(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例を説明する。
【0018】
図1は、プリフォーム供給装置13の概略構成を示している。
図1に示されるように、プリフォーム供給装置13は、プリフォーム整列搬送ユニット39と、整列誘導シュータ80とを備える。また、整列化能力をより向上させるため、さらに、落下シュータ90が備えられている。プリフォーム供給装置13は、プリフォーム用コンテナ62に貯留されたプリフォームPを取り出す傾斜コンベア57と連結しており、傾斜コンベア57から搬送されてきた方向不整の複数のプリフォームPを整列化しつつ、反転装置RMに供給するものである。
【0019】
プリフォーム整列搬送ユニット39は、所定の傾斜角で傾斜する整列路41(搬送経路の一例)を備える。整列路41は入口端42と出口端43とを備える。入口端42は出口端43よりも重力方向に高い位置に位置する。整列誘導シュータ80から入口端42に滑り降りてきた複数個のプリフォームPが整列路41に供給される。整列路41でプリフォームPは正立姿勢で一列に整列する。正立姿勢のプリフォームPは1個ずつ出口端43から吐き出される。
【0020】
プリフォームPは、
図2に示されるように、有底の胴35に対して比較的に大きい口部36を備えることから、プリフォームPは水平面HR上で倒立姿勢で自立することができる。口部36は円筒体に形成される。口部の外周面にはねじ山が形成される。プリフォームPの中心軸37すなわち口部36の中心軸37は水平面HRに直交する。しかも、口部36の大きさに対して比較的に胴35の高さは低く設定されることから、プリフォームPは倒立姿勢で安定する。
【0021】
その一方で、
図3に示されるように、プリフォームPの胴35の底面は丸みを帯びることから、正立姿勢のプリフォームPは水平面HR上で直立姿勢で自立することはできない。すなわち、正立姿勢のプリフォームPは水平面HRに対して口部36の中心軸37を直交させたまま水平面HR上で保持されることはできない。
【0022】
プリフォームPでは口部36および胴35の間にいわゆるサポートリングすなわちフランジ38が形成される。フランジ38は口部36の中心軸37に直交する平面に沿って外側に向かって広がる。所定の間隔で離れる水平面SRにプリフォームPがフランジ38で支持されると、プリフォームPの胴35は水平面SR同士の間に入り込む。口部36の中心軸37は水平面SRに直交することができる。ここで、
図3ではフランジ38がプリフォームPの最大外径であり支持面を兼ねる例を示しているが、プリフォーム整列搬送ユニット39が支持できる面が備わったプリフォームPであればその形状は何でも良い。例えば、フランジ38はねじ山より低くても良いし、ねじ山と胴35の間に中心側にすぼむ凹部を備えた形状、ねじ山より上の口部端にフランジ38を設けた形状のプリフォームPでも良い。なお、倒立姿勢では口部36は下向きに開口する。反対に、正立姿勢では口部36は上向きに開口する。また、本例の広口のプリフォームPは口径/全長(口部から底部までの長さ)の比率(全長に対する口部の直径の比率)が約1/2以上となり、500mlボトル成形で用いられる通常の細口プリフォームの値(例えば1/4)に比べて著しく大きい。さらに、細口プリフォームの重心は有底部側寄り、つまり、口部端面から離れた位置に形成されるのに対し、広口のプリフォームPの重心は口部端面寄り、凡そ中心位置に形成される。そのため、単に傾斜面で広口のプリフォームPを滑らせても、有底部下向きとした姿勢で整列しにくい。
【0023】
図4の(a)〜(c)に示すように、整列誘導シュータ80は、中央に略半円筒状の溝を有するステンレス製の板状部材83(案内部材の一例)と、板状部材83の表面上(上側面上)に、板状部材83の形状に沿って固定部材86によって固定されたテフロン(登録商標)製のシート部材84(案内部材の一例)とを備える。
図4の(b)に示すように、板状部材83はその中心に向けて低くなるように傾斜している傾斜部83aと、略半円筒状の溝部83bとを備える。シート部材84は、板状部材83の傾斜部83aに沿ってその中心に向けて低くなるように傾斜している傾斜部84aと、板状部材83の溝部83bに沿って下方に略半円筒状に撓んだ形状の溝部84bとを有している。固定部材86は長方形状の金属製の板状部材であり、板状部材83との間にシート部材84を挟みこむように固定する。
【0024】
図4の(c)は、
