特許第6076423号(P6076423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6076423
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】音楽再生装置及び音楽再生方法
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   G10H1/00 102Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-154321(P2015-154321)
(22)【出願日】2015年8月4日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】515213799
【氏名又は名称】文 漢基
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】文 漢基
【審査官】 菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−204297(JP,A)
【文献】 特開平01−283595(JP,A)
【文献】 特開平04−146473(JP,A)
【文献】 特開昭56−043673(JP,A)
【文献】 特開2007−017651(JP,A)
【文献】 特開2000−214848(JP,A)
【文献】 特開2000−338972(JP,A)
【文献】 特開2000−242267(JP,A)
【文献】 特開2006−195045(JP,A)
【文献】 実開平03−103472(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00− 1/46
G10K 15/04
G09B 5/00− 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成別プログラムごとに各組成の音階及び各組成の音階の各音に関する音声ファイルを貯蔵する音階音声データベースと、
選択された楽曲に対する楽譜ファイルを分析して前記楽譜ファイルの情報を抽出する楽譜ファイルパージング部と、
抽出された前記楽譜ファイルの情報から選択された前記楽曲の組成を判断し、前記音階音声データベースから前記楽曲の組成にマッチングする音階を抽出し、抽出された音階に基づいて前記音声ファイルを再生する、演奏制御部と、を含み、
前記音声ファイルは、階名の発音及び音の高さにより発声された人間の音声データを含み、
前記音階音声データベースは、主音が互いに異なる音階の組成に対応する12個の前記組成別プログラムを含み、
前記演奏制御部は、前記楽曲の組成に対応する前記組成別プログラムを選択し、前記楽曲が含む各音について、選択された前記組成別プログラムに対応する組成の音階の各音に対応する前記音声ファイルを順に再生することを特徴とする、
音楽再生装置。
【請求項2】
前記音声ファイルは、人間が発声可能な最低音域帯から最高音域帯に渡り、各組成の音階について各音の高さに合うように発声した人間音声の録音データであることを特徴とする、請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項3】
前記演奏制御部は、転調要請を受信した場合、変更要請された組成に基づいて選択する前記組成別プログラムを変更し、変更された前記組成別プログラムに基づいて前記音声ファイルを再生する、請求項1又は2に記載の音楽再生装置。
【請求項4】
少なくとも1つの音楽ファイルを含む音楽ファイルデータベースと、
前記楽譜ファイルパージング部から抽出された前記楽譜ファイルの情報に基づいて、前記少なくとも1つの音楽ファイルのうち選択された音楽ファイルを利用して演奏を行う演奏部と、
前記楽譜ファイルパージング部から抽出された前記楽譜ファイルの情報を表示するディスプレイ部と、を更に含む、
請求項1〜のいずれか一項に記載の音楽再生装置。
【請求項5】
主音が互いに異なる音階の組成に対応する12個の組成別プログラムごとに各組成の音階及び各組成の音階の各音に関する音声ファイルを、音楽再生装置によって、貯蔵するステップと、
選択された楽曲に対する楽譜ファイルを分析して前記楽譜ファイルの情報を抽出するステップと、
抽出された前記楽譜ファイルの情報から選択された前記楽曲の組成を判断するステップと、
組成別プログラムごとに貯蔵された各組成の音階及び各組成の音階の各音に関する音声ファイルから前記楽曲の組成にマッチングする音階を抽出するステップと、
抽出された音階に基づいて前記音声ファイルを再生するステップと、を含み、
前記音声ファイルは、階名の発音及び音の高さにより発声された人間の音声データを含み、
前記音声ファイルを再生するステップは、
前記楽曲の組成に対応する前記組成別プログラムを選択するステップと、
前記楽曲が含む各音について、選択された前記組成別プログラムに対応する組成の音階の各音に対応する前記音声ファイルを順に再生するステップと、を含むことを特徴とする、
音楽再生方法。
【請求項6】
