特許第6076341号(P6076341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6076341減圧装置を有するインフレータブル物品修理・膨張キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076341
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】減圧装置を有するインフレータブル物品修理・膨張キット
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/00 20060101AFI20170130BHJP
   B29C 73/02 20060101ALI20170130BHJP
   B29C 73/24 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B60C23/00 E
   B60C23/00 D
   B29C73/02
   B29C73/24
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-521927(P2014-521927)
(86)(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公表番号】特表2014-521545(P2014-521545A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】CN2012079171
(87)【国際公開番号】WO2013013621
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】201110210395.4
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514023298
【氏名又は名称】テクオートモーティブ(シャンハイ)カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】コワルスキー,ダグラス
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/092453(WO,A1)
【文献】 特開2007−181968(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0108185(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0029181(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/055401(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/02
73/24
B60C 19/00
23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止流体のキャニスタ(3)と、
圧力源に接続可能で、且つ前記キャニスタ(3)に接続された入口(4)と、
前記入口(4)と前記キャニスタ(3)との間に流通可能に介装され、第一出口(22)および第二出口(23)を備える選択弁(12)と、
前記選択弁(12)に前記第一出口(22)を介して前記キャニスタ(3)と並列に接続された導管(13)
を備え
前記第一出口(22)および前記第二出口(23)は、前記選択弁(12)の可動シャッター(25)を収容する中空体(24)によって画成されたものであり、
前記第二出口(23)は、当該第二出口(23)を流通する圧縮空気の圧力を低下させる流れ抵抗(23)を備えたものであり、
前記流れ抵抗(23)は、前記圧力源から流入されて前記選択弁(12)を流通する圧縮空気の圧力を、前記第一出口(22)よりも大きく低下させるものである
ことを特徴とするインフレータブル物品修理・膨張キット。
【請求項2】
前記流れ抵抗(23)が、前記中空体(24)と一体を成していることを特徴とする、請求項に記載のキット。
【請求項3】
前記第二出口(23)を流通する圧縮空気流の圧力及び/又は流量が所定の閾値を超えたときに音響信号を発する音響指示器(23)を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインフレータブル物品修理・膨張キット。
【請求項4】
前記音響指示器が、前記圧力源により発生する圧縮空気流によって音響信号を発するものであることを特徴とする、請求項3に記載のインフレータブル物品修理・膨張キット。
【請求項5】
前記音響指示器が、前記流れ抵抗(23)によって画成されていることを特徴とする、請求項4に記載のインフレータブル物品修理・膨張キット。
【請求項6】
前記選択弁(12)が、前記選択弁(12)により画成されるさらなる入口(21)に対して互いに直列に配置された第一及び第二流体シール(29,30)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインフレータブル物品修理・膨張キット。
【請求項7】
前記選択弁(12)が、前記中空体(24)内部の前記可動シャッター(25)を閉じるためのキャップ(26)を備え、
前記第一及び第二流体シール(29,30)が、前記さらなる入口(21)と前記キャップ(26)との間に介装されていることを特徴とする、請求項6に記載のインフレータブル物品修理・膨張キット。
【請求項8】
少なくとも前記選択弁(12)を収容するケーシング(2)を備え、
