(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】先行技術において知られている潤滑ポンプの側面断面図である。
【
図2A】第1の例示的実施形態によるポンプ調節器を組み込んだ潤滑ポンプの部分側面断面図である。
【
図4A】
図2A及び
図3Aに示されたポンプ調節器の、わかりやすくするためにハウジングを除去した斜視図である。
【
図7A】
図6Aに示されたアクチュエータアセンブリの側面断面図である。
【
図9A】第2の例示的実施形態によるポンプ調節器の、わかりやすくするためにハウジングを除去した斜視図である。
【
図2】一例示的実施形態による摩耗検出潤滑監視システムの各コンポーネントを示す図である。
【
図4】正常動作している弁の弁監視表示を示すシステム受信/監視装置の平面図である。
【
図5】ひび割れた弁リングを有する圧縮機弁の切欠き斜視図である。
【
図6】異常動作している弁の弁監視ソフトウェア表示を示すシステム受信/監視装置の平面図である。
【
図7】ばたついている弁の弁監視ソフトウェア表示を示すシステム受信/監視装置の平面図である。
【
図8】シリンダが隠されている圧縮機ピストンの斜視図である。
【
図9】シリンダのクランクエンド及びヘッドエンドを示す、圧縮機ピストンの斜視図である。
【
図10】シリンダ圧力センサを示す、圧縮機シリンダの斜視図である。
【
図12】漏れがあるピストンリングを示す、圧縮機ピストンの斜視図である。
【
図13】ピストンリングに漏れがある圧縮機を示すPV曲線である。
【
図14】漏れがある圧縮機弁の切欠き斜視図である。
【
図15】弁に漏れがある圧縮機を示すPV曲線である。
【
図17】圧縮機ピストン、ピストンロッド、及びピストンライダーバンドの斜視図である。
【
図18】ロッド下降センサの場所を示す、圧縮機の斜視図である。
【
図19】シリンダヘッド上に設置されたピストンロッド下降センサの拡大斜視図である。
【
図20】ロッド下降測定値を示すシステム監視ソフトウェア表示の平面図である。
【
図21】圧縮機クランクシャフトの一部非表示の斜視図である。
【
図22】クランクシャフトベアリングセンサの場所を示す、シリンダの斜視図である。
【
図23】正常なベアリング動作を示すシステム監視ソフトウェア表示の平面図である。
【
図24】正常なベアリング動作からの変化を示すシステム監視ソフトウェア表示の平面図である。
【
図25】ピストンロッドパッキン及びそれに関連付けられた潤滑回路の一部分の一部非表示の側面立面図である。
【
図26】潤滑流量センサのうちの1つの場所を示す、圧縮機及び潤滑システムの一部非表示の斜視図である。
【
図28】潤滑流量のわずかな減少を示すシステム監視ソフトウェア表示の平面図である。
【
図29】潤滑供給の故障を示すシステム監視ソフトウェア表示の平面図である。
【
図30】代表的な潤滑ポンプの一部分の一部非表示の斜視図である。
【
図31】潤滑ポンプ出力の劣化を示すシステム監視ソフトウェア表示の平面図である。
【
図32】潤滑システムのデバイダブロックの斜視図である。
【
図33】デバイダブロックピストンの漏れを示す、潤滑システムのデバイダブロックの斜視図である。
【
図35】自動ポンプ調節器のペアの、カバーを除去した斜視図である。
【
図36】自動ポンプ調節器のカムが第1のポジションにある状態の拡大斜視図である。
【
図37】自動ポンプ調節器のカムが第2のポジションにある状態の拡大斜視図である。
【
図38】ポンプ供給流量を示すシステム監視ソフトウェア表示の平面図である。
【
図39】同期ピストン潤滑システムの構成を示す典型的な概略図である。
【
図40】同期ピストン潤滑システムの代替構成を示す典型的な概略図である。
【
図41】本出願の技術の各部分を実施することが可能なシステムの機能ブロック図である。
【
図42】本出願の技術の各部分を実施することが可能なシステムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付図面を参照しながら、実施形態をより詳細に説明する。添付図面は、本明細書の一部を成し、特定の例示的実施形態を図解で示すものである。これらの実施形態は、当業者であれば本発明を実施することが可能になるように詳細に開示される。しかしながら、実施形態は、多様な形態で実施されてよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されてはならない。従って、以下の詳細説明は、限定的な意味にとられるべきではない。
【0014】
本明細書において提供されるのは、フィードバックセンサ(例えば、潤滑流量センサ)又は電子制御装置から調節コマンドを受け取り、関連付けられた潤滑ポンプの出力を調節することが可能な潤滑ポンプ自動調節器である。従って、本明細書に開示の潤滑ポンプ調節器は、潤滑ポンプの閉ループ及び/又は予測流量制御を行う上で有用である。更に、本開示の潤滑ポンプ調節器は、後述の摩耗検出潤滑監視システムと併用されてよい。潤滑ポンプ調節器は又、スタンドアロンシステムとして構成されてもよい。
【0015】
図1Aは、手動調節可能な潤滑ポンプ10Aを示す。潤滑ポンプ10Aは、潤滑剤リザーバ14Aに取り付けられたポンプ本体12Aを含む。ポンプ本体12Aは、吐出逆流防止弁26Aを通して潤滑剤を強制的に送り出すように作用するピストン22Aを収容する。吐出逆流防止弁26Aを通る潤滑剤は、ポンプ吐出口32Aにおいてポンプ10Aから出て、機械(例えば、圧縮機)の様々な潤滑箇所に向かう。潤滑剤は、ポンプ入口30Aと接続された供給口遮断ボール弁24Aを介してピストンに供給される。この場合、潤滑ポンプ10Aは、圧送ポンプである。従って、流体は加圧されてポンプ入口30Aに供給され、そこから供給口遮断ボール弁24Aを通ってピストン22Aに送られる。各図面に示されている潤滑ポンプは圧送ポンプであるが、本開示のポンプ調節器は、圧送潤滑ポンプだけでなく、重力ポンプや吸引ポンプとも動作する。
【0016】
ピストン22Aは、エンジン駆動カムシャフト18Aによってアクチュエートされる。カムシャフト18Aは、ピストン22Aを、ばね20Aに抗して上方に駆動してピストン22Aの上方の潤滑剤を圧縮することにより、潤滑剤が吐出逆流防止弁26Aから強制的に送られるように作用する。カムシャフト18Aは、ロッカー16Aを介して、ピストン22Aを押す。この場合、ロッカー16Aは、当該技術分野において周知のように、ローラーロッカーである。ポンプ10Aから吐出される潤滑剤の量は、ピストン22Aのストロークと、結果としての行程容積とに依存する。ピストン22Aの行程容積は、ピストン22Aがピストンの下向きストロークにおいてカムシャフト18Aに向かって後退する程度を制限することにより、調節可能である。この調節は、ロッカー16が支点17Aのまわりを回転してポンプ本体12Aからどれだけ離れうるかを制限して、ピストン22Aのストロークを制限することにより、達成される。
【0017】