図4の(a)中のA−A線断面図でありシート部材84にプリフォームPが載置された状態を示している。板状部材83の中央に形成された略半円筒状の溝部83bの幅Lは、プリフォームPの最大外径よりも大きいが、最大外径の2倍よりは小さい。従って、板状部材83の形状に沿って固定されるシート部材84の溝部84bも板状部材83の溝部83bとほぼ同様の幅を有し、シート部材84の溝部84bの内部には1つのプリフォームが両側にわずかな隙間(2つのプリフォームが平行して流れることができない程度の幅)を有しつつ収容される。符号85は板状部材83を介して、シート部材84の裏面側(プリフォームPと接触しない面)からシート部材84を支持する支持部材85を示している。
【0025】
シート部材84の溝部84bの表側面(上側面)は内壁面に相当するものであり、下流側へ滑り落ちるプリフォームPと接触する面である。整列誘導シュータ80は入口端82と出口端81を有しており、入口端82が出口端81より重力方向に高い位置に位置する。すなわち、整列誘導シュータ80はプリフォームの搬送方向の下流側に向けて低くなるように傾斜しており、溝部84bは傾斜方向に沿って形成されている。
【0026】
整列誘導シュータ80上に落下シュータ90から落下してくる複数のプリフォームPのうち、シート部材84の傾斜部84a上に落下したプリフォームPは、自重により、シート部材84の溝部84bに向けて滑り落ち、溝部84bに収容されたプリフォームPは、自重により、溝部84bの内壁面上を出口端81に向けて滑り落ちていく。このようにして、落下してきた方向不整の複数のプリフォームPは、一列に整列化されつつ、プリフォーム整列搬送ユニット39まで案内されていく。
【0027】
図5の(a)は、落下シュータ90の縦断面図を示している。落下シュータ90は整列誘導シュータ80の上流側端部(入口端82)付近の上方に設置されている(
図1参照)。落下シュータ90は、箱状の筺体90aと、筺体90aの内部に落下してきたプリフォームPと衝突する第1の配向部材92と第2の配向部材93と備えている。筺体90aは、筺体90aの傾斜コンベア57側の側面に形成された第1の開口部91と、整列誘導シュータ80の上流側の端部付近に向けて開口した第2の開口部94と、を備えている。
【0028】
図5の(b)は、第1の配向部材92を
図5の(a)のX矢印の向きから見た図(正面図とも称する)である。第1の配向部材92は樹脂のピンを複数個組み合わせて構成されたものであり、筺体90aに対して固定支持されるピン92cと、支持ピン92bに軸支された複数の配向ピン92aと有している。複数あるピンのうち配向ピン92aは、筺体90aの内部を落下していくプリフォームPの落下経路上に配置される。複数の配向ピン92aが配置される間隔は、プリフォームPの最大外径よりも大きくし、筺体90aの内部でプリフォームPがつまった状態にならないようにする。
【0029】
図5の(c)は第2の配向部材93を
図5の(a)のX矢印の向きから見た図(正面図とも称する)である。第2の配向部材93は樹脂のピンを複数個組み合わせて構成されたものであり、筺体90aに対して固定支持されるピン93cと、支持ピン93bに軸支された複数の配向ピン93aと有している。
【0030】
傾斜コンベア57から搬送されてきた方向不整の複数のプリフォームPが落下シュータ90の筺体90aの内部を通過する際に、配向ピン92a,93aやその他のピンに衝突しながら落下していく。なお、第1の配向部材92および第2の配向部材93は配置や向き、本数が調整可能に設けられているため、プリフォームPのサイズや形状、傾斜コンベア57からの供給量に応じ、適宜変更することができる。
【0031】
図1に戻り、傾斜コンベア57は所定の傾斜角で傾斜する運搬路58を備える。傾斜コンベア57の傾斜角は地面に対して大きければ大きいほど傾斜コンベア57の設置面積は縮小される。運搬路58は終点59で落下シュータ90の第1の開口部91に接続される。運搬路58の始点61はプリフォーム用コンテナ62(コンテナの一例)の底に連結される。プリフォーム用コンテナ62には複数のプリフォームPが貯留される。傾斜コンベア57はプリフォーム用コンテナ62からプリフォームPをすくい上げる。傾斜コンベア57は、プリフォーム用コンテナ62から落下シュータ90と整列誘導シュータ80を経由して、プリフォーム整列搬送ユニット39にプリフォームPを運搬する。このように、傾斜コンベア57、落下シュータ90、整列誘導シュータ80、プリフォーム整列搬送ユニット39、およびプリフォーム用コンテナ62の組み合わせによれば、次工程のブロー成形機の前に人手によってプリフォームPを予め一列に揃える必要がなく、人手の作業はできる限り回避され、作業効率は高められる。
