(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱庫の左右の側壁のそれぞれに前後方向に延在して配設される下火バーナを少なくとも備え、下火バーナの上方を覆うように上記側壁から加熱庫の左右方向における中央側に向かって斜め下方へ延びる庇板部材を設けるグリル装置において、被調理物を載置して上記加熱庫内に収容して使用されるグリルプレートであって、
浅皿状の本体部と、本体部の左右の周縁からそれぞれ外方へ延びる左右のフランジ部とを有し、
本グリルプレートを上記フランジ部が加熱庫内の左右の側壁側に配置される向きに加熱庫内に収容した加熱庫収容状態では、上記フランジ部が加熱庫内の上記庇板部材の上方に配置されて該フランジ部と該庇板部材との間に下火バーナからの燃焼排気を下方から上方へ通過させるための排気流路が形成されるように上記フランジ部が本体部の上記周縁から斜め上方へ延在され且つ上記フランジ部と上記庇板部材とが同じ向きの傾斜面となって対向して斜め上を向いた上記排気流路が上記下火バーナの上方に形成され、さらに上記排気流路を形成するフランジ部と庇板部材との間隔は排気流路における上側の排気出口が下側の排気入口よりも狭く設定されるように上記フランジ部が本体部に対して折り曲げ形成されているグリルプレート。
加熱庫の左右の側壁のそれぞれに前後方向に延在して配設される下火バーナを少なくとも備え、下火バーナの上方を覆うように上記側壁から加熱庫の左右方向における中央側に向かって斜め下方へ延びる庇板部材を設けるグリル装置において、
被調理物を載置して上記加熱庫内に収容して使用される請求項1〜4のいずれか1項に記載のグリルプレートを備えるグリル装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、グリル装置において、焼き網と略変わらない大きさの浅皿状のグリルプレートとして焼き網に代えて焼き網の位置に搭載し、このグリルプレートの上に被調理物を載せて加熱調理することが考えられる。しかしながら、このようなグリルプレートでは、焼き網のようには燃焼排気が通過できず、しかも、グリルプレートの左右端とグリル庫内の下火バーナを配設する左右の側壁とのすき間が狭くなるため、下火バーナで発生した下方からの燃焼排気の抜けが阻害されてしまう。そのため、バーナ点火時では、下火バーナの炎口に2次空気が円滑に供給されず酸欠気味となって炎温度の上昇が鈍くなり、サーモカップル等の炎検知器による着火検知が上手く行われずに着火エラーとなり得るおそれがある。また、バーナ消火後の再点火時では、下火バーナにおける点火電極を配設した炎口付近に燃焼排気が溜まったままとなって点火不良を起こすおそれもある。さらには、下火バーナの燃焼中では、燃焼排気が下火バーナ付近に溜まり、2次空気が下火バーナの炎口へ円滑に供給され難くなって下火バーナの燃焼性能を低下させるおそれがある。この場合、検知器によって下火バーナが失火したと誤検知するおそれもある。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、グリルプレートを焼き網の位置に搭載して使用するにあたり、下火バーナ付近の燃焼排気の抜けが円滑に行われ、下火バーナにおける炎検知性能、点火性能、燃焼性能を良好に維持させることが可能なグリルプレート及びグリル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るグリルプレートは、
加熱庫の左右の側壁のそれぞれに前後方向に延在して配設される下火バーナを少なくとも備え、下火バーナの上方を覆うように上記側壁から加熱庫の左右方向における中央側に向かって斜め下方へ延びる庇板部材を設けるグリル装置において、被調理物を載置して上記加熱庫内に収容して使用されるグリルプレートであって、
浅皿状の本体部と、本体部の左右の周縁からそれぞれ外方へ延びる左右のフランジ部とを有し、
