(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のモータ(10)の第1のターゲット(13)の前記第1の開口角(λ1)は、前記第2のモータ(20)の第2のターゲット(23)の前記第2の開口角(λ2)の2倍に等しい、請求項1記載のアセンブリ。
前記第2のモータ(20)の2つの連続する第2のターゲット(23)の前記第2の角度間隔(β2)は、前記第2のモータ(20)の第2のターゲット(23)の前記第2の開口角(λ2)に等しい、請求項1から4のいずれか1項記載のアセンブリ。
前記第1のモータ(10)の2つの連続する第1のターゲット(13)の前記第1の角度間隔(β1)は、前記第1のモータ(10)の第1のターゲット(13)の前記第1の開口角(λ1)に等しい、請求項1から5のいずれか1項記載のアセンブリ。
【背景技術】
【0002】
公知のように、電気モータは、固定子部分と、当該固定子部分内を回転するように取り付けられた回転子部分とを有する。電気モータは、回転子部分と共に回転するように結合された出力シャフトをさらに有する。
【0003】
電気モータのシャフトの角度位置を測定するために、当該分野の当業者に、「レゾルバ」という用語で知られている位置センサを使用することが公知である。
【0004】
図1を参照すると、固定子部分11と、出力シャフトに接続された回転子部分12とを有している電気モータ10が、概略的に表されている。
図1に示されているように、位置センサ6は、電気モータ10の固定子部分11に対して固定された状態で取り付けられており、かつ、電気モータ10の回転子部分12に固定された複数のターゲット3の位置を検出するように適合されている。公知のように、位置センサ6による、ターゲット3の位置の検出は、上記の位置センサ6の少なくとも1つの送信巻線と1つの受信巻線との間の電圧の測定によって実行される。
【0005】
自動車のアーキテクチャの中には、例えば、車両の2つの駆動輪に、独立して電力を供給することを可能にするために、2つの電気モータを有するものがある。それらが自動車に組み込まれるとき、2つの電気モータは互いに並んで配置され、各電気モータの位置センサは互いに非常に近接して存在する。
【0006】
このことは、2つの位置センサの間に干渉を発生させる。例えば、第1の位置センサの送信巻線と第2の位置センサの受信巻線との間で磁気結合が起こり、この磁気結合がモータの角度位置の測定精度に影響を与える。
【0007】
この欠点を取り除くために、第1の解決策は、位置センサを互いから遠ざけることであるが、この解決策は、現在の自動車に対する小型化の要求の観点から不可能である。第2の解決策は、2つのモータの2つの位置センサの間に絶縁バリアを設置することである。実際には、このような絶縁バリアは、各位置センサ内に磁気擾乱を発生させる傾向にある。さらに、2つの独立したセンサの使用は高いコストを伴う。このような解決策もまた採用されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、互いに近接する少なくとも2つのモータの角度位置を、精度良くかつ高信頼度で測定することができる唯一つの位置測定装置を提供することによって、これらの欠点のうちの少なくともいくつかを克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、第1のモータと第2のモータとを少なくとも備えているアセンブリに関するものであり、この第1のモータ上および第2のモータ上には、それぞれ、複数の同一の第1のターゲットと、複数の同一の第2のターゲットとが取り付けられており、この複数の第1のターゲットは、2つの連続する第1のターゲット間の角度が第1の角度間隔となる角度で、第1のモータ上に配置されており、この複数の第2のターゲットは、2つの連続する第2のターゲット間の角度が第2の角度間隔となる角度で、第2のモータ上に配置されており、各第1のターゲットは第1の開口角を有しており、各第2のターゲットは第2の開口角を有しており、前記アセンブリは、前記2つのモータの間に位置しており、かつ、前記ターゲットの角度位置を測定するように適合されている1つの角度位置センサをさらに有しており、前記角度位置センサは、
・前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットの検出窓を規定しているプリント回路基板と、
・少なくとも第1のセットの受信巻線および第2のセットの受信巻線であって、前記第1のセットは、前記検出窓内において、前記複数の第1のターゲットを検出するためのものであり、前記第2のセットは、前記検出窓内において、前記複数の第2のターゲットを検出するためのものであり、前記受信巻線は角度をつけて延びている、第1のセットの受信巻線および第2のセットの受信巻線と、