【0032】
次に、
図6を参照しつつプリフォーム整列搬送ユニット39の構造を簡単に説明する。プリフォーム整列搬送ユニット39は一対のローラ63(整列ローラの一例)を備える。ローラ63は相互に平行に延びる。ローラ63の軸心は共通のひとつの水平線に直交する。ローラ63同士の間に間隔が形成される。間隔の大きさはプリフォームPのフランジ38の外径、すなわち、プリフォームの最大外径よりも小さく設定されれば良いが、本実施形態では、ローラ63がプリフォームPの胴部を挟みつつ搬送するように、間隔の大きさを設定する。そのため、フランジ38が無いプリフォームPであっても、プリフォーム整列搬送ユニット39は搬送・整列処理が可能である。すなわち、ローラ63は軸心回りで相互に反対向きに回転する。回転に応じてローラ63の外面は上向きに間隔の空間をなぞる。ローラ63は前述の整列路41を形成する。プリフォームPは整列路41の入口端42から出口端43まで重力の働きで徐々に下降していく。下降中にローラ63の回転の作用でプリフォームPは姿勢を変化させる。しかも、ローラ63の間隔はプリフォーム1個分に満たないことから、プリフォームPはローラ63同士の間に一列に並ぶ。
【0033】
プリフォーム整列搬送ユニット39は案内部64を備える。案内部64はローラ63の上方に配置される。案内部64はローラ63の軸心に平行に広がる案内面65を有する。案内面65はローラ63に近づくにつれて徐々に間隔を狭める。案内部64はローラ63同士の間隔に向かってプリフォームPを案内する。
【0034】
整列路41の出口端43手前には羽根車66が配置される。羽根車66は水平軸回りで回転する。羽根車66は回転羽根67を備える。回転羽根67は例えば水平軸回りに等間隔で配置される。ここでは例えば12枚の回転羽根67が取り付けられる。回転羽根67は、ローラ63同士の間の空間を下から上に向かってなぞるように回転する。
【0035】
個々の回転羽根67は羽根本体68を備える。回転羽根67は羽根本体68で水平軸すなわち回転軸に連結される。羽根本体68は回転軸のひとつの放射線を含む仮想平面に沿って広がる。
図7に示されるように、羽根本体68には正面視で左右一対の第1爪部材69が取り付けられる。第1爪部材69は例えばねじで固定されればよい。第1爪部材69同士は水平方向に所定の間隔で離される。第1爪部材69同士は垂直面71で相互に向き合わせられる。垂直面71はローラ63の軸心に平行に広がる平面で形成される。垂直面71同士の間隔は、プリフォームPの最大外径に所定の隙間を加えた大きさに設定される。したがって、仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラ63同士の間に進入すれば、プリフォームPは第1爪部材69同士の間を通り抜けることができる。
【0036】
個々の回転羽根67では一対の第1爪部材69にそれぞれ対応する補助爪部材72が取り付けられる。補助爪部材72は例えばねじで固定されればよい。補助爪部材72の先端は対応の垂直面71から相互に接近する方向に突出する。
図7に示されるように、補助爪部材72の先端は、正しく正立姿勢でローラ63同士の間に進入するプリフォームPの輪郭から外側に配置される。したがって、仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラ63同士の間に進入すれば、プリフォームPは補助爪部材72同士の間を通り抜けることができる。その一方で、補助爪部材72の先端は、横転姿勢でローラ63同士の間に進入するプリフォームP、すなわち、ローラ63同士の間で支持されてローラ63の軸心に平行に中心軸37を配置するプリフォームPの輪郭に接する。したがって、仮にプリフォームPが横転姿勢でローラ63同士の間に支持されれば、プリフォームPは補助爪部材72で跳ね上げられる。プリフォームPは整列路41の上流側に飛び上がる。
【0037】
特定の回転羽根67では羽根本体68に1つの第2爪部材73が取り付けられる。第2爪部材73は例えばねじで固定されればよい。第2爪部材73は、垂直面71を含む仮想垂直面同士の間に配置される。第2爪部材73は一対の爪74を備える。第2爪部材73は、正しく正立姿勢でローラ63同士の間に進入するプリフォームPの輪郭から外側に配置される。したがって、仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラ63同士の間に進入すれば、プリフォームPは第2爪部材73を通り抜けることができる。その一方で、爪74の先端は、正立姿勢で重なった状態でローラ63同士の間に進入するプリフォームPに衝突する位置に配置される。したがって、たとえプリフォームPが正立姿勢であっても2つ以上のプリフォームPが重なった状態でローラ63同士の間に保持されると、プリフォームPは爪74で跳ね上げられる。第2爪部材73は例えば全ての回転羽根67で取り付けられてもよく例えば1つおきに特定の回転羽根67でのみ取り付けられてもよい。
