(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、電子デバイスを製造する分野に関するものであり、より詳細には、半導体製造において使用される材料の分野に関するものである。
【0002】
リソグラフィー・プロセスにおいては、レジストパターンが高すぎる(高アスペクト比)場合には、使用される現像液からの表面張力に起因してレジストパターンが崩壊しうることは公知である。多層レジスト・プロセス(例えば三層、そして四層プロセス)が開発されており、これらは、高アスペクト比が望まれる場合のパターン崩壊というこの問題に対処するものである。そのような多層プロセスでは、レジスト最上層、一つ又は複数の中間層、及び最下層(又は下地層)を使用する。そのような多層レジスト・プロセスでは、最上層のフォトレジスト層に典型的な手法で画像形成し現像して、レジストパターンを得る。パターンはその後、一つ又は複数の中間層に、典型的にはエッチングにより転写する。各中間層は、異なるエッチ・プロセス、例えば異なるプラズマエッチが使用されるようなものを選択する。最後に、このパターンを下地層に、典型的にはエッチング、例えば反応性イオンエッチ(RIE)により転写する。下地層材料は、典型的には高炭素含有量材料から構成されるものの、そのような中間層は、様々な材料から構成されてもよい。下地層材料は、エッチ選択性だけでなく、所望の反射防止特性、平坦化特性が得られるように選択する。
【0003】
パターン形成された高炭素含有量材料のアスペクト比が増大し加工寸法が縮小するにつれ、フッ素含有RIEによる高炭素含有量の下地層材料から基板へのパターン転写によって、下地層材料における深刻なパターン変形(「蛇行」)が生じ、最終的にこれは、基板への成功裡のパターン転写を阻害する。エッチ選択性に影響を及ぼすもう一つの重要なパラメーターは、大西数(Ohnishi Number)(ON)であり、これは、分子中の原子総数(N
T)を、分子中の炭素原子数(N
C)から酸素原子数(N
O)を減算した数で除算したもの、すなわちN
T/(N
C−N
O)である。ONは、材料のエッチ応答性に比例し、ONが小さいほどエッチ選択性は良好であることを示す。
【0004】
所望の反射防止特性、及びエッチ選択性を有し、これらの多層プロセスと共に使用するのに好適な下地層材料の開発のために、様々な試みがなされてきた。こうした複数の試みには、9,9−ジアリール−9−フルオレンモノマーの使用が関与しており、このモノマーの場合、アリール部分のそれぞれが、アリール部分を以降の重合に向け活性化させる基、例えばヒドロキシ、又はアリールオキシ置換基を有している。例えば、米国特許出願公開第2008/0153033号には、式
【0005】
【化1】
【0006】
の、9,9−ビス(置換フェニル)フルオレン反復単位を有するポリマーが開示されており、式中、Gはアルコキシ基を有する芳香族環含有基であり、R
1メチレンである、又は非フルオレン含有アリール結合基を含む。そのような芳香族ポリマーは、所望のエッチ選択性、すなわち、エッチ耐性を示さない。所望の反射防止特性、及び向上したエッチ選択性、特にO
2及びCF
4プラズマに対するエッチ耐性を有する下地層材料への需要は依然として存在する。
【0007】
本発明は、テトラアリールメタンモノマーを基本にした、新規の高炭素含有量材料を提供するものであり、このモノマーでは、アリール部分のただ一つが、活性化基を有している。これらの材料は、基本的に重要な化学的及び物理的特性、例えば:高い熱的安定性、高炭素含有量、低H含有量、高弾性、及び高い膜密度を有する。後の方の諸特性は、エッチ選択性問題を克服してパターン変形防止するのに基本的に重要である。本材料は、有する酸素含有量が、従来のフルオレン系材料と比較して少なく、従って、ONが従来の材料と比較してさらに小さく、これに関係して、エッチ選択性がより良好である。
【0008】
本発明は、式(1)
【0009】
【化2】
【0010】
の一つ又は複数のテトラアリールモノマー単位が重合したものを含む重合反応生成物を提供し、式中、AGは、OR、NR
2、及びSRから選択される活性化基を表し;Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4は、独立にアリール部分を表し;Rは、H、随意に置換されたC
1−30アルキル、随意に置換されたC
2−30アルケニル部分、随意に置換されたC
2−30アルキニル部分、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から独立に選択され;R
1、R
2、R
3、及びR
4は、随意に置換されたC
1−30アルキル、随意に置換されたC
2−30アルケニル部分、随意に置換されたC
2−30アルキニル部分、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から独立に選択され;Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4のいずれの二つも、それらが結合する炭素と共に、5又は6員環の縮合脂環式環を形成してもよく;aは0から4の整数;そしてb、c、及びdは独立に、0から5の整数である。
【0011】
また本発明が提供するのは、上記の重合反応生成物と、有機溶媒と、随意に、硬化剤及び界面活性剤から選択された、一つ又は複数の添加物とを含む組成物である。
【0012】
さらに本発明は、基板上に、上記の組成物を配置すること;有機溶媒を除去してポリマー下層を形成すること;ポリマー下層の上にフォトレジスト層を配置すること;フォトレジスト層を、マスクを通じて化学放射線で露光すること;露光されたフォトレジスト層を現像してレジストパターンを形成すること;及びパターンをポリマー下層に転写して基板の部分を露出させること、を含む、パターン形成層を形成する方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、式(1)
【0014】
【化3】
【0015】
を有するテトラアリールメタンモノマーを提供し、式中、AGは、OR、NR
2、及びSRから選択される活性化基を表し;Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4は、独立にアリール部分を表し;Rは、H、随意に置換されたC
1−30アルキル、随意に置換されたC
2−30アルケニル部分、随意に置換されたC
2−30アルキニル部分、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から独立に選択され;R
1、R
2、R
3、及びR
4は、随意に置換されたC
1−30アルキル、随意に置換されたC
2−30アルケニル部分、随意に置換されたC
2−30アルキニル部分、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から独立に選択され;Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4のいずれの二つも、それらが結合する炭素と共に、5又は6員の縮合脂環式環を形成してもよく;aは0から4の整数;そしてb、c、及びdは独立に、0から5の整数であり;Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4ののいずれも、結合して5又は6員の縮合脂環式環を形成していない場合には、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4の少なくとも一つは、二つ以上の縮合芳香族環を有するアリール部分である。
