【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明では、養生材は予め踏板に施工状態の踏板を覆うように固定して組み付けておき、その踏板を養生材が梱包材となるように2枚重ね合わせて梱包するようにした。
【0012】
具体的には、第1の発明は、階段の踏板と、該踏板に組み付けられた養生材とを備え、踏板が養生材を梱包材として梱包された階段セットであって、上記養生材は、踏板表面の踏面を覆う踏面覆い部と、この踏面覆い部に直角に接続され、階段の施工状態で踏板の手前側に位置する前端面を覆う前端面覆い部と、この前端面覆い部に接続されて踏板の裏側に突出し、前端面覆い部との境界位置で後側に折曲げ可能な突出部とを有する断面L字状の板材からなっていて、上記踏面覆い部の後端部で踏板に養生テープにより固定され、上記養生材が固定された2枚の踏板が各々の裏面を対向させかつ前後を逆にした状態で重ね合わされ、各踏板の養生材の上記突出部が相手側の踏板の後端面を覆っており、運搬状態では上記養生材が梱包材として露出していることを特徴とする。
【0013】
この第1の発明では、階段の各踏板に養生材が養生テープにより固定されて組み付けられており、この養生材が組み付けられた踏板が裏面同士を対向させかつ前後逆向きにして2枚重ねで積層された状態で梱包されているので、2枚の踏板の養生材は踏板を外側から覆う梱包材となり、この養生材を梱包材として踏板が梱包される。こうして養生材を梱包材と兼用することにより、資材を有効利用することができる。また、その梱包状態では、各踏板の養生材の突出部が相手側の踏板の後端面の少なくとも一部を覆っており、運搬状態では上記養生材が梱包材として露出しているので、階段セットの運搬時等で踏板の後端面が傷付くのを防止することができる。
【0014】
そして、階段の施工現場で階段セットの梱包を解いた状態では、各踏板は既に貼着されている養生テープを外すことなく施工現場で取付可能な状態として、各踏板に養生材が踏板の踏面と前端面とを覆う通常の養生状態に固定されており、その踏板を側桁に施工することで、踏板の踏面及び前端面がそれぞれ養生材の踏面覆い部及び前端面覆い部によって覆われる。また、養生材の突出部を前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げ、踏板裏面を養生テープで止め付けることで、その折り曲げられた突出部により踏板裏面の前端部が覆われる。このように、各踏板に予め養生材が組み付けられているので、その踏板を側桁に固定して階段を施工すれば、その施工と同時に自動的に踏板ないし階段の養生状態が得られることとなり、養生材取付前の清掃作業、施工後の踏板に別途養生材を取り付ける作業が不要となり、取付作業の手間をなくして階段の施工を容易化することができる。それだけでなく、養生材取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、階段は、踏板が裏面の後端部で側桁に固定されるオープン階段であり、上記踏板の長さ方向の全体が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場では該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも長さ方向の端部及び養生材で覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする。
【0016】
この第2の発明では、踏板が裏面の後端部で側桁に固定されるオープン階段において、その踏板が長さ方向の全体で養生材及び養生テープにより覆われ、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも長さ方向の端部及び養生材で覆われていない部分が他の梱包材で覆われているので、オープン階段の踏板を養生材で梱包できるとともに、オープン階段の踏板を施工するときの養生材取付前の清掃作業、施工後の養生材の取付作業の手間をなくして、オープン階段の施工を容易化することができる。また、長さ方向の端部のみが他の梱包材で覆われているため、養生材取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。また、踏板の少なくとも長さ方向の端部のみが他の梱包材で覆われているので、現場で排出されるゴミが最小限となる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明において、各踏板には切欠部が形成されていて、階段は、踏板が上記切欠部で側桁に嵌合されて固定されるプレカット階段であり、上記踏板の切欠部を除く部分が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面において、少なくとも養生材により覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする。
【0018】
この第3の発明では、踏板が切欠部で側桁に嵌合されて固定されるプレカット階段において、踏板が切欠部を除く部分でかつ踏板の取付時に養生テープを外さなくてよい部分が養生材及び養生テープにより覆われ、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも養生材により覆われていない部分が他の梱包材で覆われているので、プレカット階段の踏板を養生材で梱包できるとともに、プレカット階段の踏板を施工するときの養生材の取付作業の手間をなくしてプレカット階段の施工を容易化することができる。また、施工後に養生が不要な部分のみが他の梱包材で覆われているため、養生材の取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明において、階段は、踏板が長さ方向の一端部で側桁に嵌合されて固定され、他端部が施工現場で切断されて取り付けられるフリーカット階段であり、上記踏板の一端部を除く部分が養生材及び養生テープにより、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板を取付可能な状態となるように覆われており、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも他端部及び養生材で覆われていない部分が養生材以外の他の梱包材で覆われていることを特徴とする。