前記音声ファイルは、人間が発声可能な最低音域帯から最高音域帯に渡り、各組成の音階について各音の高さに合うように発声した人間音声の録音データであることを特徴とする、請求項に記載の音楽再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽再生装置及び音楽再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT産業の発達は音楽にも大きな影響を与えているが、電子ピアノ、電子楽譜、ファイル基盤の音源等を代表的な例として挙げることができる。このように、ITと音楽との出会いは、大衆が様々な形態の音楽に容易に接することができるようにしてくれている。
【0003】
このうち、電子楽譜では、音楽が記譜形態で表現され、様々な電子楽譜の形式が紹介されてきた。このような電子楽譜の形式には、これまで最も多く使用されてきたMIDI(Musical Instrument Digital Interface)ファイル形式をはじめとして、MusicXML、MML(Music Markup Language)、NIFF(Notation Interchange File Format)、SMDL(Standard Music Description Language)、MNML(Musical Notation Markup Language)、HTML(Music HTML)、JScoreML、Xscore(eXtensible Score Language)等様々な音楽的表現と体系を有する楽譜形式がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの楽譜形式は、それぞれ表記形式が異なり、使用目的や音楽的表現の程度が異なるため、楽譜を扱おうとする人を基準とせず、楽譜が処理される機械が基準になったり、楽譜を表記する記譜法や分析、検索等において制約を有していたり、応用性及び拡張性が期待に及ばない等の電子楽譜形式の標準としての限界を有している。
【0005】
したがって、このような限界を克服することにより、様々な音楽的表現を可能にしながらも、音楽に対する記譜や分析及び検索等様々な応用に適用しながら、拡張性の高い電子楽譜の必要性が増大してきて、インターネット環境下でより様々なこのような要求を満たすために、MusicXMLというXMLを基盤とする電子楽譜形式が開発された。MusicXMLは現在、電子楽譜形式の標準として最も適したものと評価されている。しかし、音楽楽譜を標準化した電子的な楽譜形式で表現することが重要であるだけに、実世界に存在する数多くの楽譜を電子楽譜で表現したとき、これらの楽譜を楽譜通りに実際に演奏できるようにし、膨大な楽譜の中から所望の楽譜を検索する場合に題目や作曲家等の単なるキーワード情報によるものではなく、実際に表現された楽譜内容を基盤とした検索のための楽譜管理が何よりも重要であり必要である。
【0006】
現在、音楽楽譜表現において最も標準に近い電子楽譜形式はMusicXMLである。MusicXMLは、代表的な音楽楽譜形式であり、これまで広く使用されてきたMIDI形式の豊かな音楽的表現に対して制限的であるという欠点を克服して、様々な音楽的表現に適しており、かつDTDがすべてに公開されており、その応用性と拡張性に優れているため、MIDIの後を継ぐ電子楽譜形式の標準として最も適したものと評価されている。
【0007】
デスクトップコンピュータ、ノートパソコン等のコンピューティング装置が家庭及び教育現場に広く普及されている現在の状況において、このような電子楽譜を子供等のための音楽教育に利用すれば最小の費用で大きな教育的効果を期待することができるものの、まだこれに関連する効率的な方案が提示されていないのが実情である。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、音楽教育水準が高くない使用者が容易に歌の階名を覚えることができるようにして音楽教育に有用に使用することが可能な、新規かつ改良された音楽再生装置及び音楽再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、組成別プログラムごとに各組成の音階及び各組成の音階の各音に関する音声ファイルを貯蔵する音階音声データベースと、選択された楽曲に対する楽譜ファイルを分析して前記楽譜ファイルの情報を抽出する楽譜ファイルパージング部と、抽出された前記楽譜ファイルの情報から選択された前記楽曲の組成を判断し、前記音階音声データベースから前記楽曲の組成にマッチングする音階を抽出し、抽出された音階に基づいて前記音声ファイルを再生する、演奏制御部と、を含み、前記音声ファイルは、階名の発音及び音の高さにより発声された人間の音声データを含み、前記音階音声データベースは、主音が互いに異なる音階の組成に対応する12個の前記組成別プログラムを含む、音楽再生装置が提供される。
【0010】
前記演奏制御部は、前記楽曲の組成に対応する前記組成別プログラムを選択し、前記楽曲が含む各音について、選択された前記組成別プログラムに対応する組成の音階の各音に対応する前記音声ファイルを順に再生してもよい。
【0011】
前記音声ファイルは、人間が発声可能な最低音域帯から最高音域帯に渡り、各組成の音階について各音の高さに合うように発声した人間音声の録音データであってもよい。
【0012】