ロッカー16Aの回転は、調節スリーブ34Aによって調節されるプランジャ28Aによって制限される。調節スリーブ34Aは、ねじ山が付けられていて、回されると、ハウジング12Aに対して内向き又は外向きに動く。プランジャ28Aは、調節スリーブ34Aの底部と噛み合う肩部38Aを含む。従って、調節スリーブ34Aが上下に調節されると、プランジャ28Aも上下に動く。調節スリーブ34Aは、当該技術分野において周知のように、回り止めナット36Aによって選択された位置にロックされてよい。潤滑ポンプ10Aによって供給される潤滑剤の量を減らす場合は、調節スリーブ34Aを内向きに(時計回りに)回すことにより、プランジャ28Aをロッカー16Aに抗して下向きに押し込む。すると、ロッカー16Aが支点17Aのまわりを回転して、ピストン22Aを上向きに押し、これによって、ピストン22Aが移動するストロークが制限される。供給される潤滑剤の量を増やす場合は、調節スリーブ34Aを外向きに(反時計回りに)回すことにより、ピストンがその最大程度まで後退することが可能になるように、ロッカー16Aが支点17Aのまわりを回転することが可能になる。
【0018】
図2Aを参照すると、調節スリーブ34A、回り止めナット36A、及びプランジャ28Aは、潤滑ポンプ調節器50Aによって置き換えられることが理解されるであろう。ポンプ調節器50Aは、ポンプ本体12Aに固体取り付けされるように、取り付け機構54Aを配置することによって、ポンプ本体12Aに取り付けられる。ポンプ調節器50Aからはプランジャ52Aが延びており、プランジャ52Aは、
図1Aのプランジャ28Aに関して上述されたことと同様に、ロッカー16Aとの相互作用を行う。
【0019】
更に
図3Aを参照すると、ポンプ調節器50Aは、制御モジュール55Aを含む。制御モジュール55Aは、取り付け機構54Aによって潤滑ポンプ10A上に支持されているハウジング56Aに収容されている。制御モジュール55Aは、ディスプレイ装置60Aと作用的に接続されており、ディスプレイ装置60Aは、ポンプ調節器に関する情報を提供し、ポンプ調節器の構成設定を表示することが可能である。制御モジュール55Aは又、ポンプ調節器を設定することに使用可能な複数のボタン68Aに接続されている。警告及び/又はステータス情報を提供する為に、インジケータランプ66Aが含まれてよい。制御モジュール55Aには、ポンプ調節器を設定すること、及び/又は、データをアップロードしたりダウンロードしたりすることに使用可能なコンピュータと接続する為の通信接続(例えば、無線送受信機、データポート、又は図示されたようなUSBプラグ64A)が備えられてよい。この場合、制御モジュール55Aは、無線モジュール57Aを含み(
図4Aを参照)、例えば、ダストネットワークス(Dust Networks)製のSmart Mesh IA510を含む。無線モジュール57Aは、アンテナ接続62Aを含む。フィードバックセンサ及び/又は電源をポンプ調節器50Aに接続する為に、マルチピンコネクタ58Aが設けられている。制御モジュール55Aは、図ではローカルに取り付けられているが、リモート配置されてもよく、例えば、制御パネルなどの場所に配置されてよい。更に、単一のマスタ電子制御装置が、複数の調節器アクチュエータを操作してもよい。
【0020】
次に
図4A及び
図5Aを参照すると、アクチュエータアセンブリ70Aが、ハウジング56A内に収容されており、そこで取り付け板82A及び84Aによって支持されている。取り付け板82A及び84Aは、複数の支柱86Aによって、間隔を開けて配置されている。アクチュエータアセンブリ70Aは、カム面部材と接続されたアクチュエータ72Aを含む。この場合、カム面部材は、らせん面ギヤ74Aの形態である。この場合、アクチュエータ72Aは、出力シャフトを有する電気モータ(例えば、ステッパモータ)である。らせん面ギヤ74Aは、中間プランジャ76Aとの相互作用を行い、その中間プランジャ76Aは、プランジャ52Aと作用的に接続されている。制御モジュール55Aは、アクチュエータ72Aと作用的に接続されて、らせん面ギヤ74Aの回転を制御することにより、潤滑ポンプ10Aの出力を制御するように作用する。この場合、アクチュエータには、手動調節ノブ100Aが設けられており、アクセスプラグ102Aを取り外すことにより、手動調節ノブ100Aにアクセスすることが可能である。
【0021】
図6A及び
図7Aに示されるように、らせん面ギヤ74Aは、中央シャフト部分94Aのまわりに配置されており、中央シャフト部分94Aは、一端がブッシング98A内で取り付け板84Aによって支持されている。らせん面ギヤ74Aは、中央シャフト部分94Aのまわりに延びるらせん傾斜面92A(即ち、コークスクリュー面)を含む。この場合、らせん面ギヤ74Aは、時計回りに回転させた場合に、らせん傾斜面92Aが中間プランジャ76Aを下向きに押すように構成されている(
図6Aを参照)。従って、モータ72Aがらせん面ギヤ74Aを(上方から見て)時計回りに回転させると、中間プランジャ76Aが下向き方向に押されて、潤滑ポンプ出力が減る。代替構造として、カム面部材は、らせん傾斜面92Aではなく、角度が付けられた、軸方向に面した端面を有する円筒で構成されてもよい。
【0022】
中間シャフト76Aとプランジャ52Aは、ねじ機構によって接続されており、ばね78A及びばね保持板80Aによって下向きにばね付勢されている。
図5Aを参照すると、ばね保持板80Aが中間プランジャ76Aとプランジャ52Aとの間に捕捉されていることが理解されるであろう。又、ばね78Aは、下側取り付け板84Aとばね保持板80Aとの間に配置されていることも理解されるであろう。従って、ばね78Aは、プランジャ76A及び52Aをロッカー16Aに向かって下向きに押す。
図7Aに最もよく示されるように、中間プランジャ76Aは、プランジャ52A上に形成された対応する雄ねじと噛み合う為の雌ねじ104Aを含む。
【0023】
アクチュエータアセンブリ70Aは、らせん面ギヤ74Aが反対方向(反時計回り)に逆駆動されないようにするラッチ機構90Aを含む。
図7A及び
図8Aを参照すると、ラッチ90Aは、複数の噛み合い歯96Aと係合する歯を有する爪106Aを含む。噛み合い歯96Aは、らせん面ギヤ74Aの周辺部のまわりに配置された、軸方向に延びる歯である。
【0024】
図9Aから
図12Aは、第2の例示的実施形態によるポンプ調節器250Aを示す。ポンプ調節器250Aは、前述のポンプ調節器50Aとよく似ているが、この実施形態では、アクチュエータアセンブリ270Aの動作原理が異なる。ポンプ調節器250Aは、制御装置55A及びアクチュエータアセンブリ270Aを含む。
図9A及び
図10Aを参照すると、アクチュエータアセンブリ270Aは、モータ取り付け板282Aに取り付けられたアクチュエータ272Aを含む。第2の取り付け板284Aが、複数の支柱286Aによって、モータ取り付け板282Aから間隔を開けて配置されている。この実施形態では、モータ272Aは、ねじ山付きスクリュー(例えば、アクメねじ294)を回転させる。アクメねじ294は、
図12Aに示されるように、ねじ山296Aにおいてドライバブロック274Aに対してねじ山が付けられている。
【0025】
ブロック274Aは、支柱286Aを受ける複数の支持開口部292Aを含む。従って、ドライバブロック274Aは、取り付け板282Aと取り付け板284Aとの間で、支柱286Aによって高さ方向にガイドされる。ドライバブロック274Aは、中間プランジャ276Aの一端部を受けるポケット206Aを含む。中間プランジャ276Aは、ねじ山204Aによって、プランジャ252Aにねじ取り付けされている。
