【実施例】
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る無人搬送車1の構成の概略を示す構成図である。本実施の形態に係る無人搬送車1は、
図1に示すように、車体2と、車体2に旋回可能に取り付けられた一対の駆動ユニット10F,10Rと、車体2の四隅に取り付けられたキャスタ4FL,4FR,4RL,4RRと、車体2に搭載されたバッテリー6と、車体2に連結された台車8と、無人搬送車1全体をコントロールする電子制御ユニット50と、を備えている。無人搬送車1は、本発明における「無人搬送車」に対応し、車体2および台車8は、本発明における「車体」に対応し、一対の駆動ユニット10F,10Rは、本発明における「一対の駆動ユニット」に対応する実施構成の一例である。また、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RRは、本発明における「自在輪」に対応し、電子制御ユニット50は、本発明における「制御装置」に対応する実施構成の一例である。
【0026】
車体2は、
図1に示すように、下方が開放された箱状に構成されており、当該下方部に一対の駆動ユニット10F,10Rおよびキャスタ4FL,4FR,4RL,4RRが取り付けられると共に電子制御ユニット50が収容される。車体2の上面には、無人搬送車1の運転操作を行う図示しない盤面操作部および台車8を牽引するためのフックピン、バッテリー6を搭載するための搭載部などが設けられている。盤面操作部は、無人搬送車1の走行スタートや走行停止,非常停止などを行う種々の押しボタン類や無人搬送車1の状態を表示する表示灯、無人搬送車1の走行速度や走行プログラムなどの各種設定を行う操作パネルなどから構成されている。フックピンは、図示しないアクチュエータによって自動で昇降するよう構成されている。
【0027】
車体2の前面には、
図1に示すように、進行方向にある障害物を検知する非接触式の障害物センサOSが設けられている。また、車体2の前面には、周辺設備や他の無人搬送車との交信を行うための図示しない通信機が設けられている。
【0028】
一対の駆動ユニット10F,10Rは、
図1に示すように、車体2の長手方向(
図1の上下方向)に沿う方向に一列に配置されており、それぞれ、本体部12と、本体部12に収容された図示しないモータと、当該モータによって駆動される一対の駆動輪14L,14Rと、車体2に対して駆動ユニット10F,10Rを旋回可能に支持する旋回軸16と、一対の走行センサRSと、一対のマーカーセンサMSと、を備えている。一対の駆動輪14L,14Rは、本発明における「一対の駆動輪」に対応し、走行センサRSは、本発明における「センサ」に対応する実施構成の一例である。また、一対の駆動ユニット10F,10Rが車体2の長手方向に沿う方向に一列に配置された態様は、本発明における「進行方向に沿って一列に配置された」に対応する実施構成の一例である。
【0029】
一対の駆動ユニット10F,10Rは、モータによって駆動輪14Lおよび駆動輪14Rが異なる回転速度で駆動されることにより車体2に対して旋回される。即ち、駆動輪14Lの回転速度が駆動輪14Rの回転速度よりも遅い場合(駆動輪14Lおよび駆動輪14Rの回転方向が互いに逆回転の場合を含む)には一対の駆動ユニット10F,10Rは車体2に対して駆動輪14L方向に旋回(
図1の進行方向(矢印D方向)の場合では左旋回)され、逆に、駆動輪14Rの回転速度が駆動輪14Lの回転速度よりも遅い場合(駆動輪14Lおよび駆動輪14Rの回転方向が互いに逆回転の場合を含む)には一対の駆動ユニット10F,10Rは車体2に対して駆動輪14R方向
に旋回(
図1の進行方向(矢印D方向)の場合では右旋回)される。
【0030】
なお、駆動輪14L,14Rの回転速度が等しい場合(等速)には、一対の駆動ユニット10F,10Rは車体2に対して旋回することなく駆動輪14L,14Rの車軸に対して直交する方向に無人搬送車1を走行させる。
【0031】
走行センサRSは、
図1に示すように、一対の駆動ユニット10F,10Rそれぞれの前後端部(
図1の上下方向端部)に一対に配置されている。一対の走行センサRSそれぞれは、
図2に示すように、駆動輪14L,14Rの車軸の軸線方向と平行に配列された三つの検出部RSL,RSC,RSRを備えており、床面に敷設された誘導帯80を検出するように構成されている。走行センサRSは、三つの検出部RSL,RSC,RSRからのオンオフ信号に基づいて駆動ユニット10L,10Rの誘導帯80に対する位置ずれを検出する。
【0032】
なお、本実施の形態では、一対の走行センサRSのうち無人搬送車1の進行方向前側となる走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRからのオンオフ信号のみに基づいて各駆動ユニット10L,10Rの誘導帯80に対する位置ずれを検出する構成としている。また、走行センサRSは、本実施の形態では、磁気センサとして構成されており、誘導帯80は、磁気テープや反射テープにより構成されている。誘導帯80によって無人搬送車1の走行軌道が構成される。誘導帯80は、本発明における「誘導帯」に対応する実施構成の一例である。
【0033】
マーカーセンサMSは、
図1に示すように、一対の駆動ユニット10F,10Rそれぞれの前後端部(
図1の上下方向端部)に配置されている。マーカーセンサMSは、