【0016】
本明細書で使用されるとおり、ある構成要素が、別の構成要素「の上に配置されている」と称される場合には、その構成要素は、別の構成要素の上に直接配置されていてもよく、又は介在する構成要素がそれらの間に存在してもよい。これとは対照的に、ある構成要素が「別の構成要素の上に直接配置されている」と称される場合には、介在する構成要素は存在しない。
【0017】
第1の、第2の、第3の、等の用語は、各種構成要素、構成部分、領域、層及び/又は区分を説明するのに本明細書で使用されることがあるが、これらの構成要素、構成部分、領域、層及び/又は区分は、これらの用語によって限定されるべきではないことは理解されよう。これらの用語は、一方の構成要素、構成要素、領域、層、又は区分を、他方の構成要素、構成部分、領域、層、又は区分から区別するのに使用されるだけである。よって、以下に考察される第1の、構成要素、構成部分、領域、層、又は区分は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の、構成要素、構成部分、領域、層、又は区分と表現されることもあり得る。
【0018】
本明細書を通して使用されるとおり、下記略語は、文脈が明瞭にそれ以外に指示していない限り、下記意味を有するものとし:℃=摂氏温度;mmol=ミリモル;g=グラム;μm=ミクロン=マイクロメートル;nm=ナノメートル;Å=オングストローム;L=リットル;mL=ミリリットル;sec.=秒;min.=分;そしてhr.=時間である。他に言及のない限り、すべての量は、重量パーセントであり、すべての比はモル比である。すべての数値範囲は、その両端を含み、いかなる順序で組み合わせることも可能であるが、例外は、そのような数値範囲の足し合わせが上限100%に制限されることがはっきりしている場合である。略語「wt%」は、それ以外に言及のない限り、参照される組成物の全重量を基準にした重量パーセントを指す。
【0019】
本明細書に使用されるとおり、「形状」とは、基板の上、そして特に半導体ウェーハの上の幾何学形状を指す。用語「アルキル」は、直線の、分岐した、及び環状のアルキルを含む。同様に、「アルケニル」は、直線の、分岐した、及び環状のアルケニルを、そして「アルキニル」は、直線の、及び分岐したアルキニルを指す。用語「硬化させる」によって、材料の分子量、又は組成を増加させるあらゆるプロセス、例えば重合、又は縮合が意図される。「硬化可能」とは、特定の状態下で、硬化する(重合する)ことのできるあらゆる材料を指す。用語「オリゴマー」とは、二量体、三量体、四量体、及びさらに硬化することができる他の比較的低分子量の材料を指す。「脂環式」とは、非芳香族の炭素環式環であって、飽和又は不飽和であってもよいものを指す。冠詞「a」、「an」、及び「the」は、単数、及び複数を指す。
【0020】
テトラアリールメタンモノマーは、中心炭素(メタン)に直接結合した4つの芳香族環を有する本反応生成物であって、ただ一つの芳香族環を活性化基で置換した生成物を形成するのに有用である。本発明のテトラアリールメタンモノマーは、(1)式
【0021】
【化4】
【0022】
を有し、式中、AGは、OR、NR
2、及びSRから選択された活性化基を表し;Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4は、独立にアリール部分を表し;Rは、H、随意に置換されたC
1−30アルキル、随意に置換されたC
2−30アルケニル部分、随意に置換されたC
2−30アルキニル部分、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から独立に選択され;R
1、R
2、R
3、及びR
4は、随意に置換されたC
1−30アルキル、随意に置換されたC
2−30アルケニル部分、随意に置換されたC
2−30アルキニル部分、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から独立に選択され;Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4のいずれの二つも、それらが結合する炭素と共に、5又は6員環の縮合脂環式環を形成してもよく;aは0から4の整数;そしてb、c、及びdは独立に、0から5の整数である。AGは、好ましくはOR、そしてより好ましくはOHである。Rは、好ましくは、H、随意に置換されたC
1−20アルキル、随意に置換されたC
2−20アルケニル部分、随意に置換されたC
2−20アルキニル部分、随意に置換されたC
7−20アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から選択され、より好ましくは、H、随意に置換されたC
1−20アルキル、随意に置換されたC
7−20アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から選択され、さらに好ましくは、H、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から選択され、そしてさらに好ましくはHである。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、随意に置換されたC
1−20アルキル、随意に置換されたC
2−20アルケニル部分、随意に置換されたC
2−20アルキニル部分、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から、そしてより好ましくは随意に置換されたC
1−20アルキル、随意に置換されたC
7−30アラルキル部分、又は随意に置換されたC
6−20アリール部分から独立に選択されるのが好ましい。aは0から2であり、より好ましくは0又は1であり、そしてさらに好ましくは0であるのが好ましい。b、c、及びdは独立に、0から4、より好ましくは0から2、そしてさらに好ましくは0の整数であるのが好ましい。「置換された」アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、又はアリール部分とは、C
1−20アルキル、C
2−20アルケニル、C
7−30アラルキル、又はC
6−20アリールから;そして好ましくはC
1−10アルキル、C
2−12アルケニル、C
7−30アラルキル、又はC
6−20アリールから選択される一つ又は複数の置換基で置換される一つ又は複数の水素を有する、あらゆるアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、又はアリール部分を指す。
【0023】