図10Aを参照すると、中間プランジャ276Aとプランジャ252Aとの間に、ばね保持板280Aが捕捉されている。又、ばね278Aは、ばね保持板280Aと取り付け板284Aとの間に配置されている。従って、プランジャ252Aは、ロッカー16Aに向かって下向きに押される。
【0026】
そして、この場合は、モータ272Aが回転すると、モータ272Aの回転方向に応じてドライバブロック274Aが上向き又は下向きに動くようにアクメねじが作用することが理解されよう。例えば、モータが時計回りに回転すると、ドライバブロック274Aは、下向きに駆動されて、中間シャフト276Aを下向きに押す。
【0027】
電気モータアクチュエータに関して各種実施形態のポンプ調節器を説明してきたが、油圧式、磁力式、又は気圧式のアクチュエータを用いてもよいことを理解されたい。更に、回転アクチュエータを用いるだけでなく、直線アクチュエータも同様に用いてよい。又、中間シャフト及びプランジャは別々の部品として示されたが、これらは既存の潤滑ポンプへのレトロフィットを容易にするものであり、場合によっては、中間シャフト及びプランジャを一体化して単一の長い部材にしてもよい。
【0028】
上述の潤滑ポンプ調節器に関連する方法も考えられている。この方法は、次のように、上述の構造物とその動作に固有の複数のステップを包含する。一例示的実施形態では、本方法は、ロッカーにアクチュエータを作用的に接続して、アクチュエータの起動によってピストンのストロークが調節されるようにするステップと、潤滑ポンプの出力を監視するステップと、潤滑ポンプの出力の変化に応じてアクチュエータを起動させるステップと、を含んでよい。一実施形態では、本方法は更に、アクチュエータでカム面部材を回転させるステップと、カム面部材とロッカーとの間に配置されたプランジャを押すステップと、を含んでよい。別の実施形態では、本方法は、ねじ山を付けられたドライバブロックでねじ山付きシャフトを回転させるステップと、ドライバブロックとロッカーとの間に配置されたプランジャを押すステップと、を含んでよい。
【0029】
以下では、摩耗部品を監視し、正しい潤滑レベルを与えることにより、往復運動機器(例えば、
図1に示される圧縮機10)を保護するシステム100について説明する。本システムソフトウェアに無線センサ技術を組み合わせることにより、往復圧縮機の摩耗が低減され、製品寿命が延び、無駄な潤滑が低減される。このシステムにより、操作者は、軽微な問題を、それらが圧縮機の大きな故障に発展する前に検出して修理することが可能になる。本システムはモジュール式であってよく、それによって、本システムを、必要に応じて、ベーシックなシステムから、拡大又は変化する要件に合わせて拡張することが可能になる。
【0030】
システム100は、圧縮機弁、ピストンリング、ライダーバンド、パッキン押さえ、及び全ての高圧潤滑部品の早期の摩耗又は故障を検出する。
図2を参照すると、これは、無線センサ110から118、無線受信/監視装置120、及びソフトウェアパッケージ130からなるネットワークを通して達成され、ソフトウェアパッケージ130は、ローカル又はリモートに配置され、処理装置131上で動作し、処理装置131は、受信/監視装置120又は独立したコンピューティング装置に関連付けられてよく、独立したコンピューティング装置としては、例えば、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、チップセット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、モバイル又はハンドヘルドプロセッサ、スマートフォンなどが挙げられる。ベースライン状態の実時間又は近実時間の監視を通して、摩耗及び故障の早期検出が可能である。図示されている無線受信/監視装置120は1台のみであるが、本システムは、ローカル及びリモートの様々なステーション及び監視装置にデータを提供することが可能であることを理解されたい。更に、センサ110から118は、無線通信システムとして図示されているが、受信/監視装置120と有線接続されてもよい。しかしながら、無線システムを与えることにより、本出願の技術を既存の機器にレトロフィットさせることが可能になる。故障状態の多くは、コストのかさむ問題又は壊滅的な故障になる前に解決可能である。
【0031】
圧縮機弁は、圧縮機システムにおいて故障しがちな部品である。往復圧縮機弁は、毎分1800サイクル(即ち、1秒間に30回)もの高頻度で開閉する。
図3を参照すると、各個別弁12が、その開閉時に、それぞれ固有の高周波数の振動又は音響放射信号14を発生させる。この音響放射信号14は、外部弁カバー16を伝搬し、弁アラートセンサ110によって感知される。弁アラートセンサ110は又、弁カバー16の動作温度を監視することも可能である。弁アラートセンサ110は、圧電センサなどの振動センサ、又はマイクなどの音センサであってよく、且つ、熱電対などの温度センサを含んでよい。振動及び/又は音響放射シグネチャは、一般に、音響信号と称され、且つ/又は、本明細書では区別なく用いられる。
【0032】
図4を参照すると、(チップセット、FPGA、モバイルコンピューティング装置などであってよい)プロセッサ131で動作するソフトウェア130は、弁12が正常動作していることがわかっている間は、弁12の音響信号14及び温度15をメモリに記録する。
これらの測定値は、ベースライン記録132を確定する。本システムの動作中に、ソフトウェアパッケージ130は、機器(この場合は弁)の音響値及び温度値に関連付けられた実時間又は近実時間の測定値を弁アラートセンサ110から取得する。この動作音響信号及び動作温度は、処理装置131及び処理装置131内の比較器によって処理される(比較器は、動作の読みをベースラインと比較する、ソフトウェアパッケージ130の一モジュールであってよい)。偏差が所定量になると、弁の摩耗、割れなどに関連付けられうる故障が検出されたと判定されることになる。検出された故障に基づき、本システムは、操作者にアラートを送信し、且つ/又は、状況によっては、機器をシャットダウンすることになる。
【0033】
図5に示されるように、弁封止素子(例えば、リング18)が割れるか、劣化し始めると、音響シグネチャ14が変化する可能性があり、高温の排気ガス20が弁を通って戻る際に弁カバーの温度が上昇する可能性がある。
図6では、センサ110は、温度15及び音響信号134を感知する。感知された情報は処理装置131に与えられ、処理装置131は、ソフトウェアパッケージ130を使用して、この情報を処理する。音響信号の偏差及び/又は温度の上昇は、故障を指摘するように処理されてよく、故障が指摘されると、アラートが出力され、状況によっては、機器がシャットダウンされる可能性がある。処理装置は、特定の弁の問題についてのアラートを操作者に送信する。
【0034】
ピストンの1回のサイクルの間に弁の開閉が複数回あると、弁のばたつきが識別される。これがあると、全体効率が低下し、封止素子に対するストレスが増え、弁ばねが故障する。