前記演奏制御部は、転調要請を受信した場合、変更要請された組成に基づいて選択する前記組成別プログラムを変更し、変更された前記組成別プログラムに基づいて前記音声ファイルを再生してもよい。
【0013】
少なくとも1つの音楽ファイルを含む音楽ファイルデータベースと、前記楽譜ファイルパージング部から抽出された前記楽譜ファイルの情報に基づいて、前記少なくとも1つの音楽ファイルのうち選択された音楽ファイルを利用して演奏を行う演奏部と、前記楽譜ファイルパージング部から抽出された前記楽譜ファイルの情報を表示するディスプレイ部と、を更に含んでもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、主音が互いに異なる音階の組成に対応する12個の組成別プログラムごとに各組成の音階及び各組成の音階の各音に関する音声ファイルを、音楽再生装置によって、貯蔵するステップと、選択された楽曲に対する楽譜ファイルを分析して前記楽譜ファイルの情報を抽出するステップと、抽出された前記楽譜ファイルの情報から選択された前記楽曲の組成を判断するステップと、組成別プログラムごとに貯蔵された各組成の音階及び各組成の音階の各音に関する音声ファイルから前記楽曲の組成にマッチングする音階を抽出するステップと、抽出された音階に基づいて前記音声ファイルを再生するステップと、を含み、前記音声ファイルは、階名の発音及び音の高さにより発声された人間の音声データを含む、音楽再生方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、音楽教育水準が高くない使用者が容易に歌の階名を覚えることができるようにして音楽教育に有用に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の一例を示す説明図である。
図2】同実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
図3】同実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
図4】同実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
図5】同実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
図6】同実施形態に係る音階を利用した音声再生装置の機能構成の一例を示す説明図である。
図7】同実施形態に係る音階音声データベースのデータテーブルの一例を示す説明図である。
図8】同実施形態に係る音楽再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は様々な変更を加えることができ、様々な実施例を有し得るところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明する。
【0018】
しかし、これは、本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の技術的思想及び技術的範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解しなければならない。
【0019】
第1、第2等の用語は様々な構成要素を説明するのに使用され得るが、前記構成要素は前記用語により限定されてはならない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながら第1の構成要素は第2の構成要素と命名され得、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名され得る。「及び/又は」という用語は、複数の関連して記載された項目の組み合わせ又は複数の関連して記載された項目のいずれか一方の項目を含む。
【0020】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると述べられているときには、その他の構成要素に直接連結されているか、又は接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解しなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか、「直接接続されて」いると述べられているときには、中間に他の構成要素が存在しないものと理解しなければならない。
【0021】
本願において使用した用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上異なる場合を明白に指摘するものでない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0022】
異なったものとして定義しない限り、技術的若しくは科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているものと同じ用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈しなければならず、本明細書において明らかに定義していない限り、理想的若しくは過度に形式的な意味と解釈しない。