図2に示すように、走行センサRSを挟んで走行センサRSの両側に各1つずつ配置されている。即ち、マーカーセンサMSは、各駆動ユニット10F,10Rの前端部に二つ、後端部に二つの計4つが配置されている。マーカーセンサMSは、誘導帯80近傍に敷設されたマーカーMを検出するように構成されている。なお、マーカーセンサMSは、本実施の形態では、磁気センサとして構成されている。
【0034】
台車8は、
図1に示すように、四隅にキャスタ
8FL,
8FR,
8RL,
8RRを備えている。キャスタ
8FL,
8FR,
8RL,
8RRは、台車8の重量および台車8に積載される荷物の重量を支え、無人搬送車1の進行方向に追従して方向転換する自在輪として構成されているキャス
タ8FL,
8FR,
8RL,
8RRは、本発明における「自在輪」に対応する実施構成の一例である。
【0035】
電子制御ユニット50は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備えている。電子制御ユニット50には、走行センサRSからの位置ずれ信号,マーカーセンサMSからのコマンド信号,ステーションSTからの受け渡し完了信号,バッテリー6を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリー6の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧や図示しない電流センサにより検出されるモータに印加される電流などが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット50からは、モータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、モータへの駆動信号の出力は、本実施の形態では、一対の走行センサRSのうち無人搬送車1の進行方向前側となる走行センサRSからの位置ずれ信号に基づいて行われる。
【0036】
こうして構成された無人搬送車1は、車体2の長手方向に沿う方向に走行する前後進モードの他、車体2の長手方向に直交する方向に沿って走行する横行モード、車体2の長手方向に対して傾斜する方向に沿って走行する斜行モードなどを切り替えながら誘導帯80に沿って走行する。いずれのモードにおいても、基本的には、進行方向前側となる走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRのすべてが誘導帯80を検出するように電子制御ユニット50によって駆動ユニット10L,10Rの駆動輪14L,14Rの回転速度が制御される。
【0037】
次に、こうして構成された無人搬送車1の動作、特にステーションSTに停車後にスイッチバックして走行する際の動作について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る無人搬送車1がスイッチバックする際に電子制御ユニット50によって実行されるスイッチバック制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0038】
本実施の形態では、無人搬送車1は、
図4に示すように、誘導帯80に対してステーションST側に位置ずれした状態で停車する。即ち、無人搬送車1は、
図5に示すように、進行方向前側となる走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRのうちステーションST側とは反対側に配置された検出部RSLおよび中央に配置された検出部RSCがオン状態で、ステーションST側に配置された検出部RSRのみがオフ状態で停車する。
【0039】
当該無人搬送車1のステーションSTへの停車動作は、駆動ユニット10Fの進行方向前側となる右側のマーカーセンサMSが、無人搬送車1の進行方向(
図4の矢印D方向)においてステーションSTよりも手前側に敷設されたマーカーMを検出することにより開始され(
図2)、検出部RSRのみがオフ状態となるようステーションST側に向けて
無人搬送車1の姿勢を傾けることなく当該無人搬送車1を斜行走行
させた後、検出部RSRのみがオフ状態を維持したまま
無人搬送車1を誘導帯80に沿って直進走行
させて停車する。
【0040】
このように無人搬送車1が誘導帯80に対してステーションST側に位置ずれした状態で停車することにより、よりステーションSTに接近させた状態で無人搬送車1を停車させることができる。これにより、無人搬送車1とステーションSTとの間での荷物の受け渡し性を向上することができる。
【0041】
こうした停車状態において無人搬送車1からステーションST側へ、あるいは、ステーションST側から無人搬送車1へ荷物の受け渡しが行われる。荷物の受け渡しが完了すると、ステーションST側から受け渡し完了信号が送信される。当該受け渡し完了信号が電子制御ユニット50によって受信されると、電子制御ユニット50によってスイッチバック制御ルーチンが実行される。なお、スイッチバックとは、無人搬送車1の進行方向を反転する動作として規定される。
【0042】
当該ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50のCPUは、まず、誘導帯80を検出する走行センサRSおよびマーカーMを検出するマーカーセンサMSを、進行方向が反転される前に進行方向前側(
図4の上側)となっていた各走行センサRSおよび各マーカーセンサMSから進行方向が反転された後に進行方向前側(