【0038】
このように、プリフォームPが正立姿勢以外の姿勢でローラ63同士の間に保持されると、プリフォームPは羽根車66の回転羽根67で跳ね上げられる。プリフォームPは整列路41の上流側に飛び上がる。たとえプリフォームPが正立姿勢であっても2つ以上のプリフォームPが重なった状態でローラ63同士の間に保持されると、プリフォームPは羽根車66の回転羽根67で跳ね上げられる。こうしてプリフォームPは再びローラ63の作用に曝される。仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラ63同士の間に進入すれば、プリフォームPは回転羽根67の下方を通り抜ける。回転羽根67とプリフォームPとの接触は回避される。プリフォームPは整列路41の出口端43に行き着くことができる。
【0039】
図8は、第1のエアジェットユニット100(エアジェット部の一例)と第2のエアジェットユニット200(エアジェット部の一例)の配置を示す図であり、プリフォーム整列搬送ユニット39の下流側端部の部分拡大図である。
図8に示されるように、プリフォーム整列搬送ユニット39の羽根車66の上側側手前付近には、第1のエアジェットユニット100と第2のエアジェットユニット200が設置されている。
【0040】
第1のエアジェットユニット100は、プリフォームPの有無を検出するプリフォーム検出機構の一例として、発光素子(投光素子)と受光素子とを有する光学センサ100aと、整列路41を挟んで光学センサ100aと対向するように設置される反射板100bと、光学センサ100aの出力信号に応じて圧縮空気を噴出するエアジェット100cとを備える。
【0041】
光学センサ100aの発光素子は、反射板100bに向かって水平に光を発光するものであり、この光がローラ63から所定距離だけ上方の高さを通過するようにプリフォーム整列搬送ユニット39に設置される。反射板100bは、光学センサ100aの発光素子が発光した光を光学センサ100aの受光素子に向けて反射するものである。光学センサ100aは、発光素子から発光された光が反射板100bを経由して受光素子まで戻ってきた場合は、エアジェット100cを動作させるために出力信号(命令信号)を出力しない。一方、光学センサ100aは、発光素子から発光された光が途中で障害物(例えば、羽根車66の上流側手前付近に方向不整に滞留した複数のプリフォームPのかたまりや、不整列状態のまま、すなわち、胴35がローラ63の間に挟まれずにローラ63の上を転がるように搬送されてきたプリフォームP)によって遮断され受光素子にまで戻ってこない場合、エアジェット100cを動作させる出力信号(命令信号)をエアジェット100cに出力する。なお、発光素子が発光する光が通過する経路は、ローラ63によって正立姿勢で搬送されてきたプリフォームPの最上端部よりも所定距離だけ上方を通過するものであり、正立姿勢で搬送されてきたプリフォームPは光学センサ100aによっては検出されない。
【0042】
また、第2のエアジェットユニット200は、第1のエアジェットユニット100より所定距離だけ上流側に設置されており、プリフォームPの有無を検出するプリフォーム検出機構の一例として、発光素子(投光素子)と受光素子とを有する光学センサ200aと、整列路41を挟んで光学センサ200aと対向するように設置される反射板200bと、光学センサ200aの出力信号に応じて圧縮空気を噴出するエアジェット200cとを備える。
【0043】
光学センサ200aの発光素子は反射板200bに向かって水平に光を発光するものであり、この光がローラ63から所定距離だけ上方の高さを通過するようにプリフォーム整列搬送ユニット39に設置される。反射板200bは、光学センサ200aの発光素子が発光した光を光学センサ200aの受光素子に向けて反射するものである。光学センサ200aは、発光素子から発光された光が反射板200bを経由して受光素子まで戻ってきた場合は、エアジェット200cを動作させるために出力信号(命令信号)を出力しない。一方、光学センサ200aは、発光素子から発光された光が途中で障害物(例えば、羽根車66によって跳ね飛ばされてきたプリフォームなど)によって遮断され受光素子にまで戻ってこない場合、エアジェット200cを動作させる出力信号(命令信号)をエアジェット200cに出力する。なお、発光素子が発光する光が通過する経路は、ローラ63に正立姿勢で搬送されてきたプリフォームPの最上端部よりも所定距離だけ上方を通過するものであり、正立姿勢で搬送されてきたプリフォームPは光学センサ200aによっては検出されない。
