特許第6076393号(P6076393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6076393階段セット、階段、階段踏板の梱包方法及び階段の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6076393
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】階段セット、階段、階段踏板の梱包方法及び階段の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/30 20060101AFI20170130BHJP
   E04F 11/16 20060101ALI20170130BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   E04G21/30 C
   E04F11/16 C
   B65D85/00 F
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-63995(P2015-63995)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183490(P2016-183490A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小曽根 翔士
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−088019(JP,U)
【文献】 実公昭49−27710(JP,Y2)
【文献】 特開平7−139145(JP,A)
【文献】 特開平11−270140(JP,A)
【文献】 特開2001−2158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/30
B65D 85/00
E04F 11/00−11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段の踏板と、該踏板に組み付けられた養生材とを備え、踏板が養生材を梱包材として梱包された階段セットであって、
上記養生材は、踏板表面の踏面を覆う踏面覆い部と、該踏面覆い部に直角に接続され、階段の施工状態で踏板の手前側に位置する前端面を覆う前端面覆い部と、該前端面覆い部に接続されて踏板の裏側に突出し、前端面覆い部との境界位置で後側に折曲げ可能な突出部とを有する断面L字状の板材からなっていて、上記踏面覆い部の後端部で踏板に養生テープにより固定され、
上記養生材が固定された2枚の踏板が各々の裏面を対向させかつ前後を逆にした状態で重ね合わされ、各踏板の養生材の上記突出部が相手側の踏板の後端面の少なくとも一部を覆っており、
運搬状態では上記養生材が梱包材として露出していることを特徴とする階段セット。
【請求項2】
請求項1において、
階段は、踏板が裏面の後端部で側桁に固定されるオープン階段であり、
上記踏板の長さ方向の全体が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、
梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも長さ方向の端部及び養生材で覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする階段セット。
【請求項3】
請求項1において、
各踏板には切欠部が形成されていて、
階段は、踏板が上記切欠部で側桁に嵌合されて固定されるプレカット階段であり、
上記踏板の切欠部を除く部分が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、
梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面において、少なくとも養生材により覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする階段セット。
【請求項4】
請求項1において、
階段は、踏板が長さ方向の一端部で側桁に嵌合されて固定され、他端部が施工現場で切断されて取り付けられるフリーカット階段であり、
上記踏板の一端部を除く部分が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、
梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも他端部及び養生材で覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする階段セット。
【請求項5】
請求項4において、
踏板の他端部側の養生材には、踏板の切断位置に応じて養生材を切断可能な複数の脆弱部が設けられていることを特徴とする階段セット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
養生材の突出部には、相手側の踏板の踏面後端部を覆うように突出部の途中位置で後側に折曲げ可能な折曲げ可能部が設けられていることを特徴とする階段セット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つの階段セットにおいて、
