい。
【0051】
サンプル区画10の冷却された内部は、サンプル区画10の内部で結露を蓄積させる場合がある。蓄積された水をサンプル区画10から外へ移送するために、結露管36は、前方開口部32の下前縁部に沿って設けられてもよい。結露管36は上部の長手方向スロット38を含み、底部プレート20の前方縁部24は、スロット38内に折り曲げられ、底部プレート20上で回収された余分な結露を結露管36内に方向付ける。結露管36は、回収された結露を遠隔の容器又は廃液管(図示せず)に移送する。
【0052】
サンプル区画カバー40は、内部に複数のサンプル容器のアクセス開口部42を形成し、これは例示の実施形態では、行と列の矩形の配列に配置され、開口部の各列は、サンプルラック100の位置と位置合わせしている。
【0053】
サンプルラック100は
図4〜7に更に詳細に示される。サンプルラック100は、複数の容器を受け取り、かつ保持するように適合され、これは特定の実施形態では、試験管など管状の容器を含む場合がある。サンプルラック100は、容器ホルダー102及びカバー130を含む。容器ホルダー102は、容器ホルダー102を把持し、これを運搬し、かつ容器ホルダー102をサンプル区画10内に挿入するか、又は容器ホルダー102をサンプル区画10から取り出すためのハンドル104を含む。一実施形態では、機械可読ラベル、例えばバーコード103は、図示されているハンドル104の付近など、容器ホルダー102上に設けられる。
【0054】
容器ホルダー102は、好適な非反応性材料、例えばプラスチック又はDelrin(登録商標)アセチル樹脂から作製されてもよく、ハンドル104から長手方向に延在する底部106を含む。ガイドトラック108(
図4を参照)は、サンプル区画10の底部プレート20に設けられたサンプルラックガイド22と係合するために底部106に形成され、サンプル区画10内にサンプルラック100が正確に位置決めされるようにする。容器ホルダー102の実施形態は、ハンドル104の上の上方縁部に形成された位置合わせスロット118を含む。位置合わせスロット118は、サンプル区画カバー40の前方縁部の底部に沿って形成された位置合わせ突起部60のうちの1つと係合する(
図3を参照)。垂直に方向付けられた複数の仕切り壁部110は、底部106から離間した間隔で上方に延在する。例示される実施形態では、仕切り壁部110の上方部分は、ハンドル104から、容器ホルダー102の1つの側面に沿って端壁部120まで長手方向に延在するサイドパネル122によって、固定した相対位置に保持される。隣接する仕切り壁部110のそれぞれの対の間の空間は、サンプル容器のポケット124、又は個々の容器を受け取るための容器受け取り領域を画定する。一実施形態では、位置を特定する表示部、例えばバーコード125は、それぞれのポケット124に隣接する仕切り壁部110の外側に面するパネル上に設けられる。表示部はまた、英数識別子、「A」、「B」、「C」等を含んでもよく、一意的にそれぞれのポケット124を特定する。それぞれのポケットを一意に特定し、容器がポケット124内に存在していないときを示すために、機械可読ラベル、例えば「空のポケット」のバーコード123はそれぞれのポケット124内部で、表面パネル122の内側面上に設けられてもよい。
【0055】
弾性要素、例えばバネクリップ116は、それぞれのサンプル容器のポケット124内に設けられる。バネクリップ116は、一方の部分が、容器ポケット124を画定する1つの仕切り壁部110に取り付けられ、他方の部分が、ポケット内に鋭角で延在する、(例えばステンレス鋼のバネから作製された)曲げ要素を備える。それぞれのサンプル容器のポケット124は、様々な寸法の容器を収容することができる。サンプル容器のポケット124の1つの側面を形成する仕切り壁部110に対して、容器を付勢するバネクリップ116によって、容器はポケット124内で比較的安定して、定位置に保持される。
図5に示されるように、それぞれの仕切り壁部110は、浅いV型のノッチ126などの位置決め機構を組み込み、これはバネクリップ116によって仕切り壁部110に対して付勢される容器の位置決め(例えば中心合わせ)を支援する。
図4及び
図7は、複数の大型容器160、小型容器162、及び中型の寸法のキャップの付いた容器164を運搬する容器ホルダー102を示す。一実施形態では、容器は直径が12mm〜16mmの寸法の範囲の試験管である。容器ホルダー102の寸法は、異なる寸法の容器を収容するように縮小拡大できるということが当業者には明らかであろう。