式(1)では、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4は、独立にアリール部分を表す。本明細書で使用されるとおり、「アリール部分」は芳香族環系を指し、この系は炭素環式、複素環式、又はそれらの混合物であってもよく、そして好ましくは炭素環式である。用語「アリール部分」には:単一芳香族環、例えばフェニル又はピリジル;縮合芳香族環、例えばナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、又はキノリニル;及び芳香族環及び脂環式環の両方を有する縮合環系、例えば1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、9,10−ジヒドロアントラセン、又はフルオレンが挙げられる。多様なアリール部分を、Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4のそれぞれに使用してもよく、それぞれは、非置換であっても、置換されていてもよい。そのような非置換アリール部分は、5から40個の炭素、好ましくは6から40個の炭素、そしてより好ましくは6から35個の炭素を有する。Ar
2、Ar
3、及びAr
4は、置換されたC
6−40アリール部分、より好ましくは随意に置換されたC
6−40炭素環式アリール部分、及びさらに好ましくは非置換のC
6−30炭素環式アリール部分から独立に選択されるのが好ましい。Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4に好適なアリール部分には:フェニル、ビフェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、テトラセニル、トリフェニルエニル、テトラフェニル、ベンゾ[f]テトラフェニル、ベンゾ[m]テトラフェニル、ベンゾ[k]テトラフェニル、ペンタセニル、ペリレニル、ベンゾ[a]ピレニル、ベンゾ[e]ピレニル、ベンゾ[ghi]ペリレニル、コロネリル、キノロニル、7,8−ベンゾキノリニル、フルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、及び12H−ジベンゾ[b,h]フルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアリール部分には:フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、テトラセニル、トリフェニレニル、テトラフェニル、ベンゾ[f]テトラフェニル、ベンゾ[m]テトラフェニル、ベンゾ[k]テトラフェニル、ペンタセニル、ペリレニル、ベンゾ[a]ピレニル、ベンゾ[e]ピレニル、ベンゾ[ghi]ペリレニル、コロネリル、及びフルオレニルが挙げられる。Ar
1にふさわしいアリール部分は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、トリフェニルエニル、又はペリレニルであるのがさらに好ましく、そしてAr
2、Ar
3及びAr
4にふさわしいアリール部分は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、トリフェニレニル、ペリレニル、フルオレニル、ベンゾ[b]フルオレニル、ジベンゾ[b,h]フルオレニル、ベンゾ[de]アントラセニル、テトラヒドロアントラセニル、又はシクロペンタ[def]フェナントレニルであることがさらに好ましい。Ar
1では、モノマーの中心炭素に直接結合した芳香族環は、活性化基であるAGにより置換され、この活性化基は、Ar
1を以降の重合に向け活性化する。特に好ましいのは、テトラアリールメタンモノマーであって、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4のいずれの二つも結合して、5又は6員の縮合環を形成するものである。Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4のいずれの二つも結合して、5又は6員の縮合環を形成する場合、そのような縮合環系は、3から6個の縮合環、及び好ましくは3から5個の縮合環を含む。
【0024】
式(1)の好ましいモノマーであって、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4のいずれも、結合して縮合環を形成しないモノマーには、制限なしに、下記の:
【0025】
【化5】
【0026】
が挙げられる。式(1)のさらに好ましいモノマーであって、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4のいずれも、結合して縮合環を形成しないモノマーは、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4の少なくとも一つが、2個以上の縮合芳香族環を有するアリール部分である、又は芳香族複素環部分である、モノマーであり、さらに好ましいのは、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4の少なくとも一つが、2個以上の縮合した芳香族環を有するアリール部分、又はAr
2、Ar
3及びAr
4の少なくとも一つが、芳香族複素環部分であるモノマーであり、そしてさらに好ましいのは、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4の少なくとも一つが、2個以上の縮合芳香族環を有するアリール部分であるモノマーである。
【0027】
Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4の二つが結合して、5又は6員の縮合脂環式環を形成する式(1)のモノマーは、一般式(1−1)、(1−2)又は(1−3):
【0028】
【化6】
【0029】
を有し、式中、AG、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、R
1、R
2、R
3、R
4、a、b、及びcは、上に定義したとおりであり;a’は、0から3の整数;c’及びd’は、独立に0から4の整数;そしてc”及びd”は、独立に0から4の整数である。好ましくは、a’は、0から2の整数であり、そしてより好ましくはa’=0又は1、そしてさらに好ましくはa’=0である。c’は0から3整数、より好ましくは0又は1、そしてさらに好ましくはc’=0であるのが好ましい。d’は0から3の整数、より好ましくは0又は1、そしてさらに好ましくはd’=0であるのが好ましい。好ましくは、c”及びd”は、独立に0から2整数、そしてより好ましくは0又は1である。より好ましくはc”及びd”の一方が0であり、そしてさらに好ましくは、c”及びd”の両方が0である。Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4の二つが結合して、5又は6員の縮合脂環式環を形成する、式(1)のモノマーは、式(1−1)又は(1−3)を有することが好ましい。
【0030】
式(1−1)、及び(1−2)の好ましいモノマーには、制限なしに下記:
【0031】
【化7】
【0032】
が挙げられる。式(1−3)の好ましいモノマーには、制限なしに下記:
【0033】
【化8】
【0034】
が挙げられる。
【0035】