養生材は、中間部で直角に折曲げ可能な平板状の板材からなっていて、該板材の折曲げによって踏面覆い部と前端面覆い部及び突出部とが形成可能に構成されていることを特徴とする階段セット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つの階段セットに梱包された踏板により施工される階段であって、
各踏板が養生材及び養生テープで覆われたままの状態で側桁に固定され、
養生材の突出部が前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げられて踏板裏面の前端部を覆っていることを特徴とする階段。
【請求項9】
請求項8において、
養生材の突出部と踏板裏面の前端部とに亘って養生テープが貼り付けられていることを特徴とする階段。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1つの階段セットにより、階段の踏板を養生材によって梱包する階段踏板の梱包方法であって、
上記養生材を踏板に対し、養生材の踏面覆い部が踏板の踏面を、また前端面覆い部が踏板の前端面をそれぞれ覆うように積層して、上記踏面覆い部の後端部を踏板に養生テープにより固定するとともに、踏板に養生テープを、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板が取付可能な状態となるように貼り付け、
上記養生材が固定された2枚の踏板を各々の裏面が対向しかつ前後が逆にされた状態で重ね合わせて、各踏板の養生材の上記突出部が相手側の踏板の後端面を覆うように梱包することを特徴とする階段踏板の梱包方法。
【請求項11】
請求項10の階段踏板の梱包方法により梱包された踏板によって階段を施工する方法であって、
各踏板を養生材及び養生テープで覆われたままの状態で該養生テープを外すことなく側桁に固定し、
養生材の突出部を前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げて踏板裏面の前端部を覆うことを特徴とする階段の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏板に養生材が組み付けられた階段セット、この階段セットにより施工された階段、階段踏板の梱包方法及び階段の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅を施工する場合において、階段が施工されると、その後も階段は他の各種建材や設備等を搬入する際に使用されるので、階段を構成する踏板や側桁等の部材が傷付かないように養生材を取り付けることが行われている。
【0003】
そのとき、養生材を施工された踏板の大きさに合わせてカットし、踏板表面の踏面から、手前側に位置する前端面を経て踏板裏面の前端部までを養生材で覆う必要があり、この作業が施工現場では手間になる。
【0004】
また、踏板等の階段部材は上に人が載るので、集成材やMDF等の重い材料で構成されており、そのため、厚めの段ボールで表面を覆われて現場に配送される。この場合、厚めの段ボールは現場配送された後に開梱され、ごみとして排出されるため、廃棄物が多くなるという問題があった。
【0005】
そこで、従来、例えば特許文献1に示されるように、階段の踏板を梱包する梱包材の一部を養生材として再利用し、梱包材において踏板の表面及び前端面に相当する部分に養生材を貼着しておき、階段の施工後に養生材を梱包材から切り取ってそれぞれ踏板の表面及び前端面に接着することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3473503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記提案のものでは、梱包材の一部を養生材として利用するので、資材の有効利用では有利である。
【0008】
しかし、梱包材からその一部を切り取って養生材にするので、養生材を別途に用意することが不要になるだけで、その切り取った養生材を踏板に貼り付ける作業が必要であり、やはり養生材の取付作業を行わねばならないという難がある。
【0009】
また、養生材を階段部材の施工後に踏板に取り付ける場合、養生材と踏板との間にゴミ等が挟みこまれると、傷付きの原因になるため、養生材について細かな清掃が必要となる。そのため、さらに手間が必要になるという難もある。
【0010】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、階段の踏板を覆う養生材の構造に工夫を加えることにより、踏板に対する養生材の取付作業前の清掃作業及び取付作業を可及的になくして、階段の施工を容易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明では、養生材は予め踏板に施工状態の踏板を覆うように固定して組み付けておき、その踏板を養生材が梱包材となるように2枚重ね合わせて梱包するようにした。
【0012】