本グリルプレートを上記フランジ部が加熱庫内の左右の側壁側に配置される向きに加熱庫内に収容した加熱庫収容状態では、上記フランジ部が加熱庫内の上記庇板部材の上方に配置されて該フランジ部と該庇板部材との間に下火バーナからの燃焼排気を下方から上方へ通過させるための排気流路が形成されるよう
に上記フランジ部が本体部の上記周縁から斜め上方へ延在され
且つ上記フランジ部と上記庇板部材とが同じ向きの傾斜面となって対向して斜め上を向いた上記排気流路が上記下火バーナの上方に形成され、さらに上記排気流路を形成するフランジ部と庇板部材との間隔は排気流路における上側の排気出口が下側の排気入口よりも狭く設定されるように上記フランジ部が本体部に対して折り曲げ形成されている。
【0007】
上記構成より、本グリルプレートの上記フランジ部と加熱庫内の上記庇板部材とが同じ向きの傾斜面となって対向して、これらフランジ部と庇板部材との間に斜め上を向いた排気流路が下火バーナの上方に形成される。これにより、下方の下火バーナで発生した燃焼排気は、上記排気流路を円滑に通り抜けて本グリルプレートの上方へと流出される。従って、燃焼排気が下火バーナの炎口付近に溜まることなく円滑に排出されるから、下火バーナの炎口には2次空気が円滑に導入される。よって、本グリルプレートの仕様として焼き網と略変わらない大きさのものであっても、下火バーナにおいては、点火時に良好な炎が形成されて着火検知が確実に行われ、再点火も燃焼排気に阻害されずに確実に行われ、しかも燃焼中では2次空気が炎口に円滑に供給されて良好なバーナ燃焼を維持することができる。
【0008】
また、上記加熱庫収容状態にて、上記排気流路を形成するフランジ部と庇板部材との間隔は、排気流路における上側の排気出口が下側の排気入口よりも狭く設定されるように、上記フランジ部が本体部に対して折り曲げ形成されて
いる。
これにより、上記排気流路により下火バーナからの燃焼排気の上方への抜けを維持しつつ、フランジ部の折り曲げ角度を小さくしてフランジ部の立ち上がりを抑えて本グリルプレートを全体的にフラットな形状とすることができる。従って、本グリルプレートの使用後の洗浄が容易に行える。また、フランジ部を寝かせた状態に近づけ本グリルプレートを可及的にフラットな形状とすることでフランジ部の立ち上がり感が緩和されて意匠性を良くすることができる。
【0010】
上記加熱庫収容状態にて、上記フランジ部の先端位置と該フランジ部が接近した加熱庫の上記側壁側の対向面とのすき間は、上記排気流路の排気出口のフランジ部と庇板部材との間隔よりも広く設定されるように、上記フランジ部が本体部に対して折り曲げ形成されていることが望ましい。
これにより、上記排気出口からの燃焼排気の流出が促進され、排気流路内に導入された下火バーナからの燃焼排気の抜けを向上することができる。
【0011】
上記フランジ部には、上記加熱庫収容状態にて、上記排気流路に流入した燃焼排気の一部を流出させるための貫通孔又は切欠きが設けられていることが望ましい。
これにより、上記排気流路内に導入された下火バーナからの燃焼排気の抜けを一層向上することができる。
【0012】
そして、上記貫通孔又は切欠きは、下火バーナにおける点火電極を配設する炎口寄り側と炎検知器を配設する炎口寄り側とにそれぞれ対応して設けられていることが望ましい。
これにより、点火電極と炎検知器とが配設された下火バーナの炎口近傍には、燃焼排気が溜まることなく確実に排出されて2次空気が円滑に導入される。従って、下火バーナにおいては、点火時に良好な炎が形成されて炎検知器による着火検知が確実に行われ、また、点火電極による再点火も燃焼排気に阻害されずに確実に行われる。
【0013】
本発明に係るグリル装置は、
加熱庫の左右の側壁のそれぞれに前後方向に延在して配設される下火バーナを少なくとも備え、下火バーナの上方を覆うように上記側壁から加熱庫の左右方向における中央側に向かって斜め下方へ延びる庇板部材を設けるグリル装置において、
被調理物を載置して上記加熱庫内に収容して使用される上記グリルプレートを備える。