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をより詳しく説明する。本発明を説明するにあたって、全体的な理解を容易にするために、図面上の同一の構成要素については同一の参照符号を使用し、同一の構成要素について重複する説明は省略する。
【0024】
本発明の実施の形態に係る音階を利用した音楽再生装置は、楽譜上の各音において、各音の階名及び音の高さを人の音声で表現する。本明細書において音階は楽曲全体又は一部で使用される音を1オクターブ内に階段状に整理した音列を指すこともあり、階名と同一の意味としても使用され得る。また、本明細書において使用される用語「音程」は音階内において基準音に対する相対的な音の高さを指す意味として使用される。
【0025】
図1は、本実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の一例を示す説明図である。
【0026】
本実施形態に係る音楽再生装置は、複数の曲についての音楽ファイルを保有し、音楽ファイルの情報を使用者に提供し、使用者により選択された曲を演奏する。このとき、音楽ファイルの情報は、曲に付与された識別子(ID)、曲の題目、曲の組成、曲の作曲者、曲を歌う歌手名等、曲に関連する様々な情報を含む。図1の使用者画面においてこのような音楽ファイルの情報の例を確認することができる。以下の説明において、曲の組成は、曲の調を意味し得る。
【0027】
図1の使用者メニュー領域1100を参照すると、本実施形態に係る使用者画面は、基本的に、再生メニュー、停正/中断メニュー、ボリューム調整メニュー、イコライザー機能等を提供し、曲の検索のための検索メニューも提供する。それだけでなく、本実施形態に係る使用者メニューは、キー設定、男女key設定、テンポ設定、移調設定、オクターブ設定等のためのメニューを提供する。
【0028】
また、本実施形態に係る音楽再生装置は、歌詞歌メニュー又は階名歌メニューを含み、演奏と共に歌詞で歌う歌詞歌モード、演奏と共に階名で歌う階名歌モードを提供する。本実施形態に係る階名歌モードでは、単に、階名が音声で出力されるのみに限られず、階名が音程を含んで発音されて歌われるように音楽が再生され得る。また、本実施形態に係る音楽再生装置では、移調時に変更される階名に対する発音の変化を反映して階名歌が変更され得る。
【0029】
このような本実施形態によれば、音楽の先生が階名で歌を歌うような効果を与えることができるため、音楽教育水準が高くない使用者が容易に歌の階名を覚えることができる。また、複雑な移調時に変更される階名も容易に確認できるようにすることにより、音楽教育水準の高い使用者にも有用な音楽再生装置を提供することができる。
【0030】
図2は、本実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
【0031】
図2の使用者画面では、使用者メニュー領域1100上に位置する楽譜表現領域1200を確認することができる。楽譜表現領域1200では、歌のための楽譜と伴奏のための楽譜が対で表示されている。図2は、歌詞歌モードと共に歌詞表示が選択された場合に、曲が演奏される状況において本発明により表示される楽譜を示している。例えば、図2では、ヤン・ヒウンの「一人」という曲について歌詞と共に楽譜が表示されており、各時刻において曲の再生が進行中である小節が他の部分と対比される色でハイライトして表示されている。
【0032】
図3は、本実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
【0033】
図3は、歌詞歌モードと共に階名表示が選択された場合に、曲が演奏される状況において本発明により表示される楽譜を示している。歌詞歌モードにおいて、歌詞を利用して歌が歌われるが、例えば、図3に示したように、楽譜表現領域1200の歌楽譜上の各音符の下には階名が共に表示されている。
【0034】
図4は、本実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
【0035】
図4は、階名歌モードに切り替えられた状態の使用者画面を示している。階名歌モードに切り替えられた場合には、歌詞歌モードとは異なって、階名を発音して歌が歌われ、例えば、図4に示したように、楽譜表現領域1200の歌楽譜上の各音符の下にも階名が共に表示されている。
【0036】
本実施形態に係る音楽再生装置により演奏される階名歌は、各音に対する階名を該当音の音程で発声した人間の音声を録音した音声ファイルの集合と理解することができる。ここで、各音声ファイルは人間の音声で階名を発音するが、各発音は音程、すなわち、音の高さを有する。また、本実施形態によれば、該当歌に合うように編集された音声ファイルの集合に含まれた各音声ファイルは音の長さに応じた時間継続して再生される。
【0037】
図5は、本実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置の使用者画面の他の例を示す説明図である。
【0038】
図5の例は、図4の例のように階名歌モード状態における画面の例であるが、図4の例と異なり、図4に示した画面が表示されている状態において移調、すなわち、転調が起こった場合の画面の例を示す。すなわち、図4に示されているハ長調の歌に対して転調が起こって変ニ長調に変換された場合において表示される画面の例を図5に示している。