図6の下側)となる各走行センサRSおよび各マーカーセンサMSに切り替えると共に(ステップS100)、当該各走行センサRSからの位置ずれ信号の読み込みを開始する(ステップS102)。
【0043】
続いて、各駆動ユニット10F,10Rの駆動輪14L,14Rのうち反転後の進行方向(
図6の矢印D方向)に向かってステーションSTが配置された側とは反対側の駆動輪(駆動輪14Lまたは駆動輪14R)の回転速度VFSが、反転後の進行方向(
図6の矢印D方向)に向かってステーションSTが配置された側の駆動輪(駆動輪14Rまたは駆動輪14L)の回転速度VCSよりも遅い状態で駆動されるように各モータを制御する(ステップS104)。なお、説明の便宜上、以下の説明においては、反転後の進行方向に向かってステーションST側とは反対側となる駆動輪が駆動輪14L、ステーションST側となる駆動輪が駆動輪14Rであるとして説明する。
【0044】
そして、走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRのうちステーションST側とは反対側となる検出部(検出部RSLまたは検出部RSR)の検出状態を判定する(ステップS106)。なお、説明の便宜上、以下の説明においては、反転後の進行方向に向かってステーションST側とは反対側となる検出部が検出部RSL、ステーションST側となる検出部が検出部RSRであるとして説明する。当該判定は、検出部RSLからの信号がオンかオフかを確認することによって行われ、検出部RSLからの信号がオフとなったときに検出部RSLが誘導帯80から外れたと判定する。
【0045】
検出部RSLが誘導帯80から外れたと判定されると、電子制御ユニット50のCPUは、各駆動ユニット10F,10Rの駆動輪14L,14Rが同じ回転速度(VFS=VCS)で駆動されるように各モータを制御し(ステップS108)、検出部RSLおよび中央の検出部RSCの両方の検出状態を判定する(ステップS110)。当該判定は、検出部RSL,RSCからの信号がオンかオフかを確認することによって行われ、両検出部RSL,RSCからの信号がオフとなったときに両検出部RSL,RSCが誘導帯80から外れたと判定する。
【0046】
このように、ステーションSTに停車した無人搬送車1の進行方向を反転して再発進させる際に、
図6および
図7に示すように、無人搬送車1を誘導帯80に関してステーションSTが配置された側とは反対側(ステーションSTから遠ざかる方向)に向けて
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させることにより、車体2および台車8に取り付けたキャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角(向き)が、スイッチバック後の無人搬送車1の進行方向に追従する向きとなるようにキャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRの旋回を促進することができる(
図7,
図8)。
【0047】
具体的には、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRは、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRと床面との間の摩擦力によりキャスタ支軸を中心とした旋回が阻止されるため、代わりに車体2や台車8が、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRと床面との接地点を中心に揺動(旋回)される(
図7に示す矢印W方向)ことにより、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角(向き)が変更される。
【0048】
ここで、無人搬送車1を誘導帯80に関してステーションSTが配置された側とは反対側(ステーションSTから遠ざかる方向)に向けて
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させる態様は、本発明における「反転した進行方向でかつステーションから離れる方向に向かって無人搬送車が
該無人搬送車の姿勢を傾けることなく斜行するよう一対の駆動ユニットを制御」する態様に対応する実施構成の一例である。
【0049】
なお、車体2や台車8の揺動(旋回)方向は、
図7に示すように、ステーションSTに対して遠ざかる方向であるため、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角(向き)が変更される際に、車体2や台車8がステーションSTと干渉することはない。これにより、無人搬送車1がステーションSTと干渉することを良好に防止しながら無人搬送車1の進行方向を良好に反転することができる。
【0050】
そして、ステップS110において両検出部RSL,RSCが誘導帯80から外れたと判定されると、電子制御ユニット50は、検出部RSLのみが誘導帯80から外れた状態(
図9)を維持しながら各駆動ユニット10F,10Rが誘導帯80に沿って直進走行するように各モータを制御する(ステップS112)。
【0051】
このように、無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させた後に、