このグリル装置によれば、上記グリルプレートにおいて説明した作用を発揮することができ、グリルプレートが焼き網と略変わらない大きさのものであっても、下火バーナにおいては、点火時に良好な炎が形成されて着火検知が確実に行われ、再点火も燃焼排気に阻害されずに確実に行われ、しかも燃焼中では2次空気が炎口に円滑に供給されて良好なバーナ燃焼を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、グリル装置において本グリルプレートを焼き網の位置に搭載して使用するにあたり、本グリルプレートのフランジ部と加熱庫内の庇板部材とで形成される排気流路を通じて下火バーナ付近の燃焼排気の抜けが円滑に行われる。従って、焼き網に代えて本グリルプレートを使用しても、下火バーナにおける炎検知性能、点火性能、燃焼性能を良好に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、実施形態としてのグリルプレート20は、例えばビルトイン式のガスコンロ1に設けられたグリル装置10において被調理物を載置するために使用される。
グリル装置10から説明すると、
図1、
図2を参照して、このグリル装置10は、ガスコンロ1のコンロ本体3内に設置される矩形箱状のグリル庫(加熱庫)2を備え、グリル庫2内には加熱手段としての上火バーナ56及び下火バーナ55が配設され、また、グリル庫2の前面開口部100にはグリル扉21が設けられている。グリル扉21は、グリル庫2に設置するレール60と連結されており、引き出し式に前後にスライドしてグリル庫2の前面開口部100が開閉される。グリル扉21の後面には、金属製の丸棒材を折り曲げ形成した支持枠18が連結部材を介して連結されている。グリルプレート20を用いて調理を行う場合は、グリル扉21を手前に引き出した状態で焼き網15に代えてグリルプレート20を支持枠18に支持させ、グリル扉21を押し込んで閉じてグリルプレート20をグリル庫2内の所定位置に収容させる。グリル庫2の後壁25上部には、排気用開口80が開設され、この排気用開口80はガスコンロ1の天板30に設けた排気口31へ至る排気ダクト13と連通されている。従って、グリル庫2内のバーナ55,56から発生した燃焼排気や被調理物の油煙等は、排気用開口80から排気ダクト13内に導入されて排気口31から外部に排出される。
なお、本明細書では、グリル扉21とグリル庫2の後壁25とが対向する方向を前後方向とし、前後方向に対して横方向に直交するグリル庫2の幅方向を左右方向、前後方向に対して縦方向に直交するグリル庫2の高さ方向を上下方向とする。
【0017】
上火バーナ56は、グリル庫2の天井壁22に配設され、下面部が多数の炎口560を形成するセラミック製の板体で構成された表面燃焼式のセラミックバーナであり、グリル庫2内に収容した被調理物を上から加熱する。下火バーナ55は、グリル庫2の左右の側壁23,24の下部に前後方向に延在して配設され、ステンレス等の金属板を重ね合わせて構成された板金式のバーナである。左右の下火バーナ55は、グリル庫2の左右方向における中央側を向く側端部に複数の炎口550が形成され、グリル庫2内に収容した被調理物を下から加熱する。これらの上火バーナ56及び下火バーナ55により、グリル庫2内に収容した被調理物を上下から加熱する両面焼きグリル装置が構成される。
【0018】
下火バーナ55の上下は、斜面状に形成した上下の炎整流板553a,553bで囲われ、上下の炎整流板553a,553bによる先細先端部から下火バーナ55の炎口550に形成される炎がグリル庫2の左右方向中央側に向けて略水平に延出される。炎整流板553aの上部には、炎整流板553aや側壁23,24の汚れを防ぐ等のために断面略台形状の下火カバー555が設けられている。この下火カバー555において、下火バーナ55の上方を覆うようにグリル庫2の側壁23,24から左右方向中央側に向かって斜め下方へ延びる下側庇部555aが庇板部材を構成する。なお、下火カバー555が設置されず、上側の炎整流板553aがグリル庫2内に露出されている場合は、この上側の炎整流板553aが庇板部材を構成する。
【0019】