【0056】
カバー130は、容器ホルダー102の上に突出するサンプル容器の上方端部上に適合し、カバー130を取り外すことなく、容器ホルダー102の内容物が観察できるように、透明又は半透明のプラスチック材料から作製されるのが好ましい。カバー130は、第1及び第2の長手方向の側壁132、134及び端壁部136、138を含む。カバー130は、カバー130を解除可能に容器ホルダー102に固定する構造的要素を含んでもよい。例示の実施形態では、カバーは固定フォーク140、142をカバー130の対向する端部に含み(
図4を参照)、これはカバー130を容器ホルダー102に解除可能に固定するために、容器ホルダー102に形成された嵌合要素(図示せず)と係合する。一実施形態において、カバー130はバーコード131などの機械可読ラベルを含む。
【0057】
水平の横断壁144は、側壁及び端部壁の最上縁部の下で側壁132、134及び端部壁136、138の間に延在し、これによってカバー130の上方部分におけるトラフ156を画定する。長手方向に離間した複数のアクセス開口部146は、横断壁144に形成され、上方仕切り壁部148は、アクセス開口部146のそれぞれの間で側壁132、134間で横方向に延在する。それぞれの上方仕切り壁部148は、その上方の中央部分に形成された矩形ノッチ150を含んでもよい。下方仕切り壁部152は、アクセス開口部146間の位置で、横断壁144の下で側壁132、134間で横方向に延在する。連続的な下方仕切り壁部152間の空間は、サンプル容器のポケット124で運搬できる最大容器の幅(例えば直径)を収容するのに十分大きい(
図7の大型チューブ160を参照のこと)。カバー130は、バネクリップ116及びV型ノッチ126によって、それぞれの容器ポケット124内で中心位置、又は他の所定の位置に付勢された特定の寸法の容器の上部の一部分に係合するように構成される、容器保持要素を更に含む。より具体的には、例示の実施形態では、それぞれの下方の仕切り壁部152は、その下方端部において、仕切り壁部152にわたって延在するキャップノッチ154を含む。1つ以上のキャップの付いた容器164を運搬する容器ホルダー102の上にカバー130が配置されたとき、キャップノッチ154は容器キャップを収容する(
図7を参照)。
【0058】
キャップの付いた容器164は、米国特許第6,893,612号又は同第7,435,389号に記載されているような流体搬送メカニズムのプローブによって貫通可能なキャップが設けられた容器を含んでもよい。プローブは、プローブが容器内に移動するとき、キャップの1つ以上の貫通可能部材を穿刺することによってキャップを貫通する。キャップはまた、容器164内に含まれる流体に到達する前に、プローブが通過しなければならないフィルタ要素を含んでもよい。プローブがキャップを貫通した後、キャップの貫通された部分及び/又はフィルタ要素と、プローブとの摩擦によって、プローブが容器164から引き出されたときに、容器164をそのポケットから外に持ち上げることができる。カバー130のキャップノッチ154は、キャップの付いた容器164上に下向きの保持力を適用し、キャップを貫通していたプローブが容器164から引き出されるときに、容器164が容器ポケット124から外へ持ち上げられるのを防ぐ。
【0059】
例示の実施形態では、任意のホームピン114は端部壁120から延在する。ホームピン114は、サンプルラックがサンプル区画10内に十分挿入されているということ、又は例えば後壁18に形成された穴19を通じて延在し、センサ(例えば後壁18に実装された溝付き光センサ(図示せず))に係合することによって、サンプルラックが取り外されているときを機器に知らせる。ホームピン114はまた、ラックが確実に完全に垂直であるようにするための位置決め要素として機能することができる。
【0060】
サンプルラック100は、サンプル区画10の底部プレート20上に設けられたサンプルラックガイド22に対して、位置合わせされた向きにサンプルラック100を位置付けることによって、サンプル区画10内に配置される。記述しているように、サンプルラック100の存在を検出し、サンプルラック100がサンプル区画10内に十分に挿入されているかどうかを示すために、センサが設けられてもよい。
【0061】
容器は、機械可読ラベル(例えばバーコード163、