図7を参照すると、音響信号132は、センサ110によって感知され、受信装置120に送信される。受信装置120に関連付けられた処理装置131が、感知された音響信号を処理する。又、処理装置131は、比較器を使用して、動作中の機器の音響信号132を、あらかじめ確定されたベースラインと比較してよい。偏差が所定量を超えた場合は故障と判定され、例えば、弁がばたついていると判定される。ソフトウェアパッケージ130は、処理装置131上で動作していてよく、シグネチャを記録してよく、操作者にアラートしてよい。状況によっては、機器をシャットダウンしてよい。
【0035】
図8及び
図9を参照すると、ピストンリングの摩耗を評価する場合の一般的な方法は、圧力センサ又は差圧センサを使用して、シリンダのクランクエンド24及びヘッドエンド26の動的圧力を測定することである。これらの測定値から、操作者は、ピストンリング22の問題又は弁12の故障を認識し、圧縮機10の全体効率を評価することが可能である。クランクシリンダ及びヘッドシリンダ28に設置された圧力検査弁は、圧力センサ118の取り付けが可能であり、圧力センサ118は、圧力の読みを受信装置及び処理装置131に送信する。これによって、ソフトウェアパッケージ130は、それらの情報の解析が可能になる。
【0036】
図11は、圧力容積曲線(より一般的にはPV曲線と称される)を示す。PV曲線は、ピストンサイクル全体にわたるシリンダ内のガス圧のグラフィカル表現である。
図11のグラフィック136に示されるように、圧縮機の正常動作がキャプチャされ、ベースライン状態として設定されている。ピストンリング22が摩耗すると、ピストンリング22は、その効率的な封止機能が低下して、ガス30がリング22をバイパスすることが可能になり、これによって、圧縮機の効率が低下する。この低下は、
図13に示されるような、PV曲線の特徴的な変化として現れる。グラフィック138は、これらの変化を、ベースライングラフィック136と比較して強調表示したものである。圧縮過程では、まず、圧力の上昇が正常時より早く、その後、正常時より遅くなる。膨張過程では、まず、圧力の下降が正常時より早く、その後、正常時より遅くなる。処理装置131上で動作しているソフトウェアパッケージ130は、比較器を使用して、PV曲線の変化を判定し、操作者にアラートを与え、状況によっては、機器をシャットダウンする。この特定の実施例では、処理装置131は、一次導関数を用いて、PV曲線の変化率を記録し、変化率が正常時より十分高いか、且つ/又は、正常時より十分低い場合には、故障状態であると判定してよい。別の実施形態では、瞬時値を比較して故障状態を確定してよい。
【0037】
図14を参照すると、漏れ20が弁12を通過すると、別の、ただし、やはり故障である特徴がPV曲線に引き起こされる。
図15に示されるように、この特徴は、グラフィック140として強調表示されている。圧縮過程では、圧力の上昇が正常時より遅い。膨張過程では、圧力の下降が正常時より早い。これは、圧力センサによって検出され、ソフトウェアモジュール130で動作する比較器によって登録される。この比較は、上述の一次導関数による変化率に基づいてよく、或いは、瞬時値を比較してもよい。全てのシステムセンサと同様に、圧力センサ118からのデータは、
図16に示されるように、受信装置に無線送信され、そこから、ローカルに、或いは、衛星又はインターネット接続を経由して、任意の場所に中継される。しかしながら、上述のように、無線システムの代わりに有線接続を用いてもよい。ただし、無線通信であれば、既存のシステムへのレトロフィットが可能になる。
【0038】
図17に示されるピストンライダーバンド32は、ピストン34の重量を支持するように、且つ、ピストンがシリンダライナと接触しないように設計されている。
図18から
図20を参照すると、ライダーバンド32が摩耗するにつれて、ピストン34はゆっくり下降し、これは、ピストンロッド36の位置の下降として測定される。ロッド下降センサ112がピストン34の下降を監視し、初期ベースライン状態から測定されているロッドの下降が所定ポイントを超えた場合には、監視装置120が、問題を操作者に通知するアラームを送信する。ロッド下降センサ112は、例えば、線形可変差動トランスデューサ(LVDT)、他の変位センサ、又は圧力センサであってよく、ピストンロッド36の底部表面と対峙してロッド端部の重量変化を検出する。図示されるように、ロッド下降センサ112は、ブラケット又は他の好適な機構により、シリンダヘッドに取り付けられてよい。処理装置131は、ロッドが規定量を超えて下降した時点を特定して、操作者にアラートすることが可能である。
【0039】
図21を参照すると、クランクシャフトベアリング38も、固有の振動又は音響シグネチャを発生させる。
図22に示されるクランクベアリングセンサ114は、既述のように圧電センサ、マイクなどであってよく、振動信号を監視し、これを受信装置120に中継する。受信装置120は、ソフトウェアパッケージ130を動作させるプロセッサ131と、監視装置又は表示装置とを含んでよい。
図23及び
図24に示されるように、クランクシャフトベアリング音響信号142の変化が所定の振動を超えると、システムソフトウェア130においてアラーム状態がトリガされてよい。このような変化を早期に識別することにより、予防保守をスケジュールすることが可能になり、壊滅的な故障を回避することができる。
【0040】
システム100は又、圧縮機のシリンダ及びロッドパッキンの各個別潤滑箇所に注入される油の量を監視する。潤滑不足は、ロッドパッキン40、ピストンリング22、及びライダーバンド32の早期の摩耗又は故障の主な原因である。一方、潤滑過剰は、世界中の圧縮機操作者にとって、何十万ドルもの収入減に匹敵する。
【0041】
図25から
図27に示される、注入箇所(例えば、ロッドパッキン40用の注入箇所)に取り付けられた潤滑流量センサ116(例えば、ベンチュリベースの差圧流量センサ)が、注入される油の正確な量を監視する。潤滑流量が変化して所定の流量を上回るか下回ると、アラーム状態がトリガされてよく、
図28に示される黄色のアラームは、潤滑流量のわずかな減少を示し、
図29に示される赤色のアラームは、故障を示す。もちろん、他の視覚的又は聴覚的な通知形式も可能である。各注入箇所を監視することが可能である為、各装置に、個別に故障を示すフラグを立てることが可能である。
【0042】
図30に示されるように、「ポンプツーポイント」システムにおける潤滑ポンプ160は、高圧環境下での長期使用、並びに油の汚れに起因して劣化し始める。ピストンが摩耗し始めると、耐性が低下して、油162がバイパスされてリザーバに戻り、結果としての注入箇所に対する潤滑の低減は、測定が困難である。その結果、シリンダリング及びロッドパッキンが故障し始める。この問題は、潤滑流量センサ116の使用によって軽減される。
図31に示されるように、ポンプ出力が劣化し始め、これが、センサ116によって検出される潤滑流量の減少によって示されると、このデータが、(例えば、受信装置120を介して)ソフトウェアパッケージ130を動作させているシステム処理装置131に中継され、特定のポンプが問題として識別される。圧縮機10に操作者が付いていない場合、監視システム100は、正常な潤滑を受けていない潤滑箇所を識別すると、ただちに圧縮機10をシャットダウンするか、操作者に対し、問題に対処するようにアラートすることが可能である。
【0043】
図32及び