図5を参照して、下火バーナ55には、基端側(後方側)のガス導入口55aに一番近い炎口550aに点火電極551が配設され、この点火電極551を配設する炎口550aから先端側(前方側)へ離れた炎口550bに炎検知器としてのサーモカップル552が配設されている。なお、実施形態では、サーモカップル552は、下火バーナ55の先端側から2番目の炎口550bに配設されるが、これに限らず、点火電極551位置の炎口550よりも燃料ガスの流れの下流側となる炎口550に配設することができ、例えば先端側の1番目の炎口(着火の火移りが最後の炎口)550に配設されてもよい。
【0020】
図3を参照して、支持枠18は、前後辺をそれぞれ折り曲げて上方に突出させて側面視略コ字状になるように折り曲げ形成した金属製の丸棒材から構成する折り曲げ体181と、折り曲げ体181の前後端部にそれぞれ取り付けられた前後の支持板185,186とを備えている。折り曲げ体181の前後辺は、上方に突出させた凸形の台座部182となっている。台座部182は、上方に延びる左右一対の第1上延部194と、左右の第1上延部194の上端部からそれぞれ左右方向内方に若干下向きに傾斜して延びる左右一対の段部195と、左右の段部195の内側端部からそれぞれ上方に延びる左右一対の第2上延部196と、左右の第2上延部196の上端部を連結して形成される水平部197とから構成されている。
【0021】
支持枠18には、前後の支持板185,186に略矩形浅皿状の汁受け皿16が載置され、前後の台座部182に焼き網15又はグリルプレート20が支持される。汁受け皿16は、支持枠18において被調理物を載置する焼き網15又はグリルプレート20の下に配置され、被調理物から飛散した油等を受け留める。この汁受け皿16は、金属薄板を所定形状に成形した後に耐熱クリア塗装や琺瑯等の仕上げ塗装を施して形成されており、前後左右方向でグリルプレート20よりも一回り小さく形成されている。なお、グリルプレート20を使用する場合、汁受け皿16は使用しても、使用しなくてもよい。
【0022】
次に、グリルプレート20について説明する。
図3、
図4を参照して、グリルプレート20は、略矩形浅皿状の本体部201と、本体部201の前後左右の周縁からそれぞれ前後左右方向の外方に延在するフランジ部211,212とから構成され、前後左右方向で線対称形に形成されている。グリルプレート20は、例えば熱伝導率のよいアルミニウム製のプレス成形体や鋳造体が好ましく用いられるが、鉄、銅などの他の金属やセラミック製のものを用いてもよい。
【0023】
グリルプレート20の本体部201には、被調理物のグリルプレート20への接触面積を小さくして被調理物が貼りつき難くなるように、左右方向に延在する凸条部と凸条部間に形成された凹部とが前後方向に等間隔で複数形成された波形の凹凸部201aが形成されている。凹凸部201aの左右両端と本体部201の左右周縁との間にはそれぞれ、下方に突出する溝部201bが前後方向に延在している。これにより、調理中に被調理物から滴り落ちた油や水分が凹部及び溝部201bに溜まり、被調理物への油等の再付着が抑えられる。なお、本実施形態では、複数の凸条部の頂点は、これらによって水平面が形成されるように略同一の高さに形成されているが、異なる高さの凸条部を形成してもよい。また、本体部201は、波型の凹凸部201aの代わりに、平面状に形成してもよい。さらに、凹凸部201aの凹部は、左右中央部から左右周縁に向かって下方に傾斜するように傾斜面で形成されているが、水平面で形成してもよい。
【0024】
グリルプレート20のフランジ部211,212は、本体部201の左右周縁の上端からそれぞれ連設する一対の左右フランジ部211と、前後周縁の上端からそれぞれ連設する一対の前後フランジ部212とを備える。
【0025】