図7を参照)、並びに人間により可読なラベルが、隣接する仕切り壁部110間の各ポケット124の側面開口部を通じて見ることができるようにサンプルラック内に配置される。サンプルラック100がサンプル区画10内に挿入されるとき、容器ホルダー102で運搬される容器160、162、及び/又は164がバーコード窓部14を通過するときに、バーコードリーダ15は各バーコード163を連続して読み取る。ポケット124が空である場合、バーコード123は読み取られ、ポケット124内に容器がないことを示す。それぞれの位置特定バーコード125もバーコードリーダ15によって読み取られ、ポケット識別データを提供し、このデータと、対応するポケット124に運搬される容器(又は容器の不在)を関連付ける。バーコードリーダは1つのみ設けられることが好ましく、したがって
図1から理解できるように、挿入されているキャリアと、バーコード窓部14と、バーコードリーダ15との間にキャリアが存在しないように、左から右へと移動するサンプルラックのレーン(サンプルラックガイド22によって画定される)を埋めることが必要である。各レーンにおけるインジケータライトは、オペレータに対して、どのレーンが次に装填されるべきかを示すものとして、順次照明する。それぞれの容器に関するバーコード情報は保存され(例えば機器のコンピュータ制御装置のメモリ(図示せず)に)、その情報は、サンプル区画10内のキャリア位置(例えばレーン)と関連付けられる。バーコードリーダはまた、容器ホルダー102を特定するために容器ホルダーのバーコード103と、カバー130が定位置にあるのを確保する、カバーのバーコード131を読み取る。
【0062】
時折、容器は、バーコードに比較的近接しているバーコードリーダによってのみ読み取ることができる、比較的質の低いバーコードがついたラベルが貼られている。そのような状況に関して、サンプル区画10及び機器の制御装置は、高解像度読み取りモードと呼ばれる、「高解像度読み取りモード」(「HRM」)を提供することが好ましく、なぜならばこのモードにおいて、バーコードリーダ15は最高の解像度(すなわち最小のライン寸法)において読み取ることができるからである。
【0063】
HRMはオペレータが選択可能であるのが好ましい。HRMが選択された後、バーコード163を備える容器160、162、及び/又は164が装填されたサンプルラック100はまず、バーコードリーダ15及び窓部14に最も近い、最も右手のサンプルラックのレーン(これは高解像度の読み取りレーンと呼ばれる)に挿入される。可聴及び/又は視認可能なインジケータは、高解像度の読み取りレーンを特定するために設けられてもよい。
【0064】
サンプルラック100が高解像度の読み取りレーンに挿入されると、それぞれの容器バーコード163が読み取られ、バーコード163を読み取ることによって入手された容器データが保存される。位置特定バーコード125及び容器ホルダーのバーコード103も同様に読み取られ、保存される。ポケット識別子データ及びラック識別子データは、ラック内のそれぞれの容器に関して得られた容器データと(例えばリレーショナルデータベース内で)関連付けられる。バーコードリーダ15への高解像度の読み取りレーンの近接は、正確な読み取りの可能性を増加させる。
【0065】
サンプルラック100が高解像度の読み取りレーン内に十分に挿入された後、次にサンプルラック100は引き出される。サンプルラック100が十分に挿入されているのを検出するためにセンサが設けられてもよく、インジケータライト及び/又は可聴音は、サンプルラック100が取り出されてもよいということをオペレータに伝えることができる。サンプルラック100が取り出された後に、サンプルラック100は次いで他の利用可能なレーンのうちの1つ内に再挿入される。インジケータライトは、サンプルラック100が挿入されるべきレーンを特定するために設けられてもよい。サンプルラック100は利用可能なレーンに挿入され、容器上のバーコード163は再度読み取られないが、サンプル容器ホルダーのバーコード103は、高解像度の読み取りレーンでスキャンされたばかりのサンプルラック100が挿入されているということを確認するために読み取られてもよい。カバーのバーコード131もまた、カバー130が適所にあるということを確実にするために読み取られてもよい。データベースにおいてそのラックの識別と関連付けられた容器データは、次いでそのレーンと関連付けられる。
【0066】