図33を参照すると、デバイダブロック潤滑システム170が、高圧用途での長期間にわたる稼働、油の汚れ、又は不適切な保守の結果として、摩耗する。デバイダブロックピストン172が摩耗すると、油が低圧で潤滑箇所にバイパスされて、低圧の箇所が潤滑過剰になったり、高圧の箇所が潤滑不足になったりする可能性がある。潤滑流量センサ116は、潤滑流量を監視し、潤滑流量の減少を感知した場合には操作者にアラートする。
【0044】
潤滑不足及び潤滑過剰の問題は、潤滑ポンプの不適切な手動調節の結果である場合がしばしばある。システム100は又、
図34から
図37に示される自動ポンプ調節器180を含んでよく、自動ポンプ調節器180は、システム内を動く油の量を常時監視し、必要に応じてポンプの出力を自動的に調節する。自動ポンプ調節器の実施形態は、
図1Aから
図12Aを参照して既に説明されている。
【0045】
潤滑ポンプを自動的に調節する一例示的方法は、フィードバックシステムを含む。一実施形態では、潤滑流量センサ116は、潤滑流量を示す信号を処理装置(例えば、ソフトウェアパッケージ130を動作させている処理装置131)に送信する。処理装置131は、潤滑流量(又はその等価物)を取得又は計算し、これを閾値潤滑流量と比較する。閾値潤滑流量は、潤滑の増加が必要であるとシステムが判定するであろう低流量、及び、潤滑の減少が必要であるとシステムが判定するであろう高流量を含んでよい。処理装置は、処理装置131によって潤滑流量が許容レベル内であると判定されるまで、(故障により低流量の場合に)流量を増やすか、(故障により高流量の場合に)流量を減らす為のしかるべき信号を潤滑ポンプに送信することになる。状況によっては、流量は、故障発見時より高く、且つ/又は低く、上下する可能性がある。従って、低流量故障が検出された場合は、流量が単に低流量故障レベルより多いというだけでなく、流量増加停止レベルより多くなるまで、ポンプの動作量を(連続的又は段階的に)増やす流量増加制御信号が潤滑ポンプに供給されてよく、流量増加停止レベルは、(ヒステリシス曲線と同様に)故障レベルより高く設定されてよい。従って、潤滑ポンプは、流量が低流量レベルより多い所定値になるまで操作されることになる。同様に、高流量の場合は、流量が流量減少停止レベルより少なくなるまで、流量減少信号が潤滑ポンプに供給されてよく、流量減少停止レベルは、(これもヒステリシス曲線と同様に)高故障レベルより高く設定されてよい。これにより、ポンプの微調節が連続的には行われない可能性がある。いずれにしても、フィードバックの遅延の為に、適正な流量が確立されるまでは、ポンプが低流量になったり高流量になったりすることが高調波的に繰り返される可能性がある。
【0046】
圧縮機の速度変化に起因する、要求される潤滑流量の変化も、自動的に補償される。
図38に示されるように、ポンプ調節器は、正しい量の油を供給する為のポンプ流量の変更を十分に行うことができない場合、ポンプ調節器は、圧縮機のシャットダウンを開始する信号を監視装置120に送信する。
【0047】
以下では、同期ピストンリング潤滑システムについて説明する。同期ピストンリング潤滑システムは、上述の摩耗検出潤滑監視システムと併用されてよい。同期ピストンリング潤滑システムは又、スタンドアロンシステムとして構成されてもよい。密封ピストンリングの寿命を延ばす為に、往復圧縮機やエンジンのシリンダに潤滑油が投入される。従来のシステムでは、潤滑油の注入は、ピストンの運動との同期が行われず、360°サイクルのどの時点でも行うことができた。注油の頻度は、秒のオーダーであり、デバイダブロックシステムの場合は、典型的には、10〜30秒おきに行われる。往復圧縮機やエンジンは、典型的には、300rpmから1500rpmで運転される為、1サイクルの周期は、20ミリ秒から200ミリ秒のオーダーである。この注油頻度に対して、圧縮機もエンジンもサイクル時間が同程度に短いことから、従来のシステムは、実質的に非系統的な性質であると言える。従って、往復エンジンの場合、燃焼サイクル中に注油が行われる可能性があり、その結果、エンジンからのVOC(揮発性有機化合物)放散が高レベルになって、より多くの潤滑油が必要になる可能性がある。
【0048】
同期ピストンリング潤滑システムを使用すると、往復圧縮機の場合もエンジンの場合も潤滑油の量が低減される。又、往復エンジンの場合のVOC放散も低減される。このシステムは、これを、潤滑油の注入をピストンの運動と同期させることによって達成する。ピストンの位置特定は、米国特許第7,318,350号明細書に記載されているものと同様に行われる(この開示は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている)。代替として、又は追加で、クランクシャフトエンコーダ又は他の位置センサを使用して、ピストンの位置を特定又は導出してよい。
【0049】
ピストンのタイミング及び位置は、ピストンの回転タイミング、及び、ピストンがいつ完全伸展位置又は上死点(TDC)にあるかという情報から導出される。これにより、正確なピストン角度での注油が可能になる。本システムは、任意の時点におけるピストンの位置を把握しており、且つ、ピストン形状を認識していることから、ピストンリングが注入箇所を通過するときに注油を行うことが可能である。これは、ピストンがTDCにあった時点からのオフセット又は遅延によって実施可能である。
【0050】
図39は、同期ピストン潤滑システム210の一例示的構成を示す。システム210は、潤滑ポンプ216を含み、潤滑ポンプ216は複数のソレノイド弁220に高圧油を供給する。各弁220は、圧縮機214及び制御装置212によって、電気的接続222を介してアクチュエートされる。各弁220は、上述のピストンの位置及びタイミングに従って活性化される。この場合、各ソレノイド弁220は、ポンプに直接つながっている。
図39は、同様の同期ピストン潤滑システム310を示す。システム310は、潤滑ポンプ316を含み、潤滑ポンプ316は複数のソレノイド弁320に高圧油を供給する。各弁320は、圧縮機314及び制御装置312によって、電気的接続322を介してアクチュエートされる。しかしながら、この場合、ソレノイド弁320は、潤滑ポンプ316から出ている単一圧力線318から供給を受ける。両構成ともまずまずのものであるが、システム310の場合は、用途によっては、より少ない配管でシステムを実装することが可能である。
【0051】
図41は、本発明のシステム及び方法を実施することに適したコンピュータシステム1010のブロック図である。コンピュータシステム1010は、コンピュータシステム1010の主要サブシステム同士を相互接続するバス1012を含み、主要サブシステムは、例えば、中央処理装置1014、システムメモリ1017(典型的にはRAMであるが、ROM、フラッシュRAMなども含んでよい)、入出力制御装置1018、外部オーディオ装置(例えば、オーディオ出力インタフェース1022を介するスピーカシステム1020)、外部装置(例えば、ディスプレイアダプタ1026を介するディスプレイ画面1024)、シリアルポート1028及び1030、(キーボード制御装置1033とインタフェースされる)キーボード1032、(USB制御装置1090とインタフェースされる)複数のUSB装置1092、記憶装置インタフェース1034、フロッピーディスク1038を受けるように作用するフロッピーディスクドライブ1037、ファイバチャネルネットワーク1090と接続するように作用するホストバスアダプタ(HBA)インタフェースカード1035A、SCSIバス1039と接続するように作用するホストバスアダプタ(HBA)インタフェースカード1035B、光ディスク1042を受けるように作用する光ディスクドライブ1040などである。更に、(シリアルポート1028を介してバス1012と結合された)マウス1046(又は他のポイントアンドクリックデバイス)、(シリアルポート1030を介してバス1012と結合された)モデム1047、(バス1012と直接結合された)ネットワークインタフェース1048などが含まれる。