前後フランジ部212は、左右中央部が本体部201の前後周縁の上端から略水平に前後外方に向かって延在しているが、左右両端部では左右中央部よりも下方に凹んで略水平に前後外方に向かって延在している。この前後フランジ部212の左右両端部の下面は、略同一平面上に位置するように形成されており、支持枠18における前後の台座部182の段部195上に載置される。これにより、グリルプレート20は、下火バーナ55の上方に配設した下火カバー555の下側庇部555aの少し上の高さ位置となるようにグリル庫2内に収容される。なお、前後フランジ部212の左右両端部を左右中央部と同一高さに形成し、他の部材を接合して段部195上に載置させる被支持部を設けてもよい。
【0026】
前後フランジ部212の左右中央部には、外縁部から内方に切り欠かれた切り欠き部215が形成されている。切り欠き部215の左右幅は、支持枠18における台座部182の水平部197の長さと略同じ長さを有し、支持枠18上にグリルプレート20を載置したとき、支持枠18の第2上延部196が前後フランジ部212の切り欠き部215内に配置されてグリル庫2内での前後左右方向におけるグリルプレート20の位置が定められる。
【0027】
左右フランジ部211は、基端部となる本体部201の左右周縁上端から斜め上外方に羽根状に延在されている。左右フランジ部211の端部は、グリルプレート20の左右の外縁部となる。この左右フランジ部211がグリル庫2の左右の側壁23,24側に配置される向きにグリルプレート20がグリル庫2内に収容されたグリル庫収容状態のときに、左右フランジ部211の端部とグリル庫2の左右側壁23,24側の対向面との間にすき間(C)が形成されるように、左右フランジ部211の幅寸法が設定される。左右フランジ部211の前後両端部は、グリル庫2の左右側壁23,24との距離が大きくなるように面取り211aされている。左右フランジ部211の前後部には、貫通孔213が設けられている。なお、左右フランジ部211の水平面に対する各傾斜角は、グリル庫2の大きさや下火バーナ55の配置によって適宜設定することができるが、約5度〜約60度の角度で本体部201の左右周縁上端から斜め上外方に折り曲げ形成されることが好ましい。
【0028】
以上の構成のグリルプレート20を使用して、グリル装置10により調理を行う場合、グリルプレート20を支持枠18に載置させて左右フランジ部211がグリル庫2内の左右の側壁23,24側に位置する向きでグリル庫2内に収容させる。このグリルプレート20のグリル庫収容状態では、グリルプレート20は、下火バーナ55より上方に配置され、グリルプレート20の左右フランジ部211は、下火カバー555の下側庇部555a(庇板部材)の上方に接近して配置される。グリルプレート20の左右フランジ部211は、本体部201の左右周縁の上端から斜め上方へ延在されているから、左右フランジ部211と下側庇部555aとの間には、下火バーナ55からの燃焼排気を下方から上方へと通過させる排気流路7が形成される。
【0029】
この場合、グリルプレート20の左右フランジ部211とグリル庫2内の下側庇部555aとが同じ向きの傾斜面となって対向して、これら左右フランジ部211と下側庇部555aとの間に斜め上を向いた排気流路7が下火バーナ55の上方に形成される。これにより、下方の下火バーナ55で発生した燃焼排気は、ドラフト効果も加わって排気流路7を円滑に通り抜けてグリルプレート20の上方へと流出される。従って、燃焼排気が下火バーナ55の炎口550付近に溜まることなく円滑に排出されるから、下火バーナ55の炎口550には2次空気が円滑に導入される。
【0030】
しかも、左右フランジ部211の前後部には、貫通孔213が設けられ、この貫通孔213から排気流路7に流入した燃焼排気の一部を流出させることができる。また、左右フランジ部211の前後両端部は、面取り211aされているので、この面取り211a部分によっても排気流路7に流入した燃焼排気の一部を流出させることができる。従って、これら貫通孔213及び面取り211aにより、排気流路7内に導入された下火バーナ55からの燃焼排気の抜けを一層向上することができ、下火バーナ55の炎口550付近での燃焼排気の滞留を防止することができる。
【0031】
そして、
図4、