【0039】
図5に示す使用者画面にも、楽譜表現領域1200の歌楽譜上の各音符の下には階名が共に表示されているが、図4の場合は「ドミシレレ」と連続する音階が、図5の場合は「ディファドメメ」と表記されており、組成が変化することにより階名の表記方法も変更されたことを確認することができる。
【0040】
図6は本実施形態に係る音階を利用した音声再生装置の機能構成の一例を示す説明図である。
【0041】
以下、図6を参照して詳述する本実施形態に係る構成要素は、物理的な区分ではなく機能的な区分により定義される構成要素であって、それぞれが行う機能により定義され得る。それぞれの構成要素は、ハードウェア及び/又はそれぞれの機能を行うプログラムコード及びプロセッシングユニットで具現され得るものであり、2つ以上の構成要素の機能が1つの構成要素に含まれて具現され得ることもある。したがって、以下の説明において構成要素に付与される名称は、それぞれの構成要素を物理的に区分するためのものでなく、それぞれの構成要素が行う代表的な機能を暗示するためのものであり、構成要素の名称により本発明の技術的範囲が限定されないことに留意しなければならない。
【0042】
図6に示す本実施形態に係る音階を利用した音声再生装置は、演奏制御部100、音階音声データベース200、音楽ファイルデータベース300、使用者入力部110、ディスプレイ部120、演奏部130、及び楽譜ファイルパージング部140を含む。
【0043】
音楽ファイルデータベース300は本実施形態に係る楽譜演奏に使用される様々な音楽ファイルを含む。本実施形態において使用されるデータベース(database)という用語は、関係型(relational)、客体指向型(objected−oriented)データベースのように、厳密な形態のデータベースを意味するのでなく、情報を貯蔵する機能的構成要素を意味するもので、様々な形態に具現され得る。例えば、本実施形態において使用されるファイルベース(file−base)形態の簡単な情報貯蔵構成要素として構成され得ることもある。
【0044】
本実施形態に係る音楽ファイルは、楽譜ファイル及び音源ファイルを含み、音楽関連の種々のファイルを含み得る。本実施形態に係る楽譜ファイルは、MIDIファイル、MusicXML、MML(Music Markup Language)、NIFF(Notation Interchange File Format)、SMDL(Standard Music Description Language)、MNML(Musical Notation Markup Language)、HTML(Music HTML)、JScoreML、 Xscore(eXtensible Score Language)等様々な音楽的表現と体系を有する様々な楽譜ファイルを含み得る。
【0045】
また、本実施形態に係る音源ファイルは、MP3、FLAC、WAV(ウェーブ)、DRM等様々な形式の音源ファイルを含み得る。
【0046】
本実施形態に係る楽譜ファイルパージング部140は、様々な形式の楽譜ファイルを分析して、該当ファイルが有する情報を抽出する。例えば、楽譜ファイルパージング部140は、ユーザにより選択された楽曲に対する楽譜ファイルを分析して楽譜ファイルの情報を抽出する。ここでは、最も広く使用される楽譜ファイルのうちMusicXMLを例に挙げて説明する。MusicXML電子楽譜は、それ自体としては、種々のタグ(tag)情報からなる1つのXMLテキストデータである。したがって、これをプログラムにより演奏できるようにしたり、演奏者等実際の使用者が分かるように五線紙に描かれた楽譜で提供するためには、XML楽譜に対する分析を通じた変換過程が必要である。
【0047】
楽譜ファイルパージング部140は、楽譜分析のために、MusicXML楽譜をパージング(parsing)して、それぞれのタグ情報が実際の楽譜においてどのような機能をするかを選り分ける。MusicXML楽譜は複数の構成要素からなっており、これらの構成要素は、頭(header)と本体(body)の2部分に大きく分けられる。このとき、頭部分には、作品の題目、作品番号、作曲者、作詞者、パート目録等楽譜に対する上位情報が示されるようになり、本体部分には、楽譜の実質的な内容といえる調号、拍子、速度記号、音符、休符等楽譜上の音楽を表現することができる様々な構成要素に対する細部情報を含む。
【0048】
楽譜ファイルパージング部140は、MusicXML楽譜パージング(parsing)を通じて、タグ分析情報を分析する。このとき、タグ分析は、楽譜のヘッダー情報及び本体情報に対する事項を含む。このように分析された楽譜情報は、演奏制御部100に提供され、使用者が望む楽譜を実際のメロディー情報を利用して探すことができる内容基盤検索を行えるようにされる。
【0049】
また、演奏制御部100は、タグ分析を通じて分析された情報を楽譜情報に対する座標を表現するために変換し、楽譜を実際の画面に示すディスプレイ部120、及び楽譜をコンピュータの音源を利用して実際に演奏する演奏部130へ提供する。
【0050】