本発明のモノマーは、当該技術分野で公知方法により容易に準備し得る。典型的には、本モノマーは、まずジアリールケトン、例えばベンゾフェノン、又は9−フルオレノンと、アリールグリニャール試薬、又はアリールリチウム試薬、例えばフェニルマグネシウムブロミド、又はフェニルリチウムとを、適切な溶剤中で反応させて、トリアリールメタノール中間体を形成させることにより、準備してもよい。次に、トリアリールメタノール中間体を、活性化基、例えばOHを含有するアリール部分と、適切な溶剤中、酸触媒、例えばp−トルエンスルホン酸(pTSA)の存在下で反応させる。活性化基を含有するアリール部分は、好ましくは、1当量よりわずかに少ない量を反応において使用する。式(1)の本モノマーを、ヒドロキシ、アミノ、又はメルカプト置換されたジアリールケトン、例えば3−ヒドロキシ−9−フルオレノオンを使用して準備してもよいが、その条件は、この化合物をアリールグリニャール試薬又はアリールリチウム試薬と反応させる前に、ヒドロキシル、アミノ又はメルカプト基をまず保護することである。そのような保護基は、当業者に公知である。例えば、式(1)のモノマーは、3−ヒドロキシ−9−フルオレノオンを使用して、まず3−ヒドロキシ−9−フルオレノンとジメチルスルフェートとを、水酸化リチウムの存在下で反応させて、3−メトキシ−9−フルオレノンを生成させることにより準備してもよく、3−メトキシ−9−フルオレノンは、フェニルマグネシウムブロミドとの反応時に3−メトキシ−9−フェニル−9−フルオレン−9−オールを生成する。後者と塩化アセチルとの反応により、9−クロロ−3−メトキシ−9−フェニル−9H−フルオレンが生成され、引き続くフェニルリチウムとの置換反応により、3−メトキシ−9,9−ジフェニル−9H−フルオレンが生成される。最後に、メトキシ基の脱保護により、所望のモノマーである9,9−ジェニル−9H−フルオレン−3−オールが得られる。
【0036】
本発明の重合反応生成物は、ホモポリマー、又はコポリマーであってもよく、そして重合する単位として、上記の式(1)の一つ又は複数のモノマーを含む。好ましくは、本重合応生成物はコポリマーであり、そしてさらに好ましくは、重合する単位として式(1)の一つ又は複数のテトラアリールメタンモノマー、及び式(2)及び(3):
【0037】
【化9】
【0038】
から選択される一つ又は複数のモノマーを含むコポリマーであり、式中、R
5は、H、随意に置換されたC
1−60脂肪族部分、及び随意に置換されたC
5−60アリール部分から選択され;Ar
5は、随意に置換されたC
5−60アリール部分であり;各R
6は、H、随意に置換されたC
1−60脂肪族部分、及び随意に置換されたC
5−60アリール部分から独立に選択され;そしてXは、OH、C
1−2アルコキシ基、又はハロゲンから選択される。式(2)及び(3)の文脈では、「置換された」脂肪族部分、又はアリール部分は、C
1−20アルキル、C
2−20アルケニル、C
7−30アラルキル、又はC
6−20アリール;及び好ましくは、C
1−10アルキル、C
2−12アルケニル、C
7−30アラルキル、又はC
6−20アリールから選択される一つ又は複数の置換基と置換される一つ又は複数の水素を有する、あらゆる脂肪族部分、又はアリール部分を指す。好ましくはR
5は、H、随意に置換されたC
1−60脂肪族部分、随意に置換されたC
6−60炭素環式アリール部分、及び随意に置換されたC
4−60ヘテロアリール部分;そしてより好ましくはH、随意に置換されたC
1−30脂肪族部分、及び随意に置換されたC
6−30炭素環式アリール部分から選択される。各R
6は、好ましくは、H、随意に置換されたC
1−60脂肪族部分、随意に置換されたC
6−60炭素環式アリール部分、及び随意に置換されたC
4−60ヘテロアリール部分;そしてより好ましくは、H、随意に置換されたC
1−30脂肪族部分、及び随意に置換されたC
6−30炭素環式アリール部分から選択される。Ar
5は、好ましくは、随意に置換されたC
6−60炭素環式アリール部分、より好ましくは随意に置換されたC
6−30炭素環式アリール部分であり、そして最も好ましくは、C
6H
4、C
10H
6、C
14H
8、C
12H
8、C
13H
8、C
16H
8、C
18H
10、及びC
24H
10から選択される。式(2)の好ましいモノマーには、制限なしに:ホルムアルデヒド(又はその均等物、パラホルムアルデヒド)、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、アントラアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒド、フルオレンカルボキサルデヒド、及びビフェニルカルボキシアルデヒドが挙げられる。式(3)の好ましいモノマーには、1,4−フェニレンジメタノール、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、及び1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼンが挙げられる。さらに好適な実施形態では、本重合反応生成物は、重合する単位として、上記の式(1)の一つ又は複数のモノマーと、上記の式(2)又は(3)の一つ又は複数のモノマーと、随意に、式Ar
6の一つ又は複数のモノマーであって、Ar
6が、随意に置換されたアリール部分を表すモノマーとを含む。Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4にふさわしい上記アリール部分のいずれも、Ar
6にふさわしいものとして適切に使用してもよい。好ましくはAr
6は、随意に置換されたC
6−40アリール部分、より好ましくは随意に置換されたC
6−40炭素環式アリール部分、そしてさらには好ましくは、非置換のC
6−30炭素環式アリール部分である。ヒドロキシルだけでなく、Ar
1、Ar
2、Ar
3、及びAr
4にふさわしい上記のいずれの置換基も、Ar
6にふさわしい置換基として適切に使用してもよい。より好ましくは、Ar
6は、フェノール、ヒドロキシナフタレン、アントラセン、ヒドロキシアントラセン、フェナントレン、ヒドロキシフェナントレン、アセナフチレン、ピレン、1−ピレノール、テトラセン、トリフェニレン、テトラフェン、ベンゾ[f]テトラフェン、ベンゾ[m]テトラフェン、ベンゾ[k]テトラフェン、ペンタセン、ペリレン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[ghi]ペリレン、コロネン、フルオレン、及びヒドロキシフルオレンから選択され、これらはそれぞれ、随意に置換されてもよい。Ar
6が、3個未満の縮合芳香族環を有する場合には、Ar
6はヒドロキシルと置換されているのが好ましい。概して、式(1)の芳香族モノマー総量の、式(2)又は(3)のモノマー量に対する比は、1:1から1.5:1であり、好ましくは1.1:1から1.5:1、そしてより好ましくは1.1:1から1.35:1である。あるいは、式(2)のモノマーは、式(1)の芳香族モノマー総量の総量と比較して過剰に使用してもよい。
【0039】
本発明の好ましいポリマーは、式(4)
【0040】
【化10】
【0041】
の反復単位を含むものであり、式中、AG、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、R
1、R
2、R
3、R
4、a、b、c及びdは、式(1)に関して上に定義したとおりであり;Aは、−CH(R
5)−、−C(R