図5を参照して、貫通孔213は、グリルプレート20の前後部での線対称性を保ちつつ、下火バーナ55における点火電極551を配設する炎口550a近傍とサーモカップル552を配設する炎口550b近傍の各位置にそれぞれ対応して設けられている。これにより、点火電極551とサーモカップル552とが下火バーナ55の前後方向に離れた各炎口550a,550bに配設されていても、点火電極551と炎検知器とが配設された下火バーナ55の炎口550a,550bでは、より確実に燃焼排気が溜まることなく円滑に排出されて2次空気が円滑に導入される。
【0032】
従って、グリルプレート20の仕様として焼き網15と略変わらない大きさのものであっても、下火バーナ55においては、点火時に良好な炎が形成されてサーモカップル552による着火検知が確実に行われ、また、点火電極551による再点火も燃焼排気に阻害されずに確実に行われる。また、バーナ燃焼中では、下火バーナ55の炎口550には2次空気が円滑に供給されるから、良好なバーナ燃焼を維持することができる。バーナ燃焼中にサーモカップル552によって失火したと誤検知されることも防止される。
【0033】
以上のように、グリル装置10においてグリルプレート20を焼き網15の位置に搭載して使用するにあたり、グリルプレート20の左右フランジ部211とグリル庫2内の下火カバー555の下側庇部555aとで形成される排気流路7を通じて下火バーナ55付近の燃焼排気の抜けが円滑に行われる。従って、グリルプレート20を焼き網15に代えて使用しても、下火バーナ55における炎検知性能、点火性能、燃焼性能を良好に維持させることができる。
【0034】
また、グリルプレート20の上記グリル庫収容状態にて、
図6に示すように、排気流路7を形成する左右フランジ部211と下火カバー555の下側庇部555aとの間隔は、排気流路7における上側の排気出口72の寸法(B)が下側の排気入口71の寸法(A)よりも狭い寸法関係となり、且つ左右フランジ部211の先端と下火カバー555の立ち上がり面(対向面)とのすき間(C)は、排気流路7の排気出口72の寸法(B)よりも広い寸法関係となるように、左右フランジ部211が本体部201に対して折り曲げ形成されている。ここで、排気入口寸法(A)は左右フランジ部211の基端(折り曲げ部分)とグリル庫2の下火カバー555の下側庇部555aとの間の最小距離であり、排気出口寸法(B)は左右フランジ部211の先端と下側庇部555aとの間の最小距離であり、すき間(C)は左右フランジ部211の先端位置と左右フランジ部211が接近したグリル庫2の側壁23,24側の対向面(下火カバー555の立ち上がり面)との距離である。
【0035】
以上より、排気流路7を通じて下火バーナ55からの燃焼排気の上方への抜けを良好に維持することができ、さらには、左右フランジ部211の折り曲げ角度を小さくして左右フランジ部211の立ち上がりを抑えることができる。このように左右フランジ部211を寝かせた状態に近づけ、グリルプレート20が全体的にフラットな形状となるように形成することで、グリルプレート20の使用後の洗浄を容易に行うことができ、また、グリルプレート20の製造時のプレス加工も行い易くすることができる。さらには、グリルプレート20を可及的にフラットな形状とすることで左右フランジ部211の立ち上がり感が緩和されてグリルプレート20の意匠性を良くすることができる。
【0036】
そして、左右フランジ部211の先端と左右側壁23,24側の対向面となる下火カバー555の立ち上がり面とのすき間(C)は、排気出口寸法(B)よりも広くなっているので、排気出口72の上方には広い空間が開放されることとなる。従って、左右フランジ部211の立ち上がりを抑えるために左右フランジ部211の折り曲げ角度を小さくしたことで排気流路7における排気出口72が排気入口71より狭くなっても、排気出口72からの燃焼排気の流出が促進され、排気流路7内に導入された下火バーナ55からの燃焼排気の抜けが阻害されることはない。ただし、次に述べるとおり、排気出口72が排気入口71の7/9よりも狭くなるのは好ましくない。