・前記受信巻線に電圧を誘起するように適合された少なくとも1つの送信巻線と
を備えており、
・各セットの受信巻線は、ターゲットが検出されるときに正弦波信号を生成するように適合された正弦受信巻線と、ターゲットが検出されるときに余弦波信号を生成するように適合された余弦受信巻線とを有しており、
・各受信巻線は、正に向けられた少なくとも1つのターンと負に向けられた少なくとも1つのターンとを交互に有しており、各ターンは、前記プリント回路基板上に形成され、かつ、開口角を有している。
【0010】
本発明は、以下の点で注目すべきである。すなわち、
・前記第1のセットの前記正弦受信巻線のターンの開口角は、前記第2のセットの前記正弦受信巻線のターンの開口角の2n倍であり、nは整数であり、
前記第1のモータの第1のターゲットの前記第1の開口角は、前記第2のモータの第2のターゲットの前記第2の開口角の2n倍であり、nは整数であり、
前記第1のセットの前記正弦受信巻線のターンの前記開口角は、以下の式
2×M1=λ1+β1
にしたがって定義され、ここで、
λ1は、前記第1のモータの第1のターゲットの第1の開口角に相当し、
β1は、2つの連続する第1のターゲット間の第1の角度間隔に相当し、
前記第2のセットの前記正弦受信巻線のターンの前記開口角は、以下の式
2×M2=λ2+β2
にしたがって定義され、ここで、
λ2は、前記第2のモータの第2のターゲットの第2の開口角に相当し、
β2は、2つの連続する第2のターゲット間の第2の角度間隔に対応する。
【0011】
この2つのセットのおかげで、当該1つの位置センサは、有利なことに、2つのモータの角度位置を単独で測定可能である。さらに、干渉のリスクは、2つのセットが互いに異なる場合に少なくなる。さらに、第1のセットの正弦受信巻線のターンの開口角が、第2のセットの正弦受信巻線のターンの開口角の2n倍であるので、第1のセットの正弦波の周期は、第2のセットの正弦波の周期の倍数になる。この結果、受信巻線のセットの一方が、受信巻線のセットのもう一方と関連しているターゲットの位置を検出することは不可能となる。
【0012】
好適には、第1のセットの正弦受信巻線のターンの開口角は、第2のセットの正弦受信巻線のターンの開口角の2倍に等しい。したがって、第1の正弦巻線によって検出されるように適合されたターゲットは、第2の正弦巻線に対しては透過的であり、結果として検出されない。
【0013】
好適には、第2のセットの正弦受信巻線は、検出窓における、第1のセットの正弦受信巻線のターン数の倍数である2n個のターン数を有し、nは整数である。
【0014】
好適な態様によると、送信巻線は、2つのセットのそれぞれについて受信巻線を囲んでおり、その結果、送信巻線が受信巻線と結合される。
【0015】
好適には、第1のセットと第2のセットは、プリント回路基板において互いに向き合っており、その結果、第1のセットと第2のセットは、ターゲットが固定されているモータの回転軸から半径方向に同一の距離に延びている各ターゲットと協働することが可能である。したがって、位置センサは単一の検出窓を規定し、このことが位置センサの大きさを制限する。
【0016】
好適な態様によると、第2のモータの2つの連続する第2のターゲット間の第2の角度間隔は、第1のセットの受信巻線によって検出されないように、第2のモータの第2のターゲットの第2の開口角と等しい。
【0017】
また、好適には、第1のモータの2つの連続する第1のターゲット間の第1の角度間隔は、第1のモータの第1のターゲットの第1の開口角に等しい。好適には、第1のモータの第1のターゲットの第1の開口角は45°に等しい。
【0018】
本発明は、単なる例示として与えられた以下の説明を、添付の図面を参照して読むことにより、より明確に理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面は、本発明の実装に関して本発明を詳細に説明し、かつ、これらの図面は、当然のことながら、必要に応じて、本発明を良好に定義するために使用されることに留意されたい。
【0021】
本発明は、2つの電気モータによってそれぞれが回転駆動される2つの駆動輪を有する自動車に対して提示される。
【0022】
図2を参照すると、自動車は、固定子部分11および当該固定子部分11内を回転するように取り付けられた回転子部分12を有する第1のモータ10と、固定子部分21および当該固定子部分21内を移動するように取り付けられた回転子部分22を有する第2のモータ20とを有している。第1のモータ10の回転子部分12は、複数の第1のターゲット13を有し、一方で、第2のモータ20の回転子部分22は、複数の第2のターゲット23を有する。