【0044】
上述のように、例えば、仮に1つのプリフォームPが正しく正立姿勢でローラ63同士の間に進入して搬送されてくれば、光学センサ100aと光学センサ200aは何も検出せず、エアジェット100cとエアジェット200cは動作しない。
【0045】
また、2つのプリフォームPが互いに同じ向きできつく重なった状態のもの(羽根車66の爪74によっても嵌合状態が解消されないもの。以下、嵌合状態プリフォームPとも称する)で正立姿勢で搬送されてきた場合であっても、嵌合状態プリフォームPは、光学センサ100aと光学センサ200aが発する光の経路の下方をくぐり抜け、羽根車66まで到達する。そして、羽根車66まで到達した嵌合状態プリフォームPは、羽根車66の回転羽根67によって羽根車66の上流側上方に向けて跳ね飛ばされる。跳ね飛ばされた嵌合状態プリフォームPは、整列路41に向けて落下する途中で、光学センサ200aの発光素子が発する光の経路を通過する場合がある。この場合、光学センサ200aは、エアジェット200cに出力信号を出力し、エアジェット200cは跳ね飛ばされた嵌合状態プリフォームPに向けて圧縮空気を噴出する。
【0046】
跳ね飛ばされた嵌合状態プリフォームPに圧縮空気が命中すると、嵌合状態プリフォームPは、プリフォーム整列搬送ユニット39に設置された排出口案内部材150に向けて吹き飛ばされて、プリフォーム整列搬送ユニット39の搬送経路から離脱させられる。
【0047】
跳ね飛ばされた嵌合状態プリフォームPに圧縮空気が命中しなかった場合、嵌合状態プリフォームPは、ローラ63の間に正立姿勢で挟まれた状態にはならずに、ローラ63上を横転姿勢で再び下流側へ向けて搬送される。この場合、羽根車66の上流側手前付近にプリフォームPは滞留してしまう。滞留したプリフォームPを放置しておくと、続々と搬送されてくるプリフォームPの障害物となり、その結果、羽根車66の手前付近に複数のプリフォームPが山状に溜まってしまい、一度、プリフォーム供給装置13を停止して山状に溜まったプリフォームPを手作業で取り除く作業が必要となってしまう。しかし、本実施形態では、羽根車66の上流側手前付近に、上述のように、第1のエアジェットユニット100が設置されている。この構成により、第1のエアジェットユニット100の光学センサ100aがローラ63上で横転状態で滞留したプリフォームPを検出し、光学センサ100aからの出力信号に応じてエアジェット100cが滞留したプリフォームPを排出口案内部材150に向けて吹き飛ばす。このように、第1のエアジェットユニット100は、滞留したプリフォームPをプリフォーム整列搬送ユニット39の搬送経路から離脱させることができ、羽根車66の手前付近に複数のプリフォームPが山状に溜まってしまうことを防ぐことができる。
【0048】
ところで、第1のエアジェットユニット100および第2のエアジェットユニット200のエアジェット100c、200c、およびプリフォーム検出機構は位置調整可能に据え付けられている。上述の方法でも設計通りの整列処理能力が達成されない場合もあるが、この場合、エアジェット200cおよびプリフォーム検出機構の位置を調整し、プリフォームPが羽根車66に到達する前に第2のエアジェットユニット200で除去しても良い。このようにすると、不整列状態のプリフォームP(特に嵌合状態プリフォームP)による羽根車66前の滞留状態を解消できるため、整列処理能力の向上が期待できる。
なお、プリフォームPの有無を検出するプリフォーム検出機構の一例として、発光素子と受光素子とを有する光学センサを用いる例を説明したがこれに限らず、例えば、羽根車66の前にプリフォームPが滞留したことを、滞留したプリフォームPの重量を測定することで検出する機構や、滞留したプリフォームPに接触する棒状の滞留検知スイッチを有し、そのスイッチの切り替えに応じてプリフォームPが滞留したことを検出する機構であっても良い。
【0049】
図9は、プリフォーム整列搬送ユニット39と整列誘導シュータ80とが連結された状態を上方から見た平面図である。