【0037】
この場合、後述する燃焼性試験の結果、排気流路7を形成する左右フランジ部211と下火カバー555の下側庇部555aとの上下間隔は、排気流路7における下側の排気入口71に対して上側の排気出口72が7/9以上、好ましくは7/9〜8/9の寸法設定となるように、左右フランジ部211が本体部201に対して折り曲げ形成される。例えば、排気流路7における寸法として、排気入口寸法(A)が9mm、排気出口寸法(B)が7mm、すき間(C)が9mmとなるように、左右フランジ部211が本体部201に対して折り曲げ形成される。
【0038】
かくして、排気流路7の隙間寸法として、排気入口71に対する排気出口72の寸法比が7/9未満となると、下火バーナ55の点火時に良好な炎が形成されずサーモカップル552による着火検知が不安定となり着火エラーとなるおそれがある。従って、排気入口71に対する排気出口72の寸法比を7/9以上とすることで、下火バーナ55において点火時に形成される炎によりサーモカップル552でもって着火検知が確実に行える。また、再点火も燃焼排気に阻害されずに確実に行われ、燃焼中では2次空気が円滑に供給されて良好なバーナ燃焼が維持される。そして、排気入口71よりも排気出口72の寸法が小さい範囲で、排気入口71に対する排気出口72の寸法比が7/9〜8/9の寸法設定であれば、上述した下火バーナ55における着火検知性能、点火性能、燃焼性能を保持しつつ、左右フランジ部211の折り曲げ角度を小さくして左右フランジ部211の立ち上がりを抑えることができ、洗浄性や意匠性等にも優れた全体的にフラットな形状のグリルプレート20が得られる。
【0039】
(燃焼性試験)
次に、
図4に示した実施形態のグリルプレート20を使用して、下火バーナ55の着火時の燃焼性試験を行った。この燃焼性試験では、グリルプレート20の左右フランジ部211の折り曲げ角度を変更して排気出口寸法(B)を違えたものについて、焼き網15を使用する場合と同じ設定条件にて下火バーナ55に設置するサーモカップル552により下火バーナ55の着火検知が安定して行えたか否かを確認した。
なお、試験に用いたグリルプレート20として、排気入口寸法(A)は、すべて同じ距離(9mm)に設定した。左右フランジ部211のそれぞれの幅寸法(基端から先端までの長さ)も、すべて同じ長さ(22.5mm)である。
燃焼性試験の結果を、表1に示す。
表1に示すように、排気出口寸法(B)を7mm、9mm、14mmとした場合は、すべてサーモカップル552において安定して下火バーナ55の着火検知が行えた。一方、排気出口寸法(B)を5mmとした場合は、サーモカップル552において下火バーナ55の着火検知に失敗し着火エラーとなった。
以上より、排気入口寸法(A)に対する排気出口寸法(B)の比は、7/9以上となるように左右フランジ部211が本体部201に折り曲げ形成されていれば、下火バーナ55の燃焼性能が良好に維持されることが確認できた。
【0041】
一方、グリルプレート20では、本体部201の下面(裏面)は、上面(表面)を転写した形状を有しており、溝部201bの下面は、凹凸部201aが形成されている下面より下方に突出させている(
図2参照)。また、凹凸部201aの下面は、左右周縁から中央部に向かって若干上方に湾曲した湾曲面で形成されている。さらに、本体部201の前後周縁の下面は、凹凸部201aの下面から前後周縁に連設されている前後フランジ部212の下面に向かって上外方に延在している。これにより、本体部201の下面には、左右が溝部201bの下面で囲まれ、前後周縁では前後フランジ部212に向かって上方に広がる空間が形成される。
【0042】
以上の構成より、下火バーナ55からグリル庫2の中央部に放出される燃焼排気は、このグリルプレート20の本体部201の下方の空間から後フランジ部212に向かって後方に流れやすくなる。しかも、後フランジ部212の左右中央部は、外縁部に切り欠き部215が設けられているから、