具体的には、第1の発明は、階段の踏板と、該踏板に組み付けられた養生材とを備え、踏板が養生材を梱包材として梱包された階段セットであって、上記養生材は、踏板表面の踏面を覆う踏面覆い部と、この踏面覆い部に直角に接続され、階段の施工状態で踏板の手前側に位置する前端面を覆う前端面覆い部と、この前端面覆い部に接続されて踏板の裏側に突出し、前端面覆い部との境界位置で後側に折曲げ可能な突出部とを有する断面L字状の板材からなっていて、上記踏面覆い部の後端部で踏板に養生テープにより固定され、上記養生材が固定された2枚の踏板が各々の裏面を対向させかつ前後を逆にした状態で重ね合わされ、各踏板の養生材の上記突出部が相手側の踏板の後端面を覆っており、運搬状態では上記養生材が梱包材として露出していることを特徴とする。
【0013】
この第1の発明では、階段の各踏板に養生材が養生テープにより固定されて組み付けられており、この養生材が組み付けられた踏板が裏面同士を対向させかつ前後逆向きにして2枚重ねで積層された状態で梱包されているので、2枚の踏板の養生材は踏板を外側から覆う梱包材となり、この養生材を梱包材として踏板が梱包される。こうして養生材を梱包材と兼用することにより、資材を有効利用することができる。また、その梱包状態では、各踏板の養生材の突出部が相手側の踏板の後端面の少なくとも一部を覆っており、運搬状態では上記養生材が梱包材として露出しているので、階段セットの運搬時等で踏板の後端面が傷付くのを防止することができる。
【0014】
そして、階段の施工現場で階段セットの梱包を解いた状態では、各踏板は既に貼着されている養生テープを外すことなく施工現場で取付可能な状態として、各踏板に養生材が踏板の踏面と前端面とを覆う通常の養生状態に固定されており、その踏板を側桁に施工することで、踏板の踏面及び前端面がそれぞれ養生材の踏面覆い部及び前端面覆い部によって覆われる。また、養生材の突出部を前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げ、踏板裏面を養生テープで止め付けることで、その折り曲げられた突出部により踏板裏面の前端部が覆われる。このように、各踏板に予め養生材が組み付けられているので、その踏板を側桁に固定して階段を施工すれば、その施工と同時に自動的に踏板ないし階段の養生状態が得られることとなり、養生材取付前の清掃作業、施工後の踏板に別途養生材を取り付ける作業が不要となり、取付作業の手間をなくして階段の施工を容易化することができる。それだけでなく、養生材取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、階段は、踏板が裏面の後端部で側桁に固定されるオープン階段であり、上記踏板の長さ方向の全体が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場では該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも長さ方向の端部及び養生材で覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする。
【0016】
この第2の発明では、踏板が裏面の後端部で側桁に固定されるオープン階段において、その踏板が長さ方向の全体で養生材及び養生テープにより覆われ、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも長さ方向の端部及び養生材で覆われていない部分が他の梱包材で覆われているので、オープン階段の踏板を養生材で梱包できるとともに、オープン階段の踏板を施工するときの養生材取付前の清掃作業、施工後の養生材の取付作業の手間をなくして、オープン階段の施工を容易化することができる。また、長さ方向の端部のみが他の梱包材で覆われているため、養生材取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。また、踏板の少なくとも長さ方向の端部のみが他の梱包材で覆われているので、現場で排出されるゴミが最小限となる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明において、各踏板には切欠部が形成されていて、階段は、踏板が上記切欠部で側桁に嵌合されて固定されるプレカット階段であり、上記踏板の切欠部を除く部分が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面において、少なくとも養生材により覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする。
【0018】
この第3の発明では、踏板が切欠部で側桁に嵌合されて固定されるプレカット階段において、踏板が切欠部を除く部分でかつ踏板の取付時に養生テープを外さなくてよい部分が養生材及び養生テープにより覆われ、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも養生材により覆われていない部分が他の梱包材で覆われているので、プレカット階段の踏板を養生材で梱包できるとともに、プレカット階段の踏板を施工するときの養生材の取付作業の手間をなくしてプレカット階段の施工を容易化することができる。また、施工後に養生が不要な部分のみが他の梱包材で覆われているため、養生材の取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明において、階段は、踏板が長さ方向の一端部で側桁に嵌合されて固定され、他端部が施工現場で切断されて取り付けられるフリーカット階段であり、上記踏板の一端部を除く部分が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも他端部及び養生材で覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする。