6)
2−Ar
5−C(R
6)
2−、又はそれらの混合物から選択され;Ar
5、Ar
6、R
5、及びR
6は、上記のとおりであり;n及びmはそれぞれ、ポリマーにおける反復単位の数を表し;nは、1から500の整数であり;そしてmは0から500の整数である。好ましくは、n=2から500であり、より好ましくはn=2から300であり、さらに好ましくはn=2から250であり、そしてさらに好ましくはn=2から100である。好ましくは、m=0から300であり、より好ましくは1から300であり、そしてさらに好ましくは1から100である。Aは、−CH(R
5)−から選択されるのが好ましい。本発明のポリマーは、多様な電子デバイス製造プロセスにおける下地層形成における使用に特に好適である。
【0042】
本発明のポリマーは、当該技術分野で公知手順により準備してもよい。好適な一手順は、反応式(1)の一つ又は複数のモノマーと、式(2)又は(3)の一つ又は複数のモノマーと、そして随意に式Ar
6の一つ又は複数のモノマーとを、適切な溶剤中、酸、例えばpTSAの存在下で、加熱して反応させることである。そのようなポリマーは、そのままで使用してもよく、又はさらに精製してもよい。好ましくはポリマーは、使用前にさらに精製される。好適なポリマー精製手順は当業者に公知である。概して本ポリマーは、900から100,000、そして好ましくは900から10000の範囲の分子量を有する。本ポリマーは、適切ないかなる多分散性を有してもよく、例えば1から10、そして好ましくは1から5を有してもよい。
【0043】
下地層を形成するのに有用な適切な組成物は、上記ポリマー(芳香族樹脂)の一つ又は複数と、有機溶媒と、及び随意に、界面活性剤及び硬化剤から選択された一つ又は複数の添加物とを含む。本組成物において他の添加物を適切に使用してもよいことは、当業者には認識されるであろう。本発明の組成物は、ポリマー、溶媒、及びあらゆる随意の添加物を、任意の順序で配合することにより準備してもよい。典型的には、これら組成物中の本ポリマーの量は、2から20wt%、そして好ましくは3から15wt%である。
【0044】
いかなる溶媒を使用してもよいが、その条件は、充分な量の重合反応生成物が、使用される溶媒、又は溶媒混合物中で可溶性であるということである。そのような溶剤には、芳香族炭化水素類、アルコール類、ラクトン類、エステル類、グリコール類、及びグリコールエーテル類が挙げられるが、これらには限定されない。有機溶媒の混合物を使用してもよい。代表的な有機溶媒には、制限なしに、トルエン、キシレン、メシチレン、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、メチルイソブチルカルビノール、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、メチル2−ヒドロキシイソブチレート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びシクロヘキサノンが挙げられる。溶媒中の芳香族樹脂反応生成物の濃度は、広い範囲にわたり変化してもよいこと、そしてスピンオン技術により堆積させたいかなる膜の厚みも、溶媒中の反応生成物の濃度に依存することは、当業者により認識されるであろう。
【0045】
随意に、本下地層組成物は、堆積した重合反応生成物膜の硬化を助長する一つ又は複数の硬化剤をさらに含んでいてもよい。硬化剤は、基板表面上のポリマーの硬化を生じるあらゆる構成要素である。好ましい硬化剤は、酸類及び熱酸発生剤である。適切な酸類には:アリールスルホン酸類、例えばp−トルエンスルホン酸;アルキルスルホン酸類、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、及びプロパンスルホン酸;ペルアルキルスルホン酸類、例えばトリフルオロメタンスルホン酸;及びペルフルオロアリールスルホン酸類が挙げられるが、これらに限定されない。熱酸発生剤は、熱に曝された時点で酸を放出するあらゆる化合物である。熱酸発生剤は、当該技術分野で周知であり、概して、例えばKing Industries社、コネチカット州、ノーウォークから購入可能である。代表的な熱酸発生剤には、制限なしに、アミンブロック型強酸類、例えばアミンブロック型スルホン酸類、例えばアミンブロック型ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。特定の光酸発生剤が、加熱時点で酸を放出することが可能であり、熱酸発生剤として機能しうることもまた、当業者に認識されるであろう。本組成において有用なそのような硬化剤の量は、当業者には周知であり、典型的には、0から10wt%、そして好ましくは0から3wt%である。
【0046】
本下地層組成物は、随意に一つ又は複数の表面レベリング剤(又は界面活性剤)を含んでいてもよい。いかなる適切な界面活性剤を使用してもよい一方で、そのような界面活性剤は、典型的には非イオン性である。代表的な非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシ結合、例えばエチレンオキシ結合、プロピレンオキシ結合、又はエチレンオキシ結合とプロピレンオキシ結合との組み合わせを含有するものである。本組成において有用なそのような界面活性剤の量は、当業者に周知であり、典型的には0から5wt%の範囲にある。
【0047】
本重合応生成物は、各種電子デバイスの製造において有用であり、例えば、基板上に、上記の組成物を配置すること;有機溶媒を除去してポリマー下層を形成すること;ポリマー下層の上にフォトレジストの層を配置すること;フォトレジスト層を、マスクを通じて化学放射線で露光すること;露光されたフォトレジスト層を現像してレジストパターンを形成すること;及びパターンをポリマー下層に転写して基板の部分を露出させること、を含む、パターン形成層の形成プロセスにおいて有用である。
【0048】
本組成物は、あらゆる適切な手段、例えばスピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング等によって、電子デバイス基板上に配置されてもよい。スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング法では、本組成物は、15〜90sec.間、500から4000rpmの回転数で回転している基板の上に塗布されて、基板の上に芳香族樹脂反応生成物の所望の層が得られる。重合反応生成物層(ポリマー下層)の高さは、回転速度を変化させることにより調節してもよいことは、当業者には認識されるであろう。
【0049】