前記キャニスタ(3)が、前記ケーシング(2)に接続されるとともに前記ケーシング(2)に対して固定されていることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインフレータブル物品修理・膨張キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重車両用ブレーキシステム等の高圧源に接続される、改良された減圧装置を有するインフレータブル物品修理・膨張キットに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等のインフレータブル物品を修理するための封止流体のキャニスタを減圧装置に接続することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良された減圧装置を特徴とするインフレータブル物品修理・膨張キットを提供することである。
本発明によれば、請求項1に記載のようなキットが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する第一の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、封止流体のキャニスタと、圧力源に接続可能で、且つ前記キャニスタに接続された入口と、前記入口と前記キャニスタとの間に流通可能に介装され、第一出口および第二出口を備える選択弁と、前記選択弁に前記第一出口を介して前記キャニスタと並列に接続された導管とを備え、前記第一出口および前記第二出口は、前記選択弁の可動シャッターを収容する中空体によって画成されたものであり、前記第二出口は、当該第二出口を流通する圧縮空気の圧力を低下させる流れ抵抗を備えたものであり、前記流れ抵抗は、前記圧力源から流入されて前記選択弁を流通する圧縮空気の圧力を、前記第一出口よりも大きく低下させるものであることを特徴とする
【0006】
上記課題を解決する第二の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、第一の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットにおいて、前記流れ抵抗が、前記中空体と一体を成していることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決する第三の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、第一または第二の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットにおいて、前記第二出口(23)を流通する圧縮空気流の圧力及び/又は流量が所定の閾値を超えたときに音響信号を発する音響指示器を備えることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第四の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、第三の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットにおいて、前記音響指示器が、前記圧力源により発生する圧縮空気流によって音響信号を発するものであることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第五の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、第四の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットにおいて、前記音響指示器が、前記流れ抵抗によって画成されていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第六の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、第一から第五のいずれかの発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットにおいて、前記選択弁が、前記選択弁により画成されるさらなる入口に対して互いに直列に配置された第一及び第二流体シールを備えることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第七の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、第六の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットにおいて、前記選択弁が、前記中空体内部の前記可動シャッターを閉じるためのキャップを備え、前記第一及び第二流体シールが、前記さらなる入口と前記キャップとの間に介装されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第八の発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットは、第一から第七のいずれかの発明に係るインフレータブル物品修理・膨張キットにおいて、少なくとも前記選択弁を収容するケーシングを備え、前記キャニスタが、前記ケーシングに接続されるとともに前記ケーシングに対して固定されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るキットの斜視図を示す。
図2】本発明に係るキットの流体回路の図を示す。
図3図1に示すキットの構成部分の長手方向断面を示す。
図4】所定の動作位置における、図3の軸線A及びBを通る平面での断面を示す。
図5図4と異なる動作位置における、図3の軸線A及びBを通る平面での断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい非限定の実施形態を、添付の図面を参照して一例として説明する。
【0015】
図1において符号1は、ケーシング2と、封止流体のキャニスタ3と、ケーシング2によって画成された圧縮空気入口4とを備えるタイヤ修理・膨張キットの全体を示す。
【0016】
ケーシング2は、ゲージ6及びノブ7が嵌め込まれた上部壁5を備える。
【0017】