【0020】
この第4の発明では、踏板が長さ方向の一端部で側桁に嵌合されて固定され、他端部が施工現場で切断されるフリーカット階段における踏板が踏板の一端部を除く部分で養生材及び養生テープにより覆われ、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも他端部が他の梱包材で覆われているので、フリーカット階段の踏板を養生材で梱包できるとともに、フリーカット階段の踏板を施工するときの養生材の取付作業の手間をなくしてフリーカット階段の施工を容易化することができる。また、施工時にカットする部分及び施工後に養生が不要な部分のみが他の梱包材で覆われているため、養生材の取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。
【0021】
第5の発明は、第4の発明において、踏板の他端部側の養生材には、踏板の切断位置に応じて養生材を切断可能な複数の脆弱部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
この第5の発明では、フリーカット階段の踏板の他端部を施工現場で切断して施工するときに、その切断に応じて養生材を脆弱部で容易に切断でき、養生材の切断工具による切断が不要となり、フリーカット階段の施工を容易に行うことができるとともに、カッター等の切断工具による踏板の傷付きのリスクを回避できる。
【0023】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、養生材の突出部には、相手側の踏板の踏面後端部を覆うように突出部の途中位置で後側に折曲げ可能な折曲げ可能部が設けられていることを特徴とする。
【0024】
この第6の発明では、養生材の突出部の途中に折曲げ可能部が形成されているので、2枚の踏板を重ねた積層状態では、折り曲げ可能部で突出部を折り曲げることにより、突出部の折り曲げられた先端側部が相手側の踏板の踏面後端部を養生テープが貼り付けられた状態のまま覆うようになり、階段セットの運搬時に踏板の踏面の後端部が傷付くのを防止することができる。また、開梱し、それぞれ施工するときには、養生材及び養生テープが貼り付けられた状態のまま施工されることになる。
【0025】
第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれか1つにおいて、養生材は、中間部で直角に折曲げ可能な平板状の板材からなっていて、その板材の折曲げによって踏面覆い部と前端面覆い部及び突出部とが形成可能に構成されていることを特徴とする。
【0026】
この第7の発明では、平板状の板材を折り曲げることで、養生材の踏面覆い部と前端面覆い部及び突出部とが形成されるので、別々の板材を直角に接合して踏面覆い部と前端面覆い部及び突出部とを形成する場合に比べ、別のテープ材料等を用いることなく、養生材を容易に形成することができる。
【0027】
第8の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つの階段セットに梱包された踏板により施工される階段であって、この階段は、各踏板が養生材及び養生テープで覆われたままの状態で側桁に固定され、養生材の突出部が前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げられて踏板裏面の前端部を覆っていることを特徴とする。
【0028】
この第8の発明では、階段の施工状態で、各踏板が養生材及び養生テープで覆われたまま側桁に固定され、養生材の突出部が後側に折り曲げられて踏板裏面の前端部を覆っているので、踏板の踏面、前端面及び裏面の前端部を養生材により覆って階段の養生を行うことができる。
【0029】
第9の発明は、第8の発明において、養生材の突出部と踏板裏面の前端部とに亘って養生テープが貼り付けられていることを特徴とする。
【0030】
この第9の発明では、養生材の突出部と踏板裏面の前端部とに亘って養生テープが貼り付けられているので、養生材の突出部が踏板裏面の前端部から離れて垂れ下がることはなく、階段の養生を安定して行うことができる。
【0031】
第10の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つの階段セットにより、階段の踏板を養生材によって梱包する階段踏板の梱包方法であって、この方法は、上記養生材を踏板に対し、養生材の踏面覆い部が踏板の踏面を、また前端面覆い部が踏板の前端面をそれぞれ覆うように積層して、上記踏面覆い部の後端部を踏板に養生テープにより固定するとともに、踏板に養生テープを、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板が取付可能な状態となるように貼り付け、上記養生材が固定された2枚の踏板を各々の裏面が対向しかつ前後が逆にされた状態で重ね合わせて、各踏板の養生材の上記突出部が相手側の踏板の後端面を覆うように梱包することを特徴とする。
【0032】
この第10の発明でも、第1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0033】