サンプルラック100が利用可能なレーン内に特定の時間周期内(例えば5秒)に再挿入されない場合、制御装置はバーコードを消去、ないしは別の方法で無効にするように構成されてもよい。したがってサンプルラック100が特定の時間周期内にサンプル区画10に再挿入されない場合、制御装置は、サンプルラック100が、既に高解像度の読み取りレーンでスキャンされていることを認識せず、サンプルラック100は再び高解像度の読み取りレーンでスキャンされなければならない。この制御特性は、高解像度の読み取りレーンからサンプルラック100を引き抜いて、サンプルラック100を他の利用可能なレーンに再挿入する間の時間にスキャンされた容器に関して、1つ以上のスキャンされていない容器と切り替える能力を最小限に抑える。
【0067】
容器ラックの別の実施形態は
図8において参照番号100Aによって指定されている。容器ラック100Aは、容器ホルダー102A及びカバー130Aを含む。容器ラック100Aはサンプルラック100と実質的に同一であり得るが、容器ホルダーのバーコード103及びカバーのバーコード131(
図6及び7に示されるように)の代わりに、又はこれらに加えてデータを書き込むことができ、そこからデータを読み出すことができる電子メモリ素子127を含む。メモリ素子127は例えば無線周波の認証(RFID)タグ又は接触式(touch)メモリ(又は接触式(contact)メモリ)素子を備えてもよい。1つの例示の実施形態では、RFIDタグは高周波RFIDである。RFIDは恒久的又は取り外し可能に、例えば同時成形(comolding)、接着剤、埋め込み等の任意の適切な方法で容器ホルダー102A(又はカバー130A)上に組み込まれる。容器バーコード163及び位置特定バーコード125からのデータはバーコードリーダによって読み取られ、バーコードのデータから得られた情報を包含する(すなわち含んでいる)データは、並びに必要に応じて、バーコード情報に関連付けられた他の情報を包含するデータは、メモリ素子127に書き込まれプロセス機器によって読み込み可能である。
【0068】
より具体的には、リーダステーションは、容器ラック100Aを受け取るように構成され、容器バーコード163及び位置特定バーコード125(又は他の機械可読ラベル)を読み取るように構築され、かつそのように配置された1つ以上のバーコードリーダ(又は機械可読ラベルを読み取るように構成される他の装置)と、バーコードデータから得られた情報を包含するデータをメモリ素子に書き込むように構成されるデータライタとを含む。一実施形態では、バーコードリーダは、容器ラック100Aがリーダ装置内に挿入されるときに、それぞれのバーコード163及び125を読み取るようにリーダステーション内でラック受け取り場所に対して位置付けられる。あるいは、バーコードリーダは、容器ラックがリーダステーション内に挿入された後に、リーダが静止しているバーコードに対して移動するように、平行移動するキャリアに実装されてもよい。それぞれの容器バーコード163からのデータは、容器(160、162又は164)が配置されるポケット124の、位置特定バーコード125のデータに関連付けられる。ポケット124が空の場合、空のポケットのバーコード123からのデータは、空のポケット124の位置特定バーコード125のデータと関連付けられる。
【0069】
図示され、かつ説明してきた容器ラック100A及び容器ホルダー102Aは例示であり、限定を意図するものではない。様々な構成及び形体が企図され、本開示内に包含される。例えば、容器ホルダーは容器のポケットの2つ以上の列(これは平行であっても、平行でなくてもよい)又は他の構成を備えてもよい。複数列の容器ラックを受け取るように構成されるリーダステーションは、それに応じて、ラック、及び内部で運搬される容器上で、バーコード又は他の機械可読ラベルを読み取るように修正される。例えば、容器のポケットの2つの列を備える容器ラックを受け取るように構成されるリーダステーションは、各装置が、ラックの対応する側の容器上のラベルからデータを読み取るように構成されている、ラックの対向する側上に配置された2つのラベル読み取り装置を含んでもよい。
【0070】
他の実施形態では、容器ラックはラベルが付いている容器とラベルの付いていない容器の組み合わせを運搬してもよい。ラベルが付いている容器のラベルはリーダステーションで読み取られ、ラベルから読み取られたデータから得られる情報は、メモリ素子に書き込まれ、ラベルの付いていない容器は読み取られない。リーダステーションは、ラベルの付いていない容器に関するデータをメモリ素子に書き込まないが、ラベルの付いていない容器に関する情報を含むデータは、例えば不揮発性方式で、リーダステーションに容器が配置される前に、メモリ素子に書き込まれてもよい。