(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076340
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】レリーズ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 23/14 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
F16D23/14 J
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-519418(P2014-519418)
(86)(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公表番号】特表2014-521031(P2014-521031A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】DE2012000636
(87)【国際公開番号】WO2013007231
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】102011107070.6
(32)【優先日】2011年7月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ボスニャック
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン クラートフ
【審査官】
佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−341462(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0094845(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0048887(US,A1)
【文献】
特表2008−519214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 11/00 − 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦クラッチに用いられるレリーズ装置(100)であって、
該レリーズ装置(100)が、摩擦クラッチを軸方向で操作するためのアクチュエータ(120,125)を有しており、
該アクチュエータ(120,125)が、流体によってハイドロリック的に操作されるように調整されており、
レリーズ装置(100)が、アクチュエータ(120,125)を釣鐘状のクラッチケース(105)に支持するための少なくとも1つの支持エレメント(115)を有しており、該支持エレメント(115)が、一体の固定点(135)を備えている、摩擦クラッチに用いられるレリーズ装置において、
支持エレメント(115)が、レリーズ装置(100)のハウジングと一体に形成されており、
支持エレメント(115)が、釣鐘状のクラッチケース(105)に当て付けるための軸方向の当付け面(140)を有しており、
前記支持エレメント(115)の内部を延びる第1の通路(405)と、前記クラッチケース(105)の内部を延びる第2の通路(420)と、前記第1の通路(405)及び前記第2の通路(420)の内側の領域で互いに向かい合って位置する端部の間に設けられたシール部材と、から形成される接続部(150)を、前記軸方向の当付け面(140)とは異なる位置に有しており、
前記軸方向の当付け面(140)が釣鐘状のクラッチケース(105)に接触している場合に、前記軸方向の当付け面(140)及び前記接続部(150)とは異なる位置にある固定点(135)が軸方向でそれぞれ釣鐘状のクラッチケース(105)から、予め規定されたギャップ(220)によって分離されているように、支持エレメント(115)が成形されており、軸方向の複数の接続部(150)を流体密に接続するために、固定点(135)を釣鐘状のクラッチケース(105)に接近させることによって、支持エレメント(115)に軸方向で予荷重が加えられるようになっていることを特徴とする、摩擦クラッチに用いられるレリーズ装置。
【請求項2】
摩擦クラッチの回転軸線(110)に対する固定点(135)の半径方向の間隔が、摩擦クラッチの半径方向の輪郭よりも外側に位置している、請求項1記載のレリーズ装置。
【請求項3】
レリーズ装置(100)が、別の摩擦クラッチを他方の前記摩擦クラッチと別個に切り離すように調整されており、支持エレメント(115)が、流体のための軸方向の別の接続部(150)を有している、請求項1又は2記載のレリーズ装置。
【請求項4】
固定点(135)を釣鐘状のクラッチケース(105)に結合するための軸方向のばねエレメントが設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