図8に示すように、無人搬送車1を直進走行させることにより、すべてのキャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角(向き)をスイッチバック後の無人搬送車1の進行方向に追従する向きに確実に変更することができる。これにより、その後の無人搬送車1の走行をより安定したものとすることができる。
【0052】
続いて、マーカーセンサMSによってマーカーMが検出されたか否かを判定する(ステップS114)。マーカーMが検出されると、電子制御ユニット50のCPUは、駆動輪14Rの回転速度VCSが、駆動輪14Lの回転速度VFSよりも遅い状態で駆動されるように各モータを制御すると共に(ステップS116)、走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRの検出状態を判定する(ステップS118)。
【0053】
即ち、マーカーMが検出されると、
図10に示すように、無人搬送車1を誘導帯80に関してステーションSTが配置された側(ステーションSTに近づく方向)に向けて
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させる構成である。なお、マーカーMは、本実施の形態では、無人搬送車1が
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行および直進走行によって、すべてのキャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角(向き)をスイッチバック後の無人搬送車1の進行方向に追従する向きに確実に変更することができる距離以上、ステーションSTから離れた位置に設置される構成としている。
【0054】
すべての検出部RSL,RSC,RSRが誘導帯80上にあると判定されると、各駆動ユニット10F,10Rの両駆動輪14L,14Rの回転速度が同じ(VCS=VFS)となるように各モータを制御して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。即ち、すべての検出部RSL,RSC,RSRがオン状態となった後は、
図11に示すように、無人搬送車1を誘導帯80に沿って直進走行させる。
【0055】
一方、三つの検出部RSL,RSC,RSRのうちいずれかが誘導帯80から外れていると判定されたときには、誘導帯80から外れた検出部RSL,RSC,RSRが誘導帯80上に乗るような回転速度VCS,VFSで各駆動ユニット10F,10Rの両駆動輪14L,14Rが駆動されるように各モータを制御する(ステップS122)。そして、すべての検出部RSL,RSC,RSRが誘導帯80上にあると判定されると、各駆動ユニット10F,10Rの両駆動輪14L,14Rの回転速度が同じ(VCS=VFS)となるように各モータを制御して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。
【0056】
以上説明した本発明の実施の形態に係る無人搬送車1によれば、ステーションSTで停車させた無人搬送車1をスイッチバックにより再発進させる際に、誘導帯80に関してステーションSTが配置された側とは反対側に向けて無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させて誘導帯80に関してステーションSTが配置された側とは反対側に位置ずれさせ、当該位置ずれした状態を維持したままマーカーMを検出するまで無人搬送車1を誘導帯80に沿って直進走行させた後、誘導帯80に関してステーションSTが配置された側に向けて無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させることにより誘導帯80に対する位置ずれをゼロにして、以降は位置ずれがゼロの状態で無人搬送車1を誘導帯80に沿って走行させる構成であるため、無人搬送車1の姿勢を傾けることなく、すべてのキャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角(向き)を、スイッチバック後の無人搬送車1の進行方向に追従する向きとなるように良好に変更することができる。
【0057】
しかも、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角変更に伴って発生する車体2や台車8の揺動(旋回)方向は、ステーションSTに対して遠ざかる方向であるため、車体2や台車8がステーションSTと干渉することはない。これにより、無人搬送車1がステーションSTと干渉することを良好に防止しながら無人搬送車1の進行方向を良好に反転することができる。
【0058】
また、無人搬送車1の進行方向を反転させる際に無人搬送車1の姿勢を傾ける構成に比べて、無人搬送車1をよりステーションSTに接近させて停車させることができる。これにより、無人搬送車1とステーションST間での荷物の受け渡し性を向上することができる。もとより、無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行させた後は、誘導帯80に沿って無人搬送車1を走行させる構成であるため、進行方向を反転させた後も安定して無人搬送車1を走行させることができる。
【0059】