例えばラックは、ラックの一方の部分がアッセイを実施する際に使用する試薬及び/又は他の材料の所定の配列の運搬専用であり、他方は、ラックの他の部分上に配置された、ラベルが付いている容器で運搬されるサンプルに対する他のプロセス専用である、予め組み立てられたキットを含んでもよい。キットの組み立てに関連して、材料の所定の配列に関する情報を含むデータ(例えば材料の識別及び場所)はメモリ素子に書き込むことができる。これに関して、メモリ素子の1つの部分、又は別個のかつ異なるメモリ素子は、リーダステーションによって書き込むことができない読み出し専用のメモリを含む場合があり、あるいは、メモリ素子の他の部分、又は容器ラック上の異なるメモリ素子は、ラベルが付いている容器から得られた情報を含むデータをリーダステーションが書き込むことができる読み出し−書き込みメモリを含む。
【0071】
一実施形態では、容器バーコード163のデータは、容器の内容物に関する情報が内部で保存されているデータベースのアドレスを構成する。例えば、容器がサンプル容器である場合、バーコード163のデータに含まれる情報は、サンプルに関するデータベース情報(例えばサンプルの種類(血液、尿等))、サンプルを得た患者の個人データ、サンプルを入手した日付、サンプルに実施される予定の試験若しくはアッセイ等を検索するために使用されてもよい。一方、容器が試薬又はいくつかの他のプロセス材料を含む場合、バーコード163のデータに含まれる情報は、プロセス材料のタイプ、製造業者、ロット番号、有効期限、保管条件、使用履歴、量等に関する情報をデータベースで検索するのに使用されてもよい。それぞれの容器の内容物、並びにそれぞれの容器の場所に関する情報を包含するデータは次いで、メモリ素子127に書き込まれる。このように、容器ラック100Aに関連する全てのデータ及びラックで運搬される容器に関連する全てのデータは、1つの異なる保管媒体、すなわちメモリ素子127に保存することができる。
【0072】
リーダステーションは、バーコードの読み取り、及びメモリ素子127へのデータの書き込みが良好に完了したことを示すための可聴音及び/又はインジケータライトなどの手段を含んでもよい。あるいは、又はそれに加えて、リーダステーションは信号をCPU 418に送信し、バーコードの読み取り及びメモリ素子127へのデータの書き込みが良好に完了したことを示してもよい。リーダステーションにおいて、データが読み取られ、かつ書き込まれた後に、容器ラック100Aは、リーダステーションから取り出され、その後のプロセスのために保管されてもよく、あるいは容器ラック100Aは、プロセス装置内に直接搬送されてもよい。プロセス装置内部で、読み取り要素は、メモリ素子127に保存されているデータを読み取るように位置付けられ、容器ラック100A内のそれぞれの容器の内容物及び場所に関して、そのデータに含まれる情報の全ては、メモリ素子127からプロセス装置に通信される。
【0073】
図9は、容器ラック100Aを使用することができるシステムを示す。本システムは、核酸診断機器又は他のサンプル試験機器などのプロセス装置406を含み、これはサンプルが充填された容器を保持する容器ラック100Aを受け取るための容器スロット412と、必要に応じて、試薬が充填された容器を保持する容器ラック100Aを受け取るための試薬スロット410を含んでもよい。例示の実施では、容器ラック100Aは保管キャビネット402(これは冷蔵される場合がある)から取り出され、1個づつリーダステーション内に挿入され、ここではラック100A上のバーコードのデータが読み取られ、データはメモリ素子127に書き込まれる。リーダステーションは、プロセス装置406から遠隔な外部のリーダ404であってもよく、又はリーダステーションは、プロセス装置406の一部である一体型のリーダ408であってもよい。それぞれのラック100Aは次いでリーダステーション(404若しくは408)から取り出され、次いで適切なスロット(410若しくは412)内に挿入され、ここでは、メモリ素子127からのデータが読み出され、ラック100Aの容器の内容物は、そのデータに含まれる、又はそのデータから得られる情報に従って処理される。あるいは、ラック100Aは、保管キャビネット402又は他の保管場所内に戻されてもよく、並びにプロセス装置406での後の処理のために保管されてもよい。
【0074】