【0023】
本発明のこの例示的な実施形態において、単一の位置センサ5は、モータ10、20の固定子部分11、21に対して固定された状態で取り付けられ、かつ、複数のターゲット13、23の位置を検出するように適合されている。ターゲット13、23は、モータ10、20が作動しているときに、位置センサ5の前を移動するように適合されている。ターゲット13、23の特性および位置は、
図6および7を参照して以下に示される。
【0024】
図3を参照すると、位置センサ5は、プリント回路基板50が取り付けられたハウジング(図示せず)を有している。
【0025】
この例示的な実施形態において、プリント回路基板50は、それぞれ、
図4および5に示されている、第1のセット1と第2のセット2の受信巻線を有する。この場合、これらのセット1、2は、重ね合わされているが、セット1、2が、プリント回路基板50の上でずらされても良いことは明らかである。
【0026】
プリント回路基板50は、また、これらのセット1、2の受信巻線に電圧を誘起するように適合された1つの送信巻線4を有する。このために、送信巻線4は、これらのセット1、2の受信巻線を囲んでいる。
【0027】
公知のように、送信巻線4は、上記のセット1、2の受信巻線との磁気結合を形成する。ターゲットが上記の受信巻線に近づくと、この磁気結合は、変化を受け、受信巻線を流れる電流の変化をもたらし、この電流の変化が、当該受信巻線に対するターゲットの角度位置情報に変換される。
【0028】
2つのセット1、2の受信巻線間の高周波数磁気結合を形成するための単一の送信巻線4が示されてきたが、セット1、2が2つの異なる送信巻線4に関連付けられ得ることは明らかである。
【0029】
さらに、プリント回路基板50は電子モジュール51を有し、この電子モジュール51は、磁気結合を形成し、受信巻線を流れる電流を測定することを可能にするために、上記セット1、2の受信巻線の動作および送信巻線4の動作を管理する。
【0030】
受信巻線の各セット1、2が、ここで、
図4および5を参照して示される。
【0031】
実際には、各セット1、2は、モータ10、20が作動しているときに、ターゲット13、23を追従できるように、角度をつけて延びている。しかし、わかりやすくするために、
図4および5では、セット1、2は、「直線状」に、すなわち、平坦に表している。以下では、セット1、2の長さは、検出窓Fまたは検出パターンと呼ばれる角度測定開口部に相当する。この例示的な実施形態において、セット1、2は、重ね合わされて、単一の検出窓Fを規定している。この例示的な実施形態において、検出窓Fは90°であるが、異なる値を有しても良いことは明らかである。
【0032】
図4を参照すると、第1のセット1は、ターゲットが検出されるときに正弦波信号を生成するように適合された正弦受信巻線1Sと、ターゲットが検出されるときに余弦波信号を生成するように適合された余弦受信巻線1Cとを有する。このような正弦巻線1Sと余弦巻線1Cとは、当業者には公知であり、詳細には説明されない。
【0033】
さらに
図4を参照すると、所望の正弦波信号および余弦波信号を得るために、正弦受信巻線1Sは、負に向けられたフルターンMS−と、正に向けられたフルターンMS+という2つのターンを有している。余弦受信巻線1Cは、第1の正のハーフターン1/2MC+と、負のフルターンMC−と、第2の正のハーフターン1/2MC+という2つのターンを有している。
【0034】
したがって、ターゲットがない場合、正のターンの磁界は、負のターンの磁界と相殺し、これらのターンの磁気的な合成値は、各受信巻線1S、1Cについてゼロである。逆に言えば、ターゲットが存在する場合、このつりあいが修正され、正弦巻線1Sおよび余弦巻線1Cの電圧を検知することによって、検出窓F内のターゲットの角度位置を正確に決定することが可能になる。
【0035】
この例において、
図4を参照すると、巻線1S、1Cの全てのフルターンは、同じ開口角を有する。90°の測定窓Fに対し、第1のセット1の正弦巻線1Sが2つのターンのみを有する場合に、第1のセット1の1つのフルターンの開口角M1は45度である。
【0036】
本発明によると、第1のセット1は、第1のモータ10の複数の第1のターゲット13を検出するように適合されている。