図2の太矢印に示すように、グリル庫2内の下方を流れる燃焼排気が後フランジ部212の左右中央部の下方に集まり、切り欠き部215を介して排気用開口80に案内されて排気ダクト13に流れやすくなる。従って、以上のようなグリルプレート20の裏面構造によっても、下火バーナ55周辺の燃焼排気の抜けを促進させることができる。
【0043】
加えて、上記燃焼排気が流れる後フランジ部212の下方に向かってグリル庫2の後壁25の左右中央部から調理用温度センサ14aや異常過熱検知用温度センサ14bを突設しているから、これらの温度センサ14a,14bに燃焼排気を十分に接触させることができ、庫内温度の変化を応答性良く検知することができる。よって、調理用温度センサ14aは、調理時にグリル庫2内の雰囲気温度を応答性良く検知することができ、この調理用温度センサ14aが検知する庫内温度に基づいて図示しない制御装置により上火バーナ56及び下火バーナ55の火力調節が適正に行われる。また、異常過熱検知用温度センサ14bでも、調理時にグリル庫2内の雰囲気温度を応答性良く検知することができ、この異常過熱検知温度センサ14bが検知する庫内温度が所定温度以上の高温になると上火バーナ56及び下火バーナ55へのガス供給を停止し適正に消火される。
【0044】
(他の実施形態)
図7に示すように、他の実施形態によるグリルプレート20Aは、上記実施形態のグリルプレート20における左右フランジ部211の前後部に設けていた貫通孔213(
図4参照)を含む範囲に亘って、左右フランジ部211の前後両端部に切欠き214を設けたものである。
図8を参照して、この切欠き214は、上記グリル庫収容状態にて、グリルプレート20Aの前後部での線対称性を保ちつつ、下火バーナ55における点火電極551を配設する炎口550a近傍とサーモカップル552を配設する炎口550b近傍の各位置にそれぞれ対応して設けられている。この切欠き214により、上記の貫通孔213の場合に比べ、排気流路7に流入した燃焼排気の一部の流出をさらに促進させることができる。従って、下火バーナ55からの燃焼排気の抜けを一層向上することができ、下火バーナ55の炎口550付近での燃焼排気の滞留を防止することができる。そして、点火電極551と炎検知器とが配設された下火バーナ55の炎口550a,550bでは、より確実に燃焼排気が溜まることなく円滑に排出されて2次空気が円滑に導入される。よって、グリルプレート20Aの仕様として焼き網15と略変わらない大きさのものであっても、下火バーナ55においては、点火時に良好な炎が形成されてサーモカップル552による着火検知が確実に行われ、点火電極551による再点火も燃焼排気に阻害されずに確実に行われる。他の実施形態において、上述の内容以外の構成及び作用効果は、上記実施形態の場合と同様である。
【0045】
なお、本発明は、以上の各実施形態のみに限定されず、例えば、以下のように本発明の要旨の範囲で適宜に変更することが可能である。
(1)上記各実施の形態では、前後フランジ部212の左右中央部は、本体部201の前後周縁から前後外方に向かって略水平に延在しているが、左右フランジ部211と同様に、上外方に向かって延在させてもよいし、左右フランジ部211とは逆に下外方に向かって延在させてもよい。
(2)上記各実施の形態では、グリルプレート20,20Aをグリル庫2内で所定位置に配置するために支持枠18が用いられているが、グリル庫2の左右側壁23,24にピン状等の部分的な係止部(前後方向に連続する面状部材のような空間を閉じるものは除く。)を設け、この係止部によりグリルプレート20,20Aを支持してもよい。
(3)上記各実施の形態では、矩形状の本体部201を有するグリルプレート20,20Aが用いられているが、六角形、八角形、円形、楕円形等の各種形状の本体部201を有するものを用いてもよい。
(4)上記各実施形態では、グリル装置10は、上火バーナ56と下火バーナ55とを備えるが、下火バーナ55のみ備えるものであってもよい。
(5)また、グリル装置10は、ガスコンロ1に組み込まれたものだけでなく、単独で構成したものでもよい。