【0052】
バス1012により、中央処理装置1014とシステムメモリ1017との間のデータ通信が可能になる。システムメモリ1017は、前述されたように、読み出し専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリ(いずれも図示せず)、及びランダムアクセスメモリ(RAM)(図示せず)を含んでよい。RAMは、一般に、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムがロードされるメインメモリである。ROM又はフラッシュメモリは、他のコードのうちでも特に、周辺コンポーネントや周辺機器とのインタラクションなどの基本的なハードウェア動作を制御する基本入出力システム(BIOS)を収容することが可能である。例えば、本発明のシステム及び方法を実施するギフティングモジュール104は、システムメモリ1017内に記憶されてよい。コンピュータシステム1010にあるアプリケーションは、一般には、ハードディスクドライブ(例えば、固定ディスク1044)、光ドライブ(例えば、光ドライブ1040)、フロッピーディスク装置1037、又は他の記憶媒体のようなコンピュータ可読媒体に記憶され、そこからアクセスされる。更に、アプリケーションは、ネットワークモデム1047又はネットワークインタフェース1048を介してアクセスされた場合にアプリケーション及びデータ通信技術に従って変調される電子信号の形態であることが可能である。
【0053】
記憶装置インタフェース1034は、コンピュータシステム1010の他の記憶装置インタフェースと同様に、情報の記憶及び/又は取り出しの為の標準的なコンピュータ可読媒体(例えば、固定ディスクドライブ1044)に接続可能である。固定ディスクドライブ1044は、コンピュータシステム1010の一部であってよく、或いは、独立していて、他のインタフェースシステムを通してアクセスされてもよい。モデム1047は、電話リンクを介してのリモートサーバとの直接接続、又は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を介してのインターネットとの直接接続を提供することが可能である。ネットワークインタフェース1048は、POP(ポイントオブプレゼンス)を介してのインターネットへの直接ネットワークリンクによる、リモートサーバとの直接接続を提供することが可能である。ネットワークインタフェース1048は、そのような接続を提供する為に、デジタルセルラ電話接続、セルラデジタルパケットデータ(CDPD)接続、デジタル衛星データ接続などの無線技術を用いてよい。
【0054】
他の様々な機器又はサブシステム(図示せず)(例えば、ドキュメントスキャナ、デジタルカメラなど)も、同様に接続されてよい。逆に、本発明のシステム及び方法を実施する上で、
図41に示された機器が全て存在しなければならないわけではない。これらの機器及びサブシステムは、
図41に示されたものとは異なる形式で相互接続されてよい。
図41に示されたようなコンピュータシステムの動作は、当該技術分野においては周知である為、本出願での詳細な説明は行わない。本開示を実施するコードは、コンピュータ可読媒体に記憶可能であり、例えば、システムメモリ1017、固定ディスク1044、光ディスク1042、又はフロッピーディスク1038のうちの1つ以上に記憶可能である。コンピュータシステム1010に与えられるオペレーティングシステムは、MS−DOS(登録商標)、MS−WINDOWS(登録商標)、OS/2(登録商標)、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)、又は別の既知のオペレーティングシステムであってよい。
【0055】
図42は、ネットワークアーキテクチャ1100を示すブロック図であり、ここでは、クライアントシステム1110、1120、及び1130、並びに、記憶サーバ1140A及び1140B(これらはいずれも、コンピュータシステム1110を使用して実施されてよい)が、ネットワーク1150と結合されている。一実施形態では、本発明のシステム及び方法を実施する為に、ギフティングモジュール104をサーバ1140A、1140B内に配置してよい。記憶サーバ1140Aは更に、記憶装置1160A(1)−(N)が直接接続されているように示されており、記憶サーバ1140Bは、記憶装置1160B(1)−(N)が直接接続されているように示されている。SANファブリック1170は、記憶サーバ1140A及び1140Bから(従って、ネットワーク1150経由でクライアントシステム1110、1120、及び1130から)記憶装置1180(1)−(N)へのアクセスをサポートしている。SANファブリック1170経由でアクセス可能な特定の記憶装置の一例として、インテリジェント記憶装置アレイ1190も示されている。
【0056】
コンピュータシステム1010を参照すると、モデム1047、ネットワークインタフェース1048、又は他の何らかの方法を用いて、クライアントコンピュータシステム1110、1120、及び1130のそれぞれからネットワーク1150への接続性を提供することが可能である。クライアントシステム1110、1120、及び1130は、例えば、ウェブブラウザなどのクライアントソフトウェア(図示せず)を使用して、記憶サーバ1140A又は1140Bにある情報にアクセスすることが可能である。そのようなクライアントは、クライアントシステム1110、1120、及び1130が、記憶サーバ1140A又は1140B、或いは、記憶装置1160A(1)−(N)、1160B(1)−(N)、1180(1)−(N)のいずれか、或いは、インテリジェント記憶装置アレイ1190によってホストされているデータにアクセスすることを可能にする。
図42は、データ交換の為にインターネットのようなネットワークを使用することを示しているが、本発明のシステム及び方法は、インターネットに限定されず、いかなる特定のネットワークベースの環境にも限定されない。
【0057】
ここまでの開示では、特定のブロック図、フローチャート、及び実施例を用いて様々な実施形態を説明してきたが、本明細書に記載及び/又は図示された、ブロック図の各コンポーネント、フローチャートの各ステップ、各操作、及び/又は、各コンポーネントは、広い範囲のハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェア(又はこれらの任意の組み合わせ)の構成を用いて、個別に、且つ/又は、一括して実施されてよい。更に、他のコンポーネントに収容されるコンポーネントのいかなる開示も、性質上、例示的なものであると考えられたい。これは、他の多くのアーキテクチャを実施しても同じ機能性を達成することが可能だからである。