本発明においては多様な電子デバイス基板を使用してもよく、例えば:パッケージ基板、例えばマルチチップモジュール;フラットパネルディスプレー基板;集積回路基板;有機発光ダイオード(OLED)を含む発光ダイオード(LED)用基板;半導体ウェーハ;多結晶シリコン基板;等を使用してもよい。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン・タングステン、ニッケル、銅、及び金の、一つ又は複数から構成される。好適な基板は、ウェーハの形態、例えば、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレー、集積光回路、及びLEDの製造において使用されるものであってもよい。本明細書で使用されるとおり、用語「半導体ウェーハ」は、「電子デバイス基板」、「半導体基板」、「半導体デバイス」、及び様々な高さを相互接続するための様々なパッケージを包含することが意図されており、これらには、シングルチップウエーハ、マルチチップウエーハ、様々な高さ用のパッケージ、又はハンダ接続が必要な他の組立体が含まれる。そのような基板は、いかなる適切なサイズであってもよく、例えば、200mmから300mmの径を有するウェーハであってもよい。本明細書で使用されるとおり、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの活性な又は動作可能な部分を含む一つ又は複数の半導体層又は構造を有するいかなる基板も含まれる。半導体デバイスとは、半導体基板であって、その上に少なくとも一つのマイクロ電子デバイスがバッチ処理により作製済の、又は作製されつつある基板を指す。
【0050】
ポリマー(反応生成物)下地層は、基板の上に堆積された後、随意に比較的低温でベークされて、あらゆる溶媒、及び他の比較的揮発性の成分が、下地層から除去される。典型的には、基板は、150℃以下の温度でベークされ、好ましくは60から125℃、そしてより好ましくは90から115℃でベークされる。ベーク時間は典型的には、10sec.から10min.、好ましくは30sec.から5min.、そしてより好ましくは6から90sec.である。基板がウェーハである場合、そのようなベーク工程は、ホットプレート上でウェーハを加熱することにより実行してもよい。
【0051】
その後、ポリマー下層を充分硬化させて、この膜が、引き続いて塗布される有機質層、例えばフォトレジスト、又は下地層の直上に配置された他の有機質層と混合しないようにする。ポリマー下層は、酸素含有雰囲気、例えば空気中、又は不活性雰囲気、例えば窒素中で、加熱等の、硬化した芳香族樹脂の下地層が得られるのに充分な条件下で硬化させてもよい。そのような条件は、下地層膜の所望の反射防止特性(n及びk値)、及びエッチ選択性を維持しつつ、引き続いて塗布される有機質層、例えばフォトレジスト層と混合しないように膜を硬化させるのに充分である。この硬化工程は、ホットプレート式装置上で好ましくは実行されるが、オーブンによる硬化を使用して、均等な結果を得てもよい。典型的には、そのような硬化は、重合反応生成物層を150°C以上、好ましくは150から450℃、そしてより好ましくは200から450℃の硬化温度で加熱して実行される。硬化温度は、250℃以上、そしてさらに好ましくは250から450℃であるのが、さらに好ましい。選択される硬化温度は、ポリマー下層を硬化させるのに充分であるべきである。熱酸発生剤を使用する場合には、硬化温度は、熱酸発生剤が酸を放出してポリマー下層の硬化を助長するのに充分であるべきである。硬化時間は、10sec.から10min.、好ましくは30sec.から5min.、より好ましくは45sec.から5min.、そしてさらに好ましくは45から90sec.であってもよい。最終的な硬化温度の選択は、主に所望の硬化速度に依存し、硬化温度が高いほど硬化時間は短くなければならない。
【0052】
もしも、溶媒と硬化する副生成物との急速な変化によって下地層膜の品質が台無しになることがあり得ないように硬化工程を実行するのであれば、初期のベーク工程は必要ではない可能性がある。例えば、ランプドベーク(ramped bake)を比較的低温で開始し、そしてその後、徐々に200から325℃の範囲に増加させることによって、許容できる結果が得られる。場合によっては、2段階の硬化プロセスであって、第1段階は200℃より低い低温ベーク温度で、第2段階は好ましくは200と400℃の間のさらに高いベーク温度である硬化プロセスを有するのが好ましいことがあり得る。2段階の硬化プロセスにより、事前に存在する基板表面形状の均一な充填及び平坦化、例えばトレンチ及びビアの充填が容易になる。
【0053】
ポリマー下層の硬化後、一つ又は複数の加工層、例えばフォトレジスト、シリコン含有層、ハードマスク層、反射防止膜(又はBARC)最下層等を、硬化した下地層の上に配置してもよい。例えば、フォトレジストは、例えばスピンコーティングにより、硬化させた下地層の表面の上に直接配置してもよい。多様なフォトレジストを適切にして使用してもよく、例えば193nmリソグラフィーにおいて使用したもの、例えば、Dow Electronic Materials(マサチューセッツ州、マールボロ)から購入可能な、EPIC(商標)の名で販売されているものを使用してもよい。好適なフォトレジストは、ポジ型現像又はネガ型現像レジストのいずれであってもよい。硬化した下地層上の塗膜の後、続いてフォトレジスト層に、パターン化された化学放射線を使用して画像形成(露光)し、露光されたフォトレジスト層にその後、適切な現像液を使用して現像して、パターン形成されたフォトレジスト層を得る。次にパターンを、フォトレジスト層から下地層に適切なエッチング技術により転写する。典型的には、そのようなエッチング工程の最中に、フォトレジストも除去される。次に、パターンを基板に転写し、硬化させた下地層を、当該技術分野で公知の適切なエッチング技術、例えばプラズマ・エッチングにより除去する。基板のパターン形成に続いて、硬化させた下地層を、従来技術を使用して除去する。電子デバイス基板はその後、従来手段に従って処理する。
【0054】
あるいは、硬化した下地層は、多層レジスト・プロセスの最下層として使用してもよい。そのようなプロセスでは、重合反応生成物の層を、基板上に配置し、上記のとおりに硬化させる。次に、一つ又は複数の中間層を、硬化した下地層の上に配置する。例えば、シリコン含有層、又はハードマスク層を、硬化した下地層の上に直接配置する。代表的なシリコン含有層には、シリコンBARCが挙げられ、これを、硬化の後、下地層の上にスピンコートしてもよく、又は無機シリコン層、例えばSiON、若しくはSiO
2が挙げられ、これらをは、化学蒸着法(CVD)により下地層の上に堆積してもよい。好適なハードマスクは、いかなるものを使用してもよく、いかなる好適な技術により下地層の上に堆積してもよく、そして適宜硬化させてもよい。随意に、有機BARC層を、シリコン含有層、又はハードマスク層の上に直接配置してもよく、そして適宜、硬化させてもよい。次に、フォトレジスト、例えば193nmリソグラフィーにおいて使用するものを、シリコン含有層(三層プロセスの場合)の上に直接、又は有機BARC層(四層プロセスの場合)の上に直接配置する。フォトレジスト層にその後、パターン化した化学放射線を使用して画像形成(露光)し、露光されたフォトレジスト層をその後、適切な現像液を使用して現像し、パターン形成されたフォトレジスト層を得る。パターンは次に、フォトレジスト層からすぐ下の層に、当該技術分野で公知の適切なエッチング技術、例えばプラズマ・エッチングにより転写する結果、三層プロセスでは、パターン形成されたシリコン含有層、そして四層プロセスでは、パターン形成された有機BARC層が得られる。もし、四層プロセスを使用するなら、次にパターンを有機BARC層から、シリコン含有層、又はハードマスク層上に、適切なパターン転写技術、例えばプラズマ・エッチングを使用して転写する。シリコン含有層、又はハードマスク層にパターン形成した後、硬化させた下地層にその後、適切なエッチング技術、例えばO