第11の発明は、第10の発明の階段踏板の梱包方法により梱包された踏板によって階段を施工する方法であって、各踏板を養生材及び養生テープで覆われたままの状態で該養生テープを外すことなく側桁に固定し、養生材の突出部を前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げて踏板裏面の前端部を覆うことを特徴とする。
【0034】
この第11の発明でも、第8の発明と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明によると、階段の踏板に、その踏面を覆う踏面覆い部と前端面を覆う前端面覆い部と前端面覆い部に接続された突出部とを有する養生材を梱包材として一体的に組み付け、2枚の階段を裏面同士が対向するように前後逆向きに重ね合わせて、養生材の突出部で相手側の踏板の後端面を覆うようにしたことにより、踏板を側桁に固定して階段を施工すると同時に自動的に階段の養生状態が得られ、施工後の踏板に別途養生材を取り付ける作業を不要とし、養生材取付前の清掃の手間が省け、さらには階段の施工を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る階段セットの要部を示す側面図である。
図2図2は、梱包された階段セットの斜視図である。
図3図3は、階段セットにおける踏板と踏板に組み付けられる養生材とを示す斜視図である。
図4図4は、階段セットを梱包するときの手順を示す側面図である。
図5図5は、養生材を組み付けた踏板が施工された状態の階段の要部を示す側面図である。
図6図6は、プレカット階段の踏板に養生材及び養生テープが組み付けられた状態を示す斜視図である。
図7図7は、フリーカット階段の階段セットにおける踏板の梱包状態と、施工時に踏板及び養生材の端部を切断する状態とを示す平面図である。
図8図8は、階段セットの変形例を示す側面図である。
図9図9は、本発明の実施形態2を示す図1相当図である。
図10図10は、本発明の実施形態2を示す図4相当図である。
図11図11は、実施形態2に係る階段セットを、段ボールを除いて示す斜視図である。
図12図12は、実施形態2に係る階段セットの施工手順を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0038】
(実施形態1)
図1及び図2は本発明の実施形態1に係る階段セットA(階段踏板の梱包体)を示し、この階段セットAは、階段の一部を構成する2枚の踏板1,1と、この各踏板1にそれぞれ組み付けられた2つの養生材9,9とを備え、両養生材9,9を梱包材として2枚の踏板1,1が梱包されている。
【0039】
本発明では、階段として、例えばオープン階段、プレカット階段及びフリーカット階段の3種類が設定されている。すなわち、オープン階段は、踏板1の左右端部が側桁(図示せず)に嵌合されて使用されるのではなく、各踏板1がその裏面1cの後端部で側桁に固定されており、蹴込板6(図5参照)の不要な階段である。
【0040】
また、プレカット階段は、図6に示すように、各踏板1の踏面1a(表面)の一部に、後端面1dから前側に向かって有底状の切欠部2,2が形成されていて、各踏板1の表面の一部に左右の切欠部2,2が設けられ、この切欠部2,2で側桁に嵌合されて固定されている。この踏板1表面の切欠部2は1本でもよいし、2本以上でもよい。
【0041】
さらに、フリーカット階段は、各踏板1が左右長さ方向の一端部で側桁に嵌合されて固定され、他端部が施工現場で切断され、左右端部がそれぞれ側桁に嵌合されて使用される。
【0042】
これら3種類の階段は公知構造のものであり、詳細な説明を省略する。
【0043】
いずれの種類の階段の踏板1も、踏板1の表面(階段の施工状態で上面)にある踏面の前端部(段鼻部分)に凹凸溝等からなる滑り止め部3が形成されている。滑り止め部3は、滑り止めの観点からあることが好ましいが、本発明の必須構成ではなく、例えば表面塗装により滑り難くされていたり、施工後に後付部材により滑り止めに対する配慮がなされていたりしてもよい。また、蹴込板6を必要とする階段では、踏板1の裏面1c(階段の施工状態で下面)の前部に蹴込板6(図5参照)の上端部を嵌合するための蹴込板嵌合溝4が形成されている。
【0044】
上記2つの養生材9,9は互いに同じものであり、断面L字状のインシュレーションボード等の板材からなる。図3及び図4(a)にも示すように、各養生材9は、各踏板1表面の踏面1aを覆う踏面覆い部10と、この踏面覆い部10に直角に接続され、階段の施工状態で踏板1の手前側に位置する前端面1bを覆う前端面覆い部11と、この前端面覆い部11に接続されて踏板1の裏側に突出する突出部12とを有し、踏板1をその踏面1aの前端角部が養生材9裏面の角部に当接するように覆っている。踏面覆い部10の後端部は踏板1に養生テープ20により、該踏板1の表面及び前端面1a,1bに貼着された養生テープ20を外すことなく施工現場で取付可能な状態で固定されており、このことで各踏板1に養生材9が一体的に固定されて組み付けられている。尚、図面での説明の都合上、養生テープ20は、図1図4図5等の側面図では破線により示し、図7等の平面図及び図2等の斜視図では斜め線を記載して示している。
【0045】