1つ以上の外部のリーダ404を1つ以上のプロセス装置406と組み合わせて使用することは、本開示において想到される。例えば、一実施形態において、単一の外部のリーダ404は、本明細書に記載されるように、複数のプロセス装置406と組み合わせて使用されてもよい。外部のリーダ404を使用することによりいくつかの利点をもたらすことができる。例えば、外部のリーダを使用することにより、プロセス装置404の寸法を減少させることが可能になり、したがって利用可能な実験又は作業台の空間を増やすことが可能である。更に、外部のリーダは、複数のプロセス装置と共に使用することができ、したがって時間、作業者、及び/又はデータ管理効率を提供する。
【0075】
一実施形態では、容器ラック100Aは、バーコードが読み取られ、データがメモリ素子127に書き込まれた後に、容器が改ざんされ得るという可能性を低減するメカニズムを含む。これは、ラック100Aがプロセス装置406に配置され、容器ラベル(例えばバーコード)及び容器位置ラベル(例えばバーコード)を読み取ることなく、メモリ素子127からのデータのみが読み取られる特定の実施形態において重要である。したがって、容器及び位置ラベルが読み取られ、容器データ及び位置データが、リーダステーション404又は408においてメモリ素子127に書き込まれるとき、プロセス装置406内に配置された容器ラック100A上の容器が、ラック上の対応する容器、及びそれらの位置に一致しない場合、メモリ素子127上のデータは正確でなくなる。
【0076】
例えば、ラック100Aは、カバー130Aが交換された後に、リーダステーション(404若しくは408)において、ラック100Aのデータを読み出すことなく、又は再度読み出すことなく、カバー130Aがラック100Aから外されている場合には、又はカバー130Aが取り外され、ラック100A上で交換された場合には、メモリ素子127に保存されたデータを消去し、スクランブル処理し、上書きし、又は補填し、ないしは別の方法で、メモリ素子127が読み出されるのを阻止する装置を含んでもよい。他の変形例では、ラック100Aは、ラック100Aがリーダ装置内に挿入されたときに「ロック」位置に設定される、機械的な改ざん防止フラグを含んでもよい。例えば、リーダ404(又は408)は、ラック100Aがまずリーダ404/408内に挿入されたときに解除位置にあり、解除位置からロック位置に改ざん防止フラグを移動させる、改ざん防止フラグに係合するピン、ソレノイド、又は他のアクチュエータを含んでもよい。改ざん防止フラグは、カバー130Aが容器ホルダー102Aから取り外されない限りは、ロック位置に留まる。プロセス装置406のスロット410/412は、改ざん防止フラグがロック位置にあるのか、解除位置にあるのかを検出するために、ないしは別の方法で、データがメモリ素子127に書き込まれた後に、ラックが改ざんされていないということを示す位置にフラグがあるかどうかを判定するためのセンサ(例えば光センサ)を含んでもよい。改ざん防止フラグがロック位置にある場合、メモリ素子127から読み出されたデータは、承認され、処理は続く。他方、改ざん防止フラグがロック位置にない場合、メモリ素子127から読み出されたデータは承認されず、そのラック100Aに関する処理は中断される。これは、検出器の出力によって、引き続きデータの処理を可能にするか、又はデータの処理を中断するいずれかの入力として、改ざん防止フラグの位置を検出するための検出器の出力を使用するデータ処理ソフトウェアによって実施することができる。
【0077】
機械的な改ざん防止フラグの例示の構成は、
図10A〜10Dに示されている。例示の実施形態では、旋回する改ざん防止フラグ450は、枢動ピン452において、容器ホルダー102Aの側壁に実装されている。バネ454は、
図10Bに示されている第1の位置において改ざん防止フラグ450を付勢する。容器ラック100Aが、
図10A及び10Bに示される方向「A」において、外部のリーダ404(又は一体化したリーダ408)に挿入されたとき、リーダ404/408の端部壁から延在するフラグセットピン458は、容器ホルダー102Aに形成された開口部460を通じて延在する。
図10C及び10Dにおいて示されるように、フラグセットピン458は改ざん防止フラグ450と係合し、ラック100Aがリーダ内に挿入されると、フラグセットピン458は改ざん防止フラグ450をバネ454の付勢に対して旋回させる(図に示されているものと反時計回りの方向で)。ラック100Aがリーダ内に(すなわち、全てのバーコードが読み取られ、データがメモリ素子127に書き込まれ得る、又は書き込まれた位置において)十分に挿入されるとき、改ざん防止フラグ450は、カバー130Aの内壁上に形成された(又はこれに取り付けられた)隆起部464(又は他の突起部)の背後に押され、ここでは改ざん防止フラグ450は、フラグを隆起部464に対して付勢しながら、バネ454によって定位置に保持される。