ディスプレイ部120は、楽譜ファイルパージング部から抽出された楽譜ファイルの情報を表示する。演奏部130は、楽譜ファイルパージング部から抽出された楽譜ファイルの情報に基づいて、少なくとも1つの音楽ファイルのうち選択された音楽ファイルを利用して演奏を行う。
【0051】
演奏制御部100は、楽譜ファイルパージング部140により抽出された楽譜ファイルの情報から選択された楽曲の組成を判断し、音階音声データベース200から楽曲の組成にマッチングする音階を抽出し、抽出された音階に基づいて音声ファイルを再生する役割を担当する。
【0052】
具体的には、演奏制御部100は、楽曲の組成に対応する組成別プログラムを選択し、該当楽曲が含む各音について、選択された組成別プログラムに対応する組成の音階の各音に対応する音声ファイルを順に再生する。
【0053】
また、演奏制御部100は、転調要請を受信した場合、変更要請された組成に基づいて選択する組成別プログラムを変更し、変更された組成別プログラムに基づいて音声ファイルを再生する。ここで、組成別プログラムは、各組成と対応し、本実施形態に係る音階音声データベースにより各々定義される。
【0054】
音階音声データベース200は、組成別プログラムごとに各組成の音階及び当該音階の各音に関する音声ファイルを貯蔵する。音階音声データベース200では、本実施形態に係る音階を利用した音声再生を可能とする音階音声データは、例えば、データテーブルの形式で表される。音階音声データテーブルの一例は図7を参照して詳しく確認するが、後述する図7の説明の際により詳しく考察する。
【0055】
使用者入力部110は、使用者が、ディスプレイ部120を通じて表示される曲リスト、楽譜等を確認して、選曲、キー設定、移調設定、オクターブ設定、等様々な演奏環境設定において使用する、オプション選択のためのキーボード、マウス、タッチパネル等を含む。
【0056】
本実施形態に係る音階を利用した音楽再生装置は、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン、携帯可能な使用者端末等に含まれて具現され得る。
【0057】
本実施形態に係る使用者端末の様々な例は、セルラー電話機、無線通信機能を有するスマートフォン、無線通信機能を有する個人携帯用端末機(PDA)、無線モデム、無線通信機能を有する携帯用コンピュータ、無線通信機能を有するデジタルカメラのような撮影装置、無線通信機能を有するゲイミング装置、無線通信機能を有する音楽貯蔵及び再生家電製品、無線インターネット接続及びブラウジングが可能なインターネット家電製品だけでなく、そのような機能の組み合わせを統合している携帯型ユニット又は端末機を含み得るが、これに限定されるのではない。
【0058】
図7は、本実施形態に係る音階音声データベース200のデータテーブルの一例を示す説明図である。
【0059】
本実施形態に係る音階音声データベース200は、絶対音階に対して図7に示すように主音が互いに異なる音階の組成に対応する12個の組成別プログラムを含む。
【0060】
組成別プログラムは各組成に対応し、プログラム1番はCメジャーキー(ハ長調)、プログラム2番はC#キー、プログラム3番はDキー、プログラム4番はD#キー、プログラム5番はEキー、プログラム6番はFキー、プログラム7番はF#キー、プログラム8番はGキー、プログラム9番はG#キー、プログラム10番はAキー、プログラム11番はA#キー、プログラム12番はBキーに対応する。
【0061】
ここで、主音「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」を日本語でいうと「ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロ、ハ」で表現し、英語でいうと「C、D、E、F、G、A、B、C」で表現する。
【0062】
図7に示したデータテーブルの各行において、各組成別プログラムに対応する各組成の音階と絶対音階との関係が示されている。また、音階音声データベース200は、各組成の音階の各音に関する音声ファイルを貯蔵する。本実施形態に係る音声ファイルは、図7に示すような階名の発音及び音の高さにより発声された人間の音声データとして生成され、12個の各組成別プログラムについて生成される。この際、録音する音域は、実際に人間が出すことができる最低音から最高音まで繰り返し録音される。すなわち、音声ファイルは、人間が発声可能な最低音域帯から最高音域帯に渡り、各組成の音階について各音の高さに合うように発声した人間音声の録音データである。
【0063】
本発明により音階を利用して音楽を再生するために、楽曲の組成に対応する各組成別プログラムが、演奏制御部100により、選択される。例えば、Cメジャーキー(ハ長調)の場合はプログラム1番、C#キーの場合はプログラム2番、Dキーの場合はプログラム3番等がそれぞれ選択される。もし短調の楽曲である場合、対応する長調楽曲と考えて該当長調を基準にプログラムが選択される。すなわち、長調から3度下げれば短調になるので、例えばAマイナーキー(イ短調)の場合は、Aマイナーキー(イ短調)に対応する調はCメジャーキー(ハ長調)であるので、1番プログラムが選択される。
【0064】