上記突出部12と前端面覆い部11との間には第1折曲げ可能部14が形成されており、この第1折曲げ可能部14により、突出部12は前端面覆い部11との境界位置で後側に折曲げ可能となっている。具体的には、図3に示すように、第1折曲げ可能部14は、前端面覆い部11と突出部12との間にジグソーパズルのように形成されて養生材9の表裏面を貫通する切込み線15(スリット)を有し、この切込み線15は、切込み線15両側の一方に養生材9による中広がりの凹部15aが、また他方に該凹部15aに嵌合する、養生材9による先太り状の凸部15bがそれぞれ形成されるように両側に交互に湾曲しており、凸部15bが凹部15aに対して切込み線15の延びる方向を中心軸として回動しかつ凸部15bの先端部が凹部15aの開口部で係合されることで、突出部12が前端面覆い部11に対し脱落することなく後側に折り曲げられるようになっている。尚、切込み線15は互いに平行に延びるように複数本形成してもよく、そうすると折曲げをスムーズに行うことができる。また、第1折曲げ可能部14は、本実施形態においては前端面覆い部11と突出部12との間にジグソーパズルのように形成されているが、裏面側又は表面側にV形状溝を入れておいてもよいし、破線の切込みを入れた脆弱部を設けて折曲げ可能に形成してもよい。
【0046】
そして、階段セットAにおいては、図1及び図4(b)に示すように、2枚の踏板1,1が1セットとされ、それら2枚の踏板1,1は、各々に養生材9が固定されて組み付けられたままの状態で、各々の裏面1c,1cを対向させかつ前後を逆にした状態で重ね合わされている。また、各踏板1に組み付けられた養生材9の突出部12が相手側の踏板1の後端面1dの一部を覆っている。
【0047】
階段セットAにおいては、基本的に1枚の踏板1は、梱包状態で組み合わされたときの外周部が養生材9で覆われた状態で梱包されているが、階段の種類によっては養生材9や養生テープ20で覆われていない部分があり、梱包状態で組み合わされたときの外周部で、少なくともこの養生材9により覆われていない部分は、養生材9以外の他の梱包材である段ボール21(図2参照)で覆われている。
【0048】
すなわち、階段がオープン階段である場合、図2に示すように、梱包状態で組み合わされたときの外周部の踏板1の長さ方向の全体が養生材9及び養生テープ20により、踏板1の施工現場で養生テープ20が外されることなく踏板1を取付可能な状態となるように覆われており、階段セットAでは、各踏板1の長さ方向の左右端部近傍が段ボール21(他の梱包材)で覆われている。
【0049】
また、階段がプレカット階段である場合、図6に示すように、踏板1の左右の切欠部2,2を除く部分を養生材9及び養生テープ20が、踏板1の施工現場で踏板1の踏面1a(表面)、前端面1a及び両切欠き部2,2に貼着された養生テープ20が外されることなく踏板1を取付可能な状態となるように覆っており、階段セットAでは、梱包状態で組み合わせられた踏板1の外周面において、養生材9により覆われていない部分が段ボール21(図6には示していない)で覆われている。
【0050】
さらに、踏板1が左右長さ方向の一端部で側桁に嵌合されて固定され、他端部が施工現場で切断されて取り付けられるフリーカット階段である場合、図7に示すように、踏板1の一端部を除く部分が養生材9及び養生テープ20により、踏板1の施工現場で踏板1踏面1a(表面)及び前端面1aに貼着された養生テープ20が外されることなく踏板1を取付可能な状態となるように覆われており、階段セットAでは、梱包状態で組み合わせられた踏板1の外周面の他端部(切断側)及び養生材で覆われていない部分が段ボール21(図7には示していない)で覆われている。
【0051】
特にフリーカット階段の場合、養生材9を取り付けたままの状態で踏板1のカットを行うため、図7に示すように、養生材9には、踏板1の他端部(切断側)に対応する位置に、その踏板1の他端部の切断位置に応じて嵌合部分が設けられるように養生材9を折曲げによって切断可能な複数(図示例では2つ)の脆弱部16,16,…が設けられている。これらの脆弱部16,16,…は、いずれも、例えば養生材9の表裏面を貫通する複数の貫通孔(図示せず)が養生材9の長さ方向と直交する方向の平面に沿って延びるように連続して形成されたものであり、この貫通孔が形成された部分を脆弱部16として他の部分よりも脆弱にすることにより、その脆弱部16で養生材9を、切断工具を用いなくても折曲げにより切断できるようになっている。
【0052】
尚、2枚の踏板1,1は、各々に組み付けられた養生材9,9の上から結束バンド(図示せず)によって一体的に結束されて梱包されている。
【0053】
この階段セットAにより階段の踏板1,1を梱包する場合、まず、図4(a)に示すように、断面L字状の養生材9を踏板1に対し、養生材9の踏面覆い部10が踏板1の踏面1aを、また前端面覆い部11が踏板1の前端面1bをそれぞれ覆うように積層し、その養生材9を踏面覆い部10の後端部で踏板1に養生テープ20により固定する。また、踏板1に養生テープ20を、踏板1の施工現場で養生テープ20が外されることなく踏板1が取付可能な状態となるように貼り付ける。
【0054】
その後、図4(b)に示すように、このように踏板1に養生材9が固定されて組み付けられた2枚の踏板1,1を各々の裏面1c,1cが対向しかつ前後が逆にされた状態で重ね合わせる。このことで、図1に示すように、各踏板1の養生材9の突出部12が相手側の踏板1の後端面1dを覆うようになり、その状態で梱包し、両踏板1,1において養生材9及び養生テープ20により覆われていない部分を段ボール21で梱包した後、結束バンドにより結束すればよい。