【0078】
図10C及び10Dに示されるように、改ざん防止フラグ450がこのロック位置にある状態で、フラグ450は、容器ホルダー102Aの側壁を通じて形成された開口部456の前に配置される。穴456に隣接して配置されるセンサ462は、改ざん防止フラグ450がロック位置にあるかどうかを検出することができる。例えば、センサ462は穴456の前で改ざん防止フラグ450の存在を検出する近接センサであってもよい。他の実施形態では、検出器462は、エミッタ及びレシーバを備える光センサであり、これによって、
図10Dに示されるようにフラグ450が開口部456の前でロック位置にあるとき、エミッタとレシーバとの間の経路が改ざん防止フラグ450によって遮断される。
【0079】
その後、ラック100Aはリーダ404/408から取り出され、プロセス装置406のスロット412/410内に挿入され、これは検出器、例えば改ざん防止フラグ450が、開口部456の前でロック位置にあるかどうかを検出するように配置された検出器462を含む。例えば、改ざん防止フラグ450がフラグセットピン458によってロック位置内に挿入された後、カバー130Aは、容器ホルダー102Aから取り外され、フラグ450は隆起部464の背後でロック位置にはもはや保持されず、バネ454の力の下で
図10Bに示されている解除位置に戻る。
【0080】
改ざん防止要素の更なる実施形態及び形態が想到される。例えば、改ざん防止要素の他の実施形態は、(1)カバー130Aが取り外された場合に壊れるか、ずれるか、又は屈折する物理的要素、例えばピン、(2)カバー130Aが取り外された場合に、例えば回路を破壊する電気素子又は電磁素子、又は(3)カバー130Aが取り外されたことを検出する追加のメモリ素子を含んでもよい。
【0081】
図11は、本発明の実施形態の実施の例示のシステム構造を示す。
図11に示されているシステム構造の操作は、
図12と合わせて説明され、これは容器及びラック上の機械可読ラベルを読み取り、かつラック上のメモリ素子にデータを書き込むためのプロセス470を示すフローチャートである。
図11に示されているシステム構造では、リーダステーション(例えば外部のリーダ404又は一体型リーダ408)は、CPU 418と有線、又は無線通信するバーコードリーダ414及びメモリライタ416を含む。CPU 418は、プロセス装置406の操作を制御する制御装置コンピュータと通信するか、又は通信しない、一部であり得るか、又は一部であり得ない好適なコンピュータ装置である。CPU 418はサンプル/試薬のデータベース420と通信し、データベース420は、任意の好適な電子的にアクセス可能なストレージ媒体を含み、並びに、ラック100A上で運搬される容器に保管されるサンプル及び/又は試薬に関する情報を保存する。プロセス470のステップ472では、ラック100Aはリーダステーション404/408内に挿入され、ステップ474及び476では、ラック100A上のバーコードのそれぞれ(例えば、容器バーコード163、位置特定バーコード125、及び空のポケットのバーコード123)は、バーコードリーダ414によって読み取られ、バーコードデータに含まれる情報は、CPU 418に渡される。容器バーコード163から得られるバーコード情報は、データベース420から、バーコードに関連付けられたそれぞれの容器に関するサンプル情報(例えばサンプルの種類、サンプルを得た患者の個人データ、サンプルの日付、サンプルに実施される予定の試験若しくはアッセイ等)にアクセスするために、CPU 418によって使用される。上記で説明したように、容器バーコード125から得られるバーコードデータは、サンプルデータベース420に保存されたサンプルファイル内の関連したサンプル情報を検索するためのアドレスを含む情報を包含する、すなわち含み得る。あるいは、ラック100Aが試薬のラックである場合、容器バーコード125のデータに含まれる、又はそこから得られる情報は、それぞれの容器内に含まれる試薬の種類に関して、サンプル/試薬のデータベース420内の情報にアクセスするために、CPU 418によって使用される。
【0082】