【請求項5】
支持エレメント(115)が、接続部(150)を収容するためのハイドロリック接続エレメント(605)と、該ハイドロリック接続エレメント(605)に固定された、釣鐘状のクラッチケース(105)に取り付けるためのほぼディスク状の結合エレメント(620)とを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
【請求項6】
支持エレメント(115)の一義的な回転組付け位置を確保するための嵌合装置(610,615)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
【請求項7】
回転軸線(110)を基準とした固定点(135)の間の2つの隣り合った角度が、互いに異なっている、請求項1から6までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
【請求項8】
釣鐘状のクラッチケース(105)に対するレリーズ装置(100)のセンタリングを確保するために、支持エレメント(115)が、回転軸線(110)の領域に、釣鐘状のクラッチケース(105)に当て付けるための半径方向の当付け面(145)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のレリーズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レリーズ装置に関する。特に本発明は、摩擦クラッチを軸方向で操作するためのレリーズ装置に関する。
【0002】
自動車の原動機と手動変速機との間には、摩擦クラッチ、たとえば油浴内で作動させられる多板クラッチが使用される。この摩擦クラッチは多数の鋼製摩擦薄板を有している。それぞれ一種類の複数の薄板が、トルクを伝達することができるように原動機の出力軸もしくは手動変速機の入力軸に結合されている。薄板は、軸方向で交互に配置されていて、ばね力によって互いに押し付けられ、これによって、トルクを伝達することができるように原動機の出力軸を手動変速機の入力軸に結合する摩擦接続が形成される。多板クラッチを切り離すためには、ばねの力方向と逆方向にレリーズベアリングが操作され、これによって、薄板の間の摩擦接続が解消され、出力軸と入力軸との間のトルクフローが遮断される。
【0003】
レリーズベアリングを軸方向で操作するために、レリーズ装置の種々異なる構成形態が公知である。1つの構成形態では、原動機の出力軸を中心として環状に配置されたハイドロリックアクチュエータが使用される。これに相応して、ツインクラッチを備えた手動変速機内には、2つの多板クラッチが組み込まれている。両多板クラッチは、原動機の出力軸を中心として同心的に配置されたハイドロリック式のレリーズ装置によって互いに別個に操作することができる。
【0004】
摩擦クラッチに用いられるレリーズ装置には、現代の変速機に使用するために、狭められた空間状況下での組付け能を改善するという要求が課せられている。
【0005】
この課題を本発明は、請求項1の特徴を備えたレリーズ装置によって解決している。従属請求項には、好適な態様が記載してある。
【0006】
発明の開示
摩擦クラッチに用いられる本発明に係るレリーズ装置は、摩擦クラッチを軸方向で操作するためのアクチュエータを有している。このアクチュエータは、流体によってハイドロリック的に操作されるように調整されている。レリーズ装置は、さらに、アクチュエータを釣鐘状のクラッチケースに支持するための支持エレメントを有しており、この支持エレメントは、一体の固定点を備えている。本発明では、支持エレメントに、ハイドロリック流体のための軸方向の接続部を設けることができる。本発明の範囲内では、支持エレメントをレリーズ装置のハウジングと一体に形成する可能性も得られる。したがって、このような態様では、ハウジングが支持ハウジングを形成している。
【0007】
したがって、支持エレメントは、釣鐘状のクラッチケースへのレリーズ装置の支持と同時に流体の案内の役割を引き受けることができる。これによって、レリーズ装置をより簡単にかつより廉価に製造することができる。支持エレメントの固定は、別個の組付け構成部材、たとえば締付け爪を不要にすることができる。軸方向のハイドロリック接続部と、クラッチケースに設けられた対応するハイドロリック接続部との間の流体接続部は、クラッチケースへのレリーズ装置の組付けの間に自動的に形成することができる。
【0008】
摩擦クラッチの回転軸線に対する固定点の半径方向の間隔は、摩擦クラッチの半径方向の輪郭よりも外側に位置していてよい。これによって、摩擦クラッチが軸方向ですでにレリーズ装置に装着されている場合に、釣鐘状のクラッチケース内への組付けが可能となる。こうして、レリーズ装置を摩擦クラッチと一緒に別個に取扱い可能なユニットとして組み付けることができ、場合により、摩擦クラッチと一体に形成することができる。レリーズ装置のこのような配置形態は、「カバーマウント型」とも呼ばれる。