図9に示されるように、整列誘導シュータ80の出口端81の部分は、プリフォーム整列搬送ユニット39の入口端42上方部分に重複した状態で連結されている。また、整列誘導シュータ80のシート部材84の溝部84bの下流側端部から一対のローラ63の間隔に向けてプリフォームPが滑りおちる滑走面を有する板状部材101が設置されている。シート部材84の溝部84bの内壁面に沿って胴35の底をローラ63に向けて滑り落ちてきたプリフォームは、板状部材101を経由してローラ63の間隔に胴35が案内される。板状部材101は、例えば、フッ素樹脂の平板を用いればよい。なお、板状部材101の上流側端部は整列誘導シュータ80とプリフォーム整列搬送ユニット39の間に挟まれるように配置されており、
図9ではその挟まれた部分を破線で示している。
【0050】
図1に戻り、プリフォーム整列搬送ユニット39には反転装置RMが連結される。反転装置RMは第1スライドコンベア45、反転ユニット46および第2スライドコンベア47を備える。第1スライドコンベア45は所定の傾斜角で傾斜するスライド面48を備える。スライド面48は入口端49と出口端51とを備える。入口端49は出口端51よりも重力方向に高い位置に位置する。スライド面48は入口端49で整列路41の出口端43に接続される。スライド面48は例えば傾斜するひとつの平面内で広がる。スライド面48は入口端49から出口端51まで延びる空隙で二分割される。空隙はスライド面48の縁同士の間で均一幅で延びる。スライド面48の縁は相互に平行に延びる直線上に規定される。スライド面48同士の間隔はプリフォームPの胴35の外径よりも大きく設定される。ただし、スライド面48同士の間隔はプリフォームPのフランジ38でスライド面48に支持される。プリフォームPの胴35は空隙から吊り下がる。プリフォームPは正立姿勢のまま1個ずつ第1スライドコンベア45を滑り降りることができる。
【0051】
第1スライドコンベア45には反転ユニット46が連結される。反転ユニット46は回転体52を備える。回転体52は所定の傾斜角で傾斜する回転軸53回りで回転する。回転体52の回転軸53の傾斜角は第1スライドコンベア45のスライド面48の傾斜角に合わせ込まれる。第1スライドコンベア45から回転体52に正立姿勢のプリフォームPは供給される。回転体52には規定の向きでプリフォームPが一時的に保持される。回転体52が180度の回転角で回転すると、プリフォームPの姿勢は反転する。
【0052】
反転ユニット46には第2スライドコンベア47が連結される。第2スライドコンベア47はスライド面54を備える。スライド面54は入口端55と出口端56とを備える。入口端55は出口端56よりも重力方向に高い位置に位置する。スライド面54は入口端55で所定の傾斜角で傾斜する。この傾斜角は回転体52の回転軸53の傾斜角に合わせ込まれる。スライド面54は出口端56で水平面に沿って広がる。したがって、スライド面54は傾斜姿勢から水平姿勢に緩やかに湾曲する。回転体52から第2スライドコンベア47に倒立姿勢のプリフォームPは供給される。プリフォームPは倒立姿勢のまま1個ずつ第2スライドコンベア47を滑り降りることができる。こうして、ブロー成形機などの次工程の装置に1個ずつ倒立姿勢のプリフォームPは引き渡される。
【0053】
以上、説明したように、本実施形態のプリフォーム供給装置13によれば、整列誘導シュータ80上に落下シュータ90から落下してくる複数のプリフォームPは、シート部材84が構成する溝部84bに向けて滑り落ち、溝部84bに収容されたプリフォームPは、溝部84bの内壁面上を出口端81に向けて滑り落ちていく。溝部84bは、略半円筒状の形状であり、1つのプリフォームがわずかな隙間を有しつつ収容される程度の幅を有するものであるため、プリフォームPは、他のプリフォームと衝突することなく(干渉することなく)滑り落ちていく。この際、プリフォームPの流動姿勢は、口部36よりも有底の胴35側に重心が位置するため、有底を出口端81に向けた状態になる。つまり、滑り落ちるプリフォームPの流動姿勢は、プリフォームの有底側(重心側)が下流側を向いた状態に揃えられ易い。このようにして、落下してきた方向不整の複数のプリフォームPは、一列に整列化されつつ向きが揃えられながら、プリフォーム整列搬送ユニット39まで案内されていく。換言すると、滑り落ちるプリフォームPが横転状態のままプリフォーム整列搬送ユニット39まで案内されることが抑制される。
【0054】
なお、本実施形態では、プリフォームPは広口の形状のものを例示し、シート部材84は、そのプリフォームPの口部36の形状よりやや大きめの半円筒状の溝部84bを有するものを例示したが、この例に限られない。シート部材84の溝部84bの形状は、プリフォームPが他のプリフォームPと干渉することなくスムーズに落下することができる形状であればよく、V字形状であっても凹形状であっても良い。シート部材84の材料についても、プリフォームPが他のプリフォームPと干渉することなくスムーズに落下することができるものであれば良い。