ケーシング2の側部壁には、ケーシング2の周りを螺旋状に一回り超延在する周囲溝が画成されており、この周囲溝は、キャニスタ3に流体接続されたホース8を収容する。キャニスタ3は、ゲージ6及びノブ7を挟んで入口4の反対側にあるケーシング2の座部内に少なくとも部分的に収容されている。
【0018】
図2は、ケーシング2内に少なくとも部分的に収容された流体回路9の図を示す。
【0019】
流体回路9は、入口4と、修理用ブランチ10及び膨張用ブランチ11とを備える。修理用ブランチ10及び膨張用ブランチ11は、使用者がノブ7により手動で切り替え可能な、1つの入口及び2つの出口を有する選択弁12によって選択可能である。
【0020】
膨張用ブランチ11は、入口4をタイヤ18に直接接続する導管13を備える。
【0021】
修理用ブランチ10は、キャニスタ3に接続され選択弁12に対して導管13と並列な導管14を備える。
【0022】
図3に示すように、選択弁12には、入口21と、軸線Aを有する第一出口22と、軸線Bを有する第二出口23とが画成されている。出口22は、タイヤ18を膨張させるために導管13に接続され、出口23は、導管14によってキャニスタ3に接続されている。
【0023】
より具体的には、選択弁12は、入口21及び出口22,23を画成する中空体24と、中空体24内部の回転シャッター25と、中空体24内部の回転シャッター25を閉じるキャップ26とを備える。図示の実施形態において、入口21は、回転シャッター25を挟んだキャップ26の反対側において中空体24の内部から突出し、出口22,23は、回転シャッター25に対向して、圧縮空気流が、その方向を転換されて、回転シャッター25に対して、シャッター25の回転軸線Cと平行な成分を有する力を発生させるようになっている。
【0024】
この力が、キャップ26により例えば一体に画成されたスラスト軸受27、好ましくは摩擦軸受に荷重を加える。
【0025】
より具体的には、回転シャッター25は、ノブ7に接続された本体28と、本体28に対して固定され中空体24に接触して第一摺動シールを画成するインサート29と、キャップ26に向かって第一摺動シールと直列の第二摺動シール30とを備える。
【0026】
インサート29は、軸線Aに平行な方向において大きさが変化する面積に亘って中空体24に接触する弾性変形可能なポリマー材料から作られている。
【0027】
第二摺動シールは好ましくは、出口22,23とキャップ26との間において、本体28と中空体24との間に嵌合されたOリングである。
【0028】
本体28及び中空体24には、突起31と協働して最大相対角度位置を規定する2つのストップ30a(1つのみ示す)が画成されている。
【0029】
図4及び5は、回転シャッター25の詳細を示しており、回転シャッター25には、入口21を出口22又は出口23に流体接続する空洞32が画成されている。軸方向においてインサート29には、回転シャッター25の角度位置に関係なく空洞32と第二摺動シール30との間に連続的な流体シールが画成されている。
【0030】
周方向において、空洞32の大きさ及び出口22と出口23との間の角距離は、入口21が出口22,23の一方に接続されると他方への圧縮空気流がインサート29により遮断されるような大きさ及び角距離になっている。
【0031】
出口22及び出口23は異なる流れ抵抗を有し、出口23が、入口4からの圧力を出口22よりも大きく低下させるようになっている。
【0032】
出口22は、好ましくは、出口23よりも大きな流れ断面を有する。
【0033】
キット1は以下のように動作する。
【0034】
キットが車両に搭載されると、選択弁12は両方の出口22,23を閉じる安全設定に設定される。これによりキットは、導管13又は14に沿って圧縮空気が誤って流れる恐れなく、重荷重車両の圧縮空気回路に接続可能となる。
【0035】
タイヤ18を修理するためには、ホース8をタイヤに接続し、選択弁12を切り替えて出口23を開くとともに出口22を閉じる。
【0036】
出口23により圧力が低下して、圧縮空気を適切な封止流体注入圧で供給し、封止流体が早期凝固するのを防止する。圧力は、好ましくは6バール以下、より好ましくは4バール未満まで低下させる。
【0037】
出口23は、好ましくは、圧縮空気の圧力及び/又は流量が所定の閾値を超えたときに、例えば圧縮空気流により発生する音響信号を発する。
【0038】
封止流体が注入されたら、選択弁12を切り替えて出口22を開くとともに出口23を閉じる。圧縮空気が導管14よりも高い圧力で導管13に沿って流れ、タイヤ18をより早く膨張させる。
【0039】
本発明に係るキットは、以下の利点を有する。
【0040】
出口23の流れ抵抗によって、封止流体のキャニスタへの最良の圧力を確保できる。
【0041】
流れ抵抗が選択弁12の出口23に組み込まれるので、組み立てのためのキットの構成部品の数を低減できる。
【0042】
第一及び第二摺動シール29,30が直列に配置されるので、キャップ26への漏出をより良好に防止できる。
【0043】
音響信号がキットの正しい動作を示す。
【0044】
変更を、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明例示したキット1に加えてもよいことは明らかである。
【0045】
特に、キャニスタ3は、固定されていてもケーシング2から取り外し可能であっても良い。
【0046】
導管13は、図2に示すようにキャニスタ3の下流側のホース8に接続してもよいし、ホース8とは別体でタイヤ18に直接接続可能な膨張用ホースを備えてもよい。
【0047】
出口23が音響指示器を画成しているが、音響指示器は、デジタル且つ/又は加圧流体以外のエネルギー源により駆動されるものであってもよく、また、封止流体のキャニスタと、圧力源に接続可能で、且つキャニスタに接続された入口と、入口とキャニスタとの間に流通可能に介装された選択弁と、選択弁にキャニスタと並列に接続された導管とを備える任意のインフレータブル物品修理・膨張キットに設けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5