【0055】
次に、上記階段セットAに梱包された踏板1,1によって階段を施工する場合について説明すると、階段セットAの結束バンドを切断し、断ポール紙21を取り除くことで、養生材9が組み付けられたままの2枚の踏板1,1を取り出す。その後、図5に示すように、各踏板1を養生材9及び養生テープ20で覆われたままの状態で該養生テープ20を外すことなく側桁(図示せず)に固定して施工する。
【0056】
この各踏板1の施工後は、養生材9の突出部12を前端面覆い部11との境界位置の第1折曲げ可能部14で後側に折り曲げて踏板1の裏面1c前端部を覆い、この突出部12と踏板1の裏面1cの前端部とに亘って養生テープ20を貼り付けて、養生材9の突出部12を踏板1の裏面1cの前端部に固定すればよい(この折曲げ可能部14で後側に折り曲げて踏板1の裏面1c前端部を覆う工程は、踏板1の施工前に実施してもよい)。
【0057】
すなわち、このように施工された階段は、各踏板1が養生材9及び養生テープ20で覆われたままの状態で側桁に固定され、養生材9の突出部12が前端面覆い部11との境界位置(第1折曲げ可能部14)で後側に折り曲げられて踏板1の裏面1c前端部を覆っており、その養生材9の突出部12と踏板1の裏面1c前端部とに亘って養生テープ20が貼り付けられている構造となる。図5中、6は階段における上下段の踏板1,1間に設けられた蹴込板で、その上端部は上段踏板1の裏面1cの蹴込板嵌合溝4に嵌合され、下端部は下段踏板1の後端面1dに固定されている。
【0058】
したがって、上記実施形態においては、階段の各踏板1に養生材9が養生テープ20により固定されて組み付けられており、この養生材9が組み付けられた2枚の踏板1,1が裏面1c,1c同士を対向させかつ前後逆向きにして2枚重ねで積層された状態で梱包されて階段セットAが構成されている。このため、2つの養生材9,9はいずれも2枚の踏板1,1を外側から覆う梱包材となり、これらの養生材9,9によって踏板1,1が梱包されることとなる。このように踏板1に組み付けられた養生材9が梱包材を兼用するので、資材を有効利用することができる。
【0059】
また、階段セットAの梱包状態では、各踏板1に組み付けられた養生材9の突出部12が相手側の踏板1の後端面1dを覆っているので、階段セットAの運搬時等で各踏板1の後端面1dが傷付くのを防止することができる。
【0060】
そして、階段の施工現場に階段セットAを搬入して施工するために、その施工現場で階段セットAの梱包を解いた状態では、既に各踏板1には養生材9が踏板1の踏面1aと前端面1bとを覆うように、該踏板1の踏面1a(表面)及び前端面1bに貼着された養生テープ20を外すことなく現場で取付可能な状態で組み付けられており、この組付状態は、階段の施工後の各踏板1に養生材9を取り付けた通常の養生状態と同じ状態である。そのため、その各踏板1を側桁に嵌合して階段を施工することで、踏板1に養生材9が取り付けられ、踏板1の踏面1a及び前端面1bがそれぞれ養生材9の踏面覆い部10及び前端面覆い部11によって覆われた状態となる。さらに、養生材9のうち、梱包時には相手側の踏板1の後端面1dを覆っていた突出部12を前端面覆い部11との境界位置の第1折曲げ可能部14で後側に折り曲げることで、その折り曲げられた突出部12により踏板1の裏面1c前端部が覆われ、この突出部12と踏板1の裏面1c前端部とに亘って養生テープ20が貼り付けられる。このことにより、踏板1の踏面1a、前端面1b及び裏面1cの前端部が養生材9及び養生テープ20により覆われた状態で階段の養生を行うことができる。また、養生材9の突出部12と踏板1の裏面1c前端部とに亘る養生テープ20の貼付けにより、養生材9の突出部12が踏板1の裏面1cから離れて垂れ下がることはなく、階段の養生を安定して行うことができる。
【0061】
そのとき、予め養生材9が組み付けられている踏板1を側桁に固定して階段を施工すれば、その施工と同時に自動的に踏板1ないし階段の養生状態が得られるので、施工後の踏板1に別途の養生材を取り付ける作業が不要となり、養生材9の取付前の清掃の手間や養生材9の切欠き加工及び養生材9の取付作業の手間をなくして、階段の施工を容易化することができる。
【0062】
また、階段がフリーカット階段である場合、踏板1の左右長さ方向の一端部は側桁に嵌合されて固定され、他端部は施工現場で切断されるが、この踏板1の切断される他端部側の養生材9に複数の脆弱部16,16,…が形成されているので、踏板1の他端部を切断した後に、その切断に合わせて養生材9を脆弱部16,16,…の1つで切断することにより嵌合部分を設ければよい。この脆弱部16は他の部分よりも脆弱となっていて折曲げによって容易に切断できるので、切断工具による切断が不要となり、カッター等の切断工具による踏板1の傷付きのリスクを回避できる。よってフリーカット階段の施工を容易に安定的に行うことができる。
【0063】