【0055】
また、本実施形態では、ステンレス製の板状部材83の上にテフロン(登録商標)製のシート部材84を固定し、板状部材83の溝部83bに沿わせてシート部材84の一部を下方に撓ませて溝部84bを形成する例を説明したがこの例にかぎられず、例えば、
図10に示す構成であっても良い。
【0056】
図10に示される整列誘導シュータは、ステンレス製の一対の板状部材184(案内部材の一例)と、一対の板状部材184同士の間に形成された空隙を塞ぐように、各々の板状部材184の空隙側の端部に固定されたテフロン(登録商標)製のシート部材183(案内部材の一例)とを備える。各々の板状部材184は前述の空隙側に向けて低くなるように傾斜している。シート部材183は、その両端部が板状部材184に固定され、板状部材184の空隙を塞ぐ部分は下方に撓んだ形状となっている。
【0057】
シート部材183の撓んだ部分は略半円筒状の形状となり溝部を構成している。板状部材184同士の間に形成された空隙の幅は、プリフォームPの最大外径よりも大きいが、口部36の外径の2倍よりは小さい。従って、シート部材183の略半円筒状の溝部の内部には1つのプリフォームが両側にわずかな隙間を有しつつ収容される。符号85はシート部材183の裏面側(プリフォームPと接触しない面)からシート部材183を支持する支持部材185を示している。
図10に示される整列誘導シュータは、搬送方向の下流側に向けて低くなるように設置され、その溝部は傾斜方向に沿って形成されている。このように溝部を形成しても、上述の本実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
また、
図11に示すように、整列誘導シュータ80のシート部材84の表面側(プリフォームPと接触する側)に、シート部材84の溝部84bに沿うようにテープ部材87を貼り付けても良い。テープ部材87は、例えば、プリフォームPの搬送方向に沿って、整列誘導シュータ80の入口端82から出口端81までシート部材84に貼り付ければ良い。このテープ部材87には、プリフォームPの搬送方向に沿って延びる長尺状の突起部87aが、テープ部材87の幅方向に所定間隔で複数形成されている。
【0059】
突起部87aを有するテープ部材87をシート部材84上に設けることにより、搬送中のプリフォームPとテープ部材87との接触面積が減るため、出口端81に向けてスムーズにプリフォームPを落下させることができる。また、搬送方向に延びるように形成された複数の長尺状の突起部87bによって、プリフォームPを、プリフォームPの有底側(重心側)が下流側を向くように案内することができる。このようにして、滑り落ちるプリフォームPが横転状態のままプリフォーム整列搬送ユニット39まで案内されることを抑制することができる。なお、テープ部材87を、
図10に示したシート部材183の表面側に設ける構成であっても、同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、プリフォーム整列搬送ユニット39の一対のローラ63は、相互に平行に延び、ローラ63同士の間に間隔が形成され、その間隔の大きさはローラ63がプリフォームPの胴部を挟みつつ搬送するように設定されている。従って、ローラ63は、整列誘導シュータ80から案内されてきたプリフォームPを安定した状態で搬送することができる。
【0061】
また、シート部材84の溝部84bの下流側端部から一対のローラ63に向けてプリフォームが滑り落ちる滑走面を有する板状部材101が設置されている。溝部の内壁面に沿って底をローラ63側に向けた状態で滑り落ちてきたプリフォームPは、板状部材101を経由してローラ63の間隔に胴35が案内され、スムーズに胴35がローラ63で挟まれて搬送される状態に移行することができる。
【0062】
また、整列誘導シュータ80の上流側の端部(入口端82)付近の上方に、落下シュータ90が設置されている。落下シュータ90の筺体90aの内部には、プリフォームPの落下経路上に複数の配向ピン92a、93aが配置されている。傾斜コンベア57から搬送されてきた方向不整の複数のプリフォームPは、落下シュータ90の筺体90aの内部を通過する際に、配向ピン92aやその他のピンに衝突しながら落下していく。従って、衝突の際に、重なった状態のプリフォームPはその重なりが解消して、一つ一つにバラバラになった状態で整列誘導シュータ80上に落下させることができる。