図6を参照すると、複数の第1のターゲット13は互いに同一であり、かつ、第1のモータ10の回転子部分12の周方向に角度をつけて配置されている。この例示的な実施形態においては、4つの第1のターゲット13が存在しているが、それより多くても少なくても良いことは明らかである。第1のターゲット13は、アルミニウムのような非磁性材料からなる環状に配置された扇形の形態である。
【0037】
さらに
図6を参照すると、複数の第1のターゲット13は、2つの連続する第1のターゲット13が、第1の角度間隔β1だけ間隔を空けるように、第1のモータ10の回転子部分12の周方向に配置されている。さらに、各第1のターゲット13は、第1の開口角λ1を有する。
【0038】
本発明のこの例において、第1のターゲット13の第1の開口角λ1は、第1のセット1のフルターンの開口角M1、すなわち、45°に等しい。また、好適には、2つの第1のターゲット13間の第1の角度間隔β1は、第1の開口角λ1に等しい。
【0039】
これは、本発明によると、使用可能な信号を生成するためには、第1のターゲット13が第1のセット1の1つのフルターンを完全に覆い、そのとき、次の1つのフルターンM1が第1のターゲットによって覆われないことが必要であるからである。したがって、第1のセット1のフルターンの開口角M1は、第1の開口角λ1と少なくとも等しく、好適には、第1の角度間隔β1とも等しい。
【0040】
第1の開口角λ1は、フルターンの開口角M1をわずかに(例えば、+10%だけ)超えても良いが、以下の式
2×M1=λ1+β1
を満たすためには、第1の角度間隔β1が、フルターンの開口角M1よりもわずかに(例えば、−10%)小さくなる必要がある。
【0041】
本発明によると、第1のセット1の正弦受信巻線の1つのターンの開口角M1は、以下の式
2×M1=λ1+β1
にしたがって定義され、好適には、
M1=λ1=β1
であり、ここで、
λ1は、第1のモータ10の第1のターゲット13の第1の開口角に相当し、
β1は、2つの連続する第1のターゲット13間の第1の角度間隔に相当する。
【0042】
好適には、上式の等式関係は厳密なものであるが、10%未満の差が許容可能であることが明らかである。
【0043】
図5を参照すると、第2のセット2は、ターゲットが検出されるときに正弦波信号を生成するように適合された正弦受信巻線2Sと、ターゲットが検出されるときに余弦波信号を生成するように適合された余弦受信巻線2Cとを有する。このような正弦巻線2Sおよび余弦巻線2Cは、当業者には公知であり、詳細には説明しない。
【0044】
第1のセット1の受信巻線1S、1Cとのいかなる干渉も回避するために、本発明によると、第2のセット2の受信巻線2S、2Cは、第1のセット1の受信巻線1S、1Cに依存して規定される。
【0045】
特に、検出窓Fに対しては、第2のセット2の正弦受信巻線2Sは、第1のセット1の正弦受信巻線1Sのターン数の倍数であるターン数を有する。この例示的な実施形態において、第2のセット2の正弦受信巻線2Sは、第1のセット1の正弦受信巻線1Sのターン数の2倍のターン数を有する。
【0046】
このために、
図5を参照すると、正弦受信巻線2Sは、負に向けられた2つのフルターンMS−と、正に向けられた2つのフルターンMS+という、4つのターンを有しており、正のターンMS+と、負のターンMS−とは交互に配置されている。同様に、余弦受信巻線2Cは、第1の正のハーフターン1/2MC+と、負のフルターンMC−と、正のフルターンMC+と、負のフルターンMC−と、第2の正のハーフターン1/2MC+という4つのターンを有している。
【0047】
図5を参照すると、巻線2S、2Cの全てのフルターンは、同じ開口角を有する。この例において、第2のセット2のフルターンの開口角M2は、22.5°(すなわち、45°/2)であり、すなわち、第1のセット1のフルターンの開口角M1の1/2である(n=1)。
【0048】
本発明によると、第2のセット2は、第2のモータ20の複数の第2のターゲット23を検出するように適合されている。
【0049】
図7を参照すると、複数の第2のターゲット23は、互いに同一であり、第2のモータ20の回転子部分22の周方向に角度をつけて配置されている。この例示的な実施形態においては、8つの第2のターゲット23があるが、それより多くても少なくても良いことが明らかである。第2のターゲット23は、アルミニウムなどの非磁性材料からなる、環状に配置された扇形の形態である。
【0050】
さらに
図7を参照して、複数の第2のターゲット23は、2つの連続する第2のターゲット23が、第2の角度間隔β2だけ間隔を空けるように、第2のモータ20の回転子部分22の周方向に配置されている。さらに、各第2のターゲット23は、第2の開口角λ2を有する。