2又はCF
4プラズマを使用してパターン形成する。パターン形成されて残ったフォトレジスト及び有機BARC層はすべて、硬化した下地層をエッチングする最中に除去される。次に、パターンをその後、基板に、例えば適切なエッチング技術により転写するが、これにより残ったシリコン含有層、又はハードマスク層もすべて除去され、続いて、パターン形成されて残った下地層をすべて除去し、パターン形成された基板を得る。
【0055】
本発明の重合反応生成物を、自己整合ダブルパターニングプロセスに使用してもよい。そのようなプロセスでは、上記の重合反応生成物の層は、基板上に、例えばスピンコーティングにより配置する。残った有機溶媒は、すべて除去して、ポリマー(芳香族樹脂)層を硬化させて芳香族樹脂の下地層を形成させる。好適なフォトレジストの層をその後、配置された芳香族樹脂の下地層の上に、例えばスピンコートにより配置する。フォトレジスト層にその後、パターン化された化学放射線を使用して画像形成(露光)し、露光されたフォトレジスト層をその後、適切な現像液を使用して現像し、パターン形成されフォトレジスト層を得る。次にパターンを、フォトレジスト層から芳香族樹脂の下地層に、適切なエッチング技術により転写し、基板の部分を露出させる。典型的には、そのようなエッチング工程の最中に、フォトレジストも除去される。次に、コンフォーマル(conformal)なシリコン含有層を、パターン形成された重合反応生成物層、及び基板の露出した部分の全面に配置される。そのようなシリコン含有層は典型的には、無機シリコン層、例えばSiON又はSiO
2であり、これらは従来、CVDにより堆積されているものである。そのようなコンフォーマルな塗膜は、結果として、下地層パターン全面のみならず基板表面の露出した部分の上のシリコン含有層となる、すなわち、そのようなシリコン含有層は、下地層パターンの側部及び頂部を実質的に被覆する。次に、シリコン含有層を、部分エッチ(トリミング)して、パターン形成された芳香族樹脂の下地層の最上面、及び基板の部分を露出させる。この部分エッチング工程に続いて、基板上のパターンは、複数の形状を含み、それぞれの形状は、芳香族樹脂下地層の線又は柱を含み、芳香族樹脂下層の形状の側部にはシリコン含有層がじかに隣接している。次に、芳香族樹脂の下地層を、例えばエッチングにより除去し、芳香族樹脂の下層パターンの下にあった基板表面を露出させると、基板表面上のパターン形成されたシリコン含有層が得られるが、この場合、パターン形成されたそのようなシリコン含有層は、パターン形成された芳香族樹脂の下地層と比較して倍増(すなわち、2倍の数の線及び/又は柱)する。
【0056】
本ポリマーの利点は、それらの有する酸素含有量が、従来のテトラアリールメタンモノマーから形成したポリマーと比較して、減少していることである。よって、本重合応生成物から形成した、硬化したアンダーフィルは、従来のテトラアリールメタンモノマーから形成したアンダーフィルと比較して、エッチ選択性が向上している。本テトラアリールメタンモノマーは、比較的高い炭素含有量、及び比較的低いH含有量を有する。本重合応生成物は、比較的高い熱的安定性(400℃以上)、比較的高い弾性、そして比較的高い膜密度を有し、これらは、基本的に重要な特性であり、エッチ選択性問題を克服し、パターン変形、例えば、下地層として使用される従来の高炭素含有量材料に発生するものを防止するのに基本的に重要である。本ポリマーはまた、良好な平坦化特性を有し、ギャップフィル(gap−fill)用途に有用である。従って、本組成物は、本ポリマーの平坦化層又はギャップフィル層を堆積するのに使用してもよい。
【0057】
実施例1:窒素雰囲気下、乾燥テトラヒドロフラン(THF)150mL中、9−フルオレノン(18.2g、100mmol)の溶液を滴下して、0℃で、THF中、フェニルマグネシウムブロミド溶液の1M溶液100mLに加えた。加えた最後に、反応混合物を室温で16時間、攪拌した。反応混合物を、塩化アンモニウムの飽和溶液100mL注いだ。混合物を2回、ジエチルエーテルを用いて抽出した。一つにまとめたエーテル溶液を、MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、19.5g(76%)の中間体(I1)を得た。
1H NMR (CDCl
3) : 7.72=7.73 (m, 2H), 7.27−7.57 (m, 11H).
13C NMR (CDCl
3) : 150.74, 143.5, 139.87, 135.02, 129.38, 128.75, 128.53, 127.51, 125.71, 125.12124.69, 120.619, 120.39.
【0058】
【化11】
【0059】
実施例2:60mLの1,2−ジクロロエタン中、中間体(I1)(7.6g、29.5mmol)、及びフェノール(2.7g、28.7mmol)の溶液に、pTSA一水和物(0.5g、2.6mmol)を加え、混合物を70℃で3時間、攪拌した。反応混合物を分離漏斗に移し、50mLの0.5%重炭酸アンモニウム水溶液を用いて1回、洗浄した後、脱イオン水(それぞれ50mL)で3回、洗浄した。1,2−ジクロロエタンを減圧下で除去し、テトラアリールメタンモノマー(1−1a)(7.5g、85%)を生成した。
1H及び
13CのNMR分析により、生成物は二つ構造異性体から成ることが示されたが、これらは単離しなかった。生成混合物を、引き続く反応において使用した。
【0060】
実施例3:100mLの1,2−ジクロロエタン中、中間体(I1)(15g、58mmol)、及び2−ナフトール(8.3g、57.57mmol)の溶液に、pTSA一水和物(0.8g、4.22mmol)を加え、混合物を70℃で4時間、攪拌した。反応混合物を分離漏斗に移し、100mLの0.5%重炭酸アンモニウム水溶液を用いて1回、洗浄した後、脱イオン水(それぞれ100mL)を用いて2回、洗浄した。1,2−ジクロロエタンを減圧下で除去し、テトラアリールメタンモノマー(1−1b)(20.3g、91%)を生成した。
1H及び
13CのNMR分析により、生成物が構造異性体から成ることが示されたが、これらは単離しなかった。生成混合物を、引き続く反応において使用した。
【0061】
実施例4:100mLの1,2−ジクロロエタン中、中間体(I1)(8g、31.0mmol)、及びピレン−1−オール(6.5g、30mmol)から作製された溶液に、pTSA一水和物(0.3g、1.57mmol)を加え、混合物を70°Cで4時間、攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、不溶性物質をろ過により除去した。ろ液を、100mLの0.5%水重炭酸アンモニウム溶液を用いて1回、洗浄した後、脱イオン水(それぞれ100mL)を用いて2回、洗浄した。1,2−ジクロロエタンを、減圧下で除去して、テトラアリールメタンモノマー(1−1d)(6.9、49%)を生成した。
1H及び
13CのNMR分析により、生成物は構造異性体から成ることが示されたが、これらは単離しなかった。生成混合物を引き続く反応において使用した。
【0062】
実施例5:フェニルマグネシウムブロミドをβ−ナフチルマグネシウムブロミドに代えて、中間体(I2)を得たことを別にして、実施例1の手順を繰り返した。