【0063】
また、プリフォームPの落下速度はピンとの衝突によって遅くなるため、整列誘導シュータ80上にプリフォームPが落下する際に発生する衝突音を低減することができる。なお、配向ピン92a、93aは、落下してくる全てのプリフォームPと衝突する必要はない。例えば、傾斜コンベア57から山状にかたまった状態の複数のプリフォームPが搬送されてきた場合、整列誘導シュータ80上に落下する前に、山状にかたまった状態の複数のプリフォームPが、筺体90a内の配向ピン92a、93aと衝突することで、ある程度、均一でバラバラな状態となって整列誘導シュータ80上に落下すれば良い。
【0064】
また、プリフォーム整列搬送ユニット39は、羽根車66の上流側手前付近に、第1のエアジェットユニット100と第2のエアジェットユニット200とを有している。プリフォームPが重なった状態や横転姿勢で搬送されてきて羽根車に66によって跳ね飛ばされた場合、第2のエアジェットユニット200は圧縮空気を噴出して、跳ね飛ばされたプリフォームPを、排出口案内部材150に向けて吹き飛ばすことができる。また、羽根車66の上流側手前付近に複数のプリフォームPが滞留し始めた場合、第1のエアジェットユニット100が圧縮空気を噴出して、滞留したプリフォームPを排出口案内部材150に向けて吹き飛ばして、複数のプリフォームPが山状に滞留するのを防ぐことができる。
【0065】
このように、本実施形態のプリフォーム供給装置13によれば、複数の手段によりプリフォームPが搬送経路の途中で大量に溜まってしまうことを防ぐことができるため、広口のプリフォームPであっても効率良くブロー成形機などの次工程用の機械に整列した状態で供給することができる。
【0066】
また、
図12に示すように、第1スライドコンベア45の入口端49付近の裏面側に、シリンダ機構151を設けても良い。シリンダ機構151は、押圧位置と待機位置との間を移動可能な押圧部材151aを有している。押圧位置とは、押圧部材151aが、第1スライドコンベア45に支持されるプリフォームPと接触することが可能な位置である。待機位置とは、押圧位置よりも下方の位置であり、押圧部材151aがプリフォームPに届かない位置である。シリンダ機構151は、反転装置RM前に設けられたプリフォーム確認用センサ(光電センサ)の出力に応じてプリフォームPが第1スライドコンベア45上流で詰まったと判断された場合、押圧部材151aを押圧位置に移動させ、詰まった状態のプリフォームPの底部等を下方から押圧する。これにより、プリフォームPの詰まりが解除するように促す。また、第1スライドコンベア45上でプリフォームは詰まっていないと判断された場合、シリンダ機構151は、押圧部材151aを待機位置に移動させる。
【0067】
このように、シリンダ機構151を設けることにより、第1スライドコンベア45の入口端49付近においてプリフォームPが詰まった状態が解除されるように促すことができる。
【0068】
また、
図12に示すように、入口端48と出口端51との間において、第1スライドコンベア45の例えば表面側に、振動機構152を設けても良い。振動機構152は、反転装置RMに設けられたプリフォーム確認用センサ(光電センサ)の出力に応じてプリフォームPが第1スライドコンベア45上で詰まったと判断された場合、第1スライドコンベア45を振動させる。この振動により、第1スライドコンベア45上においてプリフォームPが詰まった状態が解除されるように促すことができる。なお、振動機構152は、プリフォーム確認用センサ(光電センサ)の出力に関係なく、常時振動させても良い。
【0069】
プリフォーム整列搬送ユニット39と反転装置RMとを連結する第1スライドコンベア45上では、プリフォームPの搬送中の姿勢が変化するため、プリフォームPが詰まった状態が比較的発生しやすい。しかし、
図12に示すように、第1スライドコンベア45に、シリンダ機構151と振動機構152の少なくとも一方を設けることにより、第1スライドコンベア上で発生したプリフォームPが詰まった状態を解除し易くなる。また、フランジ径が小さいプリフォームはこの部位、つまり、傾斜角の変化点前後で詰まりやすいため、その解除策として特に有効である。
【0070】
本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本出願は、2012年4月24日出願の日本特許出願・出願番号2012-099253に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。