【0020】
この第4の発明では、踏板が長さ方向の一端部で側桁に嵌合されて固定され、他端部が施工現場で切断されるフリーカット階段における踏板が踏板の一端部を除く部分で養生材及び養生テープにより覆われ、梱包状態で組み合わせられた踏板の外周面の少なくとも他端部が他の梱包材で覆われているので、フリーカット階段の踏板を養生材で梱包できるとともに、フリーカット階段の踏板を施工するときの養生材の取付作業の手間をなくしてフリーカット階段の施工を容易化することができる。また、施工時にカットする部分及び施工後に養生が不要な部分のみが他の梱包材で覆われているため、養生材の取付前の清掃の手間が省け、さらには現場で排出される梱包材ゴミが最小限となる。
【0021】
第5の発明は、第4の発明において、踏板の他端部側の養生材には、踏板の切断位置に応じて養生材を切断可能な複数の脆弱部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
この第5の発明では、フリーカット階段の踏板の他端部を施工現場で切断して施工するときに、その切断に応じて養生材を脆弱部で容易に切断でき、養生材の切断工具による切断が不要となり、フリーカット階段の施工を容易に行うことができるとともに、カッター等の切断工具による踏板の傷付きのリスクを回避できる。
【0023】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、養生材の突出部には、相手側の踏板の踏面後端部を覆うように突出部の途中位置で後側に折曲げ可能な折曲げ可能部が設けられていることを特徴とする。
【0024】
この第6の発明では、養生材の突出部の途中に折曲げ可能部が形成されているので、2枚の踏板を重ねた積層状態では、折り曲げ可能部で突出部を折り曲げることにより、突出部の折り曲げられた先端側部が相手側の踏板の踏面後端部を養生テープが貼り付けられた状態のまま覆うようになり、階段セットの運搬時に踏板の踏面の後端部が傷付くのを防止することができる。また、開梱し、それぞれ施工するときには、養生材及び養生テープが貼り付けられた状態のまま施工されることになる。
【0025】
第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれか1つにおいて、養生材は、中間部で直角に折曲げ可能な平板状の板材からなっていて、その板材の折曲げによって踏面覆い部と前端面覆い部及び突出部とが形成可能に構成されていることを特徴とする。
【0026】
この第7の発明では、平板状の板材を折り曲げることで、養生材の踏面覆い部と前端面覆い部及び突出部とが形成されるので、別々の板材を直角に接合して踏面覆い部と前端面覆い部及び突出部とを形成する場合に比べ、別のテープ材料等を用いることなく、養生材を容易に形成することができる。
【0027】
第8の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つの階段セットに梱包された踏板により施工される階段であって、この階段は、各踏板が養生材及び養生テープで覆われたままの状態で側桁に固定され、養生材の突出部が前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げられて踏板裏面の前端部を覆っていることを特徴とする。
【0028】
この第8の発明では、階段の施工状態で、各踏板が養生材及び養生テープで覆われたまま側桁に固定され、養生材の突出部が後側に折り曲げられて踏板裏面の前端部を覆っているので、踏板の踏面、前端面及び裏面の前端部を養生材により覆って階段の養生を行うことができる。
【0029】
第9の発明は、第8の発明において、養生材の突出部と踏板裏面の前端部とに亘って養生テープが貼り付けられていることを特徴とする。
【0030】
この第9の発明では、養生材の突出部と踏板裏面の前端部とに亘って養生テープが貼り付けられているので、養生材の突出部が踏板裏面の前端部から離れて垂れ下がることはなく、階段の養生を安定して行うことができる。
【0031】
第10の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つの階段セットにより、階段の踏板を養生材によって梱包する階段踏板の梱包方法であって、この方法は、上記養生材を踏板に対し、養生材の踏面覆い部が踏板の踏面を、また前端面覆い部が踏板の前端面をそれぞれ覆うように積層して、上記踏面覆い部の後端部を踏板に養生テープにより固定するとともに、踏板に養生テープを、踏板の施工現場で該養生テープが外されることなく踏板が取付可能な状態となるように貼り付け、上記養生材が固定された2枚の踏板を各々の裏面が対向しかつ前後が逆にされた状態で重ね合わせて、各踏板の養生材の上記突出部が相手側の踏板の後端面を覆うように梱包することを特徴とする。
【0032】
この第10の発明でも、第1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0033】
第11の発明は、第10の発明の階段踏板の梱包方法により梱包された踏板によって階段を施工する方法であって、各踏板を養生材及び養生テープで覆われたままの状態で該養生テープを外すことなく側桁に固定し、養生材の突出部を前端面覆い部との境界位置で後側に折り曲げて踏板裏面の前端部を覆うことを特徴とする。
【0034】
この第11の発明でも、第8の発明と同様の作用効果が得られる。