【0009】
好適な態様では、レリーズ装置が、さらに、別の摩擦クラッチを他方の摩擦クラッチと別個に切り離すように調整されており、支持エレメントが、流体のための軸方向の別の接続部を有している。
【0010】
好適な態様では、支持エレメントが、回転軸線の領域に、釣鐘状のクラッチケースに当て付けるための軸方向の当付け面を有しており、この当付け面がクラッチケースに接触している場合に、固定点が軸方向でそれぞれクラッチケースから、予め規定されたギャップによって分離されているように、支持エレメントが成形されており、軸方向の複数の接続部を流体密に接続するために、固定点をクラッチケースに接近させることによって、支持エレメントに軸方向で予荷重を加えることができる。
【0011】
軸方向の接続部の領域で支持エレメントに予荷重を加えることによって、両摩擦クラッチのうちの一方を切り離すための流体が圧力下にあり、これによって、ハイドロリック圧が支持エレメントを軸方向で釣鐘状のクラッチケースから遠ざけようとする場合にも、接続部が流体密であることを確保することができる。
【0012】
好適な態様では、固定点を釣鐘状のクラッチケースに結合するための軸方向のばねエレメントが設けられている。このばねエレメントは、支持エレメントに加えられる予め規定された予荷重が維持されるかもしくは上回られないことを確保するように調整されている。
【0013】
1つの態様では、支持エレメントが一体に形成されていて、接続部だけでなく、固定点もしくは固定点への結合エレメントも有している。別の態様では、支持エレメントが、接続部を収容するためのハイドロリック接続エレメントと、このハイドロリック接続エレメントに固定された、釣鐘状のクラッチケースに取り付けるためのほぼディスク状の結合エレメントとを有している。
【0014】
ディスク状の結合エレメントは、たとえば金属薄板から廉価に製造することができる。接続エレメントは、軽金属または鋼から成形することができる。固定点は、接続エレメントだけでなく、結合エレメントにも設けることができ、これによって、接続エレメントをコンパクトにかつ材料節約的に形成することができるのに対して、結合エレメントは薄弱に寸法設定されていてよい。なぜならば、接続エレメントの固定力が全て結合エレメントによって導かれていないからである。したがって、製造コストを低下させることができる。
【0015】
別個の結合エレメントによって、レリーズ装置の構成スペースおよび/または重量を減少させることができる。さらに、レリーズ装置の製造時の節約を達成することができる。
【0016】
1つの態様では、支持エレメントの一義的な回転組付け位置を確保するための嵌合装置が設けられている。これによって、複数のハイドロリック接続部のうちの1つの誤った対応配置もしくは閉塞を阻止することができる。
【0017】
回転軸線を基準とした固定点の間の互いに隣り合った角度は、互いに異なっていてよい。これによって、同じく支持エレメントもしくは結合エレメントの回転組付け位置を確保することができる。
【0018】
好ましくは、釣鐘状のクラッチケースに対するレリーズ装置のセンタリングを確保するために、支持エレメントが、回転軸線の領域に、クラッチケースに当て付けるための半径方向の当付け面を有している。これによって、レリーズ装置の組付け位置を十分に予め規定することができるので、組付け遊びを減少させることができ、誤った組付け位置を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1に示したレリーズ装置の領域Aの詳細図である。
【
図3】
図1に示したレリーズ装置の領域Bの詳細図である。
【
図4】
図1に示したレリーズ装置の領域Cの詳細図である。
【
図5】
図1〜
図4に示したレリーズ装置の支持エレメントの斜視図である。
【
図6】別の実施の形態に係るレリーズ装置の支持エレメントの斜視図である。
【0020】
図面の詳細な説明
本発明を以下に添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1には、レリーズ装置100の縦断面図が示してある。このレリーズ装置100は、釣鐘状のクラッチケース105内に組み付けられた状態で図示してある。レリーズ装置100の左方には、このレリーズ装置100により互いに別個に軸方向で操作することができるかもしくは切り離すことができる2つの摩擦クラッチ(図示せず)、特に油浴内で作動させられる多板クラッチが続いている。
【0022】
「釣鐘状のクラッチケース105」とは、自動車を駆動するための原動機、特に内燃機関のハウジングに設けられた槽状の凹部である。内燃機関は、
図1の右方に延びている。内燃機関の出力軸(図示せず)は、内燃機関の側から左方にレリーズ装置100を貫いて多板クラッチに延びている。この多板クラッチと、出力軸と、レリーズ装置100の部材とは、回転軸線110を中心として回転可能に配置されている。