【0058】
本明細書において記載及び/又は図示されたプロセスパラメータ及びステップのシーケンスは、例として与えられているに過ぎず、必要に応じて変更されてよい。例えば、本明細書において図示及び/又は記載された複数のステップが特定の順序で図示又は説明されている場合があるが、これらのステップは、必ずしも、図示又は説明された順序で実行されなくてもよい。本明細書において記載及び/又は図示された各種の例示的方法は又、本明細書において記載及び/又は図示されたステップのうちの1つ以上を省略してよく、或いは、開示されたステップに新たなステップが追加されてもよい。
【0059】
当業者であれば理解されるように、情報や信号は、様々な技術や技法のうちのいずれを用いて表現されてもよい。例えば、上述の説明全体において参照される場合があるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場又は磁性粒子、光場又は光学粒子、又はこれらの任意の組み合わせで表現されてよい。
【0060】
当業者であれば更に理解されるように、本明細書に開示の実施形態に関連して記載された各種の例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実施されてよい。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に示す為に、各種の例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及びステップについて、ここまで主にそれぞれの機能性の観点から説明されてきた。そのような機能性がハードウェアとして実施されるかソフトウェアとして実施されるかは、個々の用途、並びにシステム全体に課せられた設計制約に依存する。当業者であれば、説明された機能性を、個々の用途に応じた様々な様式で実施されるであろうが、そのような実施判断は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されてはならない。
【0061】
本明細書に開示の実施形態と関連して記載された各種の例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート(又はトランジスタ)ロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は、本明細書に記載の機能を実行するように設計された、これらの任意の組み合わせとともに、実装又は実行されてよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、代替として、任意の従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械であってよい。プロセッサは又、コンピューティング装置の組み合わせとして実施されてよく、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、1つ以上のマイクロプロセッサにDSPコアを組み合わせたもの、又は他の任意のそのような構成として実施されてよい。
【0062】
本明細書に開示の実施形態と関連して記載された方法又はアルゴリズムの各ステップは、ハードウェアの形で直接的に実施されてよく、或いは、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールの形で実施されてもよく、或いはこれらの組み合わせの形で実施されてもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、又は他の任意の形式の、当該技術分野において周知の記憶媒体に存在してよい。一例として、記憶媒体は、プロセッサと結合され、プロセッサは、この記憶媒体から情報を読み出したり、この記憶媒体に情報を書き込んだりすることが可能である。代替として、記憶媒体は、プロセッサと一体であってよい。このプロセッサと記憶媒体は、ASIC内に存在してよい。ASICは、ユーザ端末内に存在してよい。代替として、プロセッサと記憶媒体は、ディスクリート部品として、ユーザ端末内に存在してよい。
【0063】
本開示の実施形態のここまでの説明は、当業者であれば本発明を作成又は使用することが可能になるように提供されている。これらの実施形態に対する各種の修正は、当業者には自明であろう。又、本明細書において定義されている一般原理は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されることが可能である。従って、本発明は、本明細書において示された実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示の原理及び新規な特徴と整合する最も広い範囲に従うものとする。
【0064】
以上、潤滑ポンプ調節器及び摩耗検出潤滑監視システムについて、例示的実施形態を対象として、ある程度具体的に説明した。しかしながら、本発明は、本明細書に含まれる発明概念から逸脱することなく例示的実施形態に対して修正又は変更を行うことが可能であるように、先行技術を踏まえて解釈される、以下の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。
(付記)
付記1の潤滑ポンプ調節器は、ポンプ本体に収容されたピストンと、前記ピストンに接続されたロッカーとを有する潤滑ポンプとともに使用される潤滑ポンプ調節器であって、前記ポンプ本体に取り付け可能な取り付け用フィッティングと、前記取り付け用フィッティング上に配置されたハウジングと、前記ハウジング内に配置されて、前記ロッカーに接続可能なアクチュエータであって、前記アクチュエータの起動によって前記ロッカーが動いて前記ピストンのストロークが調節される、前記アクチュエータと、を備える。
付記2の潤滑ポンプ調節器は、付記1に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記アクチュエータは、出力シャフトを有する回転アクチュエータである。
付記3の潤滑ポンプ調節器は、付記2に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記出力シャフトに取り付けられたカム面部材と、前記カム面部材と接触していて前記ロッカーに接続可能なプランジャと、を更に備える。
付記4の潤滑ポンプ調節器は、付記3に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記カム面部材は、らせん傾斜面を含む。
付記5の潤滑ポンプ調節器は、付記3に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記カム面部材は、その周辺部のまわりに配置された複数の歯を含む。
付記6の潤滑ポンプ調節器は、付記5に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記歯と係合するように作用するラッチ機構を更に備える。