また、本発明の実施の形態に係る無人搬送車1によれば、走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRのうちステーションST側となる検出部RSRが誘導帯80から外れた状態からステーションST側とは反対側となる検出部RSLが誘導帯80から外れた状態となるまで無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させる構成であるため、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角の振れ幅を大きくすることができる。これにより、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角のスイッチバック後の無人搬送車1の進行方向への追従を効果的に促進することができる。
【0060】
また、本発明の実施の形態に係る無人搬送車1によれば、無人搬送車1を誘導帯80に関してステーションSTが配置された側に位置ずれさせた状態で停車させる構成であるため、無人搬送車1をよりステーションSTに接近させた状態で停車させることができる。これにより、無人搬送車1とステーションST間での荷物の受け渡し性を向上することができる。
【0061】
本実施の形態では、マーカーMを検出するまで位置ずれした状態を維持したまま無人搬送車1を誘導帯80に沿って直進走行させる構成としたが、これに限らない。例えば、無人搬送車1を斜行走行させ、両検出部RSL,RSCが誘導帯80から外れたと判定されたときから所定時間経過するまであるいは所定距離走行するまで、位置ずれした状態を維持したまま無人搬送車1を誘導帯80に沿って直進走行させる構成としても構わない。
【0062】
この場合、所定時間あるいは所定距離は、すべてのキャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角(向き)をスイッチバック後の無人搬送車1の進行方向に追従する向きに確実に変更することができる時間あるいは距離以上に設定する構成とすれば良い。
【0063】
本実施の形態では、無人搬送車1をスイッチバックさせる際に、誘導帯80に関してステーションSTが配置された側とは反対側に向けて
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させ、当該斜行走行によって位置ずれした状態を維持したまま無人搬送車1を誘導帯80に沿って直進走行させ、その後、誘導帯80に対する位置ずれがゼロとなるように誘導帯80に関してステーションSTが配置された側に向けて無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させる構成としたが、誘導帯80に関してステーションSTが配置された側とは反対側に向けて
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させた後、当該斜行走行によって位置ずれした状態を維持したまま無人搬送車1を誘導帯80に沿って直進走行させることなく、誘導帯80に対する位置ずれがゼロとなるように誘導帯80に関してステーションSTが配置された側に向けて無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させる構成としても構わない。
【0064】
この場合、
図3に例示するスイッチバック制御ルーチンに代えて
図12に例示するスイッチバック制御ルーチンを実行すれば良い。
図12に例示するスイッチバック制御ルーチンは、
図3に例示するスイッチバック制御ルーチンにおけるステップS112〜ステップS114を省いた点を除いて、
図3に例示するスイッチバック制御ルーチンと同じ構成をしている。したがって、電子制御ユニット50によって実行される
図12のスイッチバック制御ルーチンの詳細については、説明を省略する。
【0065】
当該
図12に例示するスイッチバック制御ルーチンでは、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角をスイッチバック後の無人搬送車1の進行方向に追従させながら、無人搬送車1を迅速に誘導帯80に沿った走行に戻すことができる。
【0066】
本実施の形態および上述した変形例では、走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRのうちステーションST側となる検出部RSRが誘導帯80から外れた状態からステーションST側とは反対側となる検出部RSLが誘導帯80から外れた状態となるまで無人搬送車1を
当該無人搬送車1の姿勢を傾けることなく斜行走行させる構成としたが、これに限らない。
【0067】
例えば、走行センサRSの三つの検出部RSL,RSC,RSRのうちステーションST側となる検出部RSRが誘導帯80から外れた状態から検出部RSL,RSC,RSRのすべてがオン状態となるまで無人搬送車1を斜行走行させる構成としても良い。当該構成によれば、キャスタ4FL,4FR,4RL,4RR,
8FL,
8FR,
8RL,
8RRのヨー角をスイッチバック後の無人搬送車1の進行方向に良好に追従させながら、その後の誘導帯80に沿った走行への移行を迅速に行うことができる。
【0068】
本実施の形態および上述した変形例では、無人搬送車1を誘導帯80に関してステーションSTが配置された側に位置ずれさせた状態で停車させる構成としたが、これに限らない。例えば、無人搬送車1を誘導帯80に関して位置ずれさせないでステーションSTに停車させる構成としても構わない。
【0069】
(実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。