【0051】
本発明のこの実施形態において、第2のターゲット23の第2の開口角λ2は、第2のセット2のフルターンの開口角M2、すなわち、22.5°に等しい。また、好適には、2つの第2のターゲット23間の第2の角度間隔β2は、第2の開口角λ2と等しい。換言すると、第2の開口角λ2と、複数の第2のターゲット23間の第2の角度間隔β2とは、第1の開口角λ1と、複数の第1のターゲット13間の第1の角度間隔β1と比較すると半分になっている。
【0052】
これは、本発明によると、使用可能な信号を生成するためには、第2のターゲット23が、第2のセットの1つのフルターンを完全に覆い、そのとき、次の1つのフルターンが、第2のターゲットによって覆われないことが必要であるからである。したがって、第2のセット2のフルターンの開口角M2は、第2の開口角λ2に少なくとも等しく、好適には、第2の角度間隔β2にも等しい。
【0053】
第2の開口角λ2は、第2のセット2のフルターンの開口角M2をわずかに(例えば、+10%だけ)超えても良いが、そのとき、以下の式
2×M2=λ2+β2
を満たすためには、第2の角度間隔β2は、フルターンの開口角M2よりもわずかに(例えば、−10%)小さくなる必要がある。
【0054】
換言すると、第2のセット2の正弦受信巻線2Sのターンの開口角M2は、以下の式
2×M2=λ2+β2
で定義され、好適には、
M2=λ2=β2
であり、ここで、
λ2は、第2のモータ20の第2のターゲット23の第2の開口角に相当し、
β2は、2つの連続する第2のターゲット23間の第2の角度間隔に相当する。
【0055】
好適には、上式の等式関係は厳密なものであるが、10%未満の違いは許容可能であることが明らかである。
【0056】
本発明の実装の例が、
図4乃至7を参照して示される。
【0057】
車両が移動しているとき、第1のモータ10および第2のモータ20は活動状態であり、それらのターゲット13、23は回転駆動されている。位置センサ5は、検出窓Fの前を通過して移動する第1のターゲット13および第2のターゲット23を観測している。
【0058】
実際には、位置センサ5は、第1のターゲット13および第2のターゲット23の角度位置を同時に測定する。
【0059】
明確さのために、第1のターゲット13の角度位置の測定について最初に説明し、その後、第2のターゲット23の角度位置の測定について説明する。
【0060】
第1のモータ10の回転中、複数の第1のターゲット13は、
図2に示されているように、位置センサ5の前を、より具体的には、受信巻線の2つのセット1、2の前を、回転駆動される。
【0061】
第1のセット1の受信巻線1S、1C前で第1のターゲット13が回転している間、第1のターゲット13の第1の開口角λ1が、第1のセット1の1つのフルターンの開口角M1に相当するならば、第1のターゲット13の角度位置が識別される。換言すると、第1のターゲット13は、1つのフルターンM1と相互作用し、結果として、第1の正弦巻線1Sおよび第1の余弦巻線1Cの磁気的な合成値に不平衡をもたらす。そして、正弦波信号および余弦波信号は、第1のターゲット13の角度位置を決定するために、第1のセット1によって形成され、送信される。
【0062】
さらに、第2のセット2の受信巻線2S、2C前で第1のターゲット13が回転している間、第1のターゲット13の影響は、第2のセット2の受信巻線2S、2Cに対して透過的である。これは、第1のターゲット13の第1の開口角λ1は、第2のセット2のフルターンの開口角M2の2倍に相当すると仮定すると、第1のターゲット13は、
図5に示されているように、第2のセット2の受信巻線2S、2Cの正に向けられた1つのターンと、負に向けられた1つのターンとを同時に覆うからである。換言すると、第2のセット2における、第1のターゲット13の影響による磁気的な合成値はゼロであり、第2のセット2は、第1のモータ10の第1のターゲット13に反応しない。
【0063】
したがって、本発明によって、モータ10の角度位置は、第2のセット2に影響を与えることなしに、位置センサ5の第1のセット1によって識別される。
【0064】
第2のモータ20の回転中、複数の第2のターゲット23は、
図2に示されているように、位置センサ5の前を、より具体的には、2つの受信巻線のセット1、2の前を、回転駆動される。
【0065】
第2のセットの受信巻線2S、2C前で第2のターゲット23が回転している間、第2のターゲット23の第2の開口角λ2が第2のセット2のフルターンの開口角M2に相当するならば、第2のターゲット23の角度位置が識別される。他の点では、第2のターゲット23と第2のセット2との関係性は、上に示した、第1のターゲット13と第1のセット1との関係性と類似している。