付記7の潤滑ポンプ調節器は、付記2に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記出力シャフトに接続されたねじ山付きシャフトと、前記ねじ山付きシャフト上にねじ留めされたドライバブロックとを更に備え、前記ドライバブロックは、前記アクチュエータが起動されたときに、前記ロッカーに接続可能なプランジャを動かす。
付記8の潤滑ポンプ調節器は、付記7に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記ねじ山付きシャフトはアクメねじである。
付記9の潤滑ポンプ調節器は、付記8に記載の潤滑ポンプ調節器において、複数の支柱を更に備え、前記ドライバブロックは、前記ドライバブロックが高さ方向にガイドされるように、前記支柱を受けるように構成された複数の支持開口部を含む。
付記10の潤滑ポンプ調節器は、ポンプ本体に収容されたピストンと、前記ピストンに接続されたロッカーとを有する潤滑ポンプとともに使用される潤滑ポンプ調節器であって、前記ポンプ本体に取り付け可能な取り付け用フィッティングと、前記取り付け用フィッティング上に配置されたハウジングと、前記ハウジング内に配置された出力シャフトを有する回転アクチュエータと、前記出力シャフトに取り付けられたらせん傾斜面を含むカム面部材と、前記らせん傾斜面と接触していて前記ロッカーに接続可能なプランジャであって、前記アクチュエータの起動によって前記ロッカーが動いて前記ピストンのストロークが調節される、前記プランジャと、を備える。
付記11の潤滑ポンプ調節器は、付記10に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記カム面部材は、その周辺部のまわりに配置された複数の歯を含む。
付記12の潤滑ポンプ調節器は、付記11に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記歯と係合するように作用するラッチ機構を更に備える。
付記13の潤滑ポンプ調節器は、ポンプ本体に収容されたピストンと、前記ピストンに接続されたロッカーとを有する潤滑ポンプとともに使用される潤滑ポンプ調節器であって、前記ポンプ本体に取り付け可能な取り付け用フィッティングと、前記取り付け用フィッティング上に配置されたハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた第1及び第2の取り付け板と、前記第1の取り付け板に取り付けられた出力シャフトを有する回転アクチュエータと、前記出力シャフトに接続されたねじ山付きシャフトと、前記第1及び第2の取り付け板の間に配置されて、前記ねじ山付きシャフト上にねじ留めされたドライバブロックであって、前記アクチュエータが起動されると、前記ロッカーに接続可能なプランジャを前記ドライバブロックが動かして前記ピストンのストロークが調節される、前記ドライバブロックと、を備える。
付記14の潤滑ポンプ調節器は、付記13に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記ねじ山付きシャフトはアクメねじである。
付記15の潤滑ポンプ調節器は、付記13に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記第1及び第2の取り付け板の間に延びる複数の支柱を更に備え、前記ドライバブロックは、前記ドライバブロックが高さ方向にガイドされるように、前記支柱を受けるように構成された複数の支持開口部を含む。
付記16の潤滑ポンプ調節器は、ポンプ本体と、前記ポンプ本体に収容されたピストンと、前記ポンプ本体に取り付けられて、前記ピストンに接続されているロッカーと、ポンプ調節器と、を備え、前記ポンプ調節器は、前記ポンプ本体に取り付けられた取り付け用フィッティングと、前記取り付け用フィッティング上に配置されたハウジングと、前記ハウジング内に配置されて、前記ロッカーに接続されたアクチュエータであって、前記アクチュエータの起動によって前記ロッカーが動いて前記ピストンのストロークが調節される、前記アクチュエータと、を含む。
付記17の潤滑ポンプ調節器は、付記16に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記アクチュエータは、出力シャフトを有する回転アクチュエータである。
付記18の潤滑ポンプ調節器は、付記17に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記出力シャフトに取り付けられたカム面部材と、前記カム面部材と接触していて前記ロッカーに接続されているプランジャと、を更に備える。
付記19の潤滑ポンプ調節器は、付記18に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記カム面部材は、らせん傾斜面を含む。
付記20の潤滑ポンプ調節器は、付記18に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記カム面部材は、その周辺部のまわりに配置された複数の歯を含む。
付記21の潤滑ポンプ調節器は、付記20に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記歯と係合するように作用するラッチ機構を更に備える。
付記22の潤滑ポンプ調節器は、付記17に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記出力シャフトに接続されたねじ山付きシャフトと、前記ねじ山付きシャフト上にねじ留めされたドライバブロックとを更に備え、前記ドライバブロックは、前記アクチュエータが起動されたときに、前記ロッカーに接続されたプランジャを動かす。
付記23の潤滑ポンプ調節器は、付記22に記載の潤滑ポンプ調節器において、前記ねじ山付きシャフトはアクメねじである。
付記24の潤滑ポンプ調節器は、付記23に記載の潤滑ポンプ調節器において、複数の支柱を更に備え、前記ドライバブロックは、前記ドライバブロックが高さ方向にガイドされるように、前記支柱を受けるように構成された複数の支持開口部を含む。
付記25の方法は、ポンプ本体に収容されたピストンと、前記ピストンに接続されたロッカーとを有する潤滑ポンプの出力を自動的に調節する方法であって、前記ロッカーにアクチュエータを作用的に接続して、前記アクチュエータの起動によって前記ピストンのストロークが調節されるようにするステップと、前記潤滑ポンプの出力を監視するステップと、前記潤滑ポンプの出力の変化に応じて前記アクチュエータを起動させるステップと、を含む。
付記26の方法は、付記25に記載の方法において、前記アクチュエータでカム面部材を回転させるステップを更に含む。
付記27の方法は、付記26に記載の方法において、前記カム面部材と前記ロッカーとの間に配置されたプランジャを押すステップを更に含む。
付記28の方法は、付記25に記載の方法において、ドライバブロックがその上にねじ留めされているねじ山付きシャフトを回転させるステップを更に含む。
付記29の方法は、付記28に記載の方法において、前記ドライバブロックと前記ロッカーとの間に配置されたプランジャを押すステップを更に含む。