尚、上記実施形態では、養生材9が組み付けられた2枚の踏板1,1を梱包しているが、3枚以上の踏板1,1,…を梱包するようにしてもよい。図8は4枚の踏板1,1,…を梱包した1例を示し、この例では、上述のように養生材9が組み付けられた2枚の踏板1,1が各々の裏面1c,1cを対向させかつ前後を逆にした状態で重ね合わされている。そして、その上側の踏板1の養生材9の上に3枚目の踏板1が裏面1cを下側の踏板1の養生材9に当接させかつ前後を逆にした状態で重ね合わされ、さらに、この3枚目の踏板1の養生材9の上に4枚目の踏板1が裏面1cを下側の3枚目の踏板1の養生材9に当接させかつ前後を逆にした状態(2枚目の踏板1と同じ状態)で重ね合わされている。このように3枚以上の踏板1,1,…を梱包することにより、1つの階段に使用するのに必要な踏板1,1,…の梱包数を少なくすることができる。
【0064】
(実施形態2)
図9図12は本発明の実施形態2を示し(尚、以下の各実施形態では、図1図7と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、階段セットAにおける各養生材9の突出部12の長さを変更したものである。
【0065】
すなわち、この実施形態では、図9図11に示すように、階段セットAにおける各養生材9の突出部12は実施形態1のものに比べて長く、相手側の踏板1の後端面1dの全体を覆う後端面覆い部12aと、この後端面覆い部12aに連続し、後端面覆い部12aを踏板1の後端面1dを超えて延びるように延長した延長部12bとからなり、この後端面覆い部12aと延長部12bとの間には後側に折曲げ可能な第2折曲げ可能部17が形成されている。この第2折曲げ可能部17は、上記突出部12と前端面覆い部11との間の第1折曲げ可能部14と同じ構造のものであり、ここでは説明を省略する(図3参照)。
【0066】
また、突出部12の後端面覆い部12aの途中には、上記と同様の脆弱部16が形成されている(図7参照)。
【0067】
そして、図9及び図11に示すように、2枚の踏板1,1が重ね合わされた状態で、各養生材9の突出部12が途中位置の折曲げ可能部17で後側に折り曲げられて、折り曲げられた延長部12bが相手側の踏板1の踏面1a後端部を養生テープ20の上から覆うようになっている。尚、図11では、段ボール21を除いた状態を示している。
【0068】
この実施形態の場合、養生材9の突出部12の途中に折曲げ可能部17が形成されているので、2枚の踏板1,1を重ねた積層状態では、折曲げ可能部17で折り曲げられた突出部12先端側の延長部12bにより相手側の踏板1の踏面1a後端部を養生テープ20が貼り付けられた状態のまま覆うことができ、階段セットAの運搬時に踏板1の踏面1aの後端部が傷付くのを防止することができる利点がある。また、開梱し、それぞれ施工するときには、養生材9及び養生テープ20が貼り付けられた状態のまま施工されることになる。
【0069】
この実施形態2に係る階段セットAの踏板1を施工するときには、図12に示すように、突出部12において、折り曲げられている延長部12bを後端面覆い部12aの延長上に位置するように元に戻した後、後端面覆い部12aの途中の脆弱部16で切断して延長部12b側を除去し、残りの部分を突出部12と前端面覆い部11との境界位置の第1折曲げ可能部14で後側に折り曲げて踏板1の裏面1c前端部を覆い、この部分と踏板1の裏面1c前端部とに亘って養生テープ20を貼り付けて、養生材9の突出部12を踏板1の裏面1cに固定すればよい。
【0070】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、踏板1を覆う養生材9として断面L字状の板材を用いているが、養生材9を平板状の板材からなるものとして、その中間部に上記と同様の折曲げ可能部を形成することで、直角に折曲げ可能な板材とし、その板材の折曲げ可能部での折曲げによって断面L字状の養生材9を構成して、踏面覆い部10と前端面覆い部11及び突出部12とを形成するようにしてもよい。こうすれば、平板状の板材を折り曲げることで、養生材9の踏面覆い部10と前端面覆い部11及び突出部12とが形成されるので、上記実施形態のように、別々の板材を直角に接合して踏面覆い部10と前端面覆い部11及び突出部12とを形成する場合に比べ、別のテープ材料等を用いることなく、養生材9を容易に形成することができる。
【0071】
また、本発明の上記技術は、踏板1の一方の片側が側桁に挿入され、他方の片側が露出される半オープン階段にも使用可能であり、この場合は、踏板1は、その踏面1a(表面)及び前端面1bに貼着された養生テープ20を外すことなく施工現場で取付可能な状態で組み付けられていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、踏板を側桁に固定して階段を施工すると同時に自動的に階段の養生状態が得られ、養生材取付前の清掃の手間が省け、さらには階段の施工を容易化することができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0073】
A 階段セット
1 踏板
1a 踏面(表面)
1b 前端面
1c 裏面
1d 後端面
2 切欠部
9 養生材
10 踏面覆い部
11 前端面覆い部
12 突出部
12a 後端面覆い部
12b 延長部
14 第1折曲げ可能部
16 脆弱部
17 第2折曲げ可能部(折曲げ可能部)
20 養生テープ
21 段ボール(他の梱包材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12