バーコードリーダ414及びCPU 418によって読み取られたデータから得られる情報は、位置特定情報、並びにラック100Aで運搬されるそれぞれの容器に関するサンプル又は試薬情報を含み、CPU 418によってメモリライタ416に渡される。ステップ478では、メモリライタ416に渡された情報を含むデータは、メモリ素子127(例えばRFID素子又は接触式メモリ素子)に書き込まれる。メモリ素子127に書き込まれたデータは、容器及びそれらの場所に対応する情報の検索を容易にする任意のデータであってもよい。例えば、メモリ素子127に書き込まれたデータは、それぞれの容器及びその場所に関する詳細な情報が保存されている、データファイル内のメモリアドレスを含んでもよい。メモリ素子127に書き込まれたデータは、それぞれの容器及びそれぞれの容器の場所から読み出された機械可読データ(例えばバーコード番号)を含んでもよく、このデータはデータベース内に保存されたそれぞれの容器に関する情報にアクセスするのに使用されてもよい。あるいは、メモリ素子127に書き込まれたデータは、それぞれの容器及びその場所に関する詳細なデータを含んでもよく、これによって他のデータベースでそのような情報にアクセスする必要性を限定するか、又は排除する。
【0083】
ステップ480では、フラグ設定要素428は、改ざん防止フラグをロック位置に設定する。検出器、例えば検出器462は、改ざん防止フラグがロック位置にあることを確認するために提供されてもよい。
【0084】
ステップ482において、ラック100Aは次いでリーダステーション404/408から取り出され、ステップ484では、ラックはプロセス装置406のスロット410又は412内に続いて挿入される。スロット410/412はまた、改ざん防止要素リーダ430を含んでもよく、これは一実施形態において、改ざん防止フラグがロック位置又は解除位置にあるかどうかを検出する検出器462などの検出器を含む。改ざん防止要素リーダ430はCPU 424と通信している。改ざん防止要素のステータスは、ステップ486において確認される。改ざん防止要素リーダ430が、改ざん防止フラグは設定位置又はロック位置にあるということをCPU 424に通信する場合、メモリ素子127からのデータは承認され、プロセスは続く。他方では、改ざん防止要素リーダ430が、改ざん防止フラグは設定されていない、又はロック位置にないということをCPU 424に通信する場合、メモリ素子127からのデータは拒絶され、ラック100Aに関するプロセスはステップ488において中断される。
【0085】
スロット410/412内では、ステップ490において、メモリリーダ422はメモリ素子127に書き込まれたデータを読み出す。メモリリーダ422は、CPU 418と同じであってもよく、又は同じでなくてもよいCPU 424と有線又は無線で通信する。CPU 424は、結果のデータベース426又は他のデータベースと通信する。CPU 424は、プロセス装置406と通信してもよい。メモリ素子127からのデータ、並びにメモリ素子のデータが入手されたスロットを示す情報を含むデータは、CPU 424によってプロセス装置406に渡され、ここでは、そのデータから得られた情報は、プロセス装置406を制御するために使用される。例えば、実施されるアッセイ、及び容器内に含まれる試薬に関する情報は、プロセス装置406に渡され、これによって望ましいアッセイを適切なサンプルに実施することができる。一実施形態では、メモリリーダ422によって、メモリ素子127から読み出されたデータから得られた他の情報は、CPU 424によって結果のデータベース426に渡される。プロセス装置406は、試験結果情報のデータを結果のデータベース426に渡し、ステップ492では、試験結果情報は、メモリ素子127から得られたサンプル識別情報と関連付けられ、サンプル情報、及びステップ494で保存されている対応の試験結果を含む結果データファイルを生成する。
図11は単一のプロセス装置406を示すが、システム構造は構造を変えることなく、複数のプロセス装置406を支援することができる。
【0086】
本発明は、機構の様々な組み合わせ及び副次的な組み合わせなど、特定の例示の実施形態を参照して、非常に詳細に説明され、示されてきた一方で、他の実施形態及び変形例、並びにそれらの修正が、本発明の範囲内に包含されるものであるということを当業者は容易に理解するであろう。更に、そのような実施形態、組み合わせ、及び副次的な組み合わせの説明は、本発明が、特許請求の範囲に明確に記載されているこれらのもの以外の機構又は機構の組み合わせを要求するということを伝えることを意図していない。したがって、本発明は、以下の添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に包含される全ての修正及び変形例を含むと見なされる。