【0066】
したがって、第2のターゲット23は、1つのフルターンと相互作用し、結果として、第2の正弦巻線2Sおよび第2の余弦巻線2Cの磁気的な合成値に不平衡さをもたらす。したがって、正弦波信号および余弦波信号は、第2のターゲット23の角度位置を決定するために、第2のセット2によって形成され、送信される。
【0067】
さらに、第1のセット1の受信巻線1S、1C前で第2のターゲット23が回転している間、第2のターゲット23の影響は、第1のセット1の受信巻線1S、1Cに対して透過的である。これは、一方で、第2のターゲット23の第2の開口角λ2が第1のセット1の1つのフルターンの開口角M1の1/2であると仮定し、もう一方で、2つの第2のターゲット23間の第2の角度間隔β2が第2の開口角λ2に等しいと仮定すると、2つの第2のターゲット23は、
図4に示されているように、第1のセット1の受信巻線1S、1Cの正に向けられた1つのハーフターンと、負に向けられた1つのハーフターンとを同時に覆うからである。換言すると、第1のセット1における第2のターゲット23の影響による磁気的な合成値はゼロであり、第1のセット1は、第2のモータ20の第2のターゲット23に反応しない。
【0068】
したがって、本発明によれば、第2のモータ20の角度位置が、第1のセット1に影響することなしに、位置センサ5の第2のセット2によって識別される。
【0069】
したがって、唯一つの位置センサ5が、2つの別個のモータ10、20の角度位置を、干渉するリスクなしに同時に決定することができる。二つの測定ができるこのような位置センサ5は、サイズが制限され、コストが低減されており、このことにより、いかなる自動車の構成にも組み込むことが可能である。
【0070】
90°の開口角を有する検出窓Fについての他の実施形態が示される。
【0071】
図8および9を参照すると、本発明の第2の実施形態が表現されている。
図4と類似の方法で
図8に示されているように、第1のセット1の正弦受信巻線1Sは、負に向けられた1つのフルターンMS−と、正に向けられた1つのフルターンMS+という2つのターンを有している。同様に、第1のターゲット13の第1の開口角λ1は、第1のセット1の1つのフルターンの開口角M1、すなわち、45°と等しい。
【0072】
図9を参照すると、第2のセット2の正弦受信巻線2Sは、正のターンMS+と負のターンMS−とが交互になった8つのターンを有している。この例において、第2のセット2の1つのフルターンの開口角M2は11.25°であり、すなわち、第1のセット1の1つのフルターンの開口角M1の1/4である(n=2)。第2のターゲット23の第2の開口角λ2は、第2のセット2の1つのフルターンの開口角M2、すなわち、11.25°に等しい。また、好適には、2つの第2のターゲット23間の第2の角度間隔β2は、第2の開口角λ2に等しい。
【0073】
したがって、
図8を参照すると、2つの第2のターゲット23が、第1の負のターンMS−上に同時に存在し、2つの第2のターゲット23が、第2の正のターンMS+上に同時に存在する。磁気的な合成値はゼロであり、第1のセット1は、第2のモータ20の第2のターゲット23に反応しない。
【0074】
図10および11を参照すると、本発明の第3の実施形態が表現されている。第1のセット1の正弦受信巻線1Sは、負に向けられた1つのフルターンMS−と、正に向けられた1つのフルターンMS+という2つのターンを有する。同様に、第1のターゲット13の第1の開口角λ1は、第1のセット1の1つのフルターンの開口角M1、すなわち、45°に等しい。
【0075】
図11を参照すると、第2のセット2の正弦受信巻線2Sは、正のターンMS+と負のターンMS−とが交互になった12のターンを有している。この例において、第2のセット2の1つのフルターンの開口角M2は7.5°であり、すなわち、第1のセット1の1つのフルターンの開口角M1の1/6である(n=3)。第2のターゲット23の第2の開口角λ2は、第2のセット2の1つのフルターンの開口角M2、すなわち、7.5°に等しい。また、好適には、2つの第2のターゲット23間の第2の角度間隔β2は、第2の開口角λ2に等しい。
【0076】
したがって、
図11を参照すると、3つの第2のターゲット23が、第1の負のターンMS−上に同時に存在し、3つの第2のターゲット23が、第2の正のターンMS+上に同時に存在する。磁気的な合成値はゼロであり、第1のセット1は、第2のモータ20の第2のターゲット23に反応しない。