【0023】
レリーズ装置100は、このレリーズ装置100のハウジングと一体に形成された支持エレメント115と、第1のハイドロリックアクチュエータ120と、第2のハイドロリックアクチュエータ125と、クラッチ支持体130とを有している。支持エレメント115は、好ましくは軽金属鋳造部材から製造されている。支持エレメント115は複数の固定点135を有している。これらの固定点135のうち、領域Aにおける1つの固定点135が、
図2により詳細に示してある。支持エレメント115は、さらに、軸方向の当付け面140と、
図3により詳しく示した領域Bにおける半径方向の当付け面145と、
図4により詳細に示した領域Cにおけるハイドロリック接続部150とを有している。固定点135は回転軸線110を基準として、クラッチ支持体130の半径を上回る距離を置いて位置しており、これによって、クラッチ支持体130がすでに支持エレメント115に固定されている場合に、レリーズ装置100がクラッチケース105に組付け可能となる。
【0024】
両ハイドロリックアクチュエータ120,125は、回転軸線110を中心として同心的に配置されている。各ハイドロリックアクチュエータ120,125は、それぞれ対応したハイドロリック供給管路内でハイドロリック圧が増加させられた場合に、釣鐘状のクラッチケース105に対して左方に作用する力を加えるように調整されている。各ハイドロリックアクチュエータ120,125の力は、それぞれ対応配置された多板クラッチのばね力に抗して作用する。このばね力は、各クラッチに軸方向で荷重を加えていて、ひいては、摩擦接続を形成している。一方のアクチュエータ120,125が操作されると、ばね荷重が解消されるかもしくは薄板または摩擦板が軸方向で互いに離反させられ、これによって、摩擦接続が解消されている。
【0025】
クラッチ支持体130は、一方または両方の多板クラッチに対する受け体を形成するように調整されている。たとえば、一方の多板クラッチを軸方向で押し合わせる引張りばねが、その右側の端部でクラッチ支持体130に結合されていてよい。このクラッチ支持体130は、転動体軸受け155、好ましくはマグネト玉軸受けによって支持エレメント115に回転可能に取り付けられている。
【0026】
図2には、
図1に記入した領域Aにおけるレリーズ装置100の詳細図が示してある。図示の詳細図には、釣鐘状のクラッチケース105への上側の固定点135の固定形態が示してある。
【0027】
固定点135は、支持エレメント115の末端部の当付け面205と、この当付け面205を貫いて延びるねじ(図示せず)を収容するための孔210とによって形成されている。支持エレメント115の当付け面205は、釣鐘状のクラッチケース105の当付け面215に当て付けられるように調整されている。しかし、支持エレメント115は、すでに回転軸線110の領域において軸方向でクラッチケース105に接触し、その後、両当付け面205,215が互いに当て付けられるように成形されている。したがって、最初、両当付け面205,215の間にはギャップ220が存在している。ねじを孔210を通して右向きにクラッチケース105内にねじ込むことによって、支持エレメント115の当付け面205とクラッチケース105の当付け面215とを軸方向で互いに接近させることができる。その際、支持エレメント115に軸方向で予荷重が加えられる。
【0028】
図3には、
図1に示した領域Bにおけるレリーズ装置100の別の詳細図が示してある。この詳細図には、回転軸線110の領域における支持エレメント115と釣鐘状のクラッチケース105との間の当付け面が示してある。
【0029】
支持エレメント115の軸方向の当付け面140は、釣鐘状のクラッチケース105の軸方向の当付け面305に接触している。この当付けは、右方への支持エレメント115の更なる運動を阻止している。これによって、支持エレメント115に応力がかけられていない限り、すなわち、支持エレメント115が固定点135の領域において右向きに支承されていない限り、
図2に示したギャップ220が存在している。
【0030】
支持エレメント115の半径方向の当付け面145は、クラッチケース105の半径方向の当付け面310に当て付けられている。両当付け面145,310は回転軸線110を中心として全周にわたって延びており、これによって、レリーズ装置100がクラッチケース105に対して回転軸線110を中心としてセンタリングされている。
【0031】
図4には、さらに、
図1に示した領域Cにおけるレリーズ装置100の別の詳細図が示してある。この詳細図には、レリーズ装置100のハイドロリック接続部150が示してある。
【0032】