楽曲の組成に対応する組成別プログラムが選択されると、演奏制御部100は、楽曲の各音について、選択された組成別プログラムに対応する組成の音階の各音に対応する音声ファイルを再生する。例えば、Dキー(ニ長調)の楽曲に対して楽譜上に「D−E−F」が順に表記されれば、図7に示すように3番プログラムの「ミ」音声ファイル−「フィ」音声ファイル−「ソ」音声ファイルが順に演奏される。このとき、各ファイルの音声は、各階名の発音だけでなく、該当音階における音の高さを有する。また、本発明によれば、各音声ファイルは、楽譜上の各音符の長さに応じた時間継続して再生され、すなわち、拍子に合わせて再生される。
【0065】
図8は、本実施形態に係る音楽再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
以下の説明において本実施形態の音楽再生方法を構成する各段階が図6を参照して説明した本実施形態に係る音楽再生装置の対応する構成要素で行われる動作と理解することができるが、方法を構成する各段階は各段階を定義する機能自体として限定されなければならない。すなわち、各段階を行うものとして例示された構成要素の名称により各段階の遂行主体が限定されないことに留意しなければならない。
【0067】
本実施形態に係る音楽再生方法によれば、使用者が演奏する曲を選択すれば、音楽再生装置によって、選択された曲に対する楽譜ファイルを分析する(S810)。
【0068】
楽譜ファイルに対する分析が完了すると、分析された楽譜及び音源ファイルに基づいて音楽を演奏し(S820)、楽譜及び歌詞をディスプレイして使用者に提供する(S830)。
【0069】
歌詞歌が演奏される状況において階名歌に切り替えることを要請する命令が受信されると(S840/YES)、音階音声データベース200に基づいて階名で歌が切り替えられる(S850)。階名歌演奏段階は具体的に、楽譜の組成に適したプログラムを選択する段階、該当楽曲が含む各音について、選択された組成別プログラムに対応する組成の音階の各音に対応する音声ファイルを順に再生する段階を含み得る。
【0070】
また、階名歌モードで演奏される状況において歌詞歌要請が受信されると(S860/YES)、歌詞歌モードに切り替えて楽譜及び歌詞により歌を演奏する(S870)。
【0071】
本実施形態に係る歌詞歌モード及び階名歌モードの切替手続(S840〜S870)は、曲が終了するまで待機及び遂行が繰り返される(S880)。
【0072】
一方、図8に示されてはいないが、本実施形態に係る音楽再生方法は、転調要請を受信した場合、変更要請された組成に基づいて選択する組成別プログラムを変更し、変更された組成別プログラムに基づいて音声ファイルを再生する段階を含み得る。
【0073】
また、本実施形態に係る音階を利用した音楽再生方法は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されるコンピュータで読み取り可能なプログラムコードとして具現することが可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムにより読み取られるデータが貯蔵されるあらゆる種類の記録装置を含む。例えば、ROM、RAM、CD−ROM、DVD−ROM、ブルーレイ、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ貯蔵装置等があり、またキャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じた転送)の形態で具現されることも含む。
【0074】
また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体において、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータで読み取り可能なプログラムコードが貯蔵され及び実行され得る。そして、本発明の技術的思想を遂行するための機能的なプログラムコードは、本発明の属する技術分野のプログラマーにより容易に推論することができる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0076】
100:演奏制御部
110:使用者入力部
120:ディスプレイ部
130:演奏部
140:楽譜ファイルパージング部
200:音階音声データベース
300:音楽ファイルデータベース
【要約】      (修正有)
【課題】音楽教育水準が高くない使用者が容易に歌の階名を覚えることができるようにして音楽教育に有用に使用することが可能な、音楽再生装置及び音楽再生方法を提供する。
【解決手段】組成別プログラムごとに各組成の音階及び各組成の音階の各音に関する音声ファイルを貯蔵する音階音声データベース200と、選択された楽曲に対する楽譜ファイルを分析して楽譜ファイルの情報を抽出する楽譜ファイルパージング部140と、抽出された楽譜ファイルの情報から選択された楽曲の組成を判断し、音階音声データベース200から楽曲の組成にマッチングする音階を抽出し、抽出された音階に基づいて音声ファイルを再生する、演奏制御部100と、を含む。音声ファイルは、階名の発音及び音の高さにより発声された人間の音声データを含み、音階音声データベース200は、主音が互いに異なる音階の組成に対応する12個の組成別プログラムを含む。
【選択図】図6
図6
図7
図8
図1
図2
図3
図4
図5