【0063】
実施例6:9−フルオレノンをアントラキノンに代たこと、及び200mLの1Mフェニルマグネシウムブロミドを使用して中間体(I3)を得たことを別にして、実施例1の手順を繰り返した。
【0064】
【化12】
【0065】
実施例7:中間体(I1)をトリフェニルメタノール(中間体(I4))に代えて、テトラアリールモノマー(1a)を得たことを別にして、実施例2の手順を繰り返した。
【0066】
実施例8:中間体(I1)をα−(4−ピリジル)ベンズヒドロール(中間体(I5))に代えて、テトラアリールモノマー(1m)を得たことを別にして、実施例3の手順を繰り返した。
【0067】
【化13】
【0068】
実施例9:中間体(I1)を中間体(I2)に置き換えて、テトラアリールモノマー(1−1g)を生成したことを別にして、実施例3の手順を繰り返した。
【0069】
実施例10:中間体(I1)を中間体(I3)に代え、105mmolの2−ナフトールを使用してテトラアリールモノマー(1−2b)を得たことを別にして、実施例3の手順を繰り返した。
【0070】
実施例11:中間体(I1)を中間体(I3)に代え、60mmolのピレン−1−オールを使用してテトラアリールモノマー(1−2c)を得たことを別にして、実施例3の手順を繰り返した。
【0071】
実施例12:15mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中、実施例2で得られたテトラアリールモノマー(1−1a)(5.0g、14.51mmol)、及びパラホルムアルデヒド(0.6g、19.8mmol)の溶液に、pTSA一水和物(0.15g、0.8mmol)を加えた。反応混合物を、窒素雰囲気下、120°Cで16時間、攪拌した。混合物を室温に冷却し、メタノール(200mL)中にゆっくりと注ぎ、ポリマーAを沈殿させた。ポリマーAをろ過して取り出し、メタノールを用いて洗浄した。結果として得られた粗ポリマーを、30mLのMeOH中に懸濁させ、室温で2時間、攪拌した。ポリマーをろ過して乾燥させた。ポリマーを、GPCにより分析し、これによってM
w=1940、及びM
w/M
n=1.3が示された。
【0072】
実施例13:45mLのPGMEA中、実施例3で得られた13.0g(33.8mmol)のテトラアリールモノマー(1−1b)、1.1g(36.3mmol)のパラホルムアルデヒド、及び0.32g(1.68mmol)のpTSAを使用してポリマーBを準備したことを別にして、実施例12の手順を繰り返した。ポリマーBをGPCにより分析し、これによってM
w=1400、及びM
w/M
n=1.3が示された。
【0073】
実施例14:25mLのPGMEA中、実施例4で得られた8.0g(16.85mmol)のテトラアリールモノマー(1−1d);0.6g(20.2mmol)のパラホルムアルデヒド、及び0.16g(0.84mmol)のpTSAを使用してポリマーCを生成したことを別にして、実施例12の手順を繰り返した。ポリマーCをGPCにより分析し、これによってM
w=2630、及びM
w/M
n=1.8が示された。
【0074】
実施例15:30mLのPGMEAの中、実施例4で得られた7.35g(15.3mmol)のテトラアリールモノマー(1−1d);2.4g(15.36mmol)の2−ナフトアルデヒド、及び0.5g(5.2mmol)のメタンスルホン酸を使用してポリマーDを生成したことを除いて、実施例14の手順を繰り返した。ポリマーDをGPCにより分析し、これによりM
w=1200及びM
w/M
n=1.3が示された。
【0075】
実施例16:パラホルムアルデヒドをピレンカルボキシアルデヒドに代え、pTSAをメタンスルホン酸に代えてポリマーEを生成したことを別にして、実施例12の手順を繰り返した。
【0076】
実施例17:2−ナフトアルデヒドを4−ビフェニルカルボキシアルデヒドに代えて、ポリマーFを生成したことを別にして、実施例15の手順を繰り返した。
【0077】
実施例18:テトラアリールモノマー(1−1a)をテトラアリールモノマー(1a)に代えてポリマーGを生成したことを別にして、実施例12の手順を繰り返した。
【0078】
実施例19:テトラアリールモノマー(1−1a)をテトラアリールモノマー(1m)に代えてポリマーHを生成したことを別にして、実施例12の手順を繰り返した。
【0079】
実施例20:パラホルムアルデヒドをフェナントレンカルボキシアルデヒドに代えてポリマーIを生成したことを別にして、実施例13の手順を繰り返した。
【0080】
実施例21:テトラアリールモノマー(1−1d)をテトラアリールモノマー(1−2c)に代えてポリマーJを生成したことを別にして、実施例15の手順を繰り返した。
【0081】
実施例22:本発明のポリマーの熱的安定性を、熱重量分析(TGA)を使用して測定した。ポリマーA及びBはそれぞれ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中、10wt%の固体に調合した。ポリマーCは、シクロヘキサノン中、10%の固体に調合した。続いてそれぞれの溶液を、0.2μmのポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)シリンジフィルターに通してろ過し、シリコンウエーハ上に1500rpmでコーティングし、100℃で60sec.間、ベークして溶媒を除去し、さらに400°Cで60sec.間、硬化させた。硬化した膜をウェーハから削り落として、TGAにより分析した。結果は表1に報告してあり、本ポリマー応生成物が良好な熱的安定性を有することを示している。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例23:ポリマーA及びBをそれぞれ、PGMEA中、10wt%の固体に調合した。ポリマーC及びDは、シクロヘキサノン中、10%の固体に調合した。比較用のポリマーC1(1−ナフトール及びホルムアルデヒドの重縮合生成物、Gun Ei Chemicalから入手、M
w=6066、及びM
n=2362)、及びC2(6,6’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ビス(ナフタレン−2−オール)、及び1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼンの重縮合生成物、Gun Ei Chemicalから入手)を、PGMEA中、10wt%の固体に調合した。次に各溶液を、0.2μmのPTFEシリンジフィルターに通してろ過し、シリコンウエーハ上に1500rpmでコーティングし、100°Cで60sec.間ベークして溶媒を除去し、さらに400°Cで60sec.間、ベークした。硬化したそれぞれの膜を、O
2及びCF
4プラズマを使用してエッチ選択性について評価した。エッチ速度は、エッチ時間及びエッチング前後の膜厚の差から計算した。エッチング試験を、Plasma−Therm Co.から入手したPLASMATHERM(商標)RIE790を使用して実行した。エッチング条件は表2に要約してあり、エッチング結果は表3に報告してある。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】