このハイドロリック接続部150は、両ハイドロリックアクチュエータ120,125の一方に対応配置されている。支持エレメント115の内部には、回転軸線110に対して平行な方向に第1の通路405が延びている。支持エレメント115の内部の、完全には見ることができない別の通路が、第1の通路405を一方のアクチュエータ120,125のシリンダ410に接続している。このシリンダ410は回転軸線110を中心として環状にもしくは円環体状に成形加工されている。対応する中空円筒状のピストン415が左方に可動にシリンダ410内に収容されていて、このシリンダ410を左方で流体密に閉鎖している。
【0033】
第1の通路405に向かい合って軸方向で整合して、釣鐘状のクラッチケース105の内部に延びる第2の通路420が位置している。両通路405,420の互いに向かい合って位置する端部は、それぞれ円錐形に拡張されている。選択的には、両通路405,420の円錐形の拡張部の内側の領域で互いに向かい合って位置する端部の間に、弾性的なシール部材(図示せず)、たとえばOリングが設けられている。これによって、各アクチュエータ120,125のピストン410と、クラッチケース105の第2の通路420との間に流体密な接続部が形成される。第2の通路420は、特にアクチュエータ120,125によって操作することができるクラッチに結合された変速機における走行段を選択するように調整されたハイドロリック制御装置に接続されていてよい。
【0034】
第2の通路420内の流体圧が増加させられると、支持エレメント115を釣鐘状のクラッチケース105から左方に遠ざけようとする力が生じる。しかし、この力は、固定点135で支持エレメント115に予荷重が加えられることによって、接続部150の領域にシール性が確保されるように支持される。
【0035】
図5には、
図1〜
図4に示したレリーズ装置100の支持エレメント115の斜視図が示してある。左図には、釣鐘状のクラッチケース105に向けられた側の表面が示してあるのに対して、右図には、支持エレメント115の、釣鐘状のクラッチケース105と反対の側の面が示してある。支持エレメント115の、回転軸線110(図示せず)を中心としたハブ領域には、シリンダ410を形成するための環状の凹部と、当付け面140,145とが成形加工されている。ハブ付近の領域から、固定点135に半径方向の複数の延長部505が延びている。これらの延長部505の1つはハイドロリック接続部150を有している。固定点135は全周に均等に分配されていない。つまり、回転軸線110を基準とした互いに隣り合った固定点135の間の角度が等しく設定されていない。これによって、クラッチケース105に対して、回転軸線110を基準とした支持エレメント115の回転組付け位置が規定されている。
【0036】
図6には、別の実施の形態に係るレリーズ装置100の支持エレメント115の斜視図が示してある。左側の領域には、支持エレメント115の、釣鐘状のクラッチケース105に向けられた側の面が図示してあり、右側の領域には、支持エレメント115の、釣鐘状のクラッチケース105と反対の側の面が図示してある。
図5の構成と異なり、
図6に示した支持エレメント115は、互いに結合された2つのエレメントを有している。第1のエレメントは、延長部505を備えていない
図5の支持エレメント115にほぼ相当するハイドロリック接続エレメント605である。付加的に、1つの嵌合ピン610と、複数の別の嵌合ピンを収容するための孔615とが設けられており、これによって、ハイドロリック接続エレメント605の、回転に関して一義的な組付け位置が規定されている。
【0037】
図6に示した支持エレメント115は、第2のエレメントとして、接続エレメント605に、たとえばプレス嵌めによって結合された結合エレメント620を有している。この結合エレメント620は、ほぼディスク状に形成されていて、全周にわたって延びる1つ以上のエンボス加工部または溝を有しており、これによって、結合エレメント620の軸方向のばね特性が改善される。改善された図示のためには、左側の領域でも、右側の領域でも、結合エレメント620のそれぞれ一区分が切り取られて示してある。固定点135は、
図5に示した実施の形態よりも多くの個数で付与されていて、回転軸線110(図示せず)を中心として全周に均等に分配されていてよい。
【符号の説明】
【0038】
100 レリーズ装置
105 釣鐘状のクラッチケース
110 回転軸線
115 支持エレメント
120 第1のハイドロリックアクチュエータ
125 第2のハイドロリックアクチュエータ
130 クラッチ支持体
135 固定点
140 支持エレメントの軸方向の当付け面
145 支持エレメントの半径方向の当付け面
150 ハイドロリック接続部
155 マグネト玉軸受け
205 支持エレメントの軸方向の当付け面
210 孔
215 釣鐘状のクラッチケースの軸方向の当付け面
220 ギャップ
305 釣鐘状のクラッチケースの軸方向の当付け面
310 釣鐘状のクラッチケースの半径方向の当付け面
405 第1の通路
410 シリンダ
415 ピストン
420 第2の通路
505 延長部
605 ハイドロリック接続エレメント
610 嵌合ピン
615 